西端真矢

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ゴールデンウィークと宇宙 2026/05/12



ゴールデンウィークを、今年も私は自分の街、東京で過ごした。
3年前に受けた手術の後遺症から、長時間の乗り物の振動に腸がまだ耐えられず、遠出が難しい。
せいぜい電車で30分ほどの東京のどこかの街に出かけて、それでも、美味しいケーキ、或いは食事を頂きながら、友だちとあれこれお喋り出来れば十分楽しい。
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天気の良い日が続いたので、庭で北京留学時代以来の相棒の熊のぬいぐるみを虫干しした日もあった。 
当時、大失恋をして、あまりに悲しくてデパートのぬいぐるみ売り場で目が合ったこの子を衝動買いして、寮の部屋で抱きしめて心をなぐさめたのだった。
彼が寝ているラタンの椅子は、亡き母が地元のデパートで毎年開かれる「日本の職人」展で一目惚れして購入したもの。母娘でも衝動買いの中身がだいぶ違うのだ。千葉の藤職人さんの手でしっかりと編み込まれ、百年でも二百年でも持ちそうなこの椅子を大切に使っていこうと思う。
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庭を見回すと、今年は、花の調子がすこぶる良い。
野ばらは毎日大体120輪!ほど咲いているし、今は車輪梅と紫蘭も満開。種類の違う小ぶりの野ばらも、こんなに花がついた年はない、というくらい咲きに咲いている。葉の色も深く厚みがあり、病葉がとても少ない。
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少し前には山つつじの圧力がすさまじかった。馬酔木もよく咲いたし、写真はないけれど、昨年は花をつけなかったチューリップが大きな花をつけた。それに椿が10年ぶりに咲いたりもした。木瓜にいたっては、一回終わったと思ったのに、もう一度次々と花をつけ出して非常に驚かされた。この庭で五十年以上暮らしているれど、初めて見た現象だった。
そして、山桜と青もみじは今年も美しかった。
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昨年は、日本列島の歴史の中で、おそらく縄文時代以来ほどに暑く、長い夏だったのではないだろうか。今年、花の調子がいいのはそのせいではないかと推測している。人間にとっては厳しい気候でも、多くの植物にとっては、このくらい温度が高く、強い日差しにさらされる方が生きやすいのかも知れない。
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一方で、梅の木には異変が起こっている。
毎年一ヶ月ほど咲き続けて楽しませてくれるのに、今年は2週間ほどで終わってしまい、現在では写真のように、驚くほどたくさんの実が育ち切らないまま土に落ちている。
このような姿もこれまで一度も見たことがない。樹齢がやって来たのか(でも、まだ平均樹齢より20年ほど若いのだ)、それとも、梅の木だけが、温暖化の気候に適応出来ないのか。あれこれ推測してみるけれど答えは見つからない。
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上の写真は、大学受験で通った塾以来の友人と散歩した、二駅先、荻窪の太田黒公園の庭園。腕利きの庭師が心血をそそいで守っている庭だと伝わって来る。見上げるほど高いもみじや松の枝の重なりを風がわさわさと通り、森へ出かけて来たようだった。
正岡子規の『病床六尺』を思い出す。病気のすさまじさも、文学への才能もスケールがまったく違うけれど、身の周りの世界にも宇宙があることを、彼が感じたように感じるこの初夏。