西端真矢

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福島直後の東京をつづった散文詩、香港のアート雑誌に掲載 2012/07/24



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香港のアート雑誌『麻雀』に、散文詩『世界の未来』が掲載されました。
日本語で書き、日本語で掲載。次ページに中国語の翻訳も掲載されていて、その翻訳の監修も私が行いました。中国語では、『世界的未来』という題に翻訳しています。

この詩は、昨年5月のはじめに書いたものです。
5月と言えば、311震災からまだ日も浅く、街を歩けば隣りを歩く人の会話から、「親戚が津波に巻き込まれて…」といったつらいフレーズが聞こえて来たり、金町の浄水所から放射性物質が検出されたことを受けて、毎日、自分の住む武蔵野市水道局の放射性物質検査結果をチェックしなければならなかったり、スーパーの棚から生理ナプキンや水のペットボトルが一瞬のうちに消えて、やっと少し回復して来たような…そんな、混乱が続いていたあの苦しい日々です。
今読むとつらくなるので、実は掲載誌をまだ読み返せていません。

そして、実は、本誌は執筆・入稿からすぐに――昨年7月頃に発行の予定だったのですが、印刷資金調達で問題が生じたため、約1年伸びた、という経緯があります。もしも今依頼が来たら、また違った内容の詩を書くと思いますが、一つの記録として、入稿時そのままの原稿を掲載しています。
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『麻雀』は、ドキュメンタリー写真をメインに構成される、不定期発行のインディペンダント・アート雑誌です。参加メンバーは全員香港人で、香港で発行されています。
台湾と同様、香港も親日派が多く、311で日本が負った傷の深さに胸を痛めた『麻雀』の参加メンバーたちは、チャリティの写真展を企画。そして、『麻雀』で「日本特集号」を発行することを決意してくれました。
私は、『麻雀』メンバーのドキュメンタリー・フォトグラファー・岑允逸(Dustin Shum)と以前から親交があり、今回の「日本特集号」の企画が持ち上がった時、彼の写真+私の文章でページを作ろう、という提案をもらいました。長年の友人と作品作りが出来たことを嬉しく思うと同時に、このような未曾有の災害がそのきっかけになったことを心から悲しく思います。

私の作品の題『世界の未来』は、現在、福島事故の災禍にもだえる日本の苦しみを、中にいる人間の苦しみとして語りかけると同時に、世界各国で原発が増設される現在、必ず、また事故は起こること――人間、というこの不完全な存在を全く信頼出来ない私は、必ず事故が起こると予言せざるを得ません――その時、その、未来のX国で、Y国で、起こる苦しみを、そう、世界の未来を、現在、私たち日本人はこの身に浴びて生きている、ということを述べています。
この私の詩の内容と呼応するように、岑允逸(Dustin Shum)は『世界之過去』と題し、311以前に来日して撮影した日本の日常風景を映した写真を掲載しています。

他に、香港の新聞社の特派写真家として来日し、311の被災地を撮影した余偉建(Vincent Yu)の作品、311以前より新潟在住の黄勤帯(Wong Kan Tai)の、震災前の東北を写した写真作品、国際教養大学(新潟県)准教授・黎加路(Carol Lai)のエッセイ、やはり震災前の東北を撮った楊徳銘(Paul Yeung)と趙嘉栄(Karl Chiu)の写真作品が掲載されています。
ご興味のある方は、下記のURLから是非ご購入下さい。

最後に…一言一句に注文を出す私の神経症的な翻訳指示に粘り強く対応を頂いた、中国語翻訳者の汪次麗さん(彼女は香港人ではなく、中国大陸在住)に、心からの感謝を捧げます。

<asiaonebooks ここからネット購入可能です>
http://www.asiaonebooks.com/productDetails.php?&bookID=00000257
<『麻雀』のFacebookページ>
https://www.facebook.com/groups/191089824916/

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