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© 2011 Maya Nishihata
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銀座もとじに蚕3千頭がやって来た!+伊達政宗展+歌舞伎座な一日 2016/09/23
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雑誌のお仕事を一本校了、一本入稿して天下泰平なこの頃。一昨日は、日本橋と銀座で3カ所を回って休日を満喫しました。もちろんきもので出掛けます。
1カ所目は、日本橋の三井記念美術館。開催中の「瑞巌寺と伊達政宗展」を見に伺いました。
目的は、有名な伊達政宗の甲冑と、服飾史的に貴重な江戸初期の帯だったのですが、瑞巌寺の本堂を飾っている江戸初期の「松孔雀図」の襖絵(15メートルくらいある大きなものです)に、激しく心を奪われました。
その他にも、33年に一度しか開帳されない秘仏の不動明王像が特別に出品されていたり、お寺の壁から取り外して来たのでしょう、欄間をずらっとそのまま持って来ていて驚かされる、江戸時代のその欄間の彫り師の技術がまた超絶にすごかったり。そして、伊達政宗が、字も上手ければ絵もこなし和歌がまたとてつもなく素晴らしい‥と、本当に何でも出来る英雄だったのだなと感動したりしていると1時間半ほどかかり、すっかり疲れてしまったので付属のカフェに入りました。
↑この展覧会期間中、「政宗デザートセット」なるものがあるそうなので、早速注文。
政宗の有名な弦月の兜を模したアイスクリーム、伊達巻のロールケーキ(伊達巻は政宗がこうぶつだったためこの名がついたそうです)、そして、政宗が開発したとされるずんだ餅も、もちろん!
三井記念美術館に限らず、最近はどこの美術館・博物館も、展示内容とからめてこういった趣向をこらしていて素晴らしいなと思います。作品を見るだけではなく、美術館へ出掛けることが楽しくなるというものですよね。
*
そして2軒目に伺ったのは、銀座四丁目の、「銀座もとじ 大島紬」。
最近、雑誌のお仕事でもとじさんのある活動を採り上げた際に、プレスの方とやり取りをしていたのですが、「今、店にそのまま蚕の飼育場を移動したイベントをやっているんですよ」とご紹介を頂き、それはすごい、ぜひ見たい!と伺ったのでした。
↑そう、この四丁目の松屋の2本後ろにあるもとじの大島紬専門店を一店丸々蚕室にしてしまう、という驚異のイベントです。
店内に入ると、このように、ふだん商品を並べたりお会計をしたりする什器に蚕がびっしりと‥!↓
近づいてみると、ほとんどの蚕たちは元気いっぱいに桑の葉を食べています。しゃりしゃりしゃりしゃりと、葉を食む音が聞こえて来て、「ここは本当に銀座?」と不思議な感覚におそわれました。中には寝ているのか、首を少しもたげたまま固まっている子も(写真から探してみて下さい)。いくら見ていても飽きません。
蚕はおよそ2週間ほどで一齢から五齢へと脱皮を繰り返しますが、現在は五齢の段階。今週末には糸――つまり「絹糸」ですね――を吐いて、繭になります。今、幼虫として最大に大きくなった状態のお蚕さんが見られる期間となります。
↑「虫が怖くなければ、持ってみてもいいんですよ」とのことで、全く虫類が平気な私はつまませてもらいました。五齢のお蚕さんは、丸々と柔らかく、もっちりとした感触です。とてもかわいい!
この後、蚕たちは「上蔟(じょうぞく)」と言いますが、「マブシ」という枠の中に入り、繭を作り始めます。「銀座もとじ」二代目の泉二啓太さんが、マブシを見せて下さいました↓
蚕には上へ上へ上ろうとする性質があり、糸を吐く頃にこのマブシを上らせて移動させます。一つ一つの枠の中に蚕が一頭ずつ入り、糸を吐いて繭を作る‥その姿もぜひ見てみたいですね。
しかし、この後、蚕たちは天に召されます。上蔟から10日ほど経った頃が、糸を取るのに最適の時期。繭の中で眠っている間にぐつぐつとお湯に煮られて、訳も分からぬまま死んでゆくことになります。
いつの頃からなのでしょうか、日本では、蚕を「お蚕さん」と呼び、各地に蚕を祭る神社やお寺、絵馬があるのも、こうして蚕の命と引き換えに美しい絹糸を頂いていることを、昔の人々が感謝していたからなのでしょう。実際に蚕がもぞもぞと動いている姿を見ると、その思いが身体に染みて分かって来る思いがしました。
↑店内にはこのようなパネルの展示が幾つかあり、養蚕の歴史や仕組みを学べるようになっています。更に、抽選プレゼント付きの蚕クイズが催されており、パネルを見ながら、「例えば、「蚕の数え方は、匹、頭、羽、個のどれでしょう?」といった蚕の基本知識を学んで、答えを記入し、投票する仕組みです(参加は自由)。
プレゼントの商品は、何と、この蚕から取れる絹糸で織った白生地。きもの好きならガゼンやる気が出るというものですね。ただ何となく蚕を見て帰るのではなく、しっかりとその仕組みを知ってほしい、という、もとじさんの熱い想いが伝わって来ます。10月2日には、繭から糸を取る「座繰り」のイベントも開催されるそうです。
そもそもとてつもなく家賃の高い銀座の地で、2週間あまり、店をまるまるつぶして蚕室にしてしまう。その間収益がなくなる訳ですから、この企画は、商売人にとって狂気の沙汰とも言えるものだと思います。蚕への熱い想いなくして実行される訳がないですよね。
「きものの原料である絹糸が、どうやって生まれて来るのかを実際に目で見て、触れてほしい。百人、二百人の方が見てくれれば、その中から一人くらいは、絹やきものに興味を持ってくれる人が現れる。それでいいと思っています」
啓太さんはそう語って下さいました。ふらっと入って来たお客さんに店員がハイエナのように群がり、ぐるぐると反物を体に巻いて「似合うわよ」「ローンで買えば大丈夫」と売りつける‥きもの嫌いを増やす要因の一つと言われている、一部きもの店の「その時売れればいい商法」とは真逆にある考え方に、大きな共感をおぼえました。
今回、店で育てているのは、約3千頭ほどの蚕。ちょうどきもの一反分を養う蚕の数です。今、私たちが着るきものの多くは、海外から輸入した絹糸によって織られたもの。その中で、今回のイベントで飼育されている蚕は、純国産の「プラチナボーイ」という品種。そう、この試みは、日本の蚕を守る一環でもあるのです。
最後に、泉二啓太さんと↓
↑そして、啓太さんの横にいらっしゃるのが、九月に入社したとたんこのイベントの担当になったという、新人の池田さん。毎日糞の掃除をしたり、桑の葉を入れたり、と大奮闘中。「まだ反物にほとんど触っていません」とのことでしたが笑、頑張って…!
その池田さんも啓太さんも、家に帰っても白く細長いものがみんな蚕に見えて来るそう。世知辛い世の中で熱く攻めている「銀座もとじ 大島紬」店内で、うごめく蚕の様子を見られるのは、明後日25日まで。繭になってしまう前に、皆さんぜひお運びください。そして、先ほども申し上げた通り、10月2日には、繭から糸を取る座繰り体験も。こちらも、ぜひ!
銀座もとじの今回のイベント詳細は、こちらからどうぞ↓
http://www.motoji.co.jp/news/detail1803.htm
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さて、もとじさんを後にして、最後に向かったのは、歌舞伎座。夜の部四幕目の「元禄花見踊」を、幕見で見に出掛けました。
実はこの幕の長唄連中に、友人の末席の末席の末席に加えて頂いている杵屋巳津也さんが出演されています。「玉三郎さんの後ろで唄うなんてぜひ聴きたい!」と出掛けたのでした。前日夕方まで校了出来るかが分からなかったため、予約が出来ず、幕見の遠い席になってしまいましたが‥、朗々たる歌声と華やかな踊り。服飾史の資料としていつも虫眼鏡を使い食い入るように見ている元禄時代の花見の絵(の図録)があるのですが、その世界がそのまま目の前に立ち上って来た、楽しい時間でした。
↑終演後、楽屋口で巳津也さんと。
来月・再来月は海老蔵さんの公演で東京を離れ、各地を回られるそうです。皆さん、長唄連中にもぜひご注目くださいね。
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最後に昨日のきものは‥↓
細かい横縞の大島の単衣に、祖母が染めた蟹牡丹唐草柄の帯。先週のブログでも同じきものを着ていましたが、あの時はまだ紗の帯。秋に一歩近づいて、今週は塩瀬を締めています。帯揚げには淡いピンク色を入れて。
足元はこちら↓
この日はカレンブロッソを履いています。バッグは洋装のバッグ。このところ、資料やらノートやらICリコーダーやらをごっそり詰め込んだ大型バッグばかり持ち歩いていたので、小さめのバッグを持つのが新鮮でした♡
これからしばらくは、そこまで忙しくないスケジュールで動いて行けそう。7月から9月まで、あまりにも忙し過ぎてどうやって生きて来たのか記憶がぼーっとしてしまっているくらいなので、秋は少しリラックスして過ごしたいと思います!
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