西端真矢

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本を書くことになりました+その打ち合わせには結城縮み×博多の帯で 2014/09/17



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この度、東京の或る出版社様から依頼を頂いて、ノンフィクションを執筆することになりました。
…と言っても今すぐ書き始める訳ではなく、これから半年~八か月ほどかけて資料を読み込み、もちろん取材も行い、その後、半年ほどかけて、じっくりと執筆する予定です。(ですので、まだまだ他のお仕事もお受けいたしますので~‥出版社の皆様)

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依頼を下さったのは、明治時代創業の老舗出版社。
考古学や江戸民俗史を中心に、歴史・文化関連の学術書と学術雑誌を出版し続けている、日本の“知の良心”とも言える出版社です。
再来年に創業百年を迎えるに当たり、明治から平成まで、途中に太平洋戦争を挟んだ激動の日本現代史の渦の中で、数々の苦労を重ねつつ、“知の灯”を守り抜いて来た人々の波乱万丈の物語を、ノンフィクションとしてまとめて行きます。

…と、こう書くと、何だか朝ドラのあらすじみたいだと思いませんか?
実際、既に創業者一族のお話を伺い始めているのですが、ドラマの一場面に出来そうなエピソードが数々埋もれています。
特に、明治期というのは国としてもまだ若く社会制度が未発達だったこともあり、人々の行動がその日暮らしの破天荒。大学も、出版業も、考古学もおぎゃあと生れて立ち上がったばかり。試行錯誤の連続です。だからこそ、ドラマが生まれるんですね。
一方、時代が移って戦中戦後は、とにかく物資不足。出版をしようにも、そもそも紙がない。その中で創業者が亡くなり、会社としての理念が崩れ去りそうになる時、名物編集者がやって来て…やがて更に時代は移り変わってバブルを迎え…とこんなかんじです。
これから大量の資料を読み込み、人にお会いし、“ドラマ”の舞台となった地を訪ねることで、よりいっそう、物語の輪郭は明確になって来ると考えています。
今日のブログの最初に上げている写真は、出版社から我が家に送られて来た、第一弾の資料。まずはこれを読み込んだ後、日記類や関連資料を読み…長い長い準備期間が続きます。
2016年春に出版の運びとなりますので、皆さま、ゼヒお楽しみにお待ち頂ければと思います。

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そして、お着物好きの皆様には、先週、この本の打ち合わせの日に着て行ったコーディネイトを。考古学や古代史に強いこちらの出版社が手がけた埴輪人形と一緒です↓
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女流文士っぽいコーディネイトを!と思ったのですが、よく分からず普通になってしまいました…。今後、一度くらいは、“束髪風の髪型に、大正女流作家風きものコーデ”で打ち合わせに行ってみたい!
しかも写真では、蛍光灯の光のせいできものの色も帯のもようも良く出なかったので、帰宅後に床に置いて撮ってみました。
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きものは、頂きものの単衣。たとうに「結城縮み」とあり、結城縮みだと思います。蚊絣が織られています。
きものの色味が地味なので、帯は少し華やかに。ワインレッドの唐草模様博多帯に、道明のさくら色?(我が家に古くからある一本で、色の名前が分からなくなっています)の冠組で。帯揚げは香色の縮緬のものを入れていたのですが、写真に撮り忘れました。すみません。
それにしても、女流文士っぽいコーディネイトってどんなものなのでしょうか??
ちょっと研究してみたいと思いますが、アイディアがある皆さまは、ゼヒメールをくださいませ。

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これから出版までの間、やはりそれなりに生みの苦しみがあると思います。
実はこれまでにもゴーストライターとして数冊本を送り出しており、「本を一冊書き上げる」ということが、どんなにか難仕事か…そのことは、身にしみて理解しています。
もちろん、こちらのお仕事と並行して他のお仕事も受けて行きますので毎日はかなり多忙になると思われ、その間の心の動き、取材を通して思ったことなど、折に触れて書いて行きたいと思います。
皆さま、ゼヒ時々覗きにいらして下さい。
「人が一冊本を書く間に、どんなことが起こるのか、どのような心理状態を経過するのか」、そんなもう一つのノンフィクションとなるかも知れません!

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プロフェッショナルとして文章を書くということ 2014/09/14



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快晴の三連休、フェイスブックのお友だちの皆さんの楽しそうな投稿を横目に見ながら、私は原稿書きにいそしんでいます。
写真は、原稿を書く時にいつも目に入る風景。PCのすぐ横に置いている写真立てを撮ったもので、先代猫フレディの写真を入れています。
そこに貼ってあるメモに、何が書いてあるのかお分かり頂けるでしょうか?
そう、今書いている原稿の字数を、一目瞭然となるよう書き出しています。

プロフェッショナルとして文章を書くということは、すなわち、字数との闘い。
常にこの数字を横目に見ながら、何を書き、何を削るのか?同じ意味を持つ単語のうちで、どの言葉を選ぶのか?どこで改行するのが効果的か?――判断を積み重ねることになります。
そんな判断の集大成が、雑誌に掲載される文章。
プロフェッショナルとして書くということは、好きなように文章を運べるブログやSNSの投稿とは、全く違う行為なのです。

          *

字数とは、つまり、エディトリアルデザイナーが組み上げた美しいレイアウトから、必然として割り出されて来る数字。
文章のプロフェッショナルなら、そこにぴったりと収まるように書くのは当たり前のこと。更にその中で、自分らしい文体も、深みのあるメッセージも、追求しなければなりません。
楽しいお誘いを断念するのはつらいけれど、やはり“プロとして書く”というこの行為は、私にとって、人生最高の楽しみでもあるのだから――
幸い今日は昨日までのスランプを脱し、快調に言葉が紡ぎ出されています。長い夜をこのまま歩きいて行けると信じて、熱い紅茶でも淹れてみましょうか。

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「婦人画報」10月号にて、京博出品の国宝56点についての記事、執筆しました! 2014/09/02



お仕事ご報告の日記、第3弾です。
昨日発売の「婦人画報」10月号で、10ページ、担当致しました。
今回の婦人画報の第一特集は、「京都の宝」。京都国立博物館=京博で9月13日より開催される名品に次ぐ名品揃いの展覧会「京へのいざない」展と「鳥獣戯画」展を、大々的にご紹介しています。
表紙は、その、みんな大好き「鳥獣戯画」のウサギとカエルをフィーチャーした銀色で登場↓
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そして、この銀色の「婦人画報」を購入すると、中から金色の別冊が出て来るのです!
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この金色の別冊こそ、「京都の宝」特集。「え?これが付録?」とつぶやいてしまいそうなほどの充実の内容で、今回の展覧会の楽しみ方を様々な角度からご紹介しています。

その中で、私が担当したのは、「京へのいざない展出品 全国宝ガイド56」です↓
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今回の展覧会には、京博が所蔵する国宝が56点も!出品されるのですが、その全作品について、京博の精鋭学芸員の皆さんが、独自の解説や作品への愛を語る…!そんな企画です。
学芸員さんに取材したりコメント文を頂いたものに、作品解説と時代解説の要素を加え、全10ページにまとめました。
下の写真は、この原稿を執筆中の或る日、私の部屋の片隅を撮ったもの。原稿を書くに当たって使っていた資料が並んでいます↓
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この写真は、その日の仕事を終えて、夜(と言うより明け方近く)、眠る前に撮ったもの。実際に原稿を書いている時は床にばーっとこれらの資料を広げ(美術書は何せ大きいですから)、図版や解説を参照しながら書いていました。
かなり大変な仕事だったこと、お分かり頂けるでしょうか…

今回の別冊付録では、他に、とにかく老若男女、全世代に大人気(私も大好き!)の「鳥獣戯画」の全場面を一望出来る楽しいページがあったり…↓
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杉本博司さんと武者小路千家若宗匠が、出品作品についてディープな感想を述べ合う贅沢な対談があったり…
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かと思うと、京博付近の素敵なカフェやレストランガイドが8ページ、国宝が実際に床の間に掛けられている、普通“あり得ない”風景を特別に撮影したページがあったり…(これは実際に「婦人画報」を購入してご覧になって下さい!)
…と、本当に、しつこいようですが「これが付録でいいの?」という充実の内容となっています。
皆様ゼヒご購入下さい!そして京都と京博展にも行きたくなりますね♪

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福島311 原発事故で総てを失った農家が東京でコンサルタントとして復活するまで 2014/09/01



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お仕事ご報告日記、その2。唐突ですが、一つ質問をさせて下さい。
或る日、突然、自分には何の落ち度もないのにも関わらず、深く愛してやまない仕事をやめさせられることになったら…皆さんならどうするでしょうか?
311、そしてそれに続いて起こった原発事故は、福島で農業や飲食業を営んでいた方々にとって正にそのような出来事だったのだ…ということを、これからご紹介するインタビューで私は改めて思い知らされました。

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私が担当している連続インタビュー、『HAPON人インタビュー』。
3回目の今回は、日本一の売り上げを誇ったジェラート店(1日4千カップ!)とその原料となる高級牛乳を生む牧場とを、311原発事故によってあっけなく失うことになった人物にインタビューしています。

その人の名は、片平晋作さん。
けれど片平さんは福島の民芸品“起き上がりこぼし”のように、しぶとく再起を果たします。
現在の片平さんは、東京に移住。農業コンサルタントとして、全国、そしてアジアを飛び回り、人気ジェラート店時代をしのぐほどの活躍を見せていらっしゃるのです。

その根底にあるのは、″マーケティング″の視点。
およそ人が人生で経験する中で最も厳しいものであったはずの逆境を、マーケティング手法という“知恵”の力で切り拓いて行ったその生き方は、私たちに大きな勇気を与えてくれるとともに、仕事をして行く上での数々の知恵をも授けてくれそうです。
是非、インタビューをご高覧下さい。
前篇の今回は、原発事故直後から、東京進出への足掛かりをつかむまで…の軌跡をお届けします。

HAPON人インタビューvol.3:
福島3.11 すべてを失った酪農家が東京で復活するまで~~ネイチャー・シンフォニー代表 片平晋作
http://hapon.asia/shinjuku/news/post3888/

(HAPONは、東京・新宿にあるシェアオフィス。木の床、木の家具に囲まれた居心地良いスペースに、個性的な面々が拠点を構えています。「HAPON人インタビュー」ではそんなHAPONな人々の新しい働き方、仕事観に焦点を当ててお話をお聞きしています)
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