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よく、人に訊かれて困ってしまう質問がある。
「一番好きな色は何?」
「自分を色にたとえるなら?」
「このメロディーは何色に聴こえる?」
好きな色は、本当にない。いつも色を、「ここに薄い水色がある」「その隣りに緑色がある」、そういう風にとらえている。色はただそこに存在しているだけのもので、私が順位をつけたり、私の思い入れで何かに結びつけられるようなものではない。そう思っている。
敢えて言うなら、私は、全ての色が好きなのだと思う。或いは私は全ての色に対して平等で、目の前にある色をただそのままに受け入れたいと願っている。それはたぶん、世界をそのままに理解したいという欲望と同義だ。
そう、だからなのだろう、私は、カラーの写真しか撮ることが出来ない。写真を撮ることで私は、世界に近づこうとしているのだと思う。