西端真矢

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キラキラ系SNSとどんより系SNSと、そして。 2019/03/27



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一か月ほど前、母の介護についてブログを書いた。
決して明るいとは言えない内容で、これまで私はブログにネガティブな話題はあまり書かなずに来たので、真矢さんどうしちゃったの?と批判的に受け取られるかなと思っていたけれど、個別にメールをくださる方がいたり、FBの方からコメント欄にご自分の介護体験や介護論のようなことを書いてくださる方がいたり、また、「気分転換に」との温かい思いを込めて、お茶やお菓子など心遣いの品を送って来てくださった方もいた。

SNSが生活の中に根づいてから、15年ほど経っただろうか。
そのほとんどの投稿は、ざっくり言えば、“キラキラ系”と“どんより系”に大別されるのではないかと思う。(他に“意見主張系”もあるけれど、今日は採り上げないでおく)
キラキラ系とはもちろん、“インスタ映え”に代表される、素敵で前向きな私の日常をつづるもので、どんより系は、その反対に、自身のネガティブな世界観や、脱け出そうにも脱け出せない状況(ブラック職場、束縛家族などなど)に対する呪詛の念をつづる‥などということは、わざわざ書く間でもなく、誰もが日々暗黙裡に認知していることだろう。

基本的には、読む人の心を暗くし、また、うんざりもさせるどんより投稿は控えるのが大人の分別というものではあるけれど、とは言え、毎度毎度のポジティブ充実素敵な私の毎日キラキラ投稿に、おつき合いで「いいね!」など押しつつ、なわけねーだろ、うそくさ!と誰もがげんなりしているのが、この2019年、SNSが日々の暮らしのインフラストラクチャーとさえなった現在の実情ではないかと思う。

当然のことながら、人生365日1日24時間5年10年15年、毎日ハッピーキラキラ前向き・建設的・道徳的に生きられる訳もなく、程度の差はあれ、誰の人生も山あり谷ありだろう。
そんな中で、まがりなりにも私は人様の話を聞きに行き、文章を書くことでお金を得ているのだから、自分の投稿もそういう人生の真実に近づいていなければ恥ずかしいことだと思う。

だから、時々見かけるように、介護につきもののネガティブな側面は一切書かないのが美学と決め込み、たとえば、今日、桜が咲いた。母を車椅子に乗せて近所を散歩。幼い日、その母と見た桜の記憶がよみがえりどうたらこうたら‥といったきれいにまとめ感動系の介護投稿や、養護施設にいる親を時々訪ねるだけで実際のシモの世話は全部人に任せている、という事実は忘れたふりをして、私を産み育ててくれた母が今は子どもに帰った姿を見て、涙があふれる、そしてこれまでの母に感謝、的な、やはりきれいにまとめ感動系介護投稿は、そういう嘘は、書きたくない、と思う。
(注・親を介護施設に入居させること自体を非難している訳では、もちろん、ない。私もいずれはそうすることになると思っている)

かと言って、もちろん、ただ何の芸もなく、ひたすらどんより真っ暗な投稿を投下することも、文章を仕事にしている人間がするべき所為ではないだろう。
自分を冷たく見つめる客観性と、少しのユーモアと。この職業についている以上、そのような矜持を保ちつつ、毎日の泣き笑いを伝えられるように心がけていきたいと思っている。つまりは、“人生ぼちぼち系投稿”ということになるだろうか。良かったらこれからもおつき合いください。
          *
そんなぼちぼちなこの頃の近況を――皆様からご心配の声も頂くので――ご報告すると、まず、その母は、持病の発作から併発した肺炎を、無事、2週間ほどの入院で完治。今は家に戻って来ている。
もちろん、普通ならおめでたさ100パーセントのはずの退院という出来事が、家族にとってはそうとも言えないのが介護の悲しいところだ。
毎日毎回の食事の手配から始まり、薬を間違いなく飲ませること、2週間に一度ほどの病院付き添い、トイレ関係の失敗処理などなどなどなど、読みたい本、行きたい展覧会、そして、ただ静かにぼーっと過ごす時間。そういった自分の人生の時間を削って、母の世話に充てている。

それでも、私も父も、もう介護が日常に溶け込んだこの毎日に心が順応して、お互いのスケジュールを調整し合いながら、つまりは父が出かける日は私が、私が出かける日は父が家に、というように交代制にして、仕事、そしてそれぞれの社交ライフも、若干ペースは落としながらも楽しむようにしている。すべてを介護にそそぐ、というようなやり方は、かえってストレスがつのり止めた方が賢明だろう。

だからこの1カ月ほどの間に、もちろん楽しいことだってちらほらとあった。
たとえば或る日は茨城の山里へ、漆の林を取材に出かけたり(写真上左)、関わっている社団法人の1周年記念で、理事長が会席をご馳走してくださり、筍のしんじょが絶品だったり(写真上中)、猫のチャミに新しく専用ベッドを買ってみたところ、気に入って、私が仕事をしている机の下でくうくうと眠っていたり(写真上右)。猫は好き嫌いが激しく、買ってあげてもまるっきり無視、お金をどぶに捨てたあららー‥ということもしばしばあるので、これはかなり嬉しかった。

そしてそしてこの1週間ほどは、たぶん10カ月ぶりくらいだろうか、「〆切がない!」という奇跡の時がやって来た。「今日は午後、何しよう~?」などと、午後にやるべきことを、わざわざ考えなければならない。常にあわただしく〆切、〆切に追われる毎日だったので、本当に何やら夢の中のような心地がした。(今はもう新たな〆切が来ていますが‥)

それで何をしたかと言えば、不器用No.1のくせに布製携帯カバーを手作りしてみたり(写真下中)、認知症のせいもあってまったく片づけの出来なくなった母に代わり、開かずの間の整理を始めてみたら、かわいい鎌倉彫の硯箱を発見してほくほくしたり(写真下左)。
本当は、その硯箱を脇に置きつつ稽古している書も、それこそドヤ顔キラキラ系にお見せしたいところだけれど、下手過ぎて出せなかったり(写真ナシ)。
そして、母がついている杖は、これも認知症のせいなのだろうか、どうも上手く使いこなせず落としてばかりで、持ち手の塗装がはがれてしまっているのが悲しくて(写真下右)。
こうしてぼちぼちと過ぎていく春のはじめ。プレーヤーにかける音楽はもちろん、電気グルーヴの「SHANGRI-LA」。頑張れ卓球!人生は続いていく。

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「婦人画報」4月号にて、戸田菜穂さんとアトリエシムラへ+組紐の新しい可能性 2019/03/18



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発売中の「婦人画報」4月号にて、2企画を担当しました。
今号の「婦人画報」は、「日本を贈る」大特集。日本が誇るべき技術や素材、体験を贈る、という切り口で、布や食材、雑貨や工具まで様々な優れたmade in Japanを紹介しています。
          *   
その中で私が担当したのは、まず、「体験を贈る」の章から、日本を代表する染織作家である志村ふくみさんのアトリエにて、「糸染めと機織りを体験する」ワークショップをレポートしました。
案内人を務めてくださったのは、東京・成城の「アトリエシムラ」代表の志村昌司さん。志村ふくみさんの孫に当たり、上の写真で、志村家の素晴らしい藍染のお着物をお召しの男性です。
そして、ワークショップを体験したのは、女優の戸田菜穂さん。季節の木々から色を頂き、自らの手でその糸を織る。そして出来上がった布は‥?ぜひページからお楽しみください。
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もう一つ担当したのは、日本の伝統的手仕事の一つ「組紐」についてのコラムです。
世界を見渡してみても、日本ほど数多くの組法を開発し、且つ、その色調にもこだわたって独自の美を築きあげている民族はありません。その組紐の構造が、飛行機のジェットエンジンや最新のゴルフシャフト、自動車の躯体に応用されているのをご存知でしょうか?
コラムでは、そんな、伝統技術の最新応用についてまとめました。池之端「道明」の、格調高い伝統系柄の帯締めの写真とともにご覧ください。

「婦人画報」4月号は、全国の書店、ウェブショップ、インターネット版で発売中。付録には編集部厳選のお取り寄せ逸品カタログもついています。ぜひご高覧下さい!

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「クロワッサン」誌にて、若き日本舞踊家・藤間蘭翔さんの着物物語を取材しました。 2019/03/05



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マガジンハウス「クロワッサン」の連載「着物の時間」、今月は若き日本舞踊家、藤間蘭翔さんを取材しました。

この仕事をしていると、何かとあちらこちらから日本文化に関する情報が入って来ますが、いつの頃からか、日本舞踊の若手ならこの人、と蘭翔さんの名を耳にするようになりました。
もちろん、日本舞踊と言えば、演目の内容を衣裳で表現することもあるなど、着物とは切っても切れぬ関係。ぜひ取材したいと申し込んで実現したのが、今回のページです。
舞台の上の着物と、稽古の着物、そして、少し改まった場所に出る日の着物。日本舞踊の聖地・国立劇場でロケを敢行!さてさて、三十代の舞踊家は、一体どんな視点と感性で着物を選んでいるのか‥‥ぜひご高覧下さい。

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