西端真矢

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雪さらしの力 2026/08/25



今年のはじめ、麻のきものを〝雪さらし〟に出した。
雪さらしとは、麻の布を雪原に広げて日光にさらすことで、麻きもの制作に欠かせない一工程だだ。
空気中の酸素とオゾン、日光に含まれる紫外線、そして雪が蒸発する時に発生する水蒸気。
この四つの物質が化学反応を起こし、麻布をベージュ色から澄んだ白に変える。
もちろん、昔の人は化学式など知るはずもなかったのだけれど、経験を通じてこの100%オーガニックな漂白技法に到達していた。
  *
驚くことに、雪さらしは、古い麻布もよみがえらせてくれる。
夏のきものはどうしても汗ジミがつきやすいものだけれど、数十年を経た汗ジミまで洗い流してくれるのだ。
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上の比較写真をご覧頂くと、シミがなくなっていることがお分かり頂けると思う。
実は、このきものの最後の着用は、およそ30年前ほど。そのシミが、雪にさらすだけでほぼ消えてしまうのだから、まるで魔法のようだ。
  *
この素敵な麻きものは、父の知人から譲られた。その方のお母様が着ていらしたという。
たとうを開けた時、「今は見ない、なんてしゃれた絣模様!」と胸がときめき、けれどすぐに点々とついた茶ジミに気づき、これはどう考えても取れないだろうとそっと閉じて箪笥にしまった。
それでもどうしてもあきらめがつかず、古代以来の麻きものの一大産地、新潟の「やまだ織」さんが一般からも雪さらしを受け付けていると聞いて、ダメもとで送ってみた。社長の保坂さんと電話でお話しすると、
「取れますよ。3回くらいさらせば大丈夫じゃないかな」
と、さらりと。そして本当に取れてしまったのだ。
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上の3枚の写真は、その雪さらし中の様子を保坂さんがお送りくださったもの。
このようにきものを一旦ほどいて13メートルの反物の形に戻し、雪にさらす。
  *
もちろん、ところどころ、どうしても取れない頑固なシミもある。けれどちょうど腋の中に隠れたりして、ほぼ見えない。
私がいつもお仕立てをお願いしている吉祥寺の和裁所「きぬた」の前野先生が、裏表、前後ろを繰り回して仕立ててくださったおかげもあって、堂々と外に着て行ける、しゃれた麻きものが復活したのだった。
  *
この2年ほど、とみに麻きものに心惹かれる。そしてこういうことがあると、ますます麻が好きになってしまう。
着用の様子は、明日、別ポストで投稿するのでぜひご覧ください。

#雪さらし #麻きもの #やまだ織
#越後上布 表示を縮小