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お着物の記*年末年始の華やか着物 2011/02/01
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皆様、大分ご無沙汰してしまいました。明後日はいよいよ旧正月。アジアの多くの国では明日からが本当の新年の始まりですね!
さて、先月はまたとてつもなく忙しくなってしまい、毎日取材から取材へ、原稿から原稿へと飛び歩いておりました。二月も引き続きその忙しさの余波がありそうなのですが、先月よりは緩和されるはず。日記アップに励みたいと思いますので、ゼヒちらちらと覗きに来て下さい。
さて、そんな久し振りの日記は、まずはお着物日記から。少し前のこととなってしまいましたが、年末年始に着た華やかめのお着物を四通りご紹介します!
* * * * *
*何かとパーティーなどの多い年末。こちらのお着物は、フランス料理フルコースでの会食の日に着て行きました。菊尽くしの訪問着。祖母が染めたものです。
*「訪問着」というのは格式の高い着物のことで、パーティー、結婚式、お茶事、格式ある料亭やレストランでの食事…といった席に着て行くことが出来ます。着物の格は主に文様のつけ方で決まって来るのですが、それを詳細に説明していると長くなるので割愛。この着物は、着たときに肩の辺りから裾へ向かうにつれて、だんだんと菊の花の量が密集して行くように描かれています。このような文様のつけ方は、典型的な訪問着の文様づけに当たります。
*菊の咲き頃は、秋。しかし菊花は皇室の紋章にもなっている通り、日本を代表する花。桜と並び、一年中着て良い文様とされています。
*帯は、おそらく大正時代のものと思われる花笠文様の袋帯。全て刺繍で表現されています。祖母の遺品の中から出て来た逸品で、大正時代の職人技の高さに惚れ惚れ見とれてしまう一本です。
*帯揚げは、黄色に赤の部分絞り。帯締めは、最近購入した朱鷺色(ときいろ)の冠組。
* * * * *
*さて、次のお着物は、やはり年末、もう少しカジュアルな会食の席に着て行きました。茶屋辻文様の一方づけ小紋。五月十八日の日記で着ていたのと同じお着物です。これも祖母が染めたもの。
*帯は、十月八日の日記で泥大島と、十月二二日の日記で薄藍色の小紋と合わせていた帯。
五月のコーディネートと比べると、帯をカジュアルにしたことで全体の雰囲気が随分変わることに気づいて頂けると思います!
*帯締めと帯揚げは、微妙にトーンの違う藤色同士を合わせてみました。
* * * * *
*さてさて次のお着物は、元旦の日に着たものです。着物好きの女優・壇ふみさんがエッセイの中で、「今年は着物着るぞ!」と決意を込めて元旦に着物を着る、と書いていたので、私も真似をして今年の元旦は着物で過ごしました。
*濃い臙脂色の御召(おめし)の色無地。御召というのは、先染めした絹糸を織るときに、緯糸の方に強い力のかかった糸を使うことで独特のしぼを出す織り方。徳川十一代将軍・家斉が愛用して“お召しに”なったことから、御召と呼ばれるようになりました。
*この着物は、母が大学院生の頃に誂えたもの。母は日本美術史界に燦然と輝く巨星、故山根有三東大名誉教授の門下生ですが、あるとき、ゼミ一同先生に引率されて利休の茶室・如庵を特別見学した日にこの御召を着て行ったところ、先生が非常に非常に喜んで下さったそう。有三先生には私も小さい頃からかわいがって頂き、特別な敬愛の念を抱いています。箪笥の整理をしていてこの着物が出て来る度に、「あのとき有三先生が…」と毎回同じ話を始める母。そんな訳でこの御召は私たち親子にとって、ちょっと特別な思いの詰まった一枚となっています。
*帯は、祖母が染めた紅型。塩瀬という生地に染められています。牡丹の花を籠に生けた図案は、花筐(はながたみ)という伝統文様。その周りを燕が飛んでいるおめでたい柄行きです。牡丹は古来より、日本でも中国でも富貴の象徴とされる花。お着物世界では一年中着て良い文様とされています。
*帯締めは、黄色から橙色に色変わりして行くもの。帯揚げは、藤色。
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*さて、最後の一枚は、洋花の訪問着。これも祖母が染めたものです。おそらく蘭を図案化したもので、菫色、青、黄色の花が縦列に染め分けられています。一部をご紹介↓
*帯は、我が家の家宝的存在の一本。全面桜を散らした中に、丸に桜、丸に桐、丸に杜若、丸に菊が織り上げられたずっしりと重たい袋帯。昔から誰がつけたのか、この帯のことは我が家で「桜蝶丸帯」と呼んでいます。おそらく祖母の嫁入り道具だったものと思われる、非常に非常に豪華な一本です↓
*当日の組み合わせはこのように↓(ちょうど帯の辺りには文様が来ないので、写真では色無地のように見えてしまうため、上の二枚を付け加えました)
*白地に赤の部分絞りの帯揚げと、今日の日記の一枚目、菊の訪問着に合わせていたのと同じ、朱鷺色の帯締め。
*我が家では毎年お正月の二日に親戚一同が集まり、何故か中華料理を食べる習慣が。その、ヒルトンホテル・王朝での新年会の折りに着て行きました。
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いかがだったでしょうか、新年第一弾目のお着物日記。今年もガンガンに着物を着て行く予定です。女子の皆様楽しみにしていて下さいませ!