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村山大島紬作り・体験講座レポート 2011/10/18
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染め・織り・日本服飾史について奮闘勉強中の私。少し前のことになりますが、9月30日、村山大島紬の体験講座に参加して来ました。
村山大島紬とは、東京の西の北側、埼玉県との県境に近い“村山地域”で生産される絹織物の名称です。私は東京の吉祥寺育ちですから、西側・多摩地区の人間。村山大島こそ私の“郷土の布”だわー!と常々思って来ました。その体験講座が開かれるとなったら、これは参加しない手はありません。
さて、当日、武蔵村山市にある「村山織物協同組合」の会館へ。何と、こんなかわいらしいレトロな建物でした!
この建物は昭和3年の建築。村山大島が全国的に大人気を博し、売れに売れていた時代に建てられたものだということです。
ちなみに、「村山」とは、その昔、志村けんの「東村山音頭」で有名になった東村山市・武蔵村山市一帯を差す名称です。江戸時代から大正にかけての村山大島は、更に幅広い地域、埼玉側の狭山や所沢まで含んだ一帯で織られていたのだそうですが、その後、村山地域のみで作織られるようになったとのことです。
さて、建物の中に入ると、1階には村山大島の歴史や技法を学べる展示室がありました↓
その後、講座の会場である2階に上がると…機織り機がズラリ。布好きとしてはテンションが上がりまくります。
この講座は毎年秋に開かれている人気講座で、定員オーバーのため抽選。当選確率は2倍以上だったそうです。クジ運が良くてラッキーでした!
*
さて、講座は、まず染めの体験からスタート。村山大島紬で実際に使われる“板締め”の技法を簡易的に使って、絹のスカーフを染めます。
これが板締めの様子。
本来なら板と板の間に糸を挟むのですが、この講座では布を挟んで染めます↓
その後、板を藍の中につけます。藍は藍色のはずなのですが、この段階ではまだ緑色だ、というのが驚きでした↓
45分ほど経った後、藍から板を引き出しているところ。まだ緑色です↓
しかし5分程経つと、布が藍色に変わって来ていることが分かると思います。
空気に触れて酸化することで、藍色に変わる訳です↓
その後、水洗↓
そして乾かしているところ。真剣です。
この後天日干しで完全に乾かしました↓
*
お昼休憩を挟んで、午後は織りの体験が始まりました。
一人ずつ横に先生がついて、コースターを織ります。
写真で、機(はた)の横に立っているおじいさんたちが、先生。実際の村山大島の織り手さんです。機織りというと女性の仕事というイメージがありますが、村山大島は男の織り手さんもとても多いようです。皆さんとても親切で、本当に楽しい授業でした。
私も頑張って挑戦中。
この瞬間、写真を撮って頂いた方と会話を交わしていたので笑っていますが、
一瞬後には超真顔でした!↓
手元のアップがこちら。
緯糸(よこいと)を通す杼(ひ)を右手に持っています↓
参加者思い思いの柄行きに織り上がったコースターたち↓
また、コースター以外に、実際の着物反物も少しだけ体験で織らせてもらいました。
詳しい説明は省きますが、織物の文様は、機の上に乗るまでは経糸(たていと)と緯糸(よこいと)、全くばらばらに製作されています。
それが、初めて機の上で出会い、一枚の布に織り上げられて行く!
その仕組みが、実際に体験してみて初めて身にしみて理解出来ました。
そして、機の上できっちりと経と緯の文様を合わせることが、どれほど難しいのかも!
やはり何事も百聞は一見に如かず。この講座に参加してみて本当に良かった。
そしてこれが、私が少しだけ織らせてもらった反物です↓
*
これまでの人生で、私はただの一度も機というものに触ったことがなく、今回が全く初めての機織り体験でした。
実感したことは、手織りの機というのは、本当に少しずつしか進まないのだなということ。一目一目、人が機を動かして少しずつ少しずつ布が出来上がって行く。何か奇跡のような気持ちさえして来ました。ああ、本当に、着物を大切に着なきゃいけない!この文化をなくしてはいけない!そんな風な、どこか泣きそうな思いに突き動かされた私なのでした。
会館では村山大島紬の販売もしていて、「わー今はこんなにスタイリッシュな文様や色がいっぱいあるのだなー!」と全部買い占めたくなってしまいます。
私は、洋服の文様をそのまま着物の反物に載せただけの着物というのはどうも好きになれないのですが、これらは古典文様に現代感覚を加えたもので、どれもとても素敵だと思います。
そしてつい一反買ってしまいました!
じゃん!紬らしい鳥と花の伝統絣文様ですが、色合いや配置で現代的な感覚を醸し出しています。
数か所難がある部分があり、市場には出せないお品とのことで、受講者特別優待、何と1万円で購入出来ました。信じられません!!!
もちろん難の部分は仕立てのときに見えない部分に使ってもらうよう指示したいと思います。単衣に仕立てて、来年の初夏と初秋にデビュー。きゃー!
一緒に受講していた方が仰った一言。
「村山大島って、名前が良くないんじゃないかな?だって、何だか大島の二番手、みたいなかんじでしょ。だけど、こんなに素敵な紬なんだもん、堂々と、“村山紬”でいいんだよね!」
確かにその通りだなと思いました。
多摩の人間として、私が育った土地にこんな素晴らしい紬があることを誇りに思います。これからも頑張ってお仕事をして、村山紬を買い集めたい…そんな“働く動機”があってもいいですよね!
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