西端真矢

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帰って来た着物日記~~人間国宝・中村勇次郎作訪問着 2013/05/14



年明けからずっと仕事が詰まりに詰まり、やむなくブログはお休みにしていましたが、やっと少し(少しですが‥)余裕が出て来たので、今週から再開したいと思います。
私のブログは、エッセイや提言などの文章系のものと、着物日記、二種類の内容を書いていますが、7月7日までは毎週必ず最低1回は、着物日記をアップすることをここに誓います!
‥と勝手に誓ってしまいましたが、何故7月7日なのか‥と言いますと、実はその日、私プロデュースで一大江戸着物イベントを開催する予定なのです。着物好きの皆さんとつながれるように、毎週最低1回はこちらを更新致しますので、ゼヒ見にいらして頂けたら嬉しいです。そして、7月7日も、会場へとゼヒ足を運んで頂けたらと思います。
イベントの詳細は後日こちらで告知致しますが、浅草・隅田川のほとりで、江戸時代の着物を一望出来るイベントになります。ゼヒゼヒ、スケジュールを空けておいて下さいませ。
本日、クラウンドファンドのへの参加も決まり(この点につきましても詳細を後日お知らせ致します)、ますます士気が高まっています。良かったら、皆様、応援よろしくお願い申し上げます。
‥そして、文章系の日記の方を楽しみにして下さっていた皆さまのためにも、ちょっと7月7日までは数は少なくなってしまうのと思うのですが、着物日記に時折り織り混ぜて掲載したいと思います。どうぞ今後とも、このブログの応援をよろしくお願い致します。

          *

さて、そんな復活第1回目は、着物日記の方をお送り致します。復帰第1回目ということで、ここはにぎにぎしくバーンとした着物で行きたいと思います。じゃーん!先日、通っている茶道教室のお茶会の日に着た訪問着です。下の写真をご覧下さい。

*写真だと光の加減でちょっと地味な印象ですが、実際はもう少しほわっと華やか・やわらかなこの訪問着。雪輪文様が大きく文様取りされているのがお分かり頂けるかと思いますが、よく見ると‥↓


このように、全て江戸小紋で、しかもぎっしりと様々な文様がとてつもなく細かい割り付けで彫り込まれているのです。
江戸小紋について少しでもご存知の方なら、この型紙を彫ることがいかに天才技を必要とするか、もう狂気と言ってもいいくらいの綿密さ、複雑さだということがお分かり頂けますよね。

*この型紙、江戸小紋型紙の人間国宝・中村勇次郎の作です。
この文様は特に「川端文様」と名づけられていて、その由来は、川端康成がノーベル文学賞を受賞した際の記念全集の表紙用に彫られ、皇室にも献上されたものだから。
日本最高の型紙彫りの技術の素晴らしさに、まさにため息。よく見て頂けるとお分かり頂けると思いますが、ところどころに花の文様が浮かび上がっていますよね。これは、テッセンの花です。テッセンがあちこちに散りばめられながら、全体として雪輪が浮き出るようにデザインされているのです。
狂気と言えるほどに細かく細部を彫り上げながら、全体としては、このように大きなデザイン構想力。正に天才としか言いようがありません。部屋に掛けて眺めているだけでうっとりとする一枚なのです。

*この着物を染めたのは、加藤伍平氏。中村勇次郎が江戸小紋の新境地を目指して試行錯誤を続けていた頃、京都中の染屋に門前払いを食らわされていたそうなのですが、まだ見習い中だった伍平さんだけが、朝の掃除中、染め屋の店先をうろついていた勇次郎の型紙を受け取り、夜、一日の仕事が終わった後にこっそりと染めてくれたのだそうです。
その恩を忘れず、勇次郎は、伍平さんを専属の染め師に認定。その厳しい要求に答えながら伍平さんご自身の染めの腕も、最高峰へと磨かれた‥という日本昔話のような人情あふれるお話を、我が家行きつけの呉服屋さん・吉祥寺のふじやさんで開かれた伍平さんを囲む会でお聞きし、母が財布の口をパカッと開けたのでした(笑)。

*これだけ複雑な型紙を寸分狂いもなく染め出すことが、またどれだけ高い技術を必要とするか。しかも訪問着にする訳ですから、色を使い分け、その濃淡も一様ではない。型紙を送って行きながら緻密な計算をしつつ、染め分ける。一体どうやって染めているのだろう?と私にはおぼろげにしか分からない、素晴らしい染めの技術です(どなたか分かる方、ゼヒ教えて下さい)。
彫り師と染め師の最高の技術が合体して生まれた一枚。大切に着て行きたいと思います。

*この日、締めている帯は、西陣・河合美術織物の袋帯。下にお太鼓部分のアップの写真を載せますね。この帯、以前も本ブログでご紹介したことがあります。作り帯なのです↓

遠目にはただの白地の帯と見せながら、近寄って見ると鹿の子文様を織りで表現している!と分かる、これもまた斬新かつ高い技術を要することが窺われる一本です。お太鼓に金銀の線を縦に一本ずつ配し、何とも洒落たデザインになっています。

*帯締は、道明の藤色の冠組の一本を。帯揚げは、淡いベージュのちりめん地に源氏香が織り出されたものを入れています。

いかがだったでしょうか、久し振りの着物日記。
今回は初回ということで豪華なものをご紹介しましたが、来週は同じお茶会の別日、水屋当番(=裏方)の日に着た気軽な着物をご紹介致します。
今後とも、西端真矢の着物日記をご愛顧よろしくお願い致します!

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