西端真矢

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「ライター仕事七つ道具」 2010/10/28



今日の日記はいつもとは趣向を変えて、仕事の際の絶対必需品、七つ道具をご紹介したいと思います。
何を隠そう、私、女性誌などで度々組まれる人気企画「鞄の中身拝見!」が大好きです。古くは小学校時代、『明星』などのアイドル雑誌を愛読していたちびっこの頃から、キョンキョンや薬師丸ひろ子など、当時憧れていたお姉さんアイドルの鞄の中身写真を凝視。
長じておしゃれに興味を持つようになってからも、『Olive』『anan』『SPUR』『ELLE』『sweet』などなどに掲載されるおしゃれ業界人の鞄の中身写真を、気がつくと1枚最低5分ずつは凝視している自分がいました。何と「鞄の中身拝見」ページだけ切り取ってファイルにまとめたりもしているほど‥‥。何故こんなに好きなのか分からないけれど大好きなのです。

‥‥でも、毎月必ずどこかの雑誌で「鞄の中身拝見」特集が組まれているところを見ると、世の中の人もきっと私に劣らずこの企画が大好きなのでしょう。そこで今日は、特に私がライター仕事の取材時に必ず持ち歩く必殺お仕事道具をご紹介しようと思い立ちました。

ライター仕事七つ道具その一 ボイスレコーダー

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取材時に何と言っても一番必要なものはこれです!これがあれば他のものは全部忘れてもまあ何とかなるかも知れない‥というくらいに大切な道具。
だから前日の夜に、ちゃんと充電されているかを必ずチェック。過去に一度だけ、取材中に電源が落ちてしまったことがあって真っ青に。二度と繰り返したくありません。

七つ道具その二&その三 ノートとボールペン

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「ボイスレコーダーで録音しているんだから、ノートを取る必要はないんじゃない?」と思われるかも知れませんが、いえいえそんなことはないんです。
普通人が何かについて話をしようとする時、最初から最後まで理路整然と・時間軸に沿って・順々に話すことが出来る人などまずいません。話はあっちに飛びこっちに飛び、その中から核心になるエピソードや思いが浮かび上がって来るのであって、それを上手く引き出すのが取材者の務めでもある訳です。
さて、その取材者であるライターが家に帰って原稿をまとめる時、まずはばっとインタビューの全体を概観出来ることが実はとても大切。原稿にはどんな場合でも字数の制限がありますから、その制約の中でどのエピソードを拾ってどのエピソードを落とすのか?選択をするときに全体を見渡せることがとても重要になって来ます。
また、「AのエピソードはBのエピソードの前に話してたんだっけ?後だっけ?」などと、ボイスレコーダーの中身を聞き返す時の目印にも使えます。何かと役立つノート記録なのです。たとえどんなにみみずののたくったような、時に自分自身にさえ判読不可能な字で書かれていても‥‥

筆記具は、サインペンでもシャープペンでもなく、ボールペンが一番!適度な筆圧でなめらかに書き飛ばすことが出来るからです。
過去に2度、筆記具を忘れて取材場所に着いてしまったことがありました‥‥。1度は近くのコンビニで100円ボールペンを購入。あとの1度は、広告関係の仕事だったので同行の営業マンにお借りして何とか乗り切りました。これももう二度と繰り返したくはない思い出です‥‥。
ちなみにボールペンは書ければ何でも良いのですが、今使っているのはDOMMUNEの前身、渋谷にあった宇川さんのオフィス兼クラブMixroofficeのもの。これがドリンク券代わりだったのですよね。なつかしい!

七つ道具その四 懐中時計

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ライターが取材に伺う時、それはその取材対象者の方が何らかの有益な情報をお持ちだからであって、そのような有益な情報をお持ちの方は当然忙しい方がほとんどです。「40分で必ず終えて下さい」などと時間を指定されることもしばしば。
だから、事前にお聞きしたい内容をメモにまとめ、時間配分を考えながら上手くインタビューすることが肝要となります。そこで時計の登場。

腕時計でも良いのですが、お話ししながらちらちら腕を見るのはいかにも失礼だなと考え、私はノートのそばに懐中時計を置いて、自然に視線が時計に落ちるようにしています。また、時計の形式は、デジタルではなく針のあるアナログ時計の方がいい。と言うのもアナログ時計の方が、15分単位で図形的に時間を捉えられ、残りの時間配分をとっさに計算しやすいからです。インタビューに神経を集中しながら同時に時間配分を考えるとき、この「簡単さ」はとても大切なんですよね。
ちなみにこの時計は、将来作りたい本の資料として買った8枚組DVDセット『昭和と戦争』、3万8千円也!のおまけについて来たもの。裏は何と戦艦大和です‥‥↓
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そして、ボイスレコーダーと懐中時計は、こんな↑ソフトケースに入れて持ち運んでいます。ヨドバシカメラで買ったデジタルカメラケースに、コントモコさんの猫のブローチを留めています!かわいいでしょ!

七つ道具その五 ポケット地図帳

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重度の方向音痴で数々の珍道中をやらかしている私。しかし仕事の時は絶対遅刻出来ないため、地図が必需品です。
いずれスマートフォンに買い替えればナビアプリで誘導してもらえるのでしょうが、今のところほしい機種がないため、普通携帯電話のまま。そこで道探しのためには超アナログにポケット地図帳持参です。すぐ目当てのページを開くため、ポストイットを栞代わりにしている工夫が我ながら泣ける‥‥。もちろんくるくる回しながら見るのが必須!

七つ道具その六 ポメラ

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忙しい時は、一日のうちに取材や打ち合わせが二つ三つ重なることもしばしば。そんなときは合間の時間に喫茶店に入って(私はスタバなどよりレトロ喫茶が一番好き!)、今終えたばかりの取材を早速原稿にまとめることも。ポメラは軽く小さく、重度の肩コリ症の私にも何とか運べるところが魅力です。(上の写真で、ボールペンとの大きさを比較してみてください)シールが大好きなので、蓋にマカロンのシールなど貼って楽しんでいます♪

‥‥いかがだったでしょうか。ライター七つ道具、と書きつつ、六つしかなかった‥‥。
もちろん、取材の前には入念に資料を読むことが必須だし、それをまとめて箇条書きにしたものもよく現場に持ち込むし、また、帰宅してからPCに原稿をまとめ上げる訳で、何と言ってもPCが最大の仕事道具ではあるのですが、毎回取材時には上に書いたようなものを持ち歩いているのでした!
最近では前日に、「明日取材に行く街の呉服屋さん」をネットで調べておくことも習慣になって来ました。取材の後にその街その街の呉服屋さんや和雑貨屋さんを訪れ、気が向けば小物を買ったり店主とお話をしてみたり。続けて行くうちに、東京ではまだまだほとんどどの駅にも、最低でも一軒は呉服屋さんがあることが分かって来ました。これを何とか絶やしたくない!毎日使う道具をかわいくしてみることも含め、仕事のプロセス全体に楽しみを見つけたいと思う欲張り人間の私であります!

「お着物の記 九 秋の初めの二枚」 2010/10/22



ここのところぼーんやりしていて、日記の更新が滞ってしまいました。
現在、仕事はそれほど差し迫っていないのですが、次の本の企画が始まっていて、また、気が早いのですが次の次にやりたい本の下調べも進めたりしているので、頭の中がとても忙しいのです。脳の容量が少ないせいか、そうするとあまり日記の文章を書けなくなってしまったり。

さてさてそんな中、今日は最近着たお着物を二枚ご紹介。
一枚は、こちら。編集者の方々とのレストランお食事会に来て行きました。

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*典型的な紅型文様の着物。祖母が染めたものです!かわいいでしょ!

*このような薄藍色のお着物は、お着物世界の昔ながらのルールに従えば、もっともっとずっと年齢が上がってから着るもの。でも、この文様が大好きな私は、今回、「帯を派手目の色にしたら大丈夫なんじゃないか」と敢えてトライしてみたのですが‥‥やっぱりちょっと地味過ぎでしたね。何だか、老けているような、でも若いような(帯のせい)、不思議なかんじになってしまいました。失敗したけれど、良い勉強に。このお着物は六十代くらいになったらまた着倒そうと思います!

*帯は、10月8日の日記で黒の大島に合わせていたのと同じもの。

*ところで、この帯の文様の出し方にご注目下さい。敢えて文様が少し右にずれるように締めています。これは、日本的な美意識の表し方。
着物に限らず、日本美術は、庭園でも器への文様付けでも屏風でもふすま絵でも、決して左右対称を目指しません。「左右非対称」、これが、日本美の最も要となる意識ではないかと考えています。西洋だったら、こういう文様は、必ず体の中央に来るようにデザインされるはず。それを敢えてずらすのが日本の美意識であり、私はこの美意識が骨の髄までしみ込んでいる人間です。
二十代の頃まで、父がイタリア関係の仕事をしていることからしょっちゅうヨーロッパへ遊びに行っていたのですが、ベルサイユでもシェーンブルン宮でもボルゲーゼ公園でも、私は西洋の庭園を歩いていると、だんだん気分が悪くなって来てちょっとめまいがしそうになってしまいます。それは、西洋の左右対称の美意識がどうしても自分に合わないから。左右対称にしてしまうと、「抜け」や「間」が感じられず息苦しいし、人工的に過ぎると思うのです。げに美意識は或る種の人間にとっては、生理現象まで左右してしまうものなのだと思います。

*帯揚げは、すみれ色。帯締めは水色で明るさを演出してみました。

         *

さて、もう一枚の取り合わせは、こちら。
お茶のお稽古の日に来て行った、普段着の装いです。
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*格子文様の紬。これは祖母の家から持って来たものですが、ちょっと手が短いので、おそらく大叔母か曾祖母??誰か祖母以外の人が来ていた着物だと思われます。古い着物ですがどこと言って汚れもなく、お稽古の日に着るのにぴったりなふだん着です。

*帯は、祖母が染めた紅型。里山が紅葉し始めた頃の風景を描いたものでしょうか。すごく好きな文様です。お教室の皆さんに褒めて頂き、感激。

*帯揚げはすみれ色、帯締めは青にところどころ色の入った民芸調のもの。

*この帯揚げは、いつもお世話になっている吉祥寺の「ふじや」さんで特別にお安くしてもらったもの。見えないところにちょっと難があるためです。
「ふじや」さんは、戦前から吉祥寺で商売をしている呉服屋さんで、パルコの1階に、パルコとは別の入口から入る形で店舗があります。実はもともとこの土地は「ふじや」さんのもので、「ふじや」さんの方がパルコに場所を貸している‥‥つまりパルコの大家さんなのだとか。
そのせいで経営に余裕があるためか、ここのの番頭さんは皆さん「売らんかな」ではなく、本当に親身に接客をして下さるので私たち親子はとても気に入っています。他のお客様への接客を見ていても、その方その方の予算に合わせてじっくりとお品物を見せていて、こうでなくっちゃ!と。

若い世代が呉服屋へ行かなくなった理由は様々にあると思いますが、よく話に聞くのが、ちょっと足袋を買いに行っただけなのに、ぐるぐると反物を体に巻きつけられて、「素敵」「お似合いよ」「12回分割で買えばいいのよ!」などと押し売りされる‥‥そういう呉服屋さんが残念ながら結構多いようなんですよね。これでは恐ろしくておいそれと呉服屋には近づけません。
若くてあまり知識のないお客さん、なけなしの貯金を握りしめてやって来たお客さんたちが、ゆっくり心に余裕を持って、時間をいっぱいかけて本当に似合う一枚を探し出せるような、そういう呉服屋さんがもっともっと増えて行ってほしいなと思います。心から!

映画『ANPO(安保)』 2010/10/08



本当は、今週の日記はお着物日記にするつもりだった‥‥のだけれど、日曜日にuplinkで観たドキュメンタリー『ANPO』がとても良かったので、レビューを書いてみようと思う。
http://www.uplink.co.jp/factory/log/003682.php

『ANPO』は、日本で生まれ、中学までを日本で過ごしたアメリカ人女性、リンダ・ホーグランド氏の初監督作品。ずばり、日米安全保障条約をめぐるドキュメンタリー映画だ。
私の日記を毎週楽しみにして下さっている読者の方々(←ありがとうございます!)の中にはあまり政治の話に詳しくない方も多いので、ごくごく簡単に分かりやすい比喩を使って説明させて頂くと、日米安保条約とは、憲法によって「軍隊を持たない」と決めている日本というこの国が、アメリカとの間に結んだ軍事についての契約だ。他国から、日本の主権を侵す軍事行為があった場合、日米は協同してこれと戦う。要するに、誰かが日本にケンカを売って来たら、アメリカ軍が必ず助けに行きますよ、という用心棒契約だ。

もちろん、タダで用心棒になってくれるお人よしがこの世に存在する訳もなく、その見返りとして、日本はアメリカに、本来日本のものであるはずの国土の一部を貸し出している。そしてその土地を、アメリカが軍事基地として使うことを認めている訳だ。この状態があまりにも普通になってしまったために、今やあまり疑問に思う人もいないが、でも、たとえば、もしも旅行に行って、フィリピン軍の基地がモンゴルにあったなら、或いはノルウェー軍の基地がイタリアにあったなら、かなりびっくりするのではないだろうか?自国の土地を他国の軍人が歩き回るというのは、本来、大変大変異常な光景のはずである。

しかもアメリカは、この日本の基地から、朝鮮戦争、ベトナム戦争、そして現在は中東との戦争に、続々と兵力を送り出している。これらの戦争は、ただちに日本の国益を、安全を侵すようなタイプものではないから、つまり、アメリカが巨大な軍事力を振りかざして発展途上国に戦争を仕掛けているのを、日本人は内心苦々しく思いながら、自分の身の安全を守るために、その後方支援をしている訳だ。
この状況をドラえもんを使ってたとえるなら、ジャイアンがしずかちゃんをひどくいじめているので嫌だ嫌だと思いながらも、自分の身を守るために、やはり見て見ぬふりをするしかないのび太くん。だって、スネオが攻めて来たときにはジャイアンに守ってもらうんだもん!現実を直視すれば、それが今の日本の姿であることは間違いない。

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『ANPO』は、この現実の姿を私たちに突きつける。アメリカ人だからこそ撮れた映画だと言ってもいいだろう。
もちろん、日本にも、この現実を改変しようという動きはいつもあった。基地のほとんどが集中してしまっている沖縄。その沖縄県民の方々から現在特に強く上がっている基地反対の声もその一つだし、そもそも憲法を改定して、自前の軍隊を持とうという動きも常にある(それはおそらく徴兵制につながって行くだろう考え方だ)。安保条約が結ばれたのは1951年だが、有効期間は10年ずつと定められていたため、1960年と70年には条約を延長するかどうかをめぐり、国中に「安保闘争」が繰り広げられた(70年以降は1年ごとに延長している)。

今回の映画『ANPO』は、特にこの1960年時の日本の状況を採り上げている。
この年、日本中に安保反対の激しいデモが起こり、その中では死者さえも出た。多くのアーティストがこの運動に共鳴し、数々の素晴らしい現代美術作品が残され、それでも安保条約は延長された。今はほぼ忘れ去られてしまっているこれらの作品群を『ANPO』の中でホーグランド氏は私たちに紹介し、また、作り手たちの直接の証言をも丹念に拾い集めている。更に、何故今それらの作品が忘れられてしまったのか?ということにも思いを馳せさせる。
実際、私は、横尾忠則と会田誠の作品を除き、それらの作品群の存在を全く知らなかった。石内都と石川夏生の写真作品は見ていたが、そこに安保問題との関連を読み取ることは出来ていなかった。それは、「アメリカ軍の基地が日本の国土にあって当たり前」という感性と、どこか底流でつながっている意識なのだろう(自戒を込めて)。

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ところで、日本とアメリカとの間のこの用心棒契約は、アメリカに絶対的な腕力があったからこそ意味があった。
ジャイアンを用心棒にして、のび太はぬくぬくとテレビゲームやファッションや漫画や音楽や自閉的アートや商売に精を出していれば良かったのだ。
しかし、ジャイアンが年を取って自慢の腕力にも老いが目立ち、一方、スネオがジャイアン並みに力をつけた現在。しかもそんなスネオ野郎が最近ではいつの間にか一人ではなく、空き地の中に何人も増えて来てしまっているのだ。こんな新しい空き地情勢の中で、一体のび太はどう振る舞っていけば良いのだろうか?しかもジャイアンはどうやらこの新しいスネオの一人に、多額の借金をして弱みを握られているらしい。この新しいスネオとは、もちろん、中国のことである。

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もちろん、ジャイアンの力はいまだにそれなりに強い。のび太に腕力がないことは明々白々なのだから、生きるための戦力として、用心棒契約を続けることに実際上の意味がある。けれど、この日、映画上映の後にホーグランド監督と歴史社会学者の小熊英二氏との対談があり、そこで二人が語っていたことには真実が含まれていると私は感じた。
それは、ジャイアンを信用し過ぎるな、ということだ。
「アメリカの内部事情はがたがたですよ。もうそんなに体力は残っていません」
「日本と中国の間に何かが起こったとき、中国の意を立てることの方がアメリカの国益にかなうと判断すれば、アメリカは、平気で、中国の言うことを聞けと日本に命じて来ると思いますよ」

まずは、戦後65年間、アメリカが日本に何をして来たのか。日本人はそれをどう受け取って、どう生きて来たのか。アメリカとはどういう国なのか。その現実をしっかり直視すること。
その上で、これからの難局をどう切り抜けて生きて行くのか?のび太が生き延びるための保険をジャイアン一人だけに掛けることが、果たして正しい選択と言えるのか?他にはどういう方法があるのか?この日、映画上映も座談会も満員の聴衆で埋まった会場からは、次々と熱い質問が飛び交い、たくさんの日本人がこの問題に真剣に向き合い始めていることを感じた。ドラえもんの力、生き延びて行く知恵を私たちの中に得るために、まずはこの映画を手始めにするのも良いかも知れない。

映画『ANPO』公式ホームページ
http://www.uplink.co.jp/anpo/
公式ツイッター
http://twitter.com/ANPO_jp

お着物日記は次に。今回は大島紬!


「お着物の記 八 泥大島!」 2010/10/08



十月一日からお着物世界は「袷(あわせ)」を着る季節に入ります。袷とは、裏の付いた着物のこと。要するに寒い季節に着る温かい着物のことです。
袷を着るのは、十月から五月まで。圧倒的に着用期間が長いので、必然的に箪笥の中にも袷が占める割合は高くなります。これはつまり、コーディネートの可能性が広がる!ということ。色々取っ換え引っ換え楽しめる訳です。むふふ。

さて、ここのところ、外出時はなるべく着物で出かけるようにしている私です。今後はお仕事の打ち合わせなども着物で‥‥と思っているのですが、今のところまだそこまでは。そんな中、最近「大島」という種類の着物を着たので、コーディネートを二組ご紹介。

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*大島は、鹿児島県奄美大島で作られる紬(つむぎ)という織り方のこと。その中でも黒の大島を「泥大島」と呼びますが、これは、田んぼの泥の中に、織る前の糸を何度も叩きつける工程があるため。大島の土に含まれる成分が絹糸と化学反応して、独特の黒が生まれるのだそうです。

*大島の特徴は、軽く、光沢があること。着ていて何とも華があります。大島ファンはことに多いのでしょうか。祖母から受け継いだこの泥大島を着て歩いていると、いかにもお着物好きそうな品の良い年配の女性から、「あら、いい大島ね」「コーディネート、とても素敵よ」などと声を掛けて頂きます。着物から生まれる異世代交流。楽しい!

*写真では分かりにくいのですが、左右の見頃の両方に、肩から裾にかけて大柄の南国の花と唐草の文様が赤茶色で織られています。

*帯は、吉祥寺の若い感覚の呉服屋さん、くるりkesaのガレージセールでごく最近買ったもの。
くるりグループはデニム地の着物を作って大ヒットを飛ばすなど、新感覚の着物を次々と提案している着物屋さん。個人的には、洋服感覚が強過ぎるところがちょっと物足りなく思いますが、「まずはくるり風のコーディネート」は、洋服好きの方も入って来やすい。そこから徐々に個人個人で変わって行けばいいのかな、と思います。きっと、着物人口を増やすために必須の店なのでしょう。実際、清潔感があってとてもきれいで、私もくるり風のコーディネートにしてみたい日もあります!
くるりのホームページはこちら↓
http://kururi.net/

*帯揚げは、最初は桃色を入れていたのですが、母が一言、「茶色の方がいいわよ」。なるほどチョコレート色のこの帯揚げが見事な差し色になってくれました。

*帯締めは黒で、コーディネートをきりりと引き締め!

*もう一つ、帯を変えてお出かけした日もあるのです↓
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*これは、9月22日の日記で締めていたものと同じ帯。祖母が染めた紅型です。黒との相性バッチリですよね~。
10年来の友人、建築家の柄沢祐輔くんが参加した建築展「CITY2.0 ウェブ世代の都市進化論」を見に行った日に着て行きました。
磯崎新やカオス*ラウンジ、はたまた森ビルグループも参加しているこの建築展。今年の建築関係の展覧会の中で、最高の入りだそうです。24日まで表参道GYREにて開催中。
http://www.gyre-omotesando.com/news/eye_of_gyre.html
http://aar.art-it.asia/u/city20/?art-it-aar=0ee8725e43a502f688588046cfebb7cb
柄沢くんは、中国・瀋陽で現在進行中の巨大地下都市プロジェクト・コンペ勝利案を展示。アルゴリズム手法という新しい建築方法を使ったアイディアで、ちょっと度肝を抜かれます。何せ、この地下都市の建築構造は、ヒマワリの種の配列を内に秘めているのですから!
もう、いつ出会ったのかすら忘れてしまった柄沢くんですが、初めて会ったその瞬間から二人で哲学の話してた!しかも場所はクラブだった!大島を着て行ったこの日も、柄沢くん自らに作品を解説してもらい(贅沢~~)、ピンポンダッシャーちゃんも加わっての夕食でもアルゴリズム手法についての話、私がこの間書いた本の内容についての話などなど、話題は無限に尽きることなし。昔から、世界的な建築家になるに違いないと踏んでいた柄沢くんですが、着々と巨匠への道を歩んでいるようです。頼もしい!

*ところで、今回の二組の泥大島コーディネートには、藤色に近い濃いピンクの半衿を入れてみました。むふふ。大人っぽくて気に入りの組み合わせです!
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お着物の記 七 雨の日の装いと素敵な女友だち 2010/10/01



ようやく涼しくなり、着物loverにとって張り切り季節の到来です‥‥が、実は九月は「秋の長雨」という大敵もひそんでいる訳で‥‥そんな雨の日のお出かけに着たお着物をご紹介します。

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*紺地の単衣小紋は、夏に缶詰状態で原稿を書いているとき、またもやヤフオクで見かけてついクリックしてしまったもの。だってたったの3千円なんですもの。安い!
業者ではなく、わりとお金持ちっぽい個人の方が、「派手になったので‥‥」と放出されたお着物。お誂えで作ったのに、一度しか着ていないということでした。生地は正絹とのことです(若干手触りが微妙なのですが)。
‥‥ともかく、このように生地の色が濃く、安く購入したお着物だと雨の日でも気楽に着ることが出来ます。最近、雨の日の外出に2回着て行きました。
(どこへ出かけたかは日記の最後に!珍しく着用画像も!)

*帯は、祖母あるいは曾祖母から伝わって来たもの。しっかりと唐草と花(たぶん牡丹)が厚地に織りこまれています。無地感覚で使えるのでとても重宝する帯。

*帯揚げは、檸檬色の部分絞り。

*帯締めは、黄色から煉瓦色へと色変りしていく太めのものを。5月18日の日記で締めているものと同じ帯締めです。

~~ここでちょっとお友だちの情報を~~

*今回のお着物は、まず、先週金曜日、昨年夏に編集仕事を通じて友だちになったHちゃんと、神楽坂のSopra Acquaでお食事した日に着て行きました。
この日は小雨。色々喋りまくって、最後、お食事の後、新装なった赤城神社を見に行ったのも楽しかったのです。(隈研吾設計!)

*Hちゃんは、最近、麻布十番に素敵なレンタルルーム、MARCAをオープンしました。教室、お食事会、勉強会、パーティー、販売会、セミナーなど、自分の目的に合わせて数時間単位から借りることが出来る都心のお部屋です。皆様ゼヒご活用ください。下記、ホームページのURLです。
http://www.moogootokyo-marca.biz/index.html

*そして今週、イラストレーターの茶谷怜花さんの展覧会にお出かけした日にも、全く同じこの組み合わせで出かけました。この日も午前中はかなりの大雨。夜にも小雨がぱらついていましたが、安心着物だから汚れを気にせず、安心外出!

*怜花さんとは、やはり仕事を通じて知り合ったのですが、その出会い方の奇遇っぷリはすごいものがありました。どうすごかったのかは1カ月後くらいに日記に書きたいと思っていますので、どうぞお楽しみに。
胸がきゅっと締めつけられるような、でも単にかわいいだけじゃない。女性の強さを内に秘めたガーリー世界を描かれるイラストレーターさんです。
http://blog.chicomtic.com/

*そして、ご本人も絵と同様にかわいい~~。下の写真をご覧くださいませ。(私の着付け、ちょっと衿元が緩んでますね)
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実は私は旦那様とも仕事を通じて知り合いなので、この日は三人で楽しくお茶を頂きました。
この展覧会、中野のミルククラウンカフェというガーリー度爆発のかわいいカフェで10日まで行われています。皆様ゼヒ足をお運びくださいね。
http://milkcrowncafe.com/03.htm

*私が雨の日にまで頑張って着物を着ている姿を見て、怜花さんも「私も着物着たい!」と仰って下さいました。
何でも、ご実家に、おばあ様、お母様から伝わる桐箪笥があるとのこと。きゃー見たい!お着物友だち一人増えるかしら!と期待して待ちたいと思います。

*私は写真を撮ることは大好きですが、撮られることは大嫌いで、実は自分の写真というものが集合写真以外ほとんどない‥‥という状態だったのですが、着物を着るようになって数々の着物ブログを閲覧し始めてから、やはり着用している状態までご紹介しなければいけないと思うようになりました。
だって、着物は衣服ですからね!
モノとして床置きしているだけでは、その力の半分しか伝えていないと思うのです。
布が、人にまとわれて立体的になったときに、どう見えるのか。帯や帯締めの組み合わせは人の体の上でどう生きるのか。やはりそこをお伝えしないといけないと思うのです。
そんな訳で、恥を忍んでこれからは、時々着物を着た写真も載せるようにしていきたいと思っています。まあ、時々ですけどね!

*この日、怜花さんの展覧会の後は、ドキュメンタリー写真作家のヒントン実結枝ちゃんと原宿でお食事をしました。 写真論、文化論と話に花が咲いて楽しかった‥‥。素敵な女友だちに囲まれ、毎日が本当に充実しています。
ヒントンちゃんの写真の一部は下記に↓
http://ishiwatabiennale.wordpress.com/artists/laboratory-2010/thoughts/old-memos/

今週来週も着物で出かける予定がいっぱい。楽しみ!