西端真矢

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道明の新ビル完成内覧会へ、道明の新作帯〆を締めて 2016/02/07



先週金曜日、上野池之端の「道明」の新ビル完成内覧会に、「美しいキモノ」の富川編集長とお伺いしました。
え?道明、移転したの?と驚く方もいらっしゃるかもしれませんが、移転ではなく、以前からの池之端の店舗の場所に、新しいビルが建ったものです。
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以前の店舗は木造でしたが、今度のビルはコンクリート打ちっぱなしの5階建て。けれどドアに木材が使われていたり、壁面が木材に見えるように加工されていたりするので、人工的な印象はありません。和モダンのビルと言ったら良いでしょうか。このビルのデザイン設計は、昨年当代を継がれるまでは建築家として活躍されていた、現社長の道明葵一郎さんが、お友だちの建築家の方と担当されたものだということです。自分のビルを自分で設計してしまうなんてすごいですね‥!

さて、きものファンなら気になるのは、売り場はどうなったの?ということだと思います。道明と言えば、あの、畳敷きの台の上の漆の盆に、ずらりと並んだ色とりどりの帯〆‥あそこで買うことが楽しいの!という方もたくさんいらっしゃると思います。
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ご安心下さい!上の写真の通り、売り場は昔とほぼ全く同じ。帯〆の向こうに番頭さんたちが座って、あれこれお話ししながら購入する座売りの形式です。あー良かった!

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↑当日は、葵一郎社長のご挨拶、そして、鏡開きがありました。
お酒は、奥様のえりさんのご親戚の酒造が作られているという、「葵天下」。葵一郎さんの「葵」の字の付くお酒をたまたま造っていらっしゃったのだとのことで、やっぱりご縁があったのですね。何ともこの日にふさわしく、そして美味しいお酒でございました。

私がいつも大変大変お世話になっている、会長夫人であり染織史研究家であられる道明三保子先生ともぱちり♡
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先生が大好きなので、お会い出来るだけでウキウキしてしまいます♪

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↑葵一郎さんとも。紋付き袴がお似合いでした。(えり若奥様とも撮ったのですが、私の着付けがいま一つの映りなのでここではアップせず‥ごめんなさい)
そして、葵一郎社長のお話をお伺いすると、今度のビルには道明の「作ること」への思いがぎっしりと詰まっているのだということがよく分かりました。
1階にお店が入っているこのビル。4階には、糸を染めるための染色室が作られていました。そして2階には「へ切り」という、糸を組紐の台に掛ける前に整える作業をする部屋が作られ、3階には実際に組むための組紐台と、事務スペースが置かれています。
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(↑内覧会の日は、3階で2台の実演が行われていました)
道明では、2カ月に一度新作を出されるとのことなのですが、社員の皆さんでわいわいと話し合いながら組みや配色を決めるその打ち合わせの時に、「じゃあ、その色、今ちょっと染めてみようか」「柄を組んでみよう」と、同じ建物の中で機動力良く作業を進める。謂わばこのビル全体が組紐を作るための一つの機械のような場所であることを目指して設計されたとのことでした。
更に5階にはギャラリースペースがあり、年に何度かは、組紐に関する展示を行うことも考えられているとのこと。楽しみですね。
この日も、これまでに道明が復元に携わった、中尊寺組、亀甲組など、歴史的な組紐の展示が行われていました↓
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↑また、道明のお品の素晴らしさを支える手染めの美しい糸がしまわれている棚も、こんなに美しく…

しかもしかも、何と5階の上にはさらにロフトスペースがあり、そこが茶室になっているのです↓
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こちらの茶室もイベントなどに活用されながら、組紐ファンを拡大されて行くのかな、と今後の展開が大変楽しみです。

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ところで、私、この記念すべき新ビル内覧会にささやかながらお祝いの意を示すべく、道明の新しい帯〆を締めて伺おう!と思いつきました。毎回、新作が出るとご案内を頂く葉書型のカラー写真カタログを1枚1枚大切に保存しているのですが、何しろお高いですから、そういつもいつも購入出来ません。
でも、今回は、もう心が決まっていました。下の写真をご覧ください。12月に発表になったばかりの道明の最も新しいシリーズから、「御岳組 蘇芳暈」。御岳組でありながら金糸をつづら折りにあしらって、二本を合わせるとまるで亀甲組のように亀甲柄が出るという面白い一本です。
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大古典の亀甲柄をばらした形で、しかも御岳組で表現するという独創的なデザインに加えて¥、この色合い!どこか色気ただよう江戸紫のようなバイオレット色からペパーミントグリーンへと、金糸を通しながら変わって行くこの配色に、「もう、私、この子がほしい!」と一目惚れしてしまいました。こういった、古典でありながら現代的であるお品に、本当に弱いんです(*’▽’)

当日は、「とにかくこの帯〆が目立つコーディネイトを」と考え、きものと帯は極力シンプルに抑えました↓
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きものは、渡辺雪三郎さんデザインの「雪三郎きもの」の訪問着。雪三郎さんが光琳の絵画からインスピレーションを得たデザインということで、「紅白梅図屏風」の、あの水の表現などが思い浮かびますよね。
私の母は美術史学者で、琳派を専門に研究しています。昨年の琳派四百年に際して、このきものを記念に購入したものを貸してもらいました。シンプルで緊張感ある素晴らしいデザイン。ドレスきものの感覚で、これからも大切に着て行きたい一枚です。
そして、この日はシンプルなコーディネイトにまとめてみましたが、この帯〆にはとにかく力があるので、にぎにぎしい帯に合わせてもとても引き立つと思います。また違ったコーディネイトを考えるのが楽しみです♪

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この日は、新ビルから徒歩2分程の別会場で、道明が洋装ファッションに向けて送る別ライン、「DOMYO」ブランドの新作展示も行われていました。
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組紐の技術をハイファッションに落とし込んだ「DOMYO」のカフスボタン、イアリング、蝶ネクタイ。イアリングやカフスボタンは、よく見ると違った組を合わせて作っていることがお分かり頂けるでしょうか。縁の部分が奈良組、本体部分が高麗組になっています。何とも凝ったお品でありながら、そんな講釈不要のカッティングエッジなデザイン。「DOMYO」ラインも、とても素敵です
こちらの展示は、11日まで。道明の新ビル店舗ももう普通に営業が始まっていますので、併せてご覧頂くと楽しいかと思います。

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きもの業界やその他の業界の方‥たくさんの方とのお話も楽しかったこの日の内覧会。
道明様の更なるご発展を、心よりお祈り申し上げます!


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