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「婦人画報ウェブ」連載「四季の間の折節 千宗屋のしつらえ12か月」弥生のしつらえがアップデートされました。 2021/03/19
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ウェブ版「婦人画報」の連載「四季の間の折節 千宗屋のしつらえ12か月」。武者小路千家家元後嗣 千宗屋さんのお話を私がまとめています。
弥生三月、千さんがお床にかけたのは、雛の絵のお軸。江戸琳派最後の世代の一人、田中抱二の手によるものです。そしてその前に置いた花入は、人間国宝荒川豊蔵による、古染付写し。
千さんは大学で日本美術史を専攻されて修士号を持ち、常に、学者の目と茶人の目、二つの見方を織り交ぜながらしつらえを語ってくださるのがこの連載の読みどころです。何故、抱二に豊蔵なのか――千さんの意図を本文からお楽しみください。
https://www.fujingaho.jp/lifestyle/tea-flower/a35788320/sen-sooku-shikinoma-siturae-210314/
そして、本来の旧暦では、桃の節句はまだずいぶん先のこと。現在の太陽暦の四月半ばに迎えます。旧暦に沿って行事ごとの意味を噛みしめることの大切さにも思いを馳せながら、凛とした今月のしつらえを味わっていただければと思います。
(画像は当該ページのキャプチャーから)
「婦人画報」4月号にて、小池百合子知事×冨永愛さんが“メイドイン東京プロダクト”を語る対談を取材しました。 2021/03/13
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発売中の「婦人画報」4月号にて、小池百合子都知事とモデルの冨永愛さんの対談を取材執筆しました。
連日のコロナ対応で多忙極まる小池知事ですが、しかし、もちろん、知事の仕事はコロナ対策に限定されるものではありません。
前回の任期より特に力を入れて取り組んで来たという、「江戸東京きらりプロジェクト」。
モダンデザインの江戸切子、刀の鍔の細工から生まれた特別なジュエリー、江戸小紋柄のストール、10センチハイヒールとして履けるスタイリッシュな草履、チューブ型の江戸菓子、希少な“江戸酵母”から生まれる日本酒などなど、ファッションからフードまで、百年以上続く東京の老舗が生み出す逸品、それも、現代の暮らしに寄り添う使用法や新しいデザインを備えたプロダクトを選出し、言わば“都のお墨つき”でプロモートしています。
コロナ以前は、積極的に海外でプロモーションを行い、成果を挙げていたのですが、残念ながら現在は、海外展開は少し歩をゆるめるしかありません。
そこで、国内の方に改めてこの魅力的な東京プロダクトを知って頂き、そして購入して頂こうと、新たなプロモーションを開始。その皮切りとして、世界と日本を行き来して活躍する冨永愛さんと知事との対談が実現しました。
私も長くこの仕事をしていますが、SPに守られながらインタビューをするのは初めての体験。コロナで打撃を受けているのは老舗の方たちも同じなのだ、少しでもお役に立てるように、と、心を込めて取材、執筆に臨みました。森山雅智さんによる、美しくも温かく楽しい現場の空気を伝える写真とともに、ぜひご高覧ください。
コロナ禍の暮らしの中に生まれた新しい小さなものたち 2021/03/04
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最近、ふと部屋を見回すと、1年前には存在していなかった“小さなもの”が増えていることに気づいた。すべて、この1年のコロナ禍に対処するために、自然発生的に作り出していた小さな工夫の産物で、たぶん、小さなことだけに、コロナが収束したらあっという間に片づけて消えてしまうのではないかと思う。そして、忘れてしまうのではないかと思った。
だから、記録してみたい。歴史好きとしては、民衆が未曽有の事態をどう生きたかの記録を残すべきだ、という考えもある。
↑さて、まず一つめは、こちらのおもちゃのアイスクリームのような小物。何だか分かる方はいらっしゃるだろうか?
↑ふだんはこんな風に部屋に置いて使っている。私の部屋は、玄関を入ってすぐ右横の場所にあり、そのドアを開けたすぐ足元に、マグカップに立てて置いている。
正解は‥
電気のスイッチ押し機!
(ポケットから道具を取り出したドラえもん風に)
↑こちら、柄の部分を見て頂くと、「マルゴット・シュミット」というブランド名が入っている。私は知らなかったのだけれど、ネットで調べると、ドイツのブラシ会社らしい。通販好きの母が認知症発症以前に購入していたもので、馬の毛を使ったボリュームアップ効果抜群のカーラーを、それも何種類も、用途によって銀色の棒の部分に付け替えて使う。
‥しかし、私はそういうことが面倒なので断捨離しようかと思っていたら、コロナ生活に役に立つじゃない!と雷に打たれたように気づいたのだった。
そう、コロナ禍の今、外出から帰って来たらまずしなければならないのは手洗いだ。しかし、夕方以降に帰宅すると、とにかく家の中が暗い。だから手洗いの前に電気のスイッチを押さなければ、洗面所にうまく直行出来ない。しかし、コロナに汚染されている‥かもしれない手でスイッチを押せば、スイッチが感染源になってしまう可能性がある、という理屈は、この一年で全国どなたも身に染みているだろう。
そこで、この“元ブラシの柄”ちゃんを使う。この子をドアのすぐ横の場所に立てておき、帰宅して部屋に入る際にさっとつかんで柄の先の銀の棒状部分で押せば、明かりはつくし、スイッチも汚染されない。しかも、手で押した場合に必要な消毒の手間も省けるのだ。
しかし、私は性格は武士的にきっぱりしているものの乙女かわいい心満載な方なので、棒状部分のむき出しの状態がどうも落ち着かない。そこで草木染のハンカチを巻いてみることにした。黒×ミントで、何だかチョコミントアイスみたい。きゃーかわいい!ということで、かなり気に入った小物になった。
ちなみに私の部屋の洗面所の蛇口は押し上げ式なので、この子で押し上げることも出来る。お家に「マルゴット・シュミット」の柄がなくても、例えばドライバーで同じように代用出来るはずなので、スイッチの消毒に飽き飽きしている皆さんはぜひお試しください!
そして次は、こちら↓
本棚に下がった謎のフック。こちらは、こんな風に使っている↓
じゃーん、「マスク掛け」!
我が家では、母が認知症だけではなく肺がんも患っているため、感染させたら、即、死。そのため、家の中でも、母の部屋に行く時はマスクをしなければらならない。しかし、さすがに一回ごとに使い捨てるのはもったいないので、一日一枚使用、と決めている(外出時のマスクはまた別)。このマスクをどこに置くか、が悩ましかった。
そこで思いついたのが、「S字フック」を使うこと。S字フックは、もう、羅針盤に匹敵する一大発明、と個人的には思っている大好きアイテムで、どっさり持っている。
中でも、吉祥寺に山ほどあるおしゃれ雑貨店のどこかではるか昔に買った焦げ茶色ツヤ消し仕上げのS字フックに、ちょっと高級なリボンを巻いてみると、インテリアを壊すこともなく、しかもマスクの内側面はどこにも触らず、清潔をキープ。どうでしょう?こちらも著作権フリーなので、家でもマスクをしなければならない事情のある皆さんは、じゃんじゃん真似してください。
それにしても、万事マスク着用でなければ外出もままならぬ世の中。
何と言ってもこの一年で一番買ったものと言えば、マスクだと思う。一時期まったく購入出来なかったあの頃の焦燥感が染みついているため、常に多めに買って、洗面所の棚にこのようにストックしている。さらにここの他にもまだ数箱蓄えている。
コロナ前は、この写真の棚の中央に、籐の箱を置いていた。それがいつしか左側に寄せられ、マスクの箱を置くようになった。自分では、いつからこうし始めたのか覚えていないけれど、これもコロナ生活の一つの風景だと思う。
*
さて、買い物から帰宅したら、買ったものを一旦どこかに仮置きして、消毒すべきものは消毒、その後、使用したり本格的に収納したりする。これもコロナ生活での新生活習慣になった。
↑私の部屋では、上の写真のように、もはや骨董の部類の古い踏み台を“一旦置き場“に使い、その後‥
↑“消毒しないグループ”に仕分けた食べ物は、こちらの別の籠に仕訳けるようにしている。いざ食べる時は手で開封し、中身をお皿などに移し、手の方を洗えば感染のリスクはない。ただ、手を洗い過ぎて指先が荒れて来たりもするため、薄手ビニール手袋をして開封することもある。そのビニール手袋を‥
↑こんな風に、また別の籠に入れて台所の片隅に床置きしている。
この籠は、近所の東急百貨店の催事で母が買い物をした時に、おまけでもらって来たもの。本来は花生けなのだけれど、こうして使うのにぴったりの大きさだと気づき、目的外使用することにした。
実は、最初は、手袋を布のバッグに入れて壁にかけていた。でも、布だと強度がないため、ふわふわ軽いビニール手袋が中に沈んでいってしまうことも多い。籠なら、使用後にさっと素早く手を抜き取れば、手袋はセミの抜け殻のように元の形を保って放置出来る。次に使う時は、差し入れ口の端に少し手を添えるだけですっと入れることも出来る。非常に便利で気に入った使い方になった。
*
コロナ生活と言えば、毎日こまめに検温をするようになった方も多いのではないだろうか。私もその一人で、しかも手持ちの体温計がかなり古いものだったため、途中で最新のものに買い直すことにした。ところが‥
↑上が、自分用に買い直したもの。下が、父のために買ったもの。
父は、元祖父母の家だった、同じ敷地内の離れで主に居住しているため、もう一本必要だろうと買って来た‥が、“妻や娘が良かれと渡したものを決して使わない男”として有名なわが父。今回もまた使わないかもねー、と思っていたらやはり使おうとしないため、結局、私が二本使いすることに。‥すると、珍事が発生したのだ。写真で温度の部分を見て頂くと分かるのだが、同じオムロン製であるにも関わらず、毎回常に約1度の差がある!
これにはなかなか当惑させられる。1度の差はかなり大きいのではないだろうか?と言っても、考えても理由も分からないし結果も変わらないため、今では間を取って、「真ん中の値が今の体温」と思うことにしている。
そんなコロナ生活も悪いことばかりでもない。
多くのカルチャーセンターがオンライン講座を始めたのは、仕事の取材や締め切りの日程が常に不定期で、決まった曜日の講座に通いにくい私には嬉しい変化だった。
早速、武蔵野大学サテライト教室の講座に申し込むことにした。前から勉強したかった「論語を読む」を受講。生ではなく録画配信のため質問は出来ないけれど、その分、すき間時間に少しずつ勉強出来るのが、とてつもなく勝手がいい。しかも大学レベルの先生方の授業が聞けるのだから、こんないいことはないと思う。コロナが終わっても、各校、ぜひ配信授業は続けてほしいと願っている。
もう一つ、コロナで始めた新しいことは、昼間にゆっくりお茶を飲むこと。夜型の私は原稿は夜に書き、その前に、まず抹茶を点て、上生菓子を一つ頂く、というのを仕事前の儀式のようにしているのだけれど、コロナで家にいる時間が増えた分、昼にもお茶を飲みたいと思うようになった。
↑そこで、こんな風に、簡易な“昼お茶”セットで和室で、庭を眺めながら点てるようになった。
茶の湯各流儀の“盆略点前”よりさらに簡単、かつ自己流の、自分のための一揃い。
釜で沸かすと後の片づけが大変なため、南部鉄瓶で代用。ガスコンロで沸かしたものをそのまま持って来る。水指はなし。茶巾で拭く、ということもしない。写真には写っていないけれど、建水は左に置いて使っている。
そして、お茶だけは、購入したそのままの缶ではどうもやっつけ感が出て美意識的に許容出来ないため、棗に移して。ちょうど父の知り合いの方から頂いた、木地に金で七宝模様が象嵌されたとても品の良いものがあるので、もっぱらこれを愛用している。
こうして、省略出来るところは全部省略して、簡単に、気楽に。そうすれば長く続けられる。
↑ちなみに、知りたい方もいらっしゃると思うので、この写真の日の梅の絵柄の茶碗は、十四代沈壽官による薩摩焼。お菓子は阿佐ヶ谷「うさぎや」の鶯の練り切り。梅に鶯の組み合わせで頂きながら、庭の梅の木のつぼみから開花までを眺めて過ごした。
まだしばらくは続くだろう忍耐の日々を、小さな工夫とともに乗り切っていきたいと思う。
クロワッサン「着物の時間」 料理研究家の牛尾理恵さんの着物物語を取材しました。 2021/03/02
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マガジンハウス「クロワッサン」の連載「着物の時間」。
今月は、この連載らしからぬ内容。着物と帯を一組だけ残して断捨離してしまった、という方の着物物語です。
取材したのは、牛尾理恵さん。次々とヒットレシピ本を送り出す人気料理研究家ですが、片づけの名手としても知られ、断捨離特集や部屋の整理特集によく登場しています。この日の取材もご自宅兼スタジオで行ったのですが、スタッフ一同、その無駄なもののなさっぷりに驚嘆。まるでギャラリーのようなのです‥と、そんな牛尾さんが、昨年の自粛期間中に、いさぎよく99パーセントの着物を手放した、その経緯と、現在のミニマル着物生活についてお聞きしています。ぜひご高覧ください。