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© 2011 Maya Nishihata
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頂き物の着物と水屋着で、社中の茶会。お床の花を担当の巻。 2017/04/27
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先週の日曜日は、社中の温習茶会でした。
毎回、駒場東大前の旧前田侯爵邸和館内にある茶室を借りて行っています。下の写真が、その前田邸和館の門構え↓
以前は総て先生のお道具をお借りしていたのですが、前回より、勉強も兼ねて、社中メンバーの持っている道具で使えるものは使い、組み合わせていこうということになりました。
今回、私は、水指と床の花入れを提供しました。水指はこちら…↓
奈良の赤膚焼の松田正柏の作。以前、奈良に長く住んでいた祖父が松田さんと交流があったようで、我が家で所有しているものです。春の日にふさわしいすっきりとした白色系の肌に、底の部分に釉薬の垂れを残した点が見どころです。
棚は、江戸千家の棚、米棚。棗は先生がお持ちのもので、角野亮斎作。美しい螺鈿細工で二人静を表現しています。
花入れと、そして花はこちら↓
これも毎回のことなのですが、二十代の頃、真生流で生け花を学び、(腕は大分錆びついていますが)師範免状を持っているため、常にお花担当を仰せつかっています。以前は花も花入れも先生がご準備下さっていたのですが、前回からやはり勉強のため、自分で調達することに。これがなかなかに相当大変です。
思案の末、大分前から、今年は籠を使ってみようと考えていました。籠は初夏から秋の初め頃と使う機会が限定されるため、花を習っていた当時から、練習の機会が少ない花器。今回は敢えて挑戦してみたいと思ったのです。
幸い、半年ほど前に、地元の骨董屋さんに、祇園「西村」という竹細工店の老舗の籠が入り、状態も良かったので即購入。花はどうするか、これもあれこれ考えましたが、我が家の庭に楓(もみじ)の大木があり、子どもの頃はしじゅう登っていたので、懐かしさもあり、久し振りに木登り復活して枝を切ろう!と思いたちました。茶会前日、斜め掛けポシェットに木鋏をしのばせ、懐かしい木の股に足を入れ、以前より太くなった幹をよじ登ったのですが…写真を見て頂いてもお分かり頂ける通り、結局、茶器当日は、同じ庭から切った山吹の方を使いました。折角苦労して登ったのに…でも、花は生きもの。現場でお軸との相性具合などを見て修正するのは、当然のことと思います。もう一種生けている紫の花は都忘れ。こちらは、木登りの後青山の「花長」へ遠征し、購入したものです。ちなみに、お軸は、池大雅の弟子の系譜の大雅堂月峰の富嶽図です。先生がお持ちのもの。
↑折角木登りまでして切った楓の枝も活用しないともったいないと、受付の小さな三島手の花入れに生けてみました(写真が若干ピンボケです)。ツツジも、我が家の庭から切ったものです。
それにしても、花当番は何が大変と言って、調達もですが、家から会場まで、花や葉を傷めないように運ぶことが一番大変だと実感します。朝早く起きて髪と着付けを終え、それから花の茎に水を含ませたチリ紙を巻いて、更にサランラップを巻いて…花材は多めに準備しているので、この準備が大量でまず本当に一苦労。そして、車を運転しない私は、電車で運ばなければならない訳です。人にぶつからないように、物にぶつからないように、前後左右に気を配りながら歩き、更に前田邸が駅から遠く…生けることより何より、無事花を運搬する、このことに毎回疲労困憊です。
それでも、花はまあまあの出来でほっと一安心。安心したせいか自分のお点前も、平常心でさらっとつつがなく終えることが出来ました。
*
そんなこの日の着物は、こちら。母の知人のお母様の遺品を頂いたもので、そのお母様もお茶をされていた方ということで、まさにお茶にふさわしい、控えめで瀟洒な一枚。藤色地に小さな松が、絞りと金糸刺繍でぽつぽつと表現されています。とても気に入っており、ありがたく着用しました↓
帯周りはこんな風に↑
小葵文様の、名古屋を合わせました。定番とも言える組み合わせ方ですが、定番ならではの安心感。
ちょっと面白く思って頂けるかな、と思うのが、水屋着。一枚は写真が暗く写ってしまっているのですが、こんな黒色の水屋着を着用しました↓
実はこれ、水屋着として作られたものではないのです。一年中着物を着ていたという、これもある方のお母様からの頂きもので、その方は対丈でこのお着物(単衣です)を着て、みやつのところに縫いつけた紐で腰周りを締め、その上に半幅を結んで一日を過ごしていたそうです。毎日着物時代の“ふだん着物の知恵”!
その方は私より背が小さかったのでしょう、私が着るとくるぶしより少し上の丈になります。これをそのまま水屋着として着てしまうことにしました。大島なので、撥水も良く、足元まで長さがあるため水はねや花粉が着物についてしまうかも…という心配もありません。
…ということで、頂き物のお着物と水屋着で、今年もつつがなく終えられた温習会。また日々の稽古に励みたいと思います。
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