西端真矢

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きもの雑誌のお仕事で、養蚕農家の取材へ 2015/07/31



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今日は朝から「美しいキモノ」編集部のお仕事で、
栃木県の養蚕農家へ取材に行って来ました。
美しい緑の水田と、山と森。そして桑畑が広がる土地。
注意深く蚕を見守り育てる、養蚕農家の方々。
その農家を支援する、農協や生地問屋の方々‥
「日本の絹」を守るための真摯な努力が、
日々、声高に誇られることもなく行われていました。
写真の左側に写る白い屋根の建物の下で、
蚕は今、静かに桑の葉を食み続けています。
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自分史上相当気に入りコーディネイト 2015/07/30



連日の猛暑、しかも“仕事が猛暑”なかんじでほとんど遊びにも出掛けられない私なのですが、何しろきもの関係の取材や打ち合わせが多いため、その場にきものを着て行くことで何とかきもの欲を満たしている今日この頃です。
そんな中、自分的にはかなり気に入っているコーディネイトが出来上がったので、今日はご紹介する日記を。
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きものは、絽。観世水を、寄りの写真で見て頂くとお分かり頂けるかと思うのですが、実は竹で表している型染めで、どこか粋な雰囲気のある一枚です。そのきものに、帯は紗を合わせました。
この帯、色合いがどことなく更紗を思い起こさせる、赤、焦げ茶、黄土色の縞柄。しかもよろけに織っている凝ったものです。きもの友だちからお安く譲って頂きました。(Kさん、ありがとう‥)

他の方はどう思われるか分からないのですが、私自身はこのコーディネイトについて、自分の中の理想のスタイルをかなり実現出来たかなと思っています。
では、その理想のスタイルとはどのようなものかと言えば、“どこか癖のあるスタイル”。しかもその一癖が、日本独特の色合わせ、模様合わせであると、完璧だと思っています。
私にとって、ベージュの無地きものに少し濃い焦げ茶の帯を合わせる‥といったシンプルなコーディネイトは、癖のないコーディネイト。それはそれで素敵なものですが、私自身の好みとは違います。素敵ではあるけれど、当たり前過ぎる。誰でも出来るよね。チノパンにブルーのシャツ、のようで凡庸。ユニクロみたい。面白くない、と思ってしまうのです。
けれどかと言って、きものと帯の柄、それぞれが蛇とマングース対決!的に強烈過ぎる組み合わせも、目がガチャガチャして好みではありません。
そのどちらでもなく、どこか品格を残しながらも、でも、引っかかりのあるきものと帯の組み合わせになっていること。加えて、折角日本に生まれたのだから、洋服ではあまり考えつかない、きものならではの色合わせにしたい。

      *

‥とそんな理想を目指して日々奮闘している訳ですが、もちろんいつもいつも上手く行く訳ではありません。
が、今日のコーディネイトはそんな中では、かなり理想に近い組み合わせになっているのではないかと思っています。縞on縞、しかもどちらもかなり凝った縞。色の組合わせは、紫×茶。全体の印象は白。
‥別に大したコーディネイトじゃないじゃない、と感じる方もいらっしゃるかも知れませんが、先ほど書いた理想の合わせ方をかなり実現出来ていると思うのです。

           *

‥そんなコーディネイトこの日は、昼からミーティングと取材、そして夜は若干仕事の話も含んだ友人との食事会、というハードな一日を過ごしました。
それでも、気に入ったコーディネイトを着ていれば、気分は上々。この他にも、この夏は、自分的にこれは良いのでは、気に入っているコーデが組み立てられているので、後半、仕事の波が落ち着いたらどんどん着て出かけようと思っています。
それまであと少し、仕事仕事仕事仕事仕事の鬼となって頑張ります。
(今週末お誘いを頂いていた皆さん、ごめんなさい‥)

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深夜の叙事詩セブンイレブン篇 2015/07/29



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深夜、某誌の原稿を校正中、
フリクション赤ボールペンのインクが切れる。

近所のセブンイレブンに電話にて問い合わせた。

「お取り置きしましょう」店員さんの声が聞こえる。

疾走する、闇。自転車にて。

無事フリクション赤ボールペンを手に入れる。
ついでにコピーまで取り、
もう一つ用事を片づけた私は歌う。

‥開いてて良かった。
セブンイレブン、いい気分。

――深夜の叙事詩でした!

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猫バカ日記でごめんなさい~~我が家の白猫チャミ、八歳の誕生日 2015/07/27



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我が家の白猫チャミが、昨日、八歳になりました。
世田谷区のどこかの公園で、生まれて間もなく死にそうになっていたところを地域の猫ボランティアさんによって捕獲。約2か月後、「里親募集」のポスターを見て連絡した我が家にやって来ました。
だから本当の誕生日は分からないのですが、猫ボランティアさんによる「推定2か月」の言葉から、母が勝手に「この子の誕生日は7月25日!」と決めたものです。
我が家に来た時は、何だか匂いもちょっと臭くて(他のたくさんの捨て猫さんと共同生活だったから仕方ないのです)、すごく痩せていて、
鼻がちょっと長過ぎるのが目立つ何とも言えず貧乏くさい子でした。はっきり言ってブス猫だったと思います。
私の癖の一つに、“本当は納得してないけれど周囲の状況から受け入れざるを得ない物事”が起こった時、とりあえず、「ふーん」「へーそうなんだ、ふーん」と言う…というものがあるのですが、数日間の試験預かりの後、母が「この子を飼う!」と宣言した時、私は思わず「へーこの子でいいんだ、ふーん」と言っていました。過去には猫面食いの母がペットショップで選びに選んだ貴公子アメショーちゃんなどと暮らしていましたので、その落差はあまりにも大きいと感じられたのです。
が、この子はとにかく頭が良く、ジャガイモを転がしておもちゃにしたり、お菓子のメリービスケットの小袋をくわえてぽーんと投げ、自分でダッシュして取りに行ったり…と、どんどん自分で遊びを開発します。
また、植物が大好きで、玄関に生けた花の中から毎日2回くらい必ず同じ特定の枝を引っこ抜いて床に落とし、「この枝ぶりが気に入らないの?」と家族を笑わせたり、鉢植えの草花を根こそぎひっくり返してめちゃくちゃにしたり…
生け花の勅使河原宏にちなんで「チャミ河原宏先生!」、植物学者の牧野富太郎博士にちなんで「牧野チャミ太郎先生!」と呼んだりしてやんやんやとかわいがっているうちに、何だか体からふんわりといい匂いがするようになり、そして顔もどんどんどんどんかわいくなっていった…と家族は思っているのでした。

          *

そんな我が家のアイドルチャミの誕生日祝いをしようと、「アルカション」でバースデーケーキを注文。
「お誕生日プレートのお名前はどういたしますか?」
「えーと、愛称なんですが‥チャミちゃんにしてください」
と思わず小声になる私でした。だってまさか猫の誕生日会とは言えず、あくまで「人間のお友だちへの誕生日ケーキです」というスタンスです。
「チャミー、ですか?」
「いや、音引きではなくて」‥と、緊張の余り思わず校正用語が出てしまい、普通の人には分からないって、と自分に突っ込み。
「“ミ”で止めて下さい」
「ちゃんはつけますか?」
「は、はい!」
多摩の名菓子店で色々挙動不審でした。
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しかし、そのケーキを、
「ほら、チャミ、見て、チャミのためのケーキだよ!」
とむりやり顔に近づけても、牧野チャミ太郎ぶりを発揮してデコレーションの葉にちょっと興味を示しただけ‥いいんです、これは猫バカのお父さんお母さんお姉ちゃんが食べるのだから。そして、人間たちがアルカションのケーキに舌鼓を打っている間に、チャミにもお誕生日ケーキを‥↓
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そう、煮干しです。とにかく煮干しが大好きなのは子猫時代からで、うっかり買い物から帰って来て煮干しの袋を出しっぱなしになどしておくと、食い破って15本くらいばりばり食べてしまうほどの大好物。
そんな煮干しを、ふだんは肥満防止のため2本ずつ、日に何回かに分けてあげているのですが、おめでたい誕生日ですから、一気に5本大サービス。「え、こんなにたくさんいいのかニャ」と最初はとまどいつつ、最後はバリバリと食べていました。
「これからもいっぱい遊びを考えて、煮干しもいっぱい食べて、一日でも長くお姉ちゃんのそばで暮らしてね、チャミ」
と話しかけると、頬っぺたに一回その小さな頭を、ごっつんとぶつけてくれるチャミなのでした。

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猫バカ日記でごめんなさい~~我が家の白猫チャミ、八歳に 2015/07/26



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我が家の白猫チャミが、昨日、八歳になりました。
世田谷区のどこかの公園で、生まれて間もなく死にそうになっていたところを地域の猫ボランティアさんによって捕獲。約2か月後、「里親募集」のポスターを見て連絡した我が家にやって来ました。
だから本当の誕生日は分からないのですが、猫ボランティアさんによる「推定2か月」の言葉から、母が勝手に「この子の誕生日は7月25日!」と決めたものです。
我が家に来た時は、何だか匂いもちょっと臭くて(他のたくさんの捨て猫さんと共同生活だったから仕方ないのです)、すごく痩せていて、
鼻がちょっと長過ぎるのが目立つ何とも言えず貧乏くさい子でした。はっきり言ってブス猫だったと思います。
私の癖の一つに、“本当は納得してないけれど周囲の状況から受け入れざるを得ない物事”が起こった時、とりあえず、「ふーん」「へーそうなんだ、ふーん」と言う…というものがあるのですが、数日間の試験預かりの後、母が「この子を飼う!」と宣言した時、私は思わず「へーこの子でいいんだ、ふーん」と言っていました。過去には猫面食いの母がペットショップで選びに選んだ貴公子アメショーちゃんなどと暮らしていましたので、その落差はあまりにも大きいと感じられたのです。
が、この子はとにかく頭が良く、ジャガイモを転がしておもちゃにしたり、お菓子のメリービスケットの小袋をくわえてぽーんと投げ、自分でダッシュして取りに行ったり…と、どんどん自分で遊びを開発します。
また、植物が大好きで、玄関に生けた花の中から毎日2回くらい必ず同じ特定の枝を引っこ抜いて床に落とし、「この枝ぶりが気に入らないの?」と家族を笑わせたり、鉢植えの草花を根こそぎひっくり返してめちゃくちゃにしたり…
生け花の勅使河原宏にちなんで「チャミ河原宏先生!」、植物学者の牧野富太郎博士にちなんで「牧野チャミ太郎先生!」と呼んだりしてやんやんやとかわいがっているうちに、何だか体からふんわりといい匂いがするようになり、そして顔もどんどんどんどんかわいくなっていった…と家族は思っているのでした。

          *

そんな我が家のアイドルチャミの誕生日祝いをしようと、「アルカション」でバースデーケーキを注文。
「お誕生日プレートのお名前はどういたしますか?」
「えーと、愛称なんですが‥チャミちゃんにしてください」
と思わず小声になる私でした。だってまさか猫の誕生日会とは言えず、あくまで「人間のお友だちへの誕生日ケーキです」というスタンスです。
「チャミーですか?」
「いや、音引きではなくて」‥と、緊張の余り思わず校正用語が出てしまい、普通の人には分からないって、と自分に突っ込み。
「“ミ”で止めて下さい」
「ちゃんはつけますか?」
「は、はい!」
多摩の名菓子店で挙動不審でした。
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しかし、そのケーキを、
「ほら、チャミ、見て、チャミのためのケーキだよ!」
とむりやり顔に近づけても、もちろん、デコレーションの葉にちょっと興味を示しただけ‥いいんです、これは猫バカのお父さんお母さんお姉ちゃんが食べるのだから。そして、人間たちがアルカションのケーキに舌鼓を打っている間に、チャミにもお誕生日ケーキを‥↓
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そう、煮干しです。とにかく煮干しが大好きなのは子猫の時からで、うっかり買い物から帰って来て煮干しの袋を出しっぱなしになどしておくと、食い破って15本くらいばりばり食べてしまうほどの大好物。
そんな煮干しを、ふだんは肥満防止のため2本ずつ、日に何回かに分けてあげているのですが、おめでたい誕生日ですから、一気に5本大サービス。バリバリと食べていました。
「これからもいっぱい遊びを考えて、煮干しもいっぱい食べて、一日でも長くお姉ちゃんのそばで暮らしてね、チャミ」
と話しかけると、頬っぺたに一回その小さな頭を、ごっつんとぶつけてくれるチャミなのでした。

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銀座の小さなカフェで、忙中閑あり 2015/07/22



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今日はお仕事が複数重なり、東京の街をあちらこちらへ。
合間の時間に今、銀座の小さな中国茶カフェ「掌」でほっと一息ついています。
1933年ものの普茸茶に、烏龍茶味の寒天ゼリー。汗がすっと引き、締め切り間近の原稿の言葉もすらすら浮かんで来ます。

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連休中、細胞について考えてみたり 2015/07/20



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SNSのタイムラインに上がるお友だちの楽しそうな休暇の様子を横目で見ながら、私はこの連休、複数の〆切を抱えて必死でPCと資料に向かっています。
特に大きな比重を占めているのが、或る健康関連企業様の広告物のお仕事で、もともと医学・生理学の知識がほとんどないため、クライアント様からレクチャーを受けたり様々な資料のページをあちらこちらと広げるなどして、何とか原稿へとまとめ上げている毎日です。

‥とは言うものの苦労ばかりではなく、やはりどんな分野でも、新しい知識を得ることは素直に楽しく感じます。
特に人体の免疫や代謝のシステムは、知れば知るほど何と精緻に出来ているのだろうと驚嘆することばかり。
自分の体が60兆個もの細胞から出来ていて、その60兆個一つ一つの中に更に小さな部位であるミトコンドリアさんが300から1000個もうようようごめていて酸素を取り込んでいたり、胃や小腸で分解された極小物質が筋肉やら肌になるために別の物質へと作り変えられていたり――などということを、本人が知らないうちに勝手にやってくれているのだと考えると、頭が下がると言うか何と言うか。
総合本部?であるこの西端真矢という人間は、もう少し何か、ミトコンドリアさんや熱ショックタンパク質さんやナチュラルキラー細胞さんたちの努力に見合うだけの何事かを成し遂げなければいけないのではないか?などと反省したりもしてしまうのでした。

そして、例えば仕事をしていたり遊びに出掛けたりしていると日々様々な人と出逢い、中には、この人、どうしてこうも仕事のカンが悪いのか? 或いは、どうしてもこうもコミュニケーションがおかしいのか?(例えばストーカー的な人など)…と、首をかしげざるを得ない人にも出会ってしまう訳ですが、そんな人々のその不調具合も、例えばそれが仮にAさんだとしたらAさんという有機体のごくごく表面の小さな一部分の不調であるに過ぎない。
Aさんの60兆個もの細胞さんやその中のミトコンドリアさんたちのほとんど総ては、しっかりと仕事を果たしていらっしゃるのだな、と知ると、何か少し優しい目と言うか、少なくともAさんの細胞の中の60兆×300個のミトコンドリアさんには親しみの気持ちを抱いてしまうのでした。
‥と、そんな、愚にもつかないことを考えながら、仕事の続きに励む私です。ではでは。

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人生をふわりと持ち上げてくれる音楽について 2015/07/17



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突然ですが、皆さんは、仕事をする時、音楽をかけるでしょうか?或いは文章を書く時は?大事なメールを書く時、仕事の重要書類を作る時、ブログを書く時はどうでしょうか?自分にとって大切なことをする時、音楽の力を借りる人はどのくらいいるものなのでしょうか?

文章屋として仕事をしている私は、実は、音楽に大きく助けられています。或る場合にはひどく左右されてしまっていると言ってもいいかも知れません。
特に人の情緒に訴えかけるような文章を書こうとする時は、その目指す情緒にふさわしい音楽が流れていることが、私には絶対に必要です。悲しみを表現しようとしている時にポップな音楽が流れていたら、一歩も前へ書き進められません。
とは言うもののメランコリーな曲なら何でも良いという訳ではなく、或る文章には演歌がふさわしく、或る文章にはクラッシクがふさわしく、また或る文章にはJPOPのあの淋しい曲が‥といったように、書こうとする「悲しみ」の質感にふさわしいとか感じる――あくまで私が主観的に感じるものですが――曲が流れていなければならない‥というこういう細かさは、私だけのこだわりではないと思っていますがどうなのでしょうか。
   
          *

とにかく、そんな訳なので、文章を書く前にまずは音楽を選ぶことに相当時間がかかってしまいます。
エリック・サティで始めたもののやっぱり何かが違うのでリンドストロームにチェンジし、それもやっぱりしっくり来ないのでBPM遅めのメランコリーなディスコダブに変えてみたもののやはりアコースティックギターのあの曲に…と何度もステレオと机の間を行ったり来たり。その間、ラップトップに打たれているのはたった一行半のだけ‥

こんな私なので、外のカフェで仕事をすることは絶対に不可能です。資料をぎっしり並べた本棚が後ろにないと安心出来ないということも原因の一つですが、もう一つ、この 「その時書こうとする気分」にぴったりとした音楽が店に流れている可能性が、限りなく低いためです。
友人のライターやエッセイストの中には、常にカフェで原稿を書いている人もいますが、私には絶対に真似出来ません。何だかノマド(死語?)でかっこいいな、とは思うのですが‥

          *

ところで、そんな私の「その時書こうとする文章にぴたりとする音楽」選びは、実は恥ずかしいほどに単純でもあります。
例えば中国について書いている時は中国箏の古典音楽を流し、日本の東北について書いているなら、東北っぽい(と私が感じる)演歌の曲、雨降る日の情景を書くエッセイなら雨を歌ったポップスに‥といった単純さ。
ところが雨の歌のCDを聴くことは数年に一度であるかないか、棚の中のどこにしまったのか分からなくなっていて、そのCDを探し当てるだけで優に1時間。そうだ、雨の曲だけを並べて音楽ファイルを作り、永遠ループさせながら書いちゃおう!と思いつくと更に1時間。もしも横で担当編集者の方が見ていたら、イライラと貧乏ゆすりが出る頃でしょう‥

          *

そんな中、私にとって鉄板と言えるCDがあります。
私がお引き受けするお仕事やブログへと書く内容の中には、人の深い情緒や複雑な思索に訴えかけるものもありますが、もっと気軽にフラットに、事実や情報、または日々の暮らしの中でふと気に留めた小さな出来事(今日の日記がまさにそうです)を伝えることを目的とするものも多くあります。そんな時、とにかくこのCDをかけてみれば何かしら言葉が浮かんで来てすらすらと原稿が書けてしまう、全くもって魔法のような一枚なのです。
今日のブログ冒頭の写真のCDがそれなのですが、アーティストは、Fantastic Plastic Orchestra。略称FPMと呼ばれる日本のDJ兼ミュージシャンです。
この方の「LUXURY」というCDは、おそらく2002年頃に出たもので、それ以来15年以上、私の「深刻過ぎない文章の気分」を整える手助けをしてくれていることになります。
BPM120から110あたりの速過ぎないリズムと、低俗に行き過ぎないメロディーライン。複雑な音色(おんしょく)‥どこをとっても趣味のいい曲が13曲並ぶ名盤です。
実は私は聴ける音楽の幅が人よりかなり狭く、特にへヴィメタル、トランスに至っては吐き気がすることもあります。三半規管が弱いことと何か関係があるのでしょうか。現代の趣味のいい音楽家のアルバムにはたいてい異ジャンルの曲が混在しているものですが、こんな風に私の耳の許容範囲が極度に狭いため、必ず「この曲はダメだ」という曲に当たってしまい、一々スキップをするのがわずらわしい。ところがこのアルバムには、そういう、耳に当たる曲が一曲もないのです。
特に2曲目の「There must be an angel (Playing with my heart)」と8曲目の「Lotto」に差し掛かる時私の脳の回転は限りなくなめらかに回り、言葉や文章の切れ端が、まるでDJがすっとレコードを送る時のように、頭から流れ始めます。まさに黄金の一枚としか言いようがありません。

不思議なことにこのCDは、部屋の片づけをする時にもしごく効率を高めてくれるように感じます。また、何の用事もない晴れた日曜日の朝、とりあえずもう一杯紅茶を飲んで本屋さんへ行こうかお風呂をぴかぴかに磨こうか、それとも写真でも撮ってみようかしらなどと考えている時のささやかな幸せの感覚を、最高度に盛り上げてくれるようにも思います。まるで燕尾服を着た目に見えない音楽の小人たちがステレオの後ろでビックバンドを組んで、私のために演奏をしてくれているように。
もちろん人生はいつも、このCDの気分がぴたりと当てはまる局面ばかりではありません。それでも、過ぎて行く日々と日々の間でふと一息をつく朝、あなたはどんな音楽を聴いているでしょうか?

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新しい紗紬届く 2015/07/11



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今年誂えた、新しい紗紬がお仕立て屋さんから届きました。
今、たとうの紐をはらりと解いたところです。
淡いグリーンをベースに、水色、白、紫、黄色の細縞。白は緯糸でも強調され、光の加減によっては格子柄にも見える一枚です。
さてさて、どんな帯を合わせましょうか‥

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きもの雑誌の打ち合わせに、浴衣をきもの風に着て 2015/07/07



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最近は仕事が本当に忙しくなっていて、なかなかブログの更新もままならない毎日です。
今日は夕方から婦人画報社にて、「いろはにキモノ」の企画会議でした。
そう、「いろは」は、今年も秋に皆様のお手元へと届きます。楽しみにお待ち下さいませね☆

この他に、「いろは」のお姉さん誌である「美しいキモノ」本体のお仕事や、他にもきもの関係のライティングのお仕事(もうすぐ発表になります)、或る企業様の広告物のお仕事(これは染織関係以外の分野)、そして、本の執筆のための資料読みや取材…と、もう目が回りそうな毎日です。

そんな次第なのでこれから夏いっぱいは、短めのブログが精一杯となりそうですが、短いながらも日々気づいたことや、きものコーデをちょくちょく更新して行きたいと思います。時々覗きにいらしてください!

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今日のきものは、浴衣に襦袢を着てきもの風に。
帯は、友人が開いてくれた「セレブマダムの箪笥からはみ出してしまったおきものをお安く分けて頂く会(≧▽≦)」的な会で購入した羅のなごやです。
辛子色の冠組帯〆を挿し色にして、帯揚げは芝草模様の絽の一枚を。
‥さて、これからまた原稿に向かいます!

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