西端真矢

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クロワッサン「着物の時間」ちぇらうなぼるた店主 大山和子さんの着物物語を取材しました (2024/01/30 )
久し振りの茶事と新しい数寄屋袋(きものコーデ付き) (2023/05/31 )
誕生日にちなんだ帯に出会うこと (2023/05/19 )
岡田知子さん個展『物語絵』へ (2023/05/12 )
「道明」神楽坂新店舗「Kumihimo Experience」内見会へ (2023/05/09 )
新しくなった「染織工芸 むら田」へ【きものコーデ付き】 (2023/04/26 )
久々着物コーデ日記+岡田知子さん「着物の時間」登場! (2021/11/21 )
久々にきもので外出。「美しいキモノ」春号の取材へ!取材したのは、染織愛に満ちたきものバッグブランド誕生物語。 (2021/02/23 )
過ぎゆく夏を惜しんで、夏の妄想きものコーディネイト (2020/08/30 )
速報!東博「きもの」展報道内覧会~きものコーデ付き (2020/06/29 )
stay home 新誂えの江戸小紋で、インターネット茶会に参加の巻(コーディネイト付き) (2020/05/15 )
延期決定・東博「きもの」展を応援しよう!企画総責任者・小山弓弦葉さんを取材しました (2020/04/03 )
夏と冬、歌舞伎観劇の日のきもの (2020/01/23 )
江戸小紋を誂えに、廣瀬染工場へ。 (2019/12/29 )
青山に、きれいな、きれいな紬布を見に行って。 (2019/11/08 )
一枚のきものと別れる日 (2019/11/01 )
改元のゴールデンウィーク、「東京キモノショー」と日本橋散歩 (2019/05/04 )
浅草「辻屋本店」でクリーム色の草履をお誂え+コーディネイト日記 (2019/02/21 )
花鳥の柄の訪問着で、遠州流お家元の初釜へ。そして事件が‥! (2019/01/22 )
きものコートおあつらえ物語 (2018/12/27 )
週末は、新作狂言舞踊会と旧白洲正子邸でのお茶会へ(着物コーデ付き) (2018/10/29 )
映画「日日是好日」プレミアム試写パーティーへ(新しく購入の礼装帯締めきものコーデ付き) (2018/10/05 )
三重県「椿大神社」へ、奉納舞いを拝見に(きものコーデ付き) (2018/09/30 )
新しい草履と帯締めで歌舞伎座へ。新作「幽玄」のことも (2018/09/23 )
新しく草履を誂えて、そして「履物の好み」について考える(きものコーデ付き) (2018/08/29 )
廣瀬染工場100周年記念展覧会へ (2018/08/13 )
お花とお茶の週末(きものコーディネイト付き) (2018/07/02 )
神楽坂で小さなきものの会を始めました (2018/04/10 )
立春の日に初釜へ(きものコーディネイト付き) (2018/02/06 )
初釜と書き初めの日のきもの (2018/01/11 )
「クロワッサン」誌にて、常盤貴子さんの"着物の時間"を取材しました。 (2017/12/25 )
丹後より、帯揚げ届く(相当かわいい♪) (2017/12/08 )
織りと染めの工房をめぐる丹後旅行記~~2泊3日着物着回しコーデ付き (2017/11/30 )
盛夏~秋の初めのきものコーディネイト振り返り日記(絽・紗紬5コーディネイト) (2017/09/07 )
7月前半の着物コーディネイト四つ(絽、紗紬、絹紅梅) (2017/07/20 )
夏本番、浅草に、白木の下駄を新調に (2017/07/06 )
青山で、武士の精神とファッションを写し出した写真展を見る(着物コーディネイト付き) (2017/06/18 )
蛍ぼかしの着物で、出版祝いランチ会と蒔絵展へ (2017/06/16 )
大島の単衣で母校へ。茶道「宗徧流」家元のご講演を拝聴に。 (2017/05/29 )
歌舞伎、紅衣新作展、東京キモノショー、お食事会に水色の小紋で (2017/05/05 )
「東京キモノショー」開幕。訪問レポート! (2017/04/29 )
頂き物の着物と水屋着で、社中の茶会。お床の花を担当の巻。 (2017/04/27 )
中村勇次郎訪問着で、GINZA SIX内覧会へ。 (2017/04/18 )
着物で青梅へ。「鷹取麻利子友禅染」展と青梅の美しい枝垂れ桜 (2017/04/13 )
熱海MOA美術館へ、きものでお能を観劇に (2017/02/16 )
クロワッサン「着物の時間」にて、漫画家の桜沢エリカさんの着物ライフヒストリーを取材しました。 (2017/02/08 )
久しぶりに「道明」へ (2017/01/24 )
モダンな付下げで、初春歌舞伎「しらぬい譚」へ (2017/01/18 )
「歳寒三友」柄の帯で、「竺仙」の展示会と新年食事会へ (2017/01/17 )
裾濃の訪問着を、帯二本で着回し~~万之丞襲名公演と初釜へ (2017/01/16 )
着付け道具はかわいくなきゃダメ?~茶色の紬に黄色の染め帯で「ゑり正」の東京出展へ。 (2016/11/27 )
中井美穂さんとお母様の着物物語を取材しました~クロワッサン「着物の時間」にて (2016/11/25 )
友人のお祖母様のろうけつ染め小紋を頂き、お茶の稽古へ (2016/11/10 )
結城紬のふるさとへ(着物コーディネート写真付き) (2016/11/08 )
銀杏の小紋でお箏の演奏会に (2016/10/23 )
紬の単衣小紋で、吉祥寺散歩♪ (2016/09/29 )
銀座もとじに蚕3千頭がやって来た!+伊達政宗展+歌舞伎座な一日 (2016/09/23 )
きものサローネ開幕! (2016/09/17 )
「出雲織一門展」、行って来ました(於・外苑前「イトノサキ」) (2016/09/15 )
白地の絽の小紋を、帯2本で着回し♪ (2016/08/30 )
夏風邪と、押入から出て来た新しい帯地 (2016/08/13 )
トークショー出演の日のきもの~あやめの絽の小紋で~ (2016/07/24 )
「美しいキモノ」オリジナル髪飾り打ち合わせに単衣の大島で (2016/06/09 )
江戸小紋で茶会手伝い&しょうざん生紬訪問着で展覧会拝見の日のコーディネイト (2016/05/17 )
出版社の創業百周年パーティーへ、祖母作の露草柄の訪問着で (2016/05/14 )
「花想容」十周年展へ、黄色の大島単衣で (2016/05/11 )
錦織の龍村光峯展へ、新しい江戸小紋(廣瀬雄一作)と帯(祖母作)で (2016/05/05 )
新しい帯揚げ (2016/04/19 )
洗い張りですっきり蘇った大島に紙布帯で、打ち合わせへ (2016/04/06 )
個性的なしゃれの訪問着で、「日本刺繍紅会 東京展」へ (2016/03/30 )
蛍絞りの紬きもので、打ち合わせに (2016/03/21 )
「美しいキモノ」春号にて、二つの取材記事を担当しました。 (2016/03/06 )
「美しいキモノ」編集部にて、女子会のような楽しいミーティングで話し合ったのは‥? (2016/02/27 )
絣のきものに、歳寒三友柄の染め帯で打ち合わせへ (2016/02/22 )
道明の新ビル完成内覧会へ、道明の新作帯〆を締めて (2016/02/07 )
お正月らしいにぎやかな染め帯で、「美展」へ (2016/01/24 )
総絞りのきもので、「立合狂言会」へ (2016/01/20 )
なりきり「美しいキモノ」表紙パネル、やってみました♪ (2016/01/14 )
祖母が染めた貝桶柄の訪問着で、お家元の初釜へ (2016/01/14 )
扇文様の小紋で社中の初釜へ (2016/01/12 )
新年のお出掛けきものを選んでいたら、緑系ばかりの巻 (2016/01/05 )
新しい草履(「神田胡蝶」製)と、新しいバッグ (2015/12/10 )
山口組司忍組長、久々にカメラの前に登場‥の日のきものを分析 (2015/12/08 )
菊柄のしゃれ訪問着で、日本舞踊の会と銀座三越「和ヲ服スル ススメ」展へ (2015/11/23 )
紬のきもので古文書講座へ (2015/11/20 )
銀杏の小紋でパーティーへ (2015/11/10 )
縞のきもので青山「イトノサキ」へ。吉田美保子さんのかわいい帯を拝見 (2015/10/28 )
桐生のきものに米沢の帯で友人の写真展へ、そして新潟へ (2015/10/27 )
きものサローネ3日間きものコーデと、運営に携わった雑感を少し (2015/10/14 )
きものサローネ3日間に着るきもの決定!の巻 (2015/10/06 )
山口組分裂!‥きもの好きと噂の司忍組長をきものファッションチェック! (2015/09/08 )
サローネに向け、「カレンブロッソ」で立ちっぱなしでも疲れない草履購入の巻! (2015/09/03 )
夏の終わり、厚地の浴衣に帯違いで、大田楽と八芳園夏祭りへ (2015/09/02 )
2015きものサローネ、始動~~私もスタッフで参加しています (2015/08/24 )
新しい紗紬でお墓参り+「三蛙会」書道展へ (2015/08/17 )
きもの雑誌のお仕事で、養蚕農家の取材へ (2015/07/31 )
自分史上相当気に入りコーディネイト (2015/07/30 )
新しい紗紬届く (2015/07/11 )
きもの雑誌の打ち合わせに、浴衣をきもの風に着て (2015/07/07 )
喪の日のきものと、厳しかった大学時代恩師の思い出(コーディネイト写真付き) (2015/06/19 )
「美しいキモノ」きもの着姿投稿サイト開始☆私も週末の単衣コーディネイトを二つ投稿してみました (2015/06/01 )
「わーと日本橋」200体きものコーディネイトちら見せ+くまもん羽織袴姿+お茶菓子、山口源兵衛コレクション (2015/05/07 )
大型きものイベント「わーと日本橋」訪問レポート(きものコーデとお買い物戦利品写真付き) (2015/05/03 )
創業103年の履き物店「辻屋」さんを訪問。商品ディスプレイと顧客心理について考えた夜 (2015/04/30 )
モダンな付下げで根津美術館レセプションへ (2015/04/23 )
「道明」の新ライン「DOMYO」誕生レセプションへ――「伝統」と「変革」、「継承」について考えた夜 (2015/04/16 )
「蝶」の字をデザインした楽しい帯に紅花紬で、美しいキモノ・アカデミーへ (2015/04/13 )
廣瀬雄一さんの江戸小紋をあつらえに (2015/04/03 )
桜の江戸小紋に、羽織からリメイクした絞りの帯で (2015/04/01 )
awai 紅子さんの旅立ちに寄せて(紅子さん、私、エビ先生のコーディネイト写真付き!) (2015/03/24 )
旧友と和食レストランでお食事‥に桜を意識したきものコーデで (2015/03/22 )
新しく購入した桐生絞りのきもので、展示会に (2015/03/12 )
伝統茶会と現代きもの (コーディネイト写真付き) (2015/02/28 )
総絞りのきもので歌舞伎座へ (2015/02/10 )
新しい半幅帯で針供養に…が、ちょっとハプニング! (2015/02/09 )
「美しいキモノ」の道明講座見学レポート(コーディネイト写真付) (2015/01/25 )
忍法洋服隠れの術~~きものと洋服で全く印象が違うことについて(写真比較付) (2015/01/20 )
祖母が染めてくれた華やかな付け下げ小紋で、初釜へ (2015/01/12 )
「道明」を訪問。道明先生とランチ、の日のきもの (2014/12/28 )
村山大島紬に染め帯でお茶のお稽古へ (2014/12/18 )
クリスマスパーティーに絞りの訪問着で (2014/12/09 )
日本の新しい麻布「麻世妙」お披露目パーティーに、しょうざんの訪問着で (2014/12/08 )
一泊二日きもので名古屋旅行 (2014/11/27 )
ジャパン・ブルーが生まれる場所――徳島の藍職人・佐藤昭人さんを訪ねて (2014/11/19 )
きものサローネ、最終日の昨日も行って来ました! (2014/11/14 )
きものサローネ、行って来ました&明日も行きます! (2014/11/12 )
単衣と袷、二枚の縞柄きものコーディネイト (2014/10/20 )
金木犀のきものでレストランへ (2014/10/16 )
備後絣(木綿きもの)で和裁所へ (2014/10/12 )
ホテルでの立食パーティーに華やかな小紋で (2014/10/05 )
浴衣でお食事会へ…コーディネイト失敗の巻 (2014/08/29 )
押入れから見つけた祖母の手染め布、帯にする?鞄にする? (2014/08/26 )
モダン茶会に浴衣で参加…の日のコーディネイト (2014/08/22 )
頂きもののきものに新品の帯を締めて、服飾史講座へ (2014/08/05 )
白地の浴衣で、“東京二大水羊羹食べ比べ会”へ (2014/07/29 )
「美しいキモノ」アカデミー出席の日のきもの (2014/07/24 )
黒地の浴衣に麻の半幅帯で、BBQパーティーへ (2014/07/21 )
色無地のきもので茶会へ (2014/07/09 )
婦人画報社の浴衣デーに参加しました! (2014/07/04 )
絽のきもので寛永寺見学ツアー記(篤姫のお墓も参拝!) (2014/07/02 )
きものの展覧会「たくみ」展鑑賞と、その日のきものコーディネートご紹介 (2014/06/10 )
「美しいキモノ」連載第2回掲載!+しょうざん訪問着で出かけた日のコーディネートご紹介 (2014/05/20 )
きもので歩く倉敷・岡山の旅(後篇)~~倉敷民芸館・岡山城・倉敷の雑貨やお菓子など (2014/03/18 )
全日程きもので回った倉敷・岡山四日間の旅(前篇)~~きもの好きの方も、旅好きの方もお楽しみください! (2014/03/16 )
紅花染め、エメラルドグリーンの総絞り、小糸敏の型染めなど、おきものコーディネートまとめて五つ日記! (2014/03/04 )
「美しいキモノ」にて連載スタートしました! (2014/02/20 )
伊勢丹会員誌にて、注目の職人さんを取材・執筆いたしました! (2013/12/30 )
秋のきもの日記~~その三 場所に合わせて、お出かけスタイル三つ (2013/12/09 )
秋のきもの日記~~その二、“上田紬の工房訪問の日”のきもの (2013/12/08 )
秋のきもの日記~~その一、季節の柄で出かけた日のコーディネート三つ (2013/12/07 )
両手にきもの男子の夜 + 桐生の新作反物・帯展へ行って来ました~~久し振りのきもの日記は二つの話題で♪ (2013/11/13 )
宇野千代自伝『生きて行く私』に見る股のゆるさと宇野千代きものについて (2013/11/04 )
きものスタイルマガジン「いろはにキモノ」発売!私も3企画を担当しました (2013/10/24 )
【動画付き!】江戸着物ファッションショーを振り返って思うこと (2013/09/18 )
夏の思い出、絽のコーディネート二つ (2013/09/12 )
「季刊きもの」誌で私のきもの生活を紹介して頂きました (2013/09/08 )
江戸着物ファッションショーの日の私の着物 (2013/08/30 )
「美しいキモノ」で採り上げて頂きました♪ (2013/08/21 )
江戸着物ファッションショー、キャンセル待ちなど最新空席情報 (2013/07/03 )
家康の孫娘が着た着物が、7月7日、浅草に登場!その着物の画像をご紹介します。 (2013/06/27 )
江戸時代の日本髪、完全再現を目指す稽古場を訪問 (2013/06/26 )
染織の名門“しょうざん”の単衣+組紐帯“ひなや”の帯でウェブTV出演 (2013/06/25 )
江戸着物ファッションショー、当日モデルが着用する江戸着物を一枚ご紹介 (2013/06/13 )
ラジオ出演の日の着物 (2013/06/10 )
江戸着物をまとい、女たちが現れる。“江戸着物ファッションショー”開催のお知らせ (2013/06/03 )
【お詫び】着物イベント、発表は来週に (2013/05/31 )
紅花紬に藍色の染め帯で、倉敷へ (2013/05/30 )
山形、やさしい色合いの紅花染め紬に紅型帯で (2013/05/29 )
お茶会、水屋当番の日の着物 (2013/05/23 )
帰って来た着物日記~~人間国宝・中村勇次郎作訪問着 (2013/05/14 )
久々に着物日記。秋のお着物コーディネート5連弾! (2012/11/17 )
晩夏の夜、夏の着物で最後のお出かけ (2012/09/10 )
偽おはしょりの作り方! (2012/09/01 )
四国・保多織りの浴衣で、友人の書を見る (2012/08/09 )
昼顔の絽のお着物で、浅草散歩 (2012/08/01 )
珍しい、蝶の文様の浴衣でお出かけ (2012/07/26 )
今年作った藤色ぼかしの着物、帯を変えて (2012/07/12 )
藤色ぼかしの着物で打ち合わせへ (2012/07/11 )
着物スタイリスト・大久保信子先生のトークショーへ…の日の着物 (2012/07/04 )
柄on柄 着物ならではのコーディネートで (2012/06/20 )
1000円で!買った着物で浅草へ (2012/06/06 )
立食パーティーの日の着物+新宿のシェアオフィス (2012/05/08 )
お茶会二日間の着物 (2012/05/05 )
お茶席に、貝合わせ文様の訪問着で (2012/02/22 )
大寄せの茶会に、松の小紋で~~少し地味な小紋を華やかな帯で若返らせる (2012/02/07 )
大好きな梅の小紋、今年は帯締めを換えて (2012/01/11 )
冬至の室礼でお食事会、の日の着物 (2011/12/22 )
半衿付け、したい。 (2011/12/14 )
江戸小紋に菊の帯で仕事の打ち合わせへ (2011/12/12 )
江戸小紋尽くしの帯でギャラリーへ (2011/11/08 )
村山大島紬作り・体験講座レポート (2011/10/18 )

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クロワッサン「着物の時間」ちぇらうなぼるた店主 大山和子さんの着物物語を取材しました 2024/01/30



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マガジンハウス「クロワッサン」での連載「着物の時間」、今月は、青山のリサイクル着物店「大山キモノ ちぇらうなぼるた」店主 大山和子さんの着物物語を取材しました。
かつて表参道の真ん中辺りにあった真っ赤な柱の中華風の骨董店「オリエンタルバザー」をご記憶の方も多いかと思います。その二階にあった古裂店「大山キモノ」が、「ちぇらうなぼるた」の前身。大山さんのお母様が、戦後間もなくから始めました。
母から娘へ、二代に渡る物語を取材しました。ぜひご高覧ください。
第一特集「反り腰、巻き肩、スマホ首」も必見です!
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久し振りの茶事と新しい数寄屋袋(きものコーデ付き) 2023/05/31



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先週、大切な友人に茶事にお招きを頂きました。
茶事に参加するのは4年か5年ぶりのことで、懐石の頂き方を忘れてしまっているため不安もありましたが、まったくカジュアルではないものの、やや軽めの茶事、とのことで、安心して参加致しました。
友人宅には茶室があるのですが、お子さんが小さいこともあり、今回は青山骨董通り「即今」での茶事。金森宗和流のお家元が運営されている茶室で、「根津嘉一郎が商談の後、スーツからさっと着物に着替えてお茶を点てるように」、現代人が茶の湯を楽しめる茶室というコンセプトを掲げています。
裏の厨房で懐石を頼むことが出来(美味しかった!)、お道具もお軸からお茶碗まですべてが揃っていて好きなものを借りることが出来るそうです。
もちろん、すべて自前のお道具を持ち込んでもOK。お釜や風炉は重量があり運搬が大変ですから、貸してもらえたら助かりますよね。すごい場所が出来たものです。
連客の皆様との会話も楽しく、友人の不昧流のお点前もきりりと美しく、お道具組にもほほうとうならせられ‥。本当に楽しい初夏のひと時でした。
     *
私のきものは、淡みかん色からグレーへと裾ぼかしに染めた訪問着。左上の、生地に寄った写真のように、目立たないのですが、白上げで流水模様が染め抜かれています。
帯は、先月も締めた河合美術織物の匹田絞り模様の袋帯に、道明の紫×金の笹浪組。淡紫色の綸子地の帯揚げを入れています。
     *
この日は、新しい数寄屋袋を下ろしました。右下の写真、「染織工芸 むら田」で購入したジャワ更紗の数寄屋袋です。150年ほど前の裂だとのこと。ちょうど口の所に白地の一幅が出るよう仕立てられているのが、さすがはむら田さんのセンス。さりげなく自慢しいの気持ちで手にしておりました。   
     *
やはりお茶は楽しい!
あまりの自分の不器用さに嫌気がさし、近年、自ら点前することへの情熱はすっかり薄れてしまっているのですが、もっぱらお客道?を楽しむというあり方もあって良いのかなと思っています。


誕生日にちなんだ帯に出会うこと 2023/05/19



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今年の初め、とても個性的な帯との出会いがありました。
鮮やかなコバルトブルーの地に、白い象と、その象が引く天蓋付きの車。車には女性が乗っていて、周りには花々が咲き鳥が舞い、楽園のよう。きもの好きなら一目で、大彦、或いは大羊居のものと分かる筆致です。
出会ったのは、取材先のきもの店でした。その場で目が釘付けになり、帰宅してからも忘れられず、お店に連絡してお迎えすることにしました。大羊居の塩瀬名古屋帯です。

この帯に惹かれたのには理由があります。
白象、女性と来れば、ピンと来る方もいらっしゃるでしょう。「白い象の夢を見た翌日に、お釈迦様を生んだ」という伝承。お釈迦様の母親である摩耶夫人と、白象を描いていると思われるのです。

実は、私の誕生日は、四月八日。お釈迦様の誕生日です。
もともと出産予定日は三月二十八日だったのですが、よほど母のお腹の中が居心地良かったのかなかなか出て来ず、ようやく四月八日に生まれました。両親は三月終わりに生まれるものと思っていた時から「まや」と名づけるつもりだったので、偶然摩耶夫人にゆかりの四月八日に生まれたことに驚いたそうです。
‥‥そんな話を子どもの頃から聞かされていたので、私自身も白象に強い親近感を抱いて来ました。繰り返し繰り返し読んだ『おしゃかさま』という漫画絵本があり、そこにはこんな絵もありました↓
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白い象が引く天蓋付きの、馬車ならぬ象車。
今回出会った帯はまさしくこの世界が帯になっていて、しかもお店のご主人によると、仕入れたのはずいぶん昔とのこと。きっとこの子はずっと私が来るのを待っていたに違いない!と、お迎えせずにはいられませんでした。

そんな帯を、早速締めてみたコーディネイトが下の二枚の写真です。
母の介護で引きこもっていた四年間を埋めるように、この春はお友だち行脚を続けているのですが、そんな会食の折に着て行きました。
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↑大学時代の友人と会食の日は、白大島に合わせました。お太鼓に負けず劣らず腹側の絵もとても強い力を放っているため、拮抗する帯締めを、と、道明の若草色と茶の筋の笹浪組を合わせてみました。とても気に入っているコーディネイトです。
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↑また別の日は、ベージュ地の斜め格子柄小紋に合わせて。
この日は、染織研究家の吉田雪乃さんと午後お茶に。雪乃さんが以前プレゼントしてくださった桜染めの帯揚げが、まさに四月八日という帯の季節とピッタリ。最上の組み合わせになりました。
前帯は、この日はもう一方の面を出しています。こちら側の方が図柄の数が少ないため、細身の冠組を入れました。道明の「麹塵」です。
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↑雪乃さんと記念写真。楽しくてニコニコしています。

ところで、この帯と出会ったお店とは、青梅の老舗きもの店「白木屋呉服店」さん。
「美しいキモノ」での私の連載「美の在り処」のために訪ねました。その記事のご紹介は、また別の日に!

岡田知子さん個展『物語絵』へ 2023/05/12



昨日は青山「イトノサキplus」にて開催中の岡田知子個展『物語絵』に伺いました。
イラストレーター、挿画家である岡田さんとは「美しいキモノ」のお仕事で知り合い、今ではカフェで何時間もお喋りが止まらない、大の仲良しの友人としておつき合いしています。
今回の個展は、『赤ずきん』『親指姫』『セロ弾きのゴーシュ』『ハーメルンの笛吹き男』『長靴をはいた猫』『山月記』などなど、誰もが知る童話の一場面を切り取った作品を集めたもの。幼い頃に迷い込んでいた物語の世界が、鉛筆と淡い水彩によって、額縁の中で再びがたごとと動き出します。
会場の様子はこちら↓
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一作、一作、それほど大きくないサイズだからこそ、とても親しく感じられるのです。

会場にて、岡田さんと↓
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そして、私も一作、お迎えすることにしました!
下の写真で手に持っている額縁がそれです↓
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子どもの頃大好きだった、『ブレーメンの音楽隊』の一場面。「見捨てられていた小さな子が、やがて運をつかみ幸せになる」系統のお話が異常に好きで、自分でも空想の物語を作ったりしていて。
『ブレーメンの音楽隊』もまさにその系統のお話。しかも痛快な風もある。その痛快場面がこうして絵になっているのですから、お迎えせずにはいられません!

私のきものは、こちら↓
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淡い黄色地、細い横縞模様の単衣の大島に、蝶を大きく型染した塩瀬名古屋帯。祖母の作品なのですが、この配色がとても好きで、特に気に入っている一本です。
帯締めは、道明の「麹塵」色の冠組。帯揚げは、麻の葉模様に小さな絞りがポツポツと散っているもので、ゑり正製。淡いクリーム色の草履は、浅草の辻屋さんで一から誂えたものです。

岡田知子個展『物語絵』は、「イトノサキplus」にて、5月14日まで開催。
住所は、港区南青山4-1-5 KFビル3F 外苑前駅から徒歩5分ほどです。
ぜひ足を運んでみてください!

「道明」神楽坂新店舗「Kumihimo Experience」内見会へ 2023/05/09



一週間ほど前のことになりますが、道明の新店舗オープンの内見レセプションに伺いました。
新店舗の所在地は、神楽坂。道明神楽坂店、といった名称を想像していたのですが、まったく予想を裏切られ「Kumihimo Experience by DOMYO」という名称です。
まずは外観をご覧ください↓
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江戸時代前期から続く老舗中の老舗の道明ですが、外観は現代アートギャラリの趣です。十代目当主の道明葵一郎さん自らによる設計とのこと。(葵一郎さんは十代目を継がれる前は建築家として活躍されていました)
店内も、下の写真のように、現代アートのギャラリーを彷彿とさせるスペースです。
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‥‥あれ?帯締めがない?と思われる方も多いかと思いますが、そうなのです、こちらの店舗では英文字の「DOMYO」ラインを展開しています。以前でもこちらのブログでご紹介したことがありますが、組紐の技術とデザインをベルトやイヤリング、ブレスレットなど、洋装の小物へと変換したラインです。
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↑たとえばショップの女性はこんな風にベルトを着こなしていました。こちらは奈良時代からある組み方だと思いますが、こんな風にまったく違和感なく現代的なリボンベルトにデザインされていてとても素敵。私は洋服のファッションも大好きなので、ほしくなってしまいました。
また、こんなコーナーもありました↓
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畳敷きの小上がり。この日は糸の展示がされていましたが、今後はここに組紐台を並べ、組紐のワークショップを開くそうです。たとえば、組紐のバレット作りが予定されているのだとか。さ、参加したい!
また、写真の右側に水道のシンクが映っているのが見えるかと思います。こちらでは、糸染めのワークショップを行うとのこと。道明のお品が素晴らしい理由の一つに、糸の発色があると思います。その糸染めを体験出来る、稀有なワークショップとなりそうです。
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↑2階は、道明が長年主宰して来た組紐教室のお教室(これまでの生徒数累計は万単位です!)。この日はその先生方が、丸台、高台、綾竹台の実演をされていました。ワークショップで組紐の面白さに目覚めた方は、ここの教室に通う‥ということも出来ますね。
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↑ご挨拶をされる道明葵一郎社長。戦国大名博士だという坊ちゃんも一緒です。
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↑そして‥先代夫人であり、服飾史家である道明三保子先生。また、大久保信子先生にもお会い出来ました。大好きな両先生との記念写真です!
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↑上の写真を撮ったのは地下一階で、ソファやテーブルが置かれたラウンジスペースとなっています。モダンな茶室も併設されていました。

   *

私のきものの詳細もご紹介します。この日は、祖母が染めた貝桶柄の訪問着を着ました↓
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↑貝桶模様の中に組紐が描かれているため、迷わず択びました。三保子先生をはじめ道明の皆様にこれまで親しくして頂いて来ましたが、これからもずっとご縁が結ばれていくように、という思いも込めています。
帯周りはこちら↓
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着物の地紋は、紗綾型の本紋。帯は、もっと模様がぎっしりと入ったものも考えたのですが、この日の主役はあくまで道明さんの新店舗。あまりにぎにぎしくせず控えめに、と匹田絞り模様を淡々と白の糸で織り上げた無地に近い一本を択びました。河合美術織物製です。
そして、帯締めはもちろん、道明。淡い紫と、金糸も少し入った笹浪組です。コロナ前に三保子先生から頂いたもので、ようやく今回締めることが出来ました。

    *

この神楽坂の新店舗は、店員の皆さん全員が英語に堪能とのこと。インバウンドのお客様も積極的に受け入れ、組紐の面白と現代的なファッション性を世界に発信していくという強い意志がみなぎっています。外国のお友だちを連れて行っても楽しいし、もちろん私たち日本人にとっても、組紐を様々に体験=experienceする場所となりそうです。皆様もぜひ訪ねてみてください!

新しくなった「染織工芸 むら田」へ【きものコーデ付き】 2023/04/26



「銀座 むら田」として長年親しまれて来た「むら田」さんが渋谷に移転され、「染織工芸むら田」として新装開店されました。
「美しいキモノ」での連載「美の在り処」で長期にわたり取材をさせて頂き、すっかり店主あき子さんのファンになった私。先週、内見会のご案内を頂き、早速ご挨拶に伺いました。
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上の写真は、新店舗の前であき子さんと。嬉しくて満面笑顔になっている私と、この日は抽象画を思わせる柄行きの素敵な帯を締めていらしたあき子さん。
むら田さんはきものや帯にとどまらず、世界各地の染織品のコレクションでも知られるお店。銀座より広くなった新店舗では、常時そのコレクションを展示するとのことで、現在は、季節にちなみ、筒描き友禅で鯉を描いたのぼりが店内と入口に展示されています。
上の写真で、私の横に掛かっているものがそれ。幕末か明治初期頃の作とのことで、当時、大店などの店先に、鯉のぼりと同じ意識で掛けたのだろうということでした。
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店内の様子も何枚か撮影しましたのでご覧ください。時代物の箪笥や棚がそこここに配され、新しい内装なのですが、とても落ち着ける空間でした。
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上の写真、和室の小間の奥に掛かっているのは、もう一枚の鯉の筒描きのぼり。手前に掛かっているのは、ブータンの時代裂です。
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お店の入口床には、あき子さんのお父様であるモザイク作家板谷梅樹氏の作品が。店内では他にも板谷梅樹の作品を見ることが出来ます。
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上の写真、右側に、ちらりと窓が映っているのがお分かりいただけるでしょうか。その向こうに坪庭があり、緑と外光を楽しめるのが、新しいむら田の銀座時代とはまた違ったチャームポイントです。今はまだ植栽を進行中。これからどんなお庭になって行くのか、とても楽しみです。
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私のきものは、亀甲絣の白大島。この日はとても暑い日だったので、迷わず、大島!でした。
合わせた帯は、父方の祖母の家の押し入れから出て来た、型染の紬の反物を仕立てた名古屋帯。父方の祖母は超真面目で質素、およそおしゃれとは無縁な人だったので、華やかな反物が出て来て驚いたものです。
もしかしたら、型染をしていた母方の方の祖母がプレゼントしたものかなとも思うのですが、娘の嫁ぎ先に贈るとしたら、もっと古典的な柄を染めただろうと思われ、謎に包まれた帯となっています。四角四面、謹厳実直、質素倹約な父方祖母が、実はこっそりと華やか反物を買って眺めていた可能性も???いや、ないな‥‥。
とにかくなかなかかわいらしい帯なのでしめしめと仕立て、この日、初下ろししました。帯揚げは道明の万能色、練り色の冠組ですっきりと。
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この日はむら田さんで素敵な小物との出会いもありました。
上の写真、ソメイヨシノで染めたというストール。ちょうど長年愛用していたきもの用のストールが盛大に虫に食われ、泣く泣く廃棄したところだったので、飛びついて購入致しました。
他にも水色や玉子色もあって大変迷いましたが、あき子さんのお見立てで、こちらに。草木染ならではの優しく透明感のある色を、何度も嬉しく眺めています。
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そしてそして、何と、先日の原稿の記念に、と、あき子さんから帯揚げを頂いてしまいました。
あき子さんはお店のお休みの日などに折々草木染をされていて、こちらも、手ずからによるザクロの下染め+ログウッド染めによる板締めの一枚です。やはり草木染ならではの優しい黄色と灰色、緑の部分もあり、どこか抽象画を見ているようで。着姿の画竜点睛となりそうな、そして、何よりあき子さんの手によるものだということが、本当に本当に嬉しいのです。

‥‥と、そんな、新しい「染織工芸 むら田」の住所は、渋谷区東4-12-29。渋谷と恵比寿のちょうど中間地点ほど、國學院大學の裏手に位置します。
私は、行きは渋谷からタクシー(約7、8分)で、帰りはバスに乗ってみました(10分ほど)。都心とは思えないほど静かな住宅街の中にある、染めと織りの宝石箱のようなお店です。皆様もぜひ訪ねてみてください。

久々着物コーデ日記+岡田知子さん「着物の時間」登場! 2021/11/21



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コロナ禍の中、好きな着物もほとんど着ることもなく過ごして来ましたが、感染状況が落ち着いている最近、久々に二回、着物で出かけました。
上右の写真が、そのコーディネイトの一つです。秋口、まだ単衣の時期だったので、茣蓙目模様の江戸小紋に、ろうけつ染で紅葉などを染めた木綿帯を合わせて。父の知人のお母様が染めたものを頂いた一本です。

この日出かけたのは、マガジンハウス「クロワッサン」の連載「着物の時間」の撮影に立ち会うため。
‥と言っても、ふだんなら、私は取材も行って本文の執筆をしますが、この日は自分の回ではなく、もう一人のライター、大澤さんが担当される回。そこに、私のお友だちのイラストレーター・岡田知子さんを推薦してご登場頂くことになったため、立ち合いだけいたしました。自分の回に出て頂いても良かったのですが、ふだんから親しくしていて関係が近過ぎるので、取材も原稿もぐだぐだになりそうで。他の方に取材して頂いた方が良いと思ったのでした。

その「クロワッサン」が、現在、発売されています。
左上の写真の通り、岡田さんは、紅葉を思わせる茜染めのお着物で登場。着物の“着方”に関する、なるほど!と膝を打つお話などされているので、ぜひご高覧ください。
実は、岡田さんは、先ごろ『きもの語辞典』を上梓されました(右下写真)。ご自身の素敵なイラストとともに、辞典の形式で着物にまつわるあれこれをコラム風に解説するという、異色の一冊です。肩肘張らずに気軽に読みながら、正しい知識を得られるすぐれもの。ぜひ皆さんも手に取ってみてください。美容院やカフェを経営されている方は、お店に置いておくとお客様がぱらぱら読まれて楽しいかと!

さて、左下の最後の一枚は、また別の日の外出のコーディネイト。
遠州流本部様にご招待頂き、小堀早実お家元と熊倉功夫さん、ロバート・キャンベルさんによる、茶の湯に関するシンポジウムを聞きに行った日のもの。熊倉先生の基調講演が秀吉と茶の湯に関する内容だったので、秀吉の家紋である桐模様の帯を締めてみました。祖母が染めたものです。着物は、昨年広瀬雄一さんの所で作った斜め格子柄の小紋を。

着物で出かけると、やはり何とも言えず気持ちが高揚します。家で末期がんの母を介護しているため、コロナの感染具合を見ながらそろりそろりですが、これからは少しはきもので外出出来る機会がありますように。ささやかに願う秋の日々です。

久々にきもので外出。「美しいキモノ」春号の取材へ!取材したのは、染織愛に満ちたきものバッグブランド誕生物語。 2021/02/23




コロナ辛抱生活も、はや一年。私にとっては、きもので出かける機会がほとんどなくなったことを意味し、最近では「きものを着たい」「でも着られない」という思いの反復が大きなストレスになっていることを感じていました。
そこで考えたのが、仕事にきもので出かけてしまおう、ということ。雑誌の「美しいキモノ」が「きもので仕事へ」と提案していますが、まさにその通り。しかもその「美しいキモノ」春号の取材&撮影の日に着て行くことにしたのです。
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択んだのは、昨年、父の知り合いの方から頂いたきものです。
大好きな臙脂色に、洋風のしゃれた模様。しかも、染めではなく、織りで表しています。おそらく「紬縮緬」、或いは「お召」と思われる、やや張り感と厚みのある生地。手元に届き、たとうを開けた瞬間「好き!」と胸がときめいた好みど真ん中の一枚です。
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帯には、まだお正月気分の残る一月初旬のことだったので、梅、松、鶴の柄の染め帯を。祖母が染めたもので、大変気に入っている一本です。
帯締めには道明の玉子色の冠組を。やわらかな新春らしい色を入れい気分だったのでした。帯揚げには、ぽつぽつと六色の小さな絞りが飛んだゑり正の一枚を。どれも気に入りのものばかりを身に着け、一気にストレスのガス抜きになりました。
     *
さて、これらの写真は撮影&取材を行ったスタジオで撮ったものですが、私が手に持っているバッグにご注目ください。
いわゆる「利休バッグ」の形をしているこちらのバッグは、すべて一点ものの手縫い仕上げのバッグブランド「アトリエ花傳」のお品です。先週発売になった「美しいキモノ」春号では、この「アトリエ花傳」の創作哲学と逸品の数々を、8ページにわたり特集。取材執筆を私が担当しました。ページの一部をご覧頂くと‥↓
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現代最高峰の職人技でよみがえる、桃山の絢爛ふくよかな刺繍バッグ。紬のパッチワークのバッグのその紬の端切れは、浦野理一によるもの! ヨーロッパテキスタイルの中心地、リヨンのヴィンテージグログランを使った洋風バッグ、道明別注の組紐ハンドル、本金使用のファスナー‥‥細部に至るまで最高級の素材を用い、しかも、その一つ一つが表現しようとする内容に沿っているという、染織への愛と尊敬に満ちたバッグブランドなのです。
一体誰がこんなブランドを始めたの?ただ者じゃない!とお思いですよね。
そう、「アトリエ花傳」のディレクターは、観世あすかさん。染織史と伝統文化に精通した彼女だからこそ誕生したこの稀有なブランドの創作哲学も語って頂いています。ぜひ「美しいキモ
ノ」春号で、詳しく記事をご覧ください。私はこちらの特集の他に、江戸小紋特集のアンケートにもコメントしています。
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過ぎゆく夏を惜しんで、夏の妄想きものコーディネイト 2020/08/30



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厳しい残暑の日が続きますが、それでも、武蔵野の我が家の庭からは虫の声が聞こえ、秋が近づいていることを感じます。
今年の夏は、私は、私的な外出は一切なく、きものを着たのは東博「きもの展」の内覧会の一回だけ。夏のきもの類は一度でも着たら悉皆に出すので、毎年かなりの出費になり、それがないのは助かりますが、しかし何とも寂しい前代未聞の夏になってしまいました。

そんな中、大学教授だった父の教え子の方――と言ってもその方もある大学の教授でいらっしゃるのですが――から、この夏、お茶道具ときものをまとまって譲って頂き、地味な日々の中の華やかな出来事となりました。
中でも私の好みのど真ん中に刺さる素敵な紗の小紋があり、こんな帯合わせはどうだろ、と、きもの消化不良の夏を惜しんで“妄想コーディネイト”で遊んでみたのが上の四枚です。

きものは、光の加減によって、濃紺にも、やや青みがかっても見える紺色の地に、愛らしいかすみが散る模様。もう、たとうを開いた瞬間にキャー!と声を上げてしまったおしゃれな子です。平凡ではない、でも、奇をてらってもいない。こういうきものに最も心をつかまれます。

そんなこの子のために手持ちの帯で組んでみた四つのコーデネイト。

<上段右>
夏の始まり、六月頃から盛夏までなら、まず、白の絽綴れ地に絽刺しで片輪車模様をあらわした帯で王道にまとめてみたい。片輪車模様は牛車の車輪を川で洗っている様子を表す夏のアイコン。祖母から伝わった帯の中でも、とても大切にしている一本です。お食事会に歌舞伎観劇、目上の方と会う日などにも良さそうな組み合わせになりました。

<上段左>
七月から盛夏までの季節に、もう一本、水色地に鷺草模様の染め名古屋帯はどうでしょうか。こちらもあらゆるシチュエーションに対応出来そう。夏ならではの冷水点てのお茶のお稽古に締めても、涼しげで良さそうです。

<下段右>
盛夏の華々しいパーティー、或いは歌舞伎座の初日などには、こんな派手派手しい帯も良いかと。こちらも祖母から伝わったもので、満州事変前後、昭和元禄期のいけいけな空気が横溢しています。いわゆるアンティークに属する帯ですが、あまり締めなかったようで、とてもきれいな状態で残っています。強烈なオレンジ色の絽地に、にぎにぎしい帆船模様。真夏の日差しにも負けない一本です。

<下段左>
きものの世界では立秋を過ぎたら秋の模様のきものを着る、とされていますが、体感としては夏真っ盛り。私は、日本人にとって大きな節目の日である八月十五日の終戦記念日、それはお盆の日でもありますから、この日を過ぎたら、秋の雰囲気のきものを着るようにしています。
と言ってもそんなに沢山は持っていないのですが、こちらはその中の一本。藤色の紗地にひっそりと桔梗を織り出したものです。道明先生に頂いたシャーベットグリーン色の高麗組の帯締め(もちろん道明製)を合わせて。
ああ、本当なら今頃は、こんな取り合わせで街を歩いていたはずなのに‥

それでも、こうしてコーディネイトを考えるだけでも少し気分が慰められます。皆様のお好みはどの組み合わせでしょうか?
来年の夏は、そして出来るならこれから始まる秋や冬の季節にも、きもので出かけられる日が戻って来ますように。

速報!東博「きもの」展報道内覧会~きものコーデ付き 2020/06/29



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緊急事態宣言によって延期となっていた東京国立博物館の「きもの KIMONO」展。なし崩しに中止なってしまったらどうしよう‥‥と大変心配していましたが、無事、明日から開幕になります!

一日先駆けて、本日、報道内覧会が開かれました。本来なら、平成館で行われる大型展の内覧会ですから、宮様がお越しになり、館長や主任研究員の方の挨拶があり、軽食も振る舞われ‥と華やかなものとなるはずですが、コロナ第二波が警戒される今、セレモニーは一切なく、我々出席者も希望入場時間帯を申請してその時間を厳守しなければならないなど、密にならないための対策がなされていました。
明日の開幕後も、事前にインターネットからの入場予約が必要で、ふらっと行って楽しむことは、残念ながら出来ません。しかし、感染防止と文化活動の持続を両立するためには当然のことですよね。
*
それにしても、圧巻の展覧会です。
注目して頂きたいのは、「きもの展」と銘打っていますが、「小袖展」であるということ。
日本の服飾は、飛鳥から平安時代までは、中国服飾の真似事+その変化球の時代が続きました‥と私は思ています。だからなのか、実は、「十二単衣」や「衣冠束帯」の“源氏物語ファッション”はどうあまり好きになれません。

日本の風土に根差した衣服が主役となるのは、鎌倉時代から。現在のきものの原型である「小袖」が、それまでの下着扱いを脱し、表着として着られるようになります。
そして、本展も、始まりは「小袖」の時代から。
もしや、今回の企画陣頭指揮を執る工芸室長の小山弓弦葉さんも、私と同様「平安ファッションはちょっとねー」というお仲間なのかしら??と思いましたが、一月に「クロワッサン」誌の連載で取材した際訊ねてみると、そんなやわな理由ではありませんでした(‥ですよね)。
「実物が残っている時代から始めたかった」
「絵画資料だけじゃだめだと思う。やっぱり実物が見られないと、展覧会として面白くないから」
確かに!そして、ご自身もきものを頻繁に着られている小山さんならではの言葉に、本展への期待が高まったのでした。
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そんな本展。上の写真の左側に映っているのが、現存する最古の小袖です(東博蔵)。
室町時代中期、永正年間のもの(1510年代)。室町幕府十代将軍足利義稙が家臣に下賜した小袖とのことで、会場に足を踏み入れた第一番目の展示がこちら。もう、私のような服飾史好きからすると、この一枚だけで鼻血が出そうで、5分、10分と眺めてしまいます。ああ、全然前に進めません。
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こうしていきなり実物シャワーを強烈に浴びながら、第一室「モードの誕生」は、話題の大河ドラマ「麒麟がくる」のあの時代。信長や秀吉、帰蝶、寧、茶々(淀殿)が闊歩した安土桃山時代の本物の小袖やその裂が登場し、そして、その時代から日本社会に「流行」が生まれたことを解き明かしていきます。
        *
そう、本展の大きな特徴は、たとえば辻が花、たとえば唐織、たとえば友禅染、たとえば銘仙といった染織技法に焦点を当て過ぎるのではなく、それらの技法がいつ、どのように人々に欲望されたのか?に焦点を当てていること。
それはつまり、日本人がこの500年間、どんなスタイルをおしゃれだと思って来たのか?そしてそのおしゃれの感覚がどう移り変わって来たのか?ということ。つまりは日本人の「流行」の歴史を一気に通観出来るところに、最大の魅力があると感じました。
しかも、「東博さんにうちの子が華々しく飾られるのなら‥」と、全国の美術館のスターきものが大集合。これはやはり「東博力」と言うしかありません。
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荒々しい時代を反映して、明るく華やかな色使いを好んだ安土桃山時代。その反動なのか、やがて濃色好みへ。後ろ姿に凝る、皇后がファッションリーダー、丸囲み模様大流行、光琳クールデザイン、渋好み、豪商お嬢と花魁、どちらのきものが豪華?本当の大奥ファッションとは?男性は何を着ていたのか?その中には、信長、秀吉、家康のいわゆる戦国三英傑が実際に着ていたきものが一列に並ぶという、安土桃山好き(=私もです。てへ)にはたまらないコーナーも↓
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やがて迎えた開国。西洋の影響、モダニズムデザイン、そして現在‥‥
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ふだん、美術作品を見る時は、まず作品を自分の目で見つめ、つたなくてもオリジナルな感覚を養うこと。先に解説を読んではダメ!と思っていますが、本展に限っては「500年の流行」という観点から、まず図録の小山さんによる冒頭論文「きもの――日本人が着るもの」を読んで流れをつかんで臨むと、より面白くなるのでは?と感じました。
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この図録、東博のサイトからネット購入可能です。布張りのおしゃれで立派なもので、その分、かなり重い。持って帰るのは若干大変ということで、私のきもの仲間の皆さんのSNSを見ていると、既に購入している方も多いようです。この方法、お薦めです!
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↑そして、会場で、小山さんとお会いすることも出来ました。
河豚と茄子の模様の江戸小紋(小宮康正さん作)をお召しで、そのココロは、災い転じて福(フグ)と成す(ナス)!遅れても、見事に開催!の今日にぴったりの選択です。どうかたくさんの方が訪れ、きものが更にもっともっと愛される契機となりますように。
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↑そして、絹文化研究家の富澤輝実子さんともバッタリ。密ではない通路で、この時はマスクを外して記念撮影しました。
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今日の私のきものは、波濤模様の絽の訪問着。やや小豆色がかった紫の地の色が気に入っています。遠目には無地に見える白地の葡萄唐草文様の帯を合わせました。「道明」のシャーベットグリーン色の高麗組の帯締めで、わずかに華やぎを加えて。帯揚げにはオレンジやベージュの小さな飛び絞りの帯揚げを合わせていて、ここでもわずかに華やぎを加えました。そう言えばこちらは、富澤さんに以前頂いたものなのでした♡
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最後に、マスクは、広島の和裁工房「シルフィード」さんの夏マスク。
表地、裏地とも抗菌作用のある銀イオン糸を織り込んだ新素材で作られています。表地は、ちょっとちりめんにも似た品のある風合いに織り出されていて、きものにとても良く合います。裏地は羽二重のようにつるりと薄く織り出しているので、肌につかず呼吸が楽で、30度近かった今日も快適でした。下のURLで購入出来ます。
http://odaorimono.shop-pro.jp/?pid=151778920

それにしても、「きもの」展は、まだまだここに書き切れないくらいの切り口や、また、「流行」の理解を助けるための資料として、絵画作品や調度品類、映像展示も充実しており、まったく時間が足りませんでした。早速再び参観の予約を入れたいと思います。皆様もぜひ足をお運びください!

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stay home 新誂えの江戸小紋で、インターネット茶会に参加の巻(コーディネイト付き) 2020/05/15



東京ではまだ緊急事態宣言が続いています。そんな中、先週末は、“インターネット茶会”という新しい試みに興味を感じ、参加してみることにしました。
洋服での参加でもまったく構わなかったのですが、仕立て上がりほやほや、廣瀬雄一さんのところで新しく誂えた江戸小紋があるのですから、この日をお披露目と決めました。
今日のブログではその茶会の様子ときものの詳細、そしてコーディネイトをご紹介します。
      *
まずは茶会について。
コロナウイルス蔓延で、生活の様々なことが変化を余儀なくされて来たこの数か月。
お茶の世界でも、各お家元が、今はお稽古を休んで自服の時を過ごすようにと通達を出したり、流行が収まるまでは濃茶の回し飲みはしないようにとの呼びかけもあるようです。
そんな中、表千家の若き宗匠、岡田宗凱さんは、ふだんから行っている茶の湯ワークショップ「世界茶会」のzoom開催を始められました。
どんなことでも、先陣を切って行うのは、勇気も困難も、後から行く人より数倍多いもの。その心意気に感じたことと、単純に、インターネットでどんな風に茶会が出来るのだろう?という興味から参加しました。

当日は、東京、長野、淡路島、姫路など九カ所の皆さんのご自宅とつながり、リモートワークでおなじみのあの小さな枠の中に皆さんの顔が映ります。
たまたまでしょうか、今回、全員きものでの参加。和室の方もいらっしゃれば、洋室の方、また、テーブルでお茶を点てている方もいらっしゃるようでした。
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私は、折角家に和室があるのだから、と風炉を置いて、和室から参加。その様子が上の写真です。
この部屋は、茶室ではなく、奈良に住んでいた父方の祖父が度々仕事で上京するため、滞在時用に作った書斎。新型コロナの感染者数が日に日に増え、これは日本も非常事態宣言が避けられない‥と見えて来た時、真っ先に思ったのが、「風炉を買おう」ということでした。家での時間が増えるのなら、ちゃんとお茶を点てて呑む時間も出来るはず。恥ずかしながら、これまで自宅で点前を確認する時は、電気プレートにちょっとおしゃれなデザインのホーロー鍋を置いて代用していたのですが、この機に風炉を手に入れようと思ったのです。
と言っても、コロナのため、連載も一時休載を余儀なくされている緊急財政下、つつましく、中古品を探そうと毎日ヤフオクとにらめっこ。運良く、ほとんど、いや、一回も使われていないのでは?という風炉と釜の一式を購入出来ました。
水指と茶碗は、この部屋を使っていた祖父と交流のあった、奈良の赤膚焼きの松田正柏によるもの。風炉先屏風は、友人のおばあ様の遺品を頂いたものです。
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さて、茶会は、席主である岡田先生より、五月の茶事の位置づけなどについてミニレクチャーがあった後、先生のお点前。ここでは先生が大写しになります。そして事前に送って頂いていたお干菓子を頂き、各自がお茶を点て、一緒に頂く‥という風に進みました。テーブルでされている方もいらっしゃるので、お茶を点てるその手順は、正式でなくても構いません。要はお湯とお茶と茶筅があれば良い訳です。私も、茶筅すすぎは茶会開始前にしておいて、いざお湯を組む時も水指の蓋は閉じたまま、略式で点てて頂きました。形式より、皆さんと同じスピードで進めたかったのです。
このような形で、全体で一時間ほど。お茶をいただく際には、上のように画面にご相伴の皆さんの顔が映し出され、同時に頂くことが出来ます。

全体を振り返ると、まず、一方的に席主が話すのではなく、お茶をいただいた後は双方向の会話の時間も作られていて、人と交流している、という感覚があるのは、家族以外の人と話す機会がほとんどない今、非常に大きな気分転換になりました。
また、実際の茶会では、席に座るとすぐお運びの方がお菓子をお持ちになり、それをきちんと受け取らなければ、そそうのないよう隣りの人に回さなければ、もたもたしないように食べなければ‥などなどやることが多く、案外ご亭主のお点前をしっかり見ることが出来ないことが多いと思うのですが(私だけ?)、インターネット茶会ではじっくりとお点前を拝見出来るのは、一つの利点だなと思いました。
‥そんなこんなであっと言う間の一時間。皆様もこうしたインターネット茶会に参加したり、親しい人同士で茶会を開くのも楽しいかも知れませんよ!

  *

ここからは、新しい江戸小紋の詳細を。
ブログでもご紹介していた通り、昨年末に廣瀬さんの工房に伺い、あれこれ型紙を見せて頂いた中から「斜め格子」の一枚を択びました。江戸小紋の典型である極小柄ではなく、中形に当たるほどの大きさになります。
今回の誂えの目的は、手持ちの様々な帯の“最高の舞台”となる一枚を作ること。模様も色も、あまりにかわい過ぎたり個性が強過ぎることなく、でも、人とは少し違うものにしたい。
また、ちょっとした食事会や目上の人に会う際にも着ていけるレベルの“きちんとさ”はほしい。
そんな要望を廣瀬さんにお話しし、淡いベージュに染めて頂きました。寄って撮ったのがこちらの写真です↓
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手持ちの帯をあれこれ合わせてみると、狙い通り、青系、グリーン系、臙脂系、黄色系、黒系、白系、すべての色系統、また、模様も、はんなり系もキリリ系もどちらも受けとめてくれます。
廣瀬さんが択んでくれた、変わりうろこ文様の八掛もかわいらしく。
この春は自宅デビューとなりましたが、次の袷のシーズン、秋から大活躍してくれそうです。
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そして、この日のコーディネイトが上の写真です↑
「渡文」のしゃれ袋帯を合わせてみました。本当に茶会に出かけて行く場合にはカジュアル過ぎる帯ですが、自宅からのインターネット茶会なので、その日の気分に合った帯で良いかと。
まるで染めたかのように、織りで繊細に花鳥の文様を織り出しているところが気に入っています。帯揚げは、こちらも非常に気に入っていてヘビーローテーションの、「ゑり正」の麻の葉絞りの一枚を。帯の模様より一段明るい冠組の帯締めを全体を引き締めて。
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↑お茶会終了後、一人でもう一服していると、猫のチャミが覗きに来ました。
この子は、これまでも稽古をしているといつもやって来て…建水や水指の水を、飲みます笑
点前が始まったばかりでまだ建水が空の時は、「お水が‥?ないのですが‥?」と見上げて来たり。今日は外にのらちゃんが来ていたので、お茶より庭が気になっています。

東京ではまだもう少し緊急事態宣言が続きます。
解除後も、これまでとまったく同じ生活が戻って来る訳ではないし、第二波、第三波が来る可能性も少なくはないと思っています。その中でも、お茶やきものを楽しむ時間を大切にしたい。改めて、どちらも自分にとって本当にかけがえのないものなのだということを、このstay home生活で感じています。

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延期決定・東博「きもの」展を応援しよう!企画総責任者・小山弓弦葉さんを取材しました 2020/04/03



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本当は、意気揚々のご報告になるはずだったのですが‥
「クロワッサン」での連載「着物の時間」にて、東京国立博物館工芸室長の小山弓弦葉さんを取材しました。
本当なら、来来週の14日から、華々しく始まる予定だった東博の「きもの KIMONO」展。
東博にとって47年ぶり、京博の「花の洛のモード」展からも21年。満を満を満を持しての一大着物展は、新型コロナウイルス感染防止の観点から、本日、延期が発表されました。

開催予定は、未定。でも、中止ではありません。
鎌倉時代から現代まで、日本人がどのような布を美しいと思い、身にまとって来たのか、日本中に散らばる名品が東博に大集合し、一気に通観出来る展覧会が、今年でも、来年でも、必ず開催出来るよう、全国の着物好き、染織好き、日本史、日本文化好きの皆さん、盛り立てていきましょう!
      *
今回の取材では、この大展覧会の陣頭指揮を執る研究員の小山弓弦葉さんに、ご自身の着物個人史をうかがっています。
研究はするけれど、自分自身は着物は着ない、という染織史研究者がほとんどの中、小山さんは「着物が大好き!」という稀有な方。そうじゃなくっちゃ!ですよね。
ご自身の着物愛と、「本当の辻が花」とはどのような布か?というご研究テーマ(私たちが「辻が花」と呼んでいる布は、桃山時代にはそう呼ばれていなかった。別の「本当の辻が花」があるのです!)、そして、今回の展覧会の内容がからみ合った記事になっています。
お家で過ごす時間が増えている今、書店で、ウェブ版で、ぜひご購入いただき、ご高覧頂けたら幸いです。

最後にもう一度。
新型コロナウイルス終息後、「きもの KIMONO」展が必ず開催されますよう!小山さん、東博の皆さん、頑張ってください。全国の着物ファンが待っています!!!

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夏と冬、歌舞伎観劇の日のきもの 2020/01/23



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約一年ほど前、母の介護が始まって以来、きもので出かける回数もぐっと減ってしまったのですが、もちろんきもの愛は冷めることなく、母の体調の隙を見てはきもので外出しています。
久々のきもの日記は、相当前のこととなりますが、昨年8月と、着たてほやほやの先週、夏と冬の歌舞伎観劇の日のコーディネイトを。

まずは先週のきものから。国立劇場での初春歌舞伎に出かけました。
お友だちの厚子さんが主催の「着物で歌舞伎」に参加したもので、公演後、時蔵さんのトークショーと写真撮影も↓
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きものは、光琳水を現代的にアレンジした訪問着。渡辺雪三郎さん作です。まだ元気だった頃の母が気に入って即買いしたものですが、「今日、これ借りるねー!」と出かける前に見せても、認知症のため覚えておらず‥涙。
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↑気を取り直して‥合わせた帯は、大好きな模様「松皮菱」と竹模様を織り出した焦げ茶色地のしゃれ袋帯。西陣の「山勝織物」による手織りです。もう、大好きな雰囲気の帯で、インターネットきもの店の老舗「帯匠洛都」の閉店セールで破格で出ていたので絶対人には渡さない!と鼻息荒く入札。その気迫のためか、無事落札できました(笑)。帯は道明の亀甲組を。
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↑こちらは、石川県小松市の歌舞伎ゆるキャラ「カブッキー」くんと。勧進帳の弁慶をキャラクター化しているのですね。かわいいです。
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↑「着物で歌舞伎」のこの日の参加者全員での記念撮影が、こちら。これだけの人数がきもの姿、という風景はなかなかに圧巻です。国立劇場の中央~花道近くの良席を、きものジャック致しました☆

     *

さて、もう一コーディネイトは、季節をぐーっと巻き戻して、昨夏の歌舞伎座。
ここ数年の八月の人気演目、幸四郎さんと猿之助さんによる「東海道中膝栗毛」を観に出かけました。
この日は、お友だちの島田史子さん主催の歌舞伎鑑賞会「和粋会」に参加して。公演後、美味しい中華を頂いているさなかに、何と幸四郎さんが来て下さるのです。そして、な、何と、くじに当たり、素敵なプレゼントを頂いた上、幸四郎さん、史子さんとのお写真撮影も。きゃー☆
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↑顔がにやけてしまっていますが‥
きものは、白揚げと刺繍で楓の木立をあらわした絽の訪問着。高麗屋さんの定紋にちなみ、花菱の袋帯を合わせました。寄りの写真を撮り忘れてしまい、もっと詳細にお見せ出来ないのが残念。せめて着物と帯を置き撮りしようと思いましたが、悉皆中でした‥

頂いたプレゼントはこちらです↓
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幸四郎さんと史子さんがプロデュースしている「擽紅」という紅。口紅としてはもちろん、薄く取って頬紅としても使える優れた一品です。

きもの好きということらご縁がつながった歌舞伎にゆかりの深いお友だちのお力で、いつもとても良いお席で観劇させて頂いています。厚子さん、史子さん、ありがとうございます!
そして、何より、舞台の上の、実生活とはまるでかけ離れた世界へと心がはばたくことで、毎日のつらいこともパーッと霧が晴れていくようで。今年も何とか時間をみつけて、歌舞伎観劇に出かけたいと思います。もちろんきもので♪

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江戸小紋を誂えに、廣瀬染工場へ。 2019/12/29



11月半ばにまたまた母が発作を起こして倒れ、そこから、介護、連載のお仕事、非常に難易度の高い或る大きな雑誌原稿(年明けにお知らせします)、京都取材旅行、和文化イベント裏方仕事…と、この一カ月半余り、忙し過ぎました‥。
しかし、やっと休息の時。年末年始はゆっくりと休めています。
そんな中、昨日は、むふふ、江戸小紋の誂えの相談に、中井の廣瀬雄一さんの工房へとお邪魔しました。
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上の写真の通り、染めの見本や型紙をたくさん見せて頂いた、至福の時。
隣りに座っているのは、私の仕事の相棒、着付け師の奥泉智恵さんです。かれこれもう10年以上のおつき合い。心から信頼している着付け師さんであり、趣味の合う良き友人でもあり。取材・撮影の現場が終わると、そこからいつもお茶に行って、4時間くらいお喋りをして‥撮影よりお喋り時間の方が長いのではないかというくらい(笑)。大体いつも着物と和菓子とお茶の話をしていて、特に着物については、やはり私よりずっと知識も経験もお持ちですから、昨日はアドバイザーとしてついて来て頂きました♡
あ、もちろん、以前誂えた廣瀬さんの小紋を着て行きました。柳縞の模様です↓
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そしてそして、こちらは、千鳥格子模様の型紙(候補の一つ♡)↓
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たくさんの染め見本の、ごく一部↓
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今回の誂えの目的は、帯にとって、“最高の舞台”となる小紋を作ること。
我が家の特殊事情となりますが、祖母が染めた東京紅型の帯が多数ある中、その帯を載せてぱきっとスタイルが決まる柔らかものを、意外と持っていない。グレージュ系の江戸小紋、或いは中形小紋で、そんな舞台を作り出そう、という計画です。
現在、頭の中は何型かに絞られつつあり…しかし、日頃非常にきっぱりとした性格ながら、何故か買い物は非常に優柔不断のため、年末年始、しばし悩むことになりそうです。何て幸せな悩みでしょうか♪

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青山に、きれいな、きれいな紬布を見に行って。 2019/11/08



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青山のギャラリー「イトノサキ」に、きれいな、きれいな布を見に行って来た。
栗色のような、ベージュのような、グレイのようなその紬の布を織っているのは、杉森繭子さんという女性だ。
紬の産地、結城で織りの修行をした後、今は東京郊外の三鷹で、一人、黙々と好きな布を織っている。

実は、イトノサキの店主畔蒜さんに、彼女を紹介したのは私だ。
私の古い友人が杉森さんの同級生、という縁で知り合い、ある日三鷹のアパートに遊びに行った。手織りの大きな機が一部屋を占拠し、ブリキのバケツがいくつも棚に並んでいた。家の周りの武蔵野の草木を煮出し、糸まで自分で染めているのだという。

     *

そんな完全なる手染めの手織りだから、一反を織り上げるまでには数ヶ月の時間がかかる。生活のために他の仕事をしながら、黙々と染め、織っていた。
毎年、駒場の日本民芸館の公募展に出品して入選し、展示を見て買ってくれる人が、時々いる。京都の良心的な紬問屋が買い取ってくれることもあるそうだけれど、それ以外に販路もなく、質素そのものの生活だった。

何だか、胸がうるうるしてしまった。何しろ彼女はひどく口下手で、SNSも、メールすらも苦手。もちろん、営業トークなど出来る訳がない。この先一体織り続けていけるのだろうか?
それで、畔蒜さんに彼女の布を見てもらおうと思った。サバサバと気っぷよく、布の選択眼に超一流の畔蒜さんなら、きっと彼女の布を気に入るし、売り方も考えてくれるに違いない、と。

…そうやって実現したのが、今回の、この個展だ。
嘘のない、きれいな心の人が織った、きれいな布が並んでいる。身につけたら一日気分よく過ごしていけそうな、そんな布だ。

杉森繭子個展「グレージュの余韻」
http://itonosaki.sblo.jp/archives/201911-1.html

開催は、今週日曜日まで。青山の近くまで出向くことがあったら、ぜひ足を運んでみてほしい。

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一枚のきものと別れる日 2019/11/01



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 今年の秋はこの国にあまりにも厳しいことばかりが続いて心が苦しくなってしまうけれど、その中にも祝い事はあって、或る会に、華やかさのある銀杏の小紋を着て出かけた。
 四十年ほど前、祖母が、当時三十代だった母、そしてゆくゆくは私も着るようにと染めてくれたもので、二人で合計すれば三十回近くは着ているだろうか。大好きな一枚だった。

 けれど、数年ほど前から、着ていて何だか落ち着かなくなっていた。どこがどうと言われると説明出来ないけれど、何とはなしに、顔と生地とが互いに離れて行くような感覚がある。まるで愛し合っているのに倦み始めた恋人同士のように。
 つまりは私が年を取って、顔つきや肌がもうこのきものを受けとめられくなっているのだけれど、あまりにも、このきものの模様つけ方や染めの調子が好きだったから、毎年一度ほどは未練がましく着ていた。そんな着物だった。

 けれど、もう潮時だ。今回で最後にしようと思った。
 そしてそう思って袖を通すと万感の思いがこみ上げて来た。
 もちろん、やさしい知人たちは「まだまだ全然おかしくないですよ」と言ってくれる。また、「幾つになったって、好きなものを着ればいいんです」とも。
 もちろんその通りで、〇歳になったら地味な色を着なければいけなどという法律がある訳ではないし、誰かに迷惑をかける訳でもない。
 また、確かに世の中にはいくつになっても若々しい色や模様のきものを着ていてちっともおかしくない方もいるし、もしかしたら私のこのきものも、もうあと一、二年なら、何とかそう珍奇な見映えにならずに着ていられるかも知れない。
 けれど、一方で、老いた肌に可憐な色のきものを着て、視界に入った瞬間にぎょっとするようなおばさまが存在する。おしゃれとはバランスだ、と私は考えていて、こうなってしまえばおしゃれとは程遠いことは私にとってははっきりしている。そして自分がそういう状態に陥ることに耐えられない。何より自分自身が、もうこの小紋を着ていると落ち着かなくて落ち着かなくてそわそわしてしまうのだ。こんなに愛しているのに。悲しいけれど。

          *

 だから、恥ずかしながら今日のブログに掲げた写真は、この着物との別れの記念だ。そう思いながら着られたことは、やはり良いことだった、と、今は思っている。
 人生には、たくさんの不意の別れがある。いつでも会えると思っていたのに、明日会えると思っていたのに、それどころか朝家を出て夜にはまたいつもと変わらず会えると思っていたのに、会えなくなってしまうこともある。それに比べれば、さよならと言いながら別れられることは得難い幸せなのかも知れない、と。

 家に帰り、二日ほど陰干しをして風を入れ、たとうへとしまいながら、このきものを通してたくさんの楽しい時間を贈ってくれた祖母に心から感謝した。糸をほどき帯に仕立て変えれば、またこの布と一緒にいられるかも知れない。けれどきものでいる今の姿を、壊したくない、とも思う。
別れてもまだ一枚のきものに心を迷わされている。

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改元のゴールデンウィーク、「東京キモノショー」と日本橋散歩 2019/05/04



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今年は二度お正月が来たような気がする改元のゴールデンウィーク、友人知人は遠出をせず東京近辺で過ごす人が多く、私もその一人です。連休明けに大きな取材が控えているため、資料読みに明け暮れつつ、ちらほらと外出。一昨日は、日本橋のコレド室町へ、GW恒例の「東京キモノショー」へ出かけました。

この一大きものイベントは、今年で4回目。私のブログでも過去に2回レポートしているので覚えて頂いている方もいらっしゃると思いますが、とにかく今年は来場者が多い!
5年前の第1回目を思い返すと、広~い会場にお客様がちらほら、といった入りだったのが、今年は同じ大きさのはずの会場が、ものすごく狭く感じられるほど。特にきものや和小物のミニショップが並ぶホワイエは、なかなか前へ進めないほどでした。
わずか4回でここまで人気を得たこと、実行委員いの皆様の努力に頭が下がります。
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↑そんな中、メインホールには、今年もきものメーカーやきもの作家、きもの店、着付け師さんが提案するきものコーディネイトがずらり。
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↑そして、そのホール壁には、一昨年にやはりこのブログで旅レポートした丹後の引き染作家「小林染工房」の小林さんの“丹後ブルー”の作品9枚が展示されています(私が携帯の写真設定を変えられず、上の写真では6枚のみが写っています)。
友禅で模様を描く訳でもなく、刺繡や箔を置く訳でもなく、青の濃淡のみで、これだけ表情が違うきものを生み出せることの素晴らしさ。一緒に出かけた着付け師の奥泉智恵さんと、「私はあのきものが好み!」「私はこっち!」と盛り上がりました。
ちなみに、私の好みは、写真・下段左の淡いブルーの一枚です。もう一枚、上段左の粋な一枚も、黒の帯などを合わせて着てみたくなります。
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↑そんな小林さんの作品の前で、一昨年、一緒に丹後を旅した、きもの友だちのFさんとばったり会えたので、パチリ。
Fさんのきものは、まさに小林さんの作品。そう、青だけじゃないんです!焦げ茶と墨黒の間のような色をメインに、時々グレーが入り…何ともしゃれた一枚ですね。帯は同じ丹後の「登喜蔵」さんの紬帯。椿染とのことでした。
私は、小豆色の毛万筋の江戸小紋に、祖母が染めた蝶の柄の塩瀬名古屋帯を。この帯は毎年3月から5月に締めていますが、時々知らない方に「素敵な帯ですね」「写真を撮らせてください」などと声をかけられます。昨日もお一人に声をかけられたので、快諾。祖母もきっとあちらで喜んでいることでしょう。
そんな帯周りの寄り写真をうっかり撮るのを忘れてしまったのですが、帯〆は「道明」の高麗組、帯揚げは「ゑり正」のぽつぽつと七色の小さな絞りが散る一枚を入れています。自分としてはとても気に入っているコーディネイトです。
奥泉さんとも話していたのですが、小豆色の江戸小紋は、三十代から六十代ほどまで着用出来、お得な一枚ではないでしょうか。もっと赤に転ぶとせいぜい三十代まで。紫に転べば五十代以上がふさわしい。小豆色はどの年代にもしっくりと調和する不思議な色だと感じます。
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↑会場の一角には、葛布、藤布、大麻布、アイヌのアトゥシなど、「自然布」で織られたきものや帯を展示したコーナーもありました。どれも一級の品ばかり。撮影不可のものが多く、ほとんど紹介出来ないのが残念ですが、ここも必見の展示です。
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↑さて、一昨日の一番の目当ては、こちら。ステージで、公家男性の正装である「束帯」の着付けショーが行われました。改元の今年にふさわしいプログラムです。
実は私は武家の服飾好きで、特に直垂(ひたたれ)という装束が大好きな“直垂萌え”です。公家の装束にはいま一つ関心が薄く、これまでに何度も書籍で各アイテムや着装順を勉強してきたのですが、すぐに忘れてしまうのです。
しかし、今回は、愛知文教大学准教授の畠山大二郎先生の解説付きで、実際に目の前で着付けをしてくださる、ということで、どうしても見たくてやって来ました。
驚いたのは、上の写真の通り、解説の畠山先生(右)まで「直衣」という公家の服装で登場したこと。
↓下の写真が、「束帯」の着付けが完成した姿なのですが‥
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後ろに引きずっている「裾(きょ)」の部分は六尺。畠山先生曰く「僕の好みの長さで作りました」とのことで、先生のおたくぶりが垣間見え、ほほえましいのです。
ちなみに六尺は、「大納言」の地位に許された長さとのこと。さらに上の位の「大臣」となると、もっと長くなるそうです。たくさんの豆知識が散りばめられた解説がとても面白く、大満足のプログラムでした。
           *
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「東京キモノショー」を楽しんだ後は、甘党が日本橋に来た以上、行かねばならぬ場所があります。やはり甘党の奥泉さんと、「鶴屋吉信」の寿司カウンター、ならぬ“上生菓子カウンター”へ。まるで寿司店のように、目の前で菓子職人さんが上生菓子を握って?くれるここには、ブログには上げていませんが、これまでに何度も訪れています。お銚子一本で寿司を数貫さらりとつまみ風のように去って行く池波正太郎のように、上生菓子を抹茶で頂きわほわと立ち去るわたくしなのです。むふふ。
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↑さて、一昨日は、「花水木」を頂きました。こなし製に白あん。ああ、私の最も好きな組み合わせです。一人で来ると「コハダをもう一貫」というかんじに実は二個、三個と食べたりしてしまうのですが、一昨日はぐっと抑えました。
そして、日の落ちた日本橋をお散歩すると、どの店のショウウインドウにも「令和」の墨書きが飾られ、五月の風が心地よく。江戸時代と変わらぬ日本橋川の流れを眺めていると、心から、戦いのない、平和な時代が続いていくようにと願わずにはいられません。
そして、災害の多いこの国で、ただ災害が起こりませんようにと無力な赤子のように願うのではなく、避けられないその災害の被害を最小限に食い止める知恵と準備を怠らない自分でありたい、そういう社会を作って行く責任があるのだということを、改めて、胸に戒め、日本橋の街をそろぞ歩いたのでした。
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浅草「辻屋本店」でクリーム色の草履をお誂え+コーディネイト日記 2019/02/21



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少し前のことになりますが、浅草の履物屋さん「辻屋」さんにて、草履のフルオーダーメードの様子をレポートして頂きました。

女将の里枝さんによると、今は街中に履物屋さんが少なくなり、着物店やデパートでついでのように履物を買うことがほとんどとなってしまった。そのため、靴を買うのと同じ感覚で、草履や下駄も「店にあるものをそのまま買う」ものだと思っている方が多いのだそうです。
……が、日本の履物のいいところは、台、鼻緒、そして前坪を自由にオーダーして組み合わせられること。そのことをもっと知ってもらうために、ホームページにオーダーメードのレポートページを作りたい、ということで、何と不肖私にレポーター役の白羽の矢を立てて頂きました!
何故私か、と言えば、足が小さく、デパートやネットショップで主流の「Mサイズ」ではない”お誂え必須足”であるため。いつも小足で苦労していますが、今回ばかりは、小足で良かった♪

さてさて、どんな草履をオーダーするか。以前から、ふだん~ちょっとしたお出かけまで対応出来る、“クリーム色の台”の草履がほしいと思っていたので、今回はそのお誂えに挑戦することにしました。
鼻緒を台と同じ色にするか少し違う色にする、迷うところですが、ここで里枝さんの素敵なアドバイスが‥そのオーダーメードの様子と完成品を、ぜひ、こちらの辻屋さんのホームページからご覧ください!!!!
http://getaya.jp/feature/zori_atsurae/

そしてそして、今日のこのブログでは、早速その草履を履いて外出した、コーディネイト上での様子をご覧頂ければと思います。
まず一つ目のコーディネイトは、今月初め、祖母が染めたグリーン地に扇の柄の小紋に合わせてパーティーに出かけた日に↓
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白い草履でも良いコーディネイトですが、足元にクリーム色が入ることで、一ひねりした印象になるのではないでしょうか。
また、別の日には、紬の着物に合わせて↓
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焦げ茶の紬とクリーム色の草履は相性抜群です。

…とこんな風に、履物を一足誂えることで、いつもの着物に違った表情が生まれる楽しさがありますが、その色・素材・高さをお店の方とワイワイお話ししながら組み立てれば、更に愛着がわくといくものです。
皆様もぜひ、履物お誂えをなさってみてくださいね♪

そうそう、上の扇の小紋で出かけたパーティーとは、実は、辻屋の里枝女将のご著書発売記念パーティーだったのです。
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「浅草でそろう江戸着物」は、単なる着物の本を超えて、浅草の街を語る本になっています。一見お土産物屋風に見える浅草のお店。奥へ入って行くと、実はすごいお品物が揃っている。その昔、裏地にこった江戸っ子らしく、表をぎょうぎょうしくして名店ぶるなんてしゃらくせえ、ということなのでしょうね。こちらのご本も、ぜひ手に取ってご覧くださいね♪

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花鳥の柄の訪問着で、遠州流お家元の初釜へ。そして事件が‥! 2019/01/22



一月はお茶を嗜む者にとって、初釜に忙しい月。先週は、遠州流お家元の点初め(遠州流さんでは初釜のことをこのように言うようです)に出席の光栄を得ました。
ご一緒させて頂いたのは、組紐の「道明」の道明三保子先生。先生が家元ご夫妻と親しくされており、私も昨年お家元の取材をさせていただご縁もあって、お声がけを頂きました。
恐らく日本で一番大きな肩衝では?と思われる大型の春慶の肩衝や、仁清の素晴らしい花入など、数々のお道具を拝見して眼福の時だったのですが、もちろん席中では写真を撮れません。玄関の前はオーケーとのことでしたので、先生とぱちり。美味しいものをたくさん頂いた後で口紅が落ちていますが、お見逃しの上、下の写真をご覧ください↓
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奇しくも先生も私も、淡い色調の装いとなりました。私の訪問着は、初釜らしく華やかにと思い、四季の花と槙の木の間を鳥が飛ぶ、楽しい柄行きの一枚を択びました。袖の写真を撮ってみましたのでご覧ください。おきもの友だちの皆様、そう、小川呉服店の一枚です♪↓
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帯周りはこのように。帯締めは、もちろん「道明」の、糸竹組です。花や蝶の丸の柄の袋帯を締めて↓
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遠州流さんの初釜では、点心のお盆と向付をおみやげに頂くことが出来ます。帰宅後、洗ってから撮ってみました↓
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向付には遠州流さんのご家紋の七宝紋が染められています。亀甲盆には「亥」の字とお家元の花押が。ご本部直属のお道具屋さんで漆を塗って頂くことも出来るとのご案内を頂きましたが、木地のままもすっきりしていて良いし‥とまだ長考中。かなりキッパリとした性格ですが、買い物は常に長考なのです。

初釜中、このお盆と向う付けで点心を頂いている時に事件が起こりました。
お料理の中に、串に刺さったお団子状のつくねがあったのですが、それを串から取ろうとした際、勢い余ってお盆から転がり出てしまったのです!
わわ!大変、お茶会にあるまじきこと、と早く取りに行きたいのですが、何しろ着物で正座をしている上に、膝前に置いたお盆を乗り越えなければいけない。手に持っていた懐紙も、上の汚れた一枚はたもとに入れて、他のきれいなものは懐に戻さなければいけないし‥ともたもたしていたら、少し離れた上座に座っていた背広姿の男性のお客様が、さっとご自分のお盆を乗り越えて、私のそのころころお団子を拾い上げ、しかもご自分の向付を素早く取って中に載せ、私の所へお持ちくださったのです。何てご親切で、そして機転の効く素晴らしい方なのだろう、こういう方こそ紳士と、そして真のお茶人と言うのだな、と心から感謝申し上げました。

昨年は、社中の初釜で「後炭」という点前を仰せつかり、このお団子事件のようにそそっかしい私が珍しく何も間違いもなく、すっすと点前をすることが出来、その余徳でしょうか、先ほど書きましたお家元の取材のように、お茶や和文化にまつわるやりがいあるお仕事に数々たずさわることが出来たのですが、初釜で一年を占うとしたら、今年は‥?
きっと、何もかも一人で行おうとせず、人様の助けを借りながら進むことを覚えよ、という教えと思い、謙虚に一年を過ごそうと思います。
‥そんな訳で、このお盆と向付は、一生忘れられない一組となりそうです。(だから木地のままにするか、漆を塗るか、迷ってしまうのです)

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そうそう、「道明」と言えば、年末に、美保子先生のご子息であり、第十代目当主として道明を率いていらっしゃる葵一郎さんから、素晴らしいご著書を頂きました↓
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特装版の、組紐を意匠化した透かしのカバーを撮ると、中身はこんな風に↓
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『「道明」の組紐』と題されたこの本では、主に、この十年内ほどの新作の数々を見ることが出来ます。どの組紐店よりも深く古典の研鑽を積まれながら、新しい配色、新しい意匠に挑戦することも恐れない。そしてその新作のどれもが心から素晴らしく、「どれも全部ほしくなる!」と私の周りのきもの仲間が皆悶絶しているご著書です。ぜひ皆様もお手に取ってみてください。
それでは、今年も、お茶を嗜まれる方も嗜まれない方も、それぞれの皆様の手の中に、ふくふくとお茶の香る一年でありますように。

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きものコートおあつらえ物語 2018/12/27



皆様、年の暮れをいかがお過ごしでしょうか。私は最近数か月のあまりの多忙についにダウン。この二日ほど高熱に苦しみながらも原稿を書いておりました涙。
しかし、この冬は、嬉しいクリスマスプレゼントを手にしたのです!と言っても自分でお財布をはたいたのですが‥。何年も悩みの種だった、きもの用コートのフルオーダーを決意。秋の中頃から仮縫いなどやり取りを重ねていたものが、じゃーん、ついに完成したのです!その着用写真がこちら↓
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少し横から写したもの↓
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全身を写したものがこちらになります(大風の日に着たため、髪の毛と裾が乱れているのはお見逃しを)↓
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どうです、素敵でしょう♪
そもそも私にとって常にコートが問題になっていたのは、私がチビで痩せの体形であるため。世の中にきものコートは山と売られていますが、Sサイズはなく、やむなくMサイズを着ていたこともあるのですが、肩がずれ、上半身ががばがばして、どうにもみっともない。祖母ゆずりのものや、友人のおばあ様から頂いた古いコートは昔サイズで体に合うのですが、いかんせん経年感がただよい始めていて…
もうこれは、一からフルオーダーで作るしかない!しかし、誰に頼めば良いのでしょうか。和裁の人はコート向きのウールやベロア生地は縫ったことがないだろうし、かと言って洋裁の人は、きもの独特のシェイプを把握出来ないに違いない。どういうことかと言うと、きものの場合は帯が膨らんでいるので、生地が後ろに取られてしまうなど、色々独特なことが発生することが理解出来ないだろう、と思えました。
その時、一人の友人の顔が頭に浮かんだのです!静岡在住の洋裁士、笠井理加さん。8年前に、と或るきもの関連の展覧会で出会ってFB友だちとなり、お互いのタイムラインに時々書き込みし合うような関係が続いていました。
理加さんは洋裁の学校を卒業し、フリーランスでオーダーメード仕立てのお仕事を受けています。デザインやパターン起こしから可能で、ふだんのお写真からセンスが良いことは分かっていました。しかも、きもの好きで、自分でもきものを着ている!きものの着用感覚を肌で分かっている人でなければこの仕事は無理だと思ったので、ぜひお願いしてみよう!と思い立ったのでした。
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早速連絡を取ってみると、静岡と東京で離れているため、立ち合いの採寸や仮縫いは出来ないけれど、前述した、祖母譲りで体にぴったり合っているコートを送ってもらえれば採寸に代用できる、との返事を頂けました。
喜び勇んで古ぼけたコートを静岡へ送りつつ、お願いしたことは三つ。


私はかつて肩こりで救急に運ばれたこともあるほどの重度の肩こり症のため、軽いコートにしたい。素材はベロアを希望。

一般に売られているきものコートはどれも衿開きのデザインで、更にショールを使わなければいけないのが、荷物が増えて面倒でたまらない。肩こり人間にとっては、ショールをかけるだけでこりが倍増するという苦しみもある。衿は詰まり気味に。

さらに「今日は特に寒い!」という日には、衿を立てて着用出来るデザインにしたい。

実は、衿を立てるタイプのコートは「七緒」さんが発売していて、一時は購入も検討したのですが(下のURL)‥
https://nanaoh.jp/?pid=101661133

いかんせん11号サイズの人まで対応というざっくりとしたサイズ感。5号と7号の中間あたりのサイズの私が着ると、がばがばしてしまうのが目に見えています。
上の三つのお願いをお話しし、プラス「七緒」さんのコートのページも見てくださった上で、理加さんは制作に着手。お送りしたおんぼろコートに借り布を当て、作ってくれたのが下の写真の試作品です。最初はトルソーでの画像確認、やがて試作品が手元に送られて来て、私が着用。その写真を送って衿周りのサイズが合っているかなど、確認してもらいました↓
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下2枚の写真で、焦げ茶の部分が古いコート、紺色が、理加さんによる足し布です。もしかしたら全長は少し短い方が良いかも?とピンで留めて試してみたりもしています。
こうして、東京―静岡、200キロの距離もものともせず、仮縫い完了。待つこと1カ月ほどの後、完成品が届いたのでした♡

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そうそう、或る意味このコートの一番の特徴である、衿を立てたらどうなる?という点は…↓
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これで完全に冷気をシャットアウト出来、しかも衿の存在感がうるさ過ぎるということもない。良いところに落ち着いているのがお分かり頂けるかと思います。「七緒」さんのバージョンよりも衿はやや詰まって乗り、好みの問題ですが、よりきちんと感を醸し出せているように思います。また、丈は私のもの方が長く、暖かさが増しています。
理加さんによると、ベロアというくたっとした素材を使って、きちんと衿が立つように仕立てるのがとても難しいのだとか。「久し振りに学校時代の教科書見ちゃいました」とのこと。ご苦心、ありがとうございました! 
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更に嬉しいおまけも。あまり布でお揃いバッグを作ってくださったのです↓
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きゃー!かわいい!荷物少な目で出かけられる日はぜひこの子を連れて行きたいと思います。右のバッグは、コートと一緒に発注していた、サブバッグ。知人のおばあ様のきものを頂いた中にあった白大島風の羽織が、焼けが出ていて着られないため、きものに合うサブバッグをお願いしていました。クルミぼたん付きでかわいいでしょう?そしてそして‥
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ベロアバッグの中をめくると、白バッグとお揃いになるのです。きゃーこういう小さな工夫が楽し過ぎる!ちょっと荷物が多めの日には、この2つのバッグを持って出かけるのも良さそうです。

…ということで、この冬の一大きものプロジェクト、大成功のうちに完了!理加さんにはめったにないタイプのお仕事で苦心だらけだったと思うのですが、本当に素敵に仕上げて下さって、お願いして良かった、としみじみ。
私と同じように、Mサイズから外れて悩んでいるおちびさん、のっぽさん、やせさん、ふっくらさん、既製品よりは多少お金が張りますが、でも莫大というほどでもないのだから、時にはオーダーメードをぜひお薦めします。やっぱりサイズが合っていることが一番です!

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週末は、新作狂言舞踊会と旧白洲正子邸でのお茶会へ(着物コーデ付き) 2018/10/29



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週末は土日両日とも、きもので楽しい時を過ごしました。
土曜日は、渋谷のセルリアンホテル能楽堂にて、日本舞踊尾上流お家元の尾上菊之丞さんと狂言の茂山逸平さんの会「逸青会」の10周年記念公演へ。狂言のお衣裳と台詞回しでお話が進行していく中、三味線やお囃子が入って舞いがあり、笑いあり、ほろりとする場面ありの新作狂言が楽しく、また、菊之丞お家元の「鐘の岬」の素踊りに息を呑む素晴らしい一夜でした。
上の写真の左上は、公演終了後、仲良しの尾上流師範・尾上博美さんなど、ご一緒した皆さんと、そして菊之丞お家元と茂山逸平さんと。お二人ともお衣裳を着ておられます。

昨日、日曜日は、うって変わって郊外の町田へ。白洲正子・次郎の住居だった武相荘で開かれた不白流のお茶会に伺いました。
自然多い会場にふさわしい、どこか土の匂いの感じられるお道具組でお茶を頂き、ほっこりと楽しいひと時。上の写真の右下は、ご一緒したお友だちと。私の右は、イラストレーターの岡田知子姉様です。
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週末とは言え、フリーランスの私は、合間には仕事の原稿書きでなかなかなり忙しいため、髪の毛は、土曜日の公演前に美容院でセットし、夜はシャワーキャップをかぶって眠って持たせるという裏技に出ました。何とか乱れもなく乗り切れて(≧▽≦)
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きものコーディネイトは、土曜日(写真右上)は、一方付けの「花の丸」模様が散った、やや赤みの入った紺地の付下げに、無地に近い、鹿子模様を織り出した袋帯。そして、全所有帯締めのうち、最も気に入っている道明の御岳組亀甲を締めて。
古典でありながらモダンなこの帯締め、かなり個性が強く、帯はすっきりとさせた方が良いようです。この力強さがかわいくてかわいくてたまりません。
付下げの「花の丸」模様には、かわいらしい「向かい鳥」さんもいるのですが、今回はバタバタしていて模様のアップは撮っていません。またの機会をお待ち下さいませ。

日曜日(写真左下)は、会場が農家を改造した民芸調の住居跡であり、また、立礼ともお聞きしていたので、紬の無地で伺いました。祖母から伝わった、この手織り手染めと思われる紬は、紫と茶色の中間のような、何とも言えずこっくりとした良い色合い。着物通の方が必ず褒めて下さいますが、昨日もやはり知子姉様がこの色好きー!と愛でてくれたのでした☆
帯は、「名物裂帳」模様の袋帯。まさに裂帳のように布の断片の模様が織り出され、ご丁寧に「荒磯文」などと、名称までも横に織られています。ネットで見つけ、即購入しました。こういう面白い帯は素通りすることが出来ません。
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〆切に追われて心急く毎日ですが、二日間、楽しいことばかりで命が延びたように思います。ご一緒していただいた皆様、ありがとうございました。

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映画「日日是好日」プレミアム試写パーティーへ(新しく購入の礼装帯締めきものコーデ付き) 2018/10/05



黒木華さん主演、たぶん現代ものの映画では初めてお茶を主題にした映画「日日是好日」が、来週10月13日より公開されます。先駆けて昨日は明治記念館にてプレミアム試写パーティーが開かれ、プロデューサーの観世あすか様よりお招きいただき参加いたしました。
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映画の中で黒木さん演じる主人公のお茶の先生役を演じられたのは、樹木希林さん。
残念ながら帰らぬ人となってしまわれましたが、最後までとても楽しみにされていたのが昨日の試写会だったそうです。
と言うのも、この試写会は、ドレスコードがきもの。200名の参加者全員がきもので集合するという圧巻の会場となりました。希林さんはきものを深く深く愛されていたそうで、お茶と同様、次の世代へと必ず日本人が伝え続けていかなければいけないものだと語っていたとのこと。ただの試写会ではなく、「きもので、お茶の映画を観る」ということを重視されていたからこそ、楽しみにされていたのでしょう。きっと昨日は会場のどこかでにっこりと見守ってくれていたものと思います。
写真が、挨拶をされる観世あすかさん。主催者にふさわしい、葵文様の堂々たる色留袖をお召しです。↓
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観世さんは希林さんのお茶の点前を指導するなど、「日日是好日」プロジェクト全体にアドバイザーとして参加されたとのこと。映画中で希林さんが着用したきもののほとんどは観世さんと観世さんのお母様のものだということで、それがため息ものに素敵なのです。映画鑑賞の折にはぜひ衣裳にもご注目ください。
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↑会場中央の舞台には、座ってお茶を点てるための立礼卓が。お茶に詳しい方ならお分かりになりますね。七宝の文様は、そう、遠州流の立礼卓です。この日は遠州流の小堀宗実お家元のお点前を拝見することも出来ました。
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長年きものを着ていると知らず知らずのうちにおきもの友だちが増えていきますが、昨日も会場で、
何人もの顔見知りに遭遇しました。そのうちの四名のお友だちとパチリ↓
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小紋、色無地、訪問着、とさまざまに。私は、牡丹唐草地紋に、淡さくら色から紫まで裾ぼかしになった訪問着…なのですが、写真ではちょうどぼかしが始まるひざ下あたりが写らず色無地のように見えています。ぼかしの具合の写真は、またの機会に。
そしてそして‥昨日のコーディネイトのポイントは、新しくお迎えした帯締めです↓
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「道明」の亀甲組!面積は何分の一かでありながら帯と等しく拮抗する、まさに画竜点睛。高貴な存在感に「帯締めの王道」と惚れ惚れしてしまいます。私が偉いのではなく、帯締め様が偉い!清水の舞台から飛び降りて購入しましたが、これで一生礼装の帯締めは安心と思えば、対価に見合った買い物だと思います。本当に。
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↑そんな高貴な帯締めを次から次へと繰り出す「道明」の奥様、道明三保子先生と、昨日はご一緒していました。先生の帯締めは三井寺組。こちらも本当に素敵でまたまたまたほしくなってしまいますが‥そのためにはそう、一生懸命働かなければ‥
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↑そしてこちらは、試写会のお土産の上生菓子。我が街、吉祥寺の名菓子舗で、さまざまなお流儀のお茶会御用をつとめる「亀屋萬年堂」製。お抹茶色の餡と、薯蕷饅頭には「日日是好日」の焼き印。観世プロデューサーのセンスが光る、さすがの素敵なお土産です。

…と書いてブログを公開したところ、友人から「右のお菓子は、お茶を点てた時に出来る三日月の形を表しているのでは?」との指摘が。
確かに、その通り。つまり私のお菓子の置き方が間違っておりまして、本当は右側に濃く細長い三日月形が来るように置くべきだったのです。全く気づけなかった自分のカンの悪さにがっかりしながら、ますます観世プロデューサーの創意に感嘆した次第。皆様、どうか右側のお菓子(たぶんこなし製)は、細長い三日月が右側に来るのだ、白い縁がお茶碗を表しているのだ、つまりぐるっと時計回りに半回転のイメージでご覧下さいませ。
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さて、映画「日日是好日」は、たまたま何となくお茶を始めた二十歳の女子大生が、大人の女性へと成長していく物語。その傍らにいつもお茶があります。簡単には分からないけれど、むしろ、簡単に分からなくていい。長い時間をかけて、しかも自分の身体感覚を通して分かっていくものがあることのありがたさ。それはまさに日本文化の真髄だと思うのですが、そんなお茶のある暮らしを描いた映画「日日是好日」を、ぜひ皆様もご覧ください。

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三重県「椿大神社」へ、奉納舞いを拝見に(きものコーデ付き) 2018/09/30



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雨降りばかりで何だか気の滅入る毎日の中、奇跡のように一日だけ晴れていた一昨日28日、日帰りで三重県へ。鈴鹿市にある椿大神社へ奉納舞いを拝見に伺った。
伊勢国一宮である椿大神社は、紀元前3年創建つまりは記紀の時代に由来を持つ古いお社で、猿田彦神、そして芸能の神様である天鈿女をお祀りしている。その本殿で、この日、日本舞踊「吾妻流」宗家、二代目吾妻徳穂先生が奉納舞いをされることとなり、東京や大阪からのお客様とともにうかがった。
     *
この奉納舞いは、一般社団法人「緑麗学舎(りょくれいがくしゃ)」が企画したもの。実は、今年の春に創立されたばかりのこの真新しい法人に、文章執筆やコンテンツ企画の分野で参加している(常勤ではなく、外部スタッフとして参加)。
国に提出した設立目的に、日本伝統文化の推進を掲げる緑麗学舎。今回の奉納舞いを第一回目のプロジェクトとして動き出した。今後、染織(きもの)、日本舞踊、茶の湯を中心として、様々な企画を運営・実行していく予定なので、ぜひお心に留めて頂きたいと思う。
大きな企画として、4年後、2022年の実施予定で、出版と展覧会が連動したプロジェクトがもう動き出している。もちろんその他にも、舞踊公演や文化講座など、中規模、小規模のプロジェクトを行っていく予定なので、いつもブログを読みに来て下さっている皆様には、ご興味を持って頂けた企画にはぜひご参加頂けたらと思う。大いにご期待ください!
     *
それにしても椿大神社は大らかな素晴らしい場所だった。山一つを大きな大きなお社として、樹齢4百年、5百年の木々が参道の両側に鬱蒼とそびえている。中には1200年の命を保つ木もあるというのだから、平安時代から、一体どれだけの人の世の変遷を見て来たのだろう!
不思議なことに、今日のブログでトップに置いた参道の写真が、縦長モードで撮ろうとしていなかったのに、何故か超縦長で写っている。これも由緒ある神社の神意というものだろうか?
その本堂で、吾妻先生は、『五障――女人の情念を舞いに託して』と題し、女性の情念と執着の苦しみ、そこからの浄化を主題とした新作を踊られた。笛と箏の音の合間には風の音や滝の音が聞こえ、先生の舞いは狂おしく、やがて清々しく、自然に抱かれた中で舞踊を拝見するのも実に良いものだなと感じた。
今回のプロジェクトでは、私は、本堂いっぱいにお越しくださったお客様にお配りした演目解説のパンフレット文を制作し、中には大変熱心にお読みくださっているお客様もいらして、その姿をこっそり拝見出来たのも嬉しい一瞬だった。
奇跡のような晴天と言い、まだ歩き出したばかりの新法人「緑麗学舎」の門出の一日をこうして文句のつけようのないほど順調に過ごすことが出来た。今後もたくさんの奇跡を起こせるよう、誠心誠意取り組んでいきたいと思う。
    *

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最後に、おきもの愛好家の皆様に、この日のコーディネイトを。
きものは、淡玉子色地の裾ぼかし単衣付下げに、帯は紗の袋帯。菊と藤模様で、春単衣の時期は藤を、秋単衣の頃には、今回のように菊模様の部分を前帯にして締めている。帯締めは道明の糸竹組み。後ろに写っている立派なお社がまだ本堂ではないのだから、椿大神社の大きさがお分かり頂けると思う。

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新しい草履と帯締めで歌舞伎座へ。新作「幽玄」のことも 2018/09/23



少しだけ仕事に余裕のあるこの頃、先週は友人と秀山祭の歌舞伎座夜の部へ。先日このブログでご紹介した、浅草「辻屋本店」さんで購入の新しいお草履を初おろし。雨模様と分かっていたけれど、どうしても歌舞伎座でおろしたかったのです!
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全体とのコーディネイトとの調和は上↑の写真で。思った通り、細身でなかなか良いバランスではないかしらと悦に入っている。
同行のお友だちは、山田流箏奏者の長田悠貴能さん。何だかお揃いのきもののように見えるけれど、これは写真のマジックで、彼女のきものは、本当は私より一段濃く臙脂に寄った色合いの、万筋江戸小紋。私の方は、少し紫がかったピンク地に蛍ぼかし模様の小紋。似た色に写るのは、私たちが仲良しだからに違いない♪
そう言えば、まるで私たち二人で歌舞伎座貸し切り!のように写っているけれど、もちろんそんなことはなく、実際は幕間にがやがやとしている1階ホールで撮ったもの。歌舞伎座の係員さんが奇跡の一瞬をとらえてくださった。
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↑帯は、祖母から伝わった唐花模様の博多織。帯締めは、取材をきっかけに親しくさせて頂いている“南極料理人”こと渡貫淳子さんのお母様が手組されたものを頂いたもの!一見冠組に見えて「東雲組」という珍しい組み方。そして、一見白の無地に見えて、ブルーと赤の筋が入っているという凝っ一本で、このように筋が入るところが「東雲組」の特徴なのだろう。
渡貫さんは、最近、南極基地で振る舞っていたという“悪魔のおにぎり”のレシピがSNSやテレビで話題になり、ご存知の方も多いはず。近々私が彼女を取材した記事も出るので、ぜひご期待ください。
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この日の歌舞伎座夜の部は、大阪まで襲名公演も観に行ったのにどうしてもまだ染五郎さん、と思ってしまう新幸四郎さんの「操三番叟」、吉右衛門丈の「俊寛」、そして玉三郎丈の新作舞踊「幽玄」の三幕。
「俊寛」は、ちょうど今「平家物語」で俊寛たち一団の計略が清盛に露見して捕えられ、散々な目に遭うところを読んでいるので(ちなみに原書で読書中)、個人的に何ともタイムリー。中でも貴公子な登場人物が藤原成経で、今回その成経演じている菊之助さんが、まさに私が本を読みながらぼんやりと描いていた成経のイメージそのものでぐっと来る。ああ、そんな成経が田舎の海女なんかと‥!と感情移入してしまった。

「幽玄」は、玉三郎丈と太鼓パフォーマンス集団「鼓童」の共演で、「羽衣」「石橋」「道成寺」という、能をオリジナルに持つ日本舞踊三作を更に現代にアレンジして連続上演する。恐らく賛否両論分かれるだろうほどに、いわゆる“ぶっ飛んだ”演出で、私は踊りという芸術にはさして詳しくないけれど、西洋のミュージカルや恐らくヒップホップの要素も演出に組み込み、三匹の獅子が踊り狂うくだりはまるでジャニーズやエグザイルのショーのようにも見え‥けれど骨格のストーリーはもちろん五百年、六百年にわたって日本人が繰り返し語って来た大古典であり、それをここまで激しく、そしてエロチックな空気をただよわせて演出する玉三郎という人の大胆さに心から感動させられた。
年齢はそろそろ七十代に近く、人間国宝でもあり、格調高く守りの世界に入っていれば揺るぎない評価の中にいられるところを、ここまで振り切ってしまう。「幽玄」というタイトルをつけているけれど、これこそは「傾奇」=「歌舞伎」だった。たとえば一幕目で幸四郎さんがやった「操三番叟」だって、本来は神事で舞う「三番叟」を人形が踊ったらこうなる、とアレンジした言ってみればふざけた演目で、恐らく狂言師の方が初めて見た時は顔をしかめたであろうはずのもの。歌舞伎とは本来そういうアートであるはずなのだから、玉三郎丈こそは正しく歌舞伎の精神を生きている人なのだ、と思った。
長老の域に入りつつある役者がこんなことをやってのけてしまうのだから、おそらく下の世代へ与えた刺激や衝撃ははかり知れないはずで、歌舞伎にはまた新しいエネルギーが蓄えられていくに違いない。

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新しく草履を誂えて、そして「履物の好み」について考える(きものコーデ付き) 2018/08/29



先週、草履を新調した。
きもののおしゃれの中で、どうしても履物は後回しにされがちだが、実は着姿の方向を決める大きな要素ではないかと感じている。今日はそんな履物の好みについて、少し考えてみたい。
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何はともあれ、まずは、今回新調した草履について。
今回は、ふだんの外出からちょっといいところでの食事、くらいまでのシチュエーションで履くための、いわゆる“ふだん履き”と呼ばれる草履を新調した。きものの格で言えば、小紋やカジュアル過ぎない紬から、付下げ、しゃれ訪問着まで。お店は、浅草の「辻屋本店」さんで。
じゃーん、お店にて、箱から出て来たところが下の写真だ。鼻緒にかけられた、「江戸風はきもの處 辻屋本店」の店名入りの美しい上紙を取ると‥‥
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今回は、白地の台に同じ白地の革鼻緒で誂えた。前坪の色は、臙脂色。前坪は台や鼻緒と同色がいいという方もいるだろうし、色の前坪にする場合、特に白台×白鼻緒の純白の世界にぽつっと一つ、赤の前坪を入れる方が多いと思うが、私にはどうも赤は強過ぎるように感じられてしまう。それで、臙脂色。このあたりが、まず一つ、好みが大きく出て来るところだろう。
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台は、細型が好みだ。そして、低い台が好き。
一番好きなのが4センチ~4.5センチの台で、3センチくらいでもいい。高いよりは低い台の方がずっと好ましい。一般に、礼装の履物は5センチ以上が良いとされているが、私はそのぎりぎりの5センチで作っている。とにかく高い草履は履きたくないのだ。
もう、これは、完全に好みの世界だと思う。
高い台が好き!高い台じゃなきゃイヤ!低い台は何か貧乏くさい!という方もとても多いし、むしろ今は“高台派(笑)”の方が若干優勢のようにも感じるが、私には、どうも高い台はにぎにぎし過ぎるように思えてしまう。また、子どもっぽいようにも感じる。台にあまりたくさんの段が重なっているのも好みではない。もちろん、すべて、個人的な感覚だ。
           
そんな訳で、今回も“低台派”の私は4センチの台でお願いした。要するに、このくらいの高さが、一番すっきりとしてイキに感じられるのだ。ふだん用なので、段も入れず、一巻きで更にすっきりと。うん、気分が良い。
           *
次に問題になるのは、台の色だろう。実はもう二足ふだん履きを持っていて、一つは濃いめの銀鼠色の台、もう一つは淡い桜色にしている。
桜色の一足は、甘い色みのきものに合わせる時用に。銀鼠色は、黒や藍色系のきものや、江戸小紋などきりっとしたきものに合わせる用に。今回新調した白の台はほぼ万能選手だけれど、私はきりっと系は銀鼠くんに任せることが多いので、甘い色系統からベージュ系統ほか、その他諸々の色、また、総柄小紋などに持って来るようにしている。
下の写真は、当日お店で、女将の里枝さんと撮ったもの。ついでに帯周り写真も載せつつ、足もとに注目!
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…と書いておきながら、実は足元が写っていない。先代の白台ちゃんがあまりにもぼろぼろで今回の草履を新調したため、この日は銀鼠くんを履いて来た。私的には、淡いベージュ色のきもの×淡い紫の帯、の今日のコーディネイトには、銀鼠くんは合わない!だから写したくない!そのため、見切れているのであります。そう、履物ときものにはしっかりと相性というものがあるはずなのだ。
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ところで、もう一つ、草履には鼻緒という大切な要素があるが、もちろん忘れている訳ではない。
これまでに鼻緒もあれこれ試してみたが、今では革鼻緒が一番、と思うようになった。ベージュの台×白鼻緒など、台と鼻緒の色が違うのも良いし、今回のように同色も良い。とにかく革鼻緒が好ましく感じられる。前坪の素材も、本天(ビロード)ではなく革製が好みだ。
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結局私は、とにかく足元をすっきりとさせたいのだと思う。ビロードや帯地を使用したもの、印伝製など、鼻緒にもたくさんの種類があるが、革製以外のものは中に綿を詰めて作っているため、ふっくらとする,、その形状が、どうもボリュームがあり過ぎるように感じてしまうのだ。
もしも私の好みと真反対に草履を作るとすれば、「小判型の台(=やや横幅がある台)に、帯地の鼻緒」の一足が出来上がると思うが、その姿が目に浮かんで来る。ちょっとぽってりとした女らしさをたたえた様子は、もちろんそれはそれで一つの確固とした世界観だし、そういう草履を履きたいという人がよくいるのもとてもよく理解出来る。
でも、私は、とにかくすっきり型がいい。それはもしかしたら私が小柄のやせ体型だということとも関係があるのかも知れないが、とにかく、細台に、革鼻緒。そして高さは4センチほどで。ふだん履きなら前坪だけにぽつっと色を入れるのが、シンプル過ぎなくて良い。シンプル過ぎるスタイルというのも、貧相と言うのか、それはそれで野暮に思えるのだ。
…と、こうして改めて我が身、いや、我が足もとを見つめてみると、思った以上に好みが色濃く表れて来るものだと思う。さて、あなたはどんな足もとで歩いているだろうか?


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廣瀬染工場100周年記念展覧会へ 2018/08/13



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先週末は、表参道「ジャイル(GYLE)ビル」で開かれている、江戸小紋の廣瀬染工場100周年記念展覧会「亜空間として形成する伊勢型紙・江戸小紋の世界」にお伺いしました。

廣瀬染工場は、東京の染めの町・落合に、大正7(1918)年に創業。現在は、お歳七十代の三代目廣瀬雄望さんと四十代の四代目廣瀬雄一さんのお二人にお弟子さんも抱え、全国のきものファンに江戸小紋を届けています。
江戸小紋のことは、多くの皆さんがご存知かと思いますが、私のブログには染織ファン以外の方も訪問くださっているので少しだけご説明すると――、文字通り、江戸時代に生まれた、型紙を使って染める「型染め」の技法で、遠目からは無地に見えるのに近寄って見ると極小の柄が一面に染められているのが分かるという、いかにも江戸っ子らしい、しゃれた美学に満ちた染めものです。
      *
廣瀬雄一さんと初めてお会いしたのは、10年程前でしょうか。
その頃の私は一きものファンで、まだ染織関係の取材をしたことはなく、いつかはきっと‥と夢見ていた頃でした。その後、念願かなって2回の取材の機会がめぐり、特に2014年の「いろはにキモノ」誌では、6ページにわたり詳細な特集をお送りすることが出来ました。正に夢がキラキラと思い通りに実現した、忘れられないお仕事です。
そして、このお仕事の記念に、我が家でも廣瀬さんのお着物を一枚持とうということになり、母とともに、後日プライベートで工房を訪問したことも楽しい思い出です。あれこれ反物や型紙を見せて頂きながら、「柳縞」という、これもまさに江戸小紋らしい江戸小紋、柳の葉で縞模様を表したイキな反物を求めました。着ていると「かっこいいねー、そのきもの」と目の高い人は必ず声をかけてくれるハンサムな一枚。過去に着た時のコーディネートは下のURLからご覧ください。
http://www.maya-fwe.com/2018/01.html
     *
そんな廣瀬さんの工房の百周年。私の想像では、お家でお持ちの4千枚!にも及ぶ型紙を展示したり、江戸からの伝統の柄から新作柄の小紋まで、反物をずらりと並べて展示するのでは?‥と思っていたのですが‥まったく予想を裏切られ、現代アートの展覧会と言って良い、新たな視点で江戸小紋をとらえる素晴らしい内容でした。
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展覧会は、大きく3室から構成されています。
第一の部屋では、きもの完成形に仕立てられた“廣瀬江戸小紋”の最新作3枚を展示。
と言っても一ひねりのある作品ばかりで、たとえば下の一枚のように‥
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「鮫」という、江戸小紋の中で最も格式の高い伝統柄をベースに、裾と袖に、大正から昭和初期、モダンきものの時代のペイズリー柄を差し入れた一枚。この頃は極小柄ばかりではなく、「中型」と言って、大きめの柄の江戸小紋も良く染められていたのですが、その型紙を使い、江戸と大正を平成の美意識がつなぐ、まさに廣瀬雄一の江戸小紋、と言える一枚に仕上がっています。
…とこの調子で、他の二枚もご紹介したいところですが、ぜひ会場で、ご自分の目でご覧頂きたいと思いますので、敢えて控えておきます。染め職人であるだけではなく、廣瀬さんはデザイナーでもあるのだということを見てとることが出来る第1室です。
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ところで、今回の展覧会は、建築家の長坂常さんをクリエーティブディレクターに置き、謂わば“異種格闘技”が行われていることも見どころとなっています。
気鋭の建築家として活躍する長坂さんはきものファンでも何でもなく、これまで江戸小紋についてほとんど知識をお持ちでなかった人。そんな21世紀のアーティストが初めて江戸小紋に向き合い、どんな可能性を見出したのか?――今回の展覧会そのものが江戸小紋の新しい可能性を提示する仕掛けになっていて、それはつまり、伝統技術の新しい可能性を提示することと言えるでしょう。先に「現代美術の展覧会だ」と書いたのはこのためです。
    *
特にその意識を感じたのが、第2室。
ここで長坂さんは、江戸小紋の「ノイズ」に注目しました。入り口には、下のように江戸小紋の型紙が展示されています↓
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よく近づいてみると、これらの型紙は、使い過ぎて破れていたり、極小のドット模様のあちこちが、訳あって彫り込まれておらず、抜けのある型紙になっていたり‥
江戸小紋を制作する過程で、型紙職人、染め職人がそれぞれ「エラー」としてはじくはずのこれらの「ノイズ」に敢えて注目してみたらどうなるのか‥?
たとえば、下の写真は、破れてしまい、テープで補修してある型紙を敢えて使用して染めたものです↓
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茶の湯の世界に、均整のとれた整った茶碗から、敢えて形をデフォルメをしたり表面の生地を整えない状態を良しとする「やつし」の美意識が存在しますが、この反物にはそのやつしの美が表れているように思えました。
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その他にもこの第2室には「江戸小紋のノイズ」が引き起こす新たな可能性、新たな美があふれています。ひとり染織の世界のみではなく、他分野のアーティスト、工芸家にとっても大きなヒントを得られる展示となっていますので――ここも敢えてすべての作品を紹介することはしません――ぜひご自分の目でご覧になって頂きたいと思います。
      *
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第3室は、廣瀬さんが、江戸小紋の「超絶技巧」とも呼べる極限の技術に挑戦した作品を展示しています。そもそも江戸小紋という技法自体が、極小柄を彫り、それをきっかりと染めるという、極限の技術の世界。それをさらに押し進めた未知の領域に挑んでいるのです。たとえばその一つが、下の反物↓
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100周年を記念して、廣瀬さんが新しく彫りの職人さんに依頼して制作した新柄の型から古典柄の型まで、100種類の型を一枚の反物に染めているのですが‥普通は反物に対して正体に置く型紙を、敢えて斜めにずらして置いて染めています。1枚の反物に100枚の型紙を次々と置いて100型分を染めるだけでも手間がかかること極まりないのに、それを斜めに置いてきっちり柄をつないでいくのにどれほどの神経を使うことか‥。正気の沙汰ではないような試み、彫りと染めから成る江戸小紋が為し得る最高度の超絶技巧がこの部屋にはおさめられていますが――こちらも総ては紹介いたしません。ぜひご自分の目でご覧になって頂ければと思います。
     *
廣瀬さんの江戸小紋には、目の醒めるようなエメラルドグリーンなど、鮮やかな色や少しくすみのある淡い紫やペパーミントグリーンなど、実は、繊細で多様な色のバリエーションを味わう楽しみもあります。けれど今回の展示では、敢えてほぼ黒と白の江戸小紋でまとめることによって、「次の100年へとつながる江戸小紋の可能性を見せる」という思想が際立ったように思います。
伝統でありながら新しい表情を帯びた江戸小紋の過去―現在―未来を見渡す展覧会は、26日まで。ぜひ足をお運びください。

廣瀬染工場×長坂常
「亜空間として形成する伊勢型紙・江戸小紋の世界」
8月26日まで 
表参道GYLEにて11:00~20:00 入場無料

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おまけの画像は、廣瀬さんから頂いた100周年の記念扇子と、会場にて、廣瀬さんと。扇子は打ち出の小槌と鯛のお目出たい柄。大切に大切に、使っていきたいと思います。


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お花とお茶の週末(きものコーディネイト付き) 2018/07/02



日々かなりの頻度できもので出かけているのですが、最近はなかなかブログに上げる時間がなく‥久し振りのきものコーデ付き日記です。
昨日、日曜日は、お花の展覧会とお茶の稽古にきもので出かけました。
まず、神楽坂の古民家ギャラリー「アユミギャラリー」で開かれている華道「相阿弥流」の社中展へ。大学時代の同級生が出瓶しているため拝見に伺いました。
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↑こちらがその同級生、小嶋慶樹くんの作品。紫陽花の花を360度どこから見ても形になるよう生けています。全部で十二色の紫陽花の色を楽しめ、また、西洋のフラワーアレンジメントとは違い、枝に長短を付けている=つまり、でこぼこがあること、また、全体に非シンメトリーに角度を取っていることが特徴となっています。私は面を埋め尽くすような西洋の生け方はとてもつまらないなと思って苦手なのですが、このように、日本の生け花の感覚を生かした生け方は大変素敵だなと感じました。同級生が良い花を生けているのを見ると、私もまたお花を頑張らねば‥と大変刺激になります。

相阿弥流は、室町時代に足利義政に使えた同朋衆・相阿弥を流祖とする由緒ある流派。他の皆様も、立花の伝統を踏まえつつ現代感覚のあるお花を生けておられ、やはり大変刺激を受けました。こうやってお花を拝見していると、自分は生け花がとても好きなのだということをしみじみと実感します↓
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また、同じ敷地内にある「アユミギャラリーCAVE」では、家元である横地光先生の絵画+花の個展も同時開催されています。
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先生は横地画抱の名を持つ画家でもあられ、最新作が並んでいました。以前拝見した時には具象的な絵も多かったように記憶していますが、今回はすべて抽象画。様々なイメージが喚起される素晴らしいものでした。花との調和も楽しめるのが、先生ならでは。2枚目の写真の花器に使っているのは、旧家に所蔵されていた食籠とのこと。同朋衆の魔法で、蓋を開けたら花がすっくと出てきたようで‥面白い使い方ですね。

こちらが横地先生です↓
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相阿弥流花展+横地先生の個展は、明後日4日までの開催です。神楽坂方面にお出かけの際はぜひお運びください。

          *

ところで、この日の私のきものは、ベージュの絽の蛍ぼかし文様の小紋に、黒字の花火の柄の染め帯。小嶋くんの作品と一緒に撮って頂きました↓
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帯周りの寄りも‥と思ったら、久し振りのせいでしょうか、ぶれぶれに‥。帯揚げには玉子色を入れているのですが、写っていないし‥次の機会にはもっとしっかり自撮りを頑張りますっ。
そして、お茶のお稽古へ。
七月は毎年恒例の冷水立ての稽古。「雅柳園」の「涼夏」を氷水で点てて頂き、何しろ暑い一日だったので大変美味しく頂いたのですが‥この稽古では茶巾を千鳥の形に折る、という不器用人間には難関が待っておりまして、去年も習ったのにすっかり忘れており、先生と並んで一同稽古。しかし何と言っても私の千鳥が最も不格好で皆さんの笑いを誘うのでした。いいんです、子どもの頃から慣れていますから。
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↑点前が終わった時の状態が、こちら。ガラスの水指に、最後、自分の扇子を広げて退出します。このために撫子の扇子を用意して‥なんてことが楽しいのです。
今年の夏はきもので外出の予定も盛りだくさん。なるべくブログでご紹介出来るよう努めたいと思います。


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神楽坂で小さなきものの会を始めました 2018/04/10



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先週末、神楽坂にて、きものについての小さな勉強会を開きました。
「神楽坂きもの文化塾」というこの会は、上野池之端「道明」の当主夫人で服飾史研究家の道明三保子先生と、「美しいキモノ」で長年染織の現場の取材をされ、今はフリーランスで活動されている富澤輝実子先生、そして私、西端の三人で主宰しています。道明先生が塾長で、私はもちろん平の事務方であります☆

「道明」は長年、池之端で組紐の教室を開いていますが、神楽坂にも分校的な教室があり、その教室が空いている時間帯を使い、二カ月に一度ほどのペースできものときものにまつわる様々な物事を学んだりワイワイと話し合ったりする場を作ったらどうだろう‥そんな話が三人で食事をしている時に何となく話題に上り、あれこれとプランを練った後、実現の運びとなりました。
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第一回目となった今回のテーマは、「まるごと結城紬」。
これまでに20回近く!結城での現地取材をしている富澤先生が、紬って何?という基本のきから、現地に足を運び様々な人脈をお持ちだからこそ知り得た生産体制の裏事情のようなディープなお話、また、手織りの結城と機械(動力織機)の結城の見分け方と着分け方(決して機械で織った結城が悪いものだという訳ではないのです)といった深い知識まで、充実の講義となりました。
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座学の後は、富澤先生と道明先生がお持ちくださった結城と結城縮みを実際に触って頂き、布の感触を覚えて頂く時間。
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また、開催前に、お手持ちの結城や、結城かな?と疑問の着物や端切れを持って来ていただくよう呼びかけていましたので、そちらを富澤先生に見て頂く“鑑定タイム”も楽しみました。
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毎回、神楽坂周辺の和洋アジアスイーツでお八つタイム♪も、私たち三人がぜひ実現したかったこと。
一回目の今回は、飯田橋「萬年堂」の「御目出糖」を。東京友禅作家、着付け師、和裁士、きもの店経営といったきもの業界人の方からきもの愛好家、初心者の方まで、小さな教室ですので十人ほどで、和気藹々と過ごした2時間半となりました。
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「神楽坂きもの文化塾」は、今後も長くゆっくりと、小さく、でも深く掘り下げた内容で続けてゆく予定です。お代は頂きますが、ごくリーズナブルに。塩沢や大島など各地の紬、絹糸の話、組紐(帯締め)の種類と歴史、シルクロードを通じた布や模様の伝播の歴史、髪型講座、ワンポイント着付け講座、みんなでワイワイ帯と帯締めコーディネート茶話会(道明の帯締めを使って!)‥などなど、きもの愛に満ちた内容をお送りする予定です。
ご興味のある方はご案内状をお送りしますのでご連絡ください。ただし、営利宣伝目的や、自分が自分がと質問時間や懇談時間の大半を自分の話に使ってしまうような自己愛丸出しの方は、ご遠慮いただきますよう。なごやかでさわやかな時間となるよう、事務長の西端が厳しく目を光らせております☆

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立春の日に初釜へ(きものコーディネイト付き) 2018/02/06



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 先週の日曜日、立春の日、お招きを頂き武者小路千家「両忘会」のお初釜に伺いました。
 実は、一月最後の二週間はたまたま四誌の〆切が重なってしまい、毎日相当の精神の緊張が続いていました。その荒波がすべて引いていく日をまるで知っていたかのように、随分前からご招待を頂いていたこの日の初釜がめぐり来るとは!晴れ晴れと、そして清々しい気持ちで会場の三田「水光庵」へ向かったのでした。
         
 この「水光庵」のことは、食通の方ならよくご存知かもしれません。「嵐山吉兆」で長年料理人を務められた石田知裕さんが独立して開いたお店で、三田のマンションの一室にあります。本格的な茶室と、椅子で頂けるお食事の部屋とを備えた懐石料理店で、紹介者なしには訪ねることの出来ないお店。もう今回の機会が楽しみで楽しみでたまらなかったのでした。
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↑当日は、待合(こちらも椅子席です)で、まず主菓子を頂きました。日本橋「日月堂」製のこちらの銘は、「LEON」。今日のご亭主であり、「両忘会」主宰の武者小路千家お家元直門・有吉登聖先生の愛犬レオン君が、野原に遊ぶ姿でしょうか、戌年にちなんで親バカぶりを発揮されたお菓子に、楽しい初釜の幕開けとなりました。
 またこのお菓子が、ほのかに抹茶の味がしたような?複雑なお味で美味しいのです。私は大の甘党、且つ、大の大の練り切り好き。現在、都内の菓子店の練切を食べ比べているので、大変気になりました。近いうちに「日月堂」へ足を運び、季節の練切を買い求めてみようと思います。

 そして、本席へ。
 都心のマンションであることを忘れてしまう清々しいお茶室に、お床には荘重な表装のお軸がかかっていました。
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↑こちらは、後からご説明を伺ったのですが、戦国武将細川幽斎が、梅の美しさとその梅のように永遠に有吉家が栄えてゆくことを詠んだ歌を、お軸にしたものだということです。
 実は、有吉家は、代々肥後熊本藩の家老を務め、明治以降は男爵に列せられた名門。主君である細川家が家老の有吉家を思い、その繁栄を寿いだ歌。しかも梅を詠んでいる、ということで初釜に掛けることとされたのでしょう。
 もちろん「どうだ、僕の家ってすごいだろう」と自慢されている訳ではありません。このお軸をともに見る、私を含め今日の客人全員が梅の花のように咲き誇りますように、という願いが込められていることを感じます。しかも私は戦国時代好きの・布好きと来ていますので、博物館のガラス越しではなく、じかに、しかも当時のままという表装で文武ともに長けたことで名高い有名武将の字を拝見出来ることに、もうこれだけで、「今日、ここへ来られて良かった!」と感激で胸がいっぱいになりました。
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↑そのお軸の下で、美しい雪松の絵の袱紗に載っているのは、初釜恒例の干支の香合です。こちらは和田桐山の作とのこと。
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↑その横には、有吉家伝来の『源氏物語』の冊子が飾られていました。皆様もよくご存知の通り、『源氏物語』には五十四帖があり、そのどこを選ぶか、というところに亭主からメッセージがかくされている訳ですが、この日置かれていたのは、『若菜』の帖。源氏の栄華が頂点に達していた一時期を描いた帖で、ここにも、我々客人の今年一年が輝かしいものであるように、という先生の温かい願いが込められていました。
 ちなみにこの冊子、有吉家のお姫様が書かれたものとのこと。武家のお姫様がどのような字を書かれるのかゆーっくりと拝見したかったのですが、他のお客様もいらっしゃることですし、そこはぐっと我慢の子でありました。
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↑お床で更に感じ入ったのは、こちらの竹花入れ。有吉先生が自ら作られたもので、少し斜めに曲がった面白い竹に巡り会われ、そこを上手くお使いになったということなのでしょう、単に侘びというのではない力強さのようなものを感じました。
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↑そして、点前座には、このようなお道具組が。
 天板と下の台が扇の末広の形をした「末広棚」に、雅やかな六色の組紐が下がり、お棗は、こちらも新春らしい梅の柄。いかにも新年を寿ぐ雰囲気がただよい、初釜と言うと「島台」と呼ばれる金銀揃いの浅いお茶碗を使うことが定番なので、ああ、ここに島台が運ばれて来るのだろうなと思っていると‥
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↑意外なことに、先生が持ち出されたのは、戦国時代の荒々しい気風のたまものである、黒織部の沓茶碗。大変に強い色である黒色に、ぐしゃっとつぶれた形をした茶碗のことをこう呼びます。人間国宝・荒川豊蔵の作で、銘は「随縁」。武者小路千家若宗匠のご齋名でもあるかと思います。有吉先生より、本日ご招待を頂いた我々客の一人一人に向かっての、今年も縁を深めていきましょうというメッセージ。しかもそれが織部茶碗だからこそ大変に力強く伝わって来るように思い、嬉しい気持ちになりました。
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その茶碗へと抹茶を振り出すのは、爽やかな白の茶入。こちらは、朝日焼きの窯元朝日豊齋の作。「陽光」と名づけられた通り、裾の部分にかすかに光を感じさせる釉薬の動きがあり、立春、つまりは日本人にとって本来の初春である旧暦の年の初めの今、これから春に向かってゆくことの喜びが表されていました。
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↑こちらの写真は、お点前中の先生のお姿。他にももっともっとご紹介したいお道具が数々あるのですが、すべてをご紹介することはさすがに長大になり、難しいのが残念です。
 お茶と言うと、お茶をされない方は、ただひたすら点前のことだけを思い浮かべ、礼儀作法を学ぶことと考える方が多いと思うのですが、本当は、道具とその組み合わせを通じて客人にどのようなメッセージを伝えるか、それをまた客がどう受け止めるか、というところに真髄があるかと思います。
 そんな中、今回のお席を拝見して伝わって来たのは、武家の美意識だったように思います。正月の寿ぎの雅やかな空気はもちろん保ちながら、定型よりもやや力を感じさせる道具をところどころに配し、そこに亭主の個性がある。文を解しながら武の力の重要性を知っていた武家の美学が表れているように感じ、大変面白い一時を過ごしました。
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↑こうしてお濃茶、お薄と頂いた後は、お部屋を移り、「水光庵」の点心を。京都仕込みの上品な味付けがすっと喉に通り、ああ、口福です。
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↑中でも感動したのが。こちらのお椀。お味噌の味の出方が強過ぎもせず控えめ過ぎもせず、それは出しとの兼ね合いから来るものだと思うのですが、もう絶妙なのです。この一碗のためだけでもまた訪れたい!
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↑こちらは、点心の前に、先生、そしてご一緒した皆様と。僭越ながら先生のお隣りに座らせて頂きました。私の向かって右隣りの方は、漫画家の桜沢エリカさん。「両忘会」でお茶を学ばれています。桜沢さんのことは、昨年のちょうど今頃、「クロワッサン」の連載「着物の時間」で取材をさせて頂きましたが、その一年後にこうしてお茶をともに出来るとは‥!
 不思議なことですが、私自身は江戸千家のお茶を習っていますが、この数年、何故か武者小路千家の方とご縁を頂くことが多いのです。昨年は、桜沢さんだけではなく若宗匠の取材もさせて頂きましたし、「両忘会」には他にお二人、親しくさせて頂いている着物つながりのお友だちがいます。更に、最近動き始めた或るプロジェクトの長も、武者小路千家の高弟の方。まさに今日の茶碗の銘の「随縁」というものでしょうか。一つ一つのご縁を大切にしたいと思います。

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 最後に、恥ずかしながらこの日の私の着物の詳細を。
 全体の着姿は上の集合写真でご確認頂けたと思いますが、着物は、ごく淡い明るいグリーン地に松や波、苫屋などを描いた海浜風景の訪問着。きもの仲間のお友だちから、大変なお友だち価格で譲って頂いたものです。Kさん、ありがとうございます!この地色は顔を明るく見せてくれるようにも思い、大変気に入っています。
 こういった格の高い柄行きで、しかも季節に関係のないモチーフ、更に地の色の主張が強くない、という訪問着は、どのような季節のどのようなフォーマルの場でも対応可能な、万能の一枚ですね。更にその万能度を高めるために、染め抜きで一つ紋を入れました。何かあればこれを着て行けば良い、と、とにかく安心。心の安定剤的一枚となっています☆
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↑帯周りは、こちら。ふだん、私は、帯ときものにやや色のコントラストをつけた取り合わせが好みなのですが、この日はあくまで場に溶け込む装いにしたいと考え、同系色の帯を択びました。祖母から伝わった龍村平蔵の一本で、金糸を使っていますが、印象は控えめ。格の高い桐竹紋を織り出しています。帯揚げは綸子地の白、帯〆にだけ少し色を入れました。貝の口組で亀甲柄を組み出したもので、「渡敬」製です。

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桜沢さんをはじめ、ご一緒した皆様とのお話もとても楽しく、後炭点前が上手く行った社中の初釜に続き、今年は茶運(?)が良いような気がいたします。両忘会の皆様、連客の皆様、そして、有吉先生、ありがとうございました。

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初釜と書き初めの日のきもの 2018/01/11



今年最初のきもの日記です。いかにも新年!な行事、初釜と書き初めに着物で参加しました。
まず初釜の日‥と意気揚々ご紹介したいのですが、何と着姿の写真を撮り忘れてしまったので、置き撮りで。新年早々すみません‥。一カ月後にまたこのきもので茶会に行く予定があるので、着た状態の写真は、そこまでお待ち頂ければと思います。その時は帯を変える予定です↓
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きものは、綸子地に松のある海浜風景の一つ紋訪問着。きもの仲間のお友だちが数回着たものを、お安く譲ってくれました(紋は自分の家の紋に変えています)。とてもきれいな状態で、ありがたい。こういった格の高い柄行きの訪問着を一枚持っておくと、とにかく安心ですね。
帯は、「織悦」製。新古品で購入したものです。私の持論は、「きものファッションでは、紫が万能色」。ピンク系、青・緑系、グレー・黒系、黄色系、合わない色の傾向というものがありません。なので、この帯を見つけた時は、即購入。菊や桐を織り出しており、超古典でありながらすっきりとした印象。こういう雰囲気の帯やきものがたまらなく好きです。
帯締めは、お茶の先生に頂いたもの。先生に実際にコーディネートの中で使っているところをお見せしたかったことと、初釜なので、華やかさを加えようと択びました。
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今年の初釜で、私は「後炭」という点前を仰せつかりました。要するに炉に炭をつぐ点前なのですが、あれこれ手順があってややこしいのです。一つ何かをしては羽箒で掃く、ということを繰り返すので、自分が今どこをやっているのか分からなくなりがちです。
しかもこの点前、ふだんの稽古ではめったにしないものなので、全然まったく覚えていなかった‥更に我が家の和室は炉を切っていないため、エアーで稽古するしかない!幸い、以前、先生から不要になった炉縁を頂いていたので、それを畳に置き、深~い底があるつもりで年末年始、稽古に励みました。
上の写真がその稽古で使っていた道具なのですが、この釜、実は陶器製です。祖父の形見の奈良・赤膚焼き松田正柏作で、陶器製の釜は結構珍しいのではないでしょうか。その横の炭斗(籠のこと)、火箸、環は、何しろ家に炉がないため持ち合わせがなく、ヤフオクでお安いものを揃えました(何しろ稽古用ですから‥)。炭は、一回分のセットを購入して。いやはや点前のお役目が割り当てられると大変です。

でも、その甲斐あって、本番はノーミスで終えることが出来ました。実は、お茶を習って8年ほどでしょうか。何度も温習茶会や初釜で点前を経験して来ましたが、ノーミスは今回が初めてのことでした。お茶をされている方ならうなずいて頂けると思いますが、点前の座に座ると、必ず何かしら小さなミス(や大きなミス)をしてしまうものなのです。しかし今回は気持ちよく「羽生、ノーミスの演技です!」的な点前に。今年は良いことあるかしら、と、単純なので気を良くして稽古に励みたいと思います。

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きものコーデ、二つ目は、書き初めの日に着たコーディネートです。
私のこのブログでも何回かご紹介している、青山の工芸ギャラリー「イトノサキ」で開かれた書初め会に参加しました。友禅作家であり、書の先生でもある桑原牧子さんに指導して頂きながら、書き上げたのは、「完」という一文字。新年から「完」なんて、もう今年も終わり?と突っ込まれそうですが、今書いている作品を書き上げる、という決意を込めて。有言実行となるよう精進いたします。

帯周りはこちら↓
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きものは、江戸小紋。帯は、羽と糸を染めた名古屋帯。ともに、模様の詳しい説明については長く書きたいことがあるので、後日のブログをお待ち下さいませ。
帯揚げは、そう、秋の丹後旅行で「小林染工房」で染めたものを初下ろししました。きものの色とちょっとトーンの違うグリーン系が入ることで、良いコーデになったかなと気に入っています☆
      *
この日は、書き初めの後、そのまま「イトノサキ」で新年会が開かれました。実はこの日は、あの「振袖事件」が勃発した日。オーナーの畔蒜恵さんがきものショップ「くるり」の出身ということもあって、会には同じ「くるり」出身者やきもの関係者が多く、あまりにも悲しい事件にみんなでため息をつきましたが‥、それでも、一筋のあたたかい光が。中に一人、現役の「くるり」社員の方がいたのですが、「私、うちの会社で何か出来ないか、明日話してみる」、と。その結果が、こちらです↓
http://kururi.tokyo/news/20180109.html

そう、「くるり」では、被害に遭われた方への着付けレンタル、着付け、撮影、全額無料。(1月中に申し込み)何という太っ腹でしょうか。
もしも周りに被害を受けた方がいらっしゃったら、ぜひこの情報を教えてあげてください。
今回の事件については、思うことが山ほどあります。実は事件直前の6日に書き上げ、編集部に送った或る原稿で、まさに「振袖はこのままで良いのか?」ということを書いていました。その雑誌「ぶ」は、3月上旬に創刊、発売されます。こちらもぜひお待ち頂ければと思います。

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「クロワッサン」誌にて、常盤貴子さんの"着物の時間"を取材しました。 2017/12/25



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本日発売のマガジンハウス「クロワッサン」誌での連載「着物の時間」にて、女優の常盤貴子さんを取材しました。
私のブログやFBを読んでくださっている方々の中には、NHK「京都人のひそかな愉しみ」のファンの方、多いと思います(私も大好きで、NHKオンデマンドで何度も繰り返し見ています)。
今年の春まで続いた第一シリーズでその女主人公・三八子を演じた常盤さん。
「京都を体現する女性」という、全国の着物好き・和文化好きが鵜の目鷹の目で見つめる難役を見事に演じ切られましたが、その背景には、常盤さん自身が大の着物好きで、ふだんから着物を楽しんでいらっしゃる‥という素敵な事実があったのでした。
取材当日は、一見無地に見えて実は‥?な素敵な結城紬で登場。ぜひ誌面でご覧ください!

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丹後より、帯揚げ届く(相当かわいい♪) 2017/12/08



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一足早く、かわいい箱に入ったお年玉が届きました。
先月の丹後旅行で染め体験をした、小林染工房。その後蒸しなどの作業をして頂いていましたが、昨日、完成品の帯揚げが送られて来たのです!
工房で染めていた時は一段濃いブルーグリーン色だったものが、小林さんから現場で教えられていた通り、後処理を終えるとやや淡くなり、希望の「青磁色」に。企図していた「青磁色×渋過ぎないグレー」の帯揚げに仕上がり、もーーー大満足です。
この色に決めるまで、薄紫×山吹色?鶸色×焦げ茶?などなど悩み過ぎて小林さんに事前に希望の色をお伝えしておかなければいけないのに決めることが出来ず、ようやく出発前日の夜にメール送りした…ほど悩んだかいがありました。
しけ引きによる細縞(生地の地紋が横縞のため、光の加減によっては格子にも見える)×太縞の組み合わせも、かなりおしゃれではないでしょうか☆

このグレーの縞は、実際に帯枕にかぶせて胸の前まで回すと、ちょうど左右の胸の下あたりに来るよう、位置を決めて染めました。一緒に旅したお仲間に協力してもらい、しっかりとメジャーで計測した成果。実際にきものコーディネートの中に入れると、相当おしゃれな見え方になるはず。うん、商品化したらきっと売れると思う!小林さん、この色、この柄の組み合わせで制作してもOKですが、マージンは10パーセントでお願いしまーす笑
…と、冗談はさておき、さてさて、どんなコーディネイトで着こなすか?一緒に染め体験をしたみんなで各自の帯揚げ披露の新年会をするという話もあり、まだまだ丹後旅行のウキウキが続いています♪

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織りと染めの工房をめぐる丹後旅行記~~2泊3日着物着回しコーデ付き 2017/11/30



先週、2泊3日の旅程で丹後を訪ねていました。丹後と言えば、この季節「蟹!」を思い浮かべる方が多いと思うのですが、着物好きの脳裏に真っ先に浮かぶのは“丹後ちりめん”です。最も一般的な着物の素材であるちりめんを、丹後の人々は江戸時代から織り続けて来ました。
今回は、東京から、東京友禅の模様師(着物や帯の図案を描き、染めも行う職人さんのこと)二名、和裁士一名、着物愛好家四名、そして染織分野の取材をすることの多い文筆業の私‥という全員女性八人、着物愛にあふれたメンバーで旅することとなりました。

90年代、バブルの頃までは、ガチャンと織機を動かすと千両万両のお金が入る、ということで“ガチャマン”という言葉があったほどに景気の良かった丹後。着物の衰退とともに現在では生産量も激減してしまっていますが、それでも踏ん張っている織元もあります。また、ちりめん以外にも、織り・染めの個性的な工房が幾つもあるということで、蟹も楽しみにしつつ、見学ツアーに出かけたのでした。

草木染め紬工房「登喜蔵」へ

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最初に訪ねたのは、草木染・ずりだし糸の紬工房「登喜蔵」さんです。
こちらの工房を営んでいるのは、佐橘時男さんと朝子さんのご夫婦。実は佐橘家は代々ちりめんの白生地問屋を営んでいた名門で、その反物は「千總」だけにおろされていた…というのですから品質の高さがうかがわれます。
その当代である時男さんと朝子さんが家業を閉じ、心の導くままに糸と布に取り組んで生まれたのが、現在の「登喜蔵」の織物です。
「ずりだし」とは、繭から直接糸を取る方法で、一旦真綿にして取る方法や座繰り方式よりも、更にプリミティブな方法と言えるかと思います。更に「登喜蔵」さんが面白いのは、繭自体を染めてから糸を取っているということ。繭の外側にあった糸と奥の糸では染料の浸透度が違うため、糸自体に濃淡が生まれます。その味を活かした織物を作っていらっしゃる訳です。
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染料はすべて自然の草木染。今回現地に行ってみて分かったのですが、丹後と言うと日本海を思い浮かべがちですが、上の写真のように多くの山に囲まれている土地なのだなということ。その山や野に自生する草木の、最も良い色が出る時期を見きわめながら、「登喜蔵」さんの染料は作られています。
その色合いも風合いも、ご夫婦の生き方そのもののように、一つも無理のないおだやかでふっくらとしたもの。一枚目の写真、また下記のページにも作品や糸がたくさん載っていますので、ぜひご覧ください。
https://www.diners.co.jp/ja/magazine/s00348/

登喜蔵さんのホームページはこちらです
https://tokizo.jimdo.com/


縫い取りちりめんの「柴田織物」へ

二箇所目に訪れたのは、「柴田織物」さん。手織りの機のかたんという音が耳に優しかった「登喜蔵」さんから一転、こちらは、ガチャンガチャンガチャンというすさまじい音量とスピードで巨大な織機が動いています。
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上の写真がその機械を撮影したものですが、緯糸(よこいと)の動きがあまりにも速過ぎて、線のように写っていることがお分かり頂けると思います。
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こちらの写真は経糸(たていと)に寄ったもの。着物一反につき、1500本以上の経糸が通ります。
ここでは、丹後ちりめんの中でも「縫い取りちりめん」と呼ばれ、まるで染めで絵を描いたように複雑な模様を織り出したちりめん生地を織っています。主に色留袖として使われてることが多く、下記の「柴田織物」さんのホームページから作品例を見られるのでご覧ください↓
http://www.shibata-orimono.com/c03/

これらはほんの一例で、模様部分の色を変えることも出来るし、このページでは白地に模様が載っていますが、例えば地の色を紫色に変えれば全く見え方は変わって来ます。また、完全なオリジナルな一点ものの柄を織ることも可能とのこと。下の写真は、色留の下絵の紙を当てて説明してくれている社長の柴田祐史さん。相撲の化粧まわしではないですよwこんな風に裾にリンパ模様の入った色留袖、とても格式が合って素敵ですね。紫や深緑色の地色、或いはベージュなども素敵かも。一枚持ちたいものです↓
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「柴田織物」さんではほかに、紋意匠生地も織っています。色無地の生地となるものですね。また、この日は、京都の有名織元からの注文で織っているという袋帯も見せて頂きました。こちらでしか出来ない複雑な織物を織る技術があるため、注文が来るのですね。市場に並ぶ時はその織元の名前となりますが(柄や織り方の指定はあくまで織元が行っているため)、実際に織っているのは「柴田織物」さんという訳です。
更に感銘を受けたのは、先日、パリコレに参加しているフランスの有名メゾンのデザイナーが直接「柴田織物」さんを訪ねに来た、というお話。やはりここでしか出来ない織りがあるということで、次のパリコレ用の生地を注文して行ったのだそうです。「柴田織物」さんの優れた技術が世界に認められている、ということですね。嬉しくなるお話でした♪

日本海の海の幸で懇親会

この日は「守源旅館」に宿泊。とても雰囲気のある素敵な旅館です。
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夕食は、佐橘さんご夫妻、柴田さん、そして翌日訪れる予定の「小林染工房」の小林知久佐さん、「遊絲舎」の小石原充保さんも加わって懇親会。蟹をはじめ、丹後の海の幸の鍋に舌鼓を打ちました♡
蟹ももちろん美味しいのですが、丹後では沿岸でぶりの養殖が盛んで、絶品です。皆様も丹後旅行の際には、ぶりを、ぜひ。

「小林染工房」で帯揚げ染め体験

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丹後二日目は、朝から「小林染工房」へ。
http://kobayashisomekoubou.jp/

着物の世界で「引き染め」と呼ばれる、刷毛による無地染め。また、「しけ引き」と呼ばれる、ぎざぎざにカットした刷毛で縞を引く染めの専門工房です。
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「着物サローネ」100体コーデの人気投票で3年連続1位獲得、メジャー雑誌で特集が組まれるなど、こちらの工房の存在は着物好きの間でかなり知られて来ているかと思います。最近では、丹後ちりめんを坂東玉三郎さんのお好みの色で染めた「玉三郎好み」色無地シリーズ150色の染めも担当。
そんな売れっ子小林さんに指導をして頂き、帯揚げを染めてしまおう!という贅沢過ぎる企画。何しろ今回の旅のメンバー全員が着物好きですので、まなじりを決して臨みました。
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↑ご覧下さい、私の雄姿。一心不乱です。小林師匠がお茶目をしていることにも全く気付いておりませんでした(≧▽≦)
この日、青磁色×明るい鼠色の取り合わせで染めたいと小林さんに染料を用意頂いていて、当初は、青磁色は引き染め(=無地)にして、結んだ時にちょうど胸の下辺りに来る場所に鼠色のやや太めの縞が入るよう染める予定だったのですが‥先に染めた人のしけ引きの様子を見ていると「やっぱりしけ引きがいい!」…青磁色の格子×鼠色の太縞、に変更となりました。するとそこで小林師匠の一言。
「地紋に横縞が入ってるから、横縞は入れなくてもいいかも知れない」
え?どういうこと?しかし、染め始めると分かりました。染料が乗って来ると、じんわりと地紋の横縞にも当然部分部分染料が乗ったことになり、描かずして横縞が入っているように見えるのです。さすがのアドバイスでした☆
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終了後は、一人一人、小林さんお手製の「弟子証明書」を頂けます。帯揚げはこの後、小林さんが蒸しなど後処理をしてくださり、年明けに届けられます。染料の色はもう少し淡くなるとのことで、正に青磁色になるのかと。届くのが本当に楽しみです♪

丹後名物「コッペ丼」と「丹後ポーズ」!

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帯揚げ体験終了後は、小林さんお薦めのお魚屋さん「橘屋」に皆で買い出しへ。
「コッペ丼」と呼ばれる豪華蟹どんぶり弁当と、小林さんの奥様お手製の豚汁を頂きました。
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「コッペ」とは、丹後の方言で、メスの蟹のこと。こんなに豪勢でたった700円台。東京だったら一体いくらするでしょうか‥何とも贅沢なお弁当でした。
そして食事の後はみんなで、丹後ポーズ!
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このポーズ、いつからか柴田さんたちが始め、今では丹後関係者の方と写真を撮る時の定番となっているので、着物好きの方は色々な方のブログなどで見かけたことがあるかも知れません。エグザイルのように八の字になって、かなり上手く出来ました♪

ちりめん織元「田勇機業」へ

昼食後、この日の次の訪問先は、丹後ちりめんの織り元「田勇機業」。丹後でも最大のちりめん織元です。
http://www.tayuh.jp/

ちりめんとは、強い力で撚りをかけた糸を緯糸(よこいと)にして織る織物。撚りをかける工程自体は、ゴミが入る危険性などからこの日は見学できなかったのですが、下の写真は、その後の工程。経糸を機にかけるために巻き取る部屋での一コマ。しんと出番を待つ管の様子が、何か生き物のようでした↓
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こちらは、いよいよ織りに入ったところを見学させて頂いた時、織っている途中でちょっとしたアクシデントが起こった際の写真です↓
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どうしても時々、経糸どうしがくっついてしまう、など、小さなアクシデントが起こることがあるそうなのですが、織機がそれを察知すると、サイレンを出して止まります。すぐさま技術者の方が飛んできて、経糸を目視しながら指で数十本ずつ分けて行く。そして、1500本以上の、しかも長い長い経糸の中から不調の個所を発見するのです。その間、2分程!もちろん手織りも素晴らしい技術なのですが、こうした織機を動かすことも同様の匠の技術なのだということを、「柴田織物」さんしかり、「田勇機業」さんしかり、現場で実感しました。

日本海で「丹後ポーズ!」みんなの足元に注目…

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見学を終わると、時間はもう夕方。日本海の前で、みんなで丹後ポーズ!
何と、着物組六名全員の草履が「カレンブロッソ」だったのは驚きでした。ウレタン草履はやはり履いていて、楽。旅の必須アイテムですね。

藤布の「遊絲舎」さんへ

この日、最後の訪問先は「遊絲舎」さん。
http://www.fujifu.jp/

古代より江戸時代の中頃まで、日本各地では藤の蔓から繊維を取る「藤布(ふじふ)」が織られていましたが、木綿の普及に伴い、徐々に消滅。しかし、昭和30年代に丹後地方の山奥の村に、まだその糸の取り方と織り方が伝承されていることが発見されました。
「遊絲舎」さんはもともと丹後で代々続く織元で、現在でも藤布以外にも帯地など多くの布を織られていますが、代表の小石原将夫さんが藤布に惹かれ、その技法を受け継ぎ、今の着物ファッションにふさわしい帯や小物を多数作られています。
最も藤布らしい帯はこの写真のようなもので、水に強いという特性も有り、薄物や単衣の季節に締めると特に良さそうです↓
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絹糸や金糸と織り交ぜたものも、こちらのページで多数紹介されています↓
http://www.fujifu.jp/sakuhin.html

こちらは工房見学をした時に、織機にかかっていたもの。下に巻き取られている黒地のものが、織り上がった状態(織られている間は裏側が出ています)。藤布と金糸の混紡で、スタイリッシュな帯になっています↓
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「遊絲舎」さんでは、現在、息子さんの小石原充保さん(写真左の青いジャンパーの方。その後ろがお父様の将夫さん)がごく細く藤糸を取り、着尺(=着物の反物)を織ることを目指されているそう。どんな着物になるのでしょうか?完成が楽しみです。
そして、こんな話も伺いました。昨今、新聞報道などで、林業のなり手がなく、山が荒れているというニュースを目にすることが多くなっています。藤の木も日本各地の山に自生していますが、山の荒廃に伴い、良質な糸を取ることが難しくなっているそうなのです。そのため、「遊絲舎」さんでは自前の藤棚を作り、藤の栽培から始めているとのこと。懸命な努力に頭が下がりました。

今回訪れた「登喜蔵」さん、「柴田織物」さん、「小林染工房」さん、「遊絲舎」さん、個性あふれる丹後の工房の作品は、随時、全国の百貨店などで開かれる展示会や、「着物サローネ」のような着物イベントで販売されています。それぞれの工房のホームページやFacebbokページなどを小まめにチェックされて、ぜひ足を運んでみてください。

「蟹会席」で満腹♡

この日の夜は、「丹後王国」ホテルに宿泊。蟹会席コースを楽しみました♡
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上から、蟹のお造り、蟹てんぷら、蟹鍋、蟹ちらしご飯などなどで満腹。幸せ~。
部屋に戻ったところで、着物好きの集まった旅行ならでは、急遽「着物髪」と「帯揚げ結び」講座をしたのも旅の楽しい思い出です。
もともとは、食事中の「真矢さんのその髪、どうやってるの?」という一言から始まり、私だけではなく、三人が着物の時のちょっと盛った髪の作り方を、その場で、髪をほどき、中の詰め物やピンなども見せながら披露。
更に、うっとりするほど美しい帯揚げ結びをしているFさんが、その裏技を伝授くださいました。これは着物仲間での旅ならでは時間だったと思います。
プロから習うのも良いのですが(私もそういった講座に何度か参加したことがあります)、どうも難し過ぎて、その場では感心しても家に帰ると「あれ?出来ない」ということがしばしば…素人が工夫して作り上げた方法の方が、実践的のような気がするのです。
ちなみに、私の髪型は、苦節4年くらいかけて現在のスタイルに落ち着いたもの。それまでに様々な器具や方法を試行錯誤した末のもので、最近わりとあちこちで「どうやってるの?」と訊かれます。ご希望があれば伝授の集まりを開くのも良いかなと思うので、ご連絡くださいませ。

丹後半島観光へ

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旅行最終日は、観光をしました。写真の屏風岩や天橋立、伊根の舟屋など丹後半島を海沿いにぐるりとドライブして、最後は古代よりの超パワースポット「真名井神社」へ。山の中腹にあるこの神社には強い磁場を感じましたが‥携帯で安易な写真は撮りたくなかったので、写真はありません。皆様もぜひ足を運んでみてください。
このドライブも、そもそも前日までの工房巡りも、柴田さん、佐橘さん、小林さんが車を出して下さったからこそ実現したもの。それぞれ制作の時間を中断して私たちのために動いてくださったことに感謝の思いでいっぱいです。財政計画をしっかり立てて、皆さんの作品を購入して行きたい!
丹後の皆様、本当にありがとうございました。

2泊3日の着物着回し

お着物好きの皆さんは、2泊3日の旅をどう着回したのか、気になるかと思います。
目まぐるしく動き回っていたのできちんと着姿を撮った写真がほぼなく…帰宅後に置き撮りしましたのでご覧ください。
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ご覧の通り、今回は、着物2枚に帯2本で過ごしました。
1日目と3日目の着物は、焦げ茶地の紬。久米島紬風なのですが、十日町あたりのものです。ブランドものではありませんが、結構お高かったのを母が購入したもので、きっちりと織られて皺にもなりにくく、旅に重宝なので貸してもらいました。
2日目、帯は同じまま着たのが、ちりめん地の江戸小紋。こちら、出発前に証紙を確認したところ丹後産の印が押してあったので択んだものです。もしかしたら「田勇機業」製だったかも?いずれにしろ、「生まれ故郷に帰って来られた~」と布も喜んでくれたはず、という自己満足ですね↓
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ちなみに、私のこのカレンブロッソの鼻緒↑
小林さんによると、こちらも丹後の織元によるお召生地を使っているのだそうです。偶然にも丹後×丹後の取り合わせになりました♪
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丹後はかなり気温が低く(最低気温2度ほど)、ウールのコートで出かけました。
こちらは、今年ネットショップから購入した、マフラー一体型のポンチョコート↓
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マフラー部分の布が多過ぎるので、洋服のお直し屋さんでカットしてもらい、首周りを一重で囲むように改造したものです。この時は間に合わなかったのですが、今後、ぐるっと回した終わりの部分(首やや後ろの位置)に、エコファーのボンボン(グレー色)を付ける予定。
着物は絹で体が包まれ、帯もあるので案外と温かい‥と言うことはみなさん実感されていると思います。ただし、衿元だけは寒い‥というのに、市販のコートはどれも衿が開いているものばかり。本当に使えない!実際に着ていない問屋のおじさんが企画しているからなんだろうな、ふん!といつも不満に思っていました。マフラーを入れれば良いじゃないかという意見もありますが、レストランや劇場などで脱いだ後、マフラーがかなり邪魔なのです。一体型がほしかったので、ようやく念願叶い、満足しています。

次は古墳をめぐる丹後旅?

ああ、本当に楽しかった丹後の旅。またきっと訪ねたいと思います。
実は今回の移動中、時々田んぼの中に「古墳では?」と思う小さな墳丘を発見。同行の皆さんは古墳に興味ないんだから、と思い、ぐっと黙っていましたが、本当は「お、降りて見に行きたい‥」とうずうずしていました。
出発前に体調を崩して病院で検査を受けたりもしていたのでまったくの勉強不足だったのですが、丹後半島には6000基もの古墳が集中しているのだそうです。古代史関連の資料館も多数。今度は古墳と埴輪めぐりのために丹後に行こうかしら。
布、海の幸、自然、古代史…丹後は本当に良いところでした☆


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盛夏~秋の初めのきものコーディネイト振り返り日記(絽・紗紬5コーディネイト) 2017/09/07



これまで10年近く、きものでの外出ごとにコーディネイト日記をアップデートして来たのですが、なかなか仕事が忙しくそれも難しくなって来たので、5コーディネイト前後たまったところでまとめてお送りする形にしたいと思います。
今回は、7月下旬の盛夏から、秋の気配がただよう晩夏までのコーディネイトを5つ。良かったらご覧ください。

まず初めは、毎日7月の終わり。まだ毎日30度超えの日が続いていた或る日、服飾史家であり、帯締めの名門「道明」会長夫人でもある、敬愛する道明三保子先生と、「美しいキモノ」元副編集長で染織記者の第一人者であられる富澤輝実子さんという染織の大先輩お二人とランチ会をした日のコーディネートを。場所は、銀座で本格的な金沢料理を堪能できる、その名も「銀座の金沢」。何とこの日、私の初めての単著の発売を記念して、お祝いをしてくださいました。
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もちろん三人とも、道明の帯締めを締めています。富澤さんは玉那覇有公のエーガタ(藍染めの紅型)の帯、道明先生は淡い藤色に縫い取り模様の入った素敵な紗のお着物をお召しでした。
私は、というと、観世水を竹の縞で表した小紋に、アザミ?の柄の染め帯。水色と桜色の段染めの帯締めで↓
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そしてそしてこの日、お二人から素敵なお祝いの品を頂いたのです!道明先生からは、道明の「糸竹組」の愛らしい帯締め↓
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「糸竹組」は、「御岳組」を規則的に模様が切り替わるように組んだものだとのこと。金糸が少し入り、コーディネイト次第で小紋など街へのお出かけ着にも、改まった場へも締めていけそうです。ああ、嬉しい‥
富澤さんからは、こちらもとても愛らしい、絞りの絽の帯締めを頂きました↓
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ぽつりぽつりとオレンジと黄色の絞りが顔をのぞかせて‥道明先生とご相談してくださり、色をコーディネイトして選んで頂いた、とのこと。涙が出そうに嬉しい限りです。こちらも小紋から改まった場まで、上品なかわいらしさでコーディネイトに花を添えてくれそうです。着物の話題を中心に話も尽きず、何とも心に残る会になりました。道明先生、富澤さん、本当に本当にありがとうございました。

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お二人から頂いた帯締めと帯揚げをコーディネイトして、早速出かけた日のコーディネイトがこちらです↓
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昼顔柄の絽の小紋に、帯締めと帯揚げ、きらきらと帯の周りで光を放っております!
この日は、我が家からほど近い、三鷹駅徒歩5分の場所に新しく出来た「六瓢庵」という一軒家スペースに足を運びました。
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ここは、小演芸場と言ったら良いのでしょうか、地唄舞の「花崎流」のお家元がご自宅の敷地に作られた小さいながら檜造りの舞台で、地唄舞に限らず、これから長唄、箏などなど、様々な日本の伝統芸能の公演やワークショップを行っていくとのこと。
この日は地唄舞入門講座のような内容で、「花崎流」の皆様の舞いを鑑賞した後、振り付けの一部を体験してみる、という内容でした。恥ずかしながら私も挑戦↓
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先生方に色々直して頂き、足がプルプルしながらかろうじて型を作っています。笑いを誘ったところで、皆様、これからの「六瓢庵」の活動にご注目くださいませね。私もまた近々の公演に足を運ぶ予定です。
   
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8月に入ってからは、毎年恒例、きもの友だちが浴衣や夏のきもので集まるパーティーが開かれました。場所は、東京タワーのお膝元、「The Place of Tokyo」。私は淡いグリーンに白と焦げ茶の格子柄の紗紬で出かけました↓
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一緒に写っているのは、この着物を縫って下さった和裁士の須藤泉さん。私は衿の形にこだわりがあり、その希望を取り入れつつ、また、上半身の薄い私の体形に合わせ、工夫して寸法を取って下さっています。紬のきものはどうしても布が身体から離れがちになることが悩みの種ですが、仕立てによっては裃のようになりかねない紗紬が、よくなじんでいるのが分かって頂けると思います。さすが泉さん!
帯周りはこんなかんじに↓
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浴衣の方も多いパーティーなので、カジュアルな生成り色の羅の帯に、金魚の帯留。先日、鎌倉っ子の友人の帯探しの手伝いに鎌倉に遊びに行った時に見つけたもので、鼈甲ではなく、お高いものでもないのですが、とてもデザインが可愛いので購入しました。「し・ほ・ん」というブランドのものです。他にもセンスの良いデザインがたくさんあり、このブランドには注目していきたい☆
帯揚げは、麻の帯揚げを持っておらず、絽だとどうにも素材感が合わないので、手ぬぐいを入れています。2年前、きものサローネのスタッフをした時にお駄賃として?もらったサローネ手拭い。浴衣で有名な「三勝」が注染染めでちゃんと染めているので、いい色かげんです。会場の皆さんに褒めて頂き、ほくほくといたしました♪

     *

さてさて3コーディネイト目は、お盆で人の少なくなった東京で、お友だちとランチ会。その後、千疋屋でパフェ、という黄金コースの一日。豪華パフェを前ににんまりしています↓
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着物は、7月終わりに着たのと同じ観世水の小紋ですが、秋の予感を先取りして、桔梗の帯を締めてみました。帯締めは、上述の富座さんに頂いたもの。帯は、ゴールデンウィークに出かけた骨董市で、書道用具を探していたはずなのについつい買ってしまった紗の袋帯‥なのですが、前に柄を出すと何故だか長さが足らず、やむなくむりやり垂れの下に折り込んで、名古屋に結んでいます。偽名古屋帯…?ふふふ…

            *

最後は、夏も下旬に入った20日過ぎ、きものに関する勉強会に出かけた日のコーディネイト。
長年問屋さんに勤務された後、現在ではお得意様に向けた知る人ぞ知る着物店をされている中川時次さん主宰のきもの勉強会「着楽舎」の、「逸品きものを目利きする」という講座に参加しました。
皆さんも経験があると思いますが、大きな会場で開かれる大呉服市のような所に行って、わさわさと呉服屋さんやら問屋さんやら何が何だか分からない人々に囲まれ、あれこれ言われて何が何だか分からないうちに買わなければいけないような気になってしまう…きものはもうこりごり!と思う人を増やしてしまうこのような販売方法を受けたとしても、じっと品物を見分け、良し悪しを判断出来るようになるためにはどんなところに気をつけたらいいのか。また、家庭に代々伝わったきもの、大分傷んでいるようだけれど、どれが直しに出す価値があり、どれはもう解いて帯揚げや袋帯などに転用した方が良いのか、悩む時もありますよね。そんな様々なシチュエーションの助けになる、役立つ知識満載のお話でした。
講座中の様子がこちら↓
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西端、ご親切に用意してくださっていたルーペを使って真剣に反物を見ております!
講座終了後、中川さんと、お嬢様で、一緒にきもの店を経営している中川美湖さんと↓
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この日は、前述のパーティーの日に着て行った紗紬に、秋も近いということで、茶色地の木綿帯を合わせてみました。
これは、数年前、父と弟がインドネシア旅行をした際のお土産のバティック布を仕立てたもの。こちらは、いつもお世話になっている和裁所「プロきものスクール」で仕立てて頂きました。代表の佐竹美智子先生とあれこれ相談して柄の出し方を決め、なかなかない素敵な帯になったなあと、ちょっと自慢の一品。これから色々なきものに合わせて行きたいと思います。ちなみに帯締めは、この日も手ぬぐいを入れています。
「着楽舎」さんでは、この秋から冬にかけて、「読売・日本テレビ文化センター恵比寿校」に出張して、「着物の目利き術」という講座を開催されます。月1度の講義で全6回。私も聴講する予定です。ご興味のある方はぜひ!
http://www.ync.ne.jp/ebisu/kouza/201710-08670030.htm

…と、奇しくも夏を振り返ることになった五つのコーディネイト。今後もこのようにまとめてお送りして行きますので、引き続き覗きに来て頂けたら幸いです☆


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7月前半の着物コーディネイト四つ(絽、紗紬、絹紅梅) 2017/07/20



今日の日記は7月前半の着物コーディネイトを四つまとめて。
まずは王道の絽小紋。友人が不定期に主宰する「着物de歌舞伎」という歌舞伎鑑賞会に参加した日のコーディネイトです。この日は国立劇場へ、「一條大蔵譚」を観劇に。いつも美しい!さわやか!凛々しい!が形容詞の菊之助丈が、志村けんばりのバカ公家になって登場する衝撃のこの演目、けれどその間抜け姿は世を欺くための演技で、最後は凛々しく登場するのですが‥
その相手役の常盤御前を演じた中村梅枝丈と撮影出来るのが、「着物de歌舞伎」のスーパー特典。大変品格ある常盤御前にうっとりとした直後に我々のもとに来て下さいました。嬉しい限りです↓
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私の着物は、あやめ柄の絽の小紋。帯には葡萄唐草柄が織り込まれていますが、ほぼ無地に見えるので、帯締めを少し派手に。夏向きに軽く組まれた唐組なのですが‥寄りの写真を取り忘れました。足元はこんなかんじです↓
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履物は、神田胡蝶の夏草履♪
梅枝さん奥様ともパチリ↓
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美人のお隣りはちょっと気が引けます。女優さん顔前の美しさですね。着物好きのお友だちや、ここで新しく知り合った皆さんとのお弁当の時間もついて↓
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総勢45人での楽しい一時でした。主宰の厚子さん、いつもありがとうございます!
     *
さて、二つ目のコーディネイトは、友人二人と銀ぶらをした日のコーディネイト。話に夢中になり、全身を撮り忘れたのですが、寄り写真はあります↓
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きものは、絹紅梅。また別の友人のおばあ様の遺品を頂いたものです。以前から「絹紅梅ほしいなあ」と思っていたらご縁を頂き、ありがたい限り。絹紅梅は衿を入れず浴衣として着てもよいものですが、この日は襦袢を着て、ざっくりとした羅の帯に、大好きな柄「ふくら雀」の帯留を合わせました。T.O.D.のお品です♪
足もとはこのように↓
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7月6日のブログでご紹介した、浅草「辻屋」さんの白木に小千谷縮鼻緒の下駄を初おろし。鼻緒の挿げ方が良いのでしょう、たくさん歩いても疲れず、長く愛用する一足になりそうです☆
     *
どんどん行きます。三つ目のコーディネイトは、と或る和の勉強会に出かけた日のもの。
型染の「昼顔」柄小紋に、「片輪車」柄の絽刺し帯を。帯〆は道明の暈し冠組↓
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この日は勉強会のため、写真を撮るタイミングがなく、全身写真はありません。足元のみ出がけに撮っておきました。カレンブロッソを合わせています↓
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最後にご紹介するのは、紗紬のコーディネイト。こちらは、お茶の先生と奥様から頂いたもので、黒の細かな格子に大きな十字の絣が散った、とてもしゃれた一枚です↓
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帯は、歌舞伎鑑賞会の日と同じもの。夏用ではないのですが、隙間のある作りの軽めの帯締めを合わせました↓
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先生と奥様に見て頂くために、お茶の稽古に着て行って↓
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この日は冷水点ての稽古で、風炉先は「花結界」。夏の花がいっぱいで、視線からも涼を頂いた楽しい稽古でした♪
またコーディネイトが幾つかたまりましたらご紹介の日記をお届けしたいと思います!


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夏本番、浅草に、白木の下駄を新調に 2017/07/06



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七月に入り、いよいよ夏本番。浴衣で出かける機会が増えることを見越して、下駄を新調しました。
出かけたのは、浅草・伝法院通りの「辻屋」さん。そもそもこの日の下駄も、何度かこのブログでご紹介している辻屋さんのものでした↓
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こちらは塗りの下駄で、小紋はもちろんお召くらいまで合わせ、とても気に入っています。もちろん夏に素足で履いても良いものですが、ちょうど手持ちの白木の下駄が大分古ぼけてしまったので、すっきり白木の台で出かけたい日のために新調することにしました。
私は、台の形は舟形か右近が好み。今回は塗りのものと同じ舟形を選び、鼻緒で迷いに迷った末に選んだのがこちらです↓
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じゃーん。小千谷の麻を使った細かい格子柄。濃過ぎず淡過ぎない絶妙なところに落ちたこの茶色の格子と、白木の台のすっきりとした組み合わせ。前ツボの赤も、全体があっさりしているからこそよく効いているかなと、気に入りの下駄になりました。
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上の写真は、たくさんの鼻緒を見せてくださり、相談に乗って下さった女将の里枝さんと。この時はまだ六月だったので、二人とも単衣を着ています。里枝さん、いつもありがとう。履き初めは来週、友人との街歩きになりそうです♪

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青山で、武士の精神とファッションを写し出した写真展を見る(着物コーディネイト付き) 2017/06/18



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一昨日に引き続き、昨日も着物で青山へ出かけました。目的は、スパイラルホールで今日まで開かれている、エバレット・ケネディ・ブラウンさんの写真展「ジャパニーズ・サムライ・ファッション」を見ること、そしてトークショーを聞くことでした。
エバレットさんは1980年代より日本で暮らすアメリカ出身の写真家で、本展では、「相馬野馬追」に参加する「武士」たちの肖像と装束を撮影しています。
相馬野馬追のことは、何となく知っている方も多いのではないでしょうか。一言で言えば、武士の野外訓練。起源は鎌倉時代と言われ、複数の組に分かれた武士たちが藩主の前で、神旗争奪を目指して競い合います。全国に多々ある武士イベント・武将イベントがいわばコスプレであるのとは一線を画し、殿様の席に座っているのは、現在で第34代となる本物の藩主。馬追いに参加するのも、今が江戸時代ならお城に詰めて殿に仕えていた、本物の家臣や、その城下の人たち。彼らが代々家に伝わる本物の甲冑や篭手、鎧直垂を身につけ、全身全霊でお役を全うするという訳です。
同時に発売された写真集の序文によると、ふだんはタクシー運転手など、ごく普通の市民生活を送るこの「武士」たちは、旧藩主の相馬家の当代のことを「若殿」と呼び、常に気にかけて暮らしているのだそうです。つまり、この人たちの中には、今もまだ江戸時代の武家の精神のあり方が、生きている。エバレットさんはそれを写し出そうと試みたのでした。
     *
…と偉そうに書きましたが、実は一昨日まで、私はこの写真展のことを全く知りませんでした。一昨日、このブログに書いたように、友人との食事会に行くため青山に向かい、けれど早く着き過ぎてしまったため、「スパイラルで何かやってないかな」とたまたま足を向けたことでこの展覧会に出会ったのです。
これまでにも何度か書いているので覚えていてくださる方もいらっしゃると思いますが、私は大の武士ファッション好きです。着物好きの中には、襲(かさね)の色目など、公家の装束がお好きな方が多いようなのですが、もうダンゼンの武家派。私のためにあるような写真展じゃないの、とワクワク見ていたら、会場にエバレットさんがいらっしゃり、明日、ISSAY MIYAKEのデザイナー・滝沢直己さんとのトークショーがありますよ、とご案内を頂きました。そこでこれも何かのご縁と、再び青山を訪ねたのでした。
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さて、上の写真で分かるように、相馬の「武士」たちの写真は、モノクロで撮られています。それも「湿版」と呼ばれる、幕末から明治時代にかけて行われていた撮影技法。詳しい説明は省きますが、とてつもなく大掛かりで面倒な技法です。エバレットさんは、わざわざその技法を選択して「武士」を撮っているという訳なのです。
ご存知の通り、「武士」は明治時代に消滅してしまいました。つまりはエバレットさんのこの作品群は、その消滅した武士たちを、消滅した時代と同時代の技法で撮影している、ということになります。
最初、私は、純粋に服飾史好きとしての興味、つまりは「甲冑の下でどのように着物や武具が身につけられているか」を見たいという思いで写真を見始めました。しかし、すぐに、これらの写真が現出しているもの、江戸から明治への変化どころか、ロケットが宇宙を探索し、人々がスマートフォンやバーチャルリアリティを普通に使いこなす劇的なテクノロジーの変化を経てもなお相馬の人々の精神の古層に「武士の魂」が宿っている、ということに大きな衝撃を覚えました。
もちろん、こうして言葉で書いているだけでは、なぜそこに武士の魂があると言えるのか、分かって頂けないと思います。実際に会場へ出向いて、写真に写っている武士たちのその面構えを見たとき、西端が言っていたのはこういうことだったのか、と感じて頂けることになるでしょう。
          *
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上の写真は、トークショー中のエバレットさん(左)と滝沢さん(右)。
エバレットさんは、武士に限らず、明治維新以降に日本人が失ってしまった――いや、忘れてしまった、と言った方が良いのでしょう――優れた精神性を探求すること、再現することを芸術活動の核心に置いています。現在も、縄文土器や日本の旧家の人々を撮影するシリーズを撮り続けているのだそうです。
今回、そんな彼の相馬のシリーズに触れられたことは、私にとって非常に大きな励ましになりました。と言うのも、皆さんもご存知の通り、私はとにかくきものが好きで好きで、何とかして後の世代にきものを残して行きたいと願っている人間ですが、けれど、もう無理なのかもしれないと思うことも、実は多々あるのです。
日本というこの文化の根底は、豊かで四季の変化多い「自然」であると私は思っています。しかし、今多くの人はアパートやマンションで育ちアパートやマンションに暮らし、ビルディングで働き、自然の変化に興味を持たない。或いは、花屋に行かなければ変化を意識しない。しかもその花屋には、明治以前の日本には存在しなかった、洋花しか売られていない。この国の土から生え出る自然から切り離されてしまった以上、もう何をどう叫んでも「本当の日本」は帰って来ないのではないか。きものも茶も和歌も、滅びるしかないのではないか、と絶望してしまうことも多いのです。
それでも、エバレットさんのこの相馬の写真群にあまりにも色濃く現れる「武士の魂」を見ると、まだ間に合うのかも知れない、と思えます。
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また、写真展には、上の写真のように、肖像写真とは対照的にカラーで撮影し、しかもコンピューター処理をほどこした野馬追の武士たちの武具や装束の写真も展示されていました。今我々が日常的にまとう洋服ファッションとは全く違った色の組み合わせ、そして数百年を伝え続けられた文様が生き生き着こなされている様が、ここには映し出されています。そう、ここにも、明治以来140年、戦後からは70年ほどの「短い」時間では決して消し去ることは出来ない、色濃い、美の感覚が、私たちの脳、或いはDNAの古層に眠っているのではないか、そんな希望を感じてしまうのです。
出会ったのが会期終了の三日前だったため、もう今日しか日程がないのが残念ですが、本日、お時間のある方はぜひ青山スパイラルホールに足をお運びいただければと思います。
    *
下の写真は、会場で、エバレットさんの今回の相馬シリーズの写真集「JAPANESE SAMURAI FASHION」を出した版元「赤々舎」の元社員?或いは「赤々舎」を手伝っていらっしゃる、棚橋さんと↓
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ちなみに帯周りと足元はこんな風です↓
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(村山大島紬の単衣に、米沢「近賢織物」の紙布帯。最強に軽くて楽で、しかもお洒落でしょ、と自慢の組み合わせです。足元は、浅草「辻屋」の塗り下駄)

棚橋さんとも、今回知り合ったばかり。共通の友人(香港人の写真家)がいると判明して、大いに盛り上がったのでした。そう、この写真展に行き当たったのも偶然なら、関係者に共通の友人が、しかも外国人の友人がいることも偶然。今は大きな仕事を終えた後にぼーんと心のドアを開いてふらふらとさまよっている時期なので、偶然が飛び込んで来てくれるのかも知れません。

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蛍ぼかしの着物で、出版祝いランチ会と蒔絵展へ 2017/06/16



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先週のこの日記で私の初めての単著「歴史を商う」の出版のお知らせをしたところ、たくさんの方から「いいね!」を頂きました。お蔭様で売れ行きも思いがけぬほど上々で、誰よりも私が一番驚いています。皆様の応援に、深く、深く感謝。本当にありがとうございます。
          *
実は、出版後、ほっとして、若干自律神経失調気味になってしまいました。毎日めまいがしたり、座っているのもつらい時間が多く、ぐったりと過ごして‥。しかし、数日前から、また元気が出て来ています。と言うのも、どうやら「次にこういうものが書きたいな」と、頭の中にぼんやり筋が浮かび始めたから。こんな所に取材に行こう、主人公はこういう女性で、などと妄想、いやプロットを繰り広げていると、みみるうちに頭がしゃっきりして来たようなのです。やはりどうもただぼんやりとは過ごせない性分のようです。

本当は、こうして皆様に応援を頂いているお礼に、今日のブログは、今回の「歴史の商う」を書くために様々な資料を読み込んだ中から見つけた、明治・大正期の面白事件をご紹介する回にしようと思っていたのですが、まずはお礼をお伝えすることと、再び元気に、大好きな着物も着て過ごしています!ということをお知らせする回とすることにしました。明治大正珍事件などなど(他にも面白いネタがあります)については、また後日のお楽しみにお待ち頂ければと思います。
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そして、元気復活してきもので出かけた、その今日のきものはこちら↓
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…と、まずは足元から。蛍ぼかしの桜色地の単衣に、同じ淡い桜色の台の「神田胡蝶」の草履で、青山の「リストランテ・ヒロ」に向かいました。実は、今日は、大学時代の学科の女友だち三人が、出版祝いのランチ会を開いてくれたのです。デザートの時に登場したのが、下の写真の素敵なプレート。涙がじわっとにじんでしまいました↓
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私の人生で、これまで何度か選択の場面がありましたが、エスカレーター式に上がることが出来たはずの某私大に進まないと決めて受験を選び、そして上智大学のこの年の哲学科に進学したことは、五本の指に入る良い選択だったと思っています。
当時、バブル経済に浮かれた軽佻浮薄の日本で、「関係とは関係の関係が関係するところの関係の関係である」(‥だったかな)などと書かれた哲学書に頭を抱えながらもとにかく立ち向かっていた、その、「本当に」考えるということ、論理を追究しようとすることの心構えが、今に生きているように思えるのです。一人一人の仲間が、今、社会の中で、実にそれぞれのキャラクターに合った姿で活躍をしている様子にとても励まされています。そしてみんながとても優しい。今日もたくさんの元気と、そして心のぬくもりをもらいました。三人のお友だちに、心から感謝♡

お店の選択がまた素敵で、私は初めて出かけたのですが、「リストランテ・ヒロ」は、老舗でありながら常に新しい試みを続ける人気店なのですね。花ズッキーニ(下・上の写真)の花の中にリコッタチーズを詰めて揚げたフリット(下・下の写真)が絶品でした↓
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楽しい会の後は、徒歩1分程の「ふくい南青山291」ビルで開かれている、蒔絵展へ。蒔絵の名匠・松田眞扶さん、松田祥幹さん父子の作品と、祥幹さんが主宰する「祥幹スタジオ」の皆さんの作品展が開かれています。下の作品は、私のお茶仲間で、この「祥幹スタジオ」に通っている友人の作品↓
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蒔絵キャリアは6年ほどとのこと。美術大学出身でもない彼女がゼロから始めて、こんな精緻な作品が作れるようになるのかと驚きます。
会場には、こんな斬新な作品も↓
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↑金継ぎクラスもあるようで、作品が展示されていました。こちらも楽しそうですね。
「眞扶・祥幹・祥幹スタジオ作品展」は、青山の「ふくい南青山291」で、18日までの開催です。ここには写真を掲載出来なかった、両先生の素晴らしい作品も展示されています。ぜひ足をお運びください。
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↑今日の着物の寄りの写真は、こちら。「蛍ぼかし」文様のきものに、「片輪車」文様の絽綴れに絽刺の帯で。帯揚げは絽縮緬です。
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↑そして、こちらは、お友だちから頂いたお祝いのお花。「和にも洋にも合うアレンジ」という主旨で作ってくれたそうです。カラーは大好きな花。大切に眺めながら、また次の作品のことを考えて行こうと思います。


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大島の単衣で母校へ。茶道「宗徧流」家元のご講演を拝聴に。 2017/05/29



本の仕事がようやく終了して(発売間近!)、ここのところややのんびり過ごしています。
色々と着物で出かけてもいるのですが、会場が撮影禁止の場所だったり、話に夢中になって撮ること自体を忘れることも多く…。
そんな中、昨日、日曜日は、母校上智大学の「オールソフィアンズ・フェスティバル」という同窓会イベントに着物で出かけました。これは、年1回開かれる「卒業生の学園祭」といったイベントで、OB・在校生による様々な出し物があります。
私の目当ては、茶道「宗徧流」第十一代お家元の講演会。全く知らなかったのですが、現在のお家元(年齢は五十代)は上智の卒業生で、それも国文科や史学科ではなく、何故か「ポルトガル学科」のご出身。何だか変な人そう(褒め言葉です)、面白そうだな、とお話を聞いてみたいと思ったのでした。

さて、懐かしの学び舎に着くと、メインストリート――と言っても早慶や明治大などに比べて敷地がとんでもなく狭く、あっと言う間に終わってしまう弱小ストリートなのですが――には模擬店などが並び、大にぎわいでした。実は「オールソフィアンズ・デイ」に参加するのは卒業以来初めてのことです。
フラメンコサークル(在校生)のダンスや…↓
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↑上智で非常に盛んな福祉や国際協力サークルの模擬店も多数。こちらは、「Table for two Sophia」、飢餓に苦しむ発展途上国と飽食に喘ぐ先進国との食糧アンバランス是正に取り組むサークル(在校生主体)の模擬店です。一品買うごとに発展途上国の一食分を賄うことが出来るということで、私もマフィンを購入しました(マフィンの写真はブログの後半に)。
中には、日中友好サークルの模擬店も↓
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私は「盲目的な日中友好推し」には反対ですが、かつては北京に留学もした中国文化好き。今でも中国に関心を持っています。長い時間をかけて、両国が大人の関係を築き上げられること、機会があるならそこに貢献出来たらという願いも変わりません。現在の日中関係は非常に悪い状態にあると思いますが、母校で学ぶ中国人学生の皆さんには、良い留学生活を過ごしてもらいたい。逆風の中でも頑張ってね、と心の中でエールを贈りました。
          *
そして、宗徧流第十一代家元幽々斎宗匠の講演会へ。
本当はお話をされているお姿の写真を載せたいところなのですが、撮影禁止とのことで、レジメ的な役割を果たしていたチラシの写真のみをご覧ください。ちなみに左のノートは、私がお茶関係のことを一切合切メモしているノートです↓
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講演会は全体で2時間ほど。今回、OBサークル「ソフィア美学芸術学研究会」と在校生サークル「上智大学茶道部」の共同主催とのことで、まず最初に現在4年生の茶道部員二名のスピーチがありました。二人とも、しっかりと茶の稽古に励みながらも、海外留学で国際感覚を身につけておられ、頼もしい限り。卒業後のご活躍が楽しみになりました。
そしてお家元のご講演は、「変な人かも??」という予想通り、しじゅう笑いの絶えない楽しいものでした。「宗徧流は、イノベーション一筋、350年」と仰り、伝統文化を国粋的にとらえるのではなく、常に日本を世界のダイナミズムにおいて俯瞰し、現在と切り結んで行く姿勢が大切だということをまずお話になりました。
例えばお家元のおじいさま、つまりは先々代の第九代は明治時代の方ですが、何とオスマントルコ帝国の王様の所で25年も暮らし、何をしていたかと言えば、皇帝の日本文物収集の責任者を務めていたのだそう。意外なお話にただただ驚きでした。
ひるがえって考えてみれば、侘茶が大成した桃山期には西洋の文物やキリスト教宣教師が多数日本に流れ込み、堺で我が上智大の祖でもあるフランシスコ・ザビエルのサポートをしていた日比屋了慶という豪商の屋敷は、利休邸から200メートル、今井宗休の家からは50メートルほどのご近所だったそうです。
ザビエルの後輩に当たるルイス・フロイスが書いた日本観察記には侘茶完成期の日本人の思考法や生活様式を読み解くヒントが詰まっていることもお話からひしひしと伝わり、もともと歴史がむしょうに好きな私、「読まなければ‥」と人生の楽しみがまた一つ増えたのでした。
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そして、お家元自身がそんなイノベイティブな家風の中でご自分自身の茶の湯スタイルを作り上げるために、特に大学生時代頃から、どのような迷いや試行錯誤をたどりながら今に至ったかを、写真とともに振り返ってくださいました。
率直で虚飾のない、そしてユーモアを交えたお話の数々。特に、アジアの少数民族の村々を回って、囲炉裏や屋根の茅葺が今も生活の実践として行われている現場を進んで体験し、その経験をご自身の茶の湯に還元しようとされている姿勢には心打たれました。つくづく、茶の湯には様々なアプローチがあることを思い知らされます。
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講演の後、思いがけず「お楽しみ抽選会」というものがあり、入場の時に頂いた整理券の番号で九人の人にプレゼントが当たるとのこと。私は十一代幽々斎宗匠にちなんだ11番だったため、茶道部の学生さんが用意してくださった一保堂のお抹茶が当たりました!実は毎晩原稿を書く時、必ず二杯ほどお薄を点てて飲んでいるので、非常に非常に嬉しい。茶道部の皆さん、ありがとうございました。
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↑上の写真、隣りに写っているのが、先に書いた「Table for two Sophia」の模擬店で買ったマフィンです。オーガニック材料で作られた優しい味でした♪
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そして、今日の着物は‥
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20度超えを聞くと、もう見ている方も暑いでしょうし、やはり5月でも単衣を着たくなります。平成日本、既に「単衣は6月からルール」は崩壊していると言って良いでしょう。大島のごく細い横縞の単衣に、帯と半衿は塩瀬を合わせました(と言うより、半衿を絽ちりに変えている時間なし)。帯周りと足元は下のように↓
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帯は、祖母が染めた蝶の柄の名古屋。爽やかな色目の笹浪組の帯締めに、帯揚げは、軽めの地の立涌模様の古布を入れています。草履は「神田胡蝶」。バッグはアジアのアタバッグを合わせました。
ちなみに、写真に写っている趣のある廊下は、上智で一番古い建物である1号館のもの。学生時代、1年間に3回遅刻しただけで単位を落とすという毎日1限のラテン語の授業に遅れまいと、駆け足で通った懐かしい廊下です。無事卒業出来て良かった…
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…ということで、とても有意義な時を過ごした午後になりました。
帰宅後調べてみたところ、「完訳フロイス日本史」は、全12巻もあるのですね。長編数寄(敢えて「数寄」と書きたい)にはたまらないではありませんか。ちびちびと読んでいきたいと思います。


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歌舞伎、紅衣新作展、東京キモノショー、お食事会に水色の小紋で 2017/05/05



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一年振りほどに仕事スケジュールに若干の余裕が出来、連休を満喫しています。
今日は朝から、明治座にて父とデートで花形歌舞伎、その後銀座三越に移動してきものブランド「紅衣」の新作展、日本橋に移動して「東京キモノショー」2回目、最後に浅草に移動して、きもの仲間との食事会…と盛りだくさんの一日でした。
着ていたのは、祖母が染めた小紋。明治座のロビーにて全身を撮ってみました↓
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新緑の頃にふさわしい爽やかな水色。帆船、網干し、そして青海波を描いた型です。一方付けに染めており、付下げ小紋の格。帯に寄った写真がこちらです↓
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明治座は、今月、片岡愛之助さんや中村壱太郎さんが出演の「花形歌舞伎」公演。午前の部の演目は「月形半平太」と「三人連獅子」です。
「月形半平太」は初めて観ましたが、一幕ごとに終わり方にあざといくらいのけれんみを持たせ、それがかっこいい。いい芝居だなと思いました。私も今後物語を書いて行きたいので、非常に参考にもなり。そして華やかな「三人連獅子」は、日々のあれこれが吹き飛ばされ、胸がすくようで。
そう言えば、開演前のロビーでは、藤原紀香さんが挨拶に立たれていました。明るい緑色の色無地に、菖蒲の柄の染め帯。素敵なきもの姿でしたが、撮影禁止だったで公開出来ないのが残念です。
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そして移動した銀座三越で、「紅衣」の新作をチェック。昨年よりスタートした木下紅子さんのきものブランドです。前職の「awai」以来のシンプルスタイル、でも、今の紅子さんが好む、少しのはんなり感が加わったラインナップでした↓
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色数少なくシャープな刺繍でポイントに柄を入れた帯のシリーズは、「言ってみれば"帯の色無地"のように、様々なきものに合わせやすい」とのこと。例えば、おばあちゃん、お母さんから引き継いだ昭和のきもので、ややがちゃがちゃした色合い、柄付けのものたちをこの帯で受けとめ、新たな感覚にまとめ上げる。大きな可能性を秘めたシリーズと言えそうです。
全身「紅衣」スタイルでまとめた紅子さんもご覧ください↓
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「紅衣」新作展は、日本橋三越7階で、9日まで開催。ぜひご自分の目でご覧になって下さい!
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そして日本橋に移動して、「東京キモノショー」2回目。前回は、様々な和装ブランド・和装小物ブランドが出店している「きものマルシェ」のコーナーをゆっくり見ることが出来なかったので、今回はそちらを重点的に。
下のコラージュは、大阪から出店の「ゑびす足袋」さんの商品たち↓
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特に左写真に注目。これからの季節に嬉しい、足の一部だけを包む新作「こたび」が登場。涼しさと、足を守ることとを共存させた優れものの商品です。
赤だけではなく、右写真のように、カラーバリエーションも豊富です。
「こたび」以外にも、写真中上のレース足袋や、中下の「足袋ブラシ」も販売。サボテン繊維を使った極太仕様の足袋ブラシは、私も愛用しています。汚れ落ちに優れているだけではなく、指の爪のマニキュアをはがすことなくがしがしと足袋洗いが出来るところが良いのです☆
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こちらは、京紅型の有名工房「栗山工房」の西田裕子さん(中)と、仕立ての平山留美さんと↓
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裕子さんには、4年前、私が徒手空拳で「江戸着物ファッションショー」という江戸時代の着物姿の再現イベントを主宰した際、大きな大きな助けを頂きました。その数年前に工房が制作された、江戸時代大奥の夏の着物を再現した作品をお貸し出しいただいたのです。今でこそきもの雑誌に寄稿している私ですが、当時は全くの無名の存在(もちろん今でも特に有名ではありませんが)。それなのに、私のことを信頼して、大切な工房の作品を貸してくださった。あの温かい寛大なお気持ちを、大きなご恩として今でも深く感謝しています。
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↑今回の「きものマルシェ」では、その裕子さんが中心となって立ち上げた新ライン「kichizaburo小紋」を中心に出店。これは、ふだん栗山工房が染める絹ではなく、太物、木綿に染めるラインです。
そう、木綿、ということは、ほぼ一年中着られるということ。そして、自宅洗い出来るということ。繰り返し洗いに耐えられる堅牢度の高い染料を選び、染めているということです。しかも裏地を表地の柄のと同色で染めているため、例えば歩いて裾が少しはためくと、八掛を付けているように見える。非常によく考えられたシリーズだと思います。ぜひ現場でご覧になって下さい。

今日もここには書き切れないくらいたくさんの方とお会い出来、お喋りを楽しめた「東京キモノショー」。まだまだ7日まで開催です。皆様ゼヒ足をお運びください。
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そして最後は浅草に移動し、雷門近くの「蔵」で、20名ほどでお食事会。
きもの業界人もいれば、様々な業界で働きながらきものを愛する方もいる、何年もかけて自然発生的につながって来たきもの好き仲間の集まりです。
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↑上の写真は、前菜盛り合わせのお皿。浅草の地元の人がよく集う店ならではの、きりりとした味付けを楽しみながら、わいわいと、本当に楽しい時間でした。じゃんけん大会で博多限定の久原本家の明太ふりかけを頂き、嬉しい♪↓
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ゴールデンウィークも、早くも後半。明けるとまた忙しくなるのですが、久し振りの休暇をしばし満喫したいと思います。


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「東京キモノショー」開幕。訪問レポート! 2017/04/29



黄金週間、開幕。
今日は日本橋三井ホールで5月7日まで連日開かれている、「東京キモノショー」へ遊びに行って来ました。
http://tokyokimonoshow.com/
(現在、私のブログシステムに不具合があり、リンクを飛ばせなくなっています。お手数ですが、上のURLをそのままコピー&ペーストして検索頂き、当該ページへと飛んでください)

キモノを中心に、和の様々なコンテンツが揃うこのイベント。内容が盛りだくさん過ぎてすべてを書くことは難しく、詳しくは上のURLを参照頂きたいのですが……中核となるのは、「キモノスタイル200」。日本全国のキモノ店、染織作家、キモノスタイリスト、キモノライターなどなどの方々が、思い思いのキモノスタイルをトルソーで発表。その様子はまるでキモノの森のようです↓
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会場では自分の好きなスタイル10体への人気投票も行われています。どのスタイルに入れようかと考えながら見て回ると、よりしっかりとそれぞれの特徴に目を配ることになり、楽しいと思います。
中には5月より公開の野村萬斎さん主演の映画「花戦さ」の衣裳も展示されています。戦国時代を生きた華道家・池坊専好が信長・秀吉・利休など戦国の英傑たちと切磋琢磨しながら己の花を完成させて行く様を描く映画のようです↓
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↑下の段の紺のキモノは、私の大・好・き・な、萌えキモノ「直垂(ひたたれ)」ではありませんか!
映画では石田三成が着るようです。三成は好きな武将ではありませんが、直垂は大・好・き。生け花ももちろん大好きなので、この映画は観なければ、とまんまとパブリシティに乗せられた私です。

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↑それほど大きくはないキモノ業界、会場ではたくさんの方とお会いしましたが、二人だけ。東京キモノショー実行委員長の中野光太郎さんと、副実行委員長の木越まりさん。中野さんはふだんは目白のキモノ店「花想容」店主であり、絞り染め作家であり。まりさんは「加花」という、昨年スタートしたキモノブランドのデザイナーです。
お二人とも、ご自分の事業がありながら、キモノの活性化のために頑張っていらっしゃる。いや、お二人だけではなく、このイベントに関わっている総てのスタッフの皆さんがそうですね。頭が下がります。
上の同じコラージュに上げているかわいいキモノ人形は、人形作家宇山あゆみさんの作品。また、もう一枚の写真は、会場に設けられたステージの様子を撮ったもの。7日まで連日、日本舞踊、若手能楽師によるお能、キモノトークショー、和太鼓、キモノファッションショー、三味線、銭湯ペインティング…などなど、日々10以上のプログラムが入れ代わり立ち代わり行われています。上の写真に掲載したのは、池坊の若手男性作家グループIKENOBOYSのトーク&生け花パフォーマンスショーの様子。毎日のステージタイムテーブルは、こちらからご覧ください↓
http://tokyokimonoshow.com/eventstage/

(現在、私のブログシステムに不具合があり、リンクを飛ばせなくなっています。お手数ですが、上のURLをそのままコピー&ペーストして検索頂き、当該ページへと飛んでください)
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会場の真ん中には、木と紙で作られた球形の茶室があり、「ひかりの茶会」と名づけられ、裏千家茶人による茶会が朝から夕方まで30分おきほどに開かれています。(詳しい時間は会場にお問い合わせください)
私は夕方の最終回、16:30の回に参加しました。かわいい女の子のお運びさんもいて‥↓
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お菓子は、神楽坂「梅花亭」によるもの。毎日違うお菓子が登場するそうです。今日は、会場のこの茶室をイメージしたもの。ふるふるとしたゼリー状の部分と餡の部分とのバランスが絶妙でした。
そう言えば、この茶室は、実行委員長の中野さんが設計したのだそう。バックミンスター・フラーの建築理論を実践したとかで、それは、三角錐を集めてどうとかこうとかしてドーム型になる???といったような理論のようです。中野さんから模型を見せてもらって説明を受けましたが、立体に弱い私にはさっぱり。分かったふりをしてニコニコ聞いていました。一つ前のコラージュ中で中野さんが手に持っているのが、その模型。絞り染めだけではなく数学も得意だなんて、中野さん、すごい…
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そうそう、会場には、和菓子だけではなく洋菓子のカフェもあります。ミシュラン一つ星の白金「TIRPSE」が出店。お店の名物の「富士山カヌレ」を頂けます↓
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フリー編集者の小林佳代子さんと。甘いものに異様にうるさい私。カヌレもあれこれ食べ比べていますが、現在日本で主流のふわっとしたカヌレではなく、こちらのお品は、どっしりとした重厚な食べごたえをしていました。オーナーさんがいらしたので感想をお伝えすると、シリコン製ではなく、鉄の型を使って焼くことが味に影響するんですよ、とのお話。なるほど‥!

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↑今日の私のきものは、米沢「新田」の紅花紬に、祖母が染めた塩瀬の名古屋帯を。花籠に柳と牡丹、その周りを燕が飛んで…という、初夏の予感の一本です。足元はこんな風に…↓
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浅草「辻屋」の女将りえさんに選んで頂いた、塗りの舟形下駄。変わり麻の葉?柄の鼻緒との相性が、何とも素敵なのです。バッグはアタバッグを持ちました。初夏の頃から、籠バッグで出掛けたくなります。
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いかがでしたでしょうか、初日レポート。「東京キモノショー」は日本橋三井ホールで、7日まで毎日開催しています。ぜひお出かけください!

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頂き物の着物と水屋着で、社中の茶会。お床の花を担当の巻。 2017/04/27



先週の日曜日は、社中の温習茶会でした。
毎回、駒場東大前の旧前田侯爵邸和館内にある茶室を借りて行っています。下の写真が、その前田邸和館の門構え↓
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以前は総て先生のお道具をお借りしていたのですが、前回より、勉強も兼ねて、社中メンバーの持っている道具で使えるものは使い、組み合わせていこうということになりました。
今回、私は、水指と床の花入れを提供しました。水指はこちら…↓
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奈良の赤膚焼の松田正柏の作。以前、奈良に長く住んでいた祖父が松田さんと交流があったようで、我が家で所有しているものです。春の日にふさわしいすっきりとした白色系の肌に、底の部分に釉薬の垂れを残した点が見どころです。
棚は、江戸千家の棚、米棚。棗は先生がお持ちのもので、角野亮斎作。美しい螺鈿細工で二人静を表現しています。
花入れと、そして花はこちら↓
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これも毎回のことなのですが、二十代の頃、真生流で生け花を学び、(腕は大分錆びついていますが)師範免状を持っているため、常にお花担当を仰せつかっています。以前は花も花入れも先生がご準備下さっていたのですが、前回からやはり勉強のため、自分で調達することに。これがなかなかに相当大変です。
思案の末、大分前から、今年は籠を使ってみようと考えていました。籠は初夏から秋の初め頃と使う機会が限定されるため、花を習っていた当時から、練習の機会が少ない花器。今回は敢えて挑戦してみたいと思ったのです。
幸い、半年ほど前に、地元の骨董屋さんに、祇園「西村」という竹細工店の老舗の籠が入り、状態も良かったので即購入。花はどうするか、これもあれこれ考えましたが、我が家の庭に楓(もみじ)の大木があり、子どもの頃はしじゅう登っていたので、懐かしさもあり、久し振りに木登り復活して枝を切ろう!と思いたちました。茶会前日、斜め掛けポシェットに木鋏をしのばせ、懐かしい木の股に足を入れ、以前より太くなった幹をよじ登ったのですが…写真を見て頂いてもお分かり頂ける通り、結局、茶器当日は、同じ庭から切った山吹の方を使いました。折角苦労して登ったのに…でも、花は生きもの。現場でお軸との相性具合などを見て修正するのは、当然のことと思います。もう一種生けている紫の花は都忘れ。こちらは、木登りの後青山の「花長」へ遠征し、購入したものです。ちなみに、お軸は、池大雅の弟子の系譜の大雅堂月峰の富嶽図です。先生がお持ちのもの。
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↑折角木登りまでして切った楓の枝も活用しないともったいないと、受付の小さな三島手の花入れに生けてみました(写真が若干ピンボケです)。ツツジも、我が家の庭から切ったものです。
それにしても、花当番は何が大変と言って、調達もですが、家から会場まで、花や葉を傷めないように運ぶことが一番大変だと実感します。朝早く起きて髪と着付けを終え、それから花の茎に水を含ませたチリ紙を巻いて、更にサランラップを巻いて…花材は多めに準備しているので、この準備が大量でまず本当に一苦労。そして、車を運転しない私は、電車で運ばなければならない訳です。人にぶつからないように、物にぶつからないように、前後左右に気を配りながら歩き、更に前田邸が駅から遠く…生けることより何より、無事花を運搬する、このことに毎回疲労困憊です。
それでも、花はまあまあの出来でほっと一安心。安心したせいか自分のお点前も、平常心でさらっとつつがなく終えることが出来ました。
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そんなこの日の着物は、こちら。母の知人のお母様の遺品を頂いたもので、そのお母様もお茶をされていた方ということで、まさにお茶にふさわしい、控えめで瀟洒な一枚。藤色地に小さな松が、絞りと金糸刺繍でぽつぽつと表現されています。とても気に入っており、ありがたく着用しました↓
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帯周りはこんな風に↑
小葵文様の、名古屋を合わせました。定番とも言える組み合わせ方ですが、定番ならではの安心感。
ちょっと面白く思って頂けるかな、と思うのが、水屋着。一枚は写真が暗く写ってしまっているのですが、こんな黒色の水屋着を着用しました↓
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実はこれ、水屋着として作られたものではないのです。一年中着物を着ていたという、これもある方のお母様からの頂きもので、その方は対丈でこのお着物(単衣です)を着て、みやつのところに縫いつけた紐で腰周りを締め、その上に半幅を結んで一日を過ごしていたそうです。毎日着物時代の“ふだん着物の知恵”!
その方は私より背が小さかったのでしょう、私が着るとくるぶしより少し上の丈になります。これをそのまま水屋着として着てしまうことにしました。大島なので、撥水も良く、足元まで長さがあるため水はねや花粉が着物についてしまうかも…という心配もありません。

…ということで、頂き物のお着物と水屋着で、今年もつつがなく終えられた温習会。また日々の稽古に励みたいと思います。

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中村勇次郎訪問着で、GINZA SIX内覧会へ。 2017/04/18



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今週木曜日、20日にオープンする「GINZA SIX」。
連日開かれている内覧会に足を運びました。
240店舗ほどもお店が入っているということで、とても総てを回ることなど出来ず、とてつもない人出。その中をかき分けかき分け、ご招待を頂いた「OKANO」さんへ。博多織の「岡野」さんの東京旗艦店です。
……と言っても、着物・帯は少なく、スカーフが中心。例えばこちらは、エルメスなどのようなスカーフの生地に、友禅で鳳凰を染めたもの。100万円超えのお品です(@_@)↓
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こちらは、アーティスト小松美羽さんが手描きしたもの↓
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こちらはシフォン生地のスカーフで、着物のぼかし染の技法で染められたものです。10万円台。美しい…!↓
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こちらのシリーズは、エルメスなどのスカーフと同じような、プリントもの。雪輪、博多織の独鈷模様など、日本の伝統模様を大胆にアレンジした大判スカーフです。上のシフォンスカーフと合わせ、海外の方にも人気を呼びそうですね。5万円台↓
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お友だちのまりなさんと遭遇↓
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まりなさんは、タレントプロダクションを経営されています。2年前、きものイベントの裏方運営を一緒に回して親しくなったのですが、前に出るべきところは前に出、サポートに回るところは回ってくれる、こんなに働きやすい人は滅多にいないというくらい、素晴らしい仕事人でした。女性でも男性でも、私は仕事の出来る人が好き…なので、まりなさんが大好き。最近は尾上流日本舞踊を始めたそうで、そのうち舞台に伺うのを楽しみに♪

旧友のライター“きたもっち”こときたもとゆうこ嬢にも遭遇。日経スタイルなど様々なメディアでトレンド情報を発信しています(写真、ピンボケ気味です)↓
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私の着物は、伊勢型紙彫りの人間国宝・中村勇次郎の型を染めた江戸小紋。染めの段階で訪問着になるよう色を染め分けたものです。全身の写真がないのでちょっと分かりにくいのですが…またそのうち別の機会に着用して撮影したいと思います。今日は帯の寄りを。「加納幸」の葡萄唐草+華紋柄の帯に、「道明」のインパクトある帯〆を入れることでコーディネイトのアクセントにしました。この写真ではあまり見えていませんが、「ゑり正」の紫の輪出し絞りの帯揚げを締めています↓
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GINAZA SIXには「OKANAO」の他に、もう一店着物店が入店しています。
その「JOTARO SAITO」にも足を運びました。ディスプレイがとてもスタイリッシュです。ご覧ください↓
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銀座の真ん中で、海外からの顧客も取り込むべく出店した2店。着物ファンとして、その勇気とチャレンジ精神に大きな大きなエールを贈りたいと思います。「OKANO」「 JOTARO SAITO」の発展を祈って!

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着物で青梅へ。「鷹取麻利子友禅染」展と青梅の美しい枝垂れ桜 2017/04/13



今年に入ってから、ほとんどきものを着る機会もなくバタバタしていたのですが、一本納品を終えて、今日はきもので青梅へ。青梅在住の東京友禅作家の鷹取麻利子さんの作品展を拝見に伺いました。
鷹取さんと出会ったのは、3、4年前きものサローネでした。ブースを出していらっしゃったので作品を拝見し、しばしお喋り。以来、お友だちの片隅に加えて頂いています。サローネには何かと批判を言う方もいらっしゃるようですが、作家と着物愛好者の出会いの場として、私のような(常に取材対象者を探している)マスコミの人間との出会いの場として、貴重な一面を持っているのではないでしょうか。

さて、その作品をご覧ください↓
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ご本人と一緒に↓
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こちらは帯地↓
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写真上の左端の帯は、マーラーの肖像を意匠化しています。一見、中小模様のように見えて、よく見ると肖像という、素敵なデザイン。

他にもこんな素敵な作品たちが‥
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秋のコーナー。すすきなどの草は、総て、鷹取さんがご自宅周辺の青梅の里山から集めたものだとか↓
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作品展が行われているのは、「繭蔵」という素敵なカフェ。土蔵を改築して作られています。
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玄関の三和土も陶片?タイル?を使った素敵なもの。
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以前、広告系のお仕事で毎年のように青梅に行っていたことがあり、青梅は大好きな町です。夕方、鷹取さんのご案内で、近くの桜の名所へ出掛けました。「梅岩寺」の枝垂れ桜。樹齢150年とのことで、7,8メートルほどの枝が山から垂れている姿は圧巻です。
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桜の下で、鷹取さんと♪
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今日のコーディネイトのご紹介もしなければ、ですね。春の青梅に締めていくのはこれしかない!と、祖母が染めた、春の里山風景の帯を合わせました。着物は桐生の泉太郎さん作の蛍絞りの紬。ちょっと分かりにくいのですが、紺色の帯揚げを入れています↓
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最後に、青梅の町を流れる多摩川の夕焼け。ああ、美しい…
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東京友禅の修業時代のお話、青梅の自然のお話など聞かせて頂き、とても楽しい時間でした。鷹取さん、ありがとうございました!
「鷹取麻利子 友禅染展」は、今週末4月16日まで、青梅「繭蔵」で、連日11時~5時まで開催。
青梅の美しい自然やかわいらしいカフェ、かんざし美術館、澤乃井酒造見学などと併せて、週末足を延ばすのと楽しいと思います。ぜひお運びください。


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熱海MOA美術館へ、きものでお能を観劇に 2017/02/16



この間の日曜日、熱海のMOA美術館へ出かけた日のきもの日記です。
MOAと言えば尾形光琳の「紅白梅図屏風」の所蔵で有名で、毎年梅の咲くこの時期に展覧されます。もちろん「紅白梅図」もお目当てだったのですが、この日は、もう一つ、美術館3階にある能楽堂で上演される新作能「利休――江之浦」の観劇にうかがいました。
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このお能は、美術家の杉本博司作、馬場あき子先生の脚本。シテが千利休、ワキが利休の弟子で戦国大名の細川三斎で、MOAにほど近い小田原を訪れた老年の三斎が、かつて北条征伐でこの地に逗留した日々を回顧。やがてその回顧は小田原征伐からそう時を経ずして秀吉から切腹をたまわった師・利休へ及び、するとそこに土地の老人が‥といった内容です。
大まかな内容は聞いていたのですが、杉本博司の作ということで、何か美術に仕掛けがあるのか、或いは衣装が現代的だったりするのか、など全容がつかめず、きものに大変迷いました。結局着て行ったのがこちらです↓
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きものは、廣瀬雄一さんの江戸小紋。一見普通の縞に見えて、柳の葉の意匠になっているというもの。帯は、祖母から伝わった総絞りの羽織を、名古屋帯に作り替えたものです。渋めのきものに帯のピンクで女らしさを。でも、甘くなり過ぎぬよう、紺の無地帯〆で締めて‥といった布陣です。帯〆は、最近買った道明の冠組を下ろしました。帯揚げには、写真ではあまり良く見えていないのですが、ぽつぽつと七色の絞りが散っています。ゑり正製。

杮落しなど特別な機会ではない場合、お能の鑑賞には、上品な小紋か付下げに格の高い模様の名古屋帯、或いは洒落袋帯という組み合わせが一般的でしょうか。訪問着+袋帯、だとちょっと重過ぎるような気が、私は致します。
そんな訳で、この日も、帯に有職文の織りの名古屋を‥とも思ったのですが、ひょっとして現代劇のような斬新なお能なのかも??だとすると有職文の名古屋でも生真面目過ぎ??などと様子が分からず、また、何だかピンクを締めたい気分でもあったため、こちらの帯にしました。
実際に鑑賞してみると、演出はオーソドックスで、織り名古屋の方がベストだったかなとは思いましたが、会場を見渡せば、洋服の方は相当カジュアルな方も多く、いやはやシチュエーションに合ったきものを選ぶことの何と難しいこと。自分ではこのコーディネイト自体は気に入っていて着ていて楽しいので、まあ良しとします。

          *

利休をシテとする新作能「利休――江之浦」では、その利休の子孫である武者小路千家若宗匠が土地の茶人として間狂言に登場し、お茶を点てる‥そのことによって利休の霊が現れる、という何とも巧みな趣向が埋め込まれていました。そしてそのお点前が非常に美しいのです。
若宗匠は美術史の修士をお持ちで、美術史家としても活動され、茶の湯に関するご発言も多く、著書も拝読していましたが、きっとそんな方だから、茶の哲学やお道具を重視され、お点前はすーっと無難に、というところかしら、と勝手に想像していたのですが、いやいや点前自体が、きっと若宗匠のお席に登場するだろう名物に拮抗する美を備えていらっしゃる。もちろん私など遠く及ばないのですが、なるほど、柄杓はああ扱えば美しいのか、全体を通してこういうリズムがあるのだな、など非常に勉強になりました。真面目人間のため、早速家で真似をしながら稽古しています!
そしてこの舞台のもう一つの趣向は、本物の利休作の花入が登場すること。パンフレットによると、杉本氏の念が引きよせたのでしょう、この舞台の案を練っているさなかに、或るところから花入が売りに出たのだということです。
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↑上の写真がその花入。上演前からこのように、舞台やや上手に設えられています。写真では小さくしか見えず申し訳ないのですが、当日、NHKが撮影に来ていたので、いつかこの日の舞台の放送があるのではないかと思います。花入、若宗匠のお点前、そして「利休の切腹」という大きな問題をテーマにしたこのお能を、ぜひ皆様もご覧になると良いと思います。

          *

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観劇の前にはMOAを回りました。
上の写真は、敷地内にある尾形光琳邸の復元屋敷の庭を撮ったもの(紅白の梅も咲いています)。写真では素晴らしさを伝えきれていないのですが、端正な非常に良いお庭で、一日ここにいたい!と思ったほど。この庭を愛でるためだけにもまた遊びに行きたい気持ちです。(今日の日記の一枚目の写真も、光琳邸の中で撮っています)

下は、ピンボケが申し訳ないのですが、秀吉の金の茶室の再現展示↓
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秀吉の茶、利休の茶…金と赤の色の洪水の前で、深く考えさせられます。少なくとも私は、こんな茶室で茶を飲みたくはありませんが‥
また、今回、発見だったのは、『湯女図』のこの表装↓
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服飾史の勉強をする中で何回となくこの絵を書籍の上で見て来ましたが、実物を見たのは初めて。こんな美しく洒落た表装がされていたのか‥!とうっとりしました。刺繍の具合から見て、この絵の描かれた時代よりもう少し後の時代の打掛or小袖の裂を着せています。お洒落が大好きだった湯女たちも高級な布にくるまれ、この趣向を喜んでいるでしょう。
そしてMOAの2階からはこんな熱海の海の風景が‥↓
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この日は仕事の〆切があり真っすぐに東京へ帰宅しましたが、またゆっくり温泉につかりに来たいものです。

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クロワッサン「着物の時間」にて、漫画家の桜沢エリカさんの着物ライフヒストリーを取材しました。 2017/02/08



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バタバタしていてご報告が遅れてしまったのですが、発売中の「クロワッサン」2/10号「着物の時間」にて、漫画家の桜沢エリカさんを取材しました。
桜沢さんと言えば、時代の気分を鋭く拾い上げて漫画作品にされる方。フアッショニスタとしてもよく知られていますが、一方、着物も大好きで、二十代から繰り返しきもの熱が訪れ、今、「第4次着物ブーム中」…といった「女の着物人生」をとても楽しく語って頂きました。着物好きの方には、きっと「分かる!」と思って頂けるエピソード満載です。ぜひご高覧ください。
あ、お着物は、米沢「新田」の素敵な紬に、浦野理一の帯をお締めでした!

    *

今号の「クロワッサン」は、「上手に節約して、年100万円貯める!」という節約の知恵特集。私もこれから熟読して勉強致します‥


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久しぶりに「道明」へ 2017/01/24



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今日は朝から大きな、そして楽し過ぎる取材・撮影を終え、近くまで来たので久しぶりに「道明」へ。
このところ多色の帯締めを求めることが多かったのだけれど、最近急に紺色系の無地の冠組がほしくなり、微妙な差の二色で迷った末に深縹色を購入。
その後、店内で買い物後恒例のお茶を頂きながら、葵一郎社長と30分ほどお話し。様々な最近の動向などお聞きする。ああ、充実の一日。
しかしお店に伺うと、次々とほしい帯締めが出て来てしまう。引き続き頑張って働こう…
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モダンな付下げで、初春歌舞伎「しらぬい譚」へ 2017/01/18



きもの日記3日目、今日は、先週日曜日、お友だちの厚子さんが主宰する「着物で歌舞伎」というイベントに参加して、“国立劇場での初春歌舞伎「しらぬい譚」を観劇後、中村時蔵丈のトークショー”という、楽し過ぎる一日のきものコーディネイトをご紹介します。
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今月の国立劇場は、76年ぶりの上演という珍しい演目、「しらぬい譚」。(上の写真データをご提供くださった有紀さん、ありがとうございます!)
菊之助さんの宙乗りあり、化け猫集団とのアクロバティックな大立ち回りあり、松緑さんの清廉な演技が素晴らしい…と、見どころ満載のとてつもなく楽しい筋立てで、場内は満席。新春らしい雰囲気に、もう、その場にいるだけで高揚した気分になりました。そして菊之助さんの宙乗りの時には、あまりの美しさにじわっと涙があふれたのでした。
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↑そんな私は、最後に舞台から投げられた手ぬぐいをキャッチ。実は松緑さんが投げたものが手に当たって床に落ちたのですが(←小学校以来の球技下手がここでも‥)、隣席の友人が「真矢さんが獲ったもの」と認定してくれました。ありがとうございます♪今年50周年を迎えた国立劇場のその記念の手ぬぐいを手に入れられて、嬉しい限りです。
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↑こちらの写真は、トークショーでの時蔵さん。特別に、羽織裏を見せて下さいました。版画、水墨画など多彩に活動した木田安彦画伯による墨書きの不動明王図です。すっきりと渋い江戸前の着姿の裏に、こんな勢いのある神様を背負っていらっしゃるなんて、さすがに何とも言えずイキでいらっしゃいますね。
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↑その時蔵丈と一緒にお写真を撮って頂きました。幸せ♪
私のきものは、お正月らしく華やかに、と淡い卵色地の付下げを選びました。祖母が染めたもので、おそらく型紙から自分で起こしたと思われる、洋蘭の柄です。
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↑帯は、「加納幸」の葡萄唐草柄の袋帯。帯〆は「道明」の水色から藤色への暈し冠組。
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↑そして、帯揚げが下ろしたてです。「ゑり正」の「白場取り輪出し絞り」。「若草色に黄枯れ茶」の取り合わせはあまりなく、また、意外と多くのきものに合わせやすいのでは、と非常に気に入っています。
‥と、またもや新春から仕事が忙しくなっているのですが、別世界に遊ぶと胸がすっとして活力が湧いて来ますね。ご一緒に鑑賞したきもの仲間の皆様とのお喋りもとても楽しくて。そして、情報盛りだくさんの特別プログラムまで手作りくださったお世話役の厚子さん、本当にありがとうございました。

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「歳寒三友」柄の帯で、「竺仙」の展示会と新年食事会へ 2017/01/17



先週土曜日は浅草で開かれた老舗「竺仙」の展示会へ、きもの友だちとお邪魔しました。
会場は、浴衣をはじめ、江戸小紋、縞など、逸品がいっぱい↓
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こちらは、その逸品のデザインや色を決定する部門「竺仙」の「商品課長」である友人の對馬さんのコーディネイト。もちろん、竺仙製の江戸小紋付下げを着ているのですが‥↓
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↑このおきもの、大変に複雑な作りで、ん?ん?と引きつけられ質問してしまいました。
ご説明によると、まず、「通し+松」の柄の江戸小紋型を付け、その後に、金で松の柄を肩から裾に向け大きくなるよう型染め、そして、青、オレンジなどの染料を叩き染め(だったかな‥)‥と、何とも手が込んでいます。ああ、素敵‥


また、友人が悩んでいたこちらの摺り匹田は、よくよく見ると地の色に濃淡があるのですが‥、↓
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その秘密が、反物下部に証拠のように染められている、九つの型。上から、匹田柄がごくわずかしかでない型から多数出るものまで、九枚の型で何度も染めることで、たくさん染料が染みる箇所と染めない箇所の濃淡が生まれるという仕掛けです。何とも手が込んでいますね。友人は買おうか買うまいか悩んでいましたが、その後、買うと決めたことを祈ります!

この日の私のきものは、こちら↓
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ピンクや紫のぼかしのきものに、祖母が染めた「歳寒三友」柄の帯。お正月を過ぎると明るい色を着たくなります。帯〆は水色を入れましたが、同じ笹浪組で鶸色も持っていて、そちらの色の方が良かったかもしれません。きものコーディネイト、常に試行錯誤の連続ですね。
この日は展示会の後、浅草のロシア料理老舗「MANOS」で、きもの仲間での新年会。ロシア料理は独特の形や小物がかわいい‥↓
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ご一緒した皆さん、ありがとうございました!


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裾濃の訪問着を、帯二本で着回し~~万之丞襲名公演と初釜へ 2017/01/16



今日から三日間、年始にきもので出かけた日のコーディネイト日記をお送りします。初日の今日は、同じ一枚の着物を帯で着回した、二つのコーディネイトをご紹介♪

一つ目は、国立能楽堂で行われた、和泉流狂言野村万蔵家の飲む虎之介さんの万之丞襲名公演の際のコーデです。発売中の「婦人画報」2月号で取材をさせて頂いたご縁で伺いました(下の写真、とにかく門松が大きい!)。
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↑着て行ったのは、裾にかけて濃色に染める、「裾濃」と言われるぼかしの柄付けの訪問着です(一つ紋を入れています)。昨年作ったもので、やや大きめの牡丹唐草の地紋に、肩から膝下ほどまでは淡い藤色。膝下からやや黄色みが入って、裾部分では濃い紫色に変わります。
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この染めは、「近江屋藤兵衛」によるもの。「吊り染めぼかし」と言われる、染液に反物を吊るして漬け込んでぼかし染めをする技術を持つ老舗工房で、天保年間の創業。江戸時代は紅花商を商い、明治期に吊り染めぼかし技法を考案して、現在まで技術を守っています。
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↑この日は、蘇州刺繍で正倉院華紋を表した袋帯を締めました。大きな華紋ではありますが、金糸銀糸が少なめなので、控えめな印象。お茶の先生に頂いた金の雲柄の帯〆、薄紫色の綸子地の帯揚げを合わせて。
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↑足元&コートはこちら。最大に温かいアルパカコートを母から借り、草履は神田胡蝶。同じく正倉院華紋柄の利休バッグを持っています。

そして、同じきもので、社中の初釜にも参加しました↓
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↑この日は、丸紋に蝶や四季の花を詰めた、持っている中で最大に派手な袋帯を合わせました。何しろ初釜ですから! 帯〆は「道明」の御岳組亀甲。紫、ペパーミントグリーンなどが入ったこの色の組み合わせが本当に大好きで、最も気に入っている帯〆かも知れません。帯揚げは「えり正」の紫梅柄の輪出し絞りです。

今年の初釜は濃茶の点前を仰せつかり、年末年始、毎日家で二回ずつ通しで稽古をして心がくたくたになりました(何しろ仕事が忙しいのです‥)‥が、これだけやったので、少しは点前が身体に染みついたかなと思います。いや、身についていますように!
明日、明後日はもう少し軽めのお出かけの日のきものコーデをお届けします♪


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着付け道具はかわいくなきゃダメ?~茶色の紬に黄色の染め帯で「ゑり正」の東京出展へ。 2016/11/27



またまた仕事が山積みで、きもの外出もままならない日々が続いているのですが、昨日、土曜日はお友だちが主宰するきものフリマに顔を出しつつ、日本橋三越で京都の「ゑり正」さんが特別出展をされているので(~29日まで)、「ゑり正」ファンとしては小物を買いに駆けつけました。いつも公式サイトから買っていますが、やはり実際に手に取ったり、店員さんとお話をしながら購入する方がずっと楽しいですから♪
下の2枚の写真が、その三越4階の呉服売り場に出来た特別出展会場で撮ったもの。かなり広いスペースに、帯揚げ・帯〆から、肌襦袢、襦袢、きものバッグ、半衿、着付け小物…と充実の品揃えです↓
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↓ちなみにこの日、私はもちろんゑり正さんの帯揚げで。麻の葉に七色つまみ。実は、この下の帯板もゑり正製なのですが、それは見えませんねw
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↑レンガ色の道明の帯〆は、友人のおばあ様の遺品を頂いたもの。ほぼ新品同様で、嬉しいーーー!大切に使います。帯は祖母が染めた菊模様の名古屋です。

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↑会場で購入したのは、この「楊柳きんち腰紐」。上の写真が購入した状態。下が、広げたところ。前からきんち紐に興味があり、しかもこの七色のシリーズが本当にかわいくて目を付けていました。やっと家に連れて来られて嬉しいのです♪

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↑もう一つ購入したのが、この帯枕です。10年近く使っている帯枕ちゃんが相当へたって来たので、買い替え。赤の輪出し絞りがかわいい♪
前の子はしばらく棚にしまって時々なでなでしてあげた後、うちの庭で「茶筅供養」ならぬ「帯枕供養」のお焚き上げをしてお別れしようと思います。本当によく働いてくれたのですもの、ぽいとゴミには出せません。こういうところ、自分はすごく日本人だと思います。

…と、今回は二点購入して大満足。よく、着物を頻繁に着る愛好家同士で話をすると、
「着付け小物なんてどうせ見えないし、道具として役に立てばいい」
と実用に徹する人と、
「やっぱり着物のみならず、着付け道具もかわいくしたい!」
という人にはっきり二分されるように思います。私は完全に後者。着物を着れば着るほど、中の小物類もかわいくしたい、と思うようになりました。もう、着付けの時、そして脱いだ時の気分の楽しさがが全然違うなあ、と。もちろん、道具派、かわいい派、どちらも一理あるので、完全に好みの問題ですけれど。
…という訳で、かわいい派としては多幸感あふれる週末だったのでした♪

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中井美穂さんとお母様の着物物語を取材しました~クロワッサン「着物の時間」にて 2016/11/25



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クロワッサンの老舗連載「着物の時間」にて、フリーアナウンサーの中井美穂さんを取材しました。
着物がとてもお似合いになるお顔立ち、しかも歌舞伎にも造詣の深い中井さんなので、きっとたくさん着物をお持ちに違いない…と思いきや、意外にもまったく興味なし。けれどお母様は美穂さんに着物を着せたくて着せたくて…という母と娘の着物物語をまとめています。ちょっとほろりとする内容。ぜひ書店でお手に取って頂けたら嬉しいです。

今号のクロワッサンは「冷える女は、たるむ」という、何やら恐ろし気なタイトルの特集。
確かに、食べ物や適度な運動に気を配り、体を中から温めることの重要性は近年よく言われていますよね。
特集も含め、今号の「クロワッサン」を是非よろしくお願い致します♪


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友人のお祖母様のろうけつ染め小紋を頂き、お茶の稽古へ 2016/11/10



今日もきもの日記です。
建築模型作家として活躍している友人のお祖母様が亡くなり、そのきものやお茶の道具を分けて頂くことになりました。
お茶道具は、茶碗、香合、稽古用のお棗、夏の氷点のガラス茶碗など。きものも長着だけではなく、帯締めや夏用のバッグなど小物も少なからずあり(絹紅梅も…!嬉、し、い…)、どれも大切に使わせて頂こうと思っています。
      *
早速、先週末のお茶のお稽古に、頂いた中から小紋を着て行きました(稽古と稽古の間の休憩時間に撮ったため、炭の道具など写っているのはお見逃しを…)↓
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縹色地に花と流水をろうけつ染めで表した愛らしい一着。私はあまりすっきりとしたきものより、何と言ったら良いのでしょう、ちょっと「ぼってり感」のあるきもの・きものスタイルが好みで、とても好きな一枚です。ろうけつ染めも一着も持っていなかったので、本当に嬉しい。またサイズがほぼピッタリなのです。
ただ、八掛は、私の年齢には厳しくなって来たやや若さのあるローズ系色なので、これは追々きものの地の色と同系色の縹系かブルー系に変えるつもりです。洗い張りに出された後らしくしつけ糸がつき、布の状態はとても良く…長く楽しんで行きたいと思います。

帯は、破れ七宝柄の八寸を合わせました(帯もきものも、色は一枚目の写真の方が正確です)↓
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この日は炉開きのため、定番の亥の子餅が主菓子に。「一幸庵」製です。美味しかった…↓
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大切な着物とお茶道具をお譲り頂いた香さん、ありがとうございました!


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結城紬のふるさとへ(着物コーディネート写真付き) 2016/11/08



先週末は茨城県結城市への日帰りツアーに参加しました。きもの好きの知人が企画してくれたもので、結城紬の制作工房とメーカーを総勢15人でわいわいと回る楽しい内容です。
下の写真は、柄をつけるための工程「絣括り」の様子。学んで知ってはいましたが、実際に間近で見ると、いかに細かい感覚で括っているかが実感出来、ため息がこぼれます↓
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こちらは、真綿から糸を取る、所謂「紡ぐ」作業の実演。こちらも近くで拝見すると、一定の太さで細く糸をつないでゆくことがいかに難しいかが分かります↓
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こちらは工程の中でも最後の最後、湯通し後の伸子張りの様子。伸子張りを実演して頂きました↓
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他にも、機織りの様子や綛上げの道具なども拝見したのですが、写真がいま一つなので割愛。あれこれと質問出来、非常に有意義な時間でした。

下の写真は、今回のツアーをアレンジ下さった老舗中の老舗の結城紬メーカー、文久3年創業の「龍田屋」さん。趣きある外観がとても素敵です↓
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中もこんな風に、昔ながらが素敵♪↓
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お二階で、ご主人から、結城と結城縮みの違い、証紙の見方、龍田屋オリジナルの織りなどについて解説を頂きました↓
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こちらは、女将の真由美さんと一緒に。真由美さんの結城が、小さな絣で全体には市松模様になっていておしゃれでした↓
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今回、ツアーメンバーの中から男子が一枚結城をお買い上げ!私もほしい反物がたくさんあったのですが、既に着物計画の中に名古屋帯と小紋を作る予定があり、破産してしまうので我慢我慢。頑張って働きます。
見学を終えた後は、夕方遅く、結城の名カフェ「ARTISAN」へ。銀座や青山のパティスリーと比べても全く遜色のない素晴らしい美味しさ。甘いものに目がないのでとてつもなく幸せでした↓
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この日の私の着物は、祖母から伝わった紫がかった茶色の無地紬。絶妙な色ねえ、とツアーのお仲間に褒められたのが嬉しかった♪結城かな?と思っているのですが、違うかもしれません。ご主人に見てもらおうと思っていたのに、制作工程などに夢中になってすっかり忘れて帰宅してしまいました。また誰かに聞いてみよう。龍田屋さんの前で(風で裾がまくれ上がっていますがお見逃しを…)↓
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帯は、手描きで更紗文様を描いた名古屋帯。ツアーに一緒に参加したお友だちの圭子さん主催の「着物縁結び」の会で、圭子さんのご友人の帯をお安く譲って頂いたものです。コーデのアクセントに、抹茶色の帯揚げを入れてみました(写真の色は正確ではなく、上の、龍田屋さんで撮った写真の方が実物に近く出ています)↓
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ツアーに参加した皆さんの帯の様子がこちら。皆さんそれぞれ違っている、その様子を眺めることが、着物好きとしては無上の楽しみです↓
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この日、私は朝から美容院でアップスタイルにセットしてもらいました。芸術的にきれいに出来ている様子を、いつの間にかツアーのお仲間が撮ってくださっていました。自分ではとてもとてもこんなきれいには出来ません↓
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スーパー夜型人間で、とにかく早起きが苦手。着付けはまだしも、髪までするのがどうにも億劫なので、今回、美容院に頼りました。翌日にお茶の稽古が入っていたため、二日間持たせる魂胆です。江戸時代の芸者のように若干枕を高めに調節して、ネットをかぶせて眠ったところ、ほとんど飛び出した毛もなく、飛び出した部分はピンで押さえれば大丈夫。翌日夕方遅くまで持ちました。これからも着物が続く日はこの作戦で行こう…
そうそう、こちらの写真に写っているお店は、ランチを頂いた、「kokyu(結城市)」というレストラン。昭和初期の民家を使用していて、こちらもとても雰囲気のあるお店でした。
お勉強にお喋りにお食事・スイーツに、何から何まで楽し過ぎる一日でありました♪


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銀杏の小紋でお箏の演奏会に 2016/10/23



最近は仕事が立て込み、なかなかきものでの外出もままならない日々が続いています。
そんな中、今日は久し振りにきものを着込み、友人の山田流箏奏者・長田悠貴能さんと社中の皆さんの演奏会に出掛けました。
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上の写真中央、水色のきもの姿の女性が、長田さん。とてもおきれいな、自慢の友人なのです。私は、黄色の銀杏の小紋。他の皆さんもきものを軸にした友人たち‥ということで全員がきもの姿です。
今日はご親切に、長田さんが箏曲の素養のない私に事前に歌詞を送ってくださっていたおかげで、内容を分かった上で楽しむことが出来ました。
そして、たとえ門外漢であっても、深い、いい音が出ていることはやはり分かるものですね。苦しい恋の、その恋情を描いた一曲に耳を傾けていると、主人公の心がただよう灰色の日本海の波間が見えて来るようでした。

きものの帯周りはこのように↓
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毎年この季節にはこの小紋を一、二度は着て、帯もこの数年は大体この帯を合わせています。小紋は、祖母作の銀杏の型染め総柄。帯は、半月を意匠化した洒落の袋帯です。
足元は神田胡蝶なのですが‥↓
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私がどうも裾を長めに着る癖があるため、鼻緒が全然見えていませんね。もう少し短く着よう‥。
…と、何年着ていてもちょこちょことバージョンアップするところは出て来るものだなと思います。鞄は、私は和装用のバッグを持つことはあまりなく、今日も洋装のバッグを合わせています。
来週末にも、きものでの外出、それも遠出の企画あり。何とか仕事が片付くようにと願うばかりです(^_-)-☆

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紬の単衣小紋で、吉祥寺散歩♪ 2016/09/29



昨日から、一年ぶりに、「抱えている〆切がない」毎日に突入しました。夜はいつも原稿を書いていたので、どう過ごしたらいいのか分からない!
‥と、定年退職後も毎日背広を着て家を出てしまうおじさんのような心理状態ですが、とにかくこの一年ほど友人と会うことが極端に少なかったので、いそいそとお出かけお喋りの約束を詰め込んでいます♪
今日はその一人、イラストレーターの岡田知子さん――私は知子姉様と呼んでいます――と、地元・吉祥寺お散歩へ。もちろんきもので出掛けました。
        *
吉祥寺の大きな特長は、駅から少し離れた道々に雑貨屋店が点在していることではないかと思います。私もいくつも好きな雑貨屋さんがあり、今日はその中の一軒、陶器・ガラス器・生活雑貨のお店「MARKUS」へ。中道通りを途中で北へ曲がる細い通りにあります(カレーの「豆蔵」の通りです。ホームページはこちらから… http://marku-s.net/
実はお目当ての品があり、その子たちを前にして、顔がにやけてしまいました↓
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そう、埴輪のレプリカなのです!実は私、埴輪が大大大好きで、博物館に展示があると、そのコーナーの前をもう一時間くらい動けなくなってしまうほど。このレプリカは、埴輪の本場・群馬にも近い益子の窯元で作られたもので、現物の雰囲気を非常に良く伝えていると思います。あー嬉しい♪
一方の知子姉様は、沖縄の作家さんのご飯茶碗を前に、どの子をお持ち帰りするかで迷い中↓
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実は沖縄陶器が大好きなのだそう。やはりこの店へお連れして良かった!
店内には他にも素敵な器が並んでいます。本当に大好きなお店です↓
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その後は南口へ移動し、coromo-cha-yaでお茶&爆裂女子トークを。紅茶とチョコレートのババロア、美味し過ぎました…
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↑今日の私のきものは、祖母作、紬地に型染した単衣小紋。帯は、米沢「近賢織物」の紙布帯。締めていて軽く、見た目もすっきりとした紙布帯は、今の季節に締めるのにピッタリかなと思います。
帯〆は、和裁の松井扶江先生に頂いた、笹浪組の伊賀組紐。帯揚げは、帯に埋もれてしまってほとんど見えていませんが、灰色がかかった水色地に、絞りで紅葉の葉の柄を入れた一枚を締めていました。
知子姉様、また吉祥寺に遊びに来て下さいね♪


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銀座もとじに蚕3千頭がやって来た!+伊達政宗展+歌舞伎座な一日 2016/09/23



雑誌のお仕事を一本校了、一本入稿して天下泰平なこの頃。一昨日は、日本橋と銀座で3カ所を回って休日を満喫しました。もちろんきもので出掛けます。
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1カ所目は、日本橋の三井記念美術館。開催中の「瑞巌寺と伊達政宗展」を見に伺いました。
目的は、有名な伊達政宗の甲冑と、服飾史的に貴重な江戸初期の帯だったのですが、瑞巌寺の本堂を飾っている江戸初期の「松孔雀図」の襖絵(15メートルくらいある大きなものです)に、激しく心を奪われました。
その他にも、33年に一度しか開帳されない秘仏の不動明王像が特別に出品されていたり、お寺の壁から取り外して来たのでしょう、欄間をずらっとそのまま持って来ていて驚かされる、江戸時代のその欄間の彫り師の技術がまた超絶にすごかったり。そして、伊達政宗が、字も上手ければ絵もこなし和歌がまたとてつもなく素晴らしい‥と、本当に何でも出来る英雄だったのだなと感動したりしていると1時間半ほどかかり、すっかり疲れてしまったので付属のカフェに入りました。
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↑この展覧会期間中、「政宗デザートセット」なるものがあるそうなので、早速注文。
政宗の有名な弦月の兜を模したアイスクリーム、伊達巻のロールケーキ(伊達巻は政宗がこうぶつだったためこの名がついたそうです)、そして、政宗が開発したとされるずんだ餅も、もちろん!
三井記念美術館に限らず、最近はどこの美術館・博物館も、展示内容とからめてこういった趣向をこらしていて素晴らしいなと思います。作品を見るだけではなく、美術館へ出掛けることが楽しくなるというものですよね。
         *
そして2軒目に伺ったのは、銀座四丁目の、「銀座もとじ 大島紬」。
最近、雑誌のお仕事でもとじさんのある活動を採り上げた際に、プレスの方とやり取りをしていたのですが、「今、店にそのまま蚕の飼育場を移動したイベントをやっているんですよ」とご紹介を頂き、それはすごい、ぜひ見たい!と伺ったのでした。
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↑そう、この四丁目の松屋の2本後ろにあるもとじの大島紬専門店を一店丸々蚕室にしてしまう、という驚異のイベントです。
店内に入ると、このように、ふだん商品を並べたりお会計をしたりする什器に蚕がびっしりと‥!↓
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近づいてみると、ほとんどの蚕たちは元気いっぱいに桑の葉を食べています。しゃりしゃりしゃりしゃりと、葉を食む音が聞こえて来て、「ここは本当に銀座?」と不思議な感覚におそわれました。中には寝ているのか、首を少しもたげたまま固まっている子も(写真から探してみて下さい)。いくら見ていても飽きません。
蚕はおよそ2週間ほどで一齢から五齢へと脱皮を繰り返しますが、現在は五齢の段階。今週末には糸――つまり「絹糸」ですね――を吐いて、繭になります。今、幼虫として最大に大きくなった状態のお蚕さんが見られる期間となります。
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↑「虫が怖くなければ、持ってみてもいいんですよ」とのことで、全く虫類が平気な私はつまませてもらいました。五齢のお蚕さんは、丸々と柔らかく、もっちりとした感触です。とてもかわいい!
この後、蚕たちは「上蔟(じょうぞく)」と言いますが、「マブシ」という枠の中に入り、繭を作り始めます。「銀座もとじ」二代目の泉二啓太さんが、マブシを見せて下さいました↓
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蚕には上へ上へ上ろうとする性質があり、糸を吐く頃にこのマブシを上らせて移動させます。一つ一つの枠の中に蚕が一頭ずつ入り、糸を吐いて繭を作る‥その姿もぜひ見てみたいですね。
しかし、この後、蚕たちは天に召されます。上蔟から10日ほど経った頃が、糸を取るのに最適の時期。繭の中で眠っている間にぐつぐつとお湯に煮られて、訳も分からぬまま死んでゆくことになります。
いつの頃からなのでしょうか、日本では、蚕を「お蚕さん」と呼び、各地に蚕を祭る神社やお寺、絵馬があるのも、こうして蚕の命と引き換えに美しい絹糸を頂いていることを、昔の人々が感謝していたからなのでしょう。実際に蚕がもぞもぞと動いている姿を見ると、その思いが身体に染みて分かって来る思いがしました。
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↑店内にはこのようなパネルの展示が幾つかあり、養蚕の歴史や仕組みを学べるようになっています。更に、抽選プレゼント付きの蚕クイズが催されており、パネルを見ながら、「例えば、「蚕の数え方は、匹、頭、羽、個のどれでしょう?」といった蚕の基本知識を学んで、答えを記入し、投票する仕組みです(参加は自由)。
プレゼントの商品は、何と、この蚕から取れる絹糸で織った白生地。きもの好きならガゼンやる気が出るというものですね。ただ何となく蚕を見て帰るのではなく、しっかりとその仕組みを知ってほしい、という、もとじさんの熱い想いが伝わって来ます。10月2日には、繭から糸を取る「座繰り」のイベントも開催されるそうです。
そもそもとてつもなく家賃の高い銀座の地で、2週間あまり、店をまるまるつぶして蚕室にしてしまう。その間収益がなくなる訳ですから、この企画は、商売人にとって狂気の沙汰とも言えるものだと思います。蚕への熱い想いなくして実行される訳がないですよね。
「きものの原料である絹糸が、どうやって生まれて来るのかを実際に目で見て、触れてほしい。百人、二百人の方が見てくれれば、その中から一人くらいは、絹やきものに興味を持ってくれる人が現れる。それでいいと思っています」
啓太さんはそう語って下さいました。ふらっと入って来たお客さんに店員がハイエナのように群がり、ぐるぐると反物を体に巻いて「似合うわよ」「ローンで買えば大丈夫」と売りつける‥きもの嫌いを増やす要因の一つと言われている、一部きもの店の「その時売れればいい商法」とは真逆にある考え方に、大きな共感をおぼえました。
今回、店で育てているのは、約3千頭ほどの蚕。ちょうどきもの一反分を養う蚕の数です。今、私たちが着るきものの多くは、海外から輸入した絹糸によって織られたもの。その中で、今回のイベントで飼育されている蚕は、純国産の「プラチナボーイ」という品種。そう、この試みは、日本の蚕を守る一環でもあるのです。
最後に、泉二啓太さんと↓
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↑そして、啓太さんの横にいらっしゃるのが、九月に入社したとたんこのイベントの担当になったという、新人の池田さん。毎日糞の掃除をしたり、桑の葉を入れたり、と大奮闘中。「まだ反物にほとんど触っていません」とのことでしたが笑、頑張って…!
その池田さんも啓太さんも、家に帰っても白く細長いものがみんな蚕に見えて来るそう。世知辛い世の中で熱く攻めている「銀座もとじ 大島紬」店内で、うごめく蚕の様子を見られるのは、明後日25日まで。繭になってしまう前に、皆さんぜひお運びください。そして、先ほども申し上げた通り、10月2日には、繭から糸を取る座繰り体験も。こちらも、ぜひ!
銀座もとじの今回のイベント詳細は、こちらからどうぞ↓
http://www.motoji.co.jp/news/detail1803.htm

        *
さて、もとじさんを後にして、最後に向かったのは、歌舞伎座。夜の部四幕目の「元禄花見踊」を、幕見で見に出掛けました。
実はこの幕の長唄連中に、友人の末席の末席の末席に加えて頂いている杵屋巳津也さんが出演されています。「玉三郎さんの後ろで唄うなんてぜひ聴きたい!」と出掛けたのでした。前日夕方まで校了出来るかが分からなかったため、予約が出来ず、幕見の遠い席になってしまいましたが‥、朗々たる歌声と華やかな踊り。服飾史の資料としていつも虫眼鏡を使い食い入るように見ている元禄時代の花見の絵(の図録)があるのですが、その世界がそのまま目の前に立ち上って来た、楽しい時間でした。
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↑終演後、楽屋口で巳津也さんと。
来月・再来月は海老蔵さんの公演で東京を離れ、各地を回られるそうです。皆さん、長唄連中にもぜひご注目くださいね。
     *
最後に昨日のきものは‥↓
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細かい横縞の大島の単衣に、祖母が染めた蟹牡丹唐草柄の帯。先週のブログでも同じきものを着ていましたが、あの時はまだ紗の帯。秋に一歩近づいて、今週は塩瀬を締めています。帯揚げには淡いピンク色を入れて。
足元はこちら↓
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この日はカレンブロッソを履いています。バッグは洋装のバッグ。このところ、資料やらノートやらICリコーダーやらをごっそり詰め込んだ大型バッグばかり持ち歩いていたので、小さめのバッグを持つのが新鮮でした♡
これからしばらくは、そこまで忙しくないスケジュールで動いて行けそう。7月から9月まで、あまりにも忙し過ぎてどうやって生きて来たのか記憶がぼーっとしてしまっているくらいなので、秋は少しリラックスして過ごしたいと思います!

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きものサローネ開幕! 2016/09/17



毎年秋、日本橋を賑わす「きものサローネ」が開幕しました。
今年は前期と後期、2回に分けて開催。前期はこの3連休の17・18・19日。後期は来月10月28・29・30日。前期の今回は、YUITOビルで、全国から70店以上のきもの・和装小物店が集うきものカーニバル。たくさんの方でにぎわっていました。
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会場にはステージもあり、トークショーや日本舞踊・三味線のショーも。中でも3日間にわたりトークショーを行う、人気着付け師の吉澤暁子さんとパチリ↓
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トークショーは既に3日とも完売のようなのですが、ブースもお持ちで詰めていらっしゃるので、気軽に話しかけてみてください。
そのお隣りでは、和裁士の東郷和美さんがきものの仕立ての実演を行っています。皆さん興味津々でご覧くださいね↓
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↓こちらの三人は、「深川おどり 丸まげ髪結い処」の皆さん。
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去年も大人気でしたが、今年も出展。短い時間で丸髷に結ってもらえるんですよ。楽しそうですねー!17・18日にはステージで、その実演と民謡・新日本舞踊のショーもあります♪

雑誌「美しいキモノ」の表紙なり切りボードも↓
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皆さんもぜひトライください。

今年も開催「京の名工展」↓
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300万円や500万円の逸品訪問着がずらり。やはり最上の技術に目を慣らすことって重要です。「どうせ買えないもーん」なんて、そういうケチな根性は視野をせばめるというもの。こういう機会こそどんどん活用して絶対見ておくべき。私は綜絖師のおじさまとお話しして学ぶところがありました。なかなかこういった技術者の方と直にお話しする機会もないですから、皆様もどんどん話しかけてみてくださいね。

通路には「80体コーデ」がずらり。投票も行われています↓
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その他に、様々なアイディアで和装下着に新風を巻き起こす「たかはしきもの工房」の特設ブースや、おいしい抹茶プリンやロールケーキのカフェも。まだまだ書き切れないくらい盛りだくさんの内容の「きものサローネ・きものカーニバル」に、ぜひお運びください!

おまけに、今日の私のコーデは、ごく細い横縞模様の大島の単衣に、紗の洒落袋帯。ぽつぽつと七色の絞りが顔を出す帯揚げを入れて↓
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実はまだ半衿は絽です。忙し過ぎて替えている時間がなく…でも、今日も相当暑かったので、もう一週間くらいは全然大丈夫かなという気もします。実は襦袢も麻でした。会場でも、皆さん、夏秋混合の装い。それを眺めているのもとても面白かったのでした‥!

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「出雲織一門展」、行って来ました(於・外苑前「イトノサキ」) 2016/09/15



入&稿と校&正の合間を縫って、どうしても見ておきたかった「出雲一門」展に行って来ました。
場所は、外苑前の「イトノサキ」。
「出雲一門」とは、出雲織の青戸柚美江さんとそのお弟子さんのこと。出雲織りも青戸さんのお名前も聞いたことはあるものの、どんな織りなのか分かっておらず、知りたかったこと。また、秋から冬にかけて、出雲や松江に関するお仕事をする予定があり、何かヒントがないかと訪ねたかったのでした。
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上の写真中、壁にかかっているのが、青戸柚美江さんの作品。そのすぐ下に、息子さん、お嫁さん、お孫さんの作品。その手前からお弟子さんの作品になります。

他にも、こんな作品たちが↓
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「イトノサキ」オーナーの畔蒜さんに、「出雲織って何が特徴なんですか?」お聞きしたところ、「特徴がないのが特徴と言われているんです」とのお答えが。
例えば弓浜絣などのように地域独特の柄もなく、製法が他の綿紬織り地域と変わっている訳でもない。ただ、江戸時代より出雲地方ではどこの家でも綿を育て、紬を織った。戦後途絶えていたその昔ながらの「手紬、手織り、藍染」の製法を青戸さんが復活し、作風に惹かれた人々が全国から集まって教えを請うことになった。それが、出雲一門なのだそうです。
36年間、集まって来た人々に教え続け(一人につき教える期間は2年間だそう)、卒業生は100人ほど。その中かからの21人と、青戸さんご一家の作とを、今回の展示で見ることが出来ます。(もちろん購入することも)
出雲織に決まった形式がない分、お弟子さんたちの作風も千差万別。出雲から倉敷に渡って六枚綜絖(!)の技術を身につけ、紬織りをされている方もいるし、絹や紙布で織る方向に進んだ方もいます
。様々な作風を楽しめるこの展示は、18日まで開催中。ぜひ足をお運びください。
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↑おまけプレゼントは、今日も素敵な畔蒜さんのきもの姿。
単衣のきものは、結城交織。結城に強撚の綿糸が織り込まれ、シボが立った独特の風合いが素敵でした。まだ暑さ残る季節に着るのに最適とお見受けします。結城の無地の八寸帯に、三井寺の帯〆(和小物さくら。koma玖さんで購入したそうです)。くー、いきなお姿ですね。
もう一度アナウンス。「出雲一門展」は18日まで開催。ぜひお運びください!


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白地の絽の小紋を、帯2本で着回し♪ 2016/08/30



この夏は仕事が忙し過ぎて、きもので出掛ける機会も本当に少なく(悲)…そんな中、白地の小紋で出掛けた2回の外出のコーディネイト日記です。

一度目は、8月上旬に開かれたきもの仲間のお友だちとの夏の立食パーティーにて。
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白地に波模様が型染された絽の小紋。水色地に、あざみの花でしょうか?花が描かれた染め帯を合わせました。足元は、神田胡蝶の夏草履。
この帯、それから、次にご紹介する帯も、一枚目の写真に一緒に写っているお友だち、圭子さんからお安く譲って頂いたものです。圭子さんはきもの周りに様々な人脈をお持ちで、大富豪の奥様の箪笥からあふれたおきものを、ほしい方に安価で譲る会を主宰してくださったり。私も大いに恩恵にあずかっています。
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二番目の写真に一緒に写っているのは、浅草で大正時代から続く履物店「辻屋」の女将、富田里枝さん。この日は浴衣に辻屋さんの下駄を履いている方が多く、「辻屋ファミリー」で足元を撮ったのが上の一枚です。(若干ピンボケ、ごめんなさい)

この日のパーティー、皆さん、本当に素敵なおきものや浴衣で参加されていました。
圭子さんのおきものはアンティークの型染。里枝さんは有松絞かな?の絞り浴衣。3枚目の写真のお友だちは、確か綿麻の地に墨流しのきものです。墨流し、私もほしくなりました!
          *
八月下旬には、同じきもので、歌舞伎座へ。
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この日は黒の染め帯を合わせてみました。
花火と屋形船の柄は、八月下旬だとやや遅いのですが、今年まだ一回も締めていないし、東京ではまだ大きな花火大会が二つほど残っていたので、良いかな、と。
この小紋はどんな帯でも合わせやすく、本当に重宝します。帯の色が変わるだけで、大分印象も変わりますよね。
         *
それにしてもきものを着る機会が少な過ぎた…!
九月下旬から十月前半くらいまでは少し休めそうかなと思っていますが、どうなるでしょうか。きもので頻繁に出掛けたいものです。

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夏風邪と、押入から出て来た新しい帯地 2016/08/13



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夏風邪を引いてしまいました。この数日大分涼しいのに、タンクトップタイプのパジャマで寝てしまったのがいけなかったようです。
微熱が出て、体の節々が痛い。月曜朝に提出の雑誌原稿が一本あるのが心配なところですが、幸い昨日、金曜日中にもう書き上げていて、あとは少し手直しをするだけなので、安心。真面目人間はこういう時に救われます。
そんな中、父がゴミ屋敷‥じゃなかった、片づけられない人なのでゴミ屋敷状態になっている書斎‥で探し物をしていたら、「押入から反物が出て来たぞ!」という嬉し過ぎるニュースが。
上の写真がその反物なのですが、洋風の花柄が型染された素敵な帯地です!きゃー!
私はよく「祖母が染めた」きものや帯を身につけていて、このブログでも家族の身びいきで再三ご紹介させて頂いていますが、それは、東京型染めをしていた母方の祖母の作。こちらは、現在父がゴミ屋敷状態の(←しつこい)書斎として一軒まるまる使っている、亡き父方の祖父母の家の押入から出たものです。父方の祖母はあまりきものを着ることもなく、もちろん染めもしていなかったので、どなたからの頂き物が何となく押入に入ったままになっていたのでしょうか。
どことなくかわいらしさのある柄。早速帯に仕立ててみたいと思います。黄色地の米沢紬や白大島などに合わせたら素敵かな?夏風邪も心なしか軽くなったようです。

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トークショー出演の日のきもの~あやめの絽の小紋で~ 2016/07/24



先週金曜日、日比谷公園内にあるモダン建築が素敵な「日比谷図書文化館」にて、公開講座に出演しました。社史研究家の村橋勝子先生とのトークショーで、タイトルは「学術専門出版社雄山閣の百年」。
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お蔭様でほぼ満員の盛況となり、嬉しい限りでした。お客様は、本好きの方が多いと見受けられ、何か一つ二つでも「なるほど」という豆知識や視点をお持ち帰り頂けるよう、一生懸命させて頂きました。何しろ人前で長い時間話すのは初めてだったので、多少ぎこちないところもあったとは思いますが、大きな失敗はなく、ほっと一安心。しかし人前に出るというのはものすごいパワーを使うのですね。翌日自律神経が狂ってめまいがぐるぐる。廃人になってしまいました。
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↑さて、その日のきものは、浅葱色地の絽の小紋。あやめ?菖蒲?が描かれています。
このきものは、お友だちが主宰している「きもの縁結び」的な会で入手したもの。某スーパーお金持ちの奥様が放出されたきものや、知る人ぞ知るきもの古物商の方のお手持ちのきものなどが出品されます。
こちらの小紋も、一度も袖が通されていなかった所謂「新古品」。基本的には柔らかもの、はんなり味のあるきものが好きなので、飛びつきました。
足元を撮ったこの写真の方が模様がもう少し見えるかも知れません↓
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帯周りはこんなかんじに↓
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絽綴れで葡萄唐草を表し、遠目からは無地に見える一本です。こちらも前述の会で入手したもの。
件のスーパーお金持ち奥様が「一度も締めていないわよ~でも売っちゃう。箪笥に入らないから」と、格安で売って下さいました。ああ、大富豪の奥様、羨ましい限りです。ちゃーんと撥水加工までされていました(≧▽≦)
また、夏らしい軽めの糸で組まれた唐組の帯〆は、祖母の遺品にあったもの。一度も締めた跡がなく、箱に入ったままの品を、雌伏何十年になるのでしょうか、初めて使いました。「やっと表に出られたー!」と帯〆ちゃんも喜んでくれたと思います。

          *

この一月ほど、今回のトークショーのことが心配でいつも肩に重い荷物を背負っているような気持ちで過ごしていましたが、成功に終わってほっとしています。それにしても、いつも人前に出て話したり演技をしたりする芸能人や評論家の方ってやっぱりすごい。
当日お越し頂いた皆様、本当にありがとうございました。


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「美しいキモノ」オリジナル髪飾り打ち合わせに単衣の大島で 2016/06/09



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少し前のことになりますが、「美しいキモノ」で現在開発中のオリジナル髪飾り、その第2回目のミーティングへ伺いました。
1回目は2月に行い、その時に話し合ったことを反映した試作品が出来上がったので、更に細部や材質について話し合うミーティングです。
上の写真がその時の模様。人気きものブロガーで、「美しいキモノ」でも連載を持たれている朝香沙都子さんが私のお隣り、そのお隣りに富川編集長、更に他にも編集部の方を交えてああでもないこうでもないと話し合う本当に楽しいミーティングでした。
第1回目の時の写真↓と比べると、
http://www.mayafwe.com/4/000408_J.html

2回目の今回は机の上に載っている試作品や参考商品がぐっと少なくなっていることにお気づきでしょうか。大分絞られつつあるとはいえ、まだまだ検討が続きます。
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↑この日の私のきものは、淡めの黄色地に細かな横縞の大島単衣に、祖母が染めた塩瀬帯を締めて。籠に牡丹、そして柳と燕も飛んでいる柄なのですが、写真には全部写っていません。道明の冠組を締めて。
「美しいキモノ」オリジナル髪飾りの発売は今冬の予定です。楽しみにお待ちください!


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江戸小紋で茶会手伝い&しょうざん生紬訪問着で展覧会拝見の日のコーディネイト 2016/05/17



今日もきもの日記です。
携帯を壊したために取り出せなくなった‥と思っていたGW中の茶会の日の写真を、その日のうちにFBのアルバムに送っていたことに気づきました。
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この日、駒場の前田公爵邸で社中の茶会が開かれ、私は今年は仕事が詰まっていたためにお床の花を生けるところだけお手伝い。その後、一回目のお席にお客さんとして入れて頂いた後、「美しいキモノ」編集部へ入稿作業へ行ったという慌ただしい一日でした。
きものは、二代目金田昇さん作の江戸小紋。お手伝いと席入りの両方を兼ねる日にはふさわしい一枚かなと択んだものです。帯周りはこんなかんじに↓
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「ひなや」製の、金糸銀糸の入った格子柄組紐帯。道明の冠組に、紫色の輪出し絞りの帯揚げで。
ちなみにお花はこんな風に生けました↓
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今回、花入れも自分で用意するというお達しがあり、自宅から持ち込みました。永楽善五郎作の交趾鶴首に、近所のお宅から切らせて頂いた白つつじを生けました。夜に切ったため花びらに花粉がついていることに気づかず、いざ生ける段になってほとんどきれいな花がない!と発覚。人生最大に焦りながら生けたものです。冷や汗をかきました。

         *

もう一つのきものコーデは、GW中のお食事会と、先週末、銀座で開かれた「道明」の組紐教室展覧会を拝見に伺った日に着たもの。
しょうざん生紬の訪問着に、紺地のしゃれ袋帯を合わせて↓
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↑寄りの写真がちょっとピンボケになってしまいました。帯〆はもちろん「道明」製です。
しょうざんのこの生紬は風合いが柔らかくてろっとしていて、どこか柔らかもののよう。洗練されたデザインがとても気に入っています。(「道明」展は、場内撮影禁止だったため写真はありません。300人もの生徒さんが所属するという組紐教室。皆さんのプロ顔負けの作品に圧倒されました)
この春は、袷はこれで最後でしょうか。これからは単衣を楽しみたいと思います♪


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出版社の創業百周年パーティーへ、祖母作の露草柄の訪問着で 2016/05/14



一昨日、私がよくお仕事をさせて頂いている出版社「雄山閣」の創業百周年パーティーにご招待を受けました。
「雄山閣」は、歴史、考古学分野、また、歌舞伎や茶道、刀剣などの日本伝統文化分野に強い専門出版社で、大正五
(1916)年に創業され、今年でちょうど百周年を迎えます。その間、関東大震災、戦争、そしてバブル崩壊の荒波を乗り越えての事業継続。それもベストセラー狙いではなく、地味で時に難解でもある専門書を出し続けて百周年を迎えるというのは、本当に素晴らしいことだと思います。
今、私が書いているノンフィクション小説は、この百周年の記念事業の一環として、創業から現在に至るまで「雄山閣」に関わった人々の波乱万丈を描く群像劇なのです。皆様ぜひご期待頂けたらと存じます。

その記念パーティーの会場は、飯田橋にある「ホテルメトロポリタンエドモント」。料理に定評のあるホテルで、確かに味付けは正統的でしっかりと腰が据わったかんじで、けれど個性もあり、とても美味しく頂きました。
そして、こういったパーティーは、とかく言葉だけが美しくお義理な空気がただようことも多々あるかと思いますが、昨日の会は、いい時代も悪い時代も真に「雄山閣」とともに歩まれて来た名物編集者の方々、雄山閣から学界のスタンダードとなるような名著を出版された考古学、史学、歌舞伎研究、茶道、生活史研究の錚々たる先生方、現役の先生方、そして出版を蔭から支える製本会社や印刷会社の方々が集まり、謂わば「雄山閣と仲間たち」といった温かい空気が流れているとても良いパーティーでした。この方々にご満足頂けるような本にしなければならないと、身が引き締まる思い他致しました。
会場の一角に並べられた、百年間の代表的な出版物(上)と現在の最新出版物(下)が、過去と今とを物語っています↓
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     *

さて、私のきものは、もちろんお祝いの席ですから訪問着で伺いました。帯も、金銀糸の入った丸紋の袋帯で、華やかに祝意を表して↓
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きものは祖母の作品で、恐らく露草ではないかと思われる花を型染めしています。下の写真が裾模様を床置きして撮ったものなのですが‥(携帯カメラの露出の関係から、写真に若干赤みが乗っています)↓
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露草は本来、青、紫、白の花しか咲かないもの。そこを敢えてオレンジ色にも染め、祖母の想像の世界での露草にしています。よく見ると、一本一本の茎や葉の緑を、一本の中でかなり細かく何種類にも濃淡をつけて染めていることが分かります。このあたり、孫ながら「いい仕事してますねえ」と言いたくなります。
FBの方に、柄付けの一部の写真を先行で載せてみたところ、きもの友だちの方から、「今の訪問着は決まり切った柄付けが多い中、個性があって楽しい」といった内容のコメントを頂きました。
これは大変に鋭いご意見で、私の祖母は、もともとはただのきもの好きの主婦。絵を描くことが好きで、たまたま芹沢門下の教室に知己があったことから型染を始めました。
だから、根っからの染め職人さんとはちょっと感覚が違って、型の置き方や色の選び方にどこか定式とは違う自由なところがあると思います。それでも、年に何回か、所属する会が松屋で展示販売会をしているので出品もしていましたし、個人でも注文を受けていたので、商品として染めることもしていたのですが、この訪問着は母と私のためにと染めてくれたもの。「売れるかどうか」などと考える必要はなく、自由に好きなように染めています。その自由な心はやはり人に伝わるのかも知れないなと思いました。

帯周りはこんな風に↓
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帯〆を白にして礼装感を上げ、帯揚げはやや自由に、「ゑり正」の濃い紫色の輪出し絞りにして個性を出してみました。この帯揚げの選択については、母から、ごく淡い紫色の綸子地か、白の綸子地のものの方がいいんじゃないの?とぶつぶつ批判が出ましたが、さて皆さんはどう思われるでしょうか?きものコーディネイト、こういった細かいところで意見が分かれるものですよね。

足元を撮った写真もご紹介↓
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右手に少しだけ写っている紺色の布は、薄物の羽織です。母の知人のお母様の遺品を頂いたもので、絞り染めで出来る目結模様を織りで表したと思われる、面白い柄行き。‥って、この写真では分かりにくいですね。今後この羽織にフォーカスした写真もご紹介出来たらと思います。
草履は、「神田胡蝶」。真っ白のエナメル草履って無条件に大好きなのです。「胡蝶履き」のシルエットと足の収まりのかんじは今日もやはりほっそりとエレガントで○。

それにしても、訪問着での外出はやはり気分が上がります。スピーチがあまり上手くまとまらなかったことだけがやや心残りで、一人反省会をしている真面目人間の私です‥


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「花想容」十周年展へ、黄色の大島単衣で 2016/05/11



連休後半、目白の人気きもの店「花想容」の十周年イベントが開かれて、お友だちのきものスタイリスト&着付け師・望月さおりさんと伺って来ました(望月さんとのお写真はブログ後半に出て来ます)。
会場になったのは、同じ目白にある「自由学園明日香館」というフランク・ロイド・ライト設計の素敵な洋館。さすが「花想容」さん、会場の設定が抜群ですね。下の写真は、その食堂や廊下の一部を撮ったものです。
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会場では、「花想容」店主で絞り染め作家でもある中野光太郎さんの新作展示をはじめ、こぎん刺しやガラスの帯留/かんざしなどのミニショップも。中で特に目を引かれたのがこちらの作品です↓
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絞り染めで松竹梅を表した振袖!かわい過ぎる!
中野さんの新作だということで、こんなかわいらしい振袖でお出かけになれるお嬢さんが羨ましい♪中野さんともパチリ、撮って頂きました↓
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中野さんというのは本当に不思議な方です。お話をしていると、いつも頭の中にたくさんの企画が浮かんでいて、一生懸命その内容を語ってくれる。全然押しつけがましなく、どちらかと言うと「そんな夢みたいなこと出来るのかな、大丈夫かな」という頼りなげにも聞こえて来るのですが、何となく、かなえてあげないといけないような気にさせられてしまうんです。世の中、押しつけがまし過ぎ、暑苦し過ぎて引かれてしまうケースもあるというのに、本当に人に愛されるキャラクターと言うのでしょうか。そんな中野さんの脆そうでいて強い情熱ににみんなが巻き込まれて「花想容」が生まれ育って行った…という、お店誕生秘話を語るトークショーも開かれ、大盛況でした↓
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横の女性が、一緒に「花想容」を立ち上げた新津さん。当初はお客様が全然来なくて大変だったこと、きもので花火を楽しむイベントを開いたら初めてお客さんでにぎわったこと、雑誌掲載がきっかけでぐんとお客様が増えたこと、中野さんがぎっくり腰で、座ることさえつらい状態で何とか絞り染め教室を開いたこと‥お店が育って行くってこういうことなのか、とほろりとするエピソード満載の素敵な時間でした。

一緒にお出掛けしたきものスタイリスト&着付け師の望月さおりさんとも一緒に↓
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何と、望月さんのこの日の帯は、ミノムシの蓑で出来ているんです!!!しかも全通です!!!
一体何匹のミノムシくんの蓑を開いて、この帯は出来上がったのでしょうか?千匹くらい?と、この帯の話題で、会場で出会う方で会う方と盛り上がりました。いつもはビビッドなきものも着る望月さんですが、今日はこの帯を中心にシックなコーデ。いっぱいお喋りも楽しかった♡

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↑もうお一方、会場でバッタリお会いしたデザイナーの大嶋暁子さんともパチリ。昨年、中野さんがプロデュースしたきものイベント「わーと日本橋」の200体コーディネイトで、「このきもの好き!」と私がご紹介した、そのおきものの持ち主が大嶋さんでした。やっとお会い出来た!そして、栗山工房のこの小紋、やっぱりとてもとても素敵ですね♡(わーと展示時の様子は下記URLにて↓
http://www.maya-fwe.com/4/000350_J.html
私と大嶋さんの後ろに写っている絞り染めの作品群は、「花想容」で開催している絞り染め教室のお弟子さんによるもの。力作揃いで驚きました。

そして‥私のこの日のきものは、下ろしたての大島です。この日から単衣解禁!
黄色のきものが好きで、黄色の袷の紬、付下げ、そして単衣の付下げも持っているのですが、またまた黄色に手を出してしまいました。でもやっぱり好きな色を着ていると気分が上がるから、いいんです、何枚持っていても。実はこの反物は、望月さんに見立てて頂きました。ありがとう♡
帯は、一つ前の日記でもご紹介した、祖母が染めた蝶柄の塩瀬。5月の雰囲気満開のコーディネートにしてみました。
この大島、近くで見ると細い横縞柄になっていて、それがまたかわいらし過ぎず良いのですが、何とこの日、携帯を落として壊してしまい、寄りの写真が撮れませんでした。単衣の期間中にもまたこのきもので出掛ける日もあると思いますので、次回にご紹介させてくださいませ。
そして、連休中の他のきもの写真も、壊れた携帯の中でデータを取り出せず‥望月さんに撮ってもらった今回のものだけになってしまいました。今日買い替えた新しい携帯で、また新たにきもの写真を撮りだめて行こうと思います。

最後に一つお知らせを。
今週12(木)~14(土)の3日間、銀座フェニックスプラザ(松屋の裏辺りです)にて、帯〆・組紐の名門「道明」が主宰する組紐教室の作品展が開かれます。非常にレベルの高い作品が集合して、組紐の様々なバリエーションの組み方が見られると思いますので、ご興味ある方はぜひお出かけ下さい。下記URLより地図や作品の一部をご覧になれます。唐組の模様が幾つ組み込まれているの??と驚きの作品も!
http://www.kdomyo.com/domyoten.htm


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錦織の龍村光峯展へ、新しい江戸小紋(廣瀬雄一作)と帯(祖母作)で 2016/05/05



ゴールデンウィーク、皆様いかがお過ごしでしょうか。私は本の初稿をようやく脱稿し、編集の方が何人かで読んでくださっている間、束の間の休息期間を過ごしています。連休明けの16日からまた手直しに入るので、ひと時だけ羽を伸ばせる時間。お友だちと会ったり髪を切ったり、染織関連のイベントに出掛けたり。
今日のブログでは、その中でも、4日の日に明治記念館へ「錦の美と光 光峯の織物美術」展を見に伺った日の会場レポートと私が購入した素敵な名刺入れ、そしてきものコーディネイトをお送り致します。
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龍村光峯先生は、初代龍村平蔵の孫に当たり、やはり織物美術家として活動されています。正倉院裂など数々の貴重な織物遺産の復元や、雅子妃殿下の婚礼丁度品の袱紗の製作を行うなど、錦織の最高峰でいらっしゃいます。その代表作(上の写真)と、ご子息で次代を担う龍村周先生の代表作の展示(下の写真)が行われました。一日にはトークショーも同時開催され、大盛況だったということです。

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また、今回、明治記念館の打掛の制作をされたということで、その出来立ての新作の展示がありました↓
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「彩浪きらら」と題された、平安時代の和歌集に使われた和紙に描かれた「歌集波」と言われる波をデザインしたもの。絢爛たる美しさです。明治記念館で結婚式を挙げると、こちらの打掛が着られるのですね。何とも贅沢!
「龍村」というと「龍村美術織物」をぱっと思い浮かべますが、初代を同じくし、龍村光峯先生とは親戚関係に当たることになります。「光峯」というブランド名で、龍村美術織物とは全く別ブランドとして、帯と和装小物を発表しておられ、その展示もありました↓
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↑私が特に好きなのは、この下の写真の手前左に写っている、白地に波を織ったもの。例えば江戸小紋などに合わせれば最上級のお洒落着として着られますし、格調高い訪問着や色無地に合わせても、もちろん素晴らしい組み合わせになると思います。尾形乾山の作品に描かれた波の図案から、二代龍村平蔵がインスピレーションを受けてデザインしたものを、その孫に当たる周先生が更に受け継いで現在の形にされた作品ということでした。
また、その隣りに置かれた、金の箔とともに平安朝期のたたみのへりに使われる様々な図案をぼかしになるように織った帯も、絢爛でありながら品格をたたえ、うっとりと拝見致しました。上質な色無地にこれを一本締めたら‥素晴らしい着姿になりそうです。

ああ、帯を即お買い上げしたいのは山々なのですが、いきなりそんな大金は難しいので将来の夢に取っておくとして、ちょうど新しい名刺入がほしかったところでもあり、「馬光錦」と名づけられた周先生作の裂の名刺入を購入しました↓
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馬がモチーフということで、そう言えば、「馬」の漢字に似ているようでもあり、小さな三角形がたてがみのようでもあり。でも、古代中央アジアの幾何学文様のようでもありますね。とてもとても気に入っています。大切に使いたいと思います!

周先生と一緒にお写真も撮って頂きました↓
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もう一枚は、「光峯」ブランドのプロデュースをお手伝いされているプロデューサーの宮原巻由子さんもご一緒に♡↓
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↑今日のきものは、江戸小紋。廣瀬雄一さんの作品です。以前、「いろはにキモノ」で取材をさせて頂いたことをきっかけに、我が家でも廣瀬さんの江戸小紋を一枚ほしいねということになり、母と一緒に工房へお邪魔して択んだ一枚です。きもの好きの方であれば、遠くから見ても「江戸小紋だな」と分かるものの、近寄ってみないとどんな柄なのかは分からない。細かな縦縞なのですが、うん?うねっている??実は、柳縞になっているのです↓
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廣瀬さんによると、この型は大正期のもので、伊勢で二枚だけ見つけたものということです。そんな貴重な型を、廣瀬さんらしい、ペパーミントグリーン×紫がかったグレーの組み合わせで染めた、粋でありながらエレガントな一枚。私も母もものすごく気に入っています。(写真だとペパーミントグリーンの色がよく出ないのが残念です)

帯は、蝶を大きく型染めした名古屋帯。何しろ龍村さんの展覧会に行くので、なかなか織りの帯では出かけられません。ここは染めだなと決めました。
その中でこの帯は、祖母の作品で、つづらの中で下の方に入っていてごく最近「あれ、こんな所に新しい帯が!」と気づいた嬉しい一本です。祖母らしい大胆な色使いとデザインで、とても気に入っています。「柳と蝶」で、五月の今頃にふさわしい組み合わせかなとコーディネイトしてみました。

ゴールデンウィークは他にも外出していますし、まだあと一日きもので出かける予定もありますので、またきもの日記をお送りしたいと思います。それにしても「光峯」の帯、我が家にほしいものです‥


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新しい帯揚げ 2016/04/19



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「ゑり正」のネットショップから注文した新しい帯揚げが届きました。
麻の葉ツマミ模様。つまんだ絞りの部分が七色なところがかわいくて、一目惚れ。
本の原稿の第一稿がいよいよ大詰めに近づき、全く外出がままならないため、最近はもっぱらネットショッピングで買い物をしています。
あと少しで脱稿です。


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洗い張りですっきり蘇った大島に紙布帯で、打ち合わせへ 2016/04/06



昨日は雑誌関係の打ち合わせがあり、きもので出掛けました。
仕事の時は、紬が中心です。
最近、洗い張りに出して仕立て直した祖母由来の大島があるので、それを着て行くことにしました。
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上の写真が、洗い張り→仕立て直しから帰って来た時に撮ったものです。before写真を撮っておけばよかったと悔やまれるのですが、布全体が大分くたっとなったかんじ、更に八掛の裾の一部がすり切れて破け、かなり断末魔な状態でしたが、すっきりと蘇りました。
黒と紺の糸で地の部分を織り上げ、身頃と袖に、縦に唐花が入った模様付けです。

実際のコーディネイトはこんな風に↓
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米沢の「近賢織物」製の白地にかすかに茶色の縞が入った紙布帯で、すっきりと。帯揚げはきものの柄と同じ茶の縮緬を、赤の帯〆で挿し色にしてみました。
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これから、大島が心地よい季節が始まりますね(紙布帯も!)。蘇ったこの子を、また違ったコーディネイトで楽しんで行きたいと思います♪

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個性的なしゃれの訪問着で、「日本刺繍紅会 東京展」へ 2016/03/30



今日は都内で複数の用事があり、きもので外出しました。途中、「日本刺繍 紅会」の東京展(銀座メルサ2の7階の東京美術画廊にて・4月3日まで開催・入場無料)に伺った際のレポートをお届けします。

四十年の歴史を持つ「日本刺繍 紅会」は、千葉に本部と工房を置いて注文制作を受けるのと同時に、東京、名古屋、大阪、千葉に教室があり、多くの方が真剣に刺繍を学ばれていらっしゃいます。十年以上習われている方が半分ほど、更に学ばれている方も多くいらっしゃるとのことで、最高齢には八十代の方も。刺繍にはそれだけ人を惹きつける魅力があるのでしょうね。そんな会員の皆さんの作品群を拝見しました。
会場入口で、副会長の高橋信枝先生と、パチリ↓
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高橋先生の帯も、もちろん刺繍作品です。今日の作品はご自分のものではなく、紅会工房作とのこと。能衣装から採った古典画題が、くっきりと精緻に刺繍されていまて、ああ、ため息‥
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会場内は、このように、たくさんの作品が展示されています。(以下の写真は総て、紅会本部様の許可を得て撮影しています)↓
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着物や帯だけではなく、額装や衝立の形式で、刺繍作品として展示されている方も↓
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絵羽の裾模様に、すっきりと鳥獣戯画柄を刺繍したものもあれば↓
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江の島風景をみっちりと帯に刺繡したものも↓
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こちらの宝尽くし文様の帯では、十種類ほどの刺繍技法が使われているそうです↓
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こちらの中啓文様の作品もはんなりと素敵↓
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振袖に刺繡された精緻な花車紋様に見入ってしまいました↓
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とてもとても紹介し切れないほどたくさんの作品があるので、是非皆様ご自分の目でご覧になってみて下さい。
また、会場には、刺繡体験コーナーもあり、スーパー不器用人間である私も挑戦してみました。紅会の方が懇切丁寧に指導してくださいます↓
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こちらが私の挑戦作品なのですが(菱型のマークが打ってある花びらです)、やはりがたがたしていますね↓
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ここで挑戦されたのは、皆さん初めての方ばかりとのことですが、こうして一ひら一ひら皆さんの花びらを見て行くと、上手い人とそれほでもない人(=私も含む)との差が歴然と‥。
ただ、私の花びらだけでも分かることは、手順として、まず最初に中心の一本を刺した後、左へ向かって刺し、続いて中心から右へ向かって刺して行くのですが、短時間のうちでも、左側より右側の方がきれいに刺せていることがお分かり頂けるかと思います。
もちろん器用・不器用も左右するとは思うのですが、刺繍は根気なのだなということがぼんやりと分かった気がしました。そう言えば会場には、紅会創始者の斎藤磐氏の言葉「手は精神の出口」が掲げられていました。正にその通りなのだろうと思います。

最後に、今日のきものの写真をもう一度↓
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きものは、祖母から伝わったしゃれの訪問着。2月26日の日記と同じきものです。現代美術のような抽象柄を、裾に行くにしたがって密に描き、訪問着の絵羽付けになっています。古いきもので、腋の所に大きな染みが出ていたのですが、秋に取材で行った新潟の悉皆工房「日紋」さんに染み抜きに出したところ、完璧に消えました!嬉しい!
訪問着とは言え、遊びのある模様なので、今日は染めの名古屋帯を合わせています↓
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里山風景を描いた、祖母が染めた一本。ピンク色の花が咲いた木が描かれているので、春の帯として締めてみました。帯〆は、母が買って来た伊賀組紐で、御岳組の途中に変わりの組みを入れているもの。春らしく、淡い色合いが良いなと思って締めてみました。
「日本刺繍紅会 東京展」は4月3日まで開催とのことですので、日本の糸や布にご関心をお持ちの皆様は、ぜひ銀座散歩や歌舞伎観劇の合間にお立ち寄りになられてみてください♪


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蛍絞りの紬きもので、打ち合わせに 2016/03/21



今日のブログはきもの日記をお届けします。
先週、仕事の打ち合わせに、紬で出掛けました。
きものは、桐生「泉織物」の蛍絞り。大好きな一枚です。この日は同系色の緑系の名古屋帯を合わせてみました。
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打ち合わせの場所は都心の某所だったのですが、その時は何しろ仕事の話をしているので写真は撮影出来ず。地元の吉祥寺に帰ってから、いつもお世話になっている呉服屋さん「ふじや」さんで、半衿を求めたついでに写真を撮って頂きました。「ふじや」さん、ありがとうございます。そう言えば、このきものも、そして帯揚げと下の写真の道行も、「ふじや」さんで求めたものです↓
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帯周りはこんなかんじに↑
帯は、しょっちゅう締めている破れ七宝柄の八寸帯。八寸でちょっと軽い印象ですが、もう春も近いので良いかな、と。紺色に黄色の豆絞りの帯揚げを入れたのですが、あまり豆が目立っていないところが反省点です‥!
春が近く、着たいきものが目白押しなのですが、なかなか外出も難しく…また仕事の打ち合わせにかこつけて着ましたら、ご報告日記を上げたいと思います♪

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「美しいキモノ」春号にて、二つの取材記事を担当しました。 2016/03/06



「美しいキモノ」春号、皆様もうお買い求めになったでしょうか?ご報告が遅れましたが、私は今号で、二つの取材記事を担当しています。
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一つは、「世界でひとつの振袖お誂え」。日本橋髙島屋さんが昨年発売した豪華福袋、何と、千總の振袖お誂えに、帯、長襦袢、小物類、更にその制作過程を見学する二回の京都旅行も付くというスペシャルなものなのですが、「美しいキモノ」では、その購入者ご家族の一年間のお誂えをの様子をレポートしていました。
今回は、その最終回。完成した振袖に、初々しいお嬢様、市川あゆみさんが袖を通し、ヘアメイク、写真館での撮影をする様子を取材しました。現在の日本の染色技術の最高峰が作り上げた振袖の様子、ゼヒご覧ください。

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もう一つは、皆様おなじみのパーティーレポート、「きものの集い拝見」。
私は日本刺繍「紅会」の全国展開開催40年記念パーティーの様子をレポートしています。
こちらのパーティーが楽しいのは、皆さんご自分で施された刺繍のきもの、帯をお召しになっていること。眼福でした。

「美しいキモノ」春号、第一特集は、紬!150スタイルもの紬スタイルが登場しています。
実は最近、紬から心が離れ気味だった私なのですが、やっぱり紬だけにしか出せない空気感ってあるなあ、と、また紬愛、復活しそうです。
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上の三枚は、その特集の中のごく一部。何しろ150スタイルですから!他に、大久保信子先生による紬に特化した着付け頁+本誌ご購入の方だけがパスワードを入れて見られるネット上の動画着付けレッスンもついています。
紬の難点は、どうしても柔らかものに比べて布が身体から離れがちで、着こなすのが難しいことだと思いますが、その点をクリアする着付けの秘訣を身につけられるのか、私もこれから動画をチェックしてみたいと思います。

もう一つの大特集、付録には、「知っておきたい染織ガイド」の小冊子が!↓
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人間国宝から今注目の作家まで、100名。これはきもの好き愛蔵版ですね。本として売り出しても良いような充実の冊子が付録にぽんと付いているなんてすごい!

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その他に、私の注目ページは、岩下尚史先生の新連載、「東都風流(あづまのてぶり)」。
名著『芸者論』『名義の夜咄』で知られ、花柳界に精通する岩下先生による、東京芸者の装いときものの流行の変遷の分析!
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長年新橋演舞場に勤務され、東京の有名どころの芸者にかわいがられて育った岩下先生にしか書けない情報が満載。これは本当に必読と思います。

‥と、その他にももう書き切れないくらい充実の内容でたった2100円の「美しいキモノ」春号、ぜひお手に取ってご覧ください!

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「美しいキモノ」編集部にて、女子会のような楽しいミーティングで話し合ったのは‥? 2016/02/27



来る日も来る日もどこへも出掛けず家で本の原稿を書く日が続いていますが、昨日は一週間ぶりの外出。表参道の「美しいキモノ」編集部へ伺いました。私は家では化粧をしないので、久し振りの化粧!久し振りの電車!街には人がこんなにたくさん歩いてるー!と、まさにムショを出た人の気分です。
さて、編集部に何をしに行ったのかと言えば、今日の目的は或るミーティングでした。実は、「美しいキモノ」編集部オリジナルの髪飾りを出すプロジェクトがあり、編集部の皆さん+参加ライター陣で、様々なサンプル品を前に、
「素材はこういうものがいいんじゃないかしら」
「***だと安っぽいから**の**みたいな生地を使ってみたら?」(ここの伏字にきもの業界ならではの語が入る)
「この部分はもっとシンプルな方が、きものには合う!」
「ここにワンポイントの**を置いたら?」
「こういうタイプは、まあ、せいぜい浴衣までだよね‥」
「これは素敵だけど、うーん**円は高過ぎる。どうしたらもっと手ごろで上質なものに出来る?」
「櫛部分の足がここまで長いとしっかり留まるから、この形は活かしたい」
‥と、侃侃諤諤、まるで女子会のようなあまりにも楽しいミーティングでした。その様子のごくごく一場面を撮ったのが下の写真です↓
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私の髪にサンプル品を当てて下さっているのは、人気きものブログ「きものカンタービレ」主宰で、皆様きっとご存知ですよね、朝香沙都子さん。朝香さんは「美しいキモノ」「いろはにキモノ」にも度々寄稿なさっているのです♪そのお隣りは、編集部でアシスタントをされている三宅さん。三人とも偶然、黒の染め帯!
この写真のように、今日のミーティングに参加した八人、全員が自分の髪をほどいてサンプル品で実際にアレンジを試してみたり、お互いに後ろに回ってアレンジし合ったり。高校生の頃、教室の片隅に女子が集まって、お互いに三つ編みを結び合った頃のことを思い出しました(*^^*)

それにしても、一口に髪飾りと言っても、髪の毛の質、量が一人一人違うので、総ての人に万能な髪飾りは存在しないのかも知れません。
今回のミーティングに参加した八人の中でも、二人は毛量が少ない上につるつる派で、髪留めがすぐ落ちてしまう(そのうちの一人は私です悲)。一人の方は、髪質がしっかりしていて毛量も多め。一人の方はお茶のお教室が厳しいので、一切飾りがない方がありがたい。一人の方は、少しラインストーンなど飾りがついていた方がいいな‥とリクエストは様々。
だから、たった一つの髪飾りを作るのではなく、何点か打ち出す予定で、きものloverの切実なご要望に応えられるラインナップを目指しています。皆様ぜひ楽しみにしていてくださいね。

今日のきものは、祖母から伝わった、波?のような不思議な幾何学文様をフリーハンドで描いた、非常に独創的な一枚。全身を撮った写真がないのですが、またこれから度々着たいと思っていますので、今日は帯周りと足元周りの写真で全体をご想像下さいませ。
帯は、金田昇(二代目)さんの江戸小紋の様々な柄を市松にした楽しい一本を合わせています。
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二時間ほどのミーティングで気分もすっかり変わり、今晩からまた自宅缶詰生活、原稿書きに精進したいと思います!

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絣のきものに、歳寒三友柄の染め帯で打ち合わせへ 2016/02/22



このところ来る日も来る日も家にこもってノンフィクション小説の原稿を書いているためほとんど外出しないのですが、先週、その本の発売後に開催するトークショーでお話をする先生との打ち合わせがあったため、久し振りにきもの姿で娑婆に出ましたw

きものは、十日町辺りの産と思われる、茶色地の絣の紬。これに、松・梅・竹の歳寒三友柄の染帯を締めました。(帰宅後に自撮り棒で撮った写真です)
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帯周りのアップはこちらの写真にて↓
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この帯も、祖母が染めたもの。いい仕事してますね~と言いたくなる、楽しく、且つうるさくなり過ぎない配色かなと思っています。帯〆は道明の「遠山」、縮緬の帯揚げを入れて。

ちなみに足元はこんなかんじでした↓
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コートは膝下まであるウール製で暖かく。資料を大量に持って移動するため、かばんは無理。がらがらとカートを引きます。麻の葉柄のものを偶然見つけて、愛用中。

まだまだこれからあと一か月から一か月半、自宅軟禁生活が続きます。そろそろ大分精神的にきつくなって来ましたが…頑張ります。

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道明の新ビル完成内覧会へ、道明の新作帯〆を締めて 2016/02/07



先週金曜日、上野池之端の「道明」の新ビル完成内覧会に、「美しいキモノ」の富川編集長とお伺いしました。
え?道明、移転したの?と驚く方もいらっしゃるかもしれませんが、移転ではなく、以前からの池之端の店舗の場所に、新しいビルが建ったものです。
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以前の店舗は木造でしたが、今度のビルはコンクリート打ちっぱなしの5階建て。けれどドアに木材が使われていたり、壁面が木材に見えるように加工されていたりするので、人工的な印象はありません。和モダンのビルと言ったら良いでしょうか。このビルのデザイン設計は、昨年当代を継がれるまでは建築家として活躍されていた、現社長の道明葵一郎さんが、お友だちの建築家の方と担当されたものだということです。自分のビルを自分で設計してしまうなんてすごいですね‥!

さて、きものファンなら気になるのは、売り場はどうなったの?ということだと思います。道明と言えば、あの、畳敷きの台の上の漆の盆に、ずらりと並んだ色とりどりの帯〆‥あそこで買うことが楽しいの!という方もたくさんいらっしゃると思います。
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ご安心下さい!上の写真の通り、売り場は昔とほぼ全く同じ。帯〆の向こうに番頭さんたちが座って、あれこれお話ししながら購入する座売りの形式です。あー良かった!

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↑当日は、葵一郎社長のご挨拶、そして、鏡開きがありました。
お酒は、奥様のえりさんのご親戚の酒造が作られているという、「葵天下」。葵一郎さんの「葵」の字の付くお酒をたまたま造っていらっしゃったのだとのことで、やっぱりご縁があったのですね。何ともこの日にふさわしく、そして美味しいお酒でございました。

私がいつも大変大変お世話になっている、会長夫人であり染織史研究家であられる道明三保子先生ともぱちり♡
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先生が大好きなので、お会い出来るだけでウキウキしてしまいます♪

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↑葵一郎さんとも。紋付き袴がお似合いでした。(えり若奥様とも撮ったのですが、私の着付けがいま一つの映りなのでここではアップせず‥ごめんなさい)
そして、葵一郎社長のお話をお伺いすると、今度のビルには道明の「作ること」への思いがぎっしりと詰まっているのだということがよく分かりました。
1階にお店が入っているこのビル。4階には、糸を染めるための染色室が作られていました。そして2階には「へ切り」という、糸を組紐の台に掛ける前に整える作業をする部屋が作られ、3階には実際に組むための組紐台と、事務スペースが置かれています。
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(↑内覧会の日は、3階で2台の実演が行われていました)
道明では、2カ月に一度新作を出されるとのことなのですが、社員の皆さんでわいわいと話し合いながら組みや配色を決めるその打ち合わせの時に、「じゃあ、その色、今ちょっと染めてみようか」「柄を組んでみよう」と、同じ建物の中で機動力良く作業を進める。謂わばこのビル全体が組紐を作るための一つの機械のような場所であることを目指して設計されたとのことでした。
更に5階にはギャラリースペースがあり、年に何度かは、組紐に関する展示を行うことも考えられているとのこと。楽しみですね。
この日も、これまでに道明が復元に携わった、中尊寺組、亀甲組など、歴史的な組紐の展示が行われていました↓
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↑また、道明のお品の素晴らしさを支える手染めの美しい糸がしまわれている棚も、こんなに美しく…

しかもしかも、何と5階の上にはさらにロフトスペースがあり、そこが茶室になっているのです↓
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こちらの茶室もイベントなどに活用されながら、組紐ファンを拡大されて行くのかな、と今後の展開が大変楽しみです。

          *

ところで、私、この記念すべき新ビル内覧会にささやかながらお祝いの意を示すべく、道明の新しい帯〆を締めて伺おう!と思いつきました。毎回、新作が出るとご案内を頂く葉書型のカラー写真カタログを1枚1枚大切に保存しているのですが、何しろお高いですから、そういつもいつも購入出来ません。
でも、今回は、もう心が決まっていました。下の写真をご覧ください。12月に発表になったばかりの道明の最も新しいシリーズから、「御岳組 蘇芳暈」。御岳組でありながら金糸をつづら折りにあしらって、二本を合わせるとまるで亀甲組のように亀甲柄が出るという面白い一本です。
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大古典の亀甲柄をばらした形で、しかも御岳組で表現するという独創的なデザインに加えて¥、この色合い!どこか色気ただよう江戸紫のようなバイオレット色からペパーミントグリーンへと、金糸を通しながら変わって行くこの配色に、「もう、私、この子がほしい!」と一目惚れしてしまいました。こういった、古典でありながら現代的であるお品に、本当に弱いんです(*’▽’)

当日は、「とにかくこの帯〆が目立つコーディネイトを」と考え、きものと帯は極力シンプルに抑えました↓
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きものは、渡辺雪三郎さんデザインの「雪三郎きもの」の訪問着。雪三郎さんが光琳の絵画からインスピレーションを得たデザインということで、「紅白梅図屏風」の、あの水の表現などが思い浮かびますよね。
私の母は美術史学者で、琳派を専門に研究しています。昨年の琳派四百年に際して、このきものを記念に購入したものを貸してもらいました。シンプルで緊張感ある素晴らしいデザイン。ドレスきものの感覚で、これからも大切に着て行きたい一枚です。
そして、この日はシンプルなコーディネイトにまとめてみましたが、この帯〆にはとにかく力があるので、にぎにぎしい帯に合わせてもとても引き立つと思います。また違ったコーディネイトを考えるのが楽しみです♪

          *

この日は、新ビルから徒歩2分程の別会場で、道明が洋装ファッションに向けて送る別ライン、「DOMYO」ブランドの新作展示も行われていました。
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組紐の技術をハイファッションに落とし込んだ「DOMYO」のカフスボタン、イアリング、蝶ネクタイ。イアリングやカフスボタンは、よく見ると違った組を合わせて作っていることがお分かり頂けるでしょうか。縁の部分が奈良組、本体部分が高麗組になっています。何とも凝ったお品でありながら、そんな講釈不要のカッティングエッジなデザイン。「DOMYO」ラインも、とても素敵です
こちらの展示は、11日まで。道明の新ビル店舗ももう普通に営業が始まっていますので、併せてご覧頂くと楽しいかと思います。

       *

きもの業界やその他の業界の方‥たくさんの方とのお話も楽しかったこの日の内覧会。
道明様の更なるご発展を、心よりお祈り申し上げます!


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お正月らしいにぎやかな染め帯で、「美展」へ 2016/01/24



先週金曜日、水天宮のロイヤルパークホテルで開かれた「美展」へ伺いました。
丸紅主催で、昭和二年から開催されているという「美展」。綺羅星のような染織作家・工房の新作と共に、丸紅所蔵の博物館級の染織コレクションが展示されるのが素晴らしいところ。
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今年は「大名家 衣装の共演」と題し、前田家、細川家、伊達家など、六家から出た姫様の振袖や打掛六枚が展示されるということで、この展示を第一のお目当てに出掛けました。(写真撮影は禁止だったので、パンフレットの写真でご容赦ください。こちらは加賀前田家所蔵の小袖です)
2013年に、私が「江戸着物ファッションショー」というイベントを主宰したことを覚えて下さっている方もいらっしゃるでしょうか。あの第2弾をやらないんですか?という声を良く頂いていて、自分でもやらなければなと思っているのですが、本の仕事が入ったりしてなかなか取り組めていません。が、やりたい気持ちはあり、この展示が大変参考になるため駆けつけた次第です。丸紅のご担当の方ともあれこれ細かいところまでお話し出来、充実の時間。
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さて、私のきものは、二代目金田昇さんの桜文様の江戸小紋に、祖母が染めた名古屋帯を締めて伺いました。(帯の右手側に下がっている布は、会場を歩くために付けるバッジから下がっているものです。帯揚げが下がっている訳ではありませんので(*^^*)
一緒に写っているのは、江戸時代から続く帯問屋「錦」の岡本富三さん。岡本さんにご招待を頂いたおかげで、今回の「美展」に伺うことが出来ました。ご幼少の頃から京都、東京できもの商業界、染色界、そして和文化の精髄を見て来られた岡本さんのお話をあれこれ伺うのもまたとても楽しく、勉強になるのです。岡本さん、本当にありがとうございました。
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↑帯周りと帯の文様の寄りはこんなかんじです。祖母が染めた、鶴亀、松竹梅に霞、源氏車?とにぎにぎしさいっぱいの名古屋帯。しかも赤が基調なのでお正月感があり、一月の定番帯にしています。
赤がこれだけ強くても下品にならないあたり、祖母のセンスが感じられ、とても気に入っている一本です。梅を絞り出した帯揚げに、生成り色の冠組を合わせて。
美展のお品物はどれも素晴らしく、ほしいものばかりでしたが、先立つものが‥(龍村美術織物から、おきものも登場!がニュースでした)、いつの日かの購入を目指して一生懸命働くとして、楽しく学びの多かった午後のひと時でした♪

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総絞りのきもので、「立合狂言会」へ 2016/01/20



 先週日曜日、目黒の喜多能楽堂へ「立合狂言会」を見に行きました。
 「立合狂言会」とは、流儀や家の垣根を越えて狂言師が一堂に会する公演のことです。
 一口に「狂言」と言っても、流儀や家によって同じ演目でも台詞や所作が違い、通常は(当然ですが)共演することもない。けれどこの公演では、その違いを実演付きで解説してくださったり、「佐渡狐」という同じ演目を実際に二家が同じ日に演じることで、細かな違いを非常に良く実感出来たり…と、本当に、他に類を見ない試みとなっているのでした。
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上の写真は、全演目終演後、出演された狂言師の全員での集合写真。狂言独特のはー、は、は、は、はの笑いを一同でされたところを撮影しました。いかにも新春らしい、楽しい雰囲気が伝わって来るかと思います。狂言は、今で言えばコントに当たるもの。有名な「棒縛り」など四つの演目を見ることが出来、楽しい初笑いとなりました。
この「立合狂言会」は、今年で二回目の開催だそうです。また来年も、再来年も開催する企画とのことなので、皆様、来年の新春まで、ぜひ覚えていてくださいね。

           *
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 さて、その「立合狂言会」には、総絞りのきもので伺いました。祖母からの伝わり物なのですが、かなり明るいエメラルドグリーン色が珍しい一枚だと思います。絞りは、絞り目の形から三浦絞りだとこれまで思い込んで来ましたが、もしかしたら違うのか??機会があったら専門家に聞いてみたいと思います。
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 帯は、勝山織物の葵文様の名古屋帯。道明の笹浪組紫ぼかしの帯〆と、ベージュ色の縮緬地に源氏香文様の帯揚げを合わせてみました。
 これからしばらくは、本を書く仕事に集中するため、他のお仕事も断り、外出も控えめにする予定で、出掛けること自体が週一度あるかないかという毎日になりそうです。それ以外はずーっと家と家の近所への日々の食材の買い物だけで過ごす静かな生活ですが、出掛ける時はきものでぱっと楽しく気分を変えたいと思っていますので、皆様また時々覗きに来てくださいませ。


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なりきり「美しいキモノ」表紙パネル、やってみました♪ 2016/01/14



18日まで松屋銀座で開催中の「池田重子コレクション 日本のおしゃれ」展。首都圏のきもの好きが全員巡礼のように詣でているのではないかという盛況ぶりですが、私も昨日行ってまいりました。
いつか先生とお仕事をご一緒することが夢だったので、遺作となってしまったことが悲しくてなりませんが、先生のコーディネイトに何故これほどうっとりさせられるのか、その秘密を盗めないものかとじっくりと一点一点見て回りました。

ところで、その会場前に、「美しいキモノ」表紙なりきりパネルがあることに皆さんお気づきでしょうか?「美しいキモノ」loveな私としては、ここで写真を撮ることにも同じくらいの比重を置いて出掛けて行き、早速トライしてみたのが下の写真です。
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ちょうど昨日は初釜の帰りだったので、「初釜の訪問着&付けさげ」のタイトルともベストマッチ(≧▽≦)
帯〆が下がってしまったりおはしょりがちょっと乱れていますが、気にしません。(きものコーデの詳細は、一つ前の日記をご覧ください)
実はこの写真、全く知らない方に撮って頂きました。昨日は一人で会場に向かったため、お友だちに撮ってもらうということが出来なかったのです。快く何カットも撮ってくださった女性の方、ありがとうございました。

そしてその写真を調子に乗ってトリミングすると、こうなります。かなり完成度高いでしょうか??↓
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おきもの好きの皆様、ぜひトライなさってみてくださいね。


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祖母が染めた貝桶柄の訪問着で、お家元の初釜へ 2016/01/14



 昨日は弥生町の江戸千家のお初釜に伺いました。
 私がいつもお仕事をしている出版社が江戸千家の機関紙の編集を手がけており、今後、私も一部お伝いをするというお話があり、ご挨拶を兼ねての出席でした。
 お濃茶、点心、お薄というお席で、お濃茶はお家元のお点前、お薄はお家元奥様のお点前を拝見出来、しみじみと眼福。自分の点前も、あそこをもっとこういう風にしなければいけない、こここのところはもっとこういう風に‥と、脳内ビデオ撮影に忙しく、大変勉強になりました。
 
 さて、そんな初釜の席には、下の写真のようなきもので出掛けました。お薄席の広間の前にお茶杓や香合の箱書きが飾ってあり、初釜の全てのお席終了後、その前で撮らせて頂いた一枚です↓
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 美容師さん任せにして帯揚げを直したり仕事のメールなど打っていたら、髪がとてつもなく盛り盛りになっていましたが‥きものは、祖母が染めた、貝桶と貝合わせ文様の綸子地訪問着。写真では、照明の関係で藤色のように見えますが、本当は銀鼠色です。地紋は「菊紗綾形」。帰宅後に模様の寄りの写真を撮りましたのでご覧ください↓
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 今の私の年齢にはやや地味なきものであるかなと思い、1枚目の写真でお分かり頂ける通り、赤紫色の伊達衿を入れました。伊達衿は普通お茶の席では用いませんが、初釜のような晴れやかな席では許されるかと思います。きものの柄に紫が使われているので、顔周りということで、柄の色より少し華やかな赤紫を選びました。
 そして、もう一つ、帯をかなり華やかにして、きものがやや地味なこととのバランスを取りました。写真では帯の文様がよく分からないと思いますので、こちらも帰宅後、単体で写真を撮ってみました↓
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 私が持っている帯の中で、一番派手な一本です。全面桜に埋め尽くされた中に季節の花の丸、更にでかでかと蝶が飛んだり蝶の丸になっていたり。この帯を締められるのもあと数年かと思うので、どんどん締めて、心残りのないようにしようかと。
 今回、帯周りの寄りの写真を撮り忘れてしまったのですが、帯揚げは、むじな菊地紋の白綸子帯。帯〆は、銀一色の、組み方不明の礼装用の帯。この組み合わせはちょっと礼装的過ぎるかしら?でも家元に礼を尽くす意味でやはり白や金銀が良いのでは?‥とかなり迷った末に選びました。会場に着いて拝見したところ、お客様や、お運び・半東の皆様、白や銀の帯〆をしていらっしゃる方が多くおられ、帯揚げも白の方が多く、やっぱりこの組み合わせで良かったとほっとした次第です。
 ‥と、晴れの舞台に祖母作のきものを着て行くことが出来、きっと祖母も向こうの世界で喜んでくれているだろうと思います。それにしても、きものも帯も何もかも祖母から伝わって来たものでの取り合わせ。お正月らしく、草履だけは、年末に購入してこちらのブログでもご紹介した、神田胡蝶の草履をおろしました↓
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 ちなみに昨日の点心の仕出しは「吉兆」で、大変大変美味しく頂きました。連客の方とのお話も楽しく幸せな時間。
 若輩者の私はもちろん下の方のお席に座っていましたが、それでもじっくりと拝見出来た家元のお点前、少しでも自分に取り入れられるよう精進して行きたいと思います。

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扇文様の小紋で社中の初釜へ 2016/01/12



先週末は日本のあちこちで初釜が開かれていたことと思います。
我が社中も、初釜。今年は祖母が染めた扇文様の小紋を着て出席しました。
お墨、点心、濃茶、薄茶‥と、途中多少足をほぐす時間はあったとはいえ正座が続き、よれよれと立ち上がった後の写真のため、着付が乱れていて恐縮ですが‥↓
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私の社中の初釜はどこか会場を借りて行うものではなく、いつものお稽古場である、先生のご自宅で行っています。初釜に小紋はややくだけた取り合わせではありますが、上記のような理由と、文様が古典的なものであるため、この一枚を択びました。
帯は、「加納幸」の袋。帯〆は、道明。薄紫綸子地に梅の花模様の帯揚げを入れて↓
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帯は、近づいて見るとかすかに地紋が入っています↓
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洒落ていて大好きな帯なのですが、初釜というシチュエーションには、今日の取り合わせでは少し軽過ぎたかなと反省。もう少し重厚な帯を合わせるべきでした。着付けも乱れているし、新年早々反省点が多くお恥ずかしい限りです。

一転、お床は‥初釜らしい清々しいお床で心が洗われるようでした。振ゝ香合が‥かわいい!↓
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棚は及台子。飛び青磁の皆具の組み合わせ↓
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お茶碗は嶋台だったのですが、撮り忘れてしまいました‥
先生より、今年は様々な棚を特訓!とのお言葉を頂き、しっかりと励みたいと思います。


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新年のお出掛けきものを選んでいたら、緑系ばかりの巻 2016/01/05



皆様、新年、おきものを楽しんでいらっしゃることと思います。
私は今年は仕事優先で、まだきものを着ていないのですが(涙)、今週末には、社中の初釜。そして来週末17日には目黒の喜多能楽堂へ、狂言各流・各家が垣根を越えて共演する「立合狂言会」を観劇に伺うので、仕事の気分転換に、と、そのきもの選びをしました。すると‥
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候補にした二枚が、上の写真。祖母が染めた唐草に扇の小紋と、かなり緑がかったターコイズブルーの総三浦絞り。
どちらも緑系です!私の今年の色は緑なのでしょうか?

扇の小紋の方を、初釜に。格式としては小紋ではありますが、模様が古典系であることと、我が社中の初釜は、毎年、厳粛さもありながらワイワイととても楽しい雰囲気で進むので良いかな、と。
「扇に、松を連想させる緑地」ということで、狂言にこちらを着て行くのも良いかなとは思うのですが、でもまだこのきものを社中の皆様に披露したことがないので、やはりこちらで初釜に行きたい!
総絞りのきものには、クラッシックな帯を締めて、お正月らしい雰囲気を出せたらと思っています。
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‥とここまでぐるぐる考えていたら、何と、お世話になっている出版社様から、江戸千家お家元の初釜にご招待して頂きました!
これは大変です。急遽ミッションが増えてしまいました。

まだ悩んでいますが、一つ紋の立涌紋綸子ぼかし染めのこちらにしようかと。そしてこちらにも(写真ではピンクが目立ちますが)全体に青みがかったグリーンが使われていて…やはり今年の色は緑なのでしょうか。
緑と言えば芽吹きの色であり、常盤木の色でもあり。無意識にこの色を選んでいるということで、新年からおめでたいと悦に入るといたします!

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新しい草履(「神田胡蝶」製)と、新しいバッグ 2015/12/10



最近は家にこもって、来年5月に発売予定のノンフィクション小説の原稿に専念する日々を送っています。そんな中、時々の買い物やお茶のお稽古、そして親しい友人との食事が大きな息抜きになっているのですが、今日の日記では、その「時々の買い物♪」で我が家にお迎えしたお気に入り二つのお品をご紹介したいと思います。
まず一つ目がこちらです↓
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じゃーん、「神田胡蝶」の、お草履**☆*:.。. :*・**
‥と、こう、きらきら絵文字をつけたいかんじの輝き感、美しさ。
写真では完全に色を伝え切れていないのですが、真っ白ホワイトな正統派草履です。
「神田胡蝶」の草履は他にも持っていて、台の形が私の足に合うのか、本当に疲れにくく気に入っています。今回の一足も履いた瞬間に、「あ、疲れないな」と分かって。そのくらい、足に合っている上に、何と言っても「胡蝶」はデザインがほっそりしていてと女らしいのが良いのですよね。まだ卸していないので仕事の合間に箱の蓋を開けて、うっとりと眺めるのがまた神経の張る仕事の息抜きに。
「白の草履を新調したいんです」とリクエストしていくつか候補を見せて頂き、試し履きにおつき合い頂いた「神田胡蝶」の松崎さん、ありがとうございました。大切に履いて行きます♡
  
 *
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そしてもう一つ、最近の新しいお気に入りが、上の写真のトートバッグです。
こちらは、非売品。実は、私がまだうら若き二十代の頃に働いていた「斉藤オフィス」の30周年を記念したプレミアムバッグなのです。
齋藤薫さんの名前は、多くの女性の皆さんがご存知だと思います。「25ns」の編集を経て、独立。美容ライターの草分けとして数々の名エッセイ、名レビューを書かれ、今では美容だけではなく、女性の美しくも凛々しい生き方を指南するエッセイストとしても活動されています。

私は、まだ社会に本当に出たての二十代前半の頃、この齋藤さんのオフィスでアシスタントをしていました。当時は本当にダメ人間で、今の自分から見ると「ちょっとあなたこっちに来なさい」と呼び出して説教したくなるほど、仕事に対する考え方がなっていませんでした。実際、或るカメラマンの方に「今日の仕事、全くダメだったよ」と、はっきりと叱られたこともありました。そんな私にマスコミ業界の仕事の回り方を教えて下さった齋藤さんと斉藤オフィスに、今でもとても感謝しています。

その斉藤オフィスも、今年で設立30年。これまでに十七人の女子が斉藤オフィスで働き、そして巣立ち、美容ライターやライターとして活動しています。これって結構すごいことですよね。
30年を祝う同窓会には、どうしても家族行事で来られなかった一名の卒業生を除いて、全員集合!の出席率の良さ。しかも、イラストレーターとして活躍されている方が素敵なイラストを描いたトートバッグを、記念品として頂いたのでした。ああ、嬉しい‥
このイラストの中で、齋藤さんは、左から二番目の女性でしょうか?
今、私は四十代半ば。ひよっこ時代から色々色々本当に色々なことがあったけれど、今は毎日とても幸せです。このバッグも大切に使って行きたい。資料をどっさり持ち歩いて出向く打ち合わせに重宝しそうなのが嬉しいのです♪

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山口組司忍組長、久々にカメラの前に登場‥の日のきものを分析 2015/12/08



9月8日に掲載しましたところ大変好評を頂きました、西端の「極道きものウォッチング」ブログ。
「山口組分裂!‥きもの好きと噂の司忍組長をきものファッションチェック!」
http://www.maya-fwe.com/4/000379_J.html

きものを愛し、きものに携わる者として、客観的な視点=学問的に言えば民俗学的な視点で、極道という社会グループに属する人々のきものとしきたりとの関係を、興味深くウォッチしています。
その後めぼしい動きもなかったのですが、つい先日、分裂騒動以来初めて司忍山口組六代目がカメラの前に姿を現しました。下記のURLの映像でご覧ください。
http://news.tbs.co.jp/newseye/tbs_newseye2648430.html

向かったのは、歴代山口組組長が眠る墓地。先代の命日のお墓参りです。
この日、きもので現れるかと注目していたのですが‥何と驚いたことに、司六代目は作務衣を着用しています。
作務衣とは、つまり作業着。作業着で先代の墓参りとは、あまりにも無礼過ぎ、これまで場の格に合わせて敏感にきもの選びをして来た司組長らしからぬ装いです。
これは一体、分裂騒動で心の余裕をなくしているためなのか?
はたまた、先代は現在の騒動で対立する山健組の出身だったことを踏まえ、先代として礼を尽くすために墓参りはするが、その一方で、「わしは山健組を軽く見ておる」というメッセージを伝える、深謀遠慮の選択なのか?謎が深まる司六代目の装いでした。

「極道のきもの研究」は、今後も細々と続行したいと思います。次に注目しているのは、今月13日に行われるという、新年事始め。何でも極道の世界では、11月が年の終わりで、翌月の13日に新年会をするのが通例なのだそうです。この日には一転、司組長は黒紋付き袴で現れるのか、どうなのか?‥と、だんだんと極道の習慣にも詳しくなってまいりました‥


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菊柄のしゃれ訪問着で、日本舞踊の会と銀座三越「和ヲ服スル ススメ」展へ 2015/11/23



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三連休の初日、銀座の二つの場所にてとても楽しい時間を過ごしました。
まず、向かったのは、新橋演舞場にほど近い、日本舞踊のお稽古場。尾上流家元・尾上菊之丞さんの家元稽古場で、「近くで観る日本舞踊」という会が行われました。友人で、尾上流師範の尾上博美さんが出演するということで、とても楽しみに出掛けました。
本番中はもちろん写真を撮ることは出来ないので、画像はありませんが、ふだん、厳しいお稽古が行われている教場を舞台に、息づかいが聞こえて来る近い場所に座布団や椅子を並べ、四番の曲を鑑賞しました。
博美さんは、「野路の月」という曲で登場。日本舞踊に詳しくない私は会場で配られた解説や、博美さんが事前に私のような日本舞踊初心者に向けてFacebookに上げて下さっていた解説を熟読していたので、筋が大まかに分かっていました。男女二人が秋の日本を旅しながら、日本全国の六つの玉川を、虫や草花など秋の風情を楽しみながら歩いているという内容。博美さんが女性の役で、男性の役は、元宝塚の尾上五月さん。美しい二人の舞を見ていると、本当の初々しい恋人のよう。稽古場ですからセットも何もないのですが、ふっと江戸時代の秋の野山や名所の玉川が浮かんで来るようでした。
冒頭の写真が、終演後、博美さんと稽古場の前で撮ったものです。お衣装のまま、華やかな色合いのきものの博美さん、素敵です☆
お土産には、こんなかわいいチロルチョコを頂きました↓
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甘党の私、これから美味しく頂く予定です。食べ終わったらこの包み紙を捨てるなんてもちろん出来ないから、本の栞として使わせて頂きますね、博美さん。今読んでいる本をまたいつの日か開いた時に、美術館や映画の半券などが出て来るのが大好きですが、昨日の思い出もこうして本の間にしまっておくことで、何年かの後にまた楽しく思い返すことが出来そうです。

     *

さて、その後に向かったのは、リニューアル間もない銀座三越。7階で、この秋awaiを卒業されて「木下着物研究所」代表として独立された木下勝博さんがプロデュースする催事「“和ヲ服スル”ススメ~サムライの一服」が始まったので拝見に伺いました。
木下さん、紅子さんのご夫婦、また、広告マンであり仕覆アーティストとしても活躍されている山田英幸さんと一緒に、パチリ↓
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「和ヲ服スル ススメ~サムライの一服~」のコンセプトは、下記のURLで木下さんご自身がとても素晴らしい文章を書かれているので、ゼヒお読みになってください↓
http://kinoshitakimono.com/archives/6594

このようなコンセプトのもと、日常生活と何かかけ離れた高尚なものとしてではなく、息をするように、お茶を飲むように、和の何かを生活の中に取り入れるとしたら‥その時に木下さんの美意識で選ぶ作品たちが三越の一角を飾っています↓
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マンションなどの一室で楽しむ茶にふさわしいお道具の他に、クラッチバッグとして使える数寄屋袋や、あっさりとした表装で飾った書などの作品も。
そして‥あらら、何やら素敵な茶入れが‥?陶芸家の二階堂弘明さんの作品はこれまでに何度か目にしたことがあり、ひそかに好きな作家だったのですが、え?と驚くような気軽なお値段で、はっと目を引く茶入れが五、六点ほど展示されていました。何しろ0が一桁足りないのでは?というお安さなのです。
中でも気に入ってしまったのがこの二つ‥↓
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迷った末に、左の肩衝型の一作を購入しました。現代的な茶会で使っても良いし、古典的なお道具で組んだ中に、一つだけ入れても良さそうです。底面に若干がたつきがあるということで少し修正してもらうため、今日はまだお預け。後日引き取りに伺うのが楽しみです♡
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↑この日のきものコーディネイト、帯周りはこちらで。
きものは、菊尽くしの小紋柄を、裾周りだけ赤に染め分けた、洒落の訪問着です。祖母が所有していたもので、日本人の心の中の何かをくすぐる柄付けなのか、見知らぬ方に「素敵なお着物ですね」とよく話しかけられる、褒められきものナンバーワンの一枚です♪

帯は、河合美術織物の袋帯。鹿の子絞り文様を織りで表し、その上に金と銀の筋が一本ずつシンプルに走るもの。今回は金色の筋の方を出しました。
帯が非常にシンプルなので、帯〆に、金糸も入った道明の御岳組を入れてアクセントにしました。帯揚げにも、白綸子に楓と桜柄の赤の絞り、という定番の一枚を入れて楽しく。私はきものの時は、シンプルすっきりコーディネイトより、こういう風にちょっとごちゃっと言ったら良いのか、洋服で求められるのとは違ったにぎやかさのあるコーディネイトが好きです。
大好きなきものを着て、大好きな友人の踊りを見て大好きなご夫婦のお仕事を見て、素敵な茶入れを購入。完璧な午後を過ごした後は、近所の神社にお参りして、いよいよ書き始める本の執筆が上手く進むように祈願した。そして資料を整理して‥連休二日目からいよいよ序章に当たる最初の一場面を書き始めました。これから三月頃まで続く長い執筆期間に思うあれこれも、随時この日記で綴って行きたいと思います。

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紬のきもので古文書講座へ 2015/11/20



実は私、この四月から、市の「古文書講座」を受講しています。仕事の忙しさを考慮しない無謀な申し込みだったのですが、長年「古文書を少しでも読めるようになりたい‥!」が悲願だったので、つい。
それでも何とか夏までは、予習は無理でも月2回の授業にとにかく出席だけは出来ていたのですが、9月以降はそれもままならず‥見事に劣等生化しています。
それでも、最近は少し時間の余裕が出来、久々に今週、授業に出席しました。ちょうどその日は、「武蔵野ふるさと歴史館」を全員で見学する日。大人の遠足ではありませんか!何しろ古文書のクラスなのだから、と、張り切ってきもので参加しました。
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きものは、焦げ茶地の紬。絣の柄と言い、絣に微妙に赤の小口が出ているあたりと言い、「米琉の復刻版」のように見えるのですが、そうではなく、十日町辺りで織られた「米琉風」紬です。母が気に入って今年買ったものを、貸してもらいました。本当にオーソドックスな一枚ですが、母娘ともども何だか顔映りが良く、とても気に入っています。
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↑帯は、祖母が染めたなごや帯を合わせました。季節の花である菊の花籠柄です。帯揚げに少し明るめの黄緑色を入れて。

    *
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資料館の展示室床には、江戸時代の武蔵野市の畑割り図を拡大した地図がありました。市の講座ですので、クラス全員武蔵野市民。この展示室に入ってまずしたことは、自分の家のある場所が江戸時代は何であったかを確認すること!先生の説明は誰も聞いていない!「うちはここ!」「江戸時代は畑だった!」と一しきり大騒ぎでしたw(ちなみに我が家の辺りも畑でした)
意外にも、武蔵野市には2万年前の旧石器時代から!人が住んでいたそうです。どこに住んでいたかと言えば、井の頭公園の周り。その頃から今と変わらず、湧水が出ていたんです。2万年の湧水‥感動してしまいます。池の周りから立派な鏃が多数出土しており、その原料は長野や、何と、遠く太平洋上の島からの石も。
「人間が自給自足していた時代はほとんどなく、数万年前から交易が始まっていた。人間とはそういう存在です」
という先生の解説に、なるほどなと思いました。立派な出来の縄文土器や土偶も出土していて、感心。武蔵境駅にほど近い「ふるさと歴史館」、歴史好きの方、ゼヒいらしてみてください。
ちなみに普段の授業では、江戸時代の武蔵野市の検地帳や、作物や土地に関する訴え状などを読み込みんでいます。森安彦先生と高尾善希先生という第一人者の先生に教えて頂ける贅沢な講座。時には、豊臣秀吉の出したお触書、なんてものを読むことも↓
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皆さんも、お住まいの自治体が出している市報などを探してみると、意外な掘り出し物講座に出会えるかも知れないですよ。3月まであと半年ほどの授業。仕事状況を考えるとなかなか予習復習は難しそうなのですが、のんびりと、とにかく聴講だけはして行けたらと思っています。

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銀杏の小紋でパーティーへ 2015/11/10



少し前のことになりますが、〆切と〆切と取材の間を縫って、神楽坂のアグネスホテルで開かれたきもの関係のパーティーに出席しました。
このパーティーは、青山の人気和装小物ショップ「komamono玖」、神楽坂の最高級ポリエステルきもの店「きもの英」、伝統色彩士の吉田雪乃さん、新宿の言わずと知れた老舗和装小物店「津田家」の四者合同開催で、武者小路千家直門の先生による呈茶式もあり(お道具が素晴らしかった!)、そしてお客様のほとんどの方がきものという、大変目に麗しいパーティーでした。
その日、私が着て行ったのは、祖母が染めた銀杏の柄の小紋。今この時期にしか着られず、年齢的にもう派手過ぎるか‥と思いながらも、染めてくれた祖母の気持ちを考えるとついつい着てしまう一枚。とてつもなくとてつもなく気に入っています(生地は綸子地です)。komamono玖美人店主の渡辺英理子さんと一緒にパチリ。奇しくも二人とも黄色地のきものでプチお揃いとなりました↓
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帯周りはこんなかんじに↓
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きものが今の私にはそろそろ派手な色合いなので、帯は地味に。月を意匠化した大人しめの洒落袋帯です。

パーティーの途中には、吉田雪乃さんによるカラーコーディネイトの解説も(モデルは英理子さん)↓
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英理子さんは、「このきもとこの帯に、帯〆・帯揚げ、何を合わせる?」という、きもの好きには最も楽しい悩みのあのひと時を、プロの眼から舞台で展開↓
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皆さん、なるほど、と参考になさっていました(私も)。
たくさんの方とお話し出来、好きなきものを着ることも出来て、楽しい秋の夜のひと時でした♪


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縞のきもので青山「イトノサキ」へ。吉田美保子さんのかわいい帯を拝見 2015/10/28



今日は仕事で知り合って仲良くして頂いているイラストレーター岡田知子姉様と一緒に、青山の「イトノサキ」へ。明日10月29日(木)から11月1日(日)まで開催される、織りの作家吉田美保子さんの個展「三角・吉田」のレセプションに伺いました。
まずはその展示の様子を三枚ご覧ください。
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絣のように見えるこの柄付けは、摺りこみ捺染という手法で描かれています。
私が特に好きなのは下の二本。二本目の帯はちょっとマーク・ロスコの絵のようですよね↓
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摺りこみ捺染と言うと、普通はくくりの絣と併行して行いますが、吉田さんの場合は、「摺りこみ捺染だけで描く」。これはコロンブスの卵的な発想で、こういうオリジナルな発想をなさる方っていいなーと思います。
そんな吉田美保子さんと、一緒に写真を撮って頂きました↓
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左側に座っている白い紬のほっそりとした女性が吉田さんです。この紬も自作の作品とのことで、白の中にところどころピンクなどの色糸が入った素敵な一枚でした。
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↑更に、一緒に伺った岡田さんと二人で。今回の写真は写真家の武藤奈緒美さんが撮って下さっているので、例え携帯のカメラと言えども、光も表情もとても素敵にして頂いて嬉しいかぎり。
岡田さんとは、去年一年間、「美しいキモノ」で「お仕立てのツボ」のページを一緒に作りました。毎回打ち合わせがてらお茶やお食事をしたことをきっかけに仲良くなり、と言ってももちろん私の方が若輩ですから、きものをはじめ人生のあれこれを教えて頂いています。「結婚した方がいいよ」とアドバイスを頂いていますが、こればかりは縁のものですからね~(≧▽≦)

そして、「イトノサキ」店主の畔蒜さんと↓
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「イトノサキ」は、青山・外苑西通り沿いにある居心地の良いお店で、きものを中心として、畔蒜さんの心に引っ掛かった食器でありストールでありアクセサリーであり‥様々な美しい工芸品を、5日くらいの期間で紹介して行くギャラリー的なスペースです。
畔蒜さんの頭の中に住む「素敵なきものを着る誰かが、その生活の中ではこんな食器でご飯を食べるんじゃないか、こんな手袋をするんじゃないか‥」そんな風にイメージを膨らませてセレクトをされているようで、何だか小説の主人公を形作って行く作業みたいでとても素敵、と思いました。
皆さんもぜひ訪問してみて下さいね。
http://itonosaki.tokyo/

最後に、後ろ姿を岡田さんがパチリと撮ってくださいました。ふだん、あまり後ろ姿は撮らないのでお太鼓を見て頂けて嬉しい。祖母が染めた蟹牡丹唐草柄の名古屋帯です↓
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きものは、歌舞伎座の定式幕を山路縞に染めた大好きなきもの。これは、祖母が染めたものではありませんが、祖母より伝わったもの。誰からも褒められるとても粋な一枚で、今日もたくさんの人に声を掛けられました。実はこの後、サローネ実行委員会の総括会議に出席したのですが、そこでお会いした染織業界のと或る粋を知り尽くした大御所の方からも、今日のコーディネイトにお褒めの言葉を頂きました。好きなきものを着て、素敵な帯を見て。楽しい午後のひと時でした。


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桐生のきものに米沢の帯で友人の写真展へ、そして新潟へ 2015/10/27



先週某誌の原稿を校了後、今頃はかなり余裕を持って過ごしているはず‥だったのですが、突然入った新案件があり、新潟に出張するなどまたもやてんやわんやの毎日になっています。
そんな中、打ち合わせの合間に、昔からの大切な大切な友人の写真展に立ち寄った日のコーディネイトご紹介日記です。
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きものは、桐生「泉織物」の蛍絞り紬。以前から親しくさせて頂いていた泉太郎さんの反物を、それとは知らず母が一目惚れして購入!という驚きの展開で我が家にお迎えしました。
今年の春、泉さんが展示会で東京にいらっしゃった時に来て会いに行ったのが、下記のブログです↓
http://www.maya-fwe.com/4/000337_J.html

上のブログでは染め帯を締めていましたが、この日は、織りの帯を↓
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10月14日のブログでもご紹介した、米沢の「近賢織物」の紙布帯です。この写真からでも、糸の一部に紙が使われている“触感”のようなものを感じ取って頂けるでしょうか。触らなくてもこの素材の面白さは伝わる人には伝わるようで、「面白い生地だね」と話しかけられることもあります。桐生の絞り紬、米沢の紙布帯、ともに、着ていて本当に楽しい布たちです!

          *

この日、伺ったのは、友人のドキュメンタリー写真家・関根健太郎さんの写真展「爆水都市」でした。(新宿三井住友ビル・エプサイトギャラリーにて29日まで開催)
http://www.kentarosekine.com/

新宿のエプソンのギャラリーでの開催で、友人が活躍していて嬉しい限り。
アジアを旅することの多いケンさんならではの視点で、タイの奇祭「水かけ祭り」で、人々の体の上に踊る水を彫刻のようにとらえた写真展でした。
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私も以前写真をやっていたので分かるのですが、適切なシャッタースピードと被写界深度を選ぶのが難しいんだろうな、と、しみじみと見入った時間でした。
ギャラリー側からのケンさんの紹介文に書かれていた、「仙人のような人物」という比喩が正に的確な表現で、以前はと或る大手企業で営業を務めていたケンさんは、世界を舞台にとてつもない大型機械システムを営業に回るというエリート企業マン生活を突然投げ捨て、写真の道へ。人ともあまり交わらず名誉も求めず、ひたすら修行僧のようにカメラを片手に日本やアジアを旅して回っています。1週間誰とも口を利かない日もあるのでは?という生活ぶりの、何とも独特なケンさんに時々会うと、落ち着くと言うのも違う、癒されると言うのも違う、ただそこに立っている木を木は木だとぼんやりと眺めるような、そんな気持ちにさせてくれる人なんてなかなかいない、本当に貴重な存在なのです。

そんなケンさんのもう一つの写真展「chai」が、31日まで吉祥寺の隠れ家カフェnito cafeで開かれているので、お近くの方など足を運んでみてくださいね。
こちらは、東南アジアの人々の生活の中に根付くチャイの文化を切り取った写真展のようです。
http://nitocafe.com/

              *

そして先週末は、一泊二日で新潟に出張へ行っていました。訪れたのは、十日町。と或る和の集まりを取材したり、と或る染織の名職人さんにお話を聞いたり。
取材に伺ったのに名物の“へぎそば”というお蕎麦を小嶋屋さんという素敵なお店でご馳走にもなってしまいました♡↓
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最後の一枚は、十日町から越後湯沢へと移動するローカル線の中から撮った写もの。田んぼの稲は刈り取られ、遠くの山ではかすかに紅葉が始まっていました。本当はもう一、二泊して越後湯沢町の温泉につかりたかったのですが‥大急ぎの任務のため、また今日から東京で慌ただしい日々が始まっています。

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きものサローネ3日間きものコーデと、運営に携わった雑感を少し 2015/10/14



先週10月7日~10日に行われましたきものサローネ、無事に大きな事故もなく終了致しました。お蔭様でたくさんの方々にご来場いただき、心から感謝申し上げます。ありがとうございました。
そして、つたない私のきもの日記ではありますが楽しみに見て下さる方がいらっしゃるので、3日間のコーディネイト分をまとめて上げたいと思います。最後に、今年サローネの運営に関わった雑感も少し。

          *

まずは、1日目のコーディネイトです。
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この日は祖母が染めた東京紅型の小紋を着ました。
「桜楓に流水」の伝統柄の、流水が印象的な幾何学に描かれているところ、また、その中を市松で表現しているところが斬新でとても気に入っている一枚です。
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色合いがややおとなしいので、帯には華やかさのあるピンク色の帯を合わせました。よく締めている「ひなや」の組紐帯です。帯〆は「龍工房」のおだまきがかわいい一本を。

一枚目の写真でお分かり頂ける通り、きものにトランシーバーを斜め掛けしています!
何とも無粋な姿ですが、今回、楽屋当番だったため致し方がなく…一日中、「西端です、西端です。**さん(出演者のお名前)駐車場に着かれました。楽屋にご案内します。リハのお時間、オンタイムでよろしいでしょうか?」などと通信していまして、サローネが終わった次の日もまだ耳にイヤホンが入っている感覚が残っているほどでした(苦笑)。

          *

そして2日目は、こちら。
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黒の村山大島紬に、米沢の「近賢織物」の紙布帯。緯糸(よこいと)に紙の糸が入っており、独特の張りがある素敵な帯です。なんと、一緒に写っている男性が、「近賢織物」の社長の近藤哲夫さん。この日、サローネで、米沢織のファッションショーがあり、自ら明治時代の書生役で米沢織の袴を履いて出演されていました。
こうして作り手の方と直接会えるのが、何と言ってもサローネの醍醐味。とてもとても嬉しい瞬間です。お引き合わせ頂いた同じく米沢・粟野商事代表の粟野さん、ありがとうございました!粟野さんは私たちのツーショットの後ろにこっそり?顔を出されている、優しいお顔の方です(*^^*)
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この日の帯〆は、大好きな大好きな和裁士の松井扶江先生から頂いた伊賀組紐の一本です。普通の組紐より太めの糸(恐らく何本かを合わせた糸?)で組んだ、笹浪組‥だと思うのですが、裏から見ると違っているのかも?と思ったり。今度、組紐を習っているお友だちに見てもらおうと思っています。
ともかく、鶸色のような萌黄色のようなこの色合いが何とも素敵で、大のお気に入りの一本。これからも大切に締めて行きます。先生ありがとうございました!

           *

そして3日目はこちら。
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紺地に現代的な草花模様意匠の単衣。何とこちらは、ネットきものショップの「京都きもの市場」で、2万円くらいで買った反物です。ちょっと変わった柄のためか誰も手を出す方がなく、結構長いこと載っていたので、思わず私がクリック致しました♡
単衣なのでお仕立て代も安く、全部で5万円くらいで一枚新しいきものが増えて大満足。普段あまりきものを着ない方ばかりが集まるパーティーや食事会に出席する際、こういう柄だと受け入れられやすく、愛用しています。
‥ところでところで、こちらのきものの2枚目の写真に写っている素敵な男性は誰か、皆さん気になりますよね。この方は、京都の染色工房「室華風」の津室伸吾さんです!
今回、津室さんの「室華風」と斉藤上太郎さんの「JOTARO SAITO」がサローネで行ったファッションショー「TOKYO KIMONO COLLECTION」のプロモーションを一部お手伝いしていまして、親しくお話を出来る関係になりました。この写真も楽屋でパチリ。「室華風」のおきもの、ため息ものに素敵な作品がたくさんありますので、皆さん、注目ですよ!
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この日の帯は、河合美術織物のしゃれ袋帯。鹿の子絞りを織りで表した白地の地に、一本銀の横縞が入っているシンプルな意匠です。
帯〆は、「道明」の、非常に珍しい丸源氏組を入れました。
「道明」ではこの10年?20年?ほどは丸源氏組は出していないと思いますが、これはその昔、母の結婚が決まった時に恩師の美術史家・山根有三先生からお祝いに頂いたものです。道明三保子先生にうかがってみたところ、以前は丸源氏のご商品もあったとのことで、歴史を感じされる一本ですね。赤とピンクと白の色合いもかわいらしく、また締めたいと思います。

          *

‥ということで、本当は各プログラムのお写真なども入れたりしたいところなのですが、何しろ楽屋当番で忙しく、ほとんど何も見ることが出来ず、3日間が嵐のように終わってしまいました。(マルシェには行くことすら出来なかった‥泣)
そんな中でも、実は少しは写真を撮っていたプログラムもあるのですが、ちょっと今、各誌の原稿〆切が台風去ってまた台風というかんじで疾風怒濤状態になっていまして、はっきり言って「このブログ書いている暇があったら原稿書いて!」と怒られそうな状況なのですが、何とかいつも見に来て下さる方々のために、最小限の情報でお届けしています。苦境お察しください。

きものサローネの運営は、言葉に尽くせぬほど大変なものでした。それは、やはり資金が圧倒的に少なく、私を含め、他の仕事を本業としている人々の、ただただ「きものを愛している」「きものの未来を憂いている」その有志にひたすら頼って運営しているところに原因があります。
それでも、上の写真でご紹介した出会いをはじめ、今回、忘れがたい、心に残る出会いがありました。人生を前に進めてくれたり、人生を豊かにしてくれる最も大きな力の一つが、人との出会いだと私は思っています。出会いの喜びに感謝して、私のきものサローネ2015にひとまず幕を下ろしたいと思います。


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きものサローネ3日間に着るきもの決定!の巻 2015/10/06



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明日から、いよいよ、今年のきものサローネin日本橋が始まります。
私は明日は仕事の関係から行けないのですが、8日(木)9日(金)10日(土)はスタッフとして会場に詰めています。
きもののイベントですから、スタッフも当然きもの。3日間何を着ようかとずいぶん前から考えていましたが、ようやく最終決定。上の写真の三枚がそれです。

左は、村山大島紬の単衣。板締めで精緻に模様を染め、織り出したもので、こうして床に置いていると男っぽく見えるのですが、着ると不思議に(こんな私なのでたかが知れていますが)色気と言うか、女らしさを醸し出してくれる一枚です。村山大島というのは、不思議な素材だなと思います。
中の一枚は、祖母が染めた小紋。紅葉や流水を意匠化した、こちらは袷です。
右の一枚は、単衣。現代的な植物模様を染めたもの。地の色は紺と地味目ですが、全体にキュートな色が散っているため、元気な印象の一枚です。
スタッフですから、出演者の皆様より格が高くならぬよう、出過ぎぬよう、小紋で揃えてみました。

今年のきものサローネは、昼の時間のトークショーやきもの展覧会のほか、8日がClassic Nightと題して、尾上博美さんの日本舞踊、野村万蔵さんの狂言、川越塔子さんと松本蘭さんのきもので奏でるクラッシック音楽&土屋アンナさんのトークショー。
9日がClub Nightと題して、野宮真貴さんやAUNJ CLASSIC ORCHESTRAのライブ、湯山玲子さんのトークショー、みんなで踊るネオ盆踊りなど。
10日は、カッティングエッジな「JOTARO SAITO」「室華風 津室慎吾」ファッションショーや、横森美奈子さんのトークショーなど。
それぞれの日に合わせてきものを選んだつもりです。皆様、どれがどの日のきものか想像していただけたらと思います♡

そして‥合わせる帯は何を持って来るのか??
余裕があれば、期間中、仕事の合間に着姿をここで更新。それが無理そうだったら、Facebookの「西端真矢」のページに更新&サローネの様子をライブでお知らせしたいと思います。
皆さま、でもでも、もちろん、会場に遊びに来てくださいね。
たくさんのプログラムで皆様をお待ちしています!
http://kimono-salone.com/

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山口組分裂!‥きもの好きと噂の司忍組長をきものファッションチェック! 2015/09/08



本日のきもの日記はふだんとはがらりと内容を変えて、山口組六代目司忍(つかさ・しのぶ)組長を中心に、“極道きものファッションチェック”をお送りしたいと思います!ふ、ふ、ふ‥
そう、近頃、日本最大の暴力団山口組分裂のニュースが世間を騒がせています。堅気中の堅気の家に生まれ人生100%堅気に生きて来た私ですが、人と人との間に働く策謀の問題に関心があるため、関連ニュースを何件か検索して行くと、司忍(つかさ・しのぶ)組長の並々ならぬキャラの立ちぶりが気になって来ました。
ニュース番組でご覧になった方も多いかと思いますが、服役から出所した時の写真↓
http://www.sankei.com/west/photos/150831/wst1508310024-p3.html

こちらは動画です↓

とてつもなくダンディーで、海外でも話題になったと言います。このコートはマッキントッシュ製でしょうか?六十代後半にしてチェック柄のコートをこうも見事に着こなせるとは‥。革製と思われる帽子も、文句のつけようがなく似合っています。

更に経歴などを読み込むと、武闘派の面も持ちながら、現代的な、頭脳派ヤクザのあり方を標榜(経済ヤクザということでしょうか?)、愛読書は何と哲学分野!たいていの哲学書を読破しているそうです。
哲学科出身の私、組長に会う機会があったら(一生ないと思いますが)、「銃撃戦における永遠と一瞬」というテーマについて、存在論的に会話が弾むのでしょうか‥!

きもの好きと評判の司組長のきものファッションチェック!!!
…などとバカなことを考えていると、きものを仕事としている人間として、見過ごせない一行に出会いました。何と、司組長は、大のきもの好きであるそうなのです。
そこで早速画像検索してみると、確かに色々と発見出来ました。
例えば、この産経新聞のインタビュー↓
http://www.sankei.com/west/photos/150831/wst1508310024-p1.html
明るいグレーの縮緬地と思われるきものは、細かく格子を染め出しています。なかなかこの色はきもの好きではないと手を出さない一枚であり、更に、遠くから見ると無地、近づくと(近づくのが怖いですが)模様が分かる、というあたりも江戸時代に生まれた男子の美意識そのものと言って良いでしょう。

更に、昨年の初詣には、茶色の羽織+長着の一揃いで↓

更に更に、藍色の格子柄の羽織+長着も持っているようで、これもなかなか相当のきもの好きでないと買わない一揃いであると思います↓
http://livedoor.blogimg.jp/imanishinoriyuki/imgs/5/f/5f2e1b51.jpg
素材は張り感や独特の光沢感から、恐らく大島と思われますが、フラッシュのせいかも知れません。が、こちらの羽織では、羽織紐に、石を使うタイプの無双型を付けていて、反対に、一つ前の初詣の一揃いでは結ぶ型のものを使用。きものの格に合わせて羽織紐にも注意を払っているようで、やはり大島のように思えます。
とにかく羽織紐を色々試しているあたり、相当なきもの好きなのでしょう。藍色の格子の大島も、生半可なきもの好きには手が出せない一枚です。半衿は常に白で、きものに合わせて様々な色を楽しむ男性が多い中、強いこだわりを持っているようです。

司組長の帯が異様に太い‥!
…と、このようにファッションチェックをしていると、非常に気になる着姿に出会いました。
下は、何と組長がカラオケをしているレアな動画なのですが‥(ちなみに歌はプロ並み)↓

よく見ると、帯が異様に太くないでしょうか?普通、男性の場合、角帯か兵児帯を締めますが、どちらもこの半分くらいの太さのはずです。司組長のこの帯は女性の帯と同じくらいか、もしかしたら更に太幅かも知れません。巻き方でこうなっているのではなく、どうも元々この太さに織っているように見えます。このような太い帯を締めている男性は私は見たことがなく、非常に特異と感じました。
そこで、もしかしたらこれは極道に特有の帯なのかしら?と明治から現在に至るまで様々に画像検索してみましたが、皆さんごく普通の角帯を締めているようです。するとこれは司組長の特別なこだわりなのでしょうか?
しかし、虚心坦懐にもう一度先ほど掲げた大島の画像を見てみると、司組長の向かって右側を歩く最高幹部の帯も、同じくらい太いようです↓
http://livedoor.blogimg.jp/imanishinoriyuki/imgs/5/f/5f2e1b51.jpg
と言うことは、もしやこれは、山口組最高幹部の文化なのか?はたまた司忍六代目側近の間だけでの流行なのか?
よく見ると、この写真の司組長の帯は、普通の角帯よりは太幅。しかし先の演歌の時の白い帯や、隣りの幹部よりは狭い幅のようです。これもなかなかに独特です。非常に興味深い。

ともかく、最も太幅の場合、何となく、さらしを巻いた姿を想像させる幅であり、ここに侠客の美学を表現しているのか‥とも思いましたが、総ては推測です。きものライターとしては本当のところを聞いてみたいところですが、もちろん山口組に知り合いなどいる訳がありません。きもの探究のためには日本中どこへでも出掛けて行く、時々編集部などでお会いする朝香沙都子さんに聞きに行ってもらいたいけれどw(私は怖いから行きたくない)、もちろん朝香さんも行かないですよね。
いっそ私が山口組のホームページに質問をしてみる?とも思いましたが(ホームページがちゃんとあるんです。とても丁寧な言葉遣いで驚きます)、この非常時にこんな呑気な質問に関わっているヒマがある訳ないですよね。

しかし、恐らく私が日本で一番熱心に司組長のきものを分析してみたハズ。いつかこの謎が解ける日があることを願います。もちろん暴力団を肯定する気など毛頭ありませんが、そもそも現在のきものの中には、江戸初期に“かぶき者”と言われた社会のつまはじき者たちに淵源をもつ要素が多々含まれています。常にきもの全体に関心を持つ者としては、現象として、現在のヤクザの中でどのようにきものが着られ、継承されているのか、とても気になるのです。

襲名式には黒紋付きで

…と一応学問的にもまとめてみたところで、更に様々な映像を見て行くと、司組長の六代目継承式の動画を発見しました↓

こういう時は、もちろん、黒紋付き袴の男子の正装姿なのですね。
司組長もさることながら、ナンバー2である高山若頭が、片目がつぶれていて異様な迫力です。映像開始後すぐに出て来るので、ゼヒご覧になってみてください。
更に続いて出て来る、居並ぶ有力組長の皆さん。明治の元勲のような組長もいれば、何か画家のようなおかっぱ頭の組長もいたりで、我々が抱きがちなヤクザのステレオタイプがいかにイメージ貧困であるかを思い知らされます。

茶道にも通じる極道の儀式作法

そして、適当に上の画像のカーソルを進めて頂くと固めの盃の場面が出て来るのですが、これが、茶道や包丁道にも通ずる伝統の所作の数々。我々の預かり知らないところで、これはこれで日本の美学が綿々と受け継がれていることを知りました。
更に下の動画は、一つ前の五代目組長の襲名式の際のものなのですが、9分45秒過ぎ頃から続々と会場に入って行く幹部たちの姿は、茶道の「席入り」を髣髴とさせます↓

式の間、それぞれの組長はしっかりと扇子を要を右に向けて膝前に置いて座っており、この辺りも正に茶道と通じる作法。非常に興味深く見入りました。


リアル極道の妻の正装姿!
更に下の動画では、本物のヤクザの姐さんが登場します。1分31秒あたりから、ご覧ください。

病死した三代目の跡目を継ぐ四代目の継承式で、三代目の代理として、妻である田岡文子姐さんが固めの盃を呑みます。この時、着ているのは黒留袖。白の比翼付き。なるほど、こういう時はやはり姐さんも女子の第一礼装なのね、とこれも大変に興味深い。
映像が荒れていてよく柄が分かりませんが、帯は白地のものを締めています。金銀糸が入っているのか、どうなのか?
留袖の柄も映してほしいところなのに、恐らく男性のカメラマンにはそんな気の利いたことは出来る訳なく、これも残念ながらよく分かりません。青の柄が入っているようにも見えるのですが、もしかしたら松か波を描いたものか‥?確かに鳳凰や鴛鴦の柄では何だか襲名式の場にはそぐわないですよね。私が姐さんでも松や波濤などの柄にすると思います。それにしても本物のヤクザの姐さん、とてつもない迫力です。

…と、近頃は原稿が書けない時の逃避活動として、山口組ファッションチェックが格好の素材となった私でありました。結論として、司組長のきものファッションは非常に上質で通好み。しかしもしかしたら羽織裏や襦袢にはものすごい龍の絵やエロチックな浮世絵などが描かれているのか?そして謎の太幅帯がやはり気になります!!!

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サローネに向け、「カレンブロッソ」で立ちっぱなしでも疲れない草履購入の巻! 2015/09/03



きものサローネまで、約1か月。期間中、私はステージの進行オペレーション関係の仕事があり、3日間立ちっぱなし(泣)となりそうです。
もちろん靴よりも草履や下駄の方がずっと足にやさしいことは言うまでもありませんが、さすがに3日間立ちっぱなしはきつい。そこで、ジョギングシューズのような低反発素材で出来ていて、とにかく疲れにくいと評判の「カレンブロッソ」に、新しい草履を買いに出掛けました。
何しろ、きもの好きの友人が全員、
「そういう事情だったら、絶対にカレンブロッソがいいよ」
と口を揃えて言うので、これはもう確かだろう、と。

実は、今回の私の初カレンブロッソ、父がプレゼントしてくれることになりました。
先日家族との食事中に上に書いたようなことを話していたら、父が「よし、パパがその草履を買ってやる!」と言い出したのです。色々色々色々色々色々と面倒くさい我が父なのですが、やさしいところがありまして、特に仕事を頑張っているといつも応援してくれます。ありがたくプレゼント頂くことにしました。
…が、何しろ六本木ミッドタウンのようなおしゃれな場所には全く縁のない“おしゃれ音痴6000%”の我が父ですので、私が自分で買いに行ってお代だけプレゼントしてくれることに。早速昨日、「カレンブロッソ」を訪れると、素敵な新作が並んでいました。
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迷った末購入したのは、上の写真で私が試し履きしているものです。私は紬も垂れものもどちらも好きで、頻度も同じくらいの割合で着ているので、ソール部分がベージュ色の下駄風のシリーズよりも、白系のタイプの方から選びました。子どもっぽくない水玉柄が素敵なこの鼻緒は、お召地で作られています♪
これでサローネ3日間、足の疲れ対策は万全ですっ!

そして‥何ともほっこりしたことに、下の写真の「カレンブロッソ」のおしゃれきもの男子マネキンさん↓
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↑よく見ると、手元にきものサローネのポストカードが!
ありがとうございます!
「カレンブロッソ」さんは10月7日(水)から9日(金)、サローネの「きものマルシェ」に出店。新作がたくさん並ぶそうなので、皆さんもゼヒ覗いてみて下さいね。
私はこれから1か月間、本番に向けてこの草履を履いて出かけ、足慣らしをして行きます♪
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夏の終わり、厚地の浴衣に帯違いで、大田楽と八芳園夏祭りへ 2015/09/02



今年の夏はお盆までひたすら仕事をしていましたが、お盆明けからは若干余裕が出来、お友だちと食事をしたり遊びに出掛けたりしています。毎回毎回は写真を撮りませんが、浴衣で出かけた日に撮りましたので、夏の記念に二つのコーディネイトを。

一つ目は、お盆明け、六本木ヒルズ夏祭りでの「大田楽」公演を見に行った日のコーデです。‥と言っても帯周りの写真を撮り忘れ、ご一緒した皆さんとの写真のみなのですが‥
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きものは、浴衣としては厚めの木綿地に笹模様を注染で染めた一枚。地の布にはレモン色や水色の緯糸(よこいと)が入っています。
8月13日の日記と同じ柿色の麻の半幅帯を締めて。
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「大田楽」とは、狂言の和泉流の故五世野村万之丞さんが創始した群舞で、古代から中世に舞われた田楽を現代にアレンジしたものです。六本木ヒルズではこの十年間、ヒルズやヒルズ周辺の商店街の皆さんが参加されて大田楽を舞い続けて来られたということで、皆さん見事な群舞を披露されていました。衣装も万之丞さんがデザインされたそうで、古代の狩衣からアレンジしたかっこいいものです。
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          *

もう一日は、先日、大好きなお友だちと三人で八芳園夏祭りに遊びに行った日のコーデです。
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こちらは、寄りの写真を撮りました。この日はなごや帯に洋角組の帯〆で。襦袢はなしで、足袋は履いています。
このお祭りは、ふだんは結婚式やシンポジウム会場などとして使う大きなお部屋をまるまるビュッフェ形式の夏祭り会場にして、ステージを見たり盆踊りを踊ったり、お庭の屋台で遊んだりするというイベントです。私も盆踊りに参加。はしゃいでます↓
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盆踊りを踊ったのなんて、大学時代か社会人一、二年目頃に友だちと旅行して、地元のお祭りに参加した時以来でした。楽しかった…!来年はもっと盆踊りを踊る機会がありますように!
ステージでは「鬼太鼓座」が登場。音も、太鼓を打つ動作そのものもパフォーマンスとして完成された素晴らしいものでした↓
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最初はハッピ姿なのですが、最後はふんどし姿に。三島由紀夫の世界です‥
         
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例年なら9月に入ってもまだまだ残暑厳しく、15日頃までは皆さん絽のきもので過ごすことが多いと思うのですが、今年は更衣通りの単衣で大丈夫そうですね。秋もきものであちこち出掛けたいと思います!
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2015きものサローネ、始動~~私もスタッフで参加しています 2015/08/24



毎年秋に日本橋で開催される大型きものイベント、「きものサローネ」。
きものファンの皆さんにはすっかりおなじみですね。
4回目となる今年は、10月7日(木)~10日(土)、これまでと同様、COREDO室町1とYUITO日本橋野村ビルで開催されます。
昨年までは一きものファンとして会場に遊びに行っていた私ですが、今年は実行委員会入りすることになりました。担当は、宣伝広報物の記者業務。下の写真は、今年初の試みとして制作した「きものサローネ」タブロイド紙なのですが、8ページあるこのタブロイド紙の8割ほどを私が取材・執筆しています。
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小島慶子さん、インタビュー

では、何が書かれているか‥をご紹介すると、今年のサローネのご紹介にもなるかなと思っています。
二人のおしゃれなきもの女子が印象的な表紙をめくった1ページは、元キャスターで現在はエッセイストとして活躍する小島慶子さんのインタビュー。
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小島さんは今年、『0から始める 小島慶子のきもの修行』という本を出版され、“少ない枚数で多くの組み合わせを生む、賢いきものの揃え方”を指南しています。
今年のサローネでは、その小島さんのきものワードローブ作りを、パネル展で展示。インタビューでは、根幹にある考え方の部分をお聞きしました。会場で、パネルを見て頂きながら同時にインタビューを読んで頂くと、聡明な小島さんのワードローブ術を、より立体的に理解して頂ける仕組みになっています!

実際にお会いした小島さんがどんな方だったかを少しお話しすると、皆さんのご想像通り、とても聡明な方です。もう、ツーと言えばカーに、こちらの意図をくみ取って下さって、ちょっとひねりのある返しを下さる。こんなにインタビューのしやすい方はいらっしゃらない、というくらい頭の言い方だなと感じました。
でも、決して「私、頭いいでしょ!」というかんじの強い印象の方ではないんです。むしろ、どこかはかなげなところがあって、そのアンバランスな部分に私は色気を感じました。
聞くところによると小島さんはお母様との関係に悩まれ、過去には拒食症を発症されていた時期もあったとか。その一連の心の葛藤と解脱の過程を書かれた本もご出版されているということなので、今後、読んでみたいと思っています。その影の部分、弱さの部分と、持って生まれた聡明さとが重なり合って、“謙虚な知性”とでも言うような素敵な女性がそこにはいらっしゃいました。そんな小島さんがどんな風にきものを揃えていらっしゃったのか、ゼヒ、展示を見に来て頂けたらと思います。

          *

現代京都伝統工芸の最高峰を知る展示

さてさて、上の小島さんのページの写真の下の方に少しだけ、豪華な振り袖が見えているのにご注目ください。これは、「京の名工展」のご紹介ページ。染織に限らず、漆器、陶器、飾り房、京人形など、現代京都の名工と若き期待の工芸職人さんの作品が一堂に会する展覧会です。
京都からはこの他に、西陣や京都市中の織り元、染め元が14店出店。毎年恒例のきものプチ見本市、今年は「きものマルシェ」と名づけてお送りするきもの広場に出店します。
「きものマルシェ」にはこのほかに、例年通り、たくさんの染め工房、織り工房、和小物工房、悉皆や着付け、和裁工房が出店。今年は男物コーナーも新設し、80店舗以上の規模で皆さんをお迎えします。ワークショップコーナーもあり、まるできものの街に迷い込んだような感覚!ゼヒ遊びにいらしてください。
   
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さてさて、ここからは、今年のサローネの一大特徴をご紹介したいと思います。それは、“充実のステージと展示”。例年にない豪華な出演者と展示で皆様をお迎えし、「去年までのサローネとはちょっと違う」と感じて頂けるかと思います。
例えば…

*あの「ヨルタモリ」宮沢りえさんのきものスタイルを担当する、スタイリスト伊藤佐智子さんによるきものスタイル展「息づく、きもの」展
昨年の「ヨルタモリ」放送開始以来、皆さん、りえさんのきもののあまりの素敵さにため息をつきつき画面を眺めていましたよね?あの世界観を打ち立てた伊藤佐智子さんが提案する今のきもの…ってどんなきものスタイルなのか?さんざめくトルソー群で展示されるこの展示は、この秋、きものloverの要要要チェックエキシビションとなるかと思います。皆様、ゼヒご来場くださいね。伊藤さんは9日には、トークショーも行います。

*トークショーはこの他にも、ファッションデザイナー横森美奈子さん、着付け師大久保信子先生、笹島寿美先生、吉澤暁子さん、書家の秋葉生白先生、ゑびす足袋白記澄子さんが登場!

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*更に、例年は入れ替え制だったきものファッションショーを今年は大きく開放し、多くの皆さんに見て頂けるよう準備しています。
登場するのは、六本木ヒルズに旗艦ショップを掲げ、90年代より現代の都市生活にふさわしいきものスタイルを展開して来た「JOTARO SAITO」

そして、京都の伝統的な友禅技法やろうけつ染め技法を駆使しながら一ひねりある新しいエレガントスタイルを提唱する、「室華風 津室伸吾」

上の写真は昨年の二人のショーから抜粋したものですが、今年はどのような新作を披露してくれるのか。スタッフの私も楽しみでたまらないショーです。
今日からリリースしたサローネの公式サイトでは、私がインタビューして、津室伸吾さんにショーに懸ける意気込みやコンセプト、そしてこれまでの歩みについて語って頂いています。ゼヒこちらもご高覧ください↓
http://kimono-salone.com/backstage/interview/


*この他にもサローネステージでは、
IMAGINE ONE WORLD
米沢織コレクション
花影きもの塾による花嫁衣装着付け実演ショー

などを行います。
きものloverにとって憧れの地の一つである米沢の、紅花染め紬、紙布帯、草木染め紬、米琉紬、お召、男性用袴、おしゃれきものコートなどなど、最新作を一挙に見られるショーは必見だし、
「IMAGINE ONE WORLD」は、腰を抜かすほど豪華な染め織り陣が世界190カ国の国々をイメージしたきものを作る豪華なプロジェクト。

*一方、エキシビションは、日本を代表するファッションフォトグラファー小林鷹さんが5年間舞妓を撮り続けた写真展「うつやか、舞妓の美」を開催。
他に、こちらも日本を代表する人形師である辻村ジュサブローさんのジュサブロー人形展や、京友禅と茶屋辻の名工・五代田畑喜八展も開催します。

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そして、今年のサローネは、夜も華やかに開催する点が昨年までとは違います
10月9日、1日目は、「Classic Night」と題して、きもの×伝統芸能の競演を。

*スタートは、土屋アンナさんとアンナさんママできものスタイリストの土屋真弓さんのトークショー。
「代々受け継いで行く」というきものの継承のお話を堅苦しくないトークで繰り広げて頂いた後、ソプラノ歌手川越塔子さんによる、日本女性を主人公としたオペラ「蝶々夫人」のアリア独唱。

*続いて、大人気の和ランジェリー「Wafure」代表であり日本舞踊尾上流師範でもある尾上博美さんによる日本舞踊×トークショー「美しい日本の所作と心」。長い鍛錬を経て育まれた尾上さんの美しい舞いを鑑賞しながら、私たち一般のきものloverでもその美しい所作に少しでも近づくために何が必要なのか、をお話頂く必聴のトークを。

*その後は、何とも豪華に、和泉流狂言師・九世野村万蔵さんが登場。最近ではももくろのコンサートを演出されるなど八面六臂の活躍をされる万蔵さんが、狂言の楽しさと狂言衣装の魅力を、狂言の実演付きでお話しくださるたまらなく贅沢な時間です

*最後は、正統のヴァイオリニストでありながら「ミス着物」でもあるという、才色兼備の松本蘭さんによる「きもので奏でるミニリサイタル」でしめやかに夜を過ごします。

*一方、10月9日、第二夜は「Club Night」と銘打って、ぐっとアクティブな夜をお送りします。
その幕をバーンと開けてしまうのが、湯山玲子さんのトークショー。最近では「スッキリ!」や「5時に夢中で」で辛口トークを繰り広げ、マツコ・デラックスもその地位を脅かされまいかと戦々兢々では?と思われる湯山さんが、実はきもの好き!ということで、きものにまつわるあれやこれやを2015年現在の社会の空気問題意識とからめて語ります。相当辛口トークになると思うので、皆さま、楽しみにしていてください。とかくお澄まし気取りばかりのきものの世界、時にはバーンとお尻をまくらないと?がんじがらめで知らない間に窒息死してしまいますからネ!

*その後は、会場の皆さんで楽しめるネオ盆踊りプログラムが登場。古くから親しまれて来た盆踊りを、今注目の邦楽ユニット「AUN J CLASSIC ORCHESTRA」がポップにアレンジ。新日本舞踊の大友千里さんの振付けで、みんなで踊ってしまいましょう!という楽しい時間です。
最近、全国各地で盆踊り復権!といえるほどに盆踊りが大人気。サローネのこの夜は正真正銘サローネオリジナルの曲と振り付け、更に当日は「AUN J」の皆さんが会場に駆けつけ、生演奏で盛り上げてくれます。
私もスタッフではある者の踊りたい~とうずうずしていますので、皆様も是非ご一緒にどうぞ!

*興奮冷めやらぬ中、更に会場がヒートアップすること間違いないのが、あの!「ピチカート・ファイヴ」の野宮真貴さんによるきものおしゃれライブ!
野宮さんがきものも素敵に着こなすことは皆さんご存知かと思いますが、当日も、うっとりおしゃれなきものでご登場になりますよ~(スタッフ特権で知っているのです)。皆様も野宮さんに負けないきものおしゃれでライブを楽しんで頂けたらと思います!

*きものサローネはこの他に、昨年に引き続き、100体コーディネイト展を実施。今年は「きもの100体スタイリズム」と題し、きものスタイリスト、きものショップ店主、きものデザイナー、着付け師などなどきものの目利きによるスタイル競演をご覧頂きます
こちらは、会場を飛び出して、何と、COREDO室町下の地下歩道で開催して日本橋の街をジャック。きもの好き以外の方々にもきものの楽しさをアピールして行きます。プレゼントが当たる人気投票も行いますので、ゼヒ、お気に入りの一枚を探しにいらして下さい。

この他にも書き切れないくらい、今年の「きものサローネ」は盛りだくさんのプログラムでお送りします。
詳細をお伝えする、私・西端のこの夏の汗と涙の結晶のタブロイド紙は、今後、銀座線沿線駅やCOREDO室町ビル、渋谷パルコにて無料配布。また、当日来場された皆様にもお配りしますので、是非お手に取って頂ければ幸いです。

また、サローネ公式サイトも今日からリリース!
こちらにも各プログラムの詳細情報や、前売りチケット購入方法、事前予約が必要なプログラムの予約詳細が掲載されています。
ゼヒご覧頂ければと思います。
今後も、私が担当して出演者、出店者の皆さんの横顔を深く掘り下げるインタビューやコラムを掲載して行きます。ゼヒご覧ください!
http://kimono-salone.com/

↑このURLで正しいのですが、私のブログとの相性が悪いのか、
何故かリンクがつながりません。
お手数ですが復旧されるまで、ヤフーやグーグルなどの検索サイトに
「きものサローネ」と入れて検索頂くか、
上記URLをコピー&ペーストして検索ください。申し訳ありません。

          *

10月7日~10日、きものサローネ。考えてみればもう一月ほどしかないのですね。
当日私は裏方スタッフとして、もしかしたらきもの姿にインカムなど付けまして会場を走り回ることになりそうです。
皆様と会場でお会いすること、楽しみにしています!
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新しい紗紬でお墓参り+「三蛙会」書道展へ 2015/08/17



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仕事の大きな山を越え、差し迫った〆切のない自由な日々を満喫中です♪
昨日は今年作った新しい紗紬のきものに夏らしい花火の帯で、お墓参りと、そして友人の書展へと出掛けて来ました。
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↑こちらの写真が、その着姿です。
母方の墓所が明大前の「築地本願寺和田堀廟所」にあり、曽祖父母、祖父母、大叔母が眠っているのですが、この祖母と曾祖母が大の大の大のきもの好き。私のきもの関係の仕事があまりにも順調なのは、いつもこの二人が見守ってくれているお蔭なのではないかと思い、この数年は特に頻繁にお墓参りをしています。昨日もしっかりとお礼を伝えて来ました。
かなり引きの写真できものや帯の柄が分からないと思いますので、寄りの写真はこちらに↓
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7月11日の日記で「届きました!」とご報告していた淡い淡いグリーンの紗紬に、花火と屋形船の柄の絽の染め帯。夏用のレース組の帯〆を締めました。
この紗紬は今年、都内某所で開かれた秘密のムフフおきもの会でお安く入手したもので、その集まりの専属和裁士さんにお仕立てをお願いしました。この方に頼むのは初めてだったのですが、私の日頃の着付けの悩み、と言うか、「こういう風に着たい」という目指す着姿をお話しして、その姿が作りやすくなるよう工夫して仕立てて頂いたものです。今日で着るのは2回目ですが、うん、良いかんじ。いずれその和裁士さんとよくお話しして、どういう工夫をして頂いたのかを詳しくレポート出来たらと思っています。去年一年間「美しいキモノ」でお仕立ての連載をして、着付けの悩みって、お仕立てから関われば改善出来ることが相当あるなと思っているのです。
帯は、きものお仲間のKさんからお安く譲って頂いた染め帯なのですが、この帯、色々な方の目を引くらしく、電車やレストランで「素敵な帯ですね」「花火の帯だ!」などと声を掛けて頂きます。いかにも日本の夏らしい模様は、やはり皆さん嬉しくなるのでしょうか。
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↑和田堀廟所は広い敷地内に木々も植えられ、散歩するのにも良い場所です。実際、トレーニングウェアでウォーキング中の方もちらほら見かけました。
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↑そして、ここには樋口一葉女史のお墓もあるため、「秋の終わりから書く本について、一葉さんのように巧みな構成力で書き通すことが出来ますようお守りください」とご加護をお願いしてみました。聞き届けて頂けますように‥

        *

その後は新宿へと移動して、三人の若き書家が、書への純粋な情熱を追求するために興した「三蛙会」の会展に伺いました。
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↑こちらは、その主宰の三人の一人、鈴木猛利さんと、作品。恐らく最も単純で基本的な文字の一つである「人」という字を中心に置き、人と自分との関係性のあり方を綴った、詩のような文章も横に書かれています。ほろりと心を動かされる文章が、その内容にふさわしい字で書かれていること。自由自在に文字を操れる書家という存在が、心から羨ましく感じられる瞬間です。
この他、幾つかの作品も下に並べてご紹介します↓
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上から、「喝」を書いた門下生の方の作品
「荷花」(蓮の花のこと)を書いた作品
「蒙餘澤」(余沢を蒙る)、こちらは、三蛙会主催者の一人、山本幸一さんの作品。篆刻も。私はこの作品の字がとても好きです。
「1」(きものブランド「awai」支配人木下勝博さんの作品)

…などなど、とても紹介し切れない、六十作あまりの作品が展覧されていて、今、仕事が一段落して気持ちにも余裕があるものですから、ゆっくりと拝見させて頂きました。
また、私は今、美術史家である茶道の先生に時に教えを請いながら表装について勉強中のため、皆さんが自らのお作にどのような表装を着せているのか、とても気をつけて拝見することとなりました。古典的な表装をされている方もいれば、大変にモダンな取り合わせの方もいらして、とても楽しく勉強になります。
思念や心を伝えるための手段であったはずの「文字」というものそのものを愛で、書かれた内容にふさわしい取り合わせの表装を施し、その取り合わせた全体としても愛でる文化。きわめて高度で繊細であり、且つ洗練された日本文化のあり方をしみじみと思う時間でした。
毎年訪れるお盆の時が、今年はこうして静かに暮れて行きます‥

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きもの雑誌のお仕事で、養蚕農家の取材へ 2015/07/31



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今日は朝から「美しいキモノ」編集部のお仕事で、
栃木県の養蚕農家へ取材に行って来ました。
美しい緑の水田と、山と森。そして桑畑が広がる土地。
注意深く蚕を見守り育てる、養蚕農家の方々。
その農家を支援する、農協や生地問屋の方々‥
「日本の絹」を守るための真摯な努力が、
日々、声高に誇られることもなく行われていました。
写真の左側に写る白い屋根の建物の下で、
蚕は今、静かに桑の葉を食み続けています。
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自分史上相当気に入りコーディネイト 2015/07/30



連日の猛暑、しかも“仕事が猛暑”なかんじでほとんど遊びにも出掛けられない私なのですが、何しろきもの関係の取材や打ち合わせが多いため、その場にきものを着て行くことで何とかきもの欲を満たしている今日この頃です。
そんな中、自分的にはかなり気に入っているコーディネイトが出来上がったので、今日はご紹介する日記を。
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きものは、絽。観世水を、寄りの写真で見て頂くとお分かり頂けるかと思うのですが、実は竹で表している型染めで、どこか粋な雰囲気のある一枚です。そのきものに、帯は紗を合わせました。
この帯、色合いがどことなく更紗を思い起こさせる、赤、焦げ茶、黄土色の縞柄。しかもよろけに織っている凝ったものです。きもの友だちからお安く譲って頂きました。(Kさん、ありがとう‥)

他の方はどう思われるか分からないのですが、私自身はこのコーディネイトについて、自分の中の理想のスタイルをかなり実現出来たかなと思っています。
では、その理想のスタイルとはどのようなものかと言えば、“どこか癖のあるスタイル”。しかもその一癖が、日本独特の色合わせ、模様合わせであると、完璧だと思っています。
私にとって、ベージュの無地きものに少し濃い焦げ茶の帯を合わせる‥といったシンプルなコーディネイトは、癖のないコーディネイト。それはそれで素敵なものですが、私自身の好みとは違います。素敵ではあるけれど、当たり前過ぎる。誰でも出来るよね。チノパンにブルーのシャツ、のようで凡庸。ユニクロみたい。面白くない、と思ってしまうのです。
けれどかと言って、きものと帯の柄、それぞれが蛇とマングース対決!的に強烈過ぎる組み合わせも、目がガチャガチャして好みではありません。
そのどちらでもなく、どこか品格を残しながらも、でも、引っかかりのあるきものと帯の組み合わせになっていること。加えて、折角日本に生まれたのだから、洋服ではあまり考えつかない、きものならではの色合わせにしたい。

      *

‥とそんな理想を目指して日々奮闘している訳ですが、もちろんいつもいつも上手く行く訳ではありません。
が、今日のコーディネイトはそんな中では、かなり理想に近い組み合わせになっているのではないかと思っています。縞on縞、しかもどちらもかなり凝った縞。色の組合わせは、紫×茶。全体の印象は白。
‥別に大したコーディネイトじゃないじゃない、と感じる方もいらっしゃるかも知れませんが、先ほど書いた理想の合わせ方をかなり実現出来ていると思うのです。

           *

‥そんなコーディネイトこの日は、昼からミーティングと取材、そして夜は若干仕事の話も含んだ友人との食事会、というハードな一日を過ごしました。
それでも、気に入ったコーディネイトを着ていれば、気分は上々。この他にも、この夏は、自分的にこれは良いのでは、気に入っているコーデが組み立てられているので、後半、仕事の波が落ち着いたらどんどん着て出かけようと思っています。
それまであと少し、仕事仕事仕事仕事仕事の鬼となって頑張ります。
(今週末お誘いを頂いていた皆さん、ごめんなさい‥)

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新しい紗紬届く 2015/07/11



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今年誂えた、新しい紗紬がお仕立て屋さんから届きました。
今、たとうの紐をはらりと解いたところです。
淡いグリーンをベースに、水色、白、紫、黄色の細縞。白は緯糸でも強調され、光の加減によっては格子柄にも見える一枚です。
さてさて、どんな帯を合わせましょうか‥

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きもの雑誌の打ち合わせに、浴衣をきもの風に着て 2015/07/07



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最近は仕事が本当に忙しくなっていて、なかなかブログの更新もままならない毎日です。
今日は夕方から婦人画報社にて、「いろはにキモノ」の企画会議でした。
そう、「いろは」は、今年も秋に皆様のお手元へと届きます。楽しみにお待ち下さいませね☆

この他に、「いろは」のお姉さん誌である「美しいキモノ」本体のお仕事や、他にもきもの関係のライティングのお仕事(もうすぐ発表になります)、或る企業様の広告物のお仕事(これは染織関係以外の分野)、そして、本の執筆のための資料読みや取材…と、もう目が回りそうな毎日です。

そんな次第なのでこれから夏いっぱいは、短めのブログが精一杯となりそうですが、短いながらも日々気づいたことや、きものコーデをちょくちょく更新して行きたいと思います。時々覗きにいらしてください!

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今日のきものは、浴衣に襦袢を着てきもの風に。
帯は、友人が開いてくれた「セレブマダムの箪笥からはみ出してしまったおきものをお安く分けて頂く会(≧▽≦)」的な会で購入した羅のなごやです。
辛子色の冠組帯〆を挿し色にして、帯揚げは芝草模様の絽の一枚を。
‥さて、これからまた原稿に向かいます!

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喪の日のきものと、厳しかった大学時代恩師の思い出(コーディネイト写真付き) 2015/06/19



少し前のことになりますが、大学時代の恩師が亡くなり、お通夜に参列しました。
きものブログはたくさんありますが、あまり喪の日のきものを採り上げる例はないように思うので、今日は、ご参考になればと写真付きで書いてみました。そして、亡くなった恩師――とても厳しい先生でした――と、先生のもとで真剣に学問に取り組んだ大学時代の思い出も、少し。

     *

この日のお通夜は、キリスト教式で行われました。私はミッション系の上智大学の出身で、先生は教授であり、神父様でもあった方です(私自身は無宗教です)。大学内のイグナチオ教会という、講堂のような大きな教会が会場でした。
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上の写真が、当日に着た喪服です。
一般に、お通夜はお葬式よりも略式で構わず、とり急ぎ駆けつけた気持ちを表せば良いとされているかと思います。私もこの日は、色喪服で参列しました。
この色喪服は友人のお祖母様の遺品を頂いたもので、ひげ紬のようなひげが出ていますが、やわらかものです。色は、紫がかった茶色のような、何とも言いがたき色(この写真と、下にもう一枚出て来る写真の中間の色目です)。八掛には黒を入れており、紋は入っていません。
そして、帯は、喪服用の唐花文様す。これに、黒の帯揚げと帯〆を入れました。
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↑会場に着くまで、帯付きの喪服姿で街を歩くのもどうも気持ちが落ち着かず、上の写真の羽織を羽織っていました。こちらは私自身の祖母から伝わったもので、般若心経柄。背には一つ紋が入っています。
般若心経は、全ての仏教会派に共通するということで、よく喪服の模様として使われているかと思います。ただ、この日はキリスト教式だったため、会場の敷地の20メートル前程で脱ぎ、持参した黒布の手提げ袋にしまっていました。そして式が終わり、敷地外に出てしばらく歩いてからまた羽織ります。
髪は後ろで一つに束ね、その束ねた所を黒いリボン付きのバレッタで留め、バレッタの先に付いているネットの中に入れ込みました。たまたま家にあった、このような黒リボン付きのバレッタは、一つ持っているとふだんにも、そして今回のような機会にも役立つと実感しました。
以上、お通夜の日のきものについて、皆様のご参考になることがあれば幸いです。

        *

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ここからは、亡くなった恩師と、その恩師の元で過ごした日々を振り返って綴りたいと思います。(上の写真は、式が行われたイグナチオ教会)

この日、最後のお別れをしたエセイサバレナ先生は、享年九十歳。スペイン、バスク地方のご出身でした。
バスク地方は、ご存知の方も多いかと思いますが、一応スペインに属してはいますがフランス国境に近く、独自の文化を誇り、スペイン語ともフランス語とも異なる、バスク語という言語を話します。独立運動も度々うねりを見せる地域のようです。
そんな複雑な地域で生まれた先生は、若くして信仰の道に入り、はるか歴史の昔のフランシスコ・ザビエルと同様、全く縁もゆかりもない東の小国へと派遣されることになりました。その信仰の心はどれほどまでに強く、純粋だったのだろうと思います。

          *

しかし、私たちが教えを受けていた頃、既に七十歳を迎えられていた先生は、ひたすらに真面目で実直な信仰の人、と言うにはかなり違う、独特の風をお持ちでした。柔らかな言葉で言えば、ユーモアの人、強い言葉で言えば、かなりの皮肉屋‥
実は、先生に教えを受けていた頃、私は先生をひどく憎らしく思っていました。私が学んだ哲学科は、全体的に真面目な校風の上智大学の中でも特に学問に厳しく、大学1・2年の間、毎日1限目に設定された第一外国語の授業(必修)に、年間で3回遅刻すると、即、留年となりました。遅刻だけで留年。相当に厳しい方ではなかったかと思います。

そんな上智の哲学科は、伝統的にドイツ哲学が強く、ほとんどの同級生は第一外国語にドイツ語を選択していました。その中で、七名だけ、変わり種のラテン語専攻の仲間がいて、実は、私もその一人です。そしてエセイサバレナ先生は当時、ラテン語の担当教授でいらっしゃったのでした。

          *

ラテン語というのは、要するに、日本語で言うところの古文であり、現在、ヨーロッパ生まれのヨーロッパ人にとっても十分に難しい言語です。もちろん、現実生活で使い機会は全くと言っていいほどありません。

この言葉の難しさは、活用にあります。
何しろ、動詞はもちろんのこと、名詞、形容詞までいちいち総ての語が活用をするのです。しかも、単数形・複数形、男性名詞と女性名詞があり、時制は一体いくつあるのやら‥要するに、一つの文章の主語、動詞、形容詞、目的語‥に全て活用があり、しかもその時々の時制や数量に合わせて正確に活用していなければならい。‥そんな気が狂いそうに複雑な言語でした。
しかも全くのゼロから始めているにも関わらず、何しろ毎朝1限に授業があるために文法だけはどんどん前に進み、半年もすればもう、あのローマの雄弁家キケロの原文を読む、という恐ろしくレベルの高い授業が行われていました。

‥が、そのようなハイスピードのため、当然どうしても覚えられない活用や、読み取れない箇所が頻出するようになります。私たちは日々の宿題や授業中の指名の度に頭を抱えることになった訳ですが、そんな時エセイサ先生は決まってこう言いました(日本語で)。
「キケロのおばあちゃん」
これは一体どういうことかと言えば、あれこれ考えてみても仕方がない。語学には、何故こう活用するのか、何故この発音なのかという問いに対して、理由など何もない。キケロも、キケロのおばあちゃんもみんなこう喋っていたから、こう喋るんだ、ということを意味しています。
語学というものの真実をたった一言でユーモラスに言い当てている名句だと思うのですが、けれど、当時、留年におびえながら活用に頭を悩ませている時に微笑混じりに言われれば、どうにも憎らしく腹が立ったものです。一体、私たちラテン語組は2年間で何回この「キケロのおばあちゃん」を聞いたでしょうか。

          *

式の後、その仲間たちで、なつかしい四谷の街で食事をしました。
みんなが口々に「ほんと、あの頃のエセイサは憎らしかった」と言い、当時から夜型だった私は毎朝1限ギリギリに飛び込んでみんなをはらはらさせていたこともぼんやりと思い出しました。
『パパラギ』『蠅の王』『夜と霧』など、1年次の必修授業「人間学」で読んだ課題図書に、今になって思えば非常な良書が選ばれていたことや、そのためみんなが内容を鮮明に記憶していること、確実に今の自分たちの思考の血肉になっていることにもまた気づかされ,、それぞれが書き上げた卒論についても話し‥と、話題は尽きることがないのでした。

          *

けれど、ざっくばらんに言ってしまえば、今、そんな私たちの中で、ラテン語の知識を役立てられる仕事に就いている人は、一人もいません。あまりにも複雑なラテン語のあの活用文法は、その複雑さの故に今はきれいさっぱり脳髄から消去されてもいます。では、あの時間は無駄だったのか?と問えば、そこはそうではないように思うのです。
私たちが大学に入学した頃は、まだバブルの花が最後の腐臭を放ちながら、かろうじて咲き誇っていた浮かれ時代の最終章。そんな時代の空気の中で哲学を学ぼうなどという人間は、子ども時代から何らかのやむにやまれぬ哲学的命題に頭を悩ませ(例えば、「“本当に理解する”とはどういうことか」「1+1は何故2なのか」などなど…)、それを何とか解き明かしたい、そういう、切迫した決意を持って入学を決めたはずです。少なくとも、私はそうでした。
けれどそんな人間にとっても、禅問答オンパレードの哲学書を読むことはやはり相当に難易度が高く、非常な根気が必要とされる出来事でした。
だからこそ、一切甘えのきかない態度で私たちの前に立ちはだかったエセイサ先生をはじめ、上智哲学科の、キリスト教ならではの生真面目な環境が役立ったと思います。すぐに落第、留年となってしまう環境では怠けることは許されず、カントでもデカルトでもキルケゴールでも、課題となった哲学書を線を引き引き読み通さざるを得ない。それが4年間続くことで、もともと持っていたそれぞれの論理的な傾向が徹底的に磨きをかけられ、血肉化し、卒業して20年を経た今、仕事をする上での大きな武器になっていることは、その夜集まった全員の共通認識でした。
もちろん、こういった理論的傾向は、問題解決を最後の最後では情緒で紛らわしがちな日本社会においては、「理屈っぽい」と摩擦を引き起こすこともあります。
けれど、どのようなことでも、中途半端が最も意味がない。4年間で磨き上げられ、とにかく、抜けのない論理的思考方法を持てるようになったこと。それをどう使いこなすかは、それぞれの謂わば人間力次第であり、また別の話なのだと思います。
「キケロのおばあちゃん」とエセイサ先生に憎らしく微笑まじりに言われたこと。
それは今になってみれば、たまらなく心楽しい思い出です。そう言えるほどには私たちが成長したことを伝えたいと思った時、もう先生はここにいないのでした。
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「美しいキモノ」きもの着姿投稿サイト開始☆私も週末の単衣コーディネイトを二つ投稿してみました 2015/06/01



猫に噛まれた手の傷もほぼ癒えて着付けが出来るようになり、週末は土日とも、きもので外出しました。
そのコーディネイトを、ふだんならこちらのブログでご紹介するだけなのですが‥本日より「美しいキモノ」のきもの着姿投稿サイト「KIMONO SNAP GALLERY」がオープンしたということで、私も早速投稿してみました。良かったら、こちらのサイトからご高覧下さい。私の写真が二枚あります!↓
http://utsukushii-kimono.jp/snap/

この「KIMONO SNAP GALLERY」サイトは、携帯やPCから簡単に着姿スナップを投稿出来るもので、自分一人で撮ったものでも、お友だちと撮ったものでもOKということです。
お気に入りの着姿を見つけたら「いいね!」ボタンを押して応援したり、また、3カ月に一度、「美しいキモノ」編集部、木村孝先生、「美しいキモノ」で活躍されている着付け師やカメラマンの方…などなどが審査を行い、各賞の受賞者を決定。選ばれた一枚は「美しいキモノ」本誌に掲載のチャンスがあります。
また、各回の受賞者の中から年間特別賞に選ばれた方には、何と、帯!や和装小物の豪華プレゼントもあるそうです。ほ、ほしい‥。「いいね!」が多かった方には読者賞の授与もあるそうですよ。
      
          *

‥と夢が膨らんだところで、私のコーディネイト二つを、こちらのブログでもご紹介致します。土曜、日曜とも、この暑さですから、もちろん単衣で出掛けています。

塩沢(たぶん)の単衣で宮古上布勉強会へ

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土曜日は、宮古上布や結城紬のコレクションで知る人ぞ知る、千駄木の名きもの屋さん「工芸染色山ざき」へ、上布の勉強会に出掛けました。きものを愛するお友だちが企画してくれたこの会。店主の山崎さんと、十数名のきもの仲間でわいわい楽しく勉強会の後、その中の五人で撮ったスナップ写真です。
私が着ているのは、恐らく塩沢と思われる単衣の紬。友人のおばあさまの遺品を頂いたものなので正確な産地は不明なのですが、触ったかんじで、たぶん99パーセント、塩沢だと思っています。しつけがついたきれいな状態だったもので、本当にありがたい限り。ただ、おばあさまのものだったため色がとても地味なので、黄色の博多帯で年齢相応の若やぎを出してみました。帯は道明製。生成りがかった白の冠組です。
お友だちの皆さんのコーデも、それぞれ好みが出ていてとても素敵ですよね♪先ほども書きましたが、「KIMONO SNAP GALLERY」はこんな風に、お友だちとのコーデも投稿出来るのが楽しいなと思います。

単衣のぼかし柄付け下げに、組紐帯で

一方、日曜日は、お茶会の日の礼装コーディネイトです。
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「KIMONO SNAP GALLERY」には同じ場所で、正面から撮った写真を投稿していますが、ここでは、お茶会をご一緒した私の「茶の先輩」が別角度から撮ってくれたものアップしました。正面からの写真は、ゼヒ「KIMONO SNAP GALLERY」をご覧頂けたら嬉しいです!
http://utsukushii-kimono.jp/snap/

私のきものは、まだ五月、更にお茶会という場ではありましたが、単衣の付下げです。親しい人とのお茶会で多少ルール違反が許される状況だからということもありますが、何しろ30度近い暑さだったのですから、よっぽどの正式な席でない限り、もう無理に袷を着る必要はないと思っています。第一、見ている方も暑苦しいでしょうし!
ちなみに、土曜日から、襦袢も半衿も絽に。日曜日は帯揚げも絽に換えました。今後もこの暑さが続くのなら、10日頃から、もうきものも絽で良いのでは?と思います。熱中症で倒れたらバカみたいですものね。

着用した付下げは、鬼しぼ縮緬の単衣。縮緬は、収縮を心配して単衣に仕立てない方も多いかと思いますが、私は汗をあまりかかないこともあり、気にせず着ています。今のところ特に問題はありません。
ピンクがかった淡い卵色から鼠色までぼかしたこの色使いがとても気に入っている一枚です。
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全身写真では分かりにくいので、きものに寄ってみた写真が上の一枚。全身にわたって、観世水のような水紋が表現されています。
このきものに、昨日は、淡いピンク色の袋帯(格子模様)を合わせました。ひなや製の組紐帯です。
私はきものと帯を反対色にするコーディネイトがとても好きなのですが、昨日は何故だか淡め×淡めの色の取り合わせにしたかったのです。このコーデに、勝手に自ら「銘 霞み」と名づけてみました(≧▽≦)
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そんなぽわぽわっとしたコーデには、龍工房製の帯揚げのグレーとワインレッド色で、かすかなアクセントをつけて。帯揚げは、土曜日と同じ道明の白の冠組です。
     
          *

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そして、上の二枚の写真は、この日のお道具組(の一部)と、お床を撮ったもの。韓国青磁の水指など、初夏の爽やかな風を感じさせて頂いたお道具組でした。
こちらの茶会は、料亭や寺院内の茶室ではなく、個人のお宅の茶室で開かれました。その方とはお茶を通じて知り合ったのですが、お茶を愛してやまず、ついにご自宅に茶室を作ってしまったとお聞きし、一度伺ってみたいと思っていたところ、今回お招きを頂いたものです。
気持ちの通じ合う、少人数の方々と、お濃茶とお薄のお席。は、何とも清々しく楽しいひと時でした。こういう機会にめぐり遭うと、お茶を学んでいて本当に良かったと思います。

        *

さてさて、話はまたきものに戻り、こうして楽しい時間とその日の着姿を「KIMONO SNAP GALLERY」に投稿してみた訳ですが、これから、全国のきものloverがコーディネイトを披露し合うことで、もっともっと着ることが楽しくなったらいいなと思います。
私もまた時々投稿するつもりですし、ちらちら覗きに行ってみようと思います。我こそは、と腕に、いや、きものコーデにおぼえのある皆様、賞を狙ってゼヒ応募なさってみて下さい!
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「わーと日本橋」200体きものコーディネイトちら見せ+くまもん羽織袴姿+お茶菓子、山口源兵衛コレクション 2015/05/07



先日日記にレポートを上げたきもの+アートイベント「わーと日本橋」、第2弾レポートをお届けします。
このイベントの大きな見せ場の一つである200体のきものコーディネイト。どんなコーデがあるのだろう?と気になる方が多いと思いますので、ごくごく一部になりますが、ご紹介をしたいと思います。

私がすごいなとうなったのは、染め師・岩下江美佳さんによるこの婚礼衣装。まずは寄りの写真をご覧ください↓
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おめでたい「宝尽くし」文様の地紋がある生地を使ったこのおきもの。よく見ると、地紋は凹凸をつけて織り上げられていることが分かります。その上に、江戸小紋で細かくドットが染め上げられているのです。
「江戸小紋」は、もう皆さんも良くご存知だと思います。型紙を使い、極小の文様を染めて行く技法ですが、普通の平らな反物にさえしっかりと極小文様を染めるのは難しいのに、凹凸のある生地に…!
…と驚愕していたところ、たまたま会場に岩下さんがいらしたので、
「ああいった布に対しては、ぐっと型紙を押しつけて染めるんですか?」
とお聞きしたところ、
「いや、逆に軽くふわっと置いて染めるんです」
とのお話でした。確かな型染技術をお持ちでなければ出来ないこの技。玄人がうなる作品だと思います。会場に行かれたら、ゼヒ皆さん、注目してください。
更に裾にはこんな風に美しく花模様も染められ、岩下さん、一体いくつの技術をお持ちなのですか!と感嘆してしまいました↓
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↑他にもこんな素敵な婚礼衣装が展示されています。

個人的にほしいな、と思った、この二枚。全くの偶然で驚いたのですが、どちらも京都の栗山工房のお作でした↓
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上は、夏の麻のおきものに、格調高く古典文様を染めたもの。何とも品が良く、通なお着物だと思いませんか?ほしい!と一人トルソーの前で唸っていました。
もう一点、下の明るいペパーミントグリーン地のおきものは、紬に染めたもの。もう理屈屈抜きに、こういった色合いが大好きです。ちょっと私の年齢ではもう若いおきものですが、とにかく大好き。若かったら絶対着たいきものです。

若いと言えば、面白いなと思ったのが、このおきもの↓
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グラフィティのようなもようを大胆に染めています。染色家・橋本真智子さんの作品。白大島の生地に、奄美大島に自生する植物を染料に使って染めた作品ということです。
私はモダンきものと言われるものにほとんど感心したことがなく、ただ洋服の模様をきものの上に置いてみただけで面白くないな~と思ってしまうのですが、この柄の付け方には、古典の格子柄(例えば、翁格子など)とも通じ合いながら現代性が保たれていることを感じ、ぐっと来てしまいました。

             *

さてさて、ここでちょっと休憩して、アイドルショットを!

一昨日、5月5日のわーと日本橋には、くまもんが登場しました。
きもののイベントということで、日本男児の正装、紋付き袴を着ています。あまりの人気に後ろの方からの撮影で、全身が撮れていなくてすみません‥!
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こちらの衣装は、きものデザイナーの木越まりさんがデザイン、そして、私が仲良くして頂いていて、この日記にも度々登場しているのでもう皆さんにも覚えて頂いているのでは?と思う渋谷の和裁所、「プロきものスクール」の海老原美智子先生が縫いを担当しています。
海老原先生と会場で少しお話したのですが、くまもんは何しろ首がないようなあるような、更にとてつもなく太い首なのでどう布の上に寸法を落とし込むか、相当苦労されたようです。
しかもみて下さい!ちゃんと比翼もついた正式の上にも正式な一揃いなんですよ。最後は徹夜で縫われたとのこと。エビ先生、お疲れ様でした!

             *

さて、コーディネイトに戻って、夏のおきものでもう二枚素敵だなと思ったものをご紹介。
一枚目がこちら↓
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京都の人気きもの店「きもの鶴」の店主、舞鶴曜子さんが出されていたお作です。絹紅梅と思われる透け感のある生地に、クラッシクな花の文様を染め、何とも涼しげ。しかも女らしくて。歩いた時にふわっと動く裾から、涼感がただよって来る様子が目に浮かびました。
このきものの見せ所をしっかりと伝える、着付け師・望月なぎささんの着付けも見事ですね。
地紋の部分はかわいらしいドットが染められているのですが、私の年齢なら、万筋のような細い縞に染めたいかなと思ったり。妄想が膨らみます。

二枚目は、「一貫工房一矢」さんの作品↓
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シャリ感のあるオリジナル織り生地に蝋纈染めで花火の柄を染めたもので、夏の夜の華やかさと涼感が両立しているかんじが、「ほしい!」と思わされました。

              *

ここでまたまた休憩タイム。
わーと日本橋の竹の天空茶室では毎日茶会が行われていることは前回の日記でもレポートしましたが、そこでは毎日日替わりでお菓子が供されています。私が参加した初日の茶会で頂いたのがこちらのお菓子↓
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神楽坂の「梅花亭」のお作で、天空茶室という今回の茶会のコンセプトを見事に表現しています。
あまり写真が良くなくて恐縮なのですが、よく見ると、一層目と二層目の間にブルーの筋が入っていることが見えると思います。そう、まるで成層圏と大気圏の間を自在に行き来するようなイメージ。
もちろんお味も大変美味しく、この創造力に感嘆したのでした。
先ほども書きましたように、茶会は毎日数度行われ、毎日違うお菓子が頂けるので、きっとこの日の他にも素敵なお菓子が登場していると思います。わーと日本橋はまだ10日まで開催しているので、ゼヒ皆様、参加されてみて下さい。人気も高いので、会場に着いたらまず席を予約されることをお薦めします!(一昨日、私は出遅れて予約いっぱいで入れず、でした‥)

              *

また、わーとの会場では、このような大きな染め物作品も飾られています↓
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端午の節句を挟んだ会期にふさわしい鯉の大判幕。京都の老舗中の老舗「誉田屋源兵衛」の作品です。
「誉田屋源兵衛」からは、現当主の山口源兵衛さんが他にも展示を行っていまして、その中には戦国桃山期の名物小袖を復元したものもありました。撮影禁止ということでここではお見せ出来ないのが残念なのですが、そこに書いてある山口源兵衛さんの解説が素晴らしく、これを読むだけでこのイベントに来る価値があると、私は強くお勧めします。
例えば豊臣秀吉の小袖を再現したおきものに添えられていた解説には、
「秀吉の衣装には過剰な気負いが感じられる、人並み外れた絢爛豪奢な天下人の衣には、恍惚と不安が同居している」と。
これは、服飾史と歴史と技法とを全て知り尽くしている人にしか書けない言葉だと思います。感動のあまり、しばしこのきものと解説ボードの前に立ちつくしてしまいました。山口源兵衛さんのコレクション、皆様ゼヒご自分の目でご覧になってください。

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最後に二体、コーデのご紹介を。
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↑こちらは、きものスタイリスト小林久美さんのコーディネイト。きもの初心者から毎日きもの!のきもの愛好家まで、一枚はワードローブに入れておきたい格子柄の紬きものを、楽しくコーディネイトしています。
こうして反対色を上手く入れ込んで行くことが、きものコーデの楽しさだと私は思います。同系でまとめるのもすっきりして素敵ですが、洋服風から離れて、きものらしさを現代の感覚の中に溶け込ませたコーディネイトではないかと思います。

そして、これぞきもの!と思わせるコーディネイトがこちら↓
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浅草で新舞踊の家元をされ、きもの店「胡蝶」の経営もなさっている加藤胡蝶さんのコーディネイト。洋服のコーディネイトとは全く違う色使い。セクシーさなど狙わなくても自然にただよう、独特の色っぽさ。私もこういうコーディネイトをしてみたいものだと思いながら、なかなか到達出来ません。

…と、やっぱりきものイベントはコーディネイトを見ることが一番楽しいような気がします。何しろ200体もあるので、好きな作品、参考にしたい作品がきっと見つかると思います。
10日まで、そして毎日20時まで開催していますので、ゼヒCOREDO室町の「わーと日本橋」へ足を運んでみて下さいませ!

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大型きものイベント「わーと日本橋」訪問レポート(きものコーデとお買い物戦利品写真付き) 2015/05/03



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ゴールデンウィークたけなわの昨日、日本橋のCOREDO室町で開かれている「わーと日本橋」に遊びに行って来ました。
「わーと日本橋」は、5月2日から10日まで連日開催中の“きもの+アートイベント”。会場中心には今注目の竹アーティスト「ちかけん」による巨大空中茶室が組まれ‥↓
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その周りをぐるっと200体ものトルソーが囲んでいます。
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もちろん、トルソーが着ているのはきもの・きもの・きもの。有名きものスタイリストやきもの店、きもの作家、きものメーカーがこれぞ!というきものスタイルを披露下さっています。
まず、これを見ることが楽しく、人気投票もあるので「私の清き3票をどのコーデに…」と考えるもう一つの楽しみも。

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そんなきものイベントに着て行った私のおきものをまずはご紹介。
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昨日の東京の気温は25度近くあったので、迷わず単衣を選びました。しょうざんの単衣紬訪問着に、軽めの織りのしゃれ袋帯。帯揚げに黄緑を入れて、新緑の雰囲気を演出してみました。
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この帯は、友人のおばあさまの遺品を頂いたもの。小ぶりの幾何学模様が織り込まれていてかわいいのです。帯揚げの結び目がおかしくてすみません‥

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さて、上の私の写真の隣りに写っているのが、「わーと日本橋」のメインビジュアルに使われているお人形。資生堂などとのコラボでも知られる人形アーティスト宇山あゆみさんの作品です。
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60年代の人形を使いながら、しぐさ、きものまで美意識の粋届いた作品。この作品三つを見るだけでも来る価値がある展示です。

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他にも、展示は様々で紹介し切れないのですが、例えば…
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↑西村織物所属の中村あやめさんによる、精緻な縞の織物の展示。
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↑昨年の宝塚百周年公演の舞台衣装。きものデザイナー木越まりさんによるデザインです。伝統を踏まえながら、宝塚らしい華やかさが素敵☆
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↑こちらは、カタールの国をイメージしたきもの+帯。「IMAGINE ONE WORLD KIMONO PROJECT」という巨大きものプロジェクトの中の一作品です。
このプロジェクト、一体どのようなものかと言えば、2018年の東京オリンピックに向け、世界の各国をイメージしたきものと帯を日本の染め・織りの名匠・名工房が作品化する‥という壮大なもの。このカタールのおきものと帯では、駱駝の歩く砂漠の中に出現したかの国のビル群を、きものと帯に幻想的に描き出しています。本郷葵紅さんの作品。
他にも、ブラジル、ツバルなどの作品が展示されています。ブラジルは、千總と龍村美術織物のコラボレーションだったり‥と本当に豪華。この展示もまた見る価値有りです。

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ところで私、会場で買い物もしました。「わーと日本橋」では「きものマルシェ」も開催中。前からほしかった和ランジェリーブランド「wafure」の仮紐、手に入れることが出来ました♡
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↑今朝、家で朝の光で撮ってみたのですが、見て下さい、この美しさ。
恥ずかしながら、これまで私、着付けの際お太鼓を仮に紐で押さえておく際の仮紐は、汚れてしまった帯〆を転用していました。でも、そんなのって何だか気分が下がってしまいますよね。
「wafure」のデザイナーでありオーナーである尾上博美さんとは、言葉に出さなくても何か通じ合うものがあると言ったら良いのでしょうか、とても気が合い大好きな女性なのですが、こんな素敵なお品を出していることを知り、前から「早く使いたい!」と今日のイベントを楽しみにしていました。
着付けの時から心に寄り添うものを使って身支度する楽しさ。明日もきもので外出の予定があるので、早速明日から、この仮紐で気分上々に着付けをして出掛けたいと思います。
一つ私の失敗は、博美さんと写真を撮るのを忘れたこと。素敵な帯を締めていたしゼヒ撮りたかったのに~!お喋りに心を奪われたりして忘れてしまいました。またの機会を狙いたいと思います!!!

             *

最後に、竹の空中茶室での茶会をレポート。
今回の席主は、裏千家の吉森宗弘、宗光ご夫妻。伝統をしっかりと取り込んで滋養とされながら21世紀を生着る感覚をもみなぎらせた、そして、今回の場=「竹筒に穿たれた穴から落ちる木漏れ日のような灯り」とも見事に調和した、素晴らしいお道具組でした。
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↑上のお写真が、お点前をされている様子を撮ったもの。私たち客一同は、この茶室を取り囲むようにして置かれた椅子に着席してお茶を頂きます。
宗光さんが使われている袱紗をご覧ください。鶸色が五月の気分とこの場にふさわしく、行き届かれた美意識に感嘆致しました。後ろに座られた宗弘さんのお羽織も、白地をベースに卵色や浅葱色などのぼかしになっていて何ともおしゃれなのです。
そして、お釜を入れている風炉が、鮮やかな青の交趾焼き。お隣の水指は、もともとは花瓶として作られていたものに、後からガラス作家萩原龍山さんに調和する蓋を作って頂いたのだそうです。蓋のつまみはビー玉を使われています。もう、この感覚にうっとり。
そして、風炉先が、茶室全体をつくられている「ちかけん」さんのお作、という訳です。
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↑お床の前でぱちり。お軸は、海老原露厳さんが今回の会のために書いてくださったという作品。「風光」と書かれています。乾隆帝所有だった墨を使っているということで、古の中国文化を好む=シノワズリ趣味のある私にはたまらないお作でした。
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↑お棗は、加賀蒔絵の吹雪。螺鈿も使われた大変に華やかなもので、やはりお茶人であられた宗浩さんのお父さんより伝わったものなのだそうです。御前秀邦作で、模様は蜀江紋。お茶尺の軸は象牙製です。
たくさんのきものに囲まれた今回の会場で、その華やかさに拮抗するものとして、このお棗を選ばれたのだと思います。この美意識に敬服しながらうっとりと拝見致しました。

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…こんな風に、きもの、茶会、お買い物、様々な展示、と盛りだくさんに楽しめる「わーと日本橋」。10日まで毎日、COREDO室町で開催。私もまた5日に遊びに行く予定です(5日にはあのくまもんが、羽織・袴を着て来場するらしいですよ!)。
皆様も是非ゴールデンウィークのご予定に加えてはいかがでしょうか。
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創業103年の履き物店「辻屋」さんを訪問。商品ディスプレイと顧客心理について考えた夜 2015/04/30



先日、浅草伝法院通りの履き物屋さん「辻屋本店」に遊びに伺いました。
「辻屋」さんの創業は大正元年ですから、今年でその暖簾は103年目。以前は新仲見世通りにお店を構えていたのですが、昨年暮れ、現在の伝法院通りに移転しました。
今回、新装「辻屋」へ、初めての訪問。雷門をくぐって仲見世通りを浅草寺まで真っすぐ歩き、境内に入る直前の左右の道が、伝法院通りで、右に曲がってすぐ、道の右側に新店舗がありました↓
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↑こんな風に、2階のウィンドウからもたくさんの履き物の様子が分かるディスプレイが目を引いていました。

私と「辻屋」さんのご縁は、2年前の夏、私が企画制作した時代きものイベント「江戸着物ファッションショー」で女将の富田里枝さんに下駄と草履を担当頂いて以来です。
この日は「辻屋」さんでちょっとした集まりがあり、履き物の購入に伺った訳ではないのですが、次に草履を買う時は是非こちらで、と思っています♡
そんな新装「辻屋」さんの、店内のディスプレイが下の写真なのですが、私はここに新しさを感じました

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一足一足が個別に際立つように飾られているため、「ああ、この草履の特徴は、ふっくらした台で、きっと歩いても疲れにくいんだな」とか、「側面に切り返しのデザインがあるのだな」といったように、それぞれのお品の個性が良く分かるのです。
これは里枝さんのアイディアだそうで、「たくさんの商品をお客様に見せる」という観点からすれば、点数は減ってしまうけれど、意外にも以前より「他にもっとありませんか?」という声が少なくなったのだとそうです。
一つ一つの商品の特徴がよく分かってしっかりと頭の中に刻み込まれれば、お客様は精神的に満足する、ということなのかもしれません。マーケティング上、とても重要な気づきなのでは?と思いました。
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こちらは、そのお店の一角で撮った写真。後ろには、男性ものの草履が写っています。女性もの、男性もの、共に充実の品揃えの辻屋さんなのです↓
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私のきものは、「洛陽織物」の網代お召。きものに詳しい方ほど、「この織り、面白い」と手に触れたり、「これは何と言う織りですか?」と質問の出る通好みのおきものです♡辻屋女将の里枝さんからももちろん質問が出て、むふふと思った私なのでした。
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帯は、祖母が染めた型染。牡丹の花籠に、柳が垂れ、燕が飛んでいる、この季節にぴったりの柄です。帰宅後に床置きして、お太鼓のアップも撮ってみました↓
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かなり長く模様を染めているので、実はいつもお太鼓の出し方に悩みます。花を少し犠牲にすると燕が二羽とも入るけれど、花も見せたいし‥と。祖母はそもそもどんな風に締めていたのか、亡くなっているため訊けないのが残念です。
帯揚げは、古布を帯揚げとして使っているもの。帯〆は、道明の笹浪組紫ぼかしです。
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↑この日は、金彩職人の伏見奈津子さんも来店。金粉と金泥の違いや、金彩をするための筒道具についての説明を伺いながら、実演も見せて頂きました。辻屋さんとのコラボ商品が下の写真。こんな風に、木目の上に家紋を描くことも出来るんです!新しい知識を得られ、大変勉強になりました。
…とこんな風に、とても楽しかった辻屋でのひと時。里枝さん、ありがとうございました!(里枝さんとの写真を撮り忘れましたが、近々またお会いする予定ですのでその時に…)
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モダンな付下げで根津美術館レセプションへ 2015/04/23



先週金曜日は二つの美術展のレセプションをはしごしました。もちろんきものを着て行きましたので、コーディネイト+美術展の内容ご紹介も少し、な日記をお届け致します。

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さてさて、当日会場でお会いした旧知の美術ライターの洲之内啓子さんのお話によれば、この日はレセプション・ラッシュで、四つ五つと回る美術関係者の方が多かったのだとか。
(洲之内さんの美術展解説サイト「今見られる全国のおすすめ展覧会100」はこちらから↓
http://katycom.info/museum/ )
私も母とともに二つ回り、そのチラシを撮ったのが上の写真です。
一つ目は、青山の根津美術館で開催の「燕子花と紅白梅」展。もう一つが、渋谷の実践女子大学香雪記念資料館で開催の「華麗なる江戸の女性画家たち」展です。
根津の展覧会は、尾形光琳の「燕子花図屏風」と「紅白梅図屏風」が同時に並ぶということで、現在、連日入場制限も行っていると聞きますが、レセプション当日もものすごい数の来客数でした。確かになかなかこのようなチャンスはないですものね。
もちろんこの二作の素晴らしさは言う間でもいのですが、「光琳のデザイン感覚」という視点で組まれたこの展覧会、私は、同じ琳派の「蔦の細道図屏風」(伝俵屋宗達)や、光悦の傑作蒔絵作品「群鹿蒔絵笛筒」にも、そのデザイン性という観点から惚れ惚れと見惚れておりました。更に、服飾史好きの方には、「雁金屋」のひな形本の実物を見られるチャンスでもあります!

もう一つ回った実践女子大学内香雪美術館(実践女子大の渋谷新キャンパス内にあります)、こちらはそれほど大きな美術館ではないのですが、日本美術史界きっての目利きであられる仲町啓子先生が館長であり作品購入の責任者ということで、筋の良い作品が粒揃い。
一般に、江戸時代と言うと女性の画家はいなかった印象があって、恥ずかしながら私は、池大雅の奥さんが文人画家だったナ~ということしか知らなかったのですが、こんなにいたんだ!と作品を見渡せる楽しみがある展覧会でした。
狩野派あり、武家や公家のお姫様が教養として描いていたものあり、文人画家あり。しっかりとした正統の技術に裏打ちされた、目に楽しい日本画ばかりです。何しろ入場無料ですので、皆様渋谷方面に行かれた時はゼヒ覗かれてみて下さい。

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この日の私のきものは‥
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この春の初めの一時期、むしょうに黄色を着たくなるのは私だけでしょうか?この日も迷わず淡い卵色の付下げを選びました。祖母が染めたもので、恐らく蘭と思われる花を意匠化した、モダンな一枚です。当日は荒天で、かなり強めの風が吹いていたため、裾が若干膨らんでいますがご容赦ください。
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帯に寄った写真がこちら↑
華紋と葡萄唐草を銀糸などで織り出した洒落袋帯なのですが、葡萄の部分は出さず、華紋と唐草を前帯にして。この華紋、葵の葉を意匠化したようにも見えますよね。
帯揚げは、龍工房。帯〆は道明製。淡いピンクをベースにした段染めぼかしの冠組です。
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これから5月いっぱいくらいまで、東京は街歩きに最も気分のいい季節。また他の美術展にも足を運びたいと思います!
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「道明」の新ライン「DOMYO」誕生レセプションへ――「伝統」と「変革」、「継承」について考えた夜 2015/04/16



今日は青山の小原流会館地下1階にあるギャラリー「利菴ART’S COLLECITON」へ、帯〆・組紐の「道明」から誕生した新ライン「DOMYO」のお披露目レセプションへお邪魔しました。

「道明」と言えば、あの帯〆の「道明」。きもの好きなら知らない人はいない、江戸時代からの老舗中の老舗ですが、その「道明」から新ライン?しかも名称が横文字とは?と興味津々です。
何しろ、商品パンフレットの表紙がこんなロゴなんです↓
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ヨーロッパなどのおしゃれブランドの雰囲気。さてさてどんなお品と出会えるのでしょうか。頁を繰ってみると‥
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ネクタイや、イヤリング、ブローチなど。そう、日本では飛鳥時代からの伝統を持つ、組紐。その技術を応用して、洋装にも楽しめるラインとして誕生したのが、「DOMYO」という訳なのです。

私の写真があまり良くないので恐縮なのですが、今日の展示会に並んだお品が下の一連の写真です。
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↑蝶ネクタイ。「安田組」という組み方で組まれています。正倉院に「安田組」で組んだ帯が残っており、日本人とはざっと1300年!の付き合いの組み方!それが、現在の世界のファッションの主流である洋装にも応用されるのは、非常に非常に刺激的なことだと思います。色合いもとてもおしゃれですよね。
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↑こういったシンプルな配色のものも。
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↑こちらは、ネクタイ。本当に私の写真が下手でごめんなさい。お品を一点一て見て頂くと、とてもセンスの良い配色だということが分かると思います。締めた状態は、先ほど挙げたパンフレットの写真でご確認くださいね。

さて、ここからは女子の皆様必見。組紐を応用したアクセサリーです。写真が3枚続きます↓
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二つ対になっているものは、イアリング。一つのものはブローチ。手のマネキンに掛けてあるものが、バングルです。それぞれ、「安田組」「高麗組」「唐組」という、千年以上の歴史を有する伝統的な組み方で、でも、そういう歴史の話なんか、着る人にとってはぶっちゃけて言えばどうでもいいと言えばいい。直感で「かわいい!」と思えることが大事で、正にそういうお品ばかり。私は、これを応用して「ゼヒ帯留にもして頂いたらめっちゃくちゃかわいいのすが‥!」と思い、早速「道明」の皆様に意見としてお伝えしてみました。商品化されたらいいナ~。
もちろん、イアリングやバングルなど、洋風アクセサリとしても本当に素敵ですよね。全て1万円台~3万円台までですから、その価値に比べて決して高くないと思います。プレゼントにも良さそうです。

そして、これらのお品をデザインされた、デザイナーさんのお写真も撮らせて頂きました。イアリングをなさっています↓
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うっかりお名前を伺うのを忘れてしまったのですが、ヴィヴィアン・ウェストウッド(アナ・スイだったかも…すみません)などの有名メゾンでデザインをされていたキャリアをお持ちということで、「道明」の組紐から本当にクリエイティブに発想されて、「DOMYO」をデザインされた、ということになります。
実際につけていらっしゃるご様子も素敵ですよね。
こちらの展示会は、青山の小原流会館地下1階「利菴ART’S COLLECTION」で20日(月)まで開催されていますので、是非皆様足をお運びください。

            *

蛇足ですが、今日の私のコーディネイトはこちらです↓
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バックに写っているのは、「道明」製のタペストリ。こちらは「一間組」という組み方で組まれています。素敵ですよね~。
私のおきものは、「しょうざん」製。紬の訪問着です。地紋に水色で「氷割れ」文様を染め、同じ水色の「流水取り」の中に、黒で草花模様を染めている凝ったもの。いかにも「しょうざん」らしい模様ですよね。
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↑帯に寄ったのがこちらの写真なのですが‥
実は今日のコーディネイト、ちょっと着付けを失敗したなと思っています。上の寄りの写真で見て頂くと分かるのですが、この帯は、金色の部分と紺色の部分があり、紺色の地の部分は紬製。こちらの部分をもっと出して、金色の部分を、そう全体の3分の1くらいにどちらかに寄せた方が、調和の取れたコーデになったと思います。
うーん、悔しい。またその着方でリベンジしたいと思います。
帯〆は、もちろん「道明」の笹浪組紫ぼかし。帯揚げは、前回の日記でしているのと同じ、古布を帯揚げに応用したものです。

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創業1652年。かれこれ362年もの歴史を誇る老舗が、新しいラインを出す。この冒険心は、けれど、決して初めてのことではないことを、今夜、しみじみと思いました。
私は、昨年、「美しいキモノ」冬号で帯〆特集を担当した際、一生懸命帯〆と組紐の歴史を勉強し、また、道明三保子先生にも組紐に関するたくさんの知識を教えて頂きましたが、その中で深く感動を覚えたことは、江戸から明治へ、という大転換期に、道明が勇気を持って変革の道を歩んだ、という事実でした。
先生によれば、何かと言うと番付を作ることが好きだった江戸時代の人々は、「組紐商番付」も出しており、そこにはもちろん「道明」も載っているのですが、横綱ではないのだそうです。けれど、今、その横綱の組紐商は消滅してしまい、名前すら全く知られていません。もっと悲しいことに、その卓越した技術も何も伝わっていないのです。
それでは、何故「道明」が生き残れたのか。
そもそも江戸時代には今のような帯〆はなく、しごき(今の腰紐に近い紐)などを使い、帯を結んでいました。その頃の組紐商は帯〆は組まず、武士の刀に下げる「下げ緒」が一番の収入源。他に、様々な箱類などに締める紐を組んでいたのです。
けれど明治の世になり、武士は消滅。廃刀令が出たのですから、当然下げ緒の需要はなくなります。このままでは収入の道が‥という時、当時の財界茶人・益田鈍翁などの薦めで組紐を帯〆にしてみたらどうだろう、という話が持ち上がり、それに応えたのが「道明」でした。

ここからは私の想像ですが、恐らく当時、他の組紐商も帯〆に組んでみることを考えたのではないかと思います。けれど、「私らはれっきとした武士の刀の一部分を担って来たんだ。そんな、女の腹を巻く紐なんか組めるか!」――そう思った組紐商も多かったのではないでしょうか。
そして、そう考えた組紐商は、歴史の渦の彼方へ消えて行ってしまったのではないか。私はそんな挿話を想像しています。
けれど「道明」は帯〆、やってみるか、と変革の方へ足を踏み出した。
そのおかげで今、我たちは、飛鳥時代以来伝わる組みの技術を着付に必ず必要な小物として、身につけ、その美しさを愛でることが出来るのです。この変革は、決して、伝統の歪曲ではなかったと私は思います。勇気を持って新しい「場」を開拓し、「時代の空気を読んだ」からこそ、古き良きものが残せたのだ、と。

道明の現在の若社長がどのようなお考えから今回のラインを作られたのか、今日はレセプションの会場でしたから深くお話は出来なかったので分かりませんが、期せずして、祖先と同じ変革の道を歩まれていることに、やはり「老舗の血」というものを感じました。
老舗は、ただ歴史に固執するから老舗なのではないと私は思います。変革を恐れない、その勇気が屋号を継続させる。老舗とは、「残り続ける」こととは、常に変革を続ける存在であるなのだと私は感じています。
アルファベットの「DOMYO」が、これから洋装の世界へと、そしてグローバルな市場へと雄飛して日本の卓越した組紐技術を広く伝え、残し続けることを、「道明」のために深く念じます。そして、きものを深く深く愛する一きものファンとして、日本の染織技術が絶えず変革と継承を続けて行くことを、心より願ってやみません。
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「蝶」の字をデザインした楽しい帯に紅花紬で、美しいキモノ・アカデミーへ 2015/04/13



先週末は、雑誌「美しいキモノ」が主催する染織文化講座「美しいキモノ・アカデミー」で、からむし(苧麻)の糸作り体験に参加しました。

きものが好きで、あれこれ反物に触ったり織りや染めの歴史について資料を読んだりしていると、時々、しみじみと感動してしまうことがあります。非常に根本的な感動なのですが、植物の茎から糸を取ろうと思った古代の人々って、何てすごいのだろう、と。
他の哺乳動物と違って、我々人類は体毛が異常に薄く、冬場が寒くて寒くてたまらない。恐らく命を落とす大きな原因の一つだったのではないかと思います。その冬を乗り切りたい、命をつなぎたい、という思いが、人間を、植物の茎やつるをはぎ、中から繊維を取り出すという考えへと導いたのでしょう。当時の人々にとって、現在のコンピューターやロケットに匹敵する技術革新だったのだと思います。
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↑そんな植物繊維の一つ、からむしは、伝統的に福島の奥会津地方で盛んに栽培され、越後上布や小千谷縮へと織られる麻糸の一つです。今回の「美しいキモノ・アカデミー」では、一時限目が講義。からむしの栽培の歴史、実際の栽培法、そして、皮をはいで繊維を取り出す「苧引き(おびき)」という作業についてなど、学びました。講師はからむしの産地・昭和村から来られた、奥会津昭和村振興公社の渡辺さんです。渡辺さんご自身もからむし畑をお持ちでの「からむし農家」さんです。
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↑苧引きを終えた糸は等級に分けられ、越後などに出荷されます。上の写真は、その中でも最上級のもの。きらきらと輝くようで、そして、どこにも傷んだ箇所がなく、すっきりとしています。
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↑1時限目終了後は、一旦休憩。
毎回楽しみな、両口屋是清の上生菓子を、他の受講者の皆さんと頂きました。
今回は、右に桜、左に柳をイメージしたお菓子。正に今の季節のお菓子ですね。お茶は、両口屋さんが新たに開発したという、八女茶。どちらも美味でございました。

さて、2限目は実習です。先ほどの写真でもお分かり頂けた通り、苧引きを終えた状態はまだまだ太く、これでは緻密な織物を作ることが出来ません。ここから更に細く裂き、更に機にかけられるように、裂いた糸の一本ずつをつないで行く作業「苧績み(おうみ)」をしなければなりません。実習では、この「苧績み」を体験しました。
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↑写真は、講師として指導くださった先生。「織姫制度」という制度を利用して、実際に昭和村に住み、布を織っている若手の方々が指導してくださいました。
写真は、糸を裂く時の手つき。裂いた糸を次々と指に掛けて行く、その決まりの手つきがあるのです。この後、糸と糸とをつなぐ作業にかかりますが、その時にもまた別の決まった手つきがあります。長い時間をかけて編み出されたものなのでしょうね。
実は先週は、また別の植物布「大麻布」の苧績み体験が伊勢丹で行われていたので参加したのですが、績み方はからむしとは若干異なっていました。けれど、ベースになっている考え方は同じです。「糸同士を、撚りながらつなぐ」。はるかはるか昔の祖先たちは、まず植物の皮をはいで繊維を取り出すことを考え出し、そして、身体を覆えるだけの面積の布を織るために、その繊維をつないで行く方法をも考え出したという訳ですね。
その原理を自分の手で知ることが出来た素晴らしい体験でした!
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↑講座終了後、会場内に展示されていたからむし織の反物の前でパチリ(講義終了直後で口紅全部落ちしていてお見苦しいですが‥)。奥会津のからむし糸の多くは越後へと出荷されて越後上布などに織られますが、地元に残しているものもあり、「からむし織:が織られています。肌につかず、涼しそう。デザインも素敵でほしくなりますね。
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↑私のコーディネイトは‥
きものが、「新田」の紅花紬。紅色で有名な紅花染めですが、黄色も出ることは、きもの好きの皆さんは良くご存知かと思います。その黄色を中心に、紅色や他の草木染の糸などを混ぜてランダムな淡い格子を織り出したものです。
帯は、私の祖母が染めたもの。帯〆がかかっていて若干分かりにくいのですが、漢字の「蝶」の字をデザインしています。
そして、お太鼓がこちら↓
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前帯はシンプルですが、後ろはこんな風に蝶尽くし。前と同様の漢字の「蝶」もあれば蝶の絵もあり、そして、「てふてふ」とひらがなも書いてあります。祖母が楽しんで描いていた姿が目に浮かぶようです。センスいいな~と大好きな帯。
帯〆は、組紐を学んでいる友人に頂いたもの。淡いオレンジ色の笹波組は、出過ぎず地味過ぎず絶妙の存在感が良いですよね。
帯揚げは、古布を帯揚げとして使っています。

実は、不器用さなら誰にも劣らない私、規定時間内に頂いた分量の苧績みが終わらずまだまだ残っているので、原稿書きに煮詰まった時などにつないでみようかなと思っています。そういう時はめちゃくちゃ熱中してしまいそうです!
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廣瀬雄一さんの江戸小紋をあつらえに 2015/04/03



 今日は強風吹きすさぶ中、母と二人、江戸小紋染め師・廣瀬雄一さんのお宅を訪ねていました。お喋りをしに‥出掛けた訳ではなく、もちろん、廣瀬さんのお作のあつらえの相談に伺ったのです。
 昨年秋発売の雑誌、「いろはにキモノ」。私が、廣瀬さんの制作哲学と作品をご紹介する6ページの特集記事「江戸小紋新時代 廣瀬雄一」を担当したその誌面を見て、母が、
「記念に、この方の江戸小紋を我が家でも作りましょう!」
と嬉し過ぎる提案を。ところがなかなか、廣瀬さん、母、私三人の日程が合わず、やっと今日実現の運びとなったのでした。
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 さてさて、上の写真が、廣瀬家での相談中の様子です。母は写真に写りたくないというので、私と廣瀬さんだけでパチリ。
 客間に、たくさんの新作反物と“刷り絵帳”という刷り見本の紙を束ねた冊子を準備して頂き、三人で侃侃諤諤と「この一枚」を選んだ午後でした。

こちらは、既に染め上がっている生地の見本たち↓
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刷り絵帳はこんなに大量!でもこれは廣瀬家型紙コレクションのまだまだ一部に過ぎません↓
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気に入った型の刷り絵を床に並べて遠くから眺め、きものになった様子を想像したり‥↓
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色見本を見てまたまた出来上がりの色を想像したり…↓
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‥などということを繰り返すこと3時間。遂に、「この一枚」が決まったのですが‥まだお見せすることは出来ません。
 実は、我々親子、廣瀬家訪問の前は、「中型」と言われるやや大きめの柄の型の中から染めてもらおうと考えていました。
「いろは」の廣瀬さん特集でも中型を2点紹介しましたが、廣瀬家の型紙コレクションの中に多数存在する、大正~昭和にかけて彫られた中型の型紙には、非常に特徴的な粋な美意識と強い躍動感があり、「ゼヒ中型で染めて頂きたい!」という思いを持っていたのです。
‥が、結局二転三転の後に選んだのは、「ザ・江戸小紋」とも言うべき、極小の美を追求した作品でした。周囲の友人知人に「今度廣瀬さんの小紋作るんです~敢えて中型にするつもりです~」と散々言いまくったのに、「全然違うじゃん!」と笑われそうですが、とてもとても素敵な反物を、
「そうだ、これ、新作なんですよ‥」
と見せて頂き、見事に転びました!笑
 いや、お金が無尽蔵にあるなら中型でほしい作品もたくさんあり、実は最後の最後まで迷ったもう一枚は中型のものだったのですが‥またお金を貯めて、中型くんもいつかお迎え出来るよう、仕事に励みたいと思います。
 さてさて我が家にお迎えすることになったその反物は、結局、色も廣瀬さんが現在染めているこの色で行くのが一番良いということになり、そのままお持ち帰り。この箱の中に入っているのですが‥↓
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 秋以降、仕立て上がってからお見せしたいと思います。
 もちろん、廣瀬さんの江戸小紋ですから、古典を踏まえた上で現代の感覚を併せ持っている、とてつもなくとてつもなく素敵な「廣瀬江戸小紋」です。もう、家に帰ってから何回も鏡に当ててにっこにこしていますが、お披露目はもう少し先に…新作中の新作、私が日本で(つまり世界で)初めて着ることになる廣瀬小紋です☆
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桜の江戸小紋に、羽織からリメイクした絞りの帯で 2015/04/01



 毎年日本人が楽しみに待つ、桜の花。この間の週末は正にほぼ満開を迎えようとする頃で、そんな中、外出に極小の桜柄の江戸小紋で出かけたのでコーディネイトご紹介のブログです。
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 上の写真で私が着ているのが、その江戸小紋。先ほど定規で計ってみましたが、長さほぼ1ミリの桜の花びらが無数とも言えるほど散りばめられています。正に技術の極地。型紙に彫るのも、しっかりと模様が出るよう染めるのも、熟練した職人技がなければ不可能なことですよね。彫った方の名前は分からないのですが、染めたのは、江戸小紋の伝統工芸士、金田昇(二代目)さんです。
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↑こちらの写真は、床置きした後、裾を折り返して八掛が見えるようにしてみたものです。八掛にはもっとずっと大きな桜の柄が染められていて、ちらり、と見える仕掛け。裏地まで含めたこんな演出は、正に江戸時代に発達した日本独特のいきの美意識ですよね。
      
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↑さて、そんな桜柄のきもの、とても地味な黒地なので、帯に桜の花の色の一本を締めてみました。
 この帯、実は元は総絞り柄の羽織でした。祖母からの伝わりものだったのですが、経年のしみが出ている部分もあり、思い切って帯に作り変えることにしたのです。ちょうど袖の部分に竪筋に柄が入っていた部分が、前帯の下半分に出るように仕立て変えています。まるで元からこのデザインで絞った帯のように見えませんか?いつもお世話になっている渋谷の和裁所「プロきものスクール」の海老原校長先生にご相談して仕立て変えて頂きました。もう、大のお気に入りの一本になりました!
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↑こちらの写真、右に一名加わって写っているのが、その、エビ先生こと海老原美智子先生です。前回の日記にもご登場頂いていたので、覚えていらっしゃる方も多いでしょうか。
 そのエビ先生のおきもの、何だか不思議なことがいっぱいあると思いませんか?よく見ると衿の辺りにファスナーがついているし、柄も、南国の椰子か何かの木???
 実は、このおきもの、下の郷ひろみさんの衣装をきもの化したものなのだそうです↓
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 エビ先生は大の郷ひろみファンで、毎年のコンサートに「郷さんの衣装のきもの版」で現れることで、郷さんファンの間ではつとに有名なのだとか。和裁も名人になると、こんなすごいことが出来てしまうんですね‥!郷さんもきっとステージ上から気づいているのではないかと思います。

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 この日は、プロきものスクールの修了式を原宿のレストランで行い、その後、渋谷の教室に戻って、来週、ご著書「いちばんやさしい和裁の基本」(4月7日発売・DVD付き)が発売となる前校長の松井扶江先生を囲み、皆さんでわいわいお食事をしていらっしゃいました。私もそこに混ぜて頂いた、という次第です。
 松井先生は、修了式から回られたので、竹の柄の訪問着をお召しでした(お膝にはハンカチを載せられています)。
 私は以前、「江戸着物ファッションショー」というきものイベントを企画制作した際に、先生に一本江戸時代の特殊な帯の再現制作をお願いしたことから、ご縁を頂きました。まだまだ「女は家庭に」だった時代に、和裁士として一本立ち。そして自らの和裁所兼和裁スクールを立ち上げた先生。でもとってもかわいらしい先生なんです。
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 まだ発売前だけどチラ見せ。先生のご本はこちらです↑
 懇切丁寧に、運針から始まって、単衣の縫い方までを解説してくださっています。他に、嘘つき襦袢の袖の付け替えや、お直しの縫い方についても!7日発売の予定とのことですので、ゼヒ皆様もお手に取ってみてくださいね。不器用ナンバー1の私も、お直しくらいまでなら自分で、この本で学ぼうと思っています☆
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awai 紅子さんの旅立ちに寄せて(紅子さん、私、エビ先生のコーディネイト写真付き!) 2015/03/24



 今月の初め、東京のきもの好きの間には驚きのニュースが走ったかと思います。六本木の人気ショップawaiの女将・紅子さんが、3月30日をもって「awaiを卒業します」と発表されたのですから‥

 実はその少し前、偶然某所でお会いした折に、紅子さんからこの卒業のことをお聞きしていました。その瞬間、まず思ったのは――紅子さん、ごめんなさい――「り、離婚‥?」。
 私のブログはきもの好き以外の方も読んでくださっているので少しだけご説明すると、「awai」さんは、博多の老舗帯織り元「岡野」さんが経営するきものショップで、洋服が中心となった現代のライフスタイルからつかず離れずした、絶妙の都会的なきものスタイルを打ち出されています。
 支配人の木下勝博さんと女将の紅子さんは、ご夫婦。365日きもので生活されているおしどり夫婦として、きもの好きの間ではつとに有名なのです。

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 ‥と、そんな訳なので、紅子さんがawaiを離れると聞いて、まず離婚、という不穏な発想をしてしまったのですが、と言うのも、紅子さんが「きものそのもの」から離れるとは考えられないし、何しろ紅子さんはその美しさと着こなしでawaiスタイルを体現する存在だったので、籍を離れるとしたら離婚しかないのでは?と思ってしまったのでした。

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 けれど、少しお話を伺うと、紅子さんの決意はもっともっと深い思いに根差すものだということが分かりました。それを一行で書くと、「きものへの理解をもっと深める。そのための時間を作るため」。
 もちろん日々きもので生活されて日々商品に触れ、お客様の相談に乗っていらっしゃる生活であれば、知らず知らずのうちに織り・染めへの知識は深まって行くものと思います。けれど、それ以上にもっと深く、もっと体系的に、きものについて、日本の染織について、学びたいという思いが強くなったのだと紅子さんは話して下さいました。
 もう既に学校に申し込みをされているとのことで、和裁に始まりめいっぱい学ぶ日々が、4月からは始まるのだということでした。
 そしてもちろん、ただ学んで終わり…ではなく、いつの日かまたawaiに戻られるのか、或いはフリーで活動されるのか、それは今の段階ではまだ分からないけれど、必ずバージョンアップした紅子さんとして、きものに一生関わって行く。そんなひたむきな決心がひしひしと伝わって来て、思わず私は泣きそうになってしまったのでした。
     
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 思えば、紅子さんと初めてお話をしたのは、2年前の夏のことでした。雑誌『いろはにキモノ』の「人気きものショップ店員さんの1weekコーディネイト」に紅子さんにご登場頂くことになり、私がそのページを担当したことがきっかけです。
 ここで一つぶっちゃけ話をしてしまいますが、――だって。ブログはきれいごとばかり書いていても面白くありませんからね~――正直な話、この取材に行く前、私は「awaiか~行きたくないな~でも仕事だから仕方がない」と一人ぶーたれていました。
 それは何故かと言えば、私は、母方の家系が金沢の出で、きものの取り合わせの好みにもその影響があるため、また、家系とは関係なく個人的にとにかく「色をまとうこと」が好きで、例えば会社員時代にはいつも違う色のワンピースを着て通勤していたため、「マヤさんて、ほんとに全ての色を着ますよね」としみじみと受付嬢に声を掛けられたほど、様々な色をまとうことが好きであるため‥
 …そんな私にとって、awaiさんのようなシンプルでクールな配色、シンプルなきものスタイルは、ちょっと自分の本筋の好みとは違う。別に違っていても全く構わないのですが、もしかしたらawaiさんは、ご自身の打ち出されているスタイル以外は全て古くさい、ダサいと見下すような、そんなところがあるのではないかしらと危惧していたのでした(だって世の中時々そういう方がいますから)。
 そんな訳で取材当日は、「は~何か行きたくないな~でも仕事だし‥。編集会議で、東京スタイルを体現する存在として、awaiさんにはゼヒ出て頂かなきゃ、って決まったしな~」と自分にびしびしと鞭を打ちつつ、家を出たのでした。

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 ‥と、かなりぶっちゃけトークですね。
 けれど私のそんな危惧は、あっと言う間に杞憂に変わりました。
 当日は、紅子さんが1コーディネイトを着用されて撮影が終わると、すぐ次のコーディネイトへと着替えに入ります。誠にあわただしく大変な大変な撮影なのですが、その着替えの間、私やカメラマンは待ち時間となります。7コーディネイトを披露頂く訳ですから、6回待ち時間が来るのですが、その間、現場に立ち会われていた旦那様の木下支配人に、詳しくお店の理念についてお聞きする時間がありました。
 私が一番驚いたのは、
「僕らは別に、自分たちのスタイルだけが総てと思っている訳じゃないんですよ」
 という言葉でした。
 自分たちがこれが良いと思うスタイルはもちろんあるけれど、例えば、awaiの常連のお客様だって、基本はawaiスタイル、だけど、時にぱっと派手・華やかな一枚がほしい、という時もある。そんな時に自信を持って、「じゃあ、***がいいですよ」と、「僕らが自信を持ってご紹介出来るような、そんなお店がどんどん出て来たらいいと思っています」と仰っていて、何て真っ当で、何て本当の意味で信念のある考え方だろうと、その瞬間、ああ、この人たち、私は好きだなと思ったのでした。
 もちろん、私だって、awaiさんのようなシック、クールな世界観で過ごしたい日もあります。そして、色々なスタイルの選択肢があることが、きものがこれからも未来永劫続いて行くために必要だと思っています。awaiはそういうことを総て含んだ上でのawaiスタイル、なのでした。

          *

 ‥と、そんな風に、一気にawaiさんファンになった私は、その後も折に触れて木下さん、紅子さんご夫婦にお会いし、楽しく会話を交わすことがありました。
 そんな中で、昨年秋の終わり、紅子さんと、それから、和裁所の「プロきものスクール」代表の海老原美智子先生略してエビ先生と、それから「プロきもの」の和裁士でawaiの常連さんであるAさんの四人で女子会をした日のお写真を、紅子さん卒業記念?に今日は掲載したいと思います!
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↑女子会出発前に、awaiの店内で撮ったものです。
 紅子さんは墨黒と鼠色で大きな縦縞になっているおきもの姿、シックで本当にお似合いですね。渋好みの江戸後期の女性がタイムスリップしてこちらのお着物を見たら、ほしい!と言う気がします♪
 私は、祖母から伝わっているほっこり焦げ茶の色無地結城に、これも祖母から伝わっている、織りで更紗風文様を織り出した、たぶん紹巴織りの帯(紹巴かどうか確かめようと思って放置しています‥)。
 私の左が、エビ先生。鮮やかな紫の色無地に、黒地のawaiさんの博多帯、awaiさんの帯〆。こちらのコーディネイトもきりっと楽しいスタイルですね♪
 そして、一番右が、Aさん…ではなく、Aさんはお写真出しNGなので、木下支配人。でも木下さんは女子ではないので女子会はお休みでした♪
 それから、皆さん私の帯留が大きくて気になると思いますので、寄ったものを↓
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こちらも祖母からの伝わりもので、木彫で、向かい合った獅子をデザインして。帯〆部分とセットになったもので、かなりの迫力。牡丹の帯に合わせるのも良いかも知れないですね。

          *

 そして、今日の日記の最後に、紅子さん、女将として走って来た7年間、本当にお疲れ様でした。すぐに学生生活が始まって、週5日めいっぱいとおっしゃっていたので「ゆっくり英気を養ってね」ではなく、また違った速度で走りながら、英気を養って行くのだと思います。これからの紅子さんが本当に楽しみ。ずっと応援させてくださいね。そして、また時々女子会、行きましょう!
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旧友と和食レストランでお食事‥に桜を意識したきものコーデで 2015/03/22



 昨夜は十年来の旧友であるライター/人気ブロガーのきたもとゆうこちゃん、愛称きたもっちと、東京駅からほど近い和食レストランへ食事に行きました。もちろん、私はきもの着用です!
*きたもとゆうこちゃんのブログはこちらから↓
http://kitamocchi.jugem.jp/

 さてさて、場所は、八重洲北口から3分程のホテル「龍名館」の15階にある、「花ごよみ」。
 「龍名館」は明治32年にお茶の水で創業とのことで、100年以上の歴史を持っていることになります。現在もお茶の水にホテルを構えつつ、5年前に東京駅前のこちらをオープンされたとのこと。
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 上の写真は、レストランすぐ横のロビーにて。ここからも、そしてレストラン内からも、東京駅周辺の再開発成った新しいビル群、摩天楼の夜景を見ることが出来ました。
 私のきものは、ピンクや藤色、白のぼかし柄。桜の花のイメージで選びました。そして帯は、桜柄の名古屋帯で↓
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 こちらの帯は、二つ前の日記で締めていたものと同じもの。控えめに桜の柄を出し、きもののピンクと両方で桜のイメージ‥を意図してみたコーディネイトです。
 帯〆は、「道明」の笹浪組紫ぼかし。帯揚げは、立涌柄の古布を帯揚げとして使ってみたものです。昨年、「いろはにキモノ」で「銀座 かわの屋」さんの1weekコーディネイトを取材した際、古布を帯揚げに使われていて素敵だったのを、真似してみました(≧▽≦)
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↑「花ごよみ」では、12月から初夏の頃までの限定で、「梅酒バー」というサービスを開催していました。(上の写真がそのメニューの一部です)
 梅の名産地である和歌山の梅酒酒造「中野BC」と提携して、28種類もの梅酒が飲み放題(2500円)。賞を獲得した伝統的な梅酒から、果実とミックスしたもの、そして泡盛とミックスしたものもあって、甘くない梅酒も。
 二人で合計10種類ほど頼んで飲み比べましたが、どれも本当に美味しかったのでした。
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↑こちらの写真は、2014年、つまり昨年ものの梅酒(左)と、5年ものの熟成もの(右)。5年物はやはり濃厚。どちらも美味しゅうございました。紀州みかんとのミックスも甘過ぎず、とても気に入りました!
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↑私は山形牛のコースを頼んだので、こんな朴葉焼きも堪能。

 そして、きたもっちはファッションやスイーツを中心に流行情報を発信するライターさんなので、色々質問して流行情報教えてもらったり、同業同士、近況報告と将来展望、そして噂話も少し。むふふ。
 先週は、前半が某誌の原稿書き、水曜日に大きな取材があり、後半は入稿作業で大わらわ、とかなり頑張った一週間だったので、昔からの友人との食事が何よりのご褒美になりました。‥とは言うもののまた別件の原稿に追われていますが、すっかりリフレッシュして元気に臨んでおります☆
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新しく購入した桐生絞りのきもので、展示会に 2015/03/12



 昨年、暮れも押し詰まった頃のことでした。母がウキウキと帰宅して、
「今日、素敵なきもの買っちゃった♡」
 もちろん、きもののことですから、お仕立て上がり待ちでその場にものがある訳ではありません。どんなのどんなのー?と勢い込んで訊くと、
「あのねえ、水色っぽくてねえ、絞りでね、ぼわーんとしているの。とにかく個性的で、素敵なのよ~」
 と分かったような分からないような返事。ワクワクと待っているとそのきものがついに先日仕立て上って来たのでたとうを開くと‥確かに、確かに素敵でした。そしてとても個性的。
「かわいいー!ママ、センス良過ぎー!これは素敵過ぎる!」
「でしょう?私センスいいのよ」
 と、よそのお宅の方が聞いたらバカ母娘そのものの会話が続いたのですが、ふと我に返って「これはどこのおきものなのだろう?」と証紙を見た瞬間、また叫んでしまったのでした。
「泉さんのきものだー!」
「え?何?知ってる人なの?」
「知ってる!」
 そう、とてもとても驚いたことに、以前、私が敬愛する“伝説の百貨店バイヤーである私の自慢のお知り合いの素敵なおじさま”からご紹介頂いていた、桐生の「泉織物」の泉太郎さんの作品だったのでした。

          *
   
 そして、今日、その泉織物さんも参加する、業界向けの桐生の織り元さん総合の新作展示会が開かれていたので、もちろん!泉さんのおきものを着て出掛けました。そしてもちろん!泉さんのブースの前で、一緒にお写真を撮って頂いたのでした。
 じゃーん、素敵でしょう!!!(注*帯周りの寄りの写真は後に掲載します)↓
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 きもの好きの皆さんはもちろんご存知の通り、桐生は江戸時代から続く織物の一大産地。その中で泉織物は明治後期に創業され、泉さんで四代目。一番の特徴は、上質な桐生織りの生地(紬も、垂れものも、お召も)に、絶妙な色のトーンで自在な絞り模様が施されていること。“桐生絞り”として、群馬県の伝統工芸品にも指定されています。
 下の写真が我が家の購入した反物の証紙の部分なのですが‥↓
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 幾つもの技法を使ったとても複雑な絞りになっていることが分かって頂けると思います。(この写真はちょっと色が暗く出ています。本当の色は、一番上の着姿の写真の色になります)
 
 泉織物の生地と絞りの融合を追究した作品は、本当に様々な顔を持っています。上の写真で衣桁に掛かっているお着物もとても素敵ですし、同じような淡い色調で、染めと絞りを組み合わせた様々な着尺が展示されていました↓
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 そうかと思えば、下の写真の後ろに掛かっている帯地のように、シンプルな絞りで猫ちゃんを描き出したものがあったり↓
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 何とも素敵なお品の数々なのです。

          *

 ちなみに私のきものと色違いの反物も本日持って来ておられ、技法を教えて頂いてしまいました。(すぐ下の写真と併せてお読みください)
 まず、真っ白な反物にたくさんの丸をくくって、グレーの染料で染める。糸をほどくと白くぼわんとほたるのような丸が浮かび上がる訳です。
 その後で、今度はこの写真のように屏風畳みにして‥↓
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 数センチ刻みで糸を通してくくり、全体を紐に巻き付けて行くのだそうです。そしてピンク色の染料につけると、畳み込まれなかった部分だけがピンク色に染まって筋の模様になる‥という仕組みなのだとか!
 でも、よく見ると筋の模様も濃淡の二色があるので、後の工程は2回しているのだと思われ‥これはやはりかなり手が込んでいますね。作り方を知ると、ますますこのきものが愛おしくなって来るのでした。

 泉さん、ご商談の合間を縫ってご説明を頂き、本当にありがとうございました!こちらのおきもの、これからも帯を替えて、様々に着て行きたいと思います☆

           *

 今日の展示会には、桐生の他の織元さんのブースも。
 こちらは、明治3年創業の「後藤」さん。一番手前に飾られているのは、憧れの!丸帯です↓
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 キャー!お高そう~!「後藤」の丸帯は、先日、朝ドラの「マッサン」の結婚式の場面でも使われたのだそうです。NHK、いい帯使っているのね~↓
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 丸帯だけではなく、袋帯も半幅も、様々な帯を作られていて、私はこちらの写真右に写っている袋帯が素敵だなと思いました。名物裂の「木下金襴」を「後藤」さんの色調で織り出した格調高い一本。お茶会にぴったりじゃないでしょうか?素敵~!↓
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          *

 こちらの「井清織物(いのきよおりもの)」さんは、現代的な感覚の織りに絞った作風が特徴です。例えば下の八寸名古屋帯↓
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 経糸に、撚らずに束ねて太さを出した糸を、緯糸にもくず繭から取った糸を使ってざっくりした風合いを出しています。経糸は、束ねただけではばらばらになってしまうので、細手の絹糸で巻いているのだそう。「巻き絹」という技法です。
 唐花の模様が都会的な色調で織られていて、全体としてはとても格調高い。でも、かしこまり過ぎない。絶妙な感覚だなと思います。
 
 その他に、「大人のファブリック帯」として、新作も紹介されていました↓
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 きものが外出着の中心になって来ると、映画を観る時や打ち合わせの時など、お太鼓で長時間座るのがつらい場面では、ファブリック帯や半幅がいいなと思います。素敵なファブリック帯、どんどん作って頂きたいですね。

           *

 …と、桐生織りの新作を拝見した楽しい午後でした。
 あ、私の帯周りはこちら↓
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 帯は、塩瀬地に桜の花びらがほんの少しだけ描かれているのが分かるでしょうか、今の季節しか締められない季節ものの帯。おきもの友だちが手放されたものを、お安く譲って頂いちゃいました♡
 帯〆は、道明の藤色の冠組。
 帯揚げは、龍工房の、中心部分に卵色で絞り、茶色で筋模様を入れたもの。
 今日は何と言っても泉さんのおきもの中心。全体をシンプルにまとめて、帯揚げで少しだけアクセントを付けてみた取り合わせです。
 (何故か今日に限って反対側に結び目が出るように帯〆を結んでいるのが、自分でも謎です‥どうしてこうなったのでしょうか‥)
 
            *

 それにしても、会場では洋服生地を作っている桐生の織り元さんも多数展示をされていて、桐生は本当に織りの街なんだなということがよく分かりました。
 井清(いのきよ)さんの話では、きもの地の織り元の隣りに洋服地の織り元があって、その隣りはきものの染めだけやっていて、その隣りには反物を巻く芯を作っている工房もあって…と、街全体が本当に糸偏(いとへん)で成り立っているところなのだそうです。
 着道楽にはたまらない、夢のような街‥。桐生に行ってみたくなりました!
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伝統茶会と現代きもの (コーディネイト写真付き) 2015/02/28



何だか毎日がめったやたらと忙しく、脳みそが頭からこぼれ出そうなそうな毎日を送っているのですが、今日は少し仕事はお休みの日。お招きを頂いて築地本願寺へと、藪内流の茶会へ伺って来ました。
‥と、ここで写真を出したいところなのですが、茶会では、写真は撮れないことがほとんど。今日も携帯は茶室の外、でした。ただ、茶会後に伺った別の場所で撮った写真をこの後に掲載致しますので、良かったらご覧くださいませ。

          *

さて、藪内流のお点前を拝見するのは今日が初めてだった私。
藪内流は利休の頃のお茶を現代に最も伝えているという話を伺ったこともあり、興味津々でした。
‥そして、実際に拝見したそのお点前は、千家系とはかなり違っていて…だって、
右側に仮置きをするんですよ!!!
と、茶道をされていない方には何のことやら、というかんじだと思うのですが、大筋の流れは同じでも、所々の解釈の違いが点前の所々の違いになって現れる、そんな、他流儀のお点前を拝見する醍醐味を味わったのでした。

そしてもちろん、お茶の楽しみの大きな部分はお道具立ての妙を味わうことにある訳で、本日お席を持たれた社中の皆様の審美眼と何ともセンスの良い取り合わせにうなったのでした。
ああ、やはりお茶は楽しいです。

     *

その後、築地からほど近い銀座へと移り、十字屋ホールで開かれている志村ふくみ先生、洋子先生の展覧会へ。こちらも撮影禁止なので写真はないのですが、これまでに大きな染織展の中の一作としては何回も拝見している志村両先生の作品を、まとめて一会場で見ることで、その個性をしっかりと目に焼きつける。そんな展覧会でした。
草木の色をもらって染めている、とお二人が仰っている、その自然の色がこんなにも内側から輝いて明るく美しいのだということを、しみじみ知る展覧会でした。会期は明日までです。ゼヒ!
    
       *

そして更に丸ノ内線へ乗って、帰宅途中の新宿三丁目で途中下車。伊勢丹へ伺いました。
一昨年に取材させて以来仲良くさせて頂いているawaiさんの期間限定ショップで、まず、店主の木下さん、紅子さんと短いながらも深い話をさせて頂き、心がしゃんと引き締まる!
また茶会とは違った気分一新の時間でした。

そして、北海道から特別出店されているShi bun no Sanへご挨拶に。染織業界に共通の知人がいてお互いの存在は知っているものの会ったことはなし。いつか実際にお品物を拝見して、お話ししたいと思っていたので、ご挨拶に伺ったのでした。
その時撮ったのが下の写真です(コートの下の帯に寄った写真は更にブログ下の方に掲載しています)↓
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Shi bun no Sanは、悉皆業のお家に生まれた野口繁太郎さん(写真右)が始めたきものブランドで、デニム生地のきもの、帯、タイダイの感覚で染めた腰紐など、モダンきものラインを展開されています。
野口さんのおきもの、そして、私の左隣の茶人で「アバンギャルド茶会」を主宰されている近藤俊太郎さんのきものと袴(デニム袴!)も、もちろんshi bun no Sanのもの。もちろん、女性ものもあります。洋服のすぐお隣りの感覚で着られるきもので、とてもおしゃれです。悉皆屋さんが母体ですから、もちろん全部ご自分の所で染められています。
そんなShi bun no Sanの売り場には、たくさんの方が足を止められていて、お品も売れているようで、注目度高い!

私は、「美しいキモノ」のお仕事をさせて頂いていますし、意外!と思われるかも知れませんが、色々なきものブランドにこの世に出て来てほしいなと思っています。オーソドックスなおきものにこういった新しい感覚のブランドの帯を合わせて着てみる、なんてこともとても面白いと思いますし。
初めてお会いする野口さんは、本当に丁寧に真摯に接客されていて、その姿を、最初、飛馬の姉(古い!)のように柱の蔭から拝見していました。もちろんご本人のコーディネイトも、お品も、上のお写真でお分かり頂けるように大変おしゃれですし、きっと伸びて行かれるブランドだと思います。

最後は、上の写真ではコートを着ていたため、帰宅してから撮った帯周りの写真を↓
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きものは、何とタダで頂いてしまったもの!
いつも仲良くして頂いている渋谷の「プロきものスクール」のメンバーのお家から出たもので、サイズが小さくて着られる人がいないため私のものとなった、付け下げちゃんです♡藤色地に裾部分だけ紫に染め、全体に大きめの華紋が散っています。
そして、帯は、きもの仲間の開いたプライベートフリマで入手したもの。藍色地に落ち着いた金色の箔押し?で花柄を表していて、素敵~と一目惚れで購入して、今日がデビューでした。
帰宅後、帯を少し開いて金箔押しなのか何なのか、技法を確認してみると、どうやら箔を巻いた糸で一部を織り、その上から花の絵を描いているようです。いつか職人さんに確認してみたい!
いずれにせよ、独特のぼやけた風味が、主張の強過ぎない袋帯になっていてとても気に入っている帯です。友人に感謝!
帯揚げは、薄紫の梅地紋の綸子。
帯〆は、藤色、水色、紫に段染めした道明の冠組です。

‥と、三カ所を回って充実の一日でした。
2月はひたすら家で資料を読んで→原稿を書く月だったのですが、明日から始まる3月は、インタビューと取材で毎日のように駆け回ることになりそうです。その前にお茶で体を清められて良かった!
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総絞りのきもので歌舞伎座へ 2015/02/10



昨日は友人と歌舞伎座へ行って来ました(夜の部です)。
↓開演前の歌舞伎座のにぎわい。ここに立つだけで気分が高揚しますね。
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コートは、今年母が新調したものを借りました。アルパカ製で暖かい!首周りだけ薄手のショールなどを入れることもあります。

↓きものコーディネイトは、こちらの写真で。役者さんや演目にちなんで、ということは何もなく、着たいものを着ました~。きものは、明るい緑色の総絞り。絞りの種類は疋田三浦絞りです。
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↓下の写真では、帯周りに寄ってみました。勝山織物の葵文様名古屋帯に、道明の笹浪組紫ぼかし。帯揚げは、紺色の麻の葉文様地紋‥なのですが、地紋は見えないでしょうか。
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↑昨日の演目はこちら。菊之助さん、吉右衛門さん、梅枝さん、素敵でした♪
三幕目の河竹黙阿弥作「水天宮利生深川 筆屋幸兵衛」、明治維新で落ちぶれた謹厳・清廉な元武士(幸四郎さん。ぴったりのイメージ!)が、困窮の末に発狂して、踊り出したり、禿げ頭の大家さんの頭を叩いたり…の滑稽な演技がかなり面白かったです。
そして、一幕目は源平合戦もので、平安武士の鎧兜を見ると、あの下げ緒の紐は高麗組?いや、随分厚みがあるから亀甲組かしら?おおっ、総角が堂々と美しい!そうそう、鎧には組紐が使われているんだよね‥と、秋に「美しいキモノ」の帯〆特集のために勉強した様々な組紐知識が蘇り、ついつい紐類を凝視してしまうのでした!
それにしても、やはり歌舞伎は本当に楽しいです。誘ってくれた友人に感謝♪

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新しい半幅帯で針供養に…が、ちょっとハプニング! 2015/02/09



昨日、二月八日は針供養の日。
折れてしまったり曲がってしまったり、はたまた錆びてしまった針とお別れをして、感謝の供養をするうるわしい伝統行事の日。
いつもお世話になっている渋谷の和裁所兼和裁学校「プロきものスクール」の皆様にお誘いを頂き、新宿の正受院へ、針供養に行って来ました。
‥と言っても私など、半衿付けと取れてしまったボタン付けくらいしかしないのですが、何しろ我が家は針供養に参加したことが一度もないため、現在の家に引っ越してから42年、ひたすら針がたまっています。その総て、30本くらいあったでしょうか、一気に供養に出すことにしたのでした!

           *

さて、針供養の現場の様子はこんなかんじです↓
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本堂の中で住職様がお経を上げ、供養が行われている間、私たちは外で聞いています。この後生憎大雨が降って来てしまったのですが、甘酒が振る舞われていたので少し寒さを解消出来ました。
針供養では、お豆腐にお別れする針を刺しますが、全ての方の針を刺すと何個豆腐が必要になるか分かりませんから、一人一本だけ。他の針は、下の写真のように大きな箱に回収して頂きます。
さようなら、我が家の針たち!↓
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そして、一本、代表の針をお豆腐に刺しました。何だかかわいらしいですよね↓
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お堂の中では読経が行われています。左側に、和裁を学んでいる若い女性たちが巫女姿で控えています。この後、夜叉王が針を土の中の甕に埋める儀式や、巫女さんたちの可憐なお神輿行列が境内で行われる予定だったのですが、我々は寒さと雨に待つのがつらく、ここで退却しました。また別の年に(10本くらいたまったら‥)来たいと思います。

            *

私のきものはこんなかんじ↓
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プロきものスクールで仕立てて頂いた備後絣に、こちらも、プロきものスクールで仕立てて頂いた半幅帯。実は、道行コートを作った際に大分端尺が出たので、半幅にして頂きました。
そして、不器用なためいつも超~簡単なカルタ結びしかしていない私なのですが、きものショップ「くるり」さんより新しい帯結びの本「着物の楽しみが広がる 帯結びアレンジ帖」を頂いたので‥
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前からしてみたかった吉弥結びにチャレンジしてみることにしました。上の写真、やる気満々に付箋が入っているのが見えるでしょうか笑
そして結果は‥↓
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初めてにしてはまずまずの出来‥ん‥?でも、何かが違和感‥!?
そう、何と、逆に結んでしまっているのです!!!
一般的な吉弥結びはご本の中の例のこちらのように↓
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ああ、ここでもまた私の不器用ぶりと、空間把握が苦手で右・左もよく混乱する大ウィークポイント、と言うよりうざい弱点が露呈してしまいました。本を見ながら鏡に自分を写して結んでいる間に、右左がごちゃごちゃになってしまったのでした‥
でも、それさえ気をつければきっと出来るはず。またチャレンジします!

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「美しいキモノ」の道明講座見学レポート(コーディネイト写真付) 2015/01/25



昨日は「美しいキモノ・アカデミー」の第4回、組紐の名門「道明」を大フィーチャーした講座を見学してまいりましたので、レポート日記をお送りします。
現在発売中の冬号にて、私が担当させて頂いた「帯〆BOOK」ページの情報を、より深め、また、自分の手で実践してしまおう=つまり、道明の糸で根付紐を作っちゃおう!という内容の今回の講座。何と、定員の倍の申し込みがあったとのことで、本当は私も根付紐作りに参加したかったのですが、もちろん読者様が優先!と、泣く泣く見学と、そして撤収などのお手伝いに回った次第です。

さて、そんな道明講座、1限目はまず、服飾史研究家であり道明会長夫人であられる道明三保子先生による、「帯〆の歴史」講義。
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たっぷり1時間半、古代から現代にいたる組紐と帯〆の歴史をお話し頂きました。
先生が文化学園大学で教鞭を執っておられた時のご専門は、中央アジア―東南アジア―中国・韓国―日本、このアジア全域にまたがる染織技術の伝播・連環のご研究。
その幅広いご見識から、組紐の代表的な組み方がどこで生まれ、どこを伝わって古代の日本へと入り、そして、日本人が得意のガラパゴス化(もちろん、いい意味で言っています)を行ってスーパー精緻な組紐文化へと発展させたか‥その流れがよく見えて来る大充実のご講義でした。
これを拝聴出来ただけでももうものすごく贅沢な時間だったと思います。

会場には、道明が手がけた日本の歴史的名品組紐の復刻作も展示。講義の内容を目で確認することが出来ました↓
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             *

そして2限目は、いよいよ道明の糸で根付紐を作る実践講座。直前、台(丸台)にセットされた糸の写真がこちらです。糸の色は貝紫系↓
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こちらが、青緑系↓
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参加者の皆さんの期待が高まります!

いざ作業が始まると、皆さん真剣。道明では、本格的に組紐を学ぶ組紐教室を主宰されていて、現在四百人もの生徒さんが通われているということですが、その講師陣の先生が四名、今回の指導をしてくださいました。
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その講師の先生方の他に、道明先生ご自身も組紐をお組みになるため、直接ご指導を頂ける贅沢さ。先生のおきものは、江戸時代までの古来の大島を復興させた復刻大島紬の訪問着。そういった糸の面白さだけではなく、柄行きもとても素敵でした♪
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↓更に、一昨年社長に就任された道明葵一郎さんからもご指導が!
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↓更に更に、葵一郎さんの奥様であられるえり若奥様からのご指導も!えりさんの梅柄のおきもの、新春らしくて素敵ですね。
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↓こちらは参加者のお一人。カメラを向けたので微笑んでくださいましたが、その他の時間は真剣そのもの。こんな風に、ご指導を頂きながらも、もちろん自分の手でしっかり組んで行きます。
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↓休憩時間には嬉しいおまけが!「両口屋是清」製の上生菓子です。
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両口屋のご担当者さんとお話ししたところ、今回の「組紐」というテーマに対して、朱と白、二本の糸で組み上げる、そんなイメージで創作されたとのことでした。
私は見学者ですので頂きませんでしたが、お味もとても美味しかったそうですよ!

↓そして‥、出来たお作を撮らせて頂きました。貝紫系の方です。
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↓合い間に、道明葵一郎社長(中)、えり若奥様(右)、そして「美しいキモノ」富川匡子編集長(左)のお三人をパチリ。
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富川編集長の帯〆はもちろん道明製。奈良組「丸胡蝶」の白筋朱ぼかしを締めていらっしゃいます。先ほどの両口屋さんのお菓子も朱と白ですから、まさにこの帯〆のイメージですね。

続けてこちらの写真は、私、道明先生、えり若奥様の三人で↓
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私の帯〆は、唐組の「遠山」の緑黄、道明先生は高麗組の砂子入り段染め「唐衣」の紺茶、えり若奥様は、銘は分からないのですが、笹浪組の段染めで、更にそれぞれの段染めがぼかしになっているのでしょうか、とても凝った一本です。お高いのだろうな~。うっとり。

↓私の帯周りをアップでご紹介します。
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きものは、伝統工芸士・二代目金田昇さんの江戸小紋。極小の桜の花びらを染めた一枚ですが、なかなか皆さん桜の花びらとは気づかれないくらいに細かい花びらとなっている、いかにも江戸小紋らしい一枚です。
今日は私は見学者の脇役ですから、地味な印象の黒のきものを選び、帯だけを少し華やかにしてみました。これは、祖母が染めた型染の名古屋帯。松竹梅の歳寒三友柄は、今この時期が最もふさわしいと締めました。とても気に入っている一本です。
帯揚げは、おきもの仲間の友人が開催したフリーマーケットで買わせて頂いたもの。縮緬無地に友人が模様づけを施していて、萌黄色が顔の表情を明るく引き立ててくれます。ユキコさん、ありがとう♡
そして帯〆、よくご覧くださいませね、先ほども書きました通り、もちろん道明製の唐組、「遠山」の緑黄です。
実はこの帯〆、道明先生に頂いたもので、これからも一生、大切に締めて行きたいと思います。全く違った表情になるよう別コーディネイトも既に考えていますので、皆様良かったらまたブログを覗きに来てください!

‥とこんな風にあっと言う間に過ぎて行った道明講座。皆さん、「やっと調子がつかめて来たと思ったら、出来上がり寸法になっていたわ。もっとずっと組み続けたかった」と仰っていて、組紐の楽しさを感じられたようでした。
会場でお話をした皆様、ありがとうございました!
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忍法洋服隠れの術~~きものと洋服で全く印象が違うことについて(写真比較付) 2015/01/20



 先日、或る雑誌の取材・撮影で現場に入ったところ、編集の方から「今日の着付け師さんは**さんですよ」と告げられました。その着付け師さんとは秋にお仕事をご一緒していたので、またお会い出来る♪と嬉しく待っていると、ドアを開けて入って来られました。そこで、元気よく、
「ご無沙汰しています」
 とご挨拶すると‥何だか反応がよそよそしいのです。そそくさというかんじですぐにフィッティングのお部屋へ行かれてしまい、私はちょっと傷心。
「あ…もしかして私のこと、忘れていらっしゃる‥?まあ、私なんて大して印象も強くない人間だし、仕方ないか」
 と気を取り直し、その後、フィッティングルームで編集部の方も交えて撮影着用の帯を拝見したり、段取りなどをお話ししていたのでした。
 そうこうして3,40分程が過ぎた頃でしょうか、編集の方が所用で一瞬部屋を出て行かれ、着付け師さんと二人だけになったので、
「この間の撮影ではどうもありがとうございました」
 とお話ししてみると、
「え?え?え?あの時の?」
 とものすごくびっくりされているのです。
「洋服だと全く印象が違うから全然分からなかった‥!」

 
 そう、私、どうもきものと洋服で、わりと別人のように見た目が変わるらしいのです。
 このブログを読んでくださっている皆さんの中にもそのような方、いらっしゃるでしょうか?
 私の場合、これまでにも何回かこういうことがあって、例えば、きもの姿で数回会ったことのある年下の女の子と或る会合で偶然再会した時、あ、**ちゃんだ。また会えて嬉しい♪と手を振ると、しらーーーーっと無視。もしかして見えてなかった?ともう一度にこにこっと手を振ってもまた無視。また無視が繰り返され、「**ちゃん、マヤだよ」と言うと、「ええっ!マヤさんなんですか!!」と心底仰天していました。
 本人からするとそんなに変わっていないつもりですし、髪も一つのまとめ髪にしているのでそうヘアスタイルも違わないはずなのですが、とにかく印象ががらっと変わってしまうようです。
 試しに写真で検証してみると‥
 下の写真は、私がかつて広告代理店に勤めていた頃の洋服姿の写真です(9年前頃でしょうか)↓
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 そしてこちらがこの間の夏のきものの私↓
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 確かに我ながら大分違う気がします。まあ、洋服写真の頃は髪をちょっと茶色に染めていて、長さもショートにしていたので違うのも当然なのですが、今でも「ええっ!全然違う!」と驚かれるということは、この二枚の写真と同じくらいの別人ぶりなのかも知れません。

            *

 そんな「きものと洋服で別人」問題には、実は、一つ良いところがあります。それは、きものや和文化関係のお店などを覆面調査出来ること。
 こちらのお店に雑誌に出て頂こうか?原稿にこのことを書きたいのだけど、詳細が分からない上に諸事情でストレートに取材出来ない、でも調べたい!‥などと悩んでいる時、まずは現場に行ってみる。その時にきもの姿で行くと、残念ながらそうは広くないきもの・和文化界、SNS時代の今は、「あれ?この人って‥?」と、ばれてしまう可能性大です。実際、きものイベントなどに出掛けると、「ブログを書いているマヤさんですよね?」と声を掛けて頂けることもちらほら(ありがとうございます!)。
 でも洋服だったら‥大丈夫~。どんどん質問までしちゃったりして自由自在です。名づけて、“忍法洋服隠れの術”‥!

 という訳で、覆面で調べたいことがある時は思いっきり髪をひっ詰めてジーンズなどを履き、別人になって出没している私です。まあ、そんなことをしなくても普通にワンピースを着ていても、
「本当にまったく違うわね‥分からなかった‥(ため息)」
 と、この間の着付け師さんが後からしみじみ仰っていたので、きっと大丈夫なのでしょう。
 今日もどこかのきものショップや日本美術展覧会会場などの片隅に、ジャケットなど着て広告代理店風を装っている私がいるかも知れません‥ふふふ…どろん‥
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祖母が染めてくれた華やかな付け下げ小紋で、初釜へ 2015/01/12



この三連休は、全国のあちこちで初釜が行われているのではないかと思います。私の社中でも、昨日が初釜。特にどこかの場所を借りて行うのではなく、いつもお稽古をしている先生のご自宅での開催でした。が、何しろ初釜ですので、いつもよりぐっと華やかにして伺います。
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きものは、祖母が型染めの技法で染めた、雲地紋の光沢ある綸子地に「鶴に四季草花」模様の一方付け付け下げ小紋。蘇州刺繍の大華紋柄の袋帯で格を上げて着てみました。(後に、きものの柄に寄った写真も掲載しています)
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↑こちらは社中のお友だちと。二人とも、奇しくも小花柄に刺繡の帯というお揃い?スタイルだったのでパチリ♪
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↑こちらが、出かける前、部屋できものだけを撮ったもの。柄や地紋がよく分かるかと思います。(鶴の首部分だけ出ていなくて申し訳ありません)
祖母が染めたきものは、ほとんど総て、母と私が二人で着られるように、或いは、母のために染めたもの。この付け下げ小紋は、「まやちゃんに」と私のためだけに染めてくれたもので、しかも最晩年の頃の作であり、とても大切に思っている一枚です。
雲の地紋を活かして、その中を鶴が飛んでいる、その鶴の中に四季の草花が‥というとても凝った模様付けです。私のことを考えながら染めてくれたんだなと思うと何ともありがたく…年齢的にあと数年しか着られないと思いますが、機会を見つけて着てあげたいと思うのです。
端尺があったので、揃いの数寄屋袋も作ってみました↓
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そして、皆さん、帯の刺繍が気になると思いますので、以前、他のきものに合わせてこのブログでご紹介したときのものを載せてみます↓
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昨日の主菓子は、こちら。京都「老松」の「春慶」です。中からは上品な鶯色の餡が‥春らしく、また、お味も正にほっぺたが落ちそうな素晴らしいものでした。
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初炭、点心、濃茶、後炭、薄茶…の後は、先生が準備して下さったお楽しみ抽選会。
あみだくじを引いて私の所に来た番号は、十一番↓
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みんな次々と開けて行きます↓
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私には、中国清朝末期~民国期頃のお猪口のような小さな器が当たりました↓
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実は、私の先生は美術史家でいらっしゃり、龍の柄のお湯呑みや蕎麦猪口、お猪口を大量にコレクションされています。今回の初釜では、参加者全員にそのコレクションの中のお品が当たるよう抽選会をして下さったのでした。弟子一同、もちろん大いに盛り上がりました!
しかし、今回参加の十五人ほどが頂いたものの中で、中国製は私のものだけ。やはり中国に縁があるのでしょうか‥

先生には、龍文のそば猪口など、龍文容器の変遷や、龍文の細かい柄の分類を解説されたご著書もあります。ご興味を持たれた方はゼヒ購読ください!
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↑こちらが表紙の画像です。
「面白龍文」内藤勝雄
アマゾンでも購入可能です。もちろん書店でも!

…という訳で、とても楽しい初釜でした。
私は最近は仕事が忙しく、どうしても稽古に伺えない月もあったりと、かなりでこぼこ曲がりくねった茶の道を歩んでいますが、点前をしている時間は他のことは忘れて点前だけに集中出来る、その"真っ白な時間"はとても貴重なものだと思っています。
また、社中のみなさんとも長いおつき合いになり、稽古の前後のお喋り楽しさで出かけて行くという一面もあります。今年もゆっくりとですが、お稽古を続けて行きたいと思います。
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「道明」を訪問。道明先生とランチ、の日のきもの 2014/12/28



(現在、Facebookのいいね!がブログのカウンターに反映されない不具合が出ています。いいね!をクリックして頂いた方、申し訳ありません)
年末の一日、昨日は上野の「道明」へ伺い、道明三保子先生とランチをご一緒させて頂きました。
先生には、昨年、私が企画制作をしたイベント「江戸着物ファッションショー」でレクチャーをお願いし、今年は、現在発売中の「美しいキモノ」冬号の特集「帯〆BOOK」にて、帯〆コーディネイト、組紐の歴史解説、工房訪問、道明による復元帯〆の紹介…と多大なる多大なるご協力を頂きました。
そんな先生と、今年を振り返りながらのお食事。何とも言えず楽しいひと時でした。

こうしてお仕事でお世話になっていると同時に、実は私は個人的に、先生の大ファンです。
先生はいつもたくさんのお仕事のアイディアを抱えていらっしゃって、そればかりかその一つ一つを、夢に終わらせずに形にされている。そこが本当に素晴らしいなと心から尊敬してしまうのです。
この数年でも、公的な研究助成公募に応募されて大きな組紐研究プロジェクトの資金を獲得されたり、今年になって新しく神楽坂に組紐研究所をオープンされたり…いつも夢がいっぱいで、先生と話していると私ももっと頑張れるなと自然に元気が出て来るのです。
それに、先生はとてもユーモアがある方で、時々出る“決めの一言”が本当に的を射ていて、くすっと笑ってしまうことがしばしばです。皆さんももしも先生のご講演などある時は、ゼヒ行かれることをお薦めしますよ!
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↑さて、そんな先生との池之端ランチに着て行ったのは、ピンク色に紫などを淡くぼかしたぼかし色無地。
先生は今日はお洋服。蘇州刺繍でしょうか、素敵な刺繍の入ったジャケットをお召しでした。そして、年末の「道明」のお店はきりりと松飾りが整えられて何ともすがすがしい姿をですよね。
↓こちらはお店の中で撮った一枚です。後ろにちらりと写っていますが、今日も道明にはずらりと逸品の帯〆さんたちが並んでいました(道明の帯〆は、敬意を表して「帯〆さん」と呼びたいです)。この道明のお店先、全きもの女子の本当に本当に憧れですよね。
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↓帯周りに寄った写真がこちらです。もちろん、帯〆は道明製。笹浪組の紫暈かしを、勝山織物の葵文様の帯に。
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↓そして…昨日我が家に新しく仲間入りした一本がこちらです。
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唐組の半円だけを地色と別の色で組んだ、「遠山」というシリーズ。むふふ。かわい過ぎますよね♡年末年始、この子を眺めてにやにや過ごすことになりそうです。

「美しいキモノ」冬号をご購入になった方はご存知かと思いますが、1月24日の「美しいキモノアカデミー」では、道明先生と道明の皆様を講師陣に、組紐の歴史を学び、根付紐を作る(道明の糸で!!!)…という、何とも贅沢な講座が開催されます。
あっと言う間に定員一杯になり、残念ながら今からのお申し込みは難しいのですが、当日は私も会場に詰めておりますので、現場レポートをしたいと思っています。皆様ゼヒ楽しみにしていてくださいね。
そして、その日に、今日のこの緑の帯〆を締めよう!と、今からコーディネイトを考えて頭がぐるぐる回転し始めました。楽しみが一つ増えた年末年始です!
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村山大島紬に染め帯でお茶のお稽古へ 2014/12/18



厳しい寒さが続きますが、皆さまお元気にお過ごしでしょうか。
年の瀬も迫る中、今年最後のお茶の稽古に伺った日のコーディネイトご紹介日記です。
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↑きものは、村山大島紬。
かつて母が大学で教えていた頃、卒論指導をしていた学生さんの中に、実家が村山大島の糸屋さんという方がいらっしゃいました。最上の糸で織ったものを、格安で分けて頂いたものです。
やはり良いものは語らずとも輝きを放つのか、ふだんあまりきものを着ない男性の稽古仲間にも、この生地は何か違うね!と言われます。伝わるんですね!
お茶の稽古に紬地は動きにくいので着ない、という方もいらっしゃいますが、村山大島や大島なら滑りが良く、垂れものと変わらないかと思います。
帯は、祖母が染めた塩瀬の名古屋帯。竹と菊が染められています。

ここでもう一枚。同じきものを今年の5月に着たものの、仕事が切羽詰り過ぎてブログに上げることが出来なかったのコーディネイトを、7か月も経ってしまいましたがご紹介します!
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↑この時は、生成り色の帯を締めていました。写真からもお分かり頂けると思いますが、一見無地に見えて、紅花でごく細く筋を染めている凝った帯です。仕事で御茶ノ水方面に行った帰りに、神田明神に寄った時に撮りました。江戸総鎮守の神田明神。近くに行った際はいつもお詣りするのですが、必ず、「大地震が起こった時に、東京の被害が最小限で済みますようお守りください」とお祈りしています。ご加護がありますように。

…と、話がそれましたが、同じきものでも、やはり帯で大分印象が変わりますよね。それでは皆様、寒さ厳しい日が続きますが、暖かくしてお過ごしください!

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クリスマスパーティーに絞りの訪問着で 2014/12/09



年末年始、おしゃれしてお出かけするシーズンがやって来ました。
私にとっては今年第一弾となるでしょうか、今日、素敵なフルコースランチパーティーに(もちろんきもので)参加して来ましたので、コーディネイトご紹介日記です。

          *

10月に発売された「いろはにキモノ」で、私の担当ページ「おしゃれ店員さんの1weekコーディネイト」に登場頂いた青山の和装小物ショップ・「komamono玖」の渡辺英理子さん、皆さまも覚えていらっしゃることと思います。
http://www.komamono-9.com/
そのkomamono玖の年末のパーティーが、お店のすぐそばの素敵なフレンチレストラン「葉山庵」にて開かれました。先ほども書きましたように、お料理は、フルコース。集ったのは、komamono玖のお客様や、英理子さんのきもの業界でのお仲間に当たる方々。三十人ほどの女性全員がきもので装い、皆さんの着姿を拝見するだけでも楽しかったのでした♡

そんな中、英理子さんと一緒に撮影した写真がこちらです↓
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今日も変わらずお美しい、英理子さん。パッと目を引く華やかな帯は、お母様のもの、いやもしかしたらおばあ様から伝わったものかも知れない、とのことでした。この華やかさ、確かに、昭和元禄の頃の雰囲気がありますよね。
一方私は、冬らしいコーディネイトを…というコンセプトのもと、木々の枝を絞りで表現したしゃれ訪問着を選びました。もともと特に冬を意識した柄ではないと思いますが、ちょっと雪降る森の木立に見えませんか?母のきもので、落款もあるのですが、誰の作か分からなくなってしまったとのこと…いずれ調べたいと思っている一枚です。

もう一枚、下の写真は、ジュエリー・ブランド「coquille bijoux(コキーユ・ビジュー)」デザイナーの加藤由紀子さんと。
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下のURLからご覧になって頂くと分かる通り、帯留や簪、ブレスレットなど、和装・洋装ともに華やぎを加えてくれる素敵なジュエリーをデザインされています。
http://www.iichi.com/shop/coquille

本当はまだまだたくさんの素敵なおきもの姿の方がいらっしゃいましたし、全員での集合写真もあるのですが、お一人お一人に掲載の許可を取ることが難しいため、残念ながら割愛。楽しかった雰囲気は伝わったかと思います。

そうそう、私の帯周りはこんなかんじです↓
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河合美術織物の帯は、織りで疋田絞りを表しているちょっと面白いもの。そこに、前帯の裏表、それぞれ金、銀、シンプルな一本線が入っています(お太鼓は、金銀二本の線が縦に入っています)。
今日は雪の風景をイメージしてコーディネイトしたため、銀色の方を表に出しました。そして、帯留もパールにして、雪のイメージ。徹底的に冬景色で攻めていますw
この帯留、台座はヒイラギのようにも見えるかも知れませんが、実は、蔦紋です。祖母から伝わったもので、母方の実家の紋は蔦紋のため、家紋をデザインした帯留ということになります。昔はこういうことはよくしたのでしょうか?さり気なく家紋をあしらうという考え方が面白いですね。
さり気なく、と言えば、今日の帯留の紐部分は銀糸で組まれているため、帯の銀の一本線模様とかぶってしまいます。そこで、帯留が来る中央部を中心に、少しだけ帯留の紐をずらし、向かって左半身では帯の銀の線が見えるように締めてみました。このさり気なさ、会場で皆さんに気づいてもらえていたかしらん。

          *

「葉山庵」のお食事は一品一品大変美味しく、が、お喋りが楽しくて写真は撮っていません。
デザートはビュッフェスタイルだったので、パチリ↓

甘党の私、もちろん全種類食べましたとも!
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更に、komamono玖から出席者へのお土産…ということで、太っ腹な全員プレゼントで私に当たったのが、こちら↓
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二葉苑の染めの帯揚げと、シンガポールのブランドのクラッチバッグ。
もーどちらもかわい過ぎます!私のきものライフ、今後の目標の一つが「模様入りの帯揚げを集める」だったので、正にタイムリー。クラッチバッグは、ポーチとして使ってもかわいいかも知れません。太っ腹オーナー英理子さん、ありがとうございます!
皆さんと、まだまだ名残惜しいくらい話が弾んだ昼下がり。楽しい時間をありがとうございました!
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日本の新しい麻布「麻世妙」お披露目パーティーに、しょうざんの訪問着で 2014/12/08



またまた仕事がばたばたしていて更新が滞ってしまいましたが、今週・来週は頻繁に更新できそうです。まず今日は、染織関係のレセプションに出かけた日のおきものコーディネイト日記をお届けいたします!
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…かなり前のことで若干恐縮なのですが、10月の終わり、「麻世妙(まよたえ)」という新しい布の発表会レセプションパーティーに出席しました。
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今、“新しい布”と書きましたが、正確に言えば、この布は、新しくもあり古くもあります。縄文時代から戦前まで日本人の生活の傍らにあった、大麻布(たいまふ)。戦後、GHQによって禁止されてしまったその布を、幻覚物質を含まない種で織ることによって復活させたのが、麻世妙なのです。
織り方によって、薄手にも↓
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↑厚手にもなります。
会場では実際に手に触れても良かったため、触ったり揉んだりしてみましたが、意外にも非常に柔らかいのです。
麻のきものと言うとどうしても若干裃的に肩が張ってしまいますが、恐らく着用してもなだらかな肩の線になると思われ、これはすごい利点になりそうです。

もともと、下の写真の吉田真一郎さんという自然布研究家が↓
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「大麻布を復活させたい」という熱い思いを抱いておられ、その思いに共感した、あのレコード会社のエイベックスがスポンサーになり、この麻世妙プロジェクトが動き出したのだそう。
その後、現在では、京都の老舗中の老舗「帯商誉田屋源兵衛」と「三越伊勢丹」がプロジェクトに加入。今後、誉田屋源兵衛からはきものや帯が、三越伊勢丹からはきものだけにとらわれず、様々な商品が展開されるようです。三越伊勢丹では、2015春から展開とのことなので、シャツ?パジャマ?ベッドリネン?どんな形で登場するのかが楽しみです。
下の写真、左が誉田屋源兵衛当代の山口源兵衛さん、右が三越伊勢丹の大西洋社長です。
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お二人がスピーチで仰っていたのが、この布に秘められた大きな可能性。純粋に“日本発信の布”として世界に売り出して行けたら…と語られていました。確かに、それが実現すれば、生産からデザインまで、世界の繊維業界の一角を日本が主導して舵取り出来るようになる。大きな大きな夢ですよね。頑張って頂きたいです。
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↑鏡割りには、エイベックス社長の松浦雅人さんも。

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上の二枚の写真は、当日会場で流された麻世妙のプロモーションビデオを撮ったもので、この映像を、友人の映像作家・肥留川宇志(ひるかわたかし)さんが監督しました。非常に美しい映像作品であり、そして、日本人が古代より共に生きて来た大麻という植物、大麻布という布について思いを馳せることが出来ます。公式サイトにアップロードされていますので、ゼヒ下記URLからご覧ください。
http://majotae.com/

     *

さて、もう一度最初の写真に戻って、この日のきものは…
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しょうざんの生紬地訪問着に、幾何学模様が織り出された袋帯を合わせました。帯〆は、道明の紫ぼかしの笹浪組。帯揚げは、道行コートの裏地に使った布の余り布を入れています↓
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実はこの日、パーティーの前に「美しいキモノ」の取材・撮影のお仕事があり(私が出る訳ではありません)、現場で、着付け師の石山美津江さんに直して頂いたため、自分史上最高きれいに帯揚げがまとまっています。嬉しかった♡

この日、一緒にパーティーに参加した友人たちとの写真を最後に↓
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左から、「色無地着物 千花」の木下恭兵さん、私の右隣りが麻世妙のPVの監督、肥留川宇志さんです。歌舞伎者みたいな面白いきもの(コーデュロイ地!)は、中森明菜の「DESIRE」の衣装を手掛けたきものデザイナー、紫藤尚世さんの作だとのこと。
そのお隣りの美女は、きもの好き女子の皆さんにはもう著名ですね、和ランジェリーブランド「wafure」の尾上博美さん。この日ももちろんお美しかったです!奇しくも私たち二人とも「今日は白でしょ!」と白きものを着て来た、という暗黙の符合ぶりが嬉しかったのでした。
そのお隣りは、気鋭のフォトグラファー、田中誠さん。田中さんはまだおきものを所有されていないそうですが、今後誂える!と言っていました。
この日はレセプションの後、このメンバーで熱くそれぞれの仕事の展望やきものの未来を語り合うお食事会。大麻布と同じく、みんなの夢が実現しますように!
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一泊二日きもので名古屋旅行 2014/11/27



先週末は、一泊二日で名古屋へ旅に出ていました。持って行ったのは、きもの一枚に、帯二本。コーディネイトご紹介日記です。

一日目は半幅で

名古屋一日目は、半幅帯で過ごしました。
朝早くの新幹線で名古屋へ向かい、着いたその足で学術シンポジウムに出席…というスケジュールだったため、帯を替える時間は無し。新幹線の2時間ほどをお太鼓で過ごすのはつらいので、半幅帯を選択しました。そのコーディネイトがこちらです↓
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こちらの帯は、博多織で唐草紋を織り出したもの。後ろの写真は撮っていないのですが、カルタ結びで結んでいます。
学術シンポジウム出席というシチュエーションを考えると少しきちんと感が必要と思い、半幅ではありますが帯〆を入れて。きものと帯を同系統でまとめた中、同じ同系統ながら効かせ色になる、明るめの辛子色の冠組を選びました。

この日出席していたのは、「対日協力政権とその周辺」というシンポジウムです。愛知大学名古屋キャンパスで開かれていました↓
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最近は染織や和文化関係のお仕事が多い私なのですが、それだけではなく、「倫理学」の領域に関すること――人が或る特定の状況に置かれた時に、どのような選択をするべきなのか、その可能性を深く思考する――そんな大きなテーマを持った文章作品を書いて行きたいと思っています。
幾つか具体的なテーマを定めており、その一つでは日中戦争期を舞台に置くことを考えているため、実は、何年もこつこつとこの時代の資料を読み込んでいます。この日のシンポジウムは、その勉強の一環。これまでの過程で知己を得た気鋭の現代史研究者の方のご厚意により、参加させて頂きました。
シンポジウムの後は、その研究者の方や他の気鋭の研究者の方々とのお食事会も楽しく、また、深い学びがあり、充実の名古屋一日目だったのでした。

二日目は、染め名古屋帯で

二日目は、「名古屋ですもの、名古屋帯で」…という訳でもないのですが、祖母が染めた名古屋帯で過ごしました。
この日のスケジュールは、前日とは打って変わり、戦国~江戸時代こってり。朝から、熱田神宮(信長が奉納した塀!)→名古屋城→尾張東照宮→徳川園庭園→徳川美術館と、盛りだくさんに詰め込み過ぎて、お昼ごはんも、名古屋らしいこってりスイーツも食べ逃したのは残念でしたが、充実の一日でした。例えば…

大名文化好き・大奥文化好きにはたまらない、復元された名古屋城本丸御殿・上段の間!!!↓
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また、お城の外では菊展が開かれていて、豪華なものから小ぶりで美しい盆栽のような作品ものまで、眺めるのが楽しい!↓
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この菊展を見ている時、いつも私のブログを見てくださっているという熊本の方からお声を掛けて頂きました。今日のこのエントリも見てくださっているでしょうか?ありがとうございます。とても励みになります♪
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↑この日のコーディネイトは、こちら。
背景に写っているのは、名古屋市北部にある「徳川園」の庭園です。御三家筆頭の尾張徳川家の別邸を、公園として開放している場所です。

締めているのは、祖母が染めた紺地の名古屋帯。型は紅型の有名な型で、「きもの検定」の教科書にも、この型を別の色合いで染めた帯が載っています。
その帯に、ちょっと写真が小さくて分かりにくいのが恐縮なのですが、水色地に白と水色の矢羽模様の笹波組帯〆、お抹茶色の帯揚げを挿し色にした取り合わせです。

          *

この「徳川園」と同じ敷地にある「徳川美術館」では、現在、「大名家のおしゃれ」展が開催されています。姫君が着用した打掛や、尾張徳川家殿様の直垂など、貴重な展示が満載ですので、服飾史好きの方はゼヒ足を運んでみてください。
かく言う私は、服飾史の中でも特に大奥ファッションに興味を持っていて個人的に勉強しているので、「なが(行事の際に地位の高い奥女中が使うかつら)」と「絵元結(ながに付ける、金箔押しの豪華な髪飾り)」の実物を見ることが出来、大興奮していました(←おたくっぽいですね)。
また、実は直垂萌え♡(←腐女子っぽいですね)なので、御三家の立派な直垂を見られて、これもまた大興奮でありました。あまりに長時間会場を行ったり来たりしたため、見張り係の人が若干呆れている、その視線が痛かったです…。

          *

実は、この後、デパートのお手洗いで帯を早替えして、再度半幅帯に変えて帰りの新幹線に乗りました。半幅のかるた結びなら、2分もあれば結べてしまいますから、本当に便利です。旅の移動は半幅帯!ですよね。
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ジャパン・ブルーが生まれる場所――徳島の藍職人・佐藤昭人さんを訪ねて 2014/11/19



 週末、徳島へ旅に出ていた。(と、今回、機内誌の旅行記風文体で行きたいと思います)
 と言っても、ただの旅行ではなく、自分の勉強を兼ねたもの。日本の染織に詳しい方なら、徳島、つまり阿波地方が、江戸時代以来の藍の産地であることはご存知だと思う。
 藍の葉を加工した“蒅(すくも)”や、蒅を固めた“藍玉”は長く阿波の国の特産物であり、日本中に出荷されて人々のきものや布団地や手拭いや…あらゆるものを藍色に染め上げていた。庶民から高位の武士に至るまで、江戸時代を通じて藍色は人々の衣服の最も基本的な色であり、現在では“ジャパン・ブルー”と呼ばれるほどに、その美しさが世界的に名高いことも、広く知られていると思う。

 では、その藍は、どうすれば染料として使えるようになるのだろう?
 自宅の庭で藍を育ててその葉をつぶしてみても、長い年月を耐え抜く堅牢度(=繰り返し洗濯しても色落ちしない耐用性)は持ち得ない。
 そう、夏、藍の葉を刈り取った後、気の遠くなるほどの複雑な過程を経て、藍は蒅(すくも)へと“成長”する。成長、とまるで人間の発育のように書いたのは、今回、実際に自分の目で見た後では、そうとしか表現出来なくなってしまったからだ。

 今回の旅では、徳島県板野郡の、その名も“藍住町”という町に住む日本一の蒅(すくも)職人、佐藤昭人さんの蒅製造所を訪ねた。佐藤さんはそもそも蒅の原料である藍の木を自らの手で育て、それどころか、その藍畑に足す堆肥作りまでをも自ら行っている。土を作り、藍を育て、その葉を蒅へと加工する――この佐藤さんの蒅作りの全過程を映像で記録するプロジェクトを現在友人が進めており、今回、その撮影に同行させてもらうことが出来たのだ。

          *

 さて、では、実際に一枚一枚の藍の葉は、どのようにして蒅(すくも)へと“成長”するのだろうか?
まずは下の写真を見てもらえたらと思う。
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 木造の、蔵のような場所に、土がこんもりと盛られている。その向こうにかがんでいる人。この人が藍師の佐藤昭人さんであり、そしてこの山が総て藍の葉から出来ていると知ったら、ちょっと気が遠くならないだろうか?

 毎年、8月、藍畑から刈り取られた藍の葉は、すぐに細かく切り刻まれて、しばらくの間寝かされる。その後、9月になると、佐藤さんと佐藤さんを手伝う近隣の農家の人々は、刈り取った葉に時折り打ち水をしながら、うず高く積み上げる。その高さはこの蔵――“寝床”と呼ばれる――の天井近くまで届くほどになるという。
化学に疎い私には細かいことは全く分からないのだけれど、積み上げる過程で掛ける打ち水と、藍の葉の成分、そして9月の気温、これらの要素が絡み合うことで、4、5日経つと発酵が始まる。つまり、腐らせることで、藍の葉は蒅(すくも)へと“成長”を始めるのだ。火は全く使っていないというのに、その温度は70度にもなるという。目を開けることが苦しいほどに強くアンモニア臭が立ち込め、藍の山は発酵によって次第に嵩(かさ)を下げて行く…

          *
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 その藍の山を、藍師とその下で働く人たちは、4日ごとにかき混ぜる(1枚目の写真の左端に写っている人が佐藤さん)。つまりそれは漬物の糠床をかき回すのと同じ原理で、もちろん、漬物なら小さな甕の中をこねくり回せば済む話だけれど、腐って重さを持ち始めた藍の葉の山をかき回すのはとてつもない重労働を伴う作業だ。
 藍師を棟梁として、総勢十人ほどの男たちが鋤や熊手を手に、藍の山を掘り崩す。掘り崩すことによって藍は別の場所へと自然に移動し、更に、一通り掘り崩した後で元通りの形に成型する時に、また別の場所へと移動する。こうして糠床同様の“こねくり回し”作業が完遂される。
 
 藍師たちはこの作業を、延々と12月まで約100日間、4日ごとに繰り返す。
 4日ごとに山を壊して、また山に整える――壮大な砂遊びのようであり、その姿は何も知らない人から見れば、鉱山の鉱夫のようにも見えるだろう。この、激しい労働を伴う作業のことを、“切り返し”と呼ぶ。

          *
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 上の2枚の写真は、その“切り返し”の始まりや途中途中で、佐藤さんが行う最も重要な作業を写したものだ。藍の山の中に手を突っ込み、一山ほどすくい上げて顔を寄せ、匂いをかいでいる――藍師以外の人間には決して窺い知ることの出来ない奥義がそこにはあり、藍が今どんな状態であるのか、元気なのかむずかっているのかを、かぎ分けているのだ。
 そして、気温、湿度、今現在の藍の状態――それら総ての条件を総合して、次に何をするのかを決める。水をどの程度打つのか?“布団”を何枚掛けるのか?
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 “布団”というのは、上の写真のように、藍の山の上に、その日の切り返し作業の終わりに掛けるむしろのことを言う。
 毎年、10月の半ば頃、渡り鳥の鴨が吉野川へやって来るのを見届けた時。それからもう一つ、近くの神社の横に立つ銀杏の木の葉がわずかに黄色に染まり始めた時を見逃さずに、佐藤さんは「今日から布団を掛ける」と判断する。これは、秋の深まりにつれて冷え込む外気から藍を守るための処置で、布団を掛けることによってその温度は9月初めと同じように、70度から65度の間に保たれる。その掛け方にも、何枚掛けるかにも、厳しく目を配り続ける。

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  例えば、私たちが訪れた日は、徳島地方の気温が急にひどく下がった日で、3枚の布団を掛けるよう佐藤さんは指示を出していた。もっと暖かな日ならきっと2枚だったのだろう。掛け始めの頃なら1枚しか掛けない。毎日毎日、気を配り、調整する。一日たりとも油断は出来ない。何故なら、気温を読み間違って布団が1枚少なかったために、藍が“風邪を引いて”水滴を吹き、死んでしまうこともあるから。
 そして、12月の10日頃、藍の山は最後に掘り崩されて、もう二度と山へと戻ることはない。藍は元服を迎えた青年のように蒅(すくも)へと成長し、藁袋に詰められて佐藤さんのもとから離れて行く。その時、佐藤さんの目から涙がこぼれてしまうのだと聞いて、私まで泣きそうになってしまった。

          *
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 東京に帰ってからも、しばらく、藍の山の残像が浮かんでは消え浮かんでは消えて、まぶたから離れなかった。山はそのまま動き出し、こちらに向かって来るように見えた。まるで未知の生き物であるように。
 いや、藍の山は生き物なのだ。藍の葉から蒅(すくも)へと変態し、成分を変えて行く幼い生き物。もぞもぞと肢体を伸ばすそのうごめきが、近くに立っていると聞こえて来るようだった。半ば藍であり、半ば蒅であるその生き物は、早く蒅へと変態を終えたくて身をよじらせていた。非常に気が立ちやすく、少しのことで駄々をこねる、ひどく神経質で扱いにくい子ども。藍の山とはそんな存在であるように思う。けれど親である藍師は、どんなことがあってもその子を育て上げなければならない。蒅が袋に詰められて出荷されて行く時、佐藤さんが泣くのも当然だと思えた。

          *

 こうして藍師のもとを旅立った蒅(すくも)は、その後、染め師の手に渡り、灰汁(あく)と化合されることでもう一度変態を遂げ、布の上に定着する。
 その色、美しく深みを持ったジャパン・ブルー、日本の藍は、現在、きものや和雑貨だけではなくジーンズなど様々な布に染められて私たち消費者のもとに届けられる――もちろん、途中でかけられた深い愛情のことを藍は何も語りはしないのだけれど、私たち受け取る者は破れるまで、すり切れるまで、一かけらになる日まで育てた人と同じ深い愛情をもって、その命の最後の日まで、藍色の布を使い続けなければいけないのだと、旅を終えて、今、そんな風に思う。

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きものサローネ、最終日の昨日も行って来ました! 2014/11/14



きものサローネ、昨日も行ってまいりました。
平日・木曜日だというのに、たくさんの人出。大きく分けて、京都西陣エリアとその他のエリアに分かれていて、それぞれを力いっぱい見て回りました!
前回と同じく、それぞれのブース総てに足を止め、気になる出店者の方とはお話をして作り方やデザインの意図などをお聞きして。
本金引き箔の豪奢な袋帯から気軽な半幅、小物類、草履や刺繍技術、新概念の和装下着、前結び帯、全く安っぽくない、高級感あふれる洗えるきもの、そしてたくさんの「ほしい!」と声を上げたくなるきものや帯たち…何とも楽しい時間でした。
本当にたくさんの方とお話ししたのですが、下の写真は、京都の染織職人集団「杉達」の和泉明さんと。
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和泉さんは、本羅を織る西陣の職人さん。正倉院の羅布などを研究して、ご自身の作品に応用されています。

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↑こちらは、後で紹介致します今回のサローネの目玉「百人コーディネイト展」に出品されていた「杉達」のコーディネイト。型友禅の絽のお着物に、大和さんの羅の帯です。「杉達」には、友禅染め、型友禅、京絞りの職人さんが所属されています。Facebookにページがあるので見てみてくださいね。

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↑お隣りの丹後から出店の「小林染工房」のブースでは、珍しい、柿渋で染めた糸(写真に写っている茶色の糸玉がそれです)を使った織物が出品されていました。柿渋には防染効果があるため、そこだけ色が染まらず、模様を残すことが出来る…という非常にオリジナルな反物です。
まだまだ新しい織物って出て来るんだ!ととても感動しました。

こちらは江戸刺繍。東京都伝統工芸士の辻口良保さんが実演をされていました↓
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一枚目の写真は、刺繍をするための柄を切り抜いた薄紙。ここに、胡粉を掛けて布に付着させ、その上から刺繍して行くそうです。
二枚目が、刺繍の途中の様子。刺繍なら私にも出来るかな…とちょっと心惹かれたりして。
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↑そして心惹かれたついでに、名刺入れがへたって来ていたので、辻口さんの刺繍を施した名刺入れを購入しました。かなりカワイイでしょ♡

…と、もうその他たくさんの方とお話ししたりお品物を見たり。一緒にお写真撮れば良かった~!という方もたくさんですが、またの機会に。

最後に、先ほどちらっと書きました「百人百色 百人コーディネイト」の会場をご紹介します。
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↑会場の一部をバックに、マネキンに紛れ込んで写真を撮ってみましたが、こんな風に、各きもの店、スタイリスト、染織作家、着付け師などなどの方々が、それぞれのコーディネイトをマネキンに着付けて披露なさっています。
あ、ついでながら前に立っております私のコーディネイトは、金田昇さんの江戸小紋に祖母が染めた水色地に黄色とピンクで菊の花を染めた帯。ちょっと帯〆の色が強過ぎたかな、淡いピンク色の方にすれば良かったかな…と一人反省会中ですが、そんなことはいいとして…
こちらは、目白「花想容」の田中由起さんのコーディネイト↓
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帯にほどこされた孔雀の羽柄の刺繍を中心に、さわやかにまとめ上げています。

こちらは、スタイリストの大竹恵理子さんのコーディネイト↓
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染色家・中野光太郎さんのグレー、水色、淡紫が印象派の絵のように混じり合ったおきものを、同じトーンの中で優しくまとめています。このきものは相当人気高いそうですよ!

同じくスタイリストの坂元和子さんのコーディネイトは…↓
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丸山正さんの深めの色のおきものに、青海波を大胆に意匠化した帯。そして、帯〆が非常に効いていますよね。かっこいいです。

京都「多ち花」の河合洋平さんの配色にも目が引きつけられました(中央のコーディネイト)。能衣装から応用した色合いだとのことです↓
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ガラス作家小上馬香織さんは、自作の印象的な帯留を中心にしたモノトーンコーディネイトがかっこいい↓
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そんな中、アニメ?の萌えキャラを配したこんなおきものもありました↓
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題して「痛キモノ」と自ら言っている自虐センスがイイですね。まあ、このきものは絶対自分は着ませんが、ユーモアのセンスのある人って大好きです。しかもお隣りが正調なおきものであるところがよけい笑いを誘いますね…

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ここからは、私が個人的に特に心惹かれたコーディネイトを…

出雲の「まにわ呉服店」の馬庭里香さんのコーディネイト↓
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きもの、帯、帯〆、帯揚げの配色が、正にきものならでは。或いは、日本ならではと言ったら良いのでしょうか。私自身は青春時代をオリーブや渋カジ(なつかしい響き!)の影響下に過ごしてしまったので、どうしても洋服臭の強い取り合わせをしてしまいます。それがあまり楽しいとは、或いは新しいとは思えない。自分の中の日本人遺伝子をもっともっと掘り起こして、ごく自然にこういう取り合わせを出来る人になりたい!という夢が具現化されたコーディネイトでした。

同じ意味でこちらのコーディネイトもとても好きです。「東京友禅染め研究会」の名坂佳寿子さんによるコーディネイト↓
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すごく「買いたい!」と思ったのは、京都のしけ引き染めの松本輝之さん(工芸染織松寿苑)のこのおきもの。理屈抜きに、こういう色合いや、染料の布への乗せ方が好きなんです!↓
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打って変わりますが、こんな木綿紬にも心惹かれます!青戸柚美江さん作の麻の葉文様木綿紬。コーディネイトは「だるま屋呉服店」の山口貴子さん。帯留使いも素敵ですね↓
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こちらの手描き友禅作家中野スズミさんのおきものは、猫柄!猫好きにはたまらないかわいさ。ほしい!
私なら、淡い卵色とか、ベージュとか…そんな色に別注したいところです↓
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もう一つ、大好きなツボに入っているコーディネイトがこちら。京都の「岡文」さんの作品で、渋く上等なお召に、伊藤若冲の絵画を織りで表した帯。白地に赤の麻の葉文様の帯揚げに、これも、日本らしい色合わせの帯揚げ。
江戸時代までの日本人が持っていた美意識を具現化したようなコーディネイトで、とても心惹かれました↓
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私は、どのようなきものスタイルにも優劣はなく、ただ個人の嗜好で選べば良いと心から思っていますが、こうして好きなコーディネイトを選んで行くと、自分自身の嗜好、いや志向というものが嫌でも表れるなと実感します。“日本人しかしない色合わせ”というものに、今の私はどうしようもなく心惹かれてしまうし、それこそが一番新しいと感じているようです。

あ、そう言えばもう一つ、こんな風に、帯揚げに模様が入ったものを入れるのもとても素敵ですね。私もこれから真似して取り入れて行きたいと思います!↓
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ということで、今年のきものサローネも終了。
出店者、スタッフの皆さん、お疲れ様でした。そして、たくさんのきものファンを楽しませてくださったこと、ありがとうございました!

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きものサローネ、行って来ました&明日も行きます! 2014/11/12



前回のエントリーから大分経ってしまいましたが、その間、ひたすら原稿を書いていました。その成果は間もなく発売の雑誌にて、皆様にお届け致します。きものファンの皆さんに楽しんで頂ける内容ですので、お待ちくださいませ!

さて、その間、仕事も兼ねてのレセプションなど、少しだけきものでの外出もしていたのですが、まずは、明日まで開催中のきものサローネに出掛けた日のコーディネイトや交遊録、そして小物のお買い物ご報告を。

多くのきものファンが注目するイベント、“日本橋きものサローネ”は、今年で3年目。
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上の写真のように、全国の様々なきもの・和雑貨の作り手がブースを出し、きものファンと直接会話を交わして販売もするイベントです。
天井には、染織作家で、目白の人気きものショップ「花想容」のオーナーでもある中野光太郎さんが染めた反物がオブジェとして飾られ、きもののお祭りの雰囲気を、上品に盛り上げてくれています。

その中野さんと撮った写真がこちら(裾が乱れていてすみません)↓
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そう、中野さんは、首から下げたカードに書かれているように、サローネの実行委員でもあります。
私のきものは、祖母から伝わって来た縞模様の小紋。縮緬地に、歌舞伎の定式幕の縞が意匠化されています。
この柄で縦縞だと粋過ぎて野暮になると見越して、横縞に。更に山道にして変化をつけているという、なかなかに凝った一枚です。

このきものを歌舞伎に着て行くとそれもまた野暮と言うもの。サローネに着て行くのにはちょうど良いのではないかと思い、選びました。とても印象が強いらしく、たくさんの方に褒めて頂けました。
帯は、祖母が染めた牡丹唐草文様の名古屋帯。帯〆には生成り色の道明の冠組、帯揚げには煉瓦色の縮緬無地を入れているのですが、ほとんど見えていませんね。

こちらは中野さんと同じく実行委員の、きものデザイナー木越まりさんと↓
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以前からお噂はかねがねの木越さんだったので、会えてとても気分上がりました。私も木越さんを見習ってもっと仕事を頑張らなければ…!

きものスタイリスト・着付け師の大竹恵理子さんと。大竹さんは今回、“京都きものアルチザン”のファッションショーの演出と着付けを担当されました。アルチザン会員の京正のうっとりするほど美しい綸子のおきものがお似合いですね↓
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下の二枚は、染色作家・羽田登喜さんのショーから。同世代の女性作家の手から生まれるのは、華やかにして優しさをたたえたきものでした。
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ショー以外でも、もちろん、各ブースを回って、作り手・売り手の方たちに色々質問も投げかけ、じっくりとお話し出来たのが楽しい時間でした。

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↑山梨の「美枝きもの資料館」は、前から注目していて一度行きたいと思っていたきもの美術館。珍しい、木綿に友禅染めをほどこした江戸時代のおきものが展示されていました。富裕な町人が着ていたのものではないかと思います。やはり一度ちゃんと訪れたいものです!

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↑こちらは、有松絞りの工業組合のブース。かわいい作品がいっぱいでした♡

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↑小さなお買い物もしました。水引をアクセサリーにしてしまう!という素敵なアイディアのブランド「洒落水引」さんの髪留めを買いました(2枚目の写真)

作り手の荻原加寿美さんともパチリ↓
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おばあさまが水引の職人さんで、子どもの頃から水引の美しさに心惹かれていたという荻原さん。
一枚目の写真のように帯留にしたり、髪留めにしたり…と、きもの女子心をときめかせる色でアクセサリーに応用することを考え付かれたのだそうです。とても素敵ですね!

この他にも、繭から地元で育てる秩父太織りの織り手さん、インドネシアやタイの布を扱う「千凰」さん(帯に転用すると素敵ですよね)、「トキワ商事さん」の天然藍で染めた美しい浴衣、かわいらしい動物柄などを友禅染めする「染めもの中野」さん、越後の「きはだや」さんの更紗帯は、江戸時代の更紗を写した色合いでとても素敵でした。
…と、他にも書き切れないほどの素敵な出店が!
きものサローネは、出店者を変えて、明日まで開催。私も明日、再度伺います。フィナーレということで盛り上がりそうですね。黒か黄色地のきもので出かける予定ですので、見かけたらゼヒお声掛け下さい!

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単衣と袷、二枚の縞柄きものコーディネイト 2014/10/20



 おきものコーディネイト日記、今日は、単衣と袷、共に縞のきもので出かけた日のコーディネイトをご紹介します。
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 一着目は、単衣の時期に着た縞。
 赤に茶色と焦げ茶の縞の単衣は、祖母の遺品のつづらに入っていたもので、産地は不明です。かなりしぼが強く、塩沢かなと思いますが、分かりません。
 この単衣で、友人たちとお気に入りのビストロへ食事に行ったのですが、お店の照明が適度に落とし気味のため、ただの黒い帯を締めているように見えるかも知れません(まるで江戸時代の女性みたいw)。そこで、模様が見えるように床置きをして撮影してみました(きものの色は、一枚目の方が正しいです)↓
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 この帯には、現在京都国立博物館で全巻が展示されている「鳥獣戯画」の幾つかの場面が描かれています。友人のおばあさまの遺品を頂いたもののため、誰の作なのかは分からないのですが、落款もありました。この落款から作家名分かる方がいらしたら、教えてください!↓
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 帯揚げにはアクセントを加えるため、抹茶色の無地縮緬を、帯〆には樺茶色の冠組を入れています。

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 さて、こちらが、二枚目の縞きもの。友人と食事へ行った日に着たコーディネイトで、帰宅後に家で写真を撮ったのですが…最近入れたタイマーアプリを上手く使いこなせず、今日の日記はどれも何だか写真が小さなサイズになってしまっていま。今更撮り直しもきかず、いま一つ分かりにくい画像で申し訳ありません。
 こちらの縞きものは、袷です。こちらも頂きもののため産地不明ですが、全体にやや強めのしぼが入っています。十日町辺りでしょうか。黄みがかったベージュに焦げ茶で縞を織り出しています。
 帯には、祖母が染めた牡丹唐草の名古屋帯を。茶色地に黒の色付けのため、更紗のような雰囲気に見え、季節に関係なく締めています。
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 実は、この日の帯揚げと帯〆は、赤地の縞単衣の時に合わせたものと全く同じです。意図的に合わせようと思った訳ではなく、偶然に、と言うか、無意識に、この組み合わせを択んでいました。全く違う色合いのきもの×帯にも、意外にも合ってしまうことが面白いなと思います。それで同じ日のブログに並べて載せてみたものですが…いかがだったでしょうか。
 今週は、この後、二つ華やかな会に行く予定があるので、きれいめのきものコーディネイトブログをアップ、そして、夏の間に精魂傾けたお仕事(きもの関係)もお知らせ致しますので、良かったら期待してお待ちください!タイマーアプリの画像サイズも今後はちゃんと調整します!
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金木犀のきものでレストランへ 2014/10/16



おきものコーディネイト日記、今日は、季節の花のきもので出かけた日のコーディネイトです。
二回の台風ですっかり花が落ちてしまいましたが、東京ではついこの間まで金木犀が花盛りでした。町のあちこちから金木犀の香りがただよって来ると、秋が来たなという気持ちになります。
その金木犀の花と木を染めたきもので、母の誕生日の家族での食事会へ出かけました。
きものは、祖母が染めたものです。あまり見かけない柄付けのかんじやどこか素朴な力強さがあることから、恐らく、ありものの型ではなく、自分で絵を描き、型を起こして染めたものではないかと思っています↓
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お店は、井の頭公園のすぐ脇に立つ老舗の一軒屋レストラン、芙蓉亭。螺旋階段のある素敵なインテリアで、正統派のフランス料理を頂けます。
http://www.fuyotei.com/

帯周りはこんな風に↓
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茶色地に、分かりくいかも知れませんが、金糸で月が意匠化された洒落袋帯を締めています。
帯揚げには、薄いベージュ地に茶色と黄色の縞が絞りで入った一枚を。そして、帯〆にはちょっと遊び心がある一本を入れています。
紺色の丸唐組に、藤色の七つの小田巻が自由に動く、かわいらしい作りの帯〆なのです。帯揚げ、帯〆、共に龍工房のもの。一枚目の写真では七つの玉を全部つなげて並べていましたが、二枚目の写真では、二つと五つに分けて並べています。途中、七つ一つ一つを等距離で少しずつ間を空けて並べてみたりもして。色々遊べて楽しい一本です♪

このきもの、一見、小紋に見えますが、実は葉の緑が濃くなったり薄くなったりしていて、金木犀の木に光が当たっている様子を描いています。だから、付け下げ扱いでしょうか。毎年、わずかな時期にしか着られない、祖母の染色魂がこもったきものです!
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備後絣(木綿きもの)で和裁所へ 2014/10/12



おきもの日記、前回のエントリとは打って変わって、今日は木綿きもので出かけた日のコーディネイトをご紹介したいと思います。

今年3月に倉敷旅行をした際に購入した、倉敷(岡山県)のきもの、備後絣。すぐに仕立てに出して、実は6月の単衣の季節に一度着用していました。
…が、例によって仕事が忙しく、日記にアップする機会を失っていまして…実は、写真だけ撮っていてアップ出来ていないコーディネイトが山ほどあるのです…

そこで今日は、その6月の際のコーディネイトと、今回、秋になってから着たコーディネイト、お得な?二点セットで!ご紹介したいと思います。

コーディネイト1:木綿きものに織り帯を

まず、6月はこんなコーディネイトで出かけてみました↓
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合わせた帯は、織り八寸の名古屋。破れ七宝文様を織り出していて、よく締めている一本ので、こちらの日記を時々見て頂いている方でしたら「また締めてるな…」とニヤリかも知れません。活用頻度高めです。
帯揚げには、あまり分からないとは思うのですが、レモン色地に紫陽花の花が青で絞り染めされた一枚を入れました。まだ6月で、紫陽花の季節だったので(季節感全くずれていてすみません)。
帯〆には、少し色味の違う黄色の洋角組を。

この日は、料理研究家の友人・井上眞理子さんが主宰する日本ワインと軽食を楽しむ会「HAPONワイン物語」のお手伝いをしていました(と言っても料理下手な私なので、お皿を並べるとか、そんな程度です)。
こういった裏方役を務める日、しかも汁などが飛ぶ可能性がある料理イベントの日には、家で洗濯出来る木綿の絣なんて正にピッタリかしらと着用しましたが、男女問わずお客様に大好評。素材などについての質問も多数頂き、「やっぱり日本人はみんな藍色が好きなのね!」「木綿の着物には何となく親近感がわくのかな?」と嬉しくなった一日でした。

コーディネイト2:塩瀬染め帯を合わせて

さて、そんな木綿きものを、先週はこんなコーディネイトで。
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帯周りはこんなかんじです↓
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祖母が東京紅型で染めた山里の風景文様の帯に、龍工房の矢羽柄の帯〆。同じく龍工房の縮緬帯揚げを入れています。実はきものの絣文様が微妙に矢羽のような形をしているので、帯〆の柄とリンクさせてみました。

後姿も撮って頂きました↓
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祖母が楽しんで田舎の風景を染めた気持ちが伝わって来る帯です。撮影して頂いた、人気きものブロガーの“きもの花椿”さん、ありがとうございます!いつも撮って下さる人がいないので前帯しか披露出来ておらず、祖母も大変喜ぶと思います。

「花子とアン」のきものを制作した和裁所

ところで、最初の一枚で一緒に写っているのは、このきものを仕立てて頂いた和裁所“海老原美智子プロきものスクール”代表の海老原美智子先生です。
この和裁所のことは、これまでにも何回か書かせて頂いたので、覚えて頂けている方も多いのではないかと思います。
昨年、私が企画・制作した時代きものイベント“江戸着物ファッションショー”で、江戸時代の帯の再現制作をして頂いたことからご縁が出来、その後、仕立ての勉強のために時々見学をさせてもらっている和裁所です。
その経緯をこちらの和裁所所属の和裁士でもある“きもの花椿”さんがブログでご紹介してくださっているので、ご覧くださいね↓
http://kimonohanatubaki.blog.fc2.com/blog-entry-413.html#comment861

さて、先生とのお写真で、背景にたくさんの方がちくちくと縫ったり、仕立ての具合をチェックしたりしている様子が写り込んでいますが、こちらの和裁所は、プロの和裁士としてお仕事をされている方と、生徒さんとして和裁を習っていらっしゃる方が同じ場に混在し、非常に和気藹々とした雰囲気が大きな特徴です。
あの人気店のおきものも、それからあちらの人気店のおきものも、ここでお仕立てやお直しをしているんです!…と名前を書きたいところですが、それはもちろん企業秘密。
また、NHKの朝ドラも半年ごとに担当していて、そう、大好評を博していたあの「花子とアン」の衣装も、こちらで制作されていました。蓮子様の衣装も、少し前まではすぐ横の棚に積み上がっていたのですのよ…!

羽織から帯への仕立て替え相談と、村山大島仕立て上がり!

…と、本当に楽しくいつもこちらに伺っているのですが、この日は、お仕立てに出していた村山大島の単衣が出来上がったので、取りに伺いました↓
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海老原先生にたとうを開いて見せて頂き、にっこにこしています。とてもシックな村山大島。10月中は単衣を着ようと思うので、またこの日記でご紹介出来ることと思います♪

そしてもう一つ、祖母の遺品の中の羽織を、帯に仕立て替えたいと思い、その相談にも伺いました。今回、総絞りの羽織と、祖母が染めた東京紅型の羽織、二枚を名古屋帯に仕立て替えたく、真剣に相談中↓
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さてさてどんな帯になるか…は、今後のお楽しみに!
きものの外出は本当に楽しいです♪
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ホテルでの立食パーティーに華やかな小紋で 2014/10/05



 台風の日曜日、我が家の庭にも大量に雨が降り注ぐ音が聞こえています。
 そんな中、午後はきものでパーティーに出席していたので、久々にきものコーディネイト日記をお送りしたいと思います。
 そう、このところあまりに仕事が忙し過ぎてきものを着る機会がなく…先月は3回しか着られずかなりフラストレーションがたまっていました。今、爆発的にきものを着たい気持ちが燃え上っています!頭の中でコーディネイトがぐるぐる渦巻いています!今月は、週2回くらいはきもので外出出来そうなので、このぐるぐるをどんどんと放出して行きたいと思いますので皆様良かったらおつき合いくださいませ!!!

 さて、そんな今日はどのようなコーディネイトだったかと言うと…
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 きものは、小糸敏さんの菊文様の小紋。ほとんど白上げで、ところどころ花芯のみ桜色に染められています。小紋ですが、大柄の模様付なのでとても華やか。袋帯や華やかな名古屋帯を合わせて、パーティーのような場に着て行くことがほとんどの一枚です。
 帯は、唐草華紋の袋帯。京都の加納幸製で、銀糸と少しの色糸で織り出しているシンプルな色使いのため、どんなおきものにも乗る便利な一本。しかもとても軽くて締めやすいのです。
 コーディネイト全体が白と水色のすっきりとした色使いになって面白みに欠けるため、帯〆に少し遊び心を忍ばせてみました。萌黄色に、金糸も入った、太めの幅の一本を。地内記組はあまり締めている方がいないので、ちょっと自己主張が出せたかなと思います。
 本当は、帯揚げにもう一段濃い色目の紫色を入れたかったのですが、手持ちがなく…淡めの紫色地に、菊や梅などの文様を織り出している綸子地の一枚を入れています。ああ、帯揚げ、100色くらい揃えたいものです!

          *

 今日出席したパーティーは、地元・吉祥寺の呉服屋店「ふじや」さんの八十周年を祝う会でした。会場は、これも地元の、吉祥寺第一ホテル。
 我が家では、ふじやさんがこの地に開業した少し後に祖父が土地を買い、それ以来の吉祥寺暮らし。ほぼふじやさんと同じくらいの年月をこの街で重ねています。
 実は、吉祥寺では、以前は十五軒も呉服屋さんが軒を競っていたのだそうです。父の小学校の同級生にもそんな呉服屋さんの息子さんがいたと言いますし、以前、浅草の老舗履物屋・辻屋の女将の富田里枝さんとお話ししていたら、「昔は吉祥寺に支店を持っていたのよ」とおっしゃっていました。かつて吉祥寺は、武蔵野周辺に住む人々の“きものおしゃれ発信地”だったようなのです。
 
 けれど80年の間に、きものを巡る環境は激変。現在、昔ながらの暖簾を守っているのは、ふじやさん一軒だけになってしまった、と、今日のスピーチの中で当主の目黒さんがおっしゃっていました(注*その代わりに、くるりさんや三松さんなど、新しい呉服屋さんも出来ています)。
 我が家のきものは、祖母や大叔母などから伝わって来たもの以外は、ふじやさんで買うことがほとんど。吉祥寺、三鷹、練馬には、我が家のようなお客様がたくさんいらっしゃり、今日は皆さん思い思いの“ふじやで買ったおきものコーディネイト”で雨の中を集まっておられました(私の今日のきものと帯も、もちろんふじやさんで求めたものです)。
 そして、私も母と一緒に参加しましたが、親子でいらっしゃっている方、それから、お友だち同士の方も大勢。正に“地元の呉服屋さん”で、昔は日本全国あちこちに、こんな風な“我が町の呉服屋さん”があったのだと思います。
 今ではきもの人口自体がぐっと減ってしまいましたから、きものは、デパートや、大きな都市の有名店で買われる方が多いのではないかと思います。もちろんそれも素敵なことですし、私も時に違うお店から、また、作家さん・工房さんから直で買うこともあります。でも、ふじやさんのような地元の呉服屋さんが、その街その街の暮らしに根づいて、独自の仕入れをする…そんな伝統も絶えないでいてほしいなと思うのです。
 実は今日のパーティーは、三代目への代替わりのお披露目でもありました。心から、私の街・吉祥寺のこのふじやさんが、ずっとずっと吉祥寺の街で楽しくご商売を続けられることを願う一日でした。
    
          *

 ところで、私の後ろに写っている振り袖、皆さん気になったのではないかと思います。
 これは、人間国宝・森口華弘先生の作品!
 ふじやさんのおきものは問屋の市田さん扱いのものをかなり入れていらっしゃるのですが、おめでたいお祝いの日ということで、今日は市田の社長も駆けつけていらっしゃり、特別に、市田所蔵の森口先生のお作も舞台上に飾られていたのでした。大変に近くで拝見することが出来、眼福でございました!
 そして、おまけの写真を(ここに、もう一枚の森口先生のお作も写っています)。
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 吉祥寺には、江戸時代・文久二(1862)年に、村のお祭りのために作られた“武蔵野囃子”というお囃子があります。今日はそのお囃子の皆さんも会をにぎやかに盛り上げてくれました。
 地元の呉服屋さんのこれまでの道のりと前途とを祝う、地元の人々によるパーティー。他のお客様とも楽しく歓談し、大雨も忘れて何とも楽しい午後でした。何しろ地元の会ですから、雨の中でもすぐに帰宅出来ましたし♡

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浴衣でお食事会へ…コーディネイト失敗の巻 2014/08/29



ここのところ東京は、毎日、涼しいを通り越して肌寒い日が続いています。そんな中、浴衣のコーディネイトを載せるのはどうかしらと思ったのですが、ここで載せないともう夏も終わってしまうし、来週は少し暑さが戻るとも聞くので、思い切って。
先週末、まだ蒸し暑かった日に、と或るカジュアルダイニングでの、友人とのお食事会に出かけた日のコーディネイトです。

模様がよく見える寄りの写真がこちら↓
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全体がこちら↓
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浴衣は、讃岐地方の保多織り生地に菊唐草を染めたもの。7月4日の日記で着ていたものと同じ浴衣です。
帯は、前回は黄色の半幅を締めましたが、今回はピンク色にしてみました。写真だと普通の博多織りに見えると思いますが、実は、素材は綿。献上柄を綿で織り出したものなのです。知人からの頂きもの、大切に使っています。
この日、結び方はカルタにして、白の帯締めに、T.O.D.さんのふくら雀の帯留をしています。このアップの写真を撮り忘れてしまったので、またこの帯留を着用した時に撮りたいと思います!
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鞄は、別府竹細工の籠バッグ。以前、お仕事で別府竹細工の職人さんを取材した時に買いました。私が取材した方は、竹製の車椅子など、大きなものを作る方だったのですが、現地のお土産物屋さんでこのバッグを見つけ、取材旅行の記念に購入。
財布、小さめの化粧ポーチ、文庫本、250mmlペットボトル、ハンカチ、名刺入れ、避難グッズ(携帯充電器と小さなお菓子)など入れても大丈夫なので、結構容量がありますが、それでも3000円か4000円台だったと記憶しています。お得過ぎ!ですよね。皆さん、大分に行った時は、現地の売店で、ゼヒ別府竹細工の鞄を探してみてください。

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ところでこの日のコーディネイト、自分的にはうーん、いま一つ。それぞれのアイテムはどれも気に入っているものばかりなのですが、何か顔に合っていない気がします。7月4日の組み合わせの方が良かった…。
たぶん、ピンクの帯がかわい過ぎて、年齢にそぐわないのですね。この帯をするのだったら、また違った浴衣なりきものにしなければいけないのだと思います。
…という訳で、今日のコーディネイトは失敗の巻。地味過ぎても沈んでしまうし、かわい過ぎても若作り感…とかく四十代のきものは難しいです。少なくとも自分の中で晴れ晴れとした気持ちになれるコーディネイトを目指して…頑張ります!

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押入れから見つけた祖母の手染め布、帯にする?鞄にする? 2014/08/26



八月も最終週に入り、すっかり夏も終わりの気配がただよって来ました。我が家の庭では、夕方になるとしっかりと秋の虫が鳴き始めています。

そんな中、先日押入れを開いて探し物をしていたら、つづらの一番下から1メートルほどの布が出て来ました。開いてみると、東京紅型染めをしていた祖母が、夏の草花と小物を染めたものだったのです!
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恐らく、暖簾か帯に染めようと、本番に入る前に試し染めをしたものだったのではないかと思います。上下同じ柄を染めていますが、上の団扇の中に染めているエ霞文様には、少し染めむらがあったりして…

          *

さて、この布、せっかくの祖母の手製なのだから、つづらにしまいっぱなしではなく、何らかの形で活用したいと思いました。
真っ先に考えついたのは、帯です。
お太鼓に出せるだけの分量で文様が染めてあるので、染めむらのない方をお太鼓に回し、染めむらのある方を前帯に回そうと思いました。もちろん、これだけでは到底帯全部をまかなうことは出来ませんが、足し布をすれば良い訳です。

そして、その前帯に回す分は、縦に二つに折るのでも良いし、でもそうすると団扇が途中で切れてしまうので、横に二つに切って、関東巻と関西巻で違う柄が出るようにするのも良いかなと思いました。
そして、足し布は白ではなく、例えば花の中の一色を取って紫色の布などにして、お太鼓の垂れもその布で作ったら、おしゃれ?…などと夢が膨らみます。

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「あーもうこういう時はいつもの和裁所に相談!」
と思ったものの仕事が忙しくてなかなか時間が作れず、実は取材に出る時などにいつもこの布をバッグに入れていました。
「今日取材早く終わったら、和裁所に行こう♪」
と思うのですが、なかなかどうしても長引いてしまったり、早く終わっても家で急ぎで書かなければいけない原稿があったりして、早一か月…
でも、先週、やっと念願かない、思いがけず2時間くらい早く終わった取材から、渋谷へ直行。いつもお世話になっている和裁所「海老原美智子プロきものスクール」へお邪魔することが出来ました。(以前は「松井扶江プロきものスクール」という名称でしたが、この春より松井先生が引退されて、後継者の海老原先生のお名前を冠すようになりました)

そして、早速布を広げて先生方と相談。その様子を、和裁所の一員である人気きものブロガー“きもの花椿”さんが写真に撮ってブログで紹介してくださいました↓
http://kimonohanatubaki.blog.fc2.com/blog-entry-376.html

1枚目では私がにんまりと笑い、2枚目では先生方と侃侃諤諤議論しています。私がお腹のところに手を当てて、帯にした場合の文様の出し方など相談しているのがお分かり頂けるでしょうか。

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そんな楽しい相談の結果、実は、まだどう仕立てるか迷っています。
迷ってしまう一つの理由は、文様が夏のものであるのに、生地は、単衣などにふさわしい、やや薄手の紬地であるため。私としては、この文様なら夏に締めたいのですが、お太鼓にどーんと季節違いの布が来るのは、うるさ方のおばさまなどにあれこれ言われてストレス多そう…と二の足を踏んでしまいます。
ただ、単衣の時に締める帯として作るのは有りかな、と。

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それとは別に、皆でワイワイ話している時に出て来たアイディアが、これだけの分量があるんだから、夏用の鞄にしたらいいんじゃない?というものでした。
確かに、ヴィトンの、名前を忘れてしまいましたが、やや縦長のバッグ。一時期キャリアウーマンがよく持っていたあのタイプの形に近い夏鞄が作れそうです。私は仕事の取材時にきもので行くこともあるので、そんな時、A4の資料をそのままポンと入れられるのは何とも魅力的。

…ということで、その場では決められず、どうせ今年の夏ももう終わるのだし、もう少しゆっくり考えようと、そのまま家に持ち帰って来ました。夏鞄、或いは単衣時期の帯に仕立てるとしても、来年の5月、6月までまだ大分時間がありますから、しばらく悩みたいと思います。
そうそう、この日は、ずっと以前に購入したものの仕立てていなかった村山大島の反物も持参して(これも、がらがらバッグに入れていつも持ち歩いていましたw)、単衣に仕立てて頂くようお願いしました。
こちらは、9月終わり頃には仕立て上がって来る予定です。10月も単衣を着てしまう予定なので、皆さまにご披露したいと思います♪

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モダン茶会に浴衣で参加…の日のコーディネイト 2014/08/22



前回のエントリから大分日にちが経ってしまいました。
このところお仕事が非常に立て込んでいて、ブログ更新もままならない日々が続いていたのです。
もう、お尻に根が生えて来そうにひたすらPCの前に座って原稿を書いていたり、はたまた連日取材や撮影が続いたり…猛暑や台風の中、大変な日々ではあるのですが、どのお仕事も絶対断りたくないやりがいのあるものばかり。打ち込んで過ごしています。

    *

さて、そんな中、今日は少しだけ余裕が出来たので、ブログを。
少し前のことになりますが、“ミルクティー茶会”と題して開かれた、モダン茶会に参加した日のきものコーディネイトご紹介日記です。

着ているのは、7月21日のブログでも着ていた黒地の浴衣です。モダン茶会ということで、衿を入れずにそのまま浴衣として着て行っても問題なかったのですが、場所自体は正式な茶室で行われることが分かっていたので、足袋を履きたいと思い、襦袢を着て衿を入れました。

上半身のコーディネイトが分かる写真がこちらです↓
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自分撮りが下手で、帯まで入れて撮ることがどうしても上手く出来なかったため、帯周りだけでも撮ってみました↓
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帯は、麻地に織りで縞模様が入った名古屋帯。明るめの辛子色の帯締めで全体を引き締めました。

足元は、こんな色合い↓
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私は傘を持つのがどうにもわずらわしくてふだんは日傘をささないのですが、この日は強烈な暑さだったためさすがに日傘持参。どこ製のものか忘れてしまったのですが、伊勢丹の呉服売り場で夏物フェアをやっていた時に購入した一本は、鼠色地に麻の葉文様を江戸小紋型で染めたものです。このコーディネイトに、別府竹細工の籠バックを下げて出かけたのに、写真を撮り忘れました。またの機会に写したいと思います。

        *

私の中では、今年の夏はもう終わったも同然。引き続きお仕事に邁進している間に秋になっていそうです。どうにも忙しく、あと1回夏物で出かけられるかどうか…
が、おかげさまでこれから秋まで、今進めているお仕事を皆様に随時お知らせして行けそうです。良かったらご高覧ください…!
そして、こちらのブログの方も何かしら日々気づいたことを短い日記ででも更新出来たらと思いますので、時々覗きにいらしてください。まだまだ残暑が続きそうですが、皆さま、お元気で!

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頂きもののきものに新品の帯を締めて、服飾史講座へ 2014/08/05



現在、日本橋の三井記念美術館で開かれている、「能面と能装束 」(特別展示「三越伊勢丹所蔵 歌舞伎衣装」付き)展。
その展覧会に付随して、日本染織史の第一人者である武蔵大学・丸山伸彦先生の特別講座「服飾史から見る歌舞伎衣装 三越伊勢丹所蔵品を中心に」が開かれたので、参加して参りました。

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江戸時代以降のきものの発展に、歌舞伎が与えた影響は非常に非常に大きなもの。その歩みを繙くと同時に、今回の展示作の解説をして頂きました。大学の服飾史講義レベルの深い内容で、大満足。
特に、徳川家歴史好きの私には、大奥で歌舞伎を演じた「御狂言師」の衣装についての解説があり、感激しきりでした。大奥関連の資料を読んでいると、時々目にする、この「御狂言師」という存在。どの資料を見ても、どういう役割を果たしていた人だったのか、基本的な情報しか得られなかったところに、急に生き生きと色彩が加わった思いです。この部分だけでも、講義に参加して良かった!
会場も満席で、服飾史マニア、或いは美術史マニアの方々なのでしょうか、一言も聞き漏らすまいとメモを取っていらっしゃる方も多く見かけました。同好の士の方々と過ごす現場感は最高です!

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さて、ここからはきものコーディネイトご紹介です。講義後、先生と写真を撮って頂きました↓
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実は先生とは、私の母が大学・大学院時代、先輩―後輩の間柄(母の方が先輩です)。私が小学生の頃には、夏休みに先生に遊んで頂いたこともありました‥!
まさかその時には、自分が将来このお兄さんが研究されている分野に興味を持ち、講義を聞きに行くことになるなんて想像も出来ず…人生何が起こるか分からないですね。

きものは、友人のおばあさまの遺品を頂いたもののため、産地が分からないのですが、たぶん夏塩沢ではないかと思います。しゃりっとしてかなりしぼが強いので、着ていてとても涼しく…写真では分かりにくいのですが、透け感もあります。色は、写真では黒っぽくなってしまいますが、渋めの紫で、蚊絣のような細かい十字絣が飛んでいます。しつけ糸のついている新品を頂き…ありがたく着用させて頂いています。
色みが落ち着いているので、私の年齢で白っぽい帯を締めてしまうとおばあさんになってしまうので(曾祖母がいつもそんなコーディネイトをしていました)、帯には、黄色の博多帯を合わせて。

西村織物製のこの博多帯は、今回のきものなどに合わせることを想定して、今年購入しました。
最近の博多帯は、黄色地の場合、青や白で文様を織り出すすっきりとしたものも多いかと思いますが、私はきもののコーディネイトは、すっきりさせ過ぎない方が粋だと思っているので、赤が入っているこちらの色合わせのものを選びました。紗献上ではなく普通の博多なので、袷の季節も含め、様々なきものに合わせて行こうと思います。
帯揚げには、この薄いグレーの色が気に入って、シフォン地のスカーフを帯揚げ代わりに入れています。

「能面と能装束」(特別展示:三越伊勢丹所蔵歌舞伎衣装付き)展は、9月21日まで開催。
三井家所蔵の能面の最高傑作(重文だらけ!)が勢揃いの上、能衣装と歌舞伎衣装の逸品も見ることが出来ます。
私も、今回は仕事が詰まっているため講義だけを伺いに行き、展示は駆け足でしか見られなかったので、会期中にもう一度足を運ぼうと思っています。皆さんもゼヒお出かけになって見てください。

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白地の浴衣で、“東京二大水羊羹食べ比べ会”へ 2014/07/29



私が通っているお茶の教室で、週末、ちょっと面白い試みをしました、
実は私の社中は、もしかしたら東京一お菓子に命を懸けているのでは?と思うくらい、毎回毎回のお稽古からお茶会まで、お茶菓子に力を入れています。
そんな我々の社中で、数年来、一つの懸案事項がありました。
それは、夏を代表する和菓子と言えば水羊羹だけれども、では、「東京で最も美味しい水羊羹はどこのものだろう?」というもの。
実はかねてから、両国の越後屋若狭と大久保の源太が双璧なのではないか、と、我が先生や特にお菓子に詳しい“お菓子重鎮”たちから意見が出ており(ちなみに私などは、我が社中においては全くお菓子が詳しい方には入りません‥)、毎年七月のお稽古ではどちらかの水羊羹を頂いていたのですが‥、そうだ、どうせなら同じ日に同時に食し、どちらが美味しいか審査しようじゃないか!と、“東京二大水羊羹食べ比べ会”を開くことにしたのです。
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その天下分け目の?審査?の様子が、上の写真です。‥じゃーん!左が越後屋若狭、右が源太の水羊羹。源太のものは、かなりおぼろ状なのがお分かり頂けるでしょうか。
その日、総勢十八名、自分が美味しいと思った方のお皿を畳の縁の前に出す‥という形式で行った、まあ、たかがお菓子ごときでばかばかしいと言われてしまえばそれまでなのですが、何とも楽しい催しでした。

     *

気になる結果は‥もちろん、どちらも美味しい‥!最高レベルの水羊羹でございました。
その味を舌の上でじっくりと吟味・精査してみれば、越後屋若狭の方が甘味をやや抑えめにした、渋い味わい。源太の方が甘味が強く、でも決して下品な強さではない、そんな両雄それぞれの良さを持ったお味に、本当にどちらも美味しく甲乙つけがたかったのですが‥私個人の好みでは、源太の方に軍配を上げました。
おぼろ状ということは、舌に触れる一つ一つのかたまりの大きさは必然的に小さくなり、印象も小さくなるはずです。そこを計算して配したやや強い甘味成分、その配し具合が絶妙に思えたので一票を投じたのですが‥、でも本当に、好みの問題だと思います。
社中全体では、十対八で源太に票が多く集まりましたが、これは決して若狭がダメだったということではありません。若狭も本当に本当に美味しいのです。そうなのです。皆様も良かったら夏の酔狂に、こんな楽しい会を開かれてみてはいかがでしょうか。

      *
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さて、楽しい催しに、浴衣での参加がOKでしたので、私は白地の浴衣で参加しました(室内では失礼になるので足袋を履いていました‥足袋ソックスでしたがw)。
大柄の蝶が配された、実は頂きものの浴衣で、「染と織 藤井」というたとうに入っていたので、そこのものだと思います。池之端にあるお店ですね。
帯は、7月4日の日記で締めていたものと同じ、黄色の博多半幅帯を合わせました。浴衣の模様がかわいらしく、色も白地なので、赤系の帯では私の年齢では甘くなり過ぎてしまうかな、と、黄色を入れて全体を引き締めてみたものです。
それにしても、大の甘党の私がたまたまこれほどまでにお茶菓子を追究するお教室に出会えたこと、本当に幸せに思う週末の午後でした♪

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「美しいキモノ」アカデミー出席の日のきもの 2014/07/24



大分前のことなので恐縮なのですが、今日の日記は、雑誌「美しいキモノ」が開催するきもの講座「美しいキモノアカデミー」に参加した日のコーディネイトをご紹介します。
何せ6月の開催だったので、きものはまだ単衣です。ちょうどこの頃仕事が立て込んでいて、アップデート出来ないまま時間が過ぎてしまったのでした。
当日は、こんなきもので参加しました↓
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きものは、私の祖母が東京紅型の技法で染めたものです。
ちりめんではなく紬地に染めているのがやや珍しいかも知れません。丸紋つなぎ文様を、茶系の同系色で染めていて、祖母の趣味全開!の一枚です。
帯は、もう6月の後半でしたし、絽を締めました。ちなみに襦袢も麻の襦袢を着て、半衿も絽にしていました。帯の文様は、片輪車。絽刺しで表現されています。

このきものは、6月10日の日記で着ていたのと同じものです。
この時は若竹色の帯に黄色の帯締めを合わせていました。やはり帯で大分印象が変わると思います。
http://www.maya-fwe.com/4/000289_J.html

ところで、今回の写真で私と一緒に写っている裃は、小千谷縮で織られています。ものすごく薄いのがお分かり頂けるでしょうか。江戸時代より続く小千谷縮の名門“西脇商店”が所蔵するもので、江戸時代、当主が正装用に作ったものだということ。今はここまで薄い小千谷縮は織ることが出来ないのだそうです。

       *
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この日の講座では、西脇商店の現当主(十一代目)西脇一隆氏から、小千谷縮の歴史を直接学ぶことが出来ました。西脇商店は徳川御三卿の田安徳川家の御用も務めていたということで、貴重な「田安御用」の看板を生で見ることも出来、歴女…特に徳川歴史好きの私は大感激だったのでした!
看板の横にあるのは、西脇商店の縞帳。これも大変貴重なもので、何時間も見ていたい思いでした。

       *

この日はもう一講座、友禅染めの人間国宝・田島比呂子氏の作風や人柄について学ぶレクチャーも開催されました。その中で田島さんの制作風景を記録したドキュメンタリー映画が上映されたのですが、私がとても感動したのは、田島さんがあまりにも普通で・質素な環境の中で次々と傑作を生み出されていたという事実でした。
人間国宝と言うと、何か非常に立派な工房をお持ちで、広々とした風格ある作業台にばーんと反物を広げて創作に励んでいるような、そんな風景を思い描きがちです。けれど田島さんが住んでいらしたのは、ごく普通のマンション。しかもそれほど広くもないお家のようで、本当にごく普通のリビングルームのようなお部屋の小さな机で、少しずつ少しずつ反物を広げて作品を描かれているのです。
そして、染め物では、描いた後に“水元”と言って反物を洗う作業が必ず入りますが、私たちが染織の教科書でよく見るのは、長いプールのような専門家らしい装置を使って水元を行う姿。けれど田島さんはマンションの中のごく普通のお風呂場で、その傑作友禅作品を洗っていらっしゃるのです。
私などはええかっこしいのところがある低級な人間ですが、田島さんは違う。これこそ純粋な芸術家の姿だな、とその場面を見た時、ちょっと涙がこぼれそうになりました。芸術作品は環境によって生み出されるのではない。作家の才能と情熱があれば、どこからでも傑作は生まれるのだということを思い知らされた場面でした。

       *

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この日の講座では、休憩時間に両口屋是清の上生菓子と抹茶(お薄)を頂くという嬉しいおまけもありました。
何と、両口屋の職人さんが朝から出張で来られていて、六十人分作って下さっていたというお菓子!更に余分の材料で、その場で作り方の実演もして下さり、甘いもの好きの私はうっとり‥でした。
実は両口屋の上生菓子を食べたのは今回が初めてだったのですが、さすが、こちらは御三家の尾張徳川家御用達だっただけあって、とてもとてもとてもとても美味しい上生菓子でございました!

      *

また、この日もう一つ感激したのが、お茶があまりにも美味しかったことでした。
写真を撮るのを忘れたのが大失敗だったのですが、裏千家の桂宗裕さんが六十名分点ててくださったもので、裏千家らしくきれいに立った泡が、正に「名人が作る食べ物は見た目も良い」を地で行き、芸術的に美しく、お茶碗の中で均等に泡立っていたのでした。
そしてお味も‥!私もそこそこ茶会などに出ている方だと思いますが、間違いなく“人生ナンバー1お薄”のお味でした。
桂宗裕さんは、「美しいキモノ」にもよく登場されておきものコレクションをご披露されているので、ご記憶の方も多いと思います。きっと気配りもとてつもない方で、そうでなければとてもこんな味は出る訳がないだろうと思わされる一服でございました。
本当に、こんな方がされるお茶会はどんなに行き届いて素晴らしいのだろう‥と、ずぼらな私などは生まれ変わったらこんな女性になりたい、或いはこんな方を妻に持つ旦那さんになりたい、或いは、こんな方を部下に持つ女社長になりたい‥などといつものよけいな空想癖をぼわわんと頭に浮かべ、それにしても初夏の半日、たくさんの学びと“口福”を味わえたレクチャーだったのでした!

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黒地の浴衣に麻の半幅帯で、BBQパーティーへ 2014/07/21



もう昨日のことになってしまいましたが、“寝るまでが今日”と思っているので、今日ということにしてしまいます!今日・20日、都内は、夜になって激しい雷雨に見舞われましたが、午後はまずまずのお天気でした。私は、その都内某所にある素敵な素敵な友人宅で開かれたバーベキューパーティーにお招きを受け、浴衣で参加していました。そのコーディネイトご紹介ブログです。
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浴衣は、黒のぼこぼこと凹凸のある木綿地(紅梅地やしじら地ではありません)に、絞りで、変わり麻の葉文様にも見える菱と十字を表したもの。生地の凹凸が空気を通し、さらっとした肌触りが嬉しい一枚です。
その浴衣に、帯は、ややピンク色がかった茶色に一本縞の、麻の半幅帯を結びました。写真では帯の上部に皺が寄ってしまっていて、お見苦しくてすみません。

      *

上の写真は友人宅内で撮ったので、足元は別カットで↓
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日本の色の名前は人によってかなり感じ方が違うことが多く、決めるのは難しいなと感じますが、この鼻緒の色は「柳色」が一番近いでしょうか?やや鼠がかかった鶸色の鼻緒のついた、右近下駄です。そして、お茶を学んでいると、手の爪は派手な色には出来ないので、足だけは現代風に、華やかなマニキュアを縫っています。お稽古の時は足袋を履くので、見えませんから!
黒の浴衣は、帯の色次第で、女らしい印象にも粋にも見えるのが嬉しいもの。この夏中にまた他の帯を当てて楽しもうと思っています!
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色無地のきもので茶会へ 2014/07/09



今日は朝から新幹線に乗って、一路、小田原へ。と或る日本美術関係者の方に茶会にお招きを頂き、楽しいひと時を過ごしました。
茶会が開かれたのは、松永記念館という美術館の中にある茶室です。
この美術館は、明治から昭和にかけて、主に電力業で財を成した松永安左ヱ門(宗名は耳庵)が晩年に住んだ邸宅と茶室を、小田原市がそのまま保存して運営しているもの。当時の成功した財界人の財産は桁違いですから、庭にはこんな素敵な蓮池があったりもします。
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実は、私は蓮の花が大好きで、好きな花第2位にランク付けしているほどなのです。朝、会場に着いた時は花が開いていたので、うっとりとしばし見とれてしまいました。あいにく朝方は茶会の前ですから、写真を撮るほどの時間はなく、この写真は午後遅く、閉じた状態の写真です。…が、それでもこの池や庭の美しさは伝わるかと思います。

        *

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さて、今日のきものは、絽の色無地です。
私は、きものは、藤色からワインレッドまで紫がかった色が好きで、気がつくとよく着ているのですが、今日の色は、江戸紫(写真だとやや青みが強めに出ています)。紫系は着た時にどこか甘い雰囲気になることが多いものですが、江戸紫にはいさぎよい、言ってみれば男っぽさがあるような気がします。やはり、江戸の人の好みの色なんだなということを実感させれられました。後姿は撮っていないのですが、一つ紋が入っています。
そのきものに、前々回のブログでも締めていた、ひなやの格子文様の袋帯を締めました。帯締めは、紫系や黄色など色々試したのですが、茶会ということですっきりと白の冠組を入れました。
帯揚げは、写真ではあまり見えないのですが、淡い灰色にかすかに金色の水玉模様が入った“布”を入れています。実は、これ、帯揚げではなく、母のシフォン地のスカーフなのです。「合いそう!」と直感が働いたので、貸してもらって入れてみました。こういう遊びも楽しいですね。

       *

茶会のご亭主の了承を得て、茶会の様子を一部ご紹介します。
下の写真は、寄付の様子。現代アートと古伊万里の共演が新鮮です。
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こちらの写真は、茶室で、薄茶まで総て終わった後、もう一度茶入を見せて頂いた時にお床に置いて撮ったもの。
まず、花入は、有松の現代アート作家の作品で、小学校などで使うパイプ椅子!の脚の廃材に手を加え、美しい花入れにしたもの。蕾の百合と見事に調和していました。侘茶らしい味のあるいい作品を見つけられたな、と感心して眺めておりました。
そして、茶入は、江戸初期の瀬戸の肩衝。写真には撮っていないのですがお茶碗も素晴らしく、眼福の茶会でありました。

週半ば、平日のお昼間に、お茶やお道具を愛する方々とのひと時。雨の合間を縫っていかにも日本人らしい遊びの時を過ごせたこと、お招き頂いたご亭主と連客の皆様に深く感謝しています。

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婦人画報社の浴衣デーに参加しました! 2014/07/04



今日は、最近お仕事をさせて頂く機会の多いハースト婦人画報社の浴衣デーにお招きを頂き、参加して来ました。
浴衣デーとはどういう催しかと言うと、何と社員の皆さんが一日浴衣を着てお仕事をされ、夕方からは噺家さんを招いて臨時の高座を作って寄席。その後は、軽食・お楽しみ屋台付きで歓談を楽しむ、というもの。
社長のイヴ・ブゴンさん(フランス人)が乾杯の挨拶で「きもの文化を残したいから企画しました」と仰っていて、何と、社長の肝煎りで実行された企画だということでした。さすがは「婦人画報」や「美しいキモノ」「いろはにキモノ」を送り出す出版社ですね。
イヴ・ブゴンさんは大変に流暢な日本語をお話しになり、並みの日本人よりもずっと日本文化通。先ごろ京都市から“京都国際観光大使”にも任命されています。こんなにも日本を愛してくれる外国の方がいらっしゃること、本当に嬉しい限りですね。
そのブゴン社長と一緒に写真を撮って頂きました♡
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何と、背中の紋が入る位置には蚊取り線香の洒落紋が入っている粋な浴衣です。もちろん、特注なのでしょうね。後ろ裾の方に蚊の文様が入っていたらしいのですが、蚊取り線香に気を取られて撮っていません。ごめんなさい‥
   
 *

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↑こちらの写真は、いつも大変大変お世話になっています!「美しいキモノ」と「いろはにキモノ」編集長の富川匡子さんと。大変な美人でいらっしゃり気が引けてしまいますが‥一緒に♡
富川さんの浴衣は、おそらく竺仙のものだと思います。竹にふくら雀文様‥かわいい!

あ、申し遅れましたが、私の浴衣は、菊唐草文様です。讃岐の保多織りという木綿地で、紅梅織りなので、肌につかず離れず。紅梅の凸凹に帯が引っかかり、すべりくいという利点もあります。本当に着心地が良くて、もう一枚保多織りの浴衣か単衣を作りたいな、と思うほど。「美しいキモノ」編集部の皆さんにも、「この生地はいいねわ~」と褒めて頂きほくほくでした♪

       *

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浴衣デーには子ども連れの社員さんもちらほらいらっしゃり(素敵な試みですね!)、綿あめを自分で作れる機械が人気。私も童心に帰って作ってみました。楽しい‥♪今日の帯結びは、割り角出しです。

また、本日の寄席に噺家さんを派遣された落語協会さんよりじゃんけん大会の景品も出て、私は結構勝ち進み、こんなかわいい手拭いを頂いてしまいました↓
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「噺家」と「鼻が目立つ鹿」をかけています。かわいいですね。

        *
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会場には、人気きものショップ“くるり”の皆さんもいらしていました。一緒にぱちり。
広報の大川さん(私の左隣り)には、昨年「いろはにキモノ」で取材をさせて頂き、大変お世話になりました。現場がぱっと明るく楽しくなる素敵な方なんです。
今日は皆さん、くるりオリジナルの浴衣を着てらっしゃって、楽しく拝見。そして、きもの談義に花が咲き楽しい時間でした。古典文様を現代的な色合いの中に落とし込むくるりの思想、素敵ですね。オリジナルかんざしを買いに行きたいので、近々地元・吉祥寺のショップ“くるりkesa”に伺いますね~!

…と、今年最初の浴衣を楽しんだ夜でした。
それにしても、毎度夏に思うことですが、ふだんきものを着慣れていると、浴衣って本当に着付けが簡単で、あっけない。襦袢を着ないだけでこんなに簡単に思えるのが、何だか魔法のようです。
こちらの編集部とは、これから秋まで、新しい号を作って行くハードな日々が始まります。現在鋭意企画中。皆さんにお届け出来る日まで、楽しみにお待ち下さいませ!
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絽のきもので寛永寺見学ツアー記(篤姫のお墓も参拝!) 2014/07/02



昨日、上野の寛永寺の特別参拝に参加して来ました。
本当は、台湾旅行記などなど書きたいことも山積みなのですが、ありがたいことになかなかに仕事が忙しく、書くのに長くなりそうな日記はちょっと後回し。まずは、さらっと書けるものからアップして行きたいと思います。
  
       *

さて、今回特別参拝に参加した目的は、徳川家墓所にお詣りするためでした。
非公開のこちらの墓地は、事前に特別参拝に申し込みをしなければ入ることは出来ません。月に何度か参拝日があるので、寛永寺のホームページから申し込みをします(この日記の末尾にURLを記しています)。一緒にツアーを回る方は、昨日は十人くらいいらっしゃいました。

ツアーでは、まず、根本中堂という本堂で住職さんと一緒に般若心経をあげ、その後、30分くらい住職さんのお話をうかがいます。
「え、私、般若心経なんて暗誦出来ないよ!」ともちろん多くの方が心配になると思いますが、大丈夫。ちゃんとお経にふり仮名を振った紙を配ってくださるのです。
余談ですが、私は中国語を学んでいるため、こう言ったお経もどうしても中国語の発音で読みそうになったり意味を中国語で取ろうと頭が働いてしまいます。「色即是空、空即是色」、これ、中国語ですから。‥が、「いやいや、今は日本語の音読みで読むのだから」と、あわてて振り仮名の日本語発音に戻る‥でもまた中国語で読みそうになる…と数秒ごとに頭が行ったり来たりの大混乱で、これはかなり面白い体験でした。

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‥と、そんなことはいいとして、その後の住職さんのお話は、法話ではなく寛永寺の歴史にまつわるお話で、歴史好きには「へー」と言いたくなるような徳川エピソードがちらほら披露され、楽しい時間でした。
その後、一番目の見学場所として、「葵の間」というお部屋に行きます。ここは、徳川慶喜公が鳥羽伏見の戦いに敗れて江戸に戻って来た後、2か月間蟄居した部屋。昨年末に改修工事を終えたばかりで、新しい畳が敷かれとてもきれいでした。(撮影禁止なので写真はありません)
部屋は、八畳と十畳の二間続きの小さなもの。「本来ならあの巨大な江戸城にいたはずの人が、これほど小さな部屋で‥」と感慨深いものがありました。
更に、「さっきまで慶喜公が座っていました」という風に床の間の前に座布団と火鉢が置かれている演出に、歴女としてはますます感動してしまうのでした。

       *

その後、いよいよ徳川家の廟所見学に向かいます。江戸時代、将軍とごく側近しか入れなかった場所。もし庶民が入ろうものなら、即、打ち首だったそうです。
将軍はこのような立派な唐門から参詣に入るのですが↓
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重要文化財のため、今は眺めるだけ。我々は左脇の新しい門から入ります。先ほどの唐門を背景に撮ったのが下の写真です↓
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昨日から、きもの界では夏!絽の小紋に、一見羅のようにも見えるひなやの組紐帯を締めています。襦袢は、麻。草履だけが袷と同じままですが、これが一番疲れにくいので、歩く距離が多い昨日はこちらを履きました。神田胡蝶のものです。(日記後半でもっと寄った写真もご紹介しています)

       *

さて、廟の中には、四代将軍徳川家綱公、五代・犬公方の綱吉公、八代・暴れん坊将軍でもおなじみの吉宗公、十一代・艶聞家の家斉公、十三代家定公と、篤姫、明治以降の徳川宗家初代で貴族院議長だった家達公が眠っています。
綱吉公のお墓は銅製で青く、家定公は柿が好きだったとのことで柿の木が、篤姫は枇杷が好きだったということで枇杷の木がお墓の後ろに植えられていて大きく育っていました。
本当は、これらのお墓の写真をお見せしたいところなのですが、個人の家のお墓ですからもちろん撮影は禁止。それぞれのお墓のまわりだけではなく廟所の全体が高い木々におおわれて立派な石灯籠が並び、さすがは将軍家の墓所、という趣でした。
また、明治以降、一時徳川家の権威が落ちていた時に墓荒らしをもくろむ輩がいたそうで、防御のために立派な石垣が築かれているのですが、何とその石垣は、勝海舟がポケットマネーで造ったということでした。実は私は“日本の偉人ベスト3”に勝海舟を入れているほどの勝様ファンなので、ああ、勝様はまた素晴らしく義に篤いことをしていらっしゃる‥と一人うっとりしてしまったのでした。

       *

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こうして大満足の寛永寺ツアーが終了した後は、同じ上野公園内にある上野東照宮に詣でました。
こちらの神社がお祭りしているのは、名前からも分かる通り、東照大権現。そう、日光東照宮と同じ、徳川家康公です。境内の様子も、日光と似た雰囲気。ばーんと金の扉が眩しく、周りの彫刻は日光の眠り猫と同じ、名工・左甚五郎によるものです。

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そして、参道には巨大な灯篭が四十基以上も並び、近づいてみると安永二(1773)年などと彫られており、歴史を感じさせられました。
寛永寺の大部分は幕末の彰義隊の合戦で焼失してしまいましたが、上野東照宮はその火にも巻き込まれなかったのですね。灯篭と一緒にぱちり↓
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帯揚げには絽を、半衿も絽であることがお分かり頂けるかと思います。きものの柄は、昼顔の花を散らした小紋の模様付けです。
    
       *

いかがでしたでしょうか、上野で見る、徳川家の栄華。前半でも書きましたが、寛永寺特別参拝は月に数回行われています。必ず予約が必要ですので、下記URLからお申し込みください。志納として千円以上が必要です。
http://kaneiji.jp/worship/

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きものの展覧会「たくみ」展鑑賞と、その日のきものコーディネートご紹介 2014/06/10



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先週、十条の東京家政大学博物館で開催中のきものに関する展覧会、『たくみ 伝統の技と美』展に行って来ました。
この展覧会では、紋紗織りの人間国宝・土屋順紀氏、木版摺更紗の人間国宝・鈴田滋人氏、東京友禅の中澤英高氏、日本刺繍の見藤妙子氏の四名の作家の作品を見ることが出来ます。つまり、一つの展覧会で、織り・木版摺・手描き・刺繍という四つの技法の名人作を見ることが出来る訳です。
上の写真のチラシ中、きものの型の中にあるのが鈴田氏の作品。地の部分の上部・縦縞が土屋氏の作品、下部の羊歯の葉の模様が、中澤氏の作品です。
この展覧会、更に嬉しいのは、作品制作で使う大切な道具を作家ご本人などから借り受けて展示。制作風景を記録したビデオも放映するなどして、技法をしっかり紹介してくれていること。これで無料なんて、ありがた過ぎる展覧会です。17日まで開催していますので、染織ファンの皆様、ゼヒ足をお運びください。(展覧会公式サイトは下記のURLです)
http://www.tokyo-kasei.ac.jp/hakubutu/tabid/1824/index.php

       *

さて、その日のきものコーディネートが下の写真です。
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場内は撮影禁止のため、入り口のきれいな幕の前でぱちり。祖母が染めた丸紋つなぎの型染の単衣に、破れ七宝つなぎの織り帯を合わせました。
それぞれ、文様と、お太鼓部分に寄って撮ったのが下の二枚の写真です。
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実はこちらの博物館の助手のSさんは、私のお茶仲間。東京家政大学博物館は毎回、染織に関する意欲的な展覧会を企画されているということなので、これからも頻繁に訪れようと思います。Sさん、ありがとうございました!

       *

明後日からは、台湾旅行へ行って来ます。向こうの友人がアレンジしてくれて、布市にも行く予定なので、台湾の少数民族の布や漢民族の刺繍など、じっくり見て来ようと思います。また旅の様子もレポートしますので、ゼヒこちらのブログを覗きにいらして下さい!

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「美しいキモノ」連載第2回掲載!+しょうざん訪問着で出かけた日のコーディネートご紹介 2014/05/20



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本日発売の「美しいキモノ」2014年夏号に、私が担当している連載「お仕立てのツボ」、第2回が掲載になりました。
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今回のテーマは、“単衣と薄物のお仕立て”です。
新しく、単衣や薄物をお仕立てしたいと思った時に、どんなことがポイントになって来るか、そのコツとなる豆知識をまとめました。
キーワードは、強度と収縮率。
ただでさえ暑く湿気の多い夏は、少しでも薄く、スマートに着こなしたいというのが全きものloverの願いだと思いますが、それは一方で強度を弱めることにつながってしまう…
ざっくばらんに言って、びりっとどこかが破れたりすることなくスッキリ涼しく着こなすには、どんなことに気をつければいいのか?…そんな“夏物お仕立てのツボ”を名門和裁所・竹田和裁研究所にお聞きして探っています。
ゼヒご高覧ください!(掲載頁は、308~309頁になります)

      *

また、「お仕立てのツボ」では、冬号で皆様のお仕立ての疑問にお答えする特集を組みたいと思っています。仕立てに関して訊いてみたいことがある方は、ゼヒ、ご質問をお寄せください。
私のアドレス、contact@maya-fwe.comに直接メールを頂いても、また、頁内に掲載している編集部宛てにお手紙を頂いて結構です。皆様からのご質問をお待ちしています!

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ところで、この1か月半ほど、全くブログを更新出来ず、昔から読んでくださっている方には「どうしたんだろう?」とお気にかけて頂いていたかもしれず、申し訳ありませんでした。実は、もうただただ単純に、PCに向かう時間が全く取れないほど仕事に追われておりました。
その一つが、この連載の準備であり、また、或る書籍の編集に関わったり、そして、もうすぐ発売される別の或る雑誌のお仕事も担当させて頂き、息つく暇もないような毎日だったのです。
そんな中でも、茶会など、ごくたまにはきもので外出していまして、その一コーディネートを今回の日記ではご紹介させてください。
横浜にあるshuhallyという現代茶庵で、これもまた現代陶芸作家の器を楽しみながらお茶を頂く…という趣向の茶会に参加した時のコーディネートです。(茶会の様子はまた別の機会にご紹介します)
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きものは、京都・しょうざんの訪問着。しょうざんの得意とする生紬の生地に、型染めで流水と小花を染め出した一枚です。
真っ白な生地に染めているのではなく、写真ではわかりにくいのですが、実は地紋にも薄い灰色で氷のひび割れのような模様が染められています。細部が凝っていて、いかにもしょうざんらしい、楽しいおきものだなと思います。紺を基調に、細縞と幾何学模様を織り出したしゃれ袋帯を合わせて。

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またまた忙しい日々が続きそうではあるのですが、ブログも更新出来るように頑張ります。ゼヒまた遊びにいらして下さい!
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きもので歩く倉敷・岡山の旅(後篇)~~倉敷民芸館・岡山城・倉敷の雑貨やお菓子など 2014/03/18



(現在、上のFacebookボタンとブログとの連動に不具合が生じています。押して頂いたのにカウントが反映されていない皆様、申し訳ありません)

倉敷・岡山をきもので回った旅の日記、今日は後篇をお届けします。
岡山城や倉敷民芸館、倉敷のかわいい雑貨や美味しいお菓子の情報などをご紹介致しますのでお読み頂ければ幸いです!

旅の履き物入れの話
まず、きもの関係の話題から入りたいと思います。
今回、旅のおともの履物は、草履を一足と下駄を一足ずつ持参しました。私は下駄が大好きで、ふだんから紬の時は下駄を合わせることが多いのですが、今回も一足は下駄にしました。下駄って、歩いていてダンゼン楽で手放せないのです!

さて、今回の旅で活躍したのが、下の写真の履物入れです。現在発売中の「婦人画報」4月号の付録に付いていたもので、“伊と忠”とのコラボレート品。
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“伊と忠”と言えば和装履物や小物の老舗ですから、さすがによく考えが練られていて、上の写真でもお分かり頂ける通り、足袋を入れる内ポケットが付いているのが秀逸でした。「足回りはこのバッグ!」と分かりやすくまとめられるし、足袋がクッション代わりになって、ごちゃごちゃとものがいっぱいのトランクの中で、履物を守ってくれるのです。
私は同じハースト婦人画報社から出ている『美しいキモノ』誌でお仕事をしていますが、だから、のステマではなく、本当に使いやすそうだったので自費で買い(領収書もあります~)、使って良かったのでこうしてお薦めしています。もう一冊買っておこうかしらと思うくらい、お薦めのお品ですよ!
ちなみにチャックを閉じるとこんな外見になります↓
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和にも洋にも合う柄行きですよね。


倉敷銘菓~♪
さて、旅の三日目、午前中は一人で倉敷の町を回りました。まずはお菓子の写真から。
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これは、倉敷の老舗和菓子店“橘香堂”の“むらすずめ”というお菓子です。ごく薄いパンケーキ生地のような生地の中に、絶品の粒あんが‥!
このむらすずめとお抹茶と、おまけの落雁のセットで、500円。あまりに美味しくて倉敷滞在中に2回伺ってしまいました。お店の人にも顔を覚えてもらえて嬉しかったです♪


倉敷民芸館は展示方法も美しい
そして向かったのは、倉敷民芸館。私は民芸が大大大好きなので、倉敷に来たらここには必須で伺います。何と館内、撮影OKなので(注・フラッシュ撮影は禁止)、しばし、あまりにも素敵な館内の様子をご覧くださいませ↓
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“民芸”とは、用の美。飾るためではなく、暮らしの中で実際に使われながらも、美しい姿形をした道具たちのことですよね。だから、道具たちが部屋の中に実際に置かれているように・使われているように展示されていて、ここは世界一美しい美術館ではないかとため息がこぼれます。

また、布好きの私には嬉しい、布の展示も数々とあるところも民芸館が好きな理由です。
上から、備後絣(のはず‥記憶が曖昧ですみません)、沖縄の織物、倉敷手織りです↓
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こちらは、明治時代に岡山地方の家庭で使われていた敷布団だそう。かわいいですよね~↓
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ミャンマーの帯もカワイイ!↓
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もちろん、陶芸品やガラス器もいっぱいです↓
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上の二枚の写真のうち、ガラス器は、“倉敷ガラス”という倉敷の特産品です。
陶器は、今回、島根県の不志名焼きという焼き物が中心の展示でした。こういった民芸の陶器類を眺めていると、「民芸が好きではない人間は日本人じゃなーい!」と叫びたくなるくらい、そのくらいこういった器が私は大好きです。

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↑もちろん、「用の美」という民藝の概念は日本だけにはとどまらず、上の写真の白い壺が私はかなりかなり好きなのですが、これは朝鮮の焼き物です。塗蓋を付けて、(茶道の)水差しにしたーい!とじっと眺めておりました。
こちらのお皿も素敵↓これは、日本の焼き物です。
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倉敷のかわいい雑貨たち
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↑さて、この民芸館で、自分用、そして知人へのお土産にも買ったのが、“倉敷手毬”の根付。総て草木染めの糸で染められていて、本当にかわいいのです!全部買い締めたかったのですが、自分用には上の二つを購入しました。私は、きものを着用する時は懐中時計を帯に挟むので、上の写真のように、その根付として使って行きたいと思います。

他にもかわいい買い物をしました。
こちらは、“如竹堂”という雑貨屋さんのマスキングテープ三つです↓
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上から、こけし模様、倉敷の町並み模様、草花模様。本当にかわいいですよね!
倉敷意匠研究所と倉敷町家テープ制作委員会の制作、つまり、倉敷オリジナルの雑貨ということになります。もう~かわいいです!

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↑また、本町通り商店街にある“つねき茶舗”というお茶屋さんでは、煎茶好きの母へのお土産に、と、お茶を買いました。
岡山は、実はお茶の産地でもあるのですよね。この小さなお茶屋さんにはお茶っ葉が入った木箱が山と積まれ、いかにも「地産地消」の素敵な雰囲気。写真からお分かり頂けるでしょうか?小分け販売用の袋、これが猫の柄でとてもかわいいのでした。

倉敷には何故ダサイお土産ものがないのか?
旅の間に、地元の方と深く話す機会があったのですが、その時に、倉敷のお土産物はものすごくレベルが高いという話になりました。いわゆる、みうらじゅんが命名したところの“いやげもの”のようなダサめのお土産ものは皆無なのです(それはそれで面白いですけれど)。
これは何故かと言えば、観光地としての倉敷の経験の豊かさに関係するのではないか、と、その方と話が盛り上がりました。
どういうことかと言うと、ようやくこの10年くらいでしょうか、日本のあちこちで“古い町家を活かして喫茶店にして”‥といった動きが盛んになって来たけれど、倉敷ではそれをもうとっくに40年前から始めていたんだ、と。
他市に先んじた分、倉敷は持てるパワーを更に先へと広げて行くことになった。日本を前面に出して町を観光地化したら、次はそのコンセプトを、細部へと流し込む。それが、センスのいい和のお土産ものにつながっていったのではないか、という訳です。
確かに、先ほどの、私がお茶を買った店なども、初老のおじいちゃんが経営するごくごく小さなお店でしたが、当たり前のようにかわいらしい包装を用意している。倉敷はかなり先を行っている観光地なのでしょうね。

実は、そんな倉敷で店を出したいと、全国から申し出が来るのだそうです。ここで生き残れれば、日本全国どこの観光地へ行っても、生き残れる!そんな風に考える、雑貨などを扱う業者が倉敷にアンテナショップを出して、商品開発のためのマーケティングを行うのだそう。
そうやって、厳しい競争が起こる中で、代々の地元の人たちも「負けてられない」と美意識を磨く。こんなことも、かわいいお土産物が町にあふれる理由なのだろうなと思いました。倉敷に学べることはたくさんありそうです。


老舗きもの屋さんが経営するカフェ
ところで、そんな倉敷には、ちらほらときもの屋さんが点在しています。私が四日間歩き回っただけでも、五軒発見。町の規模に比べるとかなり多い方ではないかと思います。やはり古都だけあって、お茶や踊りなどを習う方が多いのかも知れませんね。

そんな中でも一番の老舗であり、しかも同じ敷地内にカフェやイタリアンレストランを併設しているきもの屋さんがあるとガイドブックで読んだので、きもの好きの私はもちろん出かけてみました。
店の名前は“はしまや”さん。こんな風格あふれる店構えです↓
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そして、恐らく明治~大正時代製と思われる古いガラスが入った引き戸の向こうには昔ながらの一段上がる畳の売り場があって、こんな風に、「どうやら千總製だな」と思われる素晴らしい振袖が飾ってあって‥↓
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格式高いお店、と感心致しました。

ところが店頭にはどなたの姿もなく、引き戸も締まっているので、ひとまず、併設のカフェへ行ってみることに。店の脇に奥へ続く細い道があり、そこから、店の後方に作られている中庭へと入ることが出来ました↓
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蔵や住まいが並ぶ中庭。表通りから見える店だけでなく、奥に長い、典型的な町家の造りです。そして、そんな蔵の一部がカフェに改装されているのでした。
中の様子はこんな雰囲気で、ここでも、前回の日記でご紹介した「倉敷雛めぐり」の一環で、お雛様が飾られていました↓
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さて、ここで一人文庫本を読みながら美味しいココアを頂いていた‥はずなのですが、いつの間にか店主である初老のおばさまと話し込むことになりました。
おばさまによると、だんだんと、ここ倉敷でもきものを着る人の数は少なくなり、息子さんの代でイタリアンレストランを始めたのだそうです(呉服店の向かいに店舗があります)。そして、おばさまも、呉服店は続けながら蔵の一つを改装してカフェを始めることに。このカフェで、ミニコンサートを開くことも出来るし、隣りの蔵もギャラリーに改装しているので、展覧会やワークショップの開催が可能。また、一つ奥の蔵には、オーダーメイド家具とおしゃれな雑貨を扱うインテリアショップが入っていました。

もちろん、呉服店もまだ健在ですから、昔からのお客様や、五月にはお庭にさつきが咲くということで、さつきを観る会を開きながら、千總など(やはり千總でした!)、昔から取引のある、主に京都のお品を販売しているそうです。
「何とかしてきものを残したい」、という話であれこれと盛り上がり、特別に、先ほどのお写真の呉服店の方に入れて頂きました。
じゃーん、こちらは、昔ながらのお帳場です↓
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そして、こちらの写真の上段にある木箱は、昔、反物を入れて使っていたものだとか↓
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「まるにとの字」がはしまやさんの屋号なのですね。とても嬉しい旅の出会いでした。


三日目は古典的なきもので
さて、そんなきもの縁のあったこの日、私はどんなおきものを着ていたかと言うと‥↓
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実はこの日、午後、倉敷駅前にある日本語学校“倉敷外語学院”で学ぶ留学生の皆さんに、茶道の基本のきを体験してもらう課外授業を担当することになっていました。
そのため、少し華やかなきものの方がいいかな、また、日本らしい柄がいいかな、と選んだのが、この扇文様の小紋です。私の祖母が型染めの技法で染めたもので、中の一色を取って、黄色の織り帯を合わせてみました。帯締めの紺色で全体を引き締めています。
こういう王道の古典コーディネート、私はとても好きで、時々着たくなりますが、ネパールとベトナム出身の女子留学生たちが、「きれい!」「着てみたい」とじっと模様を眺めたり、生地に触れて何度も確かめてくれたりしたのが、とても嬉しかったのでした。古典柄を選ぶと、そこから由来の説明など、会話が弾んで行くのも利点だと思います。

備後絣との、運命の出逢い!
ところで、この日、もう一つ素敵過ぎる“きもの縁”がありました。
実は私はこの旅に出る前から、「もしも素敵な備後絣があったら買って帰りたいな」と思っていました。そこで、呉服屋さんを見つける度に「備後絣はありませんか?」と質問していたのですが、皆さん、扱っていらっしゃらないのです。

前回の日記でも書きましたが、備後絣とは、江戸時代以来、岡山や広島地方で織られて来た木綿の反物のこと。地元ならあちこちで売っているかと思ったのですが、案に反してどこにもない。もう備後絣は作られていないのかしら‥?とがっかりしていたこの日の夕方、お茶の講座を終えてのんびりと倉敷本通りを歩いていると‥備後絣で作った座布団や骨董品などを扱っている“メリーノ”という和雑貨屋さんが目に留まりました。そして、中を覗くと、どうも作業台に向かってお店の方が座布団をせっせと作っていらっしゃる様子。思い切ってドアを押して中へ入り、
「あの‥備後絣の反物ってどこで売っているかご存知ですか?」
と訊いてみたのです。するとあっさり、
「うちで売ってますよ」
とのお答え!しかも、
「今日入ったばかりの新しい反物がありますよ」
と仰るので、ゼヒにと四点ほど見せてもらうことが出来たのでした。‥ああ、“出逢い”です。

よくよくお話を伺ってみると、やはり最近ではきものを着る人が減ってしまったため、備後絣も、昔は大きな機屋さんでじゃんじゃか作っていたのが、今は機械が止まってしまっている状態。岡山・広島を合わせても数軒、個人で織っている作家的な方が残っているだけなのだそうです。
それでも、メリーノさんは、昔から備後絣を使って座布団を作って来たおつき合いの歴史があるということで、特別に、機屋さんに残っている反物を時々分けてもらえるのだそう。それが、その日私が見せて頂いた反物だったのでした。正に“一期一会”の出逢いですよね!

そんな四点の反物をあれこれと顔に当てて、メリーノさんのご主人(素敵な女性です)とご相談した結果、選んだのが、下の柄の反物です(実物はもっと青みがかっています)↓
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本当は、反物の状態になっている写真も撮ろうと思っていたのですが、帰京後にすぐ仕立てに出してしまいまして、倉敷にいる間に撮った、模様の寄りの写真だけでごめんなさい。仕立て上がって来たらすぐに着用して、このブログにてご紹介しますので、しばしお待ち頂けたらと思います。
本当に、人との出会いと同じく、布やきものとの出会いも、縁。旅をして、その土地の布を買い、身にまとうのは、何よりの記念になると思います。
藍色の備後絣。どんな帯でも乗りそうですが、手持ちのどれとどれを合わせたら映えるかしら‥と、今から嬉しい悩みを悩んでいるところです♪

きもの旅には浴衣が必要
さて、旅もいよいよ最終章へと近づいてまいりました。前日の夜は、倉敷郊外に住む知人の方にお招き頂き、お家でのお食事会。倉敷の小料理屋さんのお弁当を仕出して頂いていたのですが、これも大変美味しかったです。倉敷の食のレベルは高いですね。
そして、その日の夜は必死で荷物をまとめ、翌日の旅の締めくくりへと備えました。

今回、四日間の日程を総てきもので通し、前回の日記で、“長時間の乗り物移動には半幅帯が必須”と学びましたが、実はもう一つ失敗点がありました。それは、部屋着用の浴衣を持って行かなかったことです。
夜、一日の外出を終えて、宿の部屋でくつろいだり仕事をしたりする時間、或いは、お風呂上がり、眠る時間の前までに、ガイドブックを広げて翌日のプランを考える時などに、ちょっと上等の浴衣があると便利です。宿に備え付けの寝間着は、私は、寝る時だけ、布団の中だけで着たい派。それまでの部屋着として、何かの時には廊下にも出られるようなきれいめの浴衣があると、きもの旅は完璧になると思いました。お風呂上りにまた襦袢を着てきものをきるのは面倒だし、清潔の観点から言っても嬉しくないですからね!

旅の最後は、岡山へ!まずは岡山城と後楽園を訪ねて
さて、翌朝、旅の最終日は、朝食の後真っすぐに岡山へと向かいました。荷物を駅のコインロッカーに入れ、まずは岡山城へ。
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ああ、お城!萌えます。

こちらのお城は、宇喜多秀家が信長の安土城にならって建てたものだということで、安土城と同じく、黒壁。面白いのは、普通、天守閣と言うと倉庫や物見櫓として使われるものですが、ここのお城では城主が居住していたのだそう。かなり珍しいのではないかと思います。

お城の後は、すぐ隣りにある後楽園へと回りました。宇喜多秀家が関ヶ原の戦いで西軍について敗れた後、城は小早川家秀秋のものとなり、秀秋が急死した後は池田家が入って幕末までこの地を治めました。後楽園は、その池田家が作った庭園です。
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広大な敷地にゆったりと品格高く作庭されていて、心がすがすがしく磨かれる景色。ここに住んでいるのでしょうか、猫さんも歩いていました↓
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お城や庭を歩き回る日は、紬のきもので
そんな四日目のきものは、初日と同じ紬に、帯を変えてみました。庭の一角にある梅園が満開だったため、そこで撮ったのが下の写真です。眩しくて目が開かず、変顔になっています↓
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初日と同じ細かい格子柄の紬に、この日は、ペパーミントグリーンの八寸の織り名古屋を合わせました。八寸帯は芯もなく薄いので、旅に持って出るには最適の帯ではないかと思います。
文様は、破れ七宝つなぎ。格調高くもなる古典柄ですが、ざっくりと織っているので、快活な、カジュアルな雰囲気に。この日も下駄を合わせています。帯揚げ・帯締めはベージュ系ですっきりと。

岡山名物、ままかりを食す
ところで、後楽園内には幾つかお茶屋さんがあり、そのうちの一軒で、岡山名物のお魚“ままかり”のお寿司を頂きました。
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これが本当に美味しかった!やはり、その土地で採れた食材を、時間差なくすぐ調理したものは美味しいのですよね。これがたったの500円ですから、東京の食費の高さが一瞬嫌になりました。

岡山県立博物館で備前焼のお勉強など
後楽園の後は、隣接する岡山県立博物館へ向かいました。歴女なので、どこかへ旅したり取材に行った時には、時間が許せば必ず、郷土資料館的な場所へ足を運ぶようにしています。
岡山・広島一帯は、近畿の方とはまた違った、派手なお棺に死者を祀る独自の古墳文化があり、その辺りの展示を見るのを楽しみに入館しました。
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すると、ちょうどこの日は、そういった古代の遺物などの常陳の他に、この地域を代表する伝統工芸である備前焼きの特別展が開かれていました。
また運良く、私の行った時間に学芸員さんによる列品解説があったので、歴史好き・焼き物好きのおじさまたちに交じり、私も解説を聞かせて頂くことに。備前焼きについてほとんど何も知らなかったので、一気に知識が深まり至福の時でございました♪

岡山にある東照宮訪問
その後、最後の最後は、神社へお参りに行きました。
と言っても非常にマイナーな、地元の人しか行かない神社に、ひっそりと参拝。“玉井宮東照宮”と言って、池田家が徳川家康東照大権現を祀った神社に、願掛けしたいことがあったので出向いたのでした。どうしても、家康公じゃなきゃダメ!な、或る願掛けがあるのです‥。
小さな小さな山の上にある神社。とても静かで、心が落ち着きます。
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また、お守りに、“徳川家康公勝ち香”を買って帰りました。自宅で携帯カメラで撮影したら、何だかきらきらした写真に。戦国の乱世を治めて二百六十年も続く幕府を作った家康公のお守りだからでしょうか、ご利益がありそうですよね↓
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この神社は、岡山駅から延びている路面電車の終点駅にあり、帰りはその電車に乗って15分程で岡山駅へ帰りました。そして新幹線で、東京へ。半幅帯を準備しなかった、など、失敗もありましたが、洋服一枚もなしで過ごしても特に何も問題なし。きもの暮らしに自信が持てるようになった旅でもありました。
倉敷・岡山は、何度か書いたように、ご飯が美味しく、歴史好きの人、日本の伝統工芸好きの人にはまだまだ見所がいっぱいあるワンダーランドです。幸い父の仕事の関係でご縁が続いていますので、また再訪の機会もあるかなと思っていいます。その時は、今回購入した備後絣で訪ねたいもの。再会を期して新幹線は走り出したのでした。


倉敷の蔵が少しすすけている訳
最後に豆知識を一つ。下の写真は、倉敷に幾つも建ち並ぶ美しい伝統建築の一つですが、屋根近くの壁が黒くすすけているのが見えるでしょうか?
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私は、長い年月の間に汚れてしまったのかな?とぼんやり思っていたのですが、実は戦時中にわざと炭で黒くしたものなのだそうです。
それは、何故か?アメリカ軍が空襲に来た時、白い壁では標的として目立ちやすい。だから、わざわざ炭を塗って黒く汚したそうなのです。結局米軍は倉敷へは現れず(岡山は火の海になりましたが)、倉敷は今も江戸時代の面影をたたえています。この町並みが今後百年、二百年と残り続けて行くことを願わずにはいられません。(完)

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全日程きもので回った倉敷・岡山四日間の旅(前篇)~~きもの好きの方も、旅好きの方もお楽しみください! 2014/03/16



先々週、倉敷と岡山を回る四日間の旅をして来ました。
その全日程を、今回洋服は一枚も持たず、きものだけで過ごしました。
ふだんからきものを着るすことの多い私ですが、“きものだけの旅”は初めての経験。実践してみて初めて気づいた失敗点や改善策もご紹介しながら、四日間・四通りのコーディネートを、2回に分けてお届けしたいと思います。
もちろん、旅日記ですから、きものだけではなく、倉敷と岡山の素敵スポットもたっぷりご紹介。きもの好きの方にも旅好きの方にも、お楽しみ頂けたらと思います!

美しい、倉敷の町
さて、あれこれ言葉をつらねる前に、まずは写真を一枚。
美しい、倉敷の風景です。
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太平洋戦争の空襲を免れ、その後の高度成長期の開発ラッシュも免れ、この町並みが残っていることに、守って来た倉敷市民の方々に、しみじみと感謝。
上の写真は最も有名なお堀周りの風景ですが、他にもそこかしこに美しい町並みが広がっています↓
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また、この週は週初めに雛祭りがあったため、倉敷を挙げて「倉敷ひなめぐり」というイベントを開催中。例えば道端にこんな雛飾りがしつらえてあったり↓
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↑こんな風に、町中のほとんどの店に雛人形が飾ってあって、観光立国ならぬ“観光立町・倉敷”として、町全体が強くまとまっていることを感じました。

きもの旅、一日目のコーディネート
さて、冒頭でも書いた通り、今回四日間の旅を、総てきもので通しました。
持って行ったのは、きもの三枚に、帯三本。帯締め四本に、帯揚げは一本。草履と下駄を一足ずつ‥というラインナップです。
今回の旅で難しかったのは、カジュアルとフォーマルのシチュエーションが混在していることでした。実は数年前から、父が仕事で倉敷と関わりを持つようになり、今回も、父の出張に同行する形での旅だったのですが、目上の方々との料亭でのお食事会の予定があるかと思えば、一日町を歩き回る日もあり、しかも、外国人留学生の方にお茶の基本を(僭越ながら)お教えするというミッションもあって‥きものの選定にはかなり迷うことになりました。

そんな中、初日に選んだのはこんなコーディネートです。
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細かい格子文様の紬に、祖母が染めた塩瀬の型染め帯。“花籠につばめ”の柄で、春を先取りする気持ちで締めてみました。所謂「織りのきものに染めの帯」の王道コーディネートです。履物は、下駄を履いています。

こうして写真で見ると、私がどうこうではなく、やはり、和の町並みにはきものがしっくり来ることをしみじみ感じますよね。何と言うのでしょう、倉敷の町を歩いていると、きもの姿は完全に勝ち組です!皆さんにも、ゼヒ、倉敷や京都、金沢などの古都にはきもの姿で出かけて頂きたいと思います。

きものの旅失敗点‥長い交通路線にお太鼓帯はつらい!
ところで、実は行きの新幹線では、縫物をしておりました!
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知り合いから頂いた、お母様のものだったという襦袢。袖が短いので丈出しをしなければならず、「そうだ、正に新幹線での移動中がピッタリだわ!」と持って行ったのでした。
平日の新幹線、背広姿でタブレットを操るサラリーマンに囲まれながら、きもので縫物の私。皆様を混乱に陥れていたことは間違いありません‥w

‥と、そんなことは良いとして、東京から岡山までは新幹線で3時間。これをお太鼓帯で過ごすのは厳しいです。
お太鼓結びにするということは、要するに、椅子の背に当たる面積は横18センチ×縦8センチの帯枕部分のみ。これだけでの小さな面積で、しかも厚みが3センチほどあって腰から枕までの部分の背中が浮く状態で、3時間、上半身の全体重を支えるのは非常に非常に無理があります。そのことを、今回、体験してみて初めて実感しました。
やはり、1時間を超える移動には、半幅帯がベストだと思います。その上で、駅なりホテルなりに着いたら名古屋帯に変える。半幅を持って来なかったことを心から後悔しました。
もちろん、名古屋帯でも、ぐぐぐっと前に回してしまうという手もあるのですが‥急に江戸時代のおかみさんみたいな結び方をするのも、ね‥ということで、次からは、長旅の場合には必ず半幅を持参したいと思います!

夕食は味噌カツを
この日、午後に倉敷に着いた後は、町を散歩したりかわいい雑貨屋さんを覗いたりして過ごしました。その散歩の成果が冒頭の町並み写真という訳です。
そして、夜は、実はこの日は父が仕事の食事会があったため、私は一人で食べることに。実は外で一人で夕食を取ることが非常に苦手なので(それで一人旅も全くしません‥と言うか、出来ない)、ホテルの部屋でルームサービスでも取ろうかとも思ったのですが、ガイドブックで見た“梅の木”という味噌カツ定食屋さんがとても美味しそうだったので、早めの人が少ない時間を狙って食してまいりました↓
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実は、味噌カツを食べるのは生まれて初めてでしたが、薄く微粒子の衣に、自家製味噌。美味ですね!

二日目のきものコーディネート

さて、倉敷の旅、二日目のコーディネートははんなり風にまとめました。
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桃色地に藤色などを淡くぼかした、てろっとしたやわらかもののきものに、一日目と同じ染め帯を合わせています。
帯の模様のアップがこちら↓
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二日間のコーディネート、同じ帯でも、合わせるきものが紬とやわらかものと変わることで、やはり大きく印象が変わることをご実感頂けたのではないかと思います(自分でも実感しました!)。

江戸時代の豪商の邸を訪ねて
上のきもの写真を撮ったのは、倉敷から車で30分程の距離に位置する、児島という町の、「野崎邸」という史跡(国指定重文)のお庭です。
野崎家は、江戸時代から塩業を営み、岡山地方一体で一番と言っていいほどの財を築いた豪商。藩から名字帯刀も許されており、度々その池田の殿様が、この家を訪れていたということです。今回、その野崎家の現ご当主に邸内を案内して頂きながら参観致しました。
さて、そんな豪商のお庭がどんなものかと言うと、例えば邸内には神社があったり↓
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(塩業を営む家なので、“塩竈神社”です!)

もちろん、茶室もありました(こちらの茶室の他にもう一つありました)↓
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↑そして、家財を入れておく蔵もこんなに立ち並んでいるのですから、その羽振りの良さが分かるというものですよね。
今回、雛祭りの季節ということで、倉敷と連動して、児島の野崎邸の所々にも、代々野崎家が所有して来たお雛様が飾られていました。これは、江戸時代の享保雛です↓
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また、上の写真でご紹介した蔵の一つが展示室にもなっており、その中に“見栄っ張り雛”という面白い雛もありました↓
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これは、山陽地方独特の雛だということで、衣装を見せびらかすためにわざと袖の部分が前を向いている、という独特の様式をしています。それを土地の人自ら“見栄っ張り”と呼ぶなんて、洒落が効いていますよね。

昭和時代の様々なお雛様が集合!お雛同窓会
この野崎邸には、明治期に建てられた別館もあり、そこは、謂わば迎賓館。明治維新後、華族院議員となった野崎家当主が、お客様をお迎えするためのゲストハウスがだったそうなのですが、そこで、
「お雛同窓会」という雛祭り展示が開かれていたので、拝見に伺いました。
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じゃーん、見て下さい。百畳敷きの野崎家別邸の大広間に、周辺のお宅から提供されたお雛様の数々。昭和初期から平成までの、世相を反映した様々なお雛様が飾られていて圧巻でした(もしかしたら大正期のお雛様もあるかもしれません)。
そんなお雛飾りと記念撮影↓
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私の右後ろに見えるお雛様の最上段に、御殿があるのが見えるでしょうか?これは、“御殿雛”と言って、戦前頃までよく見られたものだったそうです。
そもそもお雛様とは、公家のお姫様とその周りの人々、そして婚礼丁度を写したものですから、お姫様の住居である御殿もミニチュア化されていたんですね。それがいつしか作られなくなって、今のお雛様の形になったのだそうです。

また、面白いのは、昭和三十年代のこんなお道具↓
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時代は高度成長期。「三種の神器」として、テレビ・冷蔵庫・洗濯機を日本中の人々がこぞって揃えようと張り切っていた時代でしたが、そんな世相を反映してか、お雛様にもテレビと、そしてミシンが!漆塗りのテレビなんて、豪華で家にほしいくらいです。

そうそう、市松人形も多数展示されていました↓
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‥と、豪華で楽しいお雛同窓会なのでした。

世界のブランド“倉敷ジーンズ”
ところで、ファッション好きの方なら、倉敷が日本が誇るプレミアム・ジーンズの土地だと、ご存知のことと思います。
もともと岡山は、江戸時代以来“備後絣”という木綿織物が盛んでした。その特技を活かして、戦後はジーンズ作りに取り組み、“倉敷ジーンズ”として有名になったということです。
そんな倉敷ジーンズの多くは、実は、児島で作られています。中でも、“桃太郎ジーンズ”は最高級ジーンズとして世界的に有名。あのサッカーのベッカム選手も、来日するとわざわざこの児島の本店に買いに来るのだそうです。

そして、その本店というのが、実はこの野崎邸の真向いにあり、更に工房を併設しているとのことで、見学させてもらいました。
こんな風に藍玉から藍を建てて↓
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木綿糸を染めて↓
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何と手織り機(はた)で織った最高級ジーンズがあるのです!↓
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手織りのジーンズ!初めて聞きましたし、ジーンズを織っている手織り機も初めて見ました。そしてお値段を伺うと‥何と、17万円!!!きっとベッカムが買ったのもこのジーンズなのでしょうね。
布好きの私、大興奮のひと時でありました。

瀬戸内海と、倉敷の料亭
さて、この日、お昼はせとうち児島ホテル9階の展望レストラン“ポール・ブラン”で頂きました。瀬戸内海で採れる食材を頂きながら眺める、絶景の瀬戸内海が下の写真。ぽこぽこと点在する島。おだやかな海。心休まる美しい風景です。
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この日、午後遅くには倉敷に戻り、夜は、岡山の方々との、と或るお食事会に。倉敷の料亭旅館“御園”で頂きました↓
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私は人との会食中に写真を撮ることがどうもあまり好きになれないので、お料理の写真はなしでごめんなさい。岡山は、海も山も川もあり、「晴れの国」と言われるほど日照の良い土地柄。そんな素晴らしい環境で育まれた食材を、繊細な味付けで頂ける「御園」に、倉敷に行かれたらゼヒ足を運ばれてみてください。

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食事の後は、夜の倉敷を散歩するのも楽しい!白壁の美しい町並みは夜もまた美しく、人影もぐっと少ないので、時代小説好きの方なら江戸時代の夜を歩いている気分にひたれます。長い白壁に揺れる柳の影、きらりと光る蒔絵のかんざし‥などと空想していると一本小説も書けてしまうかも知れません‥

‥いかがでしたでしょうか、“倉敷・岡山きものの旅”前篇。
火曜日に後篇をお届けいたしますので、引き続きお楽しみ頂けたらと思います!

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紅花染め、エメラルドグリーンの総絞り、小糸敏の型染めなど、おきものコーディネートまとめて五つ日記! 2014/03/04



今日の日記では、最近のきものコーディネート日記を、まとめてどんとお送りします!
結構カラフルなラインナップになっていますので、ゼヒご覧ください。

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まず一枚目は、今年の初釜の日に撮ったもの。
いつもお稽古の日はもっと地味にしていますが、初釜ということで華やかに。小糸敏氏の白菊の花の型染め小紋に、河合美術織物の白地に銀の筋が一本入った洒落袋帯を。京紫色の帯締めで全体を引き締めてみました。
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↑新年なので、半衿には梅の文様の半衿を!

そして、この小紋で立食パーティーに出席した日のコーディネートがこちら↓
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この日は、勝山織物の葵文様の帯を締めています。
この小紋は柄がかなり大きくて華やかなので、小紋とは言え、付下くらいのフォーマル感があるかなと思っています。これからもパーティーなどに着用して行きたい、気分が上がる一枚♪

その葵文様の帯で、千葉市美術館に展覧会「江戸の面影」を見に行った日のコーディネートがこちらの写真です↓
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山形の紅花染めの名門・新田の紬と合わせてみました。
新田のきものは、最新の「美しいキモノ」にも登場しています。草木染ならではの何とも言えず淡く、温かく、そして、内側から光り輝くような色合いが特徴です。

この日出かけた千葉市立美術館は、浮世絵を多数蒐集していて、「江戸の面影」も大々的な浮世絵特集の展覧会でした。
「遊女」「江戸の名所」「江戸の華、歌舞伎役者」「生き生きと生きる江戸の市井の女たち」といった切り口で選んだ浮世絵が、圧巻の量で大集合。見ごたえある、素晴らしい内容でした。
特に、研究員の方が、江戸後期の遊女たちのファッションの流行を細かく浮世絵から読み解いて解説を付けており、服飾史の勉強にもなる、二度美味しい内容でした。その解説がそのまま載っている図録は、服飾史好きは絶対買いです!(展覧会は終了していますが、図録は今でも買うことが出来ます)

そして、同じコーディネートで、「美しいキモノ」編集部に打ち合わせにも出かけています。下の写真のピンク色の矢印が、「美しいキモノ」という表示を指しているがお分かり頂けるでしょうか?
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そう、ここは、編集部の入口のドアなのです!
ここを開けると、奥には、品格あるきものコーディネートと服飾史の教科書にも劣らない深いきもの知識が毎回ぎっしり詰まった、あの「美しいキモノ」編集部が広がっています。
左横が「メンズクラブ」、右横が「ハーパースバザー」の編集部。衝立を挟んで同じフロアを共有しているんですよ。
ハイファッション、或いはかなり個性的なデザイナーズファッションの方々ときもの姿の編集者が同じコピー機を使っているその様子に、いつも胸をくすぐられています!
そうそう、この写真で持っている黒い布バッグは、今発売中の「美しいキモノ」の特別付録、千總と編集部コラボのトートバッグです。
A4クリアファイルがそのまま入るので、打ち合わせに持って行くのにピッタリ。これからもどんどん活用する予定です!

次の一枚は打って変わって、目黒の老舗中華レストラン「香港園」で開かれた、と或るお食事会の日のコーディネートを↓
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祖母から伝わっている緑色の総絞りのきものに、加納幸の大柄の縞柄の洒落袋帯を合わせています。
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↑帯締めには、王朝風の格調高い色組の一本を入れ、帯揚げには帯揚げではなく、洋服のスカーフを入れてみました。山形の紅花染めでシフォン地を染めたスカーフで、以前、父が山形に旅行した時に買って来てくれたものです。帯締めの色とつながりを持たせています。

そして最後の一枚は、同じ総絞りのきものに、帯を変えて↓
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こちらの帯も、上で2回締めている勝山織物の葵文様の帯です。この帯、生地が締めやすい上に文様も程よい中柄で色も程よく色々と入っているので本当に合わせやすい。ついついこればかり締めてしまうのです!
きものは、三浦絞りの総絞り。かなり大胆な、コバルトブルーに近い緑色で染めていて、おそらく昭和の高度成長期頃に祖母が誂えたものではないかと思います。あの頃のきものは大胆で元気いっぱいですよね!
(帰宅してから玄関で撮ったので、光が足らず、若干暗めの写真で恐縮です)

   *

本当は、今年の目標は、「週1回はブログを更新」だったのですが、ありがたいことにお仕事が次から次へと入ってなかなかブログを更新することが出来ませんでした。
3月からは少し余裕が出来る予定なので、皆様また覗きに来てください。きもの日記も、エッセイも、両方の内容を充実させて行く予定です。
実は明日からは山陽方面へ旅行に出る予定。四日間の日程を総てきもので通しますので、次回はきもの旅日記をお送りしたいと思います。
どうぞ遊びに来て頂けたら幸いです!

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「美しいキモノ」にて連載スタートしました! 2014/02/20



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本日発売の「美しいキモノ」にて、連載が始まりました。
嬉しい嬉しい第一報のお知らせを、本ブログにてさせて下さい。

連載のタイトルは、「お仕立てのツボ」と言います。
きものを着始めの最初の頃は、皆さん、お母様やおばあ様から譲られたものを着たり、まずはリサイクルきものから始めて、徐々にご自分の“きもの好み”を育てて行かれるのだと思います。
けれど、或る程度その自分の“きもの好み”が見えて来たら、自分で反物を択んで、そして、それに合う八掛も択んで‥そう、洋服で言えばオーダーメード、しっかり“お仕立て”をした自分による自分のためのきものを着たいものですよね。

けれど、仕立てとなると、ちんぷんかんぷん。かく言う私もこれまでに何枚か仕立てていますが、ベテラン店員さんに測ってもらった寸法をそのまま疑いなく着ていました。
もちろんそれでも何とかなるという面もあるのですが、自分で「お仕立てには、こことここと、それからこういうところを気をつけた方がいい」ということをちゃんと分かっていた方が、より、着やすく、見た目にもセンスの良いきものが出来上がるはず!
それに、皆様ちょっと振り返ってみてください。譲られたきものでも、親戚の梅子おばさまから頂いたきものよりも、友だちのおばあさまの桜子さまから頂いたきものの方が、何だか、着やすい。ほぼ同じ寸法に見えるのに‥などということもありませんか?
この連載では、まさにそんな、お仕立てから来る着やすさや見た目のかっこよさ、そう正に“お仕立てのツボ”を、採寸の面から、生地の面から‥などなど、様々な角度からご紹介して行きます。

      *

お仕立てのご指導を頂くのは、山形の名門和裁所“竹田和裁研究所”。
大正時代から続く由緒ある和裁所で、全国の有名百貨店や呉服店のお仕立てを引き受けていらっしゃいます。その竹田和裁研究所の先生にあれこれ質問をぶつけ、懇切丁寧に指導して頂いた内容が、誌面の2ページの中に凝縮されています。第1回目の今回は、採寸にまつわるツボをご紹介しています。ゼヒご覧になって頂けたら大変大変嬉しく存じます。
ページは、336~337ページ。岡田知子さんのほんわかかわいいイラストと共にお届けします!

そして、皆様、お仕立てについて、「こんなことが知りたい」「聞いてみたい」などということがありましたら、どしどしメールをくださいませ!
「お仕立てのツボ」を今後一年間、どうぞ何卒ご贔屓に、よろしくよろしくお願い申し上げます。

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伊勢丹会員誌にて、注目の職人さんを取材・執筆いたしました! 2013/12/30



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今年最後のお仕事ご報告です。

伊勢丹アイカードの顧客様向け会員誌「アイカード通信」2014年1・2特別号で、取材・執筆を致しました。
1月2日から伊勢丹新宿店1階ザ・ステージで始まるイベント「IKESHOKU展」に出展する作家さんと、その作品をご紹介するページです。

“IKESHOKU”とは、イケてる職人、のこと。
綿々と続く日本伝統工芸の技と美意識を受け継ぎながら、今、21世紀のこの世界を生きている現代感覚をも反映させた作品作りに挑戦する若手職人たちのことを、伊勢丹がこう命名しました。
今回、5人の職人と気鋭のスタイリスト・山口壮大さんがコラボレーションした作品が出展される中、特に、江戸時代から続く染色技法“江戸小紋染め”の染め師・廣瀬雄一さんの工房を訪ね、インタビューをさせて頂きました。

実は、廣瀬さんと会うのはこの時が初めてではありません。きものを頻繁に着るようになって1年くらい経った頃だったでしょうか、同じ伊勢丹の、その時は7階の呉服売り場で廣瀬さんが染めの実演をされているのにたまたま出くわしたことがありました。
そして、これもたまたまあまり他のお客様のいない時間帯だったため、私は「チャンス!」とばかり根掘り葉掘り染めについてあれこれお話を伺ってしまい、その一つ一つへの誠実なご対応に、「いつかこの人を取材出来たらいいな」、と思ったのでした。

今回、数年越しのその夢を実現することが出来、また、やはり伊勢丹さんは日本を代表する百貨店の一つだと思っているので、その大切な顧客様向けの雑誌で仕事をさせて頂くことが出来、感無量の思いです。

「IKESHOKU展」は、1月2日から7日まで。
江戸小紋染め・廣瀬雄一さんのストール
銀細工・松原智仁さん/岡部俊哉さん/岡部由美さんの帯留
博多織・木下勝弘さん(awai)の帯
型友禅・寺本幸司さんのきもの
草履職人・小川浩之さん(神田胡蝶)/泉さやかさん(菱屋カレンブロッソ)の草履

が出展。
伝統をしっかり表現していながら、現代そのものでもある。
そんな新しいきものと、きもの雑貨たちを、ゼヒご覧になってください!

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秋のきもの日記~~その三 場所に合わせて、お出かけスタイル三つ 2013/12/09



昨日・一昨日に引き続き、この秋のきもののコーディネート日記、今日は、三つお届け致します!
まず一スタイル目は、秋の始まり、10月の茶会に着たきものです。
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おきものは、藤色地に、松のシルエットを絞りで抜いた文様がかわいらしい、付け下げ。松はところどころ金糸の刺繍でも表現しています。
このおきものに、帯は、精緻な蘇州刺繍で正倉院華紋を表した茶色地の袋帯を合わせました。ほぼどんなお着物にも合うすぐれものの袋帯です。
一昨日の日記でもご紹介していますので良かったらご覧くださいませ。

この日は友人二人と、明治神宮の茶室で開かれた小川流煎茶道の茶会に参加しました。
私は抹茶の茶道は習っていますが、煎茶はこの日が生まれて初めて。本部主催の茶会ということで、京都からいらした若宗匠が煎茶道の成り立ちやお道具について丁寧にご説明下さり、そして始めて頂いた煎茶道のお茶は‥ごくわずかに下に甘味が残る深い味で、何とも贅沢な時間を過ごすことが出来ました。

この日の茶会には、写真右・お洋服姿で写っている小門由佳さんに誘って頂きました。由佳さんは、イメージコンサルタンティングや企業の広報のお仕事をされていて、この日はスケジュールの都合でお洋服姿だったのですが、ふだんはおきもの大好き。先日私が担当した『いろはにキモノ』誌のコーディネート拝見ページにもご登場頂いています!
もう一人、左の素敵なおきもの姿の友人は、ビビちゃん。私が広告代理店に勤めていた頃の同僚で、最高レベルの英語力と、トラブルを乗り切るガッツや交渉力、そしてチームを引っ張る明るいキャラクターが何とも素敵なスーパー・ワーキングウーマンです。現在は某超人気外資系企業で大活躍中で、私の自慢のお友だち。この日は淡い若竹色の色無地に、手描きであざみなど野の花を描いた帯が素敵でした~♪
また三人で、今度は由佳さんもおきものでお出かけするのが楽しみです!

          *

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2枚目のコーディ―ネートは、友人の建築家の事務所(本がいっぱい!)で開かれた鍋パーティーの日のきもの。
気軽な会なので、紬で参加しました。

きものは、祖母から伝わったもので、“銀座むら田”のたとうに入っていたので“むら田”のものだと思います。ほくほくと暖かい真綿紬。何とも粋な縞柄が気に入っています。
帯は、祖母が染めた焦げ茶地に蟹牡丹の名古屋帯を合わせました。帯締めに鶸色を入れたところがコーディネートのポイント。全体が引き締まったかな?と思ったのですが、いかがでしょうか。

この日の反省点は、夜も更けて少し着付けがゆるみ、衿がものすごく中に入ってしまっていること。
実は私、衿はやや開け気味に・半衿は白衿の場合、やや少な目に出して着付けるのが好きなのですが、これではいくら何でも引っ込み過ぎですね。
これに対して、一枚目の茶会の時には、正式な場ということを意識して、衿を詰め気味に着付けています。何だかちょっと真面目人間ぽく見えませんか?やっぱりもう少し開き気味に着付けるのが好きです。衿の前をどのくらいの角度で開けるか?後ろをどのくらい抜くか?半衿の分量をどのくらい出すか?これはもう、着付けの永遠のテーマですよね。皆さんはどんな衿合わせがお好きなのかな~とおきもの好きの方々と語り合ってみたい!

             *

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さて、最後のコーディネートでは、色大島を着ています。(一枚目の写真、髪型のせいか、ちょっとバーのママっぽく見えるような‥w)
このおきものも祖母から伝わったもので、臙脂色地に椿、或いはバラにも見える花模様を織り出した大島。どちらにも見えることを幸いに、年中着ています(笑)。そして、紫系の色が大好きなので、着ていると何だか気持ちがしっくりと来るのです。
このおきものに、帯は、西陣・勝山織物の黒の葵文様の名古屋を合わせました。帯揚げに水色に近いクールな紫色を入れてアクセントにしています。
この日は、吉祥寺を代表する人気レストラン、北欧料理の“Allt Got”へ出かけました。しばらく行っていなかったのですが、店員さんが覚えて下さっていて、感激。そして、更に味が上がったように思いました。自信をもってお薦め致しますので、皆さんもゼヒいらしてみて下さいね。
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↑そして、帯締め以外同じコーディネートでお茶のお稽古に出た日もあり、その時後姿を撮ってもらったのが上の写真。
この帯もほぼどんなおきものにも合い、本当に重宝。織りも軽くて締めやすい一本です。

           *

いかがでしたでしょうか?三日間連投のおきもの日記。
いつの間にか季節はもう冬。昨日の日記にも書きましたが、最近、長年連れ添った夫に惚れ直すように(結婚していませんがw)きものへの愛がさらに高まっていますので、どんどんきもので外出したいと思います。またきもの日記も更新して行きますので時々覗きにいらしてください!

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秋のきもの日記~~その二、“上田紬の工房訪問の日”のきもの 2013/12/08



昨日に引き続き、この秋に着たおきものコーディネートをご紹介する日記の第二弾。
今日は、先週日曜日、長野県の名産織物・上田紬(上州紬)の工房見学へ行った日のコーディネートをお目にかけます。そして、工房の現場の様子もご紹介致します!

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この日、訪問したのは、上田で江戸時代から続く織り元、小岩井紬工房。
江戸時代から昭和初期までは養蚕業を。昭和以降は織りに転業して、現在に至るまで頑固に手織りを貫いて紬の布を作られています。

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その、機織りの様子が上の写真↑。八十台と思われるおばあさまが、とてもお元気な様子で、この時はネクタイ用の生地を織っていました。

今回の見学で大変ありがたかったのは、整経(せいけい)の工程を見せて頂けたことでした。
“整経”という単語は聞きなれない方もいらっしゃるかも知れませんが、経糸(たていと)の準備のことです。機(はた)織り機ににかかっている経糸、例えばきものの反物だったら13メートルほど必要ですが、これを、出したい模様になるように、事前に並べて機にかけておく作業のことを言います。
機織りと言うと、先ほどのおばあさんの写真のように、機の前に人が座ってトントンと織っている様子が思い浮かびますが、何でもかんでも織ればいいという訳ではありません。織る前に糸をしっかり模様の順番になるように準備しておかなければ、めちゃくちゃな模様になってしまいます。機で織るのは、謂わば最後の最後の作業。整経がいかに大切かがお分かり頂けますよね。

さて、その整経に使う台を撮ったのがこちらの写真です↓
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一本一本違うの糸を、模様の順番になるようにこの整経台にかけて、機に装着する前の準備をします。例えば赤から淡いピンクへとグラデーションの縞模様の布を織りたいと思ったら、その順番に糸が並ぶように揃えて行く訳です。
こちらの写真のように↓、台から突き出している棒に引っ掛けて‥、
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一本一本揃えて重ねて行きます。平織りの紬で約1000本の経糸が必要とのことですから‥気の遠くなるような作業ですね。ため息。
普通、機織り体験や見学と言うと、織るところだけがハイライトされ、見せてもらえたり体験が出来たりするのですが、今回は貴重な整経の過程を拝見出来、感激の一言でした!
そして、小岩井紬工房作の反物のごくごく一部がこちら↓
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手織りの紬と言うと昔は藍色の系の縞模様が主流でしたが、今はカラフル。淡い色も多く、もう見ているだけでうっとりです。
また、この写真では赤系の反物が多いのですが、鮮やかなコバルトブルー系の縞や格子の反物、茶系の格子の反物なども多く、どれも縞や格子の柄行きがとてもセンスが良くて、本当に素晴らしかったです!しかも工房価格なのでとてもお安くて‥!三反ほどかなりほしくなってしまいましたが、この後の物入りを考えてガマンガマン。(ああ、でもほしい‥)

           *

その後、同じ長野県内の岡谷という町へ移動と相成りました。
岡谷で訪れたのが、旧林家住宅という史跡です。明治以降、製糸工場を経営した大富豪のお屋敷跡で、当時の一流職人が腕によりをかけて作った純和風建築のお屋敷、更にそこに、これまた当時第一級の職人が作った洋館がつながっている、和洋折衷の面白い建物でした。
中には、こんなお座敷もありました↓
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ちょっと手ぶれてしまっていて申し訳ないのですが、壁紙や天井の紙に金色の模様が描かれていることがお分かり頂けるでしょうか?これ、“金唐紙”という、和紙の上に金箔を貼って作った豪華な壁紙なのです。明治の一時期大流行したとのことで、当時の富豪の豪華絢爛趣味が伺えますね。

室内では、大正~昭和初期の貴重なおきものの展示もありました↓
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上のおきもの写真、裾回しにも豪華に絵が染められていることに注目です!

その旧林家住宅の入口で撮ったのがこちらの写真↓
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私は、細かい格子の紬を着ています。祖母の遺品のつづらの中に入っていたもので、かなり古く、そろそろ八掛を変えなければ‥という時期に入っているのですが、紬自体はとてもきれいです。模様に寄ったのがこちらの写真↓
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小岩井紬工房の方や、この後に伺った岡谷絹工房(旧山一組製糸事務所)という工房でも、皆さんに「その紬、面白いですね」「いい紬ですね」と褒めて頂きました。嬉しかった~♪
そして、1枚目の写真ではコートを着ていて、帯との取り合わせがお分かり頂けなかったので、帰宅後、家で撮ったのがこちらの写真です↓
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夜に帰宅して撮ったので、暗めの写真になってしまっていて恐縮ですが、ペパーミントグリーンの紬地に、大きく破れ七宝つなぎ文様を織り出した名古屋帯。そこに、黄色の帯締めを合わせました。自分ではこのコーディネート、かなり気に入っています♪

          *

この日の見学は、原宿にある和裁所&和裁学校“プロきものスクール”の産地見学研修にご一緒させて頂きました。
こちらとのご縁の始まりは、今年の夏に私が行ったイベント“江戸着物ファッションショー”。江戸時代に大奥や高位の武家家庭で着られていた“堤帯”という特殊な帯を、プロきものスクールに依頼して制作頂きました。
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この和裁所&和裁学校の代表は、松井扶江先生。
きもの界の重鎮で、知らない人はもぐりと言われてしまうような存在です。10月に、日本橋で開かれて大盛況だったきものイベント“きものサローネ”に先生とご一緒したのですが、たくさんの呉服屋さんやきものブランドの方が先生に挨拶に来られ、「何だか極妻みたいでかっこいい」‥とひそかに思ってしまった、そんな、きもの界に重きをなす先生なのです。(写真は、夏のショーの後に撮ったもの)

先生の和裁所では、NHKの朝ドラ、時代劇、数々のCM、映画『ラスト・サムライ』‥などなどの衣装を手がける他、有名呉服屋さんの仕立てを請け負っていたり、女優さんから指名でお仕立てすることもあるそうです。
そんな和裁所&スクールのお弟子さんたちと、日帰りの見学旅行。女性ばかりとも聞いていたので、「あの人、生徒でもないのに何で来てるのかしら?」と訝しがられたり、ふだんからのお仲間同士でキャッキャしていて、私はぽつんとなってしまうかな‥と心配していたのですが‥、40人ほどの皆さんが次々と話しかけて下さり、孤独感ゼロ。本当にいい学校であり・職場なのだなあと、感動でいっぱいの一日でした。もちろんこれも、先生がそういう組織として運営して来られたからこそ、なのだな、と、ますます松井先生のファンになってしまった私でした。

上の、旧林家住宅前で撮った写真で一緒に写っているのは、そのお弟子さんのお二人。右端の、黒の素敵なコートをお召の女性は、花椿あやこさんというお名前できものブログも書かれています。きもの愛いっぱいのブログですから(時々猫ちゃんの話題も!)、皆さんゼヒご覧になってくださいね。
http://kimonohanatubaki.blog.fc2.com/

‥と、きものを愛する方々との縁も広がり、最近、自分の中で“第二次きものブーム”と言っていいくらい、きものへの愛が更に更に高まっています。
明日もまたきもの日記を更新致しますので、ゼヒ遊びにいらしてください。明日は三つのコーディネートをお目にかける予定です♪♪♪

今週は、普段より多めに日記を更新しています。
良かったらご高覧下さい。

*最近話題のインバウンド観光(=外国人観光客誘致)について考えるエッセイ
 「お・も・て・な・し~外国人観光客を迎えることの意味」
http://www.maya-fwe.com/4/000273_J.html
*この秋に着たおきものコーディネートのご披露日記第一弾
 「秋のきもの日記~その一、季節の柄で出かけた日のコーディネート三つ」
http://www.maya-fwe.com/4/000274_J.html

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秋のきもの日記~~その一、季節の柄で出かけた日のコーディネート三つ 2013/12/07



今日から月曜までの3日間、毎日、この秋に着たおきものの日記を更新して行きます!
本当は、こまめにその都度更新した方が良いことは分かっているのですが、おかげさまで毎日お仕事をたくさん頂き忙しく過ごしておりまして、なかなか時間が作れません。そこで一挙公開と行きたいと思います!
初日の今日は、季節の柄で出かけた日のコーディネートを三つご紹介です。

        *

まず一コーディネート目は、秋の花と言えばまず思い浮かぶ、菊柄の訪問着をご紹介。
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総模様の菊柄を、裾を境に黒と赤に染め分けた一枚です。このおきものは、祖母が60年ほど前に!当時、祖父の仕事の関係で住んでいた名古屋の三越で買ったもの(母が記憶していました)。
とてもしゃれた模様付けで、今見ても新鮮。祖母が気に入ってよく着ていた上に、その後、年の離れた妹(私にとっての大叔母)にも貸してあげていた一枚だということなのですが、二人とも大切に着ていたのか保存状態が良く、どこにもしみも色褪せもありません。その後大叔母が我が家に返却して、今や私が着ています。本当におしゃれな模様付で祖母に大感謝。もう、大のお気に入りの一枚です。
帯には、茶色地に金箔で月を意匠化した一本を合わせました。この日、夕方から夜にかけての外出だったため、秋の月に菊花が浮かぶ、というコンセプトです。
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この日は友人のお誘いで、江戸時代より続く京焼き窯の名門・真葛窯の当代、宮川香斎さんの個展へ出かけました。上の写真が、宮川さんの作品です。
このお写真の作品は華やかな色絵の京焼ですが、他に、青と白の染付、交趾焼、赤絵、東南アジア風のもの‥とさまざまな作風で作っておられ、高い技術力をお持ちの作家にとっては、製作法の枠も軽々と越えられるのだな、と感心させられました。
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上の写真は、宮川さんとご一緒に写して頂いた一枚。facebookに載せたところ、後ろのお軸の「好日」と相俟って、「結納写真かと思った!」との声が続出しました(笑)。
このお写真でもお分かり頂ける通り、八掛には錆朱色が入っています。本当に大好きな大好きなきものです。

          *

さて、二枚目は、きものではなく帯に季節の柄が入っています。こちらも菊の花を染めた一本。私の祖母の作品です。この日出かけた清廉な場所に合わせようと、おきものは、白地にごく控えめにベージュ色の糸で網代文様が入った、西陣・洛陽織物のお召を着用しました。
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この日は、友人と一緒に、武蔵小金井にある“三光院”という禅寺(尼寺です)を訪ねました。出家して禅の修業をするため‥ではもちろんなく、その真反対に食べ物目当て。こちらのお寺では、美味しい精進料理を頂けるのです!
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先ほどの写真は、その三光院さんのお庭で撮ったもの。後ろに山門が写っています。
2枚目が、食事が終わった後、調理を担当されている尼僧さんに席で撮って頂いたものです。畳敷きではなく、広々としたお部屋に、畳表!になっている不思議な食卓で頂くことがお分かり頂けるでしょうか?
この食堂は、もともとお寺経営の幼稚園だったところを改装したものだそう。珍しいこの食卓も、ご住職のアイディアで作ったオリジナルだということでした。
本当は、こういう時、お食事の写真も撮って載せた方がブログが充実することは分かっているのですが、どうも私は食事をしている時は食事と会話に集中したく、写真を撮るのが苦手なのです(お友だちのフェイスブックなどの食べ物写真を眺めるのは大好きなのですけれど)。
そんな訳で、肝心のお料理の写真がなくて申し訳ないのですが、三光院の食べログにたくさん写真が載っていましたので、ご参考になさってください↓
http://tabelog.com/tokyo/A1325/A132501/13039545/

          *

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さて、秋の季節の柄のお着物、最後の一枚は、銀杏の落ち葉の小紋です。こちらも、私の祖母が染めたもの。松葉模様の地紋の綸子地に、秋の銀杏の葉とぎんなんの実を染めた楽しい一枚です。
帯には黒地に葵文様の、西陣・勝山織物の名古屋を締めているのがお分かり頂けると思うのですが、寄りの写真を撮らなかったため、下の写真は、以前着た時に撮った別の帯が載っていますこと、ご了承くださいませ。
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秋しか着られないこのきもの。今年は3回ほど着て外出したのですが、写真を撮ったのは、この度真打昇進が決まった女性講談師・神田京子さんの独演会を聴きに行った日。
国立演芸場での公演で、京子さんとはすみだ川アートプロジェクトに参加したご縁でお見知りおき頂いているので、一緒に写真を撮れば良かったのですが‥「公演直後で疲れていらっしゃるかな」と遠慮してしまって声をかけられず‥一人での写真で申し訳ありません。
来年は、せっかくブログを読みに来て下さっている皆さんに楽しんで頂けるよう、もう少し積極的になるよう頑張ります!

それでは、秋のきもの日記、明日も明後日も更新しますのでまた遊びにいらしてください!

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両手にきもの男子の夜 + 桐生の新作反物・帯展へ行って来ました~~久し振りのきもの日記は二つの話題で♪ 2013/11/13



きものを愛する女性の憧れの一つ、それは、“きもの男子ときものお出かけすること”ではないかと思います。
でも現実は、「うちの夫は/彼は/男友だちは、きものに全然興味がなくて‥」と、結局自分だけがきもの。あーあ、という話はよく耳にするところです。
ところが最近、私、あっさりと夢がかなってしまいました。しかも両手にきもの男子!下の写真をご覧ください。むふふです♪
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二人の素敵なきもの男子は、木下恭平さん(左)と、肥留川宇志さん(右)。
木下さんは、きものブランド“千花”のディレクターでいらっしゃいます。“千花”は色無地きもの・浴衣(浴衣は模様あり)・そしてかわいい和装小物を扱うブランド。青山にショップがあるので、皆さんゼヒ訪ねてみてくださいね。ホームページはこちらになります↓
http://chihana.com/
そして、千花オリジナルの文様入り腰紐がとてもかわいいのです。私も買いたいのですが、青海波と七宝つなぎ模様のものがどちらもかわい過ぎて迷っています。両方買うかしかない‥?下のURLでご覧ください↓
http://chihana.com/online/
この日木下さんが着ているお着物も、さすが色無地を扱っていらっしゃるだけあって、白みがかったグレーが素敵な一揃いですよね♪
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そして、お隣りの肥留川さんのご職業は、映像作家。
最近、江戸小紋染め師の・廣瀬雄一さんを撮ったドキュメンタリーが『ブレーン』誌主催の「継承と変革」映像コンテストで賞を受賞。きものサローネ会場でも流れたのでご覧になった方も多いのではないでしょうか。下記youtubeでその作品を閲覧出来るようになったとのことですので、是非ご覧下さい。
http://www.youtube.com/watch?v=pqIzj7SawBI&feature=youtu.be
この作品をご覧頂けば分かる通り、今の時代の映像感覚で伝統職人の仕事現場を作品にまとめ、世界に発信してくれる‥肥留川さんはそんな稀有な存在です。
これからも日本の染織文化に焦点を当てた作品を撮り続けて行く計画をお持ちなので、新作を楽しみに待ちたいですね。

この日は、他に、きものスタイリストの大竹恵理子さんもご一緒に、四人で熱く“これからのきもの”について語り合っていました。(大竹さんはお洋服だったので、写真の統一感のために一緒に撮影していません。次回はおきものでゼヒ女子2ショットを撮りたいです♪)
最近、三十代、四十代のきもの業界人の方々と深い話をする機会が多いのですが、それぞれの方から、きものを盛り上げて行こう!というとてつもない情熱と実行力をもうくらくらするくらいに感じています。本当に嬉しいことで、私もますます頑張るわよ!ともともと元気いっぱいの女ですが更に力がみなぎって来ることを感じるほど。
そして、街で、レストランで、歩く時、“自分もきもの、横を一緒に歩く男性もきもの”というのは本当に何とも心楽しいものだなと今回強く実感しました。やっぱりきものにはきものが似合う!‥となんだか訳のわからない文章になってしまいますが、きもの男子、もっともっと増えてほしいなと思うのです!

          *

そしてもう一枚、別のきもの男子と一緒に撮ったお写真をご覧ください!むふふ。こちらはもう男子とは言えない素敵なきものおじさまですが‥
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実はこの写真、今日の午前中に撮ったもので、私は洋服なのが残念なのですが、この後に向かった仕事の関係でどうしても洋服で過ごさざるを得なかったのです‥と、そんなことはさておき、ここはどこかと言うと、銀座・歌舞伎座の真ん前にある群馬県のアンテナショップ“ぐんまちゃん家”。
そこで開かれている、桐生の織物の新作展示会に伺ったのでした。

桐生は、言わずと知れた一大織り物どころです。その中で、今回の新作展には、後藤、泉織物、高光織物、井清織物という四つの老舗機屋さんが参加されていました。老舗と言うと古典的なお品ばかり‥?という訳ではないところを、この後ご覧頂ければと思います。

さてさて、上の写真で一緒に写ってくださったのは、泉織物の泉太郎さんだったのですが、その泉織物の新作きものが、下の写真で衣桁に掛かっているものです。一度織った後さらに絞りで文様を入れて、このような大胆且つ味わいあるきものを生み出しています↓
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他にも、こんな新作も↓
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これは、70本もの糸を精密に織って見事な微妙なトーンの色合いを生み出しながら、更に最後に紋織りで上から濃い臙脂の糸を挿し色に入れています。一手間も二手間もかかっている素敵なきものですよね。
一方で泉織物さんでは、こんなかわいい猫ちゃんのお散歩姿の名古屋帯も。
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これは一目見て分かる通り、絞りの帯。猫好きにはたまらないですね‥!

さて、今回出展の四軒の織り元さんの作品が並んでいるコーナーがこちら↓
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手前の下の紺色地の帯、ピアノの鍵盤と音符が織られているのが分かるでしょうか?井清織物さんの新作です。
井清織物の当代・井上さんはまだお若く、こういった楽しい帯をたくさん織られています。サローネにも出展されていたのでご覧になった方もいらっしゃるかと思います。
毎日の洋服のクローゼットから地続きのような、「きものだから」と構えることなく着られる帯を目指している、とおっしゃっていました。
そして、その隣り黒い花柄の帯と更に奥の菜の花の帯は、後藤織物の作品。創業明治三年、既に百四十年以上の歴史を持つ機屋さんですが、古典的でありながら現代感覚もあるすっきりとした意匠が素敵でした。

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素材からして面白かったのが、こちらの白地と紺地反物↑
何と、紙の糸で織っているという、夏の着尺です。ゼヒ会場で実際に指に触れて頂きたいのですが、とても薄くかすかに凹凸もあって、肌にべたつかず涼しく着られそうな布でした。
こちらは、高光織物さんが今年新開発したものだということで、こちらも当代で四代目の機屋さんだそうなのですが、どんどん新しいことに挑戦されている‥!その心意気が本当に素敵ですよね。
ちなみにこの写真に一緒に写っている白地に紫のすっきりとした帯、こちらも紙の糸で織ったものなんです。こちらも軽々と締められそうですよね。

高光織物さんのお品物は、他に、先ほどのお写真の音符の帯の下にかかっている淡い藤色の紬もそう。こちらも、白い音符が織り込まれているんです。音楽会に着て行くのにピッタリですよね。
そして、高光織物さん、裂き織りのシリーズも展開されています。
裂き織りは、みなさん、ご存知ですよね。古くなった布地を裂いて新しい糸と一緒に織ることでよみがえらせる技法ですが、これをプロの機屋さんが手がけるとこんな上質な帯が‥↓
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↑こちらの写真で、上に載っている友禅染めの布が中に織り込まれると、この帯のように生まれ変わります。かすかに以前の布の模様も見えるので、たとえばおばあさまからもらったけれど丈が合わなくて着られないきものなどを織り込めば、おばあちゃんと一緒にまたお出かけ出来る‥そんな気持ちになれるところがいいですよね。
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↑一方こちらは、高光織物さんのひと工夫で、織るときに縦に淡い黒で縞を入れたもの。そうすると、これももう元は古いきものだったことなんて全く分からない、すっきりした現代帯に変身!という訳です。もちろん、この写真で帯の上にかかっているピンク色のきもの地が元の布。大きな大きな変身にうならされるばかりですよね。

‥と、いかがだったでしょうか。まだまだ他にも素敵な作品がたくさん。ご紹介したのはほんの一部です。桐生新作・きりはた展。今週日曜日17日まで開催されているので、ゼヒ足を運んでみてくださいね。メーカー直売ですので、どの反物も、驚きの10万円台です。本当に本当にお得なので、ゼヒ銀座へ!
ぐんまちゃん家へのアクセスなど、詳しい情報は下記URLでご覧ください↓
http://kikaku.pref.gunma.jp/g-info/event_info.php

           *

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そうそう、ここで最初に戻って‥両手にきもの男子写真☆で私が着ていたきもののご説明を忘れていましたので、最後に少しだけ。
この日のコーディネートは、歌舞伎の定式幕の三筋の縞を、山道文様のようにじぐざぐに図案化した横縞のおきものに、市松文様の帯。この市松の中が、一つ一つ違った江戸小紋の文様で染められているという、とてつもなく凝った一本です。
大竹さんが「え、この帯の模様、どうなってるんですか!」とすぐ気づいてくれたのが嬉しかった‥!
それにしても、この日のコーディネート、英語で書けば「ストライプ×チェック」、がちゃがちゃとうるさいコーディネート、ということになってしまいますが、きものならしゃれた遊び心の組み合わせになるところが何とも楽しいですよね!
秋も深まり、どなたの箪笥の中の手持ちも多い、袷の季節本番!あれこれとコーディネートを考えるのが本当に楽しい時期になりました。またきもの日記も随時載せて行きますので、皆様ゼヒこのブログを覗きにいらしてくださいね!

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宇野千代自伝『生きて行く私』に見る股のゆるさと宇野千代きものについて 2013/11/04



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 3、4年ほど前、歯医者の待合室だかどこかで偶然手に取った女性誌で、ファッションディレクターだったかアートディレクターだったか今ではもう忘れてしまったけれど、何かしゃれた職業の女性が宇野千代の自伝『生きて行く私』を自分の好きな本と紹介していて、以来、いつかこの本を読んでみたいと思っていた。
 それからわりと忙しく日々を過ごしてあっと言う間に3年ほどが過ぎてしまったのだけれど、特にこの10か月ほどは一日も休みなく仕事に追われていた生活がほんの少し小休止したので、そうだ、『生きて行く私』を読んでみようと、飛びつくように読み始めたのだった。
 宇野千代の小説はこれまで一冊も読んだことがなかったけれど、八十歳でも振袖を着ているとか、桜が好きで一年中桜のきものを着ているとか、「私、死なないような気がするんです」という有名な台詞などは耳にしたことがあって、面白そうな女性だなと興味は持っていた。
 それに、そのカタカナ職業の女性も、“生き方に一つの美学を貫いた凛とした女性の一代記”といった紹介をしていたから、きもの好きの私としては人生の美学ときものの美学とが美しく一体化したような、何かとてつもなくしゃれた随筆が読めるのではないかと期待したのだ。

          *

 さて、ページをめくり、四分の一ほどしたところで、その美しい期待は大きな見当違いだったということにつくづく気づかされた。だからと言って読む価値がないかと言えばそんなことはなく、むしろ無類に面白い。
 では、一体この自伝はどんな書物なのか、と言えば、それは、宇野千代という女性の股の話だ。宇野千代先生が行く先々ですぐ男性に股を開き、人々がえっと仰天する。ここでもここでも股を開いているけれど、おそらく行間のここでも股を開いていて、だけど何かはばかりがあってここについては書いていないな、と同性ならすぐ読み取れてしまう。そんな風にあっけらかんとそこかしこで股を開きまくっている女の一代記が、この自伝随筆集なのだ。
 ‥とこう書いてしまったら身も蓋もないと思われるかも知れないけれど、これこそが彼女の人生の総てを集約した一言なのだ、ということに、『生きて行く私』を読めば気づいて頂けると思う。
もちろん、千代先生は野間文芸賞や芸術院賞を受賞し、うるさ型の小林秀雄をも驚嘆せしめた偉大な作家だった。また、一時代を築いたファッション誌の編集長をしていたこともあるし、趣味のいいきものを世に送り続けたきものデザイナーでもあった。
 しかし、女が前に出るのが今よりもずっと難しかった時代、何が彼女をそこまでの場所へと押し上げたのかと考えてみれば、その心底根底にあったものは、「あら、この男、ちょっと素敵」と思った瞬間すぐに股を開き、それでもなびかない男の元には毎日毎日職場にまで押しかけて「あの、私の股は開いてますけれど」と執拗に知らせ続ける、その、周囲の目を一切気にせず自分の欲望に向かって素直に自分を全開に出来る純粋無垢な魂のようなもの。それを彼女が保持し続けていたからこそ、あの時代に大きな成功と幸せをつかみ取ることが出来たと分かるのだ。

 もちろん、そのようないわゆるふしだらで自堕落な生き方をしていたらそれなりのしっぺ返しはある訳で、その中で、よりくっきりと見えて来る人生悲喜劇の輪郭が、おそらく彼女の小説の主題となったのではないか、ということにも、読んでいれば自然に思い至る。そうなると私などはがぜんこの上は、千代先生の代表作も読んでみようじゃないかという気にもさせられるのだった。

          *

 ‥という訳で、私が最初に雑誌で読んだしゃれた職業の女性に言いたいことは、股の話は股の話だとちゃんと書いてほしい、ということだ。
 確かに千代先生の偉いところは股だけの女に終わらずそれを偉大な作品や事業に変え得る知恵と文才とセンスを持っていたことにあるけれど、股がゆるかったことがまたその人生の最大の特徴であり、その股ゆえにこそ知恵も磨かれたのだ、ということを、女性誌的にこぎれいにまとめるのはどういう安全策なのだろう、と一人文句を言いながら表紙を見返したりもしたのだった。

          *

 ところで、千代先生の名誉のために付け加えておけば、人生のごく一時期を除いて、先生は誰にでも彼にでも股を開いていた訳ではなかった。尾崎士郎、北原武夫、東郷青児‥彼女が股を開いた男の列伝には綺羅星のような名前が並ぶ。そして、彼女は、あきれるほどに分かりやすい“イケメン好き”でもあった。才能がある上に見た目も美しい男性と恋仲だったのだから、何とも痛快な話ではないか。
 そんな“宇野千代”の名前を冠したきものが、今も綿々と作られていることはきもの好きなら誰もが知っているだろう。先生の股の開き具合を思うと正直うら若い娘さんの振袖にはどうかと思うが、三十五過ぎた女が小紋などに着るとしたら、何ともしゃれている、と思うのだ。


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きものスタイルマガジン「いろはにキモノ」発売!私も3企画を担当しました 2013/10/24



またまたブログ更新の日にちが空いてしまいましたが‥それには訳がありました。
夏の半ばからずっと、きもの雑誌「いろはにキモノ」の取材・撮影・原稿書き・校正に走り回っていたのです!
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その「いろはにキモノ」が昨日、発売になりました(上の画像がその表紙です)。30代から40代のきものloversと、きものに興味を持ち始めた皆さんに向け、若々しく、けれど品格あるスタイルをご提案しています。皆様、ゼヒ書店に走って下さいませーーー!

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その「いろはにキモノ」で、私は3企画を担当しました。ページにすると実に24ページ分。特に9月半ば頃が原稿書きのピークで、その頃、たくさんの楽しいお誘いを全てキャンセル致しましたが、このお仕事に奮闘していたのでした。お友だちの皆様「そうだったのか、仕方なかったね」とお許しくださいませね。

私が担当したページを、ここで少しご紹介したいと思います。
まず一つ目が、巻頭の「原由美子さんが提案する“大人キモノ”」。そのコーディネートを下にちら見せ致しますね↓
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原由美子さんのことは、ご存知の方も多いと思います。「anan」の創刊にも携わった日本のスタイリストの草分け。洋服のスタイリングの第一人者であられると同時に、幼少期から日本舞踊に親しまれるなど、和文化が常に身近にあった方。おきものも大好きで、「FIGARO」で連載も持たれています。
その原さんが2010年代を生きる30代40代に向けて、きものスタイルを提案。洗練とはんなりが全くぶつからずに共存している五つのコーディネートを現場で見られた私は、本当に幸せ者でした。
特にはっとさせられたのが、帯揚げと帯締めの色使い。ここにその色を!とうならされる挿し方に、私は原さんより年齢は若いけれど、全然冒険していなかったな、と反省しきりだったのでした。
‥とこんな風に書いたら、皆さん、もう見たくてたまらなくなって来ましたよね?そうです、見なければ損です!ゼヒ本屋さんで手に取ってページをめくってみて下さいね。(そしてご購入頂ければもっと嬉しいです^^)

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さてさて、私が担当した第2企画目は、「きもの好きのこだわりをチェック 着こなしおしゃれスナップ」です。
ふだんのきものは自分の感覚で着て楽しく過ごしているけれど、正式なパーティーやお茶会のお呼ばれなど、きまりごとの多いフォーマルな場面となると、とたんにどんなきものを着ればいいのか迷ってしまう。そんなこと、ありませんか?
かく言う私もいまだに茶会の前日など部屋中をきものだらけにして大騒ぎしていますが、だったら、フォーマル場面でみんながどんなきものを着ているのか、見せ合いっこしようよ!そんな主旨のページです。
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ご登場頂いたのは、お仕事や趣味の活動、プライベート行事でふだんからフォーマルきものを着ることの多い七名のきものloversの皆さん。パーティー、茶会、レセプション、お子さんの入卒式など、具体的なシーンで実際に着たきものを再現して頂きました。とても参考になると思いますので、皆さん、ゼヒ、ガン見してくださいね!
そして‥このコーナーでは、私のお友だち三名にもご登場を頂きました。手銭さん、ゆかさん、しおさん、ありがとうね。LOVE

          *

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そして、私が担当したもう一つの企画は、「おしゃれ店員さんの1weekコーディネート」。
女性ファッション誌を開くと、必ずと言っていいほど載っている「1週間着回しコーデ」のページ。それから、「人気ショップのカリスマ店員さんのお洋服拝見」。あれをきもの雑誌でもやってしまおう!という意欲企画です。ご登場を頂いたのは、東京と京都の人気きものショップ7店の皆様。じゃーん、ここでお店とご登場頂いた皆さんのお名前を発表したいと思います。

awai(六本木)――女将の木下紅子さん
花想容(目白)――スタッフの田中由起さん
きもの和處 東三季(南青山)――店長の小宮たつみさん
銀座庵(銀座)――副店長の神崎まりえさん
銀座かわの屋(銀座)――スタッフの小野知花さん
くるり(青山・表参道・吉祥寺など)――プレスの大川枝里子さん
西村兄妹キモノ店(京都)――オーナーの西村美寿穂さん

どうでしょう、この豪華ラインナップ。シンプルきものからはんなりきもの、ビンテージきもの屋さんまで!正真正銘きものloversに人気のお店ばかりです。
そして、ご登場頂いた皆さんは当然、毎日おきものでお店に立たれたり、仕入れのために展示会を回ったりされています。毎日きもので過ごす中での着回しアイディアや、ちょとした工夫を余すことなくご紹介。もう、これも見るしかありませんよね!(書店へゴー!デジタル版もあります!)

そして、もう一つ。私がこの企画を担当出来て本当に良かったと思ったのは、撮影の合間に各ショップの皆さんとたくさんのお話が出来たことでした。
ご存じの通り、きものを取り巻く環境は決して順風満帆とは言えません。私はライターのお仕事で、ベンチャービジネスを興して大成功を収められた方々のインタビューを何度も経験していますが、その方たちが成功の秘訣について、「成長産業で勝負すること」と仰るのを幾度も耳にして来ました。同じ実力を持っていても、逆風の環境で闘うのと成長産業で闘うのでは手にする果実は全く違って来るのだ、と。その言葉は確かに真実だと思います。
そして、ひるがえってきもの業界のことを考えてみれば、まさにその真逆。けれど、それでもきものを愛してやまない、きものから離れられない30代、40代のきもの業界人が、今、この業界の中心に立ちつつあるのだということを、私はこのお仕事を通じてはっきりと感じました。
大きなお金儲けをしたいならば、ITやソーシャルゲーム、金融取引を仕事にすればいい。或いは同じ服飾業界でも、ファストファッションブランドでディレクターを目指すのもいいかも知れません。けれど、そうはしない。いわゆる成長業界に行けば必ず成功出来るだろうという実力を備えた人たちが、それでもきものを選んでここで踏ん張っている。
‥だから、そういう皆さんたちがお店にセレクトする商品、或いは別注で作り出す商品は、新しいアイディアや新しい感覚に満ちています。店は隅々まできれいに掃き清められ、皆さん「きものが好き!」と太文字フォントで書いたみたいににぎにぎしくきものへの愛が顔に現れていました。その情熱を感じられたことが、本当に本当に刺激になりました。ライター、或いはイベントのディレクターとして、私も何とかこの業界を盛り上げて行く役目を果たしたい!と思いを新たにしたのでした。
そして――ここでもう一度誌面の話に戻りますが――そんな情熱のきもの店員さんたちは毎日どんなきものを着ていらっしゃるのか、そこにはどんな小さな工夫があるのか、根掘り葉掘りお聞きしてページにしているので、ゼヒご覧頂けたら嬉しく思うのです。

          *

もちろん、私が担当したページ以外にも‥

*木綿きものコーディネート特集(個人的に、きもの産業の復活は木綿きものにかかっているかもしれない、と思ったりもしています)

*スタイリッシュな今の気分のきものコーディネートってどんな姿?スタイル提案ページ

*付録には、刺し方解説&図面付きの“手作りこぎん刺しコースター”。解説を参考にオリジナルのコースターを作って“こぎん刺しコースター誌上コンテスト”に応募すると、「美しいキモノ」に掲載されるかも!手先の器用な皆様、是非ご参加くださいませ!

*人気きものブロガー・朝香沙都子さんによるきもののお悩み回答コーナー

‥などなど、読み応え・見応えたっぷりの記事が揃っています。最近めきめき人気急上昇中の古川雄輝さんと波瑠さんもきもので登場していますよ!

「いろはにキモノ」(ハースト婦人画報社)雑誌版・デジタル版、ゼヒ皆様のお手元で末永く愛されることを願っています!

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【動画付き!】江戸着物ファッションショーを振り返って思うこと 2013/09/18



今年7月、私が企画・制作して行った江戸着物ファッションショー。
お蔭様で大好評のうちに幕を閉じ、「またやって下さいね!」という声もちらほら頂いていて嬉しい限りです。
先日は、雑誌『隔月刊 装道』でも、当日の着装を6ページにもわたり大々的に採り上げて頂きました(下の写真参照。動画は更に下で出て来ますのでお間違いなきようご注意下さい)↓
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そんな江戸着物ファッションショーの様子を、当日お仕事などでご来場頂けなかった方、また、今になって初めて江戸着物ファッションショーの情報を知った方にも少しでも体験して頂きたいと思い、5分ほどのPV映像にまとめました。もちろん、当日会場にお出で頂いた方には、現場の臨場感をなつかしく思い出して頂ければと思います。
このPV映像は、数々の劇場映画やミュージックビデオの制作・撮影・編集を手掛ける信田眞宏さんと大江利哉さんのご協力により制作頂いたものです。とてもかっこよく仕上がって頂いて感無量。今日からyoutubeで公開しましたので、皆様、下のplayボタンをクリックして、ゼヒご覧になって下さい!

この映像を見て頂くとお分かり頂ける通り、江戸着物ファッションショーは、道明三保子先生による“江戸着物ナビゲーション”講義と、着装モデルによるショー。二つのプログラムが交互に現れるスタイルを取っています。
このような構成に関して、少し話は変わりますが、実は、準備を始動した当初、資金や技術のお願いに回っている際によく言われた“二大アドバイス”がありました。

「講義なんていらないんじゃない?勉強的な小難しい話なんて、誰も聞こうとしないと思うな。それよりも、江戸着物を着たモデルを一人でも多く増やして、ショーをバーンと華やかにした方がいいよ」

「江戸着物の再現はそんなにしゃかりきになって追求しなくても平気なんじゃないかな?そこをちゃんとしようとすると途方もない労力とお金がかかるでしょ。今回はあなたにとって初めての“自分で運営するイベント”なんだから、まずはそこそこの再現でいいじゃない」

こんなアドバイスをあちこちで頂いたのです。
表面上はにこにこありがたくお話をうかがっている風を装っていましたが、実は内心では全く納得していませんでした。
私は、専門家による解説は、絶対に不可欠だと考えていました。
もしも解説がなく、ただ再現着装があるだけなら、結局は「今日古い着物を見た~」で終わってしまう。それは「今日珍しい金魚を見た」と同じレベルで、娯楽情報がこれほど氾濫する時代には、一瞬のうちに脳の中で消費されてしまうだけと思えたのです。
江戸着物ファッションショーの準備のために様々な情報を集めている中で知ったのは、全国の市町村で、「こんなにもたくさんの時代行列イベントが行われているんだ!」という事実でした。また、テレビを点ければ昔より減ったとは言え、一日一つくらいは時代劇を観ることだって出来ます。それでも、これらの出演者が着ている着物は、ただ“昔の着物”というぼんやりとした情報でしか人々の頭の中に残らない。戦国時代の着物と江戸時代の着物では全く違うことが多々あるのに、何が違うのか、どういう美意識で着ていたのか、何がおしゃれポイントだったのか‥そんな楽しい情報は全て霧の中に埋もれたまま。だからこそ、絶対に解説は外せない!と確信していました。

また、「今回が初めての試みなんだから、大体の再現でいいじゃない」という二つ目の意見。これも私には絶対受け入れられないものでした。
もちろん、どうしても出来ない部分も出て来るだろうし、そもそも江戸時代の流行について当時の人が書いた文献を当たっても、文献甲と文献乙では見解が違っている事柄もあります。タイムスリップでもしない限り、当時を完璧に再現するのは不可能なこと‥ということは、企画を動かす前から分かっていました。

でも、だからと言って、最初から「大体でいいじゃない」というのではあまりにも志が低過ぎる。
それにハッキリ言ってこの数年、“自分解釈の”“今の要素も取り入れた”、“なんちゃって江戸着物”は、もう世の中にあふれ過ぎていて全然新しくも何ともないと感じていました。やろうと思えば誰でも今日から、“江戸時代アレンジ着物”を楽しむことは出来ます。
むしろあらゆる努力をして当時を再現し、その立体的な臨場感を体で感じる。その上で、新しい目で浮世絵などの資料を見て、我々の祖先の美意識をじっくりと咀嚼する。その咀嚼と、グローバル時代の今を生き抜く中で自然に身に着けている現代の美意識。二つの混交を経て、今を生きる私たちならではの新しい美の感覚が生み出されるはずだ。そんな道行きの方が、私にははるかに刺激的に思えたのです。

             *

もちろん、そのための準備は、本当に血反吐を吐くような苦しいものでした。
日本全国のアンティーク商や美術館、工房に連絡を取って、多くの所にはけんもほろろに断られ‥「全部で三体しか再現出来ないのではないか」と追い詰められていた時期は、夜も眠れないこともありました。そして、資金面で行き詰まっていた時期も、やはり眠れない夜を何度か過ごしました。
「江戸時代の着物を再現したーい」と口で言うのは簡単です。でも、何かを成し遂げるためには必ず資金が必要であり、その仕組みをどう作り上げるのか。ただの“着物好きの女の子たち”が投げ出してしまうこの一点を突破するための試行錯誤とその苦しさは、やってみた人にしか分からない、まあ、寿命が縮むような苦しいものだと断言します。
それでも、少しずつ、理解を示して下さる方々と出会え、2時間という、初めに決めていた時間枠を十分に楽しんで頂ける、八体の着装を再現することが出来たのでした。

もちろん、まだまだ完璧でない部分は幾つかありました。
あそこにはもう一つあの小物を加えたかった‥。あの帯は本当は草木染めのもので揃えたかった‥などなど、どうしても力及ばなかった部分も存在しますし、そもそも江戸時代の既婚者は本当はお歯黒をしているはずですが、今回は、江戸時代の美意識のうちでも“現代にも通じやすい美”の部分に最もクローズアップしたかったので、「不気味~!」と取ってしまう方が多そうな要素は敢えて避けた、という側面もあります。また、私の勘違いで、小さな間違いを犯しているところもあると思います。その点はどんどんご指摘を頂き、その結果を次に反映して行きたいと思っています。

          *

以前、養老孟司先生のインタビューを拝読した際、先生の或るお話に大変感銘を受けました。先生は大体このようなことを仰っていたと記憶することを、以下に再構成してみますのでご一読ください。
「僕は、東大で成績をつける際、こんな基準を用いています。
僕が課題を投げかけた時に、まず一番に手を挙げて意見を言った学生。この学生には無条件でAの評価を与えます。たとえその意見が幼稚なものだったとしても、です。
その後、最初の発言者の荒削りな意見を様子見して、おもむろに手を挙げ、より洗練された見解を述べる学生たち。例えその意見がより正しく洗練されたものだったとしても、僕の評価はBです。時々、このような評価を見て僕に文句を言って来る学生がいますが、そういう人は、誰も先人がいない中で最初に考え、発言する時に必要とされる創意と勇気。その重要性を理解していない」

私は養老先生のこの意見に大変感銘を受けました。
私自身も、後から安全でスマートなものを提出する人間であるよりは、誰もやっていないことを最初に思いつき、勇気を持って世の中に問いかける人間でありたいと思います。また、初めから、「まあ、大体こんなところでいいんじゃない?」と低く目標を設定するのではなく、可能な限り最高のものを追求する人間でもありたい。そうも願っています。
その上で、一方、こんなことも思うのです。

私の父方の祖父は学者で、父も母も学者です。学者の家で育った人間だからこそ実感として思うことは、学問上の定説は常に進化、或いは変化し続けて行くものである。そういう厳とした事実です。
最初に誰かが新しい学説を打ち立て、他の学者がそれに衝撃を受ける。そして或る一つの分野の研究が盛んになる。すると、最初に提出された学説の誤った部分が発見され、大小の修正が加えられる。一見、最初の学説は古びた、価値のないものに成り下がったように見えるかも知れませんが、しかし、そもそもそのような修正を行うことが出来たのも、最初に新しいものの見方が提出されたからこそであり、人類の知見はそのように道筋でしか進化し得ないものなのではないでしょうか。

残念ながら着物文化はこれまで徐々に縮小の道をたどり続け、私たちの先祖が持っていた独自の美意識は、ファストファッション、或いは洋服の美意識に塗りつぶされようとしています。過去の美意識を探求することは、もはや学問の領域に近くなってしまったと言っても良いのではないでしょうか。
けれど、同時に、“着飾る”ことは、石器時代からおそらく変わらない(貝殻で作ったアクセサリーなどが発見されますよね)、俗っぽい、人間の生活に根差した最も根源的な娯楽の一つでもあるとも思います。
着物を愛し、同時に、学ぶことを愛する人間の一人として、これからも、誤りを恐れず、しかし目標は常に高く置いて、過去の美意識を探りながら新しい美意識を産み出す、そんな「温故知新の道」を追求したいと思います。その道は単に服飾の領域にとどまることを越えて、自分の育ったこの国の文化を愛し、誇りを持つことにつながる道だと確信しています。
幸いにも、複数の団体様から、「またあなたの企画で時代着物イベントをやってみませんか」というご提案を頂いています。今すぐという訳ではありませんが、また必ず新しい企画を皆様にお届けする日が来るよう、資金・技術・知識、全ての面での厳しい努力を続けて行きたいと思っています。

江戸着物ファッションショーに、技術協力、服飾貸与協力、資金協力、宣伝協力、人脈のご紹介の協力をたまわった全ての皆様。当日会場にいらして下さった皆様。応援を頂いた皆様。そして、新しくこのような企画に興味を持って下さった皆様に、心からの感謝を捧げます。そして、これからも応援をたまわれる自分であるよう、精進を続けてまいりますので、変わらぬご贔屓をどうぞ何卒よろしくお願い申し上げます!


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夏の思い出、絽のコーディネート二つ 2013/09/12



 久し振りにお着物日記です。
 今日、東京は30度を記録しましたが、それでも朝夕は風も涼しく、秋の気配が感じられて来ました。私はとても暑さに強く汗もかかない体質なので、もう夏の薄物は店じまい。単衣に移行して過ごしています。
 そこで、今日のお着物日記では、夏を振り返り二つのコーディネートをご紹介したいと思います。実は今年の夏は仕事が忙し過ぎて、あまり遊びに出かけることが出来ませんでした。着物や浴衣を着る機会もほとんどなかったのですが‥

 ‥そんな中、一着目は、こちら。絽の小紋のコーディネートです。
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*画像では分かりにくいかも知れませんが、灰味がかかった白に、小さく昼顔の花が型染めされている小紋です。

*合わせている帯は、京都・ひなやの組帯。組帯というのは、機で織るのではなく、複数の人が糸の先を持って組みながら形にしていくのだそうです。そこからやや羅にも似たゆるやかさが生まれ、春~秋の始めに締めるのに適しています。洒落袋で作っています。

*帯留めは、白の三分紐に珊瑚の帯留め。と或る日本料亭でのお食事会の日に着て行きました。何だかちょっと女将っぽく見えてませんでしょうか‥!

           *

そして、二着目は、お仕事の撮影の日に着て行ったコーディネートです。
と或る日、着物雑誌の撮影で、早朝から素敵な日本庭園のある都内某所へ。私が撮影された訳ではなくモデルさんの撮影だったのですが、この日は編集ではなくライターの立場に専念することが分かっていたので、現場で動き回ったりものを運んだりすることも少ない。着物で向かいました。
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*着物は、紺の絽。墨流しのような文様が全体に入っています。

*とても地味なこのお着物は、実は、頂きもの。幼稚園の!同級生のおばあ様愛用のお着物だったのですが、おばあ様亡き後、誰もサイズが合う人がなく、着る人がいない‥ということで、身長152cmの私の出番となりました。

*着物だけ単体で見れば、今の私にはひどく地味なこの着物。そこで、帯は、華やかに唐草などが織り込まれた博多帯を合わせています。

*帯締めは白の平組ですっきりと。帯揚げは薄紫色の縮緬地に紫の楓の絞りが入った一枚を少しだけ覗かせるよう着付けました。

              *

 実は今日も着物で打ち合わせに出かけたのですが、単衣のコーディネートはまた別の機会にご紹介したいと思います。
 私自身は、上でも書きましたように暑さに強い頑健体質なので単衣で出歩いていますが、汗かきの方や暑さに弱い方は、30度もあるのですから、9月半ばと言っても、無理に単衣にする必要は全くないと思います。
 着物を着ることが苦行になるのは最悪。
 そもそも現在「~の節句」と祝っている行事も、新暦に合わせていることがほとんど。本来は旧暦に祝っていたのですから、1か月ほど後のことなのですよね。
 西洋諸国に追いつこうと焦りまくった明治の政治家が決めた暦の約束に、無理やり体を合わせる必要は全くないと思います。そして更に、明治の頃と今とではだいぶ気温が違って来ているのですから‥。肌や内臓が楽なスタイルで、着物を楽しんで行きたいですよね!


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「季刊きもの」誌で私のきもの生活を紹介して頂きました 2013/09/08



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 「季刊きもの」193 秋号で、私の着物生活をご紹介頂きました。
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 皆さんは、繊研新聞という新聞をご存知でしょうか?
 アパレル業界の老舗専門紙で、パリコレの速報から新しい繊維の開発情報、小売店の四半期ごとの売上速報など、布地や服、いわゆる糸偏(いとへん)業界のニュースを毎日発信している業界新聞です。
 「季刊きもの」は、その繊研新聞が発行するきもの専門雑誌。ふだんは呉服業界で働く方たちに向けた情報が載っているのですが、時に一般の方に向けた特別号を発刊することがあり、今号がそれに当たります。
 大御所着物スタイリスト大久保信子さんのインタビュー、きくちいまさんと秋月夕子さんの対談、目白の人気着物店・花想容のオーナー中野さんのインタビューなどなど、錚々たる顔ぶれがご登場になっている中、私は「きものライフスタイリスト」というページで、呉服業界の人間ではないけれど着物を愛してふだんの生活に取り入れて暮らしている人々‥の一人として2ページにわたりご紹介頂いています。

              *

 当日着た着物はと言うと、上の写真で何となくお分かり頂けるでしょうか、祖母が染めた土器色(かわらけいろ)の丸紋つなぎの単衣に、破れ七宝の八寸帯を締めています。
 本当はここでそのコーディネートを大々的に載せたいところなのですが、そこはやはり本誌を手に取って見て頂けたらと思います。
 それにしもて、前々回の日記でお知らせした「美しいキモノ」に続き、祖母の着物を広くご披露出来たことが嬉しく、また、江戸着物ファッションショーのことや私のきものへの愛!について深く掘り下げてインタビュー頂け、大きな励みになりました。ますますきものにまつわるあらゆることを吸収し、そして、アウトプットもして行きたい、と思いを新たにしています。

              *

 そう言えば、この日の写真は、いつも私が親しく出入りさせて頂いている新宿のシェアオフィス・HAPONで撮影しました。
 HAPONには「富士の間」という、富士山の絵を壁に描いた畳敷きのミーティングルームがあって、右ページの大きなメイン写真はそこで撮影しています。
 大好きな着物と、気のおけない友人たちの経営するオフィス。思い出の記事となりましたので、皆様も良かったら書店で手を取って頂けたらと思います!

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江戸着物ファッションショーの日の私の着物 2013/08/30



大分日にちが経ってしまいましたが、本日の着物日記では、7月7日の江戸着物ファッションショーの日に私が着た着物をご紹介したいと思います。

↓下の写真は、前回の日記でお知らせしました「美しいキモノ」2013年秋号にも掲載して頂いたもので、当日服飾史解説をして頂いた道明三保子先生と、履き物監修をして頂いた浅草・辻屋本店の当主、富田里枝さんと一緒にイベント終了後に写しました。

↓また、当日の江戸着物姿の中で、“提帯”という特殊な帯を制作して頂いた、和裁作家・松井扶江先生と写した一枚が下の写真です。
松江先生は、舞台・テレビドラマ・映画などの時代衣装を数多く手掛けておられ、NHKの朝ドラの時代衣装は、近年、ほとんど松井先生のオフィスで制作しているそうです。
ちなみに今の『あまちゃん』の海女の衣装も!そして、次の朝ドラには、大正期あたりの時代衣装がたくさん出るそうで、とても楽しみですね。

着物は、紺地に銀色の糸で楓のように見える抽象的な葉を織り出したもので、生地は紗です。
全身の写真だとよく分からないかもしれないので、アップの写真も下に上げておきます。当日、イベントの冒頭に舞台で主催者挨拶をした時のもの↓

実はこの日、準備に追われて3日間で2時間くらいしか眠っておらず、徹夜のまま朝6時半に急いで着物を着て7時に美容院へ行き、その後チャーターした車で着物一式を会場に搬入した後、会場準備、結髪、着装、リハーサルに入り、本番へとなだれ込み。何と、朝から一度も化粧直しをする間もなく本番を迎えたので、口紅や眉などはがれ落ちてしまっています。とほほ。
しかも着付けもバタバタの中で、とにかく着物を着ていればいい!と出かけたので、何と帯揚げを前帯の一枚目と二枚目の間に入れている始末。何故そんなことをしたのか自分でも分からないのですが、もう、「あれをこうしてこれをああして」と進行のことで頭がいっぱいで、自分の着付けのことにまで全く考えが回らなかったのです。後で会場でスタッフのどなたかにご指摘頂き直して頂いたのですが、この時はまだ帯と帯と間に入っているのが分かりますよね。
当日の泣き笑いエピソードの一つです。

そして、皆さん、帯の文様が気になると思うので、床置きして撮ってみました↓

これは、祖母の遺品の帯で、嫁入り道具の中の一本。大正末~昭和初期に織られた絽の袋帯です。どこ製のものかは不明。華やかに帆船模様が織り出されていて、当時の気分が伝わって来ますね。
かなり強い色合いの派手な帯なので、着物は地味な色に。でも、やはり主催者として皆様をお迎えするのだら華やかさも加えなければ‥ということで考えたコーディネートでした。皆様の感想、いかがでしょうか?

そして、江戸着物ファッションショー当日のショーの様子や会場の様子については、近々この日記で動画付きでアップする予定です。
ゼヒ楽しみにお待ち下さい!
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「美しいキモノ」で採り上げて頂きました♪ 2013/08/21




江戸着物ファッションショー終了後、毎日山のように仕事が押し寄せ、全くブログを更新出来ないまま1ヶ月半程が過ぎてしまいました。
忙しさはまだもう少し続きそうなのですが、今日は一つお知らせをしたいと思います。
じゃーん!昨日発売になった「美しいキモノ」2013年秋号で、私のことを採り上げて頂いたのです!

             *

掲載されているのは、311ページ。「毎日キモノ派生活」というコーナーです。これは、日々着物で生活している人にフォーカスを当て、その着物生活をレポートする!というもの。
ふだん、私はライターとしてインタビューをする側にいるので、自分がインタビューされることに何だかどぎまぎしてしまいましたが、何と言っても私自身が「美しいキモノ」の大ファンなので、楽しい経験になりました。

それにしても嬉しいのは、祖母が染めた着物と帯をご紹介出来たことです。
やっぱり何と言っても、「美しいキモノ」はキモノ雑誌の女王。一つ一つの写真は小さなものなのですが、その誌面に祖母の着物を滑り込ませることが出来、生きていたらきっと喜んでくれただろうと、しみじみと涙があふれそうになりました。
今年の夏は忙しくてまだお墓参りに行っていないのですが、お墓は明大前にあり我が家から近いので、今度この号を持参して見せてあげようと思います。「あら、嬉しいわあ。まやちゃんありがとう」という祖母の声が聞こえて来るようです。

そして、皆様も良かったら311ページをご覧になって下さいね。とても丁寧に取材して頂いたので、私の秘めたる(秘めてないかしらw)着物愛が伝わる内容になっています。
着物でお出かけ前の空き時間にちょっと家事をしたい時に愛用している、“すぐれもの上っ張り”の写真もありますので、これもゼヒご覧になって下さい。

             *

そして、他のページを見ていたら、素敵な着物の写真がたくさんあって、ああ、着物って楽しい!もっともっとおしゃれになりたい!といつも熱い着物魂に更にぼっと火がついてしまいました。
忙しいことは忙しいのですが、箪笥から着物を引っ張り出して床の上に並べ、この帯がいいかな?いや、こっちの色?とあれこれ悩んでみたいと思います。やっぱり着物が本当に大好きです。


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江戸着物ファッションショー、キャンセル待ちなど最新空席情報 2013/07/03



“江戸着物ファッションショー” お席の現在の状況(更新日:7月5日01:05)

お席ご予約:キャンセル待ち(受付中)
当日のご来場:お立ち見(料金:1000円)

この数カ月準備を重ねてまいりました、7月7日の“江戸着物ファッションショー”、お蔭さまでたくさんの反響を頂き、現在、予約枠がいっぱいとなりました。
本当は全ての皆様にご来場を頂きたいのですが、会場のキャパシティの関係から、これから以降のご予約は、キャンセル待ちとさせて頂きます。
また、当日のご来場は立ち見となってしまいますこと、ご了承頂ければと存じます。

これ以降、今ご覧頂いているこの日記ページの冒頭を随時更新して、最新の空席状況をご報告を入れてまいりますので、チェックを頂ければと存じます。
どうぞよろしくお願い申し上げます。

そして、皆様より熱い応援、ご期待を頂いていること、心より感謝申し上げます。
キャンセル待ちをご希望の皆さまは、edokimonoshow@gmail.com までメールをお送り下さい。
その際、迅速にご連絡を差し上げるために、電話番号もご明記を頂きますようよろしくお願い申し上げます。

重ねて、皆様のあたたかいご応援、ご期待、そして熱い着物愛、感謝申し上げます。
ありがとうございます。

江戸着物ファッションショー実行委員会代表
西端真矢

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家康の孫娘が着た着物が、7月7日、浅草に登場!その着物の画像をご紹介します。 2013/06/27



私・西端真矢がプロデュースする着物イベント“江戸着物ファッションショー”。
6月13日の日記では武家の高位の女性が夏だけに着た“茶屋染め帷子”という夏の麻の着物が登場することをお伝えしましたが‥

今日の日記では、またまたすごい着物が登場することを写真付きで予告したいと思います。
じゃーん!
徳川家康の孫娘であり、二代将軍・秀忠の娘。そして長じてからは、御水尾天皇に嫁いだ東福門院和子。彼女が着ていたお着物が登場致します!
その後ろ姿の画像をちらりご紹介致しましょう。以前、『ふでばこ』という雑誌でこのお着物が採り上げられたことがあり、その表紙を私がスキャンしたものです↓

このお着物は、関西学院大学教授であり、日本服飾史の第一人者である河上繁樹先生とその研究室の皆様、そして京都の一流着物職人さんの共同作業により、完全復元されたもの。とんでもない技術ととんでもない情熱がそそぎこまれた、とんでもないお着物です。


復元のもととなったのは、“雁金屋 御用雛形帳”。
“雛形(ひいながた)“とは、デザインブックのことで、上の画像がまさにそれなのですが、着物のどこにどんな文様を置くのか、その際、色はどうするのか、刺繍にするのか、絞り染めで表現するのか‥デザインだけではなくそんな制作上の指示も書き込まれた、今で言う発注書のことです。
関西学院大学河上研究室と京都の職人の皆様は、この雛形に書かれている全ての指示を、忠実に再現された訳で、それがいかにすごいことか、皆様にもだんだんお分かり頂けたのではないかと思います。発注の年も分かっていまして、寛文4年、1664年に、東福門院から雁金屋に発注されたもの。それが時代を超えて、現代によみがえったのです。
ちなみに、“雁金屋”とは、この着物の発注を受けた呉服店の名前。この店、実は、江戸の大画家、国宝『燕子花図屏風』や国宝『紅白梅図屏風』の、あの尾形光琳の実家でもあります。

この東福門院の寛文小袖は、これまでに上で挙げた『ふでばこ』で採り上げられた機会、そして関西で静態展示が行われたこと以外展示の機会はなく、今回、関東では初登場。しかも、人体の上に載せた、“着るもの”である着物の本来的な姿での展示となります。
皆様どうぞお見逃しなく、7月7日、浅草へ足をお運び頂けたらと思います。
(本日記の最後に開演日時などの詳細情報を付けております)

          *

江戸着物ファッションショーの企画を始めてから、幾つもの難関がありましたが、江戸初期の着物をどう表現するのか?という問題はいつまで経っても解決策が見つからず、夜も眠れないくらい悩み続けていました。
江戸後期の着物なら、アンティーク着物屋さんなどにも在庫があり、買い取ったりレンタルすることが出来ます。けれど前期から中期の着物は、古く、あまりにも貴重過ぎて、博物館のガラスケースの向こうにしか存在していない。
一時は、現代の着物で文様付けが似ているものを使って再現しようと考え、あれこれ探していたのですが、どうしても偽物臭がただよってしまうのです。一体どうしたものか。
そんな時に、偶然、河上先生の研究室が江戸初期の着物、専門用語では“寛文小袖”と言うのですが、寛文小袖の復元に取り組まれていたことを知りました。服飾史おたくの私は河上先生のご著書や論文で日頃から勉強していたので、お名前にもどこか親しみを感じます。
「よし!ダメでもともと。貸して頂けないかご連絡してみよう!」
と決心しました。
しかし、そもそもどこに連絡したら良いのかも分からず、まずは大学の事務局に電話を掛け、受けて下さったその事務局の方のご厚意で、先生に話を取り次いで頂けることが決まりました。一生懸命、江戸着物ファッションショーの主旨を書いたメールを送信し、その日はもう、祈るような気持ちで眠ったことを覚えています。
そして、翌日、先生からお電話が。寛文の着姿を曲げずに忠実に着装することが出来るなら、貸しても良い、という許可を頂けたのです。その瞬間、じわっと涙がにじんでいました。

            *

こうしてお貸出し頂けることになった、江戸時代初期、セレブ中のセレブが着たお着物。そして帯まで含めた寛文の着姿一色を、どうぞ皆様楽しみにお待ち下さい。
江戸着物ファッションショーは、7月7日14時開演。
浅草・吾妻橋のあの金の雲を載せたビル、アサヒアートスクエアで開催します。
確実に席を確保出来るご予約は、edokimonoshow@gmail.com までメール下さい。
また、イベントの詳細は、下記URLよりご覧ください。
http://www.maya-fwe.com/4/000251_J.html
皆様のお出でを心よりお待ちしています!


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江戸時代の日本髪、完全再現を目指す稽古場を訪問 2013/06/26



 先日、江戸時代の髪型を完全再現する髪結い稽古の現場にお邪魔して来ました。
 私がプロデュースして7月7日に行う“江戸着物ファッションショー”では、“自分結い大江戸和髪隊 和髪研究会”の皆さんに、江戸時代の髪型を再現して頂きます。
 登場するのは、公家の髪、大奥の髪(冬、夏)、町人の髪(未婚、既婚)、芸者の髪。時代も、江戸初期から後期までの代表的な髪型スタイルが登場。
 全ての髪が勢揃いした姿を眺めることを、プロデューサーである私が一番楽しみにしています。

          *  

 この“自分結い大江戸和髪隊 和髪研究会”は、約1年前に結成。
 日本髪と言うと結婚式や日舞など、特別なシチュエーションでしか結わないものになってしまっているけれど、もともとは江戸時代の女性たちが自分で結っていたもの。今だってそれは再現出来るはずだし、もっと気軽に自分で日本髪を結って楽しんでしまおう!そんなコンセプトで始まった会ということです。
 月に一度、銀座のサロンに集まって自分結いを実践。
 その他に、着物の染め物屋さんが集まる町・中井のサロンでも、自分結いの講習会を開いています。
 毎回の詳しい情報は下のURLにアップされるので、ご興味ある方はチェックしてみて下さい。
http://www.wasoubi.jp/

          *

 私が“自分結い 大江戸和髪隊 和髪研究会”の皆さんと出会ったのは、2か月ほど前のことでしょうか。江戸着物ファッションショーの髪型をどうするか、模索を続けている中で、今回履き物監修をお願いしている浅草・辻屋本店の当主・富田さんにご紹介して頂いたのが和髪隊の皆さんだったのでした。
 その日の記念写真が下の写真です。まだ袷の季節で、浅草での会合ということで、私は粋っぽい歌舞伎縞の袷を着て行きました。皆さん、ふだんから日本髪を結われているのがお分かり頂けると思います↓

 その後、何度かのミーティングなどを経て、どの髪型を再現するかを決定。ふだんは自分の髪を自分で結う皆さんですが、今回はショーということで、特別に、一人の結髪に二人がつき、チームで江戸時代の髪型を再現することになりました。
 これまでは、時代考証は格別気にせず、思い思いに好きな髪型、或いは江戸時代の髪型を自分なりにアレンジした新日本髪を結っていた皆さんですが、私から、「今回は完全に江戸時代を再現してほしい」とお願いをしました。
 それはつまり、江戸時代の身分、年齢、時代区分ごとのそれぞれの髪型を研究し、再現するということ。無謀にも近いこのリクエストに、皆さんは炎のような情熱で応えて下さっています。ふだんはそれぞれにお仕事を持ち忙しい皆さんが、歌舞伎座の床山さんの所へ見学に行かれたり、日舞を通じて江戸日本髪の結髪を完璧に習得している或るメンバーを講師に据えて特訓会を開いたり‥短い時間の中で、めきめきと本格的な江戸結髪を習得されました。そのスピードと熱意に、稽古場を見学に行った日、目頭が熱くなる思いでした。

 下の写真たちは、その特訓会の様子をパチリ撮らせて頂いたものです。
 本番の日はもちろん出演者の頭で結髪を行いますが、稽古の時はマネキンで練習しています。皆さんの真剣な表情をご覧ください。

非常に難易度の高い、江戸中期の“元禄島田”という髪型に挑戦しているメンバーさんです↓

こちらのメンバーさんは、ふだんは結婚相談所を経営。“仲人マダム”の愛称で有名な方です。日本髪がとてもお似合いで、何だか江戸時代の女将がタイムスリップして現代の東京へ登場。髪結いをしているみたいですよね↓

日本髪の結髪は、まず、前髪、鬢(びん・横の部分)、髱(たぼ・衿足の部分)など髪をブロッキングすることから始まるんですよ↓

髪型資料を見ながら研究を続けるメンバーさんも↓

こちらのチームは、大奥など、武家の位の高い女性の髪形を再現します。とてもレアな髪型で、ふだん時代劇でもきちんと再現されていることはほとんどない髪型なんですよ↓

ずらり並んで何をしているか‥は秘密。当日の髪型を成り立たせるために必要なある小道具を作っているところなんです↓

 そんな小道具も、江戸時代とさして変わらないものを使用します。どんな小道具を使うとどういう髪型が出来上がるのか‥当日はそんなご説明も致します。目から鱗が落ちまくること請け合い!

 こうして、江戸着物ファッションショーの準備は着々と進んでいます。
 ブラウン管越しでもなく、博物館のケース越しでもなく、生身の人間が生身の髪で、江戸時代の着物をまとって現れる姿を、皆さん、ゼヒ体感しに来て下さいね!

“江戸着物ファッションショー”
7月7日 14:00~開催

詳しい情報は下記URLにて
http://www.maya-fwe.com/4/000251_J.html

皆様のお出でを心よりお待ちしています。

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染織の名門“しょうざん”の単衣+組紐帯“ひなや”の帯でウェブTV出演 2013/06/25



今日の着物日記は、この季節、大の気に入りの単衣コーディネートをご紹介したいと思います。下の写真、新装なった歌舞伎座の前で撮影していますが、歌舞伎を観に行った訳ではなく、通り過ぎただけ。でも、せっかくなので新歌舞伎座の前でパチリとしてみました。

*着物は、京都“しょうざん”の単衣です。紬地の、訪問着です。
しょうざんはとにかく凝った作りで有名ですが、このお着物も、まず、素材は生紬のはず‥なのですが、証書がどこかに行ってしまい、今、確認出来ず。申し訳ありません。そして文様は‥

↑上の写真のように、型染めで草花を表現しています。そして、一部に摺り鹿の子。
そしてそして、よく見ると‥↓

これは裏側から生地を撮ったものなのですが、雲取り文様の部分は織りで表現されていることがお分かり頂けると思います。
‥と言うことは、織りの段階でまず雲取りを色糸(しかも複雑な色構成)で織り出し、その上で文様を型染め。さらに摺り鹿の子も加えたもの、ということになります。
うーんさすが、しょうざん。手が込んでいます。昨年、母が吉祥寺ふじやさんの衣桁に掛っていたのを一目惚れして買ったものです。日本の職人さんの技が感じられて、着ていてとても楽しい一枚なのです。

*帯は、京都の“ひなや”製です。ひなやの帯は機ではなく組紐の技法で織られているのが特徴です。織りの帯にはない独特の軽やかさが魅力。春の終りから夏にかけて締めるのにふさわしい帯。これも母が求めたものを貸してもらいました。作り帯にしています。

*そして、上の写真でお分かり頂けたように、帯留を入れています。これは、祖母の形見の珊瑚の帯留。白の三分紐に通してすっきりとまとめてみました。
この日、帯揚げはややベージュかかった白の縮緬地のものを入れていました。本当は絽の方が軽やかですが、色の合うものがなかったので、帯揚げだけはまだいいかなと縮緬を入れてしまいました。この季節、全体的に袷のものと単衣のものが混在しますね。

*この日は、ウェブTV「大江戸八百八町わそうび情報局」に出演して、江戸着物ファッションショーに賭ける意気込みについてお話ししました。
番組は、下記youtubeで閲覧頂けます。
「大江戸八百八町わそうび情報局」は毎月1度の放送だそう。和の情報、暮らしを楽しくするプチお役立ち情報満載の番組ですので、皆様チェックしてみて下さいね。
http://www.youtube.com/watch?v=yh4zZ_Wz_K8&feature=player_embedded
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江戸着物ファッションショー、当日モデルが着用する江戸着物を一枚ご紹介 2013/06/13



今日の日記では、7月7日の江戸着物ファッションショーに登場する着物の一枚を思わせぶりCM的に予告ご紹介したいと思います!

江戸時代、大奥の女性や高位の武家女性が、夏の間だけ着用した着物があります。
素材は、麻。その上に染められた文様は藍色を基調とし、水辺の楼閣や草花などの風景を描き出します。
そう、着物好きの方ならきっとご存知ですよね。茶屋染め、或いは茶屋辻。服飾史の本でもよく採り上げられています↓
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今回の江戸着物ファッションショーでは江戸着物モデルが、その茶屋染めを江戸時代と同様に完全復元した着物を着て、舞台に現れます。
しかも染めだけではありません。布も、当時の上流武家女性が着ていたものと同じレベルの最高級の麻布(上布と言います)を、わざわざこの作品のために織り上げ、その上に、現代の名工が茶屋染めを復元したのです。

このお着物を貸与下さるのは、京都の栗山工房という染織工房です。
紅型と同じ手法で京都の人々の心の中にある“色”を染め出す工房!
下にホームページのURLを掲出致しましたので、ゼヒご覧になってみて下さい。
http://www.kuriyamakoubo.com/

このホームページをご覧頂いても分かる通り、型染めで多様な染めを繰り広げている工房です。この技術を用いて、上の写真の本の中に見えるような茶屋染めを再現する訳です。
そう、現代の名工による江戸時代へのオマージュ。しかも江戸時代と同じ着装方法で現れる!江戸着物ファッションショーをゼヒお楽しみにお待ち下さい♪

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ラジオ出演の日の着物 2013/06/10



今日の着物日記では、先日、FMラジオに出演のため、スタジオへ収録に行った日の着物をご紹介します。
先週このブログで情報公開以来、大きな反響を頂いている“江戸着物ファッションショー”、その企画主旨と、着物を着ることの楽しさについて、2回にわたってお話しさせて頂きました。
放送は、
6月11日(火)深夜25:00~
6月18日(火)深夜25:00~
FM NACK 5 (79.5hz)
番組名「ストロボナイト」の中の、「ストナイDreaming’」というコーナー。
沖縄出身のロックバンドozのボーカルNARUMIさんがパーソナリティをされている番組で、中でも「ストナイDremin’」は、夢を形にしようと頑張っている人をスタジオに呼び、応援しよう!というコーナーです。
NARUMIさんは沖縄出身ということで紬にとても親近感をお持ちで、その日していた革のブレスレットも、沖縄のミンサー織りの文様が刻印されたもので、ビックリ致しました。
トークもとても盛り上がりましたので、ゼヒ皆様、今週、来週とお聞き頂ければと思います。

さて、その日の収録中のショットが下のお写真。

すごくリラックスしているように見えますが、これでも最初は緊張していたんです。
NARUMIさんがとても上手にリードして下さったので、だんだん私も調子が上がって行きました。
さすが、いつもステージをこなされている方は違います。

そして、収録終了後、NARUMIさんと一緒に撮った1枚が下の写真です。
ディレクターさんには「異種格闘技!」なんて冗談を言われましたが、恐らくNARUMIさんが元気のいいお洋服でいらっしゃると思ったので、私もちょっと派手目のお着物にしたのでした。

*お着物は、夏の花が染められた単衣小紋です。これは、手描きで染められています。ちょっととうもろこしのように見える花。それにしても単衣は軽くて楽ですね。

*帯は、紗の博多帯。いわゆる“紗献上”と言われるものですね。収録は6月の本当に頭ったので、本当は紗にはまだ早かったのでしたっけ?でも、色も紺と濃い色目なので、あまり透け感もないし、いいでしょう、と締めてしまいました。

*帯締と帯揚げは白を入れています。この帯締には実はうっすらと水色の線が入っているのですが、写真では分かりにくいですよね。本当はお写真を別に撮りたいところなのですが、何しろ今、江戸着物ファッションショーの準備で時間がなく‥説明だけで申し訳ありません。
帯揚げは、絽を入れています!

江戸着物ファッションショーの準備、着々と進んでおります。
京都の素晴らしい工房さんから素晴らしいお着物をお貸出し頂くことも決まり、そのお知らせ日記も近々致したいと思います。
お楽しみに!

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江戸着物をまとい、女たちが現れる。“江戸着物ファッションショー”開催のお知らせ 2013/06/03




皆さま、大変長らくお待たせいたしました。
今日のブログでは、私、西端真矢がプロデュースして7月7日に行う時代着物イベントの詳細を発表したいと思います。

“江戸着物ファッションショー”

それが、イベントのタイトルです。

読んで頂いた文字そのままの通り、
江戸時代の着姿をした女性たちがまるでタイムマシンに乗って現代にやって来たように、7月の東京に現れるファッションショーです。
時には舞台を降りてあなたのすぐ横を歩いたり、ふと隣りに座ったりもする。江戸の女たちの着姿を、本当に間近に見つめられる七夕の午後。そんなイベントです。

そして、実はただそれだけでもないのです。

江戸着物の歴史をしっかり学んでしまう
帯締の名門“道明”。
着物好きで知らない人はいない“道明”の当主夫人であり、日本服飾染織史の第一人者でもある道明三保子先生が、それぞれの女たちの着物、帯、帯結び、髪型が江戸時代のどの時期のもので、どんな背景から生まれて来たのかをしっかりとレクチャーくださいます。
“レクチャー+ファッションショー”という全く新しいスタイルが、このイベントの最大の特徴なのです。

ところで江戸着物って一体どんな着物?
そもそも皆さんは江戸時代の着物に、どんなイメージを持たれていらっしゃるでしょうか?
豪華?それとも渋好み?
確かに、『大奥』や『さくらん』を思い浮かべれば、豪華絢爛。
でも、江戸の着物は茶色や鼠色が一世を風靡した、“粋”や“渋好み”でもあったはず‥?

そう、江戸時代は、約260年間。
それは明治から今までよりもずっと長い時間でした。
その間に着物のスタイルはめまぐるしく変化して、たとえば帯を前に結んでいた時代もあったし、そもそも江戸時代がスタートした頃は、今よりもずっと細い帯を締めていました。
そんな、江戸着物の色、素材、着装スタイルのさまざまな変化の歴史を道明先生がレクチャーくださると、今、先生が語ったその着物や帯を本当にまとった女性たちが、皆さんの前に現れる‥それが江戸着物ファッションショーなのです。

着物初心者にも、着物通にも楽しめる!
毎週末に着物を着る着物好きの方でも、意外と着物の歴史は頭の中でごちゃごちゃになっているもの。
また、たとえばきもの文化検定を受けられている着物史好きの方にとっては、勉強していたスタイルを実際に目に出来るまたとない機会となることうけあいです。そう、着物初心者から着物通まで。そしてきもの文化検定対策にもバッチリという、幅広い方に楽しんで頂けるイベントなのです。

“江戸着物ファッションショー” 詳細

開催日:7月7日(日) 

時間:13:30開場 14:00開演(16:00終了予定)

場所:浅草・アサヒアートスクウェア
(屋上に金色の雲を載せたあのビルの中のホールです!)
http://asahiartsquare.org/ja/

料金:2,500円

出演(レクチャー):道明三保子先生(文化学園大学名誉教授、上野“道明”当主夫人)

江戸着物モデル出演・結髪:自分結い大江戸和髪隊 和髪研究会の皆さん

着装:公益社団法人 全日本きものコンサルタント協会 協会員

履き物監修:浅草“辻屋本店”

予約:edokimonoshow@gmail.com
    お名前、人数を明記の上、上記アドレスへメール下さい。
    また、下記でご紹介しておりますクラウドファンディングで3,500円以上のご寄付を頂くと、
    自動的に予約完了となります。

Facebookページ:http://www.facebook.com/events/367876803313361/?ref=ts&fref=ts

皆さま、ゼヒ足をお運びください。
また、上に挙げた出演者やスタッフの皆さんの詳しいご紹介は、後日このブログにて行って行きます。どんな人々が江戸着物ファッションショーを作り上げようとしているのか?どうぞ楽しみにお待ちいただければと思います。

更なる深まりを目指して、皆様の寄付を募集しています
そして、もう一つ、皆様にお伝えしたいことがございます。
実は、本イベントは、クラウドファンディングに参加しています。
クラウドファンディング‥?と、ご存じない方のために少しだけ説明させて頂くと‥(実は私も今回のプロジェクトを始めるまでは知りませんでした)
クラウドファンディングとは、ネット上のファンドを指します。
起案者が自分が行いたいプロジェクトや起業の計画をプレゼンし、それに必要な資金の金額を公表し、寄付を募る
    ↓
それに賛同して下さった方がネット上から支援を行ってくれる
    ↓
着安者は支援を下さった方に何らかのお礼や特典をお返しする。そのお礼や特典のことを“リターン”と言う
    ↓
資金が集まったら、プロジェクトや起業を実行
もちろん、集まった資金の使い道は明朗に公開する

そんな、インターネット時代の新しい資金調達の仕組みのことなのです。

今回、もちろん予算計画を立ててイベントの準備を行っていますが、資金が潤沢であればあるほど、小物など細かい部分の作り込みが出来、また、今予定しているより更に多くの江戸着物モデルに登場してもらえるようになります。

“江戸着物ファッションショー”が参加しているのは、“GREEN GIRL”というクラウドファンディング。
特に、女性たちの夢を、活動を、後押ししているファンドです。(上のGREEN GIRLという文字をクリックするとGREEN GIRLのホームページへ飛びます)

そして、今回、“江戸着物ファッションショー”では、次のような“リターン”をご用意させていただきました。

500円支援くださった方へ
お礼のメールをお送りします。
「江戸着物ファッションショーを楽しむための5つのポイント」をメールにて配信します。この5つのポイントを頭に置いてイベントに参加頂くとより楽しんで頂けると同時に、5つのポイントはそのまま、江戸着物をしっかり理解するための5つのポイントとなります!


1,500円支援くださった方へ
お礼のメールに加え、5日に1回、「江戸豆知識」をメールにて配信します。
実は、私・西端真矢の母は、江戸時代の美術史を専門とする大学教授。専門は江戸中期の大画家・尾形光琳です。
このようなバックグラウンドから日々私が耳にして来た江戸時代に関する豆知識、また、ふだんライターとしても活動する中で日本各地へ取材に出向く折に知った、ちょっとした江戸時代こぼれ話を配信いたします。
ラインナップ予定は‥
「宮仕えはつらいよ‥大画家・光琳の意外なぼやき」
「え?殿様が我が家に宿泊?ありがた迷惑町人奮闘記」
など。日程途中から支援を頂いた方にも、支援以前の回もお送りいたします。

3,500円支援くださった方へ
お礼のメール・「江戸豆知識」に加え、7月7日当日のイベントにご招待いたします。

5,000円支援くださった方へ
お礼のメール・「江戸豆知識」・7月7日のイベントご招待、に加え‥
当日の道明先生の講義をまとめた手作り小冊子「江戸着物の歴史」を後日送付いたします。

10,000円支援くださった方へ
お礼のメール・「江戸豆知識」・「江戸着物の歴史」・7月7日のイベントご招待、に加え‥
一番見やすい花道近くの席をご用意し、江戸着物ガールズのお酌付きで、江戸大店の女将・旦那気分を味わえます!

30,000円支援くださった方へ
お礼のメール・「江戸豆知識」・「江戸着物の歴史」・7月7日イベントご招待・花道席ご案内・江戸着物ガールズお酌、に加え‥
江戸の文化の粋な華、義太夫公演に無料ご招待!
7月20日の「お江戸日本橋亭 女流義太夫」公演か、8月21日の「国立演芸場 女流義太夫」公演、どちらかをお選びいただけます。

江戸着物ファッションショーに賛同して頂ける皆様、ゼヒ下記のURLより支援をよろしくお願い致します。
https://greenfunding.jp/greengirl/projects/389-

     *

以上、少しばかり長くなりましたが、着物を愛する皆様、日本文化を愛する皆様、そして、新しいムーブメントを起こそうとする者を応援する心を持った皆様からのご支援を、心よりお待ちしています。
今回、7月2日までに、15万円の資金調達を目指していますが、上にも書きました通り、資金はあればあっただけ、より豊かな江戸着物世界の再現が可能となります。
皆様とご一緒に、粋で、豪華で、大胆で、繊細な、世界に誇る日本の衣文化、江戸着物の世界を作り上げられたらと願っています。
皆様の熱いご支援と、そして、当日のご来場を、心より心よりお待ち申し上げています。
どうぞよろしくお願い致します。

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【お詫び】着物イベント、発表は来週に 2013/05/31



今週何度か「金曜に発表する」とお伝えして来た、私・西端真矢のプロデュースで7月に開催する時代着物イベント、今日は発表の条件が整わず、来週月曜日・3日の発表に延期致します。
楽しみにしていた方がいらしたら、大変申し訳ありません。
狼少年のようになってしまいましたが、3日は必ず公開致しますので、どうかいましばらくお待ち頂ければと思います。
万全の態勢で発表するための一呼吸の延期です。どうかご理解頂けたらありがたく、また、月曜日、発表を見に来て頂けたらと存じます。どうぞよろしくお願い致します。

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紅花紬に藍色の染め帯で、倉敷へ 2013/05/30



昨日の日記でご紹介した米沢「新田」の紅花紬。
昨日は白い帯を載せていましたが、今日は藍色の帯を合わせた日のコーディネートご紹介です。

*この美しい背景は、倉敷の町。今月初めに旅行で訪れました。あまりにも美しい街並みに、陶然。明治以来これまで様々な都市計画や大規模集合住宅が作られて来ましたが、これに勝てる町並みってあったのだろうか?と思ってしまいます。
日本人がもともと育くんでいた美の感覚、着物だけではなく、建築や生活器具のすべてにわたって、温故知新で取り戻して行けたらなと思います。

*さて、上の写真はちょっと引き気味でしたので、もう少し寄った一枚を。
倉敷の守り神、阿智神社の巫女さんと撮った写真です↓

藍色の染め帯に水色の帯締でさわやかに取り合わせてみました。

*帯、お太鼓のアップが下の写真です。

私の祖母が染めた東京紅型で、この型紙は江戸時代からある伝統柄で、どこかの美術館の収蔵品に見かけた記憶があります(サントリーだった気がしますがはっきり覚えていません)。
きもの文化検定の教則本「きもののたのしみ」の表紙で締めている帯の柄もこの型でした!↓
「きもののたのしみ」 ←左の字をクリックするとアマゾンページに飛びます

さわやかに白系の帯も良いのですが、藍を載せたコーディネートはいかにも日本人らしいかんじがして気に入っています。いかがだったでしょうか?

さて、明日の日記では、私がプロデュースして7月に行う時代着物イベントの詳細を発表致します。
明日、夜、10時頃アップの予定です。
皆さま、どうぞ見に頂けますようお願い致します!

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山形、やさしい色合いの紅花染め紬に紅型帯で 2013/05/29



今日の着物日記は、山形の紅花染めの紬をご紹介したいと思います。

*やわらかい黄色地の紬は、山形・米沢の「新田」製のもの。「曙光」と名前のついた反物でした。
これは、今年の初めの或る日、父の機嫌が良く「着物買ってやる~」となったので、気が変わらないうちに、と、即いつもの呉服屋さんで購入したもの。
それからすぐ仕立てて、春先からもう何回着たでしょうか。ほとんどどんな帯でも載るし、ほぼ草木染めの糸で織り上げたやわらかい色合いが、着ていると何だかうきうきして楽しいのです。

*実は、この日記を書くために、「新田」さんにお電話をして、「曙光」をどのように染め・織り上げているのか、突撃取材をしてみました。
電話に出て下さったのは、新田源太郎さん。現在の当主・英行さんの息子さんだということでした。

上の写真が「曙光」の一部を撮ったものです。何ともやさしい色合いだということが伝わって来るかと思います。
この「曙光」、お父様の英行さんが創作した反物で、大部分の糸は真綿手引き紬で織られているのですが、経糸のごく一部に生糸を入れているとのこと。それにより、独特の光沢感と、少し、ぼかしと言うのでしょうかにじみと言うのでしょうか、そういう上品な揺らぎ感が出るところが鍵である、と。
まさに、朝の曙のようなイメージですよね。お話を伺って、何故いつも着ていて楽しくなるのかが腑に落ちたのでした。
「新田」のホームページはこちらから。
http://www3.omn.ne.jp/~nitta/index.html

*糸は、草木染めで染めるものがほとんどだということですが、別に草木染めだけが良いとは思っていない、ということで、一部に化学染料で染めた糸も入れているそうです。
黄色は蘗(きはだ)で染める場合が多く、桃色や薄紫など赤系の色はやはり紅花で染めることが多いとのこと。
この反物にもところどころにピンクや藤色が入っているのがお分かり頂けると思います。これは紅花で染めた色、ということですね。
そして、黄色の場合でも、最後に紅花をかけることが多いそうです。

*どの反物にどの年に染めた糸をどのくらいのバランスで配するか、は、その時々のインスピレーションによるようです。正に手紡ぎ・手染め・手織りならではの世界ですね。

*この着物に、祖母が染めた東京紅型の塩瀬名古屋帯を合わせてみました。
何しろ仕事が忙しくずっと日記を休んでおりましたので、この写真を撮ったのは、実は、春、桜の頃です。

上が、帯のお太鼓の文様を床置きして撮ったもの。この文様がお太鼓の真ん中に来ます。
山里の風景を描いたもので、木の枝ぶりの中にピンク色のものがあり、桜が咲いているようにも取れるので、桜の季節に締めてみたのですが‥秋の紅葉にも見えるので、また秋にも締めてしまおうと思っています。二毛作です。むふふ。

いかがだったでしょうか、山形の風土から生まれたやさしい紬。
明日・木曜日はこの着物に、藍色の帯を締めて倉敷を旅した日のコーディネートをご紹介致します!
そして、明後日・金曜日には、7月に行います時代着物イベントの詳細を発表致しますので、皆さまご期待の上お待ちください!

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お茶会、水屋当番の日の着物 2013/05/23



今日の着物日記では、お茶会で、お点前や受付など人前に出ることはせず、茶室の裏側にある“水屋”という台所のような部屋で様々な裏方仕事をする日に着た取り合わせをご紹介します。
その時の着物がこれ。ちょっと帯が下がっているのがお見苦しくてすみません↓

☆若草色のこの着物、写真では無地のように見えますが、近寄って見ると、青海波の中に小花が染められています↓

☆実はこの着物、3千円で入手しました!仕事でお世話になった或る方がネットショップを運営されていて、お礼がてら何か買わなければ‥という時にちょうどサイズの合うリサイクル着物があったので購入させて頂きました。3千円ではありますが、しっかりとした絹に染められています(染めはプリントかも知れません)。
茶会の水屋では、茶室から返って来たお茶碗を洗ったり、お菓子の準備をしたり、花を生けたり、三客以降のお客様へのお茶を点てたり(“影出し”と言います)‥と水仕事がとても多く、着物が汚れてもいいという気持ちがないとしっかりした仕事は出来ません。
もちろん上に割烹着も着用しますが、更に下へと水分が染み出して行くこともあり、その点、3千円で購入したものなら、たとえお茶がバーっとこぼれて台無しになっても、「まあいいか」と割り切ることが出来ますよね。
しかも色無地風でちゃんとした印象なので、突然ちょっとお客様にご挨拶‥などということになった時にでも対応可能。紬じゃちょっと…というお客様の場合もありますし、やはり茶会に備えて一着、こういう着物を準備しておくと便利だと思います。

☆帯は、名古屋帯です。西陣の勝山織物の新作。もともと洒落袋として織られていたものなのですが、新しく名古屋で織ってもらいました。ほぼどんな着物にも合う重宝な帯。お太鼓の一部を写したものがこちらです↓

葵と藤のような花(葵の花?)が意匠化されています。この茶会はゴールでウィーク中の開催だったで季節はぴったりでしたが、でも、藤ともはっきりしない意匠なので、年中締めてしまおうと思っています。

☆勝山織物は、西陣の機番号93番と前の方で、個性的な文様で有名な織り元です。今だに全て西陣の工房で、手織りで織っているのだとか。軽くてとても締めやすい帯なので、これから様々な着物に合わせて行こうと思います。

☆新緑の季節に合わせて、帯締めは白ですっきりとさせました。今はなきくのやの冠組です。

☆最後におまけ。茶室に私が生けた花です。テッセンなど野草をすっきりと生けてみました!

いかがだったでしょうか、今週の着物日記。来週は、紅花染めの紬をご紹介する予定です。そして、7月7日に開催致します着物イベントについても詳細を発表させて頂きます。また遊びにいらしてください!

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帰って来た着物日記~~人間国宝・中村勇次郎作訪問着 2013/05/14



年明けからずっと仕事が詰まりに詰まり、やむなくブログはお休みにしていましたが、やっと少し(少しですが‥)余裕が出て来たので、今週から再開したいと思います。
私のブログは、エッセイや提言などの文章系のものと、着物日記、二種類の内容を書いていますが、7月7日までは毎週必ず最低1回は、着物日記をアップすることをここに誓います!
‥と勝手に誓ってしまいましたが、何故7月7日なのか‥と言いますと、実はその日、私プロデュースで一大江戸着物イベントを開催する予定なのです。着物好きの皆さんとつながれるように、毎週最低1回はこちらを更新致しますので、ゼヒ見にいらして頂けたら嬉しいです。そして、7月7日も、会場へとゼヒ足を運んで頂けたらと思います。
イベントの詳細は後日こちらで告知致しますが、浅草・隅田川のほとりで、江戸時代の着物を一望出来るイベントになります。ゼヒゼヒ、スケジュールを空けておいて下さいませ。
本日、クラウンドファンドのへの参加も決まり(この点につきましても詳細を後日お知らせ致します)、ますます士気が高まっています。良かったら、皆様、応援よろしくお願い申し上げます。
‥そして、文章系の日記の方を楽しみにして下さっていた皆さまのためにも、ちょっと7月7日までは数は少なくなってしまうのと思うのですが、着物日記に時折り織り混ぜて掲載したいと思います。どうぞ今後とも、このブログの応援をよろしくお願い致します。

          *

さて、そんな復活第1回目は、着物日記の方をお送り致します。復帰第1回目ということで、ここはにぎにぎしくバーンとした着物で行きたいと思います。じゃーん!先日、通っている茶道教室のお茶会の日に着た訪問着です。下の写真をご覧下さい。

*写真だと光の加減でちょっと地味な印象ですが、実際はもう少しほわっと華やか・やわらかなこの訪問着。雪輪文様が大きく文様取りされているのがお分かり頂けるかと思いますが、よく見ると‥↓


このように、全て江戸小紋で、しかもぎっしりと様々な文様がとてつもなく細かい割り付けで彫り込まれているのです。
江戸小紋について少しでもご存知の方なら、この型紙を彫ることがいかに天才技を必要とするか、もう狂気と言ってもいいくらいの綿密さ、複雑さだということがお分かり頂けますよね。

*この型紙、江戸小紋型紙の人間国宝・中村勇次郎の作です。
この文様は特に「川端文様」と名づけられていて、その由来は、川端康成がノーベル文学賞を受賞した際の記念全集の表紙用に彫られ、皇室にも献上されたものだから。
日本最高の型紙彫りの技術の素晴らしさに、まさにため息。よく見て頂けるとお分かり頂けると思いますが、ところどころに花の文様が浮かび上がっていますよね。これは、テッセンの花です。テッセンがあちこちに散りばめられながら、全体として雪輪が浮き出るようにデザインされているのです。
狂気と言えるほどに細かく細部を彫り上げながら、全体としては、このように大きなデザイン構想力。正に天才としか言いようがありません。部屋に掛けて眺めているだけでうっとりとする一枚なのです。

*この着物を染めたのは、加藤伍平氏。中村勇次郎が江戸小紋の新境地を目指して試行錯誤を続けていた頃、京都中の染屋に門前払いを食らわされていたそうなのですが、まだ見習い中だった伍平さんだけが、朝の掃除中、染め屋の店先をうろついていた勇次郎の型紙を受け取り、夜、一日の仕事が終わった後にこっそりと染めてくれたのだそうです。
その恩を忘れず、勇次郎は、伍平さんを専属の染め師に認定。その厳しい要求に答えながら伍平さんご自身の染めの腕も、最高峰へと磨かれた‥という日本昔話のような人情あふれるお話を、我が家行きつけの呉服屋さん・吉祥寺のふじやさんで開かれた伍平さんを囲む会でお聞きし、母が財布の口をパカッと開けたのでした(笑)。

*これだけ複雑な型紙を寸分狂いもなく染め出すことが、またどれだけ高い技術を必要とするか。しかも訪問着にする訳ですから、色を使い分け、その濃淡も一様ではない。型紙を送って行きながら緻密な計算をしつつ、染め分ける。一体どうやって染めているのだろう?と私にはおぼろげにしか分からない、素晴らしい染めの技術です(どなたか分かる方、ゼヒ教えて下さい)。
彫り師と染め師の最高の技術が合体して生まれた一枚。大切に着て行きたいと思います。

*この日、締めている帯は、西陣・河合美術織物の袋帯。下にお太鼓部分のアップの写真を載せますね。この帯、以前も本ブログでご紹介したことがあります。作り帯なのです↓

遠目にはただの白地の帯と見せながら、近寄って見ると鹿の子文様を織りで表現している!と分かる、これもまた斬新かつ高い技術を要することが窺われる一本です。お太鼓に金銀の線を縦に一本ずつ配し、何とも洒落たデザインになっています。

*帯締は、道明の藤色の冠組の一本を。帯揚げは、淡いベージュのちりめん地に源氏香が織り出されたものを入れています。

いかがだったでしょうか、久し振りの着物日記。
今回は初回ということで豪華なものをご紹介しましたが、来週は同じお茶会の別日、水屋当番(=裏方)の日に着た気軽な着物をご紹介致します。
今後とも、西端真矢の着物日記をご愛顧よろしくお願い致します!

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久々に着物日記。秋のお着物コーディネート5連弾! 2012/11/17



「ここのところ、全然着物関係の更新がありませんよね。日中関係のことばかりじゃなく、着物日記も書いて下さい!」
と、着物日記を楽しみにして下さっていた方に、叱られてしまいました。そこで、今日の日記では一気にどーんと“この秋に着た着物と帯の取り合わせ・5パターン”をご紹介したいと思います。(「上海・南京旅行記」の後篇は次回になります)
そう、実は着物日記をつけていない間も、あちこちへ着物で出かけていたのです。まずは10月初めに着た一枚から行ってみます!

金木犀文様の紅型手染め
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着物は、金木犀の花と葉を東京紅型の手法で染めたもの。祖母が染めた一枚です。毎年この時期しか着られず、昨年は黄色い帯を合わせましたが、今年は茶色の帯を締めてみました。帯のアップが下の写真です↓
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ちょっと分かりにくいのですが、月を意匠化したもの。でも、抽象模様のようにも見え、どんな着物にも合わせやすい一本です。母が今年の春に求めたものを借りてみました。
この日は、八十二歳になる大叔母を食事に招き、白金の八芳園でランチ。写真に写っているのは八芳園の庭園です。盆栽を並べた一角があり、盆栽好きにはたまりません!

菊尽くしの紅型手染め
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さて、次の一枚は、10月後半、母の古希祝いの家族夕食会で着たもの。
これも祖母が染めた着物で、文様は「菊尽くし」。帯は、京都西陣「加納幸」の洒落袋帯です。裾に行くほど花の密度が濃くなっている、訪問着の格式の文様付けのため、袋帯を合わせています。帯の文様は「葡萄唐草」です↓
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この日の古希祝いは、芝にある「うかい」という料亭で行いました。「うかい」は、東京タワーのすぐ隣りという都心の中の都心に位置しますが、広大な日本庭園が広がっていて、本当に静かで心落ち着きます。懐石料理の一品一品も素晴らしいお味でした。あいにく大雨の日だったので、店内で、着物や季節の室礼を展示したロビーにて撮影したのが一枚目の写真です。

京友禅・小糸敏の菊小紋
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さて、次のお着物は、京友禅の名匠・小糸敏氏の友禅染め小紋です。(コンパクトカメラの設定がおかしくなっていて、画像サイズが小さく、ぼやけ気味ですみません。どうやって直したら良いのか分からないのです‥)
昨年春の東北大震災と福島原発事故後、東京中がふさぎ込んで真っ暗な気分に包まれ、経済も沈滞。様々なイベントも全て自粛となっていた時、私の中で突然発作が起こり(笑)、ばーんと買ってしまった一枚です。
「みんなでいつまでもめそめそしていてどうするの?このまま消費が何も動かなかったら、日本は自滅して行くだけじゃない!消費都市東京は、こういう時こそガンガン消費することが使命なのよ!きーっ!」
と、お金もない癖に購入。後の生活が苦しくなった思い出の一枚です‥(涙)
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友禅と言うと、普通、糸目糊置きをして中に色を挿して行きますが、この小紋では逆に、ほとんど白上げで仕上げているのが特徴です。小糸氏が、糸からこだわった生地の、その白場が際立っています。
我が家がいつもおつき合いしている吉祥寺のふじやさんの番頭さんによると、こうして白上げする描き方は、実は一番描き手の実力が出るのだとか。色でごまかせない分、線を描く力量が、如実に表れてしまうということのようです。
  ↑
‥と、ここまで書いて一旦日記をアップした後、小糸敏氏の工房の情報でもリンクしようかしらと様々なサイトを見ていたら、小池敏氏は、型友禅の名工だということが分かりました‥!
読んで下さっていた方、申し訳ありません。手描きではなく、おそらく型友禅です‥でも、紋様をよく見ると輪郭線は手描きのようでもあり‥型染めと手描きの混合でしょうか‥?今度ふじやさんに行った時に訊いてみますが、分かる方がいらっしゃったら教えて下さい!
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帯のアップが上の写真。桐紋七宝つなぎ文様の袋帯を合わせました(付け帯です)。小紋には普通袋帯は合わせませんが、かなり華やかな“パーティー仕様”の小紋であり、この秋に2度ほど着て行ったのも華やかなお食事などの場面だったため、袋を締めました。(ただし、外出した当日は2回とも写真を撮るのを忘れてはしゃいでいたため、着姿の写真は帰宅してから家で撮っています)

変わった文様付けのしゃれ訪問着で!
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さて、次の一枚も、またもや菊尽くしの文様。(またもやカメラの設定が直せず、ぼやけ気味で申し訳ありません。この後の着姿写真、みんなちょっとボケています)
こちらは、祖母の遺品の中にあった、ちょっと珍しい文様付けの訪問着です。総文様なのですが、裾の所で色を赤に切り変えていて、このことによって訪問着となっています。
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↑こんな風に、一枚の花の中で色が黒から赤へと切り替わっている部分もあります。

この着物を祖母が買った時、母は中学生だったそうで、「すごく嬉しそうにしていたことを今でも思い出すわ~」とのこと。母が中学生の頃‥と言うことは、50年ほど前。古典的でありながら現代的な感覚もするこの一枚を、50年前に択んだなんて、我が祖母ながらセンスの良さに天晴れです。
今回は、お茶の先生の古希祝いのお食事会に着て行きました。二枚目の着物と同じく、加納幸の葡萄唐草紋袋帯を合わせています。

黒地江戸小紋に菊の花籠帯
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こちらの着物は、江戸小紋。
小さな小さな桜の花びらが無数に散っている文様です。この型付けは非常に難しそうですよね。江戸小紋の伝統工芸士・二代目金田昇さんの作品。花びらの散り具合が敢えて不均一になっているので、江戸小紋と言うと一般的に思い浮かべるかっちりした印象ではなく、どこか色気ただよう雰囲気が出るのです。母と私の大のお気に入りの一枚です。
この着物に、祖母が染めた菊の帯を合わせてみました。帯揚げに、抹茶のようなくすんだ緑色、帯締めに、黒みがかった朱色の一本を入れています。

一枚目の写真の後ろに映っているのは、お月見の室礼です。
この日は、アサヒビールのあのう〇ちビルの4階ホールで開かれた、お月見イベントに参加しました。
アサヒビールが支援する「隅田川アートプロジェクト(SRAP)」というアート&環境運動あるのですが、その一環として、この日は江戸時代の戯作者・鶴屋南北に関するトークショーが開かれました。江戸時代に関する内容だから江戸小紋で、とこの着物を択びました。
SRAPでは、毎年一つ大テーマを決めつつ、江戸時代や隅田川に関する大小様々なアート&環境イベントを開催しています。メインの開催期間は6月~7月なのですが、2013年度のテーマが鶴屋南北になるということで、その予習篇ということで、今回のトークショーが開かれました。
この2013年度のSRAPに、もしかしたら私も一部参画するかも知れません。まだ企画段階なのでどうなるか分かりませんが、和の伝統を愛し、楽しんでいる方々と、アイディアを練ることをまずは楽しみたいと思います!
隅田川アートプロジェクト(SRAP)のホームページは下記に
http://www.asahibeer.co.jp/csr/philanthropy/art-cul/collabo.html

すっきり清潔な印象のお召に、菊の帯を
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さて、最後の一枚は、同じ菊の帯を、真逆の白地の着物に合わせてみました。
これは、京都西陣の機元「洛陽織物」の網代お召。籠などに使う竹の編み方に「網代」というものがあり、それを織りの文様化したものです。伝統文様をすがすがしく織り上げ、とても清潔な印象のする一枚です。
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そのお着物に、一つ前と同じ菊の花籠文様の帯を合わせました。今回は帯締めを、紫色に差し替えています。
早稲田大学で開かれた着物学講座「黄八丈の織りと染め」を聞きに行った日に着たので、1枚目の写真には教室が写っています!

        *

いかがだったでしょうか、どんとお着物コーディネート5連弾。今後も着物での外出予定がいっぱいありますし、近々岡山県の倉敷に、“全日程着物で旅行”しようかな、という計画もあるので、今後もますます着物日記充実!の予定です。皆様また遊びに来て下さい!

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晩夏の夜、夏の着物で最後のお出かけ 2012/09/10



暦の上では九月に入りましたが、旧暦ではまだ七月。昔の人は薄物を着ていた時分で、もう少しの間暑い日が続くのも当然の今日この頃です。
‥が、太陽暦に合わせるととにかく9月なのですから、薄物を着るのも何となく気が引ける。まったく、旧暦と新暦の齟齬が恨めしいのですが、「そろそろ今年も薄物はおしまいかな」と、夏の着物で出かけた日のコーディネートご紹介日記です。
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*着物は、絽。白地に手描きで萩らしき葉と実が描かれています。本物の萩とはちょっと葉のつき方が違い、南天のようにも見えますが‥夏の着物に南天を描くことは考えにくいので、萩だろうと。
そして、本当はオレンジ色の萩の葉は存在しませんから、想像上の世界を描いていると言っていいかと思います。

*帯は、紺の紗献上。白の帯締めは、見えにくいかもしれませんが、薄く水色の縞が入っています。本当はこれに白の帯揚げを入れていたのですが、写真を撮る時入れ忘れてしまいました~。
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*上の写真が着姿です↑。今年はこのコーディネートで何回か外出しました。いつも写真を撮るのを忘れ、やっと撮れた‥。ぼわわんとした文様にきりっと濃い色の帯。着物らしい、こういうコーディネートが大好きです。
後ろに写っているのは、そう、お江戸日本橋。そのたもとにある和食レストラン「ニホンバシイチノイチノイチ」でのお食事会に着て行きました。テラス席があるので、これから寒くなる頃まで、日本橋を眺めながらの食事がお薦めですよ♪

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偽おはしょりの作り方! 2012/09/01



またまた仕事が忙しく、日記の更新が滞っておりましたが‥今日は久々の着物日記です。
先日、猛暑の中、浴衣で友人とかき氷を食べに行ったのですが、その浴衣にちょっとした秘密が。
何と、おはしょりが偽物なのです!
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*おはしょりの説明に入る前に、まずは浴衣のご説明から。
生地は、白地に竹文様を注染で染めたもの。
織り方は綿絽なので、ちょっと高級な浴衣です。
とは言うものの、白地の浴衣はどこか寝巻のようになりがち。
濃い臙脂色の半幅帯を持って来ることで、全体を引き締めてみました。

*さて、いよいよ本題。偽おはしょりについてです。
浴衣のここにご注目下さい↓いかにも普通のおはしょりのように見えるのですが‥
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実はこの浴衣、と或るネット上の着物サークルで「あまりにもサイズが小さいので」と、
1000円くらいの激安価格で売り出されていました。
確かその方のおばあさまがご自分で縫ったもので、一度も着用していないとのこと。
しかしあまりにも身丈が短い。
以前はおはしょりが取れたのですが、綿ですから洗っているうちに少しずつ縮み、
今年はとうとう全くおはしょりが取れなくなってしまいました。

そこで考えたのが、浴衣と一緒に送って頂いていた端尺の活用。
24cmほどに2枚切り落として長方形の布を作りました↓
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それを二つ折りにして‥↓
_DSC4211.JPG
腰紐に挟み込み、上から帯を締めれば見た目には全く分からない‥という訳です。
まあ、よくよく横から回り込んでじっと見れば見破られるはずなのですが、
まずそんなことをされることもありませんし。
今後もこの偽おはしょりで出かけてみようと思いますw
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この日、食べたかき氷がこれ↑
原宿のUNITED ARROWS本店に併設されたカフェ、
「京都 徳屋」の黒蜜かき氷です。
とにかくとてつもないボリューム。
これに濃厚な黒蜜をかけながら頂く幸せ☆
今日・明日は涼しそうですがまだまだ残暑も続くことともいますので、
皆様もかき氷など食べて元気にお過ごしください!

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四国・保多織りの浴衣で、友人の書を見る 2012/08/09



立秋を迎え、暑い季節も半分くらいは越えられたでしょうか。
今日のお着物日記では、友人の書家・土屋翠香(つちや・すいか)さんの書の展示を見に行った日の取り合わせをご紹介します!

*下の写真が、土屋さんの作品と、土屋さん。そう、私の隣りにいる美人の女性・土屋さんがこの作品を書かれたのです!土屋さんのご紹介は後ほど致しますが、まずはお着物のことを…
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*私の着物は、浴衣。四国・讃岐地方で江戸時代より続く伝統織り物、保多織り(ぼたおり)で織られた浴衣です。(素材は、綿)
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*保多織りの特徴は、この、格子が浮き出た紅梅織り↑
一般的な紅梅織りに比べて、格子はかなり小さめです。ぐっと寄って写真を撮ってみましたが、白地の部分にかすかに格子が浮き上がっているのが見えるでしょうか?
この格子の凹凸があるので肌に吸いつかず、夏も涼しい!浴衣や薄物、単衣にするのにぴったりの素材ですね。冬は冬で空気をため込み、暖かいそうです。

*紋様は、超古典、浴衣の柄に使用されることも多い菊唐草です。手仕事の型染めで染められているので、ところどころかすれているのも味。裏表にしっかり型を置き、両面にくっきり文様が出ています。

*帯は、“7月26日の日記”でご紹介した博多の半幅の、裏側。こちらはシンプルに一本の縞のみ。菊唐草文様がにぎやか、かつ色も鮮やか目の藍なので、帯はパキっとシンプルにしてみました。

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*この日拝見した作品が、こちらです↑

「満架薔薇一院香」
「庭の棚いっぱいの薔薇の香りが部屋にまでただよって来る」という意味だとのこと。中国の古詩から採ったものだそうです。
薔薇の「薔」の字から「薇」の字へと続く線の、花のように丸みを帯びたはかないかすれ方!また、「一」の字は薔薇の花びらを意識した形に書いた、とのことでした。筆と墨を自在に操りながら、文字を使って、世界を表現する。表意文字だからこそ出来る美、それが書道なのだということが良く分かります。
土屋さんの字は自由でありながら上品で清新な気品が漂っていると思います。これからも作品を拝見するのが楽しみ!

*土屋翠香さんと私は、かつて某広告代理店で働いていた時の同僚です。一緒に某国民的アイドルが出演する某家庭用品のCMを担当していた当時、私はプロデューサー、彼女はアートディレクター。数年後、二人とも独立して会社を去ったのですが、友情は今も続いています。
当時は彼女が書をやることをちっとも知りませんでしたが、四歳の頃から純正書法連盟の先生について書を始めたとのこと。そして書に専念するために退社後、めったに取れないという満点の成績で師範の許状を取得。期待の新人として書家の道を歩き始めました。

*土屋翠香さんのフェイスブックページはこちら
http://www.facebook.com/suika.tsuchiya

*月2回、新宿のおしゃれシェアオフィスHAPONにて、書道教室も開いています。
「まずは自分の名前を毛筆で書けるようになろう」という単発クラスもあるので、私も近々参加するつもり。皆様もゼヒ!
http://hapon.asia/shinjuku/event/post993/

*また、8月12日まで神奈川県民ホールギャラリーで行われている『臨古書道展』にも出品されているとのことなので、お近くの方は足を運んでみて下さいね。

*それにしても、こうして書の素晴らしさに触れるたび、「何故うちの親は私に書道を習わせてくれなかったのか…」と恨み節の一つも言いたくなります。
…なーんて、でも本当にやる気があれば学校で書道の時間はあったのですから、自分で「習いたい!」とせがんだはずですね。今から書の達人の道‥は無理に決まっていますが、せっかく書家の友人がいることですし、これからは折々書や書道にも触れて行きたいと思います!

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昼顔の絽のお着物で、浅草散歩 2012/08/01



先日、友人とお着物で浅草散歩をした日のお着物ご紹介日記です。
下の写真は夜の浅草寺境内で撮りました♪
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*着物は、去年作った紗摺りの絽。
小さな昼顔の文様を型染めで散らした小紋です。
かわいらしい、嫌みない文様が淡い地の色に散っていて、
涼しげに見えるところが気に入っています。
(紗摺りについては、昨年の日記→「2011年7月12日の日記」をご参照くださいませ)
道明の藤色の帯締を挿し色にしました。
下に、着物の文様のアップも載せておきますね↓
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*帯は、祖母の形見の絽綴れ。
片輪車の文様です。
この帯を以前ご紹介したときの画像をご覧くださいませ↓
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*この日の目的は、甘味!
浅草寺前の梅園へ、大大大好きな粟ぜんざいを食べに行きました。美味~♪
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しかも葛餅も食べたんです(笑)。甘いものはいくらでも食べられます↓
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*更にもう一軒、友人の案内で昭和初期からあるというレトロ喫茶にも行きました。
Angelusのモカロールケーキ、美味しかった~。
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*浅草寺のライトアップは、優秀なライトデザイナーが設計しているのでしょうか、
陰影が印象的な、素晴らしい出来栄えです↑
それにしても浅草。甘味もお食事も和小物もお寺も着物もあって、
まるで和好きのテーマパークのような街だなあと、改めて感じ入りました。
この日、友人は和紙を買って、私は便箋とポチ袋(コレクションしているのです)と、
家族へのお土産にやげん堀で七味唐辛子を購入。
家に帰って眺めるのもまた楽しい。
ディズニーランドもいいけれど、皆さん、浅草で和を満喫して下さいね~。

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珍しい、蝶の文様の浴衣でお出かけ 2012/07/26



夏!浴衣の季節です!
先日、浴衣で夜のお食事会に出かけた日のコーディネートをご紹介します。
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*この浴衣は、家族ぐるみで子どもの頃からおつき合いをしている作曲家の三宅榛名さんから頂いたもの。榛名おば様のお母様は画家で、一生着物で暮らされた方。その方の遺品なのです。とても背の小さな方だったということで、チビの私の出番です!

*その浴衣が上の写真。さすがに画家だった方だけあって、珍しい、素敵な柄行きです。白地に大きく飛んだ蝶。古典的でありながらモダンな柄ですよね♪
たとうには「藤井」という屋号がありました。三宅家のお着物・浴衣は全部ここであつらえていたそうで、日本橋だったかの有名な呉服店だとのこと。その店の反物ということですね。

*帯は、博多の半幅。古典的な献上柄です。
柄の大きな、華やかさのある浴衣なので、帯もはっきりとした色にして強さを持たせ、力のバランスを取るようにしてみました。この取り合わせはなかなか気に入っています。
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*結び方は、カルタ。文庫のようなかわいらしい結び方は年齢にそぐわないので、もっぱらシンプルなカルタで締めています。(ちょっと大きく結び過ぎているので反省ですが…)
写真でお分かり頂けるように、おはしょりがとても少ない!
本当に小振りの浴衣で、身長152センチの私でもほぼ対丈なのです。それを着つけマジックで無理やりおはしょりを取って着ていますが、今回、帰宅後すぐに洗ったので縮んでいるかも知れません(浴衣は縮むのが普通なので)。次回は対丈で着るのもありかなと思っています。

*この日は、赤坂見附の韓国料理屋さんでお食事会。このブログのために裏道に出て、連れの方に写真を撮ってもらっていたら、偶然、瀬戸内寂聴先生に出会いました。私が浴衣を着ていたせいでしょうか、にこにこ微笑んで下さって、何か御利益あるといいナ~。

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今年作った藤色ぼかしの着物、帯を変えて 2012/07/12



昨日の日記でご紹介した藤色ぼかしの単衣、昨日のコーディネートでは華やかな唐花の博多帯を当てていましたが、今日は打って変わって、粋な帯を当ててみた装いをご紹介します。
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☆まるで呉服屋さんに勤めているかのようですが、この着物を作ったお店、吉祥寺のふじやさんで、若旦那に撮って頂きました。
ふじやさんには親子ともどもお世話になっていて、こちらで作ったものを着て出かけるときは、ちょっとお店に寄って「着ましたよ~」と見せに行くのです。そんな折りに撮って頂きました。

☆呉服屋さんを一つに決めるのか?毎回違う店で買うのか?これは着物好きにとって永遠のテーマではないかと思いますが、我が家のように一軒に決めてしまうと、“家族ぐるみのおつき合い”というかんじになり、これはこれでとても楽しいと思います♪
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☆↑今日の帯を、畳の上に置いて寄りで撮ってみました。見てお分かりの通り、半幅です。ベージュに近い淡い桜色の地の上に、紫、茶、緑、辛子色の四色の縞。黒地の江戸小紋などの上に締めたらきりっと粋になりそうな帯ですね。母の知人の方から頂いたものです。

☆昨日の日記と比べて頂くと、同じ着物でも帯で大分印象が違うのがお分かり頂けると思います。帯が粋だと、やはりシャープなかんじ。
この着物は相当多くの種類の帯と相性が良さそうなので、色々試してみたいと思います。秋口は、黒のど派手な帯とか、黒の粋な帯なども良いかも。
また着ますので楽しみにしていて下さいませ~。

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藤色ぼかしの着物で打ち合わせへ 2012/07/11



着物好きを公言し、お友だちとのお出かけ時にはもちろん、差し支えない時には着物で仕事の打ち合わせへ行くことも増えて来ました。
今日の日記では、6月の或る日(なかなか日記が現実に追いついていなくてすみません)、打ち合わせ→中国ECビジネスに関する勉強会に参加した日、のお着物をご紹介します。

下の写真をご覧ください。勉強会の後に皆で新丸ビル内のレストランに中華を食べに行き、そのお店の長い廊下で撮ったので、まるで遊びに出かけているようですが、ちゃんとお仕事の打ち合わせもしたんですよ~(笑)。
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☆着物は、今年作った単衣です(6月の写真なので、まだ単衣を着ています)。様々な濃淡の藤色を、縦に、ゆるやかな縞状に染めた反物。吉祥寺のふじやさんで買い求めました。

☆このようなタイプの反物は、衿にどの部分が来るように仕立てるかでがらっと印象が変わります。お店の皆さんと相談の上、私は、薄い部分が来るように仕立ててもらいました。そうするとやさしく、また明るい印象になります。
もっと年配の方だったら、濃い色の部分をお顔周りに持って来ると、年令にふさわしい落ち着きが出るのではないかと思います。

☆帯は、前々回の日記でもご紹介した、唐花紋様の博多帯。たとうの上に載せて御太鼓部分の寄りの写真を撮ってみました↓
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☆これは、祖母の遺品。お太鼓の裏に来る部分はこんな風に、縞文様の繻子の布が縫い合わされています。ちらっと見える裏側もおしゃれな帯です!
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☆明日の日記では、このお着物に別の帯を合わせた日の装いをご紹介します。同じ着物でも印象が変わる様子を、皆様比較してみて下さいね!

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着物スタイリスト・大久保信子先生のトークショーへ…の日の着物 2012/07/04



少し前のことになりますが、6月17日、我が家からほど近い東急百貨店吉祥寺店にて、着物界の大御所スタイリスト・大久保信子先生のトークショーが開かれました。喜び勇んで馳せ参じた日のお着物をご紹介します。
下がその折りの写真。先生と一緒に撮って頂きました。嬉しい♪
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*先生はこの日、浴衣を着ていらっしゃいます。と言うのも、その日のテーマが「浴衣の素敵な着こなし方」だったから。
私は寡聞にして知らなかったのですが、江戸時代以来、東京では三社祭が終わったら浴衣を着て良いのだそうですね。襦袢を着て着る着方もありますし、単衣よりもお値段がぐっとお安いですし、どんどん着ちゃうと良いと思います!
先生はこの日、紗献上の帯を名古屋にして締められていました。

*私の着物は、単衣です。遠目には無地に見えるかも知れませんが、白の蛍ぼかしがぽわわんと浮かんでいる紋様。去年作ったものです。
下の写真が、蛍ぼかしのアップ。近寄ると、小さな鹿の子を集めて一つのぼかしにしていることが分かります。
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*帯は、祖母の遺品のつづらに入っていた唐花紋様の博多を。わりと派手な見た目なので、おそらくどなたかから頂いて、自分の年齢を考え、一度も締めなかったのではと思われるきれいな状態でした。今、私がガンガン締めております。
先生にこの帯の由来をご説明したところ、「あら、おばあさまのものなの?新品みたいにきれいな状態よね。裏地は繻子になっているのね」と早速細かいチェックが!さすがです。

*この日、先生に「きれいに着れてるじゃない。これからもこの調子でお着物生活頑張ってね!」と褒めて頂きました。じ~ん、感無量。
はい、これからも不肖・西端真矢、着物生活を徹底追究して行く所存です!

*そして当日会場には、先生のご著書『着物の事典 伝統を知り、今様に着る』を持参した“大久保女子”もちらほら。「サインをお願いします」と彼女たちが本を差し出すと、「あら、ちょっと待ってね」と、先生は鞄から筆ペンを出され、達筆ですらすらとサインされていました。さすが~。
この本、「出版社も驚くほど売れてるのよ」とのことでした。大久保ファンの方にお聞きしてみたところ、「必要なことが全部載っていて、しかも教科書的じゃない知恵が詰まっているの。本当に役立ちますよ」とのこと。私も買ってみようと思います!

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柄on柄 着物ならではのコーディネートで 2012/06/20



今日の着物日記は、着物ならではの楽しみ方、柄×柄のコーディネートをご紹介します。
まずは下の写真をご覧ください。(ちょっと帯揚げが飛び出てしまっているのはご容赦下さいませ~)
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☆着物は、“歌舞伎縞”と呼ばれる縞文様。
そう、歌舞伎座に行くと掛かっているあの幕。三色の縞文様で染めた幕を「定式幕」と言いますが、その中でも、茶・緑・黒の組み合わせは歌舞伎座が使用するもの(もとは市村座のものだったそうです)。その歌舞伎座の定式幕と同じ組み合わせの縞で染めた着物なのです!
この着物は、おしゃれだった祖母の遺品。かなり粋な文様ので、なかなか普通の人は手を出さない着物ではないでしょうか。おばあちゃん、おしゃれ~♪と今では私の大のお気に入りになっています。ただの直線の縞ではなく、よろけ縞になっているところがまたイイんですよね!

☆帯は、その祖母が染めた牡丹唐草文様。牡丹は、蟹牡丹になっています。
この文様、実は6月6日の日記で締めていた帯の色違いです。同じ型紙を使って、全く違う色に染める。そうると印象が全く違うことが、下の比較写真で分かって頂けると思います↓
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☆この型紙、以前どこかの着物展で見たことがありますので、おそらく江戸時代から続いている伝統的な型紙なのだと思います。それを、祖母は二通りに染めてみた訳ですね。
茶色地に黒だと、渋くかっこいい。白地に淡く、紫、水色、黄色で染めると、うーんはんなり。どちらも素敵ですよね。我が祖母ながら素晴らしい仕事です!

☆今日のコーディネートは、柄on柄。
縞文様に草花文様を合わせるなんて、洋服でやったらがちゃがちゃして見られたものではありません。でも、不思議と着物だと全くおかしくない。
私は、最近主流になりつつある“現代風着物コーディネート”というものがどうも好きではありません。何故かって?答えは単純です。つまらないから!
ひねりなさ過ぎ!
着物でユニクロファッションしてどうするの?

と、声を大にして言いたい。
着物と洋服では、色の取り合わせ方も、文様の組み合わせ方も全く感覚が異なり、それこそが着物を着る醍醐味だと思うのです。
柄on柄にしたり、帯揚げに思いもよらぬ色を入れたり…そういう“洋服っぽくないコーディネート”を巧みに着こなす女性がもっともっと増えたらいいなと思います。
私も頑張って着物道を追求して行きたいと思いますので、ゼヒ皆さまも一緒に歩いてまいりましょう~ららら~♪

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1000円で!買った着物で浅草へ 2012/06/06



今日の日記でご紹介する着物は、何とたったの1000円で入手したものです!
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☆正絹の地に、青海波紋の着物です。一方付けなので付下げ扱いになるでしょうか。遠くから見ると色無地のようにも見え、お茶会に着て行くにも良さそうです。

☆この着物、ヤフーオークション内の着物ショップで買いました。仕事の原稿が書けない時、ついやってしまうのがヤフオクを覗くこと。着物、茶道具の気に入ったサイトを巡回するのが大好きで、買うことはほとんどないのですが…まあ、一種の現実逃避ですね。
そんな中、或るサイトで「決算期出血大サービス!」と銘打った特別商品の中の一枚がこれでした。1000円スタートで、すぐ値段が上がるだろうと思ったらずっとそのまま。かなりスモールサイズ、且つ痩せ形の人しか着られないサイズだったので、皆さんあきらめたのではないかと思います。チビでガリの私がまんまと入手に成功しました。
届いてみると、ものすごく良い生地…という訳ではないものの、安手でもない。そしてどこにもシミ一つなし。恐らく一回も着ていないのでは?という品物でした。非常にお得な買い物となって大満足です!

☆この日は、この着物でお茶のお稽古に行った後、午後は浅草へ三社祭を見に行きました。写真に写っている男の子は私の子どもです…という訳ではもちろんなくて(くだらない…)、全く知らない男の子なのですが、近くで御神輿を見ているうちに仲良くなりました~。

☆帯は、祖母が染めた紅型。伝統的な「牡丹唐草文様(しかも蟹牡丹になっています)」の型を使って、さわやかな色取りで染めています。
この同じ型で全く違った色合いに染めた別の帯があり、次回の日記ではそちらの帯を使ったコーディネートをご紹介したいと思います。
また遊びにいらして下さい♪

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立食パーティーの日の着物+新宿のシェアオフィス 2012/05/08



先日、立食でのパーティー的催しに参加したときに着たお着物のご紹介日記です。

この日のイベントは、「Nomad Tokyo Drink」。
ノマドという言葉、最近よく耳にしますが、組織に所属せず、フリーで働く人の総称ですね。もちろん昔からフリーランスという言葉はありましたが、ノマドと敢えて定義し直しているのは、特にウェブが発達したこの時代に、モバイル機器を片手に自由に居場所を移動して仕事をする、その感覚を含めて新しい語が作られたのだと思われます。
私自身はかなりIT弱者な方なので、「あなたノマドですか?」と言われると「も、もしかしたら違うかもしれません…」と泣きが入りそうなかんじですが、「着物の本を作りたい!」「着物についてのコラムを書きたい!」「中国取材に行く仕事をしたい!」「中国語→日本語翻訳やりたい!」「辛口エッセイコラム書きたい!」「コーヒーブレイクにさらっと読めるしゃれたエッセイなんてどうかしら!」などなど仕事への夢がはちきれそうにたくさん。だから編集者やプロデューサーの方との出会いをいつも求めています。
Nomad Tokyo Drinkは、ノマドな働き方をする人々やノマドな人に仕事を発注したい人々の交流会。私も出会いを求めて、“婚活”ならぬ“仕事活”に出かけたのでありました。
その日のお着物がこちら↓
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*以前もこのブログでご紹介したことがありますが、紬で、全て織りで(=描きではなく)野草を織り出した、かなり手の込んだ一枚です。
これは、渋谷東急で開かれていた着物催事に或る時ふらふらと迷い込んでしまい、つい買ってしまったもの。某タレントさんの撮影用にその方のサイズで仕立て、しかもそのサイズがとても小さいので定価では売れない!ということで、破格のお値段がついていました。その日は仕事の取材帰りで疲れ切っていて、ついつい癒しを求めて迷い込んだ催事だったのですが…こんな出会いがあるとは…やはり人生迷宮に迷い込むことも必要です。

*帯は、祖母の遺品の八寸名古屋。おそらく昭和初期頃の、モダンな感覚が流行した時代のモダン唐花ではないかと思われる織りや糸や文様なのですが、詳しいことは分かりません。
私は、テーマが和とは関係なく、着物に詳しくない方がほとんど!という集まりの時は、今回のように、まずとっかかりやすいモダン系の着物や帯を着て出かけることがあります。
どこかに洋服っぽさがある着物だと、着物に慣れていない人にも理解してもらいやすく、「着物もなかなかいいね」とか「こういう着物なら私も着られるかも」と思って下さる方も出て来るかな、と。そしてそこから洋服的着物なんぞよりももっと深くもっと面白い、着物の本当の世界へようこそ‥という私の深遠な計画なのであります。むふふ。

      *

この日のイベントの会場は、新宿にあるシェアオフィス、HAPON。私の友人が共同経営者の一人として運営に参加していて、今ではその経営陣全員の皆さんとお友だちになりました。
http://hapon.asia/shinjuku/
ノマドという言葉と同様、オフィスシェアやルームシェアという形態も、最近の新しい潮流となっているように感じますが、特にここHAPONの特徴は、私は、インテリアの環境が抜群にいい!ということではないかと思っています。働ければどんな所でもオーケーという人もいるかもしれませんが、私は、環境要素も働くモチベーションや気分の良さに大きく影響するのではないかと考えています。その意味でHAPONは、最上の環境を提供してくれるシェアオフィスではないか、と。

最大の特徴は、共有スペースのこのデスク。日本列島の形をしているが分かるでしょうか?(ここから下の写真は全て、パーティーとは別の日に見学した時に撮ったものです)
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HAPONの共同経営者の一人に大平龍一さんという彫刻家がいらっしゃり、彼が木工で手作りした作品。外部の方とのちょっとした打ち合わせをここでしたら、何だかちょっと鼻高々ですよね。
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シェアオフィスでは、コピー機やオフィスアドレスなど、働くための基本スペックをシェア出来ますが、HAPONの給湯コーナーやロッカー、そしてブックセレクトの専門家が入って作られた共用本棚もこんなにお洒落。
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それぞれのオフィスが入るブースはこんなかんじです↓
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ブースを借りずに、共用デスクやコピー機などのみを使える“オープンエリア会員”という制度もあるようですよ。
また、書道教室や、マッサージ師を招いてのマッサージサービスなど、楽しい企画も盛りだくさんのHAPONなのでした。

ノマドやシェアオフィスという新しい潮流の中にモダン着物で飛び込んでみた夜。すぐにお仕事につながるかは分からないけれど、幾つか面白い出会いもありました。さてさて今日も大都会東京で、頑張って生きて行かなければなりません!

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お茶会二日間の着物 2012/05/05



毎日バタバタと忙しく、なかなか日記も更新出来ない数週間でしたが、今日は久々にお着物日記を。
2週間前、駒場公園内の旧前田侯爵邸茶室にて、通っている教室のお茶会が2日間にわたって開かれました。その折に着たお着物のご紹介です。

1日目はこちら。
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立湧の地模様が入った光沢ある綸子に、若竹色とピンク色をぼかした色無地。母の嫁入り道具のうちの一枚で、母の実家の紋が一つ紋で入っています。ちょっとこの写真だとフラッシュで光沢が強く出過ぎているので、本当の色はもう少し下に出て来る別の一枚でご確認下さい。

ぼかしの色無地は、「小紋扱い」とおっしゃる方もあれば、「色無地と同等」とおっしゃる方もいて、どちらなんだろう?と悩ましいところですが、着物にうるさかった祖母が紋つきで嫁入り道具に持たせているところを見ると、当時は「同等」説が主流だったのかもしれません。(現在は「小紋扱い」と仰る方の方が若干多いような気がします)
そんなこんなで、家元席に参加するなどといった場合には控えた方が良いかも知れませんが、それ以外の場ならまあ大丈夫でしょう、と着てみました。帯は1月の日記でもご紹介した初代・龍村平蔵の桐竹文様の袋帯です。

この日、私はお茶を点てたのですが、何と、昨年お仕事をご一緒して以来親しくさせて頂いている、「美しいキモノ」のスタイリスト奥泉智恵さんがお客様(当然お正客)に来て下さることになっていたので、本当にコーディネートに悩みました。
ちょうどこの頃、仕事もとてつもなく忙しく、奥泉さんに初代龍村を見て頂きたくて帯だけは決まっていたものの、着物と合わせてみる時間が全く取れない!前日夜に鏡の前にばーっと十枚くらい広げてあれこれ合わせてようやく決めた後、ああ、明日5時起きなのに…と半泣きで一枚一枚たたんで箪笥に戻したのでした…

ところでこちらは、席入り前、蹲で手を清めているところ↓
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お客様が少ない回では茶席に入ることが出来、望遠で撮って頂きました。着物の様子が別角度から見て頂けるかと思います。

             *

そして2日目は、こちらの着物です↓
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祖母が文様から自分でデザインして型に起こし、染めた訪問着。たとうには懐かしい祖母の字で「洋花訪問着」と書いてあり、おそらく蘭の花では?と思うのですが、正確なことは祖母亡き今、分からなくなってしまいました。私と母は、ちょっと形が脳に似ているので、「脳味噌の着物」などと呼んでいますが…おばあちゃん、ごめんなさい…
この日はお点前がなく、水屋仕事が主なので気楽なものでした。
帯は、今年母が吉祥寺のふじやさんで買った河合美術織物の袋帯です。若干洒落の袋ですが、お点前もない日だし、いいかなと。上の写真だと真っ白な帯にしか見えないので、床置きしてお太鼓を寄りで撮った写真がこちら↓
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…そう、この帯、作り帯なのです。母が年を取って手を後ろに回して締めるのがつらくなって来たので、最初から作り帯にして作ってもらいました。つまり、切ってしまったということですね。
「河合美術の新品を作り帯に…!」と私もふじやの番頭さんも一瞬絶句しましたが、でも、着物は着るためにあるもの。着ないで箪笥にしまっておくよりは、切ってもどんどん着た方がずっといいですよね。
文様は、押しで鹿の子文を表現した上に、金銀の筋が縦に入っています。前帯は、銀一本か金一本が横に出るので、好きな方をその都度出して締める形。ほとんど合わない着物はないと言っていいくらい、どんな着物にも合う万能な帯かも。これからも時々貸してもらおう…

             *

今回、水屋で大役を仰せつかりました。お床のお花を生けることになったのです…!
私は、生け花は真生流でずっと習っていましたが、茶花と生け花では考え方が根本から違います。まだまだ一人で生けるのは到底無理なので、先生と奥様先生(先生の奥様)の両先生のご指導を頂きながら何とか生けた…という舞台裏です。
その成果がこちら。花材は山吹とこでまりです。携帯で撮ったら手ぶれしていて、お目苦しいのが申し訳ないのですが‥↓
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今回生けてみて思ったのは、生け花だと「さあ、ここから!」というところで止めるのが茶花。そう言って良いのかな、と。生け花的には「えーここで止めちゃうの?」「もっと生けたいんで・す・け・ど」と未練たらたらくらいのところで止めるのがコツのように思いました。

それにしても、基本になる花型は生け花だろうが茶花だろうが、やはり日本のものは共通しているし、最後、全体を整えるときに先生方と、「この花一つ取りましょうか」「あ、でもここでしょうか?」と迷うところは、やっぱり「うん、そこだね」「そうそう、そこでもいいね」と同じ意見なのが何とも…ああ、和!
そう、和の美意識は、一旦どこかで会得すれば全ての視覚的な和の芸事に共通なのですよね。もう本当に嬉しくなってしまいました。
ああ、お花もやっぱりとても楽しい。ちょうど生け花の師匠からも「マヤさんはどうしてるのかしら?時々お稽古にいらっしゃいとお伝え下さい」と、母が最近お目にかかった時に声をかけて頂いたそうなので、またちょくちょく通ってみようと思います。

そんなこんなで、二日間のお茶会はめくるめく間に過ぎて行ったのでした。
お稽古仲間も素敵な方ばかりで、お茶に関する何もかもが楽しくてたまらない毎日なのであります!

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お茶席に、貝合わせ文様の訪問着で 2012/02/22



ここのところ仕事が忙しく、日記の更新がままなりません。
そんな訳で少し前のことになりますが、今日の日記では、10日ほど前、水天宮のロイヤルパークホテル内の茶室で開かれた、裏千家茶席に伺った日のお着物をご紹介します。
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*着物は、綸子地の訪問着。地紋は菊、文様には、貝桶と貝が描かれています。いわゆる「貝合わせ」文様ですね。雛祭りも近づいて来ていますから、男女の和合を表す貝合わせ文様は季節にふさわしいかなと着てみました。私の祖母が染めたものです。

*お茶席に参加するときは、裾をやや短めに着つけています。立ったり座ったりが多いので、軽快に動けるようにするためです。

*この着物の地色は、光沢があるとは言えグレーでやや地味なので、帯を派手にしてみました。立湧に桐竹が織られた袋帯。地色がオレンジなのでこれで着物がぐっと派手になりました。

*着物、帯ともに本当は文様のアップの写真も載せたいところなのですが、忙しくてどうにもなりません。また着る機会もあると思いますので、そのときをお待ち下さいませ!

*ロイヤルパークホテルの茶室は、5階屋上部分にあります。この日は造園家の友人も同じお席で、茶席の後一緒に庭を回り、石の種類や組み方など色々解説してもらいました。ビルの上にこれだけ多くの石を配したり背の高い木を植えるのは、ものすごく大きな荷重がかかるので大変珍しいことなのだそうです。(普通は、石を全く使わない庭園など、荷重を軽くする方向で考えるそうです)
全体的に、細部に渡り伝統をしっかり守って作られた良い庭園だとのこと。皆さんも機会があったらゼヒ見学してみてください。茶室の他に料亭もあるので、料亭利用でお庭を見ることも可能です。

*この日のお茶席は、インターネットを駆使してお茶やお茶にまつわる日本文化の普及に向け、たとえば和菓子教室、香道一日体験、そしてもちろんお茶席などなど、多彩な活動を主催しているズキさん(←ハンドル名です)がご亭主。一つ一つ、ズキさんのこれまでの人生の歩みに沿った心のこもったお道具立てを拝見し、美味しい八寸やお菓子、お茶も頂き、大変素晴らしいお席でした。仕事に追われ、何と睡眠時間一時間で駆けつけましたが、正に東京都心の真ん中で、一息、凛とした静かな深呼吸の時間を頂けたのでした!

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大寄せの茶会に、松の小紋で~~少し地味な小紋を華やかな帯で若返らせる 2012/02/07



先週末、造園家(日本庭園)の恩田進さんにお茶券をご招待頂き、松戸・戸定邸「松雲亭」で開かれたお茶会に伺いました。その日のお着物は下の写真のように↓
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*落ち着いた藤色の小紋は、飛び文様で松の文様が散っています。その松の表現の仕方は三通り。絞り、金糸、地紋で表されています。下の写真でご確認ください↓
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*実はこの着物、またしても頂き物です。母の知人の方のお母様の遺品のお着物。衿先に「三越」の小さな布が縫い込んであるので、三越で誂えたものと思われます。
藤色も様々ですが、この反物の色は大分渋め。これで地味な帯を締めれば七十歳のおばあさんになってしまうのがお着物世界です。そこで…
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*帯を華やかなものにしてみました!桜の地に丸紋散らしで、丸紋の中には四季の花と蝶が織り込まれています。もちろん袋帯。これで年齢がぐっと若返りました。

*松の文様は季節を問いませんからいつでも着られて重宝。しかもこの着物は表現が控えめで、でも金糸が入っていたり絞り技法を使っていたりと凝っているので、格の高いお出かけ着になります。もちろん大寄せのお茶会にもぴったり。
本当に素敵な着物を頂いてしまいました。これからもどんどん着て行きたいと思います!

この日のお茶会は、松戸茶道会のご主催。会場の戸定邸は徳川慶喜の弟・昭武の屋敷だった所で、茶室だけではなく、見事な邸宅と庭をお茶席の後に楽しむことが出来ました。
有力藩・水戸藩のお膝元だけあって松戸には旧家が多く、文化の香りが高いのだと聞いたことがあります。この日もたくさんの方がお茶会に参加され、流儀違いの私と連れの友人にもとても親切にして頂きました。
そして…小間で出されたすだ・しょううんという人のお茶碗がとても素敵だったのですが、帰宅後ネットで調べてみても全くヒットせず…。お正客様にご亭主が答えていらっしゃったのを、私が聞き間違えてしまったのでしょうか。京焼きの陶芸家のはずですが(おそらく江戸時代)、もしもご存知の方がいらしたらご教示くださいませ!

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大好きな梅の小紋、今年は帯締めを換えて 2012/01/11



お着物愛好家の皆様、新年明けましておめでとうございます。
今年もたくさん着物を着て行きますので、どうぞ時々このブログを覗きに来て頂けますようよろしくお願い申し上げます!

そう言えば先日、写真の仕事で現場に入ったときにこんなことがありました。当日、カメラを構えて準備をしていると、部屋に撮影対象者の方々が入って来られました。中に知人が二人がいたのですが私に気づいていないようなので、軽く手を振ると、
「え、マヤさん?」
「着物じゃないから全然分からなかった」
「ねー」
と言われ、これが何だかちょっと嬉しかった私です。そう言えばこのお二人とは、着物でしか会ったことがありません。仕事の都合で毎日とは行かないのが残念ですが、今年も週2~4回は着物を着たいと思っていますので、ブログも応援よろしくお願い致します!

          *

さてさて、新年初のお出かけは、上野の東京国立博物館へ。中国の国宝中の国宝であり、中国ですらほとんど公開されることのない『清明上河図』がやって来ると言うので、絶対見なければ!!と駆けつけました。
…結果、2時間半も行列に並ぶことになりましたが、でも、現在では3時間半という日もあるそうですし、私の中国人の友人は上海で出たときに5時間近く並んで見たそうですから、2時間半ならまだ良い方だったと思います。
私は日本の古美術が大好きな人間ですが、日本美術好きこそ、この展覧会には足を運んだ方が良いように思います。日本美術に中国からの影響があるのは自明のこと。日本人は中国の何を取り入れ、何を選ばず、何を独自に切り開いたのか、それを理解することで、日本人の美意識とは何かを本当に考えることが出来ると思うのです。
この展覧会、『清明上河図』を見なければ待ち時間ゼロで回ることが出来ます。『清明上河図』以外にも素晴らしい作品がたくさん出ていますから、ゼヒ足を運んでみてください。もちろん、出来れば、本・お茶など携えた上、列に並び、『清明上河図』もゼヒ!

          *

さてさて、この日のお着物はこちら↓

*祖母が染めた梅鉢文様の小紋です。この着物があまりにも好きで、大学時代から数えたら一体何回着ているのか…痛快で明るいけれどちっとも騒がしくない絶妙な色の取り合わせ。我が祖母ながら天晴れな作品です。
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*このブログをよく見に来て下さっている方は、これまでに何回かこの梅鉢小紋の着こなしをご覧頂いていたと思います。今年は昨年と同じく、紅花染めの、その紅の色が薄っすらと乗った生成りの帯を締めてみたのですが、帯締めだけは変えてみました。比較写真をご覧ください↓
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*上が昨年。下が今年の取り合わせです。
昨年は青の帯締めでちょっと色が着物とばっちり合い過ぎていて「粋じゃない」と反省。縹色、緑、茶などの糸が複雑に組まれた一本に変えてみました。

*この帯締めは、昨年末、母の知人のお母様の遺品を頂いたもの。亡くなったお母様のお着物のサイズが小さく着られる人がいないということで、チビ痩せの私が大量のお着物、帯、帯揚げ、帯締め、草履、下駄、コートを頂いて来ました。これから折々ご紹介して行きます!

*冒頭の写真の後ろに写っている花は、華道「真生流」副家元・山根奈津子さんの作品です。
私は大学時代から6、7年(←昔のことで年数忘れました‥)真生流のお家元教室でお花を習い、その頃奈津子さんはまだ中学生で、晃華学園の上品なグレーの制服を着てバレー部の活動に熱心に取り組みながら、お花の稽古にも励んでいらっしゃいました。当時から、お喋りをすると「聡明な女の子だな」ということが感じられ、将来をとても楽しみにしていたのですが、立派にこんな大作を生けられていて感無量です。月日の過ぎるのは本当に速いですね。

ではでは皆様、本年もよろしくお願い申し上げます!

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冬至の室礼でお食事会、の日の着物 2011/12/22



今日は冬至。
少し前、その冬至を迎える室礼飾りを楽しみながらのお食事会があり、私はお着物で参加しました。今日の日記では、その日のコーディネートと室礼飾り、そして新年を迎えるための盆栽飾り…と盛りだくさんな写真をご紹介したいと思います。

    *

さて、当日、お食事会が開かれたのは、白金の和サロン「日本のもの、こと」。
少し前の日記でもご紹介したので覚えて下さっている方もいらっしゃるでしょうか?
当日その入口に飾られた冬至の室礼がこちらです↓
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うーん凛として、素敵。かぼちゃと柚子、そして小豆が飾られています。
この室礼を担当されたのは、町田さんという方。(名刺を頂くの忘れて下のお名前が分かりません。すみません><)。浜田山にある室礼教室「室礼三千」の講師を務めていらっしゃるとのことです。
冬至と言うとカボチャ、柚子というのはとても有名ですが、それぞれにきっと、「この季節の体調不良には柚子が良い」という昔の人々の生活の知恵が込められているのだと思います。室礼は、美的に美しいものでありながら、暮らしの教えや当時の信仰を今に伝えてくれる百科事典のような存在なのだな、ととても感動致しました。

その飾りつけと一緒に撮ったのが下の写真。
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*着物は、祖母が型染めした蝶と雨だれ文様の小紋。冬至と全く関係がなくてすみません…。一陽来復、春の訪れを待ちわびる心で蝶…ということにしておいて下さい!

*帯は、曾祖母のお気に入りだった羅馬の兵士と椰子の木を織り出した名古屋帯。大正から戦後にかけて、洋風の柄を着物に取り入れた意匠は数々見られ、これもその系譜にある一本だと思います。

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↑さてさてこちらの写真は、一転、新年を待つ松竹梅の盆栽と一緒に撮りました。
この日、若き造園家の恩田進さんも参加されていて、もちろん手作りの新年を寿ぐ盆栽を「日本のもの、こと」への手土産に持って来てくれたのでした!
こちらも新年らしい格調高い空気と力強さにあふれいてため息が出るほど素敵でした。
盆栽だけを撮影したのがこちらです↓
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町田さん、恩田さんはまだ四十代、三十代。しっかり日本の伝統美を継承されている同世代にとても大きな刺激を受けます。他にもたくさんの和をこよなく愛する方々とお話は尽きることなく、和気あいあいと更けて行った夜なのでした!

http://ameblo.jp/emichacha-ameblo/
「日本のもの、こと」の活動を綴ったブログはこちらです。
毎月素敵な講座もりだくさん!

http://www.shitsurai.com/index.html
「室礼三千」のホームページはこちら。
たくさんの素敵な室礼の画像を見ることが出来ますよ。

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半衿付け、したい。 2011/12/14



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12月、1月と殺人的な仕事スケジュールが続いています。
それでも合い間を縫って着物で外出しているのですが、一番の悩みは、半衿を付ける時間がないこと。そんな中、今日、新潟へ日帰り取材に行く仕事が入り私が思いついたのは…
「そうだ、行き帰りの新幹線で半衿付ければいいんだ!」
何せ東京―新潟間の往復には4時間ほどの時間がかかります。電車で原稿を書くライターもいますが、私はどうも気が散ってしまい無理。半衿付け以上の有効な時間の過ごし方があるでしょうか???!!

ということで、世に電車de編み物女は多少見かけるものの電車de裁縫女は皆無の中、前代未聞かも知れませんがちくちくと頑張りました。
一番心配していたのは「布が邪魔だ」「針を出すな」などと他のお客さんに怒られることでした…が、隣りの人が途中の駅で下車した後に作業したので、どこからも文句ゼロ。結果、二枚の襦袢に半衿を付けることが出来ました~。
ああ、私って、素敵な奥さん並みのすきま時間有効活用の達人!日経ウーマンにも出られるかしら?って特殊な例過ぎて無理ですね。
何はともあれ、これでますます私の着物ライフは豊かになるのでした!

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江戸小紋に菊の帯で仕事の打ち合わせへ 2011/12/12



先週、出版社へ着物で打ち合わせに行った日のコーディネートご紹介日記です。
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*着物は、江戸小紋。極小の桜の花びらを全体にわざと不均一に散らした、とてもしゃれた一枚です。伝統工芸士、金田昇さんの作品。

*帯は、祖母が染めた東京型染め。数種の菊の花を籠に生けた様子を描いた文様です。おそらくこの型は祖母のオリジナルではなく、伝統的な東京型染めの型ではないかと推測しています。もしもご存知の方がいらっしゃったら情報教えて下さい!
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*上の写真は帯周りのアップ。ちょっと抹茶色のような緑色の帯揚げと紫の帯締を入れてみました。全体的に今日のコーディネートの配色が東京山の手っぽくて気に入っています。ちょっと祖母の感覚に近づけたかも!と自画自賛。むふふ。

*写真を撮ったお店は、神楽坂のイタリアンレストラン、ALBA。飯田橋の出版社で打ち合わせ後、編集者の方と同じ神楽坂内で別のお店に行こうとしていたのですが、何と会議があまりにも長くなってしまったために予約取り消し。たまたま入ったお店ですがとても良い接客で、お食事もどれも美味しく“めっけもの”でした。

最近は仕事の打ち合わせにもどんどん着物で出かけています。担当編集者の方はもう慣れているので驚きませんが、「こんにちは~」と編集部に入って行ったときに他の社員の方、バイトの方が一瞬ビックリした顔をするのを見るのが楽しみ。やめられません!

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江戸小紋尽くしの帯でギャラリーへ 2011/11/08



先月、銀座の現代美術ギャラリー「ガーディアン・ガーデン」で開かれた写真展「発光する港 香港写真の現在」に着て行ったお着物コーディネートをご紹介します。
下の写真をご覧ください。
臙脂色の無地の紬は、産地不明。祖母の遺品の中にあったものです。無地の紬は帯が映え、一緒に過ごす相手の方に対しても大げさな印象にならないので重宝します。
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この日締めている帯、市松文様なのがお分かり頂けるでしょうか?
実はこの市松、近づいてみると非常に細かい文様から出来ていることが分かります。
そう、一つ一つの四角の中が、江戸小紋の文様になっているのです!
お太鼓部分に寄って撮影しましたのでご確認下さい↓
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これは江戸小紋の伝統工芸士・金田昇さんの作品。昨年秋、吉祥寺のふじやさんの展示会に金田さんがいらっしゃり、母が買い求めた一本です。
お着物好きの方なら、「あ、これは大根おろしのあの文様ね」「これは鯛ね」「これは紅葉」「これは‥雛人形?」とずっと楽しめる通好みの一本。帯の地色は黒で、文様は紫がかかった茶色で染められています。
もしも町でこの帯を締めている私を見かけたら、文様当てクイズに挑戦して下さいませー!

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村山大島紬作り・体験講座レポート 2011/10/18



染め・織り・日本服飾史について奮闘勉強中の私。少し前のことになりますが、9月30日、村山大島紬の体験講座に参加して来ました。
村山大島紬とは、東京の西の北側、埼玉県との県境に近い“村山地域”で生産される絹織物の名称です。私は東京の吉祥寺育ちですから、西側・多摩地区の人間。村山大島こそ私の“郷土の布”だわー!と常々思って来ました。その体験講座が開かれるとなったら、これは参加しない手はありません。

さて、当日、武蔵村山市にある「村山織物協同組合」の会館へ。何と、こんなかわいらしいレトロな建物でした!
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この建物は昭和3年の建築。村山大島が全国的に大人気を博し、売れに売れていた時代に建てられたものだということです。
ちなみに、「村山」とは、その昔、志村けんの「東村山音頭」で有名になった東村山市・武蔵村山市一帯を差す名称です。江戸時代から大正にかけての村山大島は、更に幅広い地域、埼玉側の狭山や所沢まで含んだ一帯で織られていたのだそうですが、その後、村山地域のみで作織られるようになったとのことです。

さて、建物の中に入ると、1階には村山大島の歴史や技法を学べる展示室がありました↓
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その後、講座の会場である2階に上がると…機織り機がズラリ。布好きとしてはテンションが上がりまくります。
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この講座は毎年秋に開かれている人気講座で、定員オーバーのため抽選。当選確率は2倍以上だったそうです。クジ運が良くてラッキーでした!

           *

さて、講座は、まず染めの体験からスタート。村山大島紬で実際に使われる“板締め”の技法を簡易的に使って、絹のスカーフを染めます。
これが板締めの様子。
本来なら板と板の間に糸を挟むのですが、この講座では布を挟んで染めます↓
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その後、板を藍の中につけます。藍は藍色のはずなのですが、この段階ではまだ緑色だ、というのが驚きでした↓
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45分ほど経った後、藍から板を引き出しているところ。まだ緑色です↓
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しかし5分程経つと、布が藍色に変わって来ていることが分かると思います。
空気に触れて酸化することで、藍色に変わる訳です↓
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その後、水洗↓
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そして乾かしているところ。真剣です。
この後天日干しで完全に乾かしました↓
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             *

お昼休憩を挟んで、午後は織りの体験が始まりました。
一人ずつ横に先生がついて、コースターを織ります。
写真で、機(はた)の横に立っているおじいさんたちが、先生。実際の村山大島の織り手さんです。機織りというと女性の仕事というイメージがありますが、村山大島は男の織り手さんもとても多いようです。皆さんとても親切で、本当に楽しい授業でした。
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私も頑張って挑戦中。
この瞬間、写真を撮って頂いた方と会話を交わしていたので笑っていますが、
一瞬後には超真顔でした!↓
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手元のアップがこちら。
緯糸(よこいと)を通す杼(ひ)を右手に持っています↓
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参加者思い思いの柄行きに織り上がったコースターたち↓
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また、コースター以外に、実際の着物反物も少しだけ体験で織らせてもらいました。
詳しい説明は省きますが、織物の文様は、機の上に乗るまでは経糸(たていと)と緯糸(よこいと)、全くばらばらに製作されています。
それが、初めて機の上で出会い、一枚の布に織り上げられて行く!
その仕組みが、実際に体験してみて初めて身にしみて理解出来ました。
そして、機の上できっちりと経と緯の文様を合わせることが、どれほど難しいのかも!
やはり何事も百聞は一見に如かず。この講座に参加してみて本当に良かった。
そしてこれが、私が少しだけ織らせてもらった反物です↓
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            *

これまでの人生で、私はただの一度も機というものに触ったことがなく、今回が全く初めての機織り体験でした。
実感したことは、手織りの機というのは、本当に少しずつしか進まないのだなということ。一目一目、人が機を動かして少しずつ少しずつ布が出来上がって行く。何か奇跡のような気持ちさえして来ました。ああ、本当に、着物を大切に着なきゃいけない!この文化をなくしてはいけない!そんな風な、どこか泣きそうな思いに突き動かされた私なのでした。

会館では村山大島紬の販売もしていて、「わー今はこんなにスタイリッシュな文様や色がいっぱいあるのだなー!」と全部買い占めたくなってしまいます。
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私は、洋服の文様をそのまま着物の反物に載せただけの着物というのはどうも好きになれないのですが、これらは古典文様に現代感覚を加えたもので、どれもとても素敵だと思います。

そしてつい一反買ってしまいました!
じゃん!紬らしい鳥と花の伝統絣文様ですが、色合いや配置で現代的な感覚を醸し出しています。
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数か所難がある部分があり、市場には出せないお品とのことで、受講者特別優待、何と1万円で購入出来ました。信じられません!!!
もちろん難の部分は仕立てのときに見えない部分に使ってもらうよう指示したいと思います。単衣に仕立てて、来年の初夏と初秋にデビュー。きゃー!

一緒に受講していた方が仰った一言。
「村山大島って、名前が良くないんじゃないかな?だって、何だか大島の二番手、みたいなかんじでしょ。だけど、こんなに素敵な紬なんだもん、堂々と、“村山紬”でいいんだよね!」
確かにその通りだなと思いました。
多摩の人間として、私が育った土地にこんな素晴らしい紬があることを誇りに思います。これからも頑張ってお仕事をして、村山紬を買い集めたい…そんな“働く動機”があってもいいですよね!


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