西端真矢

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個性的なしゃれの訪問着で、「日本刺繍紅会 東京展」へ 2016/03/30



今日は都内で複数の用事があり、きもので外出しました。途中、「日本刺繍 紅会」の東京展(銀座メルサ2の7階の東京美術画廊にて・4月3日まで開催・入場無料)に伺った際のレポートをお届けします。

四十年の歴史を持つ「日本刺繍 紅会」は、千葉に本部と工房を置いて注文制作を受けるのと同時に、東京、名古屋、大阪、千葉に教室があり、多くの方が真剣に刺繍を学ばれていらっしゃいます。十年以上習われている方が半分ほど、更に学ばれている方も多くいらっしゃるとのことで、最高齢には八十代の方も。刺繍にはそれだけ人を惹きつける魅力があるのでしょうね。そんな会員の皆さんの作品群を拝見しました。
会場入口で、副会長の高橋信枝先生と、パチリ↓
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高橋先生の帯も、もちろん刺繍作品です。今日の作品はご自分のものではなく、紅会工房作とのこと。能衣装から採った古典画題が、くっきりと精緻に刺繍されていまて、ああ、ため息‥
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会場内は、このように、たくさんの作品が展示されています。(以下の写真は総て、紅会本部様の許可を得て撮影しています)↓
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着物や帯だけではなく、額装や衝立の形式で、刺繍作品として展示されている方も↓
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絵羽の裾模様に、すっきりと鳥獣戯画柄を刺繍したものもあれば↓
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江の島風景をみっちりと帯に刺繡したものも↓
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こちらの宝尽くし文様の帯では、十種類ほどの刺繍技法が使われているそうです↓
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こちらの中啓文様の作品もはんなりと素敵↓
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振袖に刺繡された精緻な花車紋様に見入ってしまいました↓
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とてもとても紹介し切れないほどたくさんの作品があるので、是非皆様ご自分の目でご覧になってみて下さい。
また、会場には、刺繡体験コーナーもあり、スーパー不器用人間である私も挑戦してみました。紅会の方が懇切丁寧に指導してくださいます↓
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こちらが私の挑戦作品なのですが(菱型のマークが打ってある花びらです)、やはりがたがたしていますね↓
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ここで挑戦されたのは、皆さん初めての方ばかりとのことですが、こうして一ひら一ひら皆さんの花びらを見て行くと、上手い人とそれほでもない人(=私も含む)との差が歴然と‥。
ただ、私の花びらだけでも分かることは、手順として、まず最初に中心の一本を刺した後、左へ向かって刺し、続いて中心から右へ向かって刺して行くのですが、短時間のうちでも、左側より右側の方がきれいに刺せていることがお分かり頂けるかと思います。
もちろん器用・不器用も左右するとは思うのですが、刺繍は根気なのだなということがぼんやりと分かった気がしました。そう言えば会場には、紅会創始者の斎藤磐氏の言葉「手は精神の出口」が掲げられていました。正にその通りなのだろうと思います。

最後に、今日のきものの写真をもう一度↓
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きものは、祖母から伝わったしゃれの訪問着。2月26日の日記と同じきものです。現代美術のような抽象柄を、裾に行くにしたがって密に描き、訪問着の絵羽付けになっています。古いきもので、腋の所に大きな染みが出ていたのですが、秋に取材で行った新潟の悉皆工房「日紋」さんに染み抜きに出したところ、完璧に消えました!嬉しい!
訪問着とは言え、遊びのある模様なので、今日は染めの名古屋帯を合わせています↓
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里山風景を描いた、祖母が染めた一本。ピンク色の花が咲いた木が描かれているので、春の帯として締めてみました。帯〆は、母が買って来た伊賀組紐で、御岳組の途中に変わりの組みを入れているもの。春らしく、淡い色合いが良いなと思って締めてみました。
「日本刺繍紅会 東京展」は4月3日まで開催とのことですので、日本の糸や布にご関心をお持ちの皆様は、ぜひ銀座散歩や歌舞伎観劇の合間にお立ち寄りになられてみてください♪


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蛍絞りの紬きもので、打ち合わせに 2016/03/21



今日のブログはきもの日記をお届けします。
先週、仕事の打ち合わせに、紬で出掛けました。
きものは、桐生「泉織物」の蛍絞り。大好きな一枚です。この日は同系色の緑系の名古屋帯を合わせてみました。
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打ち合わせの場所は都心の某所だったのですが、その時は何しろ仕事の話をしているので写真は撮影出来ず。地元の吉祥寺に帰ってから、いつもお世話になっている呉服屋さん「ふじや」さんで、半衿を求めたついでに写真を撮って頂きました。「ふじや」さん、ありがとうございます。そう言えば、このきものも、そして帯揚げと下の写真の道行も、「ふじや」さんで求めたものです↓
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帯周りはこんなかんじに↑
帯は、しょっちゅう締めている破れ七宝柄の八寸帯。八寸でちょっと軽い印象ですが、もう春も近いので良いかな、と。紺色に黄色の豆絞りの帯揚げを入れたのですが、あまり豆が目立っていないところが反省点です‥!
春が近く、着たいきものが目白押しなのですが、なかなか外出も難しく…また仕事の打ち合わせにかこつけて着ましたら、ご報告日記を上げたいと思います♪

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これから読みたい本のリスト 2016/03/15



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自宅缶詰でひたすら本の原稿を書く「原稿軟禁生活」も、はや二カ月半。
脱稿したら、国内の某地に旅行へ行きたい!友人の**さん、**さん、**さん(以下、続く)とお食事してあれこれお喋りしたい!美術館に行きたい!映画を観たい!‥などなどやりたいことを妄想しながら頑張っていますが、中でも、「好きな本を読みたい!」という願望が、このところ特に頭の中でちかちかするようになって来ました。
いや、毎日大量に本を読んではいるのです。いるのですが、今読んでいるのは、総て、今書いている本の資料となる本。その中からももちろんたくさんの学びがあって、全く無駄な時間ではないとは言うものの、やはり、気持ちのおもむくまま、自分が読みたい本を読むこととは違います。
また、そもそも私は、本を最初から最後まで通読することが好きなのですが、現状、資料として読む本は、時間との関係から必要な部分だけを読むことも多い。これが心理的に非常に大きなストレスになっています。
思い切り、好きな本を、通読したい!
日々高まる願望を、原稿の合間に…と言うより、原稿が書けない時の逃避活動として、ワードファイルに暗~く打ち込んでいたのが、冒頭の写真です。気がつけば随分たまって来て、二十六冊。小説あり、歴史関係あり、服飾史あり、政治学あり…
下にコピペしてみましたが、脱稿したらこれらの本をガンガン読書するつもりです。どれもすぐさま読みたい本なのですが、一冊目はどれにしようか。今は毎日毎日、日本に関連した本ばかりを読んでいるので、外国人が書いた、外国が舞台の本が良いかな、という気もします。そうなると、ジョセフィン・テイの「時の娘」か、ウンベルト・エーコの「前日島」でしょうか。その次はどの本を読もうか‥
ああ、この中に、あなたの興味を引く本はあるでしょうか‥?

「儒学殺人事件」小川和也
「時の娘」ジョセフィン・テイ
「『辻が花』の誕生」小山弓弦葉
小笠原強さんの論文
「前日島」ウンベルト・エーコ
「屋根裏の散歩者」江戸川乱歩
「地政学入門」曾村保信
「大原御幸」林真理子
「『汪兆銘政権』論」土屋光芳
「利休の茶会」筒井紘一
「外交官の一生」石射猪太郎
「夜の蝶」川口松太郎
「中庸」
「明治のお嬢さま」黒岩比佐子
「毛沢東」遠藤誉
「京都嫌い」井上章一
「和宮様御留」有吉佐和子
「愛国と信仰の構造」中島岳春、島薗進
「古墳とヤマト政権」白石太一郎
「戦中派不戦日記」山田風太郎
「消滅世界」村田沙耶加
「満州事変の裏面史」森克己
「落日の豊臣政権」川内将芳
「女であること」川端康成
「大久保利通と東アジア」勝田政治
「明治大正昭和 不良少女伝」平山亜佐子
「鬼の研究」馬場あき子


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「美しいキモノ」春号にて、二つの取材記事を担当しました。 2016/03/06



「美しいキモノ」春号、皆様もうお買い求めになったでしょうか?ご報告が遅れましたが、私は今号で、二つの取材記事を担当しています。
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一つは、「世界でひとつの振袖お誂え」。日本橋髙島屋さんが昨年発売した豪華福袋、何と、千總の振袖お誂えに、帯、長襦袢、小物類、更にその制作過程を見学する二回の京都旅行も付くというスペシャルなものなのですが、「美しいキモノ」では、その購入者ご家族の一年間のお誂えをの様子をレポートしていました。
今回は、その最終回。完成した振袖に、初々しいお嬢様、市川あゆみさんが袖を通し、ヘアメイク、写真館での撮影をする様子を取材しました。現在の日本の染色技術の最高峰が作り上げた振袖の様子、ゼヒご覧ください。

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もう一つは、皆様おなじみのパーティーレポート、「きものの集い拝見」。
私は日本刺繍「紅会」の全国展開開催40年記念パーティーの様子をレポートしています。
こちらのパーティーが楽しいのは、皆さんご自分で施された刺繍のきもの、帯をお召しになっていること。眼福でした。

「美しいキモノ」春号、第一特集は、紬!150スタイルもの紬スタイルが登場しています。
実は最近、紬から心が離れ気味だった私なのですが、やっぱり紬だけにしか出せない空気感ってあるなあ、と、また紬愛、復活しそうです。
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上の三枚は、その特集の中のごく一部。何しろ150スタイルですから!他に、大久保信子先生による紬に特化した着付け頁+本誌ご購入の方だけがパスワードを入れて見られるネット上の動画着付けレッスンもついています。
紬の難点は、どうしても柔らかものに比べて布が身体から離れがちで、着こなすのが難しいことだと思いますが、その点をクリアする着付けの秘訣を身につけられるのか、私もこれから動画をチェックしてみたいと思います。

もう一つの大特集、付録には、「知っておきたい染織ガイド」の小冊子が!↓
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人間国宝から今注目の作家まで、100名。これはきもの好き愛蔵版ですね。本として売り出しても良いような充実の冊子が付録にぽんと付いているなんてすごい!

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その他に、私の注目ページは、岩下尚史先生の新連載、「東都風流(あづまのてぶり)」。
名著『芸者論』『名義の夜咄』で知られ、花柳界に精通する岩下先生による、東京芸者の装いときものの流行の変遷の分析!
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長年新橋演舞場に勤務され、東京の有名どころの芸者にかわいがられて育った岩下先生にしか書けない情報が満載。これは本当に必読と思います。

‥と、その他にももう書き切れないくらい充実の内容でたった2100円の「美しいキモノ」春号、ぜひお手に取ってご覧ください!

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