西端真矢

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ホテルでの立食パーティーに華やかな小紋で 2014/10/05



 台風の日曜日、我が家の庭にも大量に雨が降り注ぐ音が聞こえています。
 そんな中、午後はきものでパーティーに出席していたので、久々にきものコーディネイト日記をお送りしたいと思います。
 そう、このところあまりに仕事が忙し過ぎてきものを着る機会がなく…先月は3回しか着られずかなりフラストレーションがたまっていました。今、爆発的にきものを着たい気持ちが燃え上っています!頭の中でコーディネイトがぐるぐる渦巻いています!今月は、週2回くらいはきもので外出出来そうなので、このぐるぐるをどんどんと放出して行きたいと思いますので皆様良かったらおつき合いくださいませ!!!

 さて、そんな今日はどのようなコーディネイトだったかと言うと…
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 きものは、小糸敏さんの菊文様の小紋。ほとんど白上げで、ところどころ花芯のみ桜色に染められています。小紋ですが、大柄の模様付なのでとても華やか。袋帯や華やかな名古屋帯を合わせて、パーティーのような場に着て行くことがほとんどの一枚です。
 帯は、唐草華紋の袋帯。京都の加納幸製で、銀糸と少しの色糸で織り出しているシンプルな色使いのため、どんなおきものにも乗る便利な一本。しかもとても軽くて締めやすいのです。
 コーディネイト全体が白と水色のすっきりとした色使いになって面白みに欠けるため、帯〆に少し遊び心を忍ばせてみました。萌黄色に、金糸も入った、太めの幅の一本を。地内記組はあまり締めている方がいないので、ちょっと自己主張が出せたかなと思います。
 本当は、帯揚げにもう一段濃い色目の紫色を入れたかったのですが、手持ちがなく…淡めの紫色地に、菊や梅などの文様を織り出している綸子地の一枚を入れています。ああ、帯揚げ、100色くらい揃えたいものです!

          *

 今日出席したパーティーは、地元・吉祥寺の呉服屋店「ふじや」さんの八十周年を祝う会でした。会場は、これも地元の、吉祥寺第一ホテル。
 我が家では、ふじやさんがこの地に開業した少し後に祖父が土地を買い、それ以来の吉祥寺暮らし。ほぼふじやさんと同じくらいの年月をこの街で重ねています。
 実は、吉祥寺では、以前は十五軒も呉服屋さんが軒を競っていたのだそうです。父の小学校の同級生にもそんな呉服屋さんの息子さんがいたと言いますし、以前、浅草の老舗履物屋・辻屋の女将の富田里枝さんとお話ししていたら、「昔は吉祥寺に支店を持っていたのよ」とおっしゃっていました。かつて吉祥寺は、武蔵野周辺に住む人々の“きものおしゃれ発信地”だったようなのです。
 
 けれど80年の間に、きものを巡る環境は激変。現在、昔ながらの暖簾を守っているのは、ふじやさん一軒だけになってしまった、と、今日のスピーチの中で当主の目黒さんがおっしゃっていました(注*その代わりに、くるりさんや三松さんなど、新しい呉服屋さんも出来ています)。
 我が家のきものは、祖母や大叔母などから伝わって来たもの以外は、ふじやさんで買うことがほとんど。吉祥寺、三鷹、練馬には、我が家のようなお客様がたくさんいらっしゃり、今日は皆さん思い思いの“ふじやで買ったおきものコーディネイト”で雨の中を集まっておられました(私の今日のきものと帯も、もちろんふじやさんで求めたものです)。
 そして、私も母と一緒に参加しましたが、親子でいらっしゃっている方、それから、お友だち同士の方も大勢。正に“地元の呉服屋さん”で、昔は日本全国あちこちに、こんな風な“我が町の呉服屋さん”があったのだと思います。
 今ではきもの人口自体がぐっと減ってしまいましたから、きものは、デパートや、大きな都市の有名店で買われる方が多いのではないかと思います。もちろんそれも素敵なことですし、私も時に違うお店から、また、作家さん・工房さんから直で買うこともあります。でも、ふじやさんのような地元の呉服屋さんが、その街その街の暮らしに根づいて、独自の仕入れをする…そんな伝統も絶えないでいてほしいなと思うのです。
 実は今日のパーティーは、三代目への代替わりのお披露目でもありました。心から、私の街・吉祥寺のこのふじやさんが、ずっとずっと吉祥寺の街で楽しくご商売を続けられることを願う一日でした。
    
          *

 ところで、私の後ろに写っている振り袖、皆さん気になったのではないかと思います。
 これは、人間国宝・森口華弘先生の作品!
 ふじやさんのおきものは問屋の市田さん扱いのものをかなり入れていらっしゃるのですが、おめでたいお祝いの日ということで、今日は市田の社長も駆けつけていらっしゃり、特別に、市田所蔵の森口先生のお作も舞台上に飾られていたのでした。大変に近くで拝見することが出来、眼福でございました!
 そして、おまけの写真を(ここに、もう一枚の森口先生のお作も写っています)。
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 吉祥寺には、江戸時代・文久二(1862)年に、村のお祭りのために作られた“武蔵野囃子”というお囃子があります。今日はそのお囃子の皆さんも会をにぎやかに盛り上げてくれました。
 地元の呉服屋さんのこれまでの道のりと前途とを祝う、地元の人々によるパーティー。他のお客様とも楽しく歓談し、大雨も忘れて何とも楽しい午後でした。何しろ地元の会ですから、雨の中でもすぐに帰宅出来ましたし♡

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