西端真矢

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きもので歩く倉敷・岡山の旅(後篇)~~倉敷民芸館・岡山城・倉敷の雑貨やお菓子など 2014/03/18



(現在、上のFacebookボタンとブログとの連動に不具合が生じています。押して頂いたのにカウントが反映されていない皆様、申し訳ありません)

倉敷・岡山をきもので回った旅の日記、今日は後篇をお届けします。
岡山城や倉敷民芸館、倉敷のかわいい雑貨や美味しいお菓子の情報などをご紹介致しますのでお読み頂ければ幸いです!

旅の履き物入れの話
まず、きもの関係の話題から入りたいと思います。
今回、旅のおともの履物は、草履を一足と下駄を一足ずつ持参しました。私は下駄が大好きで、ふだんから紬の時は下駄を合わせることが多いのですが、今回も一足は下駄にしました。下駄って、歩いていてダンゼン楽で手放せないのです!

さて、今回の旅で活躍したのが、下の写真の履物入れです。現在発売中の「婦人画報」4月号の付録に付いていたもので、“伊と忠”とのコラボレート品。
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“伊と忠”と言えば和装履物や小物の老舗ですから、さすがによく考えが練られていて、上の写真でもお分かり頂ける通り、足袋を入れる内ポケットが付いているのが秀逸でした。「足回りはこのバッグ!」と分かりやすくまとめられるし、足袋がクッション代わりになって、ごちゃごちゃとものがいっぱいのトランクの中で、履物を守ってくれるのです。
私は同じハースト婦人画報社から出ている『美しいキモノ』誌でお仕事をしていますが、だから、のステマではなく、本当に使いやすそうだったので自費で買い(領収書もあります~)、使って良かったのでこうしてお薦めしています。もう一冊買っておこうかしらと思うくらい、お薦めのお品ですよ!
ちなみにチャックを閉じるとこんな外見になります↓
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和にも洋にも合う柄行きですよね。


倉敷銘菓~♪
さて、旅の三日目、午前中は一人で倉敷の町を回りました。まずはお菓子の写真から。
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これは、倉敷の老舗和菓子店“橘香堂”の“むらすずめ”というお菓子です。ごく薄いパンケーキ生地のような生地の中に、絶品の粒あんが‥!
このむらすずめとお抹茶と、おまけの落雁のセットで、500円。あまりに美味しくて倉敷滞在中に2回伺ってしまいました。お店の人にも顔を覚えてもらえて嬉しかったです♪


倉敷民芸館は展示方法も美しい
そして向かったのは、倉敷民芸館。私は民芸が大大大好きなので、倉敷に来たらここには必須で伺います。何と館内、撮影OKなので(注・フラッシュ撮影は禁止)、しばし、あまりにも素敵な館内の様子をご覧くださいませ↓
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“民芸”とは、用の美。飾るためではなく、暮らしの中で実際に使われながらも、美しい姿形をした道具たちのことですよね。だから、道具たちが部屋の中に実際に置かれているように・使われているように展示されていて、ここは世界一美しい美術館ではないかとため息がこぼれます。

また、布好きの私には嬉しい、布の展示も数々とあるところも民芸館が好きな理由です。
上から、備後絣(のはず‥記憶が曖昧ですみません)、沖縄の織物、倉敷手織りです↓
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こちらは、明治時代に岡山地方の家庭で使われていた敷布団だそう。かわいいですよね~↓
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ミャンマーの帯もカワイイ!↓
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もちろん、陶芸品やガラス器もいっぱいです↓
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上の二枚の写真のうち、ガラス器は、“倉敷ガラス”という倉敷の特産品です。
陶器は、今回、島根県の不志名焼きという焼き物が中心の展示でした。こういった民芸の陶器類を眺めていると、「民芸が好きではない人間は日本人じゃなーい!」と叫びたくなるくらい、そのくらいこういった器が私は大好きです。

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↑もちろん、「用の美」という民藝の概念は日本だけにはとどまらず、上の写真の白い壺が私はかなりかなり好きなのですが、これは朝鮮の焼き物です。塗蓋を付けて、(茶道の)水差しにしたーい!とじっと眺めておりました。
こちらのお皿も素敵↓これは、日本の焼き物です。
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倉敷のかわいい雑貨たち
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↑さて、この民芸館で、自分用、そして知人へのお土産にも買ったのが、“倉敷手毬”の根付。総て草木染めの糸で染められていて、本当にかわいいのです!全部買い締めたかったのですが、自分用には上の二つを購入しました。私は、きものを着用する時は懐中時計を帯に挟むので、上の写真のように、その根付として使って行きたいと思います。

他にもかわいい買い物をしました。
こちらは、“如竹堂”という雑貨屋さんのマスキングテープ三つです↓
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上から、こけし模様、倉敷の町並み模様、草花模様。本当にかわいいですよね!
倉敷意匠研究所と倉敷町家テープ制作委員会の制作、つまり、倉敷オリジナルの雑貨ということになります。もう~かわいいです!

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↑また、本町通り商店街にある“つねき茶舗”というお茶屋さんでは、煎茶好きの母へのお土産に、と、お茶を買いました。
岡山は、実はお茶の産地でもあるのですよね。この小さなお茶屋さんにはお茶っ葉が入った木箱が山と積まれ、いかにも「地産地消」の素敵な雰囲気。写真からお分かり頂けるでしょうか?小分け販売用の袋、これが猫の柄でとてもかわいいのでした。

倉敷には何故ダサイお土産ものがないのか?
旅の間に、地元の方と深く話す機会があったのですが、その時に、倉敷のお土産物はものすごくレベルが高いという話になりました。いわゆる、みうらじゅんが命名したところの“いやげもの”のようなダサめのお土産ものは皆無なのです(それはそれで面白いですけれど)。
これは何故かと言えば、観光地としての倉敷の経験の豊かさに関係するのではないか、と、その方と話が盛り上がりました。
どういうことかと言うと、ようやくこの10年くらいでしょうか、日本のあちこちで“古い町家を活かして喫茶店にして”‥といった動きが盛んになって来たけれど、倉敷ではそれをもうとっくに40年前から始めていたんだ、と。
他市に先んじた分、倉敷は持てるパワーを更に先へと広げて行くことになった。日本を前面に出して町を観光地化したら、次はそのコンセプトを、細部へと流し込む。それが、センスのいい和のお土産ものにつながっていったのではないか、という訳です。
確かに、先ほどの、私がお茶を買った店なども、初老のおじいちゃんが経営するごくごく小さなお店でしたが、当たり前のようにかわいらしい包装を用意している。倉敷はかなり先を行っている観光地なのでしょうね。

実は、そんな倉敷で店を出したいと、全国から申し出が来るのだそうです。ここで生き残れれば、日本全国どこの観光地へ行っても、生き残れる!そんな風に考える、雑貨などを扱う業者が倉敷にアンテナショップを出して、商品開発のためのマーケティングを行うのだそう。
そうやって、厳しい競争が起こる中で、代々の地元の人たちも「負けてられない」と美意識を磨く。こんなことも、かわいいお土産物が町にあふれる理由なのだろうなと思いました。倉敷に学べることはたくさんありそうです。


老舗きもの屋さんが経営するカフェ
ところで、そんな倉敷には、ちらほらときもの屋さんが点在しています。私が四日間歩き回っただけでも、五軒発見。町の規模に比べるとかなり多い方ではないかと思います。やはり古都だけあって、お茶や踊りなどを習う方が多いのかも知れませんね。

そんな中でも一番の老舗であり、しかも同じ敷地内にカフェやイタリアンレストランを併設しているきもの屋さんがあるとガイドブックで読んだので、きもの好きの私はもちろん出かけてみました。
店の名前は“はしまや”さん。こんな風格あふれる店構えです↓
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そして、恐らく明治~大正時代製と思われる古いガラスが入った引き戸の向こうには昔ながらの一段上がる畳の売り場があって、こんな風に、「どうやら千總製だな」と思われる素晴らしい振袖が飾ってあって‥↓
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格式高いお店、と感心致しました。

ところが店頭にはどなたの姿もなく、引き戸も締まっているので、ひとまず、併設のカフェへ行ってみることに。店の脇に奥へ続く細い道があり、そこから、店の後方に作られている中庭へと入ることが出来ました↓
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蔵や住まいが並ぶ中庭。表通りから見える店だけでなく、奥に長い、典型的な町家の造りです。そして、そんな蔵の一部がカフェに改装されているのでした。
中の様子はこんな雰囲気で、ここでも、前回の日記でご紹介した「倉敷雛めぐり」の一環で、お雛様が飾られていました↓
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さて、ここで一人文庫本を読みながら美味しいココアを頂いていた‥はずなのですが、いつの間にか店主である初老のおばさまと話し込むことになりました。
おばさまによると、だんだんと、ここ倉敷でもきものを着る人の数は少なくなり、息子さんの代でイタリアンレストランを始めたのだそうです(呉服店の向かいに店舗があります)。そして、おばさまも、呉服店は続けながら蔵の一つを改装してカフェを始めることに。このカフェで、ミニコンサートを開くことも出来るし、隣りの蔵もギャラリーに改装しているので、展覧会やワークショップの開催が可能。また、一つ奥の蔵には、オーダーメイド家具とおしゃれな雑貨を扱うインテリアショップが入っていました。

もちろん、呉服店もまだ健在ですから、昔からのお客様や、五月にはお庭にさつきが咲くということで、さつきを観る会を開きながら、千總など(やはり千總でした!)、昔から取引のある、主に京都のお品を販売しているそうです。
「何とかしてきものを残したい」、という話であれこれと盛り上がり、特別に、先ほどのお写真の呉服店の方に入れて頂きました。
じゃーん、こちらは、昔ながらのお帳場です↓
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そして、こちらの写真の上段にある木箱は、昔、反物を入れて使っていたものだとか↓
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「まるにとの字」がはしまやさんの屋号なのですね。とても嬉しい旅の出会いでした。


三日目は古典的なきもので
さて、そんなきもの縁のあったこの日、私はどんなおきものを着ていたかと言うと‥↓
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実はこの日、午後、倉敷駅前にある日本語学校“倉敷外語学院”で学ぶ留学生の皆さんに、茶道の基本のきを体験してもらう課外授業を担当することになっていました。
そのため、少し華やかなきものの方がいいかな、また、日本らしい柄がいいかな、と選んだのが、この扇文様の小紋です。私の祖母が型染めの技法で染めたもので、中の一色を取って、黄色の織り帯を合わせてみました。帯締めの紺色で全体を引き締めています。
こういう王道の古典コーディネート、私はとても好きで、時々着たくなりますが、ネパールとベトナム出身の女子留学生たちが、「きれい!」「着てみたい」とじっと模様を眺めたり、生地に触れて何度も確かめてくれたりしたのが、とても嬉しかったのでした。古典柄を選ぶと、そこから由来の説明など、会話が弾んで行くのも利点だと思います。

備後絣との、運命の出逢い!
ところで、この日、もう一つ素敵過ぎる“きもの縁”がありました。
実は私はこの旅に出る前から、「もしも素敵な備後絣があったら買って帰りたいな」と思っていました。そこで、呉服屋さんを見つける度に「備後絣はありませんか?」と質問していたのですが、皆さん、扱っていらっしゃらないのです。

前回の日記でも書きましたが、備後絣とは、江戸時代以来、岡山や広島地方で織られて来た木綿の反物のこと。地元ならあちこちで売っているかと思ったのですが、案に反してどこにもない。もう備後絣は作られていないのかしら‥?とがっかりしていたこの日の夕方、お茶の講座を終えてのんびりと倉敷本通りを歩いていると‥備後絣で作った座布団や骨董品などを扱っている“メリーノ”という和雑貨屋さんが目に留まりました。そして、中を覗くと、どうも作業台に向かってお店の方が座布団をせっせと作っていらっしゃる様子。思い切ってドアを押して中へ入り、
「あの‥備後絣の反物ってどこで売っているかご存知ですか?」
と訊いてみたのです。するとあっさり、
「うちで売ってますよ」
とのお答え!しかも、
「今日入ったばかりの新しい反物がありますよ」
と仰るので、ゼヒにと四点ほど見せてもらうことが出来たのでした。‥ああ、“出逢い”です。

よくよくお話を伺ってみると、やはり最近ではきものを着る人が減ってしまったため、備後絣も、昔は大きな機屋さんでじゃんじゃか作っていたのが、今は機械が止まってしまっている状態。岡山・広島を合わせても数軒、個人で織っている作家的な方が残っているだけなのだそうです。
それでも、メリーノさんは、昔から備後絣を使って座布団を作って来たおつき合いの歴史があるということで、特別に、機屋さんに残っている反物を時々分けてもらえるのだそう。それが、その日私が見せて頂いた反物だったのでした。正に“一期一会”の出逢いですよね!

そんな四点の反物をあれこれと顔に当てて、メリーノさんのご主人(素敵な女性です)とご相談した結果、選んだのが、下の柄の反物です(実物はもっと青みがかっています)↓
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本当は、反物の状態になっている写真も撮ろうと思っていたのですが、帰京後にすぐ仕立てに出してしまいまして、倉敷にいる間に撮った、模様の寄りの写真だけでごめんなさい。仕立て上がって来たらすぐに着用して、このブログにてご紹介しますので、しばしお待ち頂けたらと思います。
本当に、人との出会いと同じく、布やきものとの出会いも、縁。旅をして、その土地の布を買い、身にまとうのは、何よりの記念になると思います。
藍色の備後絣。どんな帯でも乗りそうですが、手持ちのどれとどれを合わせたら映えるかしら‥と、今から嬉しい悩みを悩んでいるところです♪

きもの旅には浴衣が必要
さて、旅もいよいよ最終章へと近づいてまいりました。前日の夜は、倉敷郊外に住む知人の方にお招き頂き、お家でのお食事会。倉敷の小料理屋さんのお弁当を仕出して頂いていたのですが、これも大変美味しかったです。倉敷の食のレベルは高いですね。
そして、その日の夜は必死で荷物をまとめ、翌日の旅の締めくくりへと備えました。

今回、四日間の日程を総てきもので通し、前回の日記で、“長時間の乗り物移動には半幅帯が必須”と学びましたが、実はもう一つ失敗点がありました。それは、部屋着用の浴衣を持って行かなかったことです。
夜、一日の外出を終えて、宿の部屋でくつろいだり仕事をしたりする時間、或いは、お風呂上がり、眠る時間の前までに、ガイドブックを広げて翌日のプランを考える時などに、ちょっと上等の浴衣があると便利です。宿に備え付けの寝間着は、私は、寝る時だけ、布団の中だけで着たい派。それまでの部屋着として、何かの時には廊下にも出られるようなきれいめの浴衣があると、きもの旅は完璧になると思いました。お風呂上りにまた襦袢を着てきものをきるのは面倒だし、清潔の観点から言っても嬉しくないですからね!

旅の最後は、岡山へ!まずは岡山城と後楽園を訪ねて
さて、翌朝、旅の最終日は、朝食の後真っすぐに岡山へと向かいました。荷物を駅のコインロッカーに入れ、まずは岡山城へ。
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ああ、お城!萌えます。

こちらのお城は、宇喜多秀家が信長の安土城にならって建てたものだということで、安土城と同じく、黒壁。面白いのは、普通、天守閣と言うと倉庫や物見櫓として使われるものですが、ここのお城では城主が居住していたのだそう。かなり珍しいのではないかと思います。

お城の後は、すぐ隣りにある後楽園へと回りました。宇喜多秀家が関ヶ原の戦いで西軍について敗れた後、城は小早川家秀秋のものとなり、秀秋が急死した後は池田家が入って幕末までこの地を治めました。後楽園は、その池田家が作った庭園です。
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広大な敷地にゆったりと品格高く作庭されていて、心がすがすがしく磨かれる景色。ここに住んでいるのでしょうか、猫さんも歩いていました↓
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お城や庭を歩き回る日は、紬のきもので
そんな四日目のきものは、初日と同じ紬に、帯を変えてみました。庭の一角にある梅園が満開だったため、そこで撮ったのが下の写真です。眩しくて目が開かず、変顔になっています↓
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初日と同じ細かい格子柄の紬に、この日は、ペパーミントグリーンの八寸の織り名古屋を合わせました。八寸帯は芯もなく薄いので、旅に持って出るには最適の帯ではないかと思います。
文様は、破れ七宝つなぎ。格調高くもなる古典柄ですが、ざっくりと織っているので、快活な、カジュアルな雰囲気に。この日も下駄を合わせています。帯揚げ・帯締めはベージュ系ですっきりと。

岡山名物、ままかりを食す
ところで、後楽園内には幾つかお茶屋さんがあり、そのうちの一軒で、岡山名物のお魚“ままかり”のお寿司を頂きました。
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これが本当に美味しかった!やはり、その土地で採れた食材を、時間差なくすぐ調理したものは美味しいのですよね。これがたったの500円ですから、東京の食費の高さが一瞬嫌になりました。

岡山県立博物館で備前焼のお勉強など
後楽園の後は、隣接する岡山県立博物館へ向かいました。歴女なので、どこかへ旅したり取材に行った時には、時間が許せば必ず、郷土資料館的な場所へ足を運ぶようにしています。
岡山・広島一帯は、近畿の方とはまた違った、派手なお棺に死者を祀る独自の古墳文化があり、その辺りの展示を見るのを楽しみに入館しました。
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すると、ちょうどこの日は、そういった古代の遺物などの常陳の他に、この地域を代表する伝統工芸である備前焼きの特別展が開かれていました。
また運良く、私の行った時間に学芸員さんによる列品解説があったので、歴史好き・焼き物好きのおじさまたちに交じり、私も解説を聞かせて頂くことに。備前焼きについてほとんど何も知らなかったので、一気に知識が深まり至福の時でございました♪

岡山にある東照宮訪問
その後、最後の最後は、神社へお参りに行きました。
と言っても非常にマイナーな、地元の人しか行かない神社に、ひっそりと参拝。“玉井宮東照宮”と言って、池田家が徳川家康東照大権現を祀った神社に、願掛けしたいことがあったので出向いたのでした。どうしても、家康公じゃなきゃダメ!な、或る願掛けがあるのです‥。
小さな小さな山の上にある神社。とても静かで、心が落ち着きます。
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また、お守りに、“徳川家康公勝ち香”を買って帰りました。自宅で携帯カメラで撮影したら、何だかきらきらした写真に。戦国の乱世を治めて二百六十年も続く幕府を作った家康公のお守りだからでしょうか、ご利益がありそうですよね↓
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この神社は、岡山駅から延びている路面電車の終点駅にあり、帰りはその電車に乗って15分程で岡山駅へ帰りました。そして新幹線で、東京へ。半幅帯を準備しなかった、など、失敗もありましたが、洋服一枚もなしで過ごしても特に何も問題なし。きもの暮らしに自信が持てるようになった旅でもありました。
倉敷・岡山は、何度か書いたように、ご飯が美味しく、歴史好きの人、日本の伝統工芸好きの人にはまだまだ見所がいっぱいあるワンダーランドです。幸い父の仕事の関係でご縁が続いていますので、また再訪の機会もあるかなと思っていいます。その時は、今回購入した備後絣で訪ねたいもの。再会を期して新幹線は走り出したのでした。


倉敷の蔵が少しすすけている訳
最後に豆知識を一つ。下の写真は、倉敷に幾つも建ち並ぶ美しい伝統建築の一つですが、屋根近くの壁が黒くすすけているのが見えるでしょうか?
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私は、長い年月の間に汚れてしまったのかな?とぼんやり思っていたのですが、実は戦時中にわざと炭で黒くしたものなのだそうです。
それは、何故か?アメリカ軍が空襲に来た時、白い壁では標的として目立ちやすい。だから、わざわざ炭を塗って黒く汚したそうなのです。結局米軍は倉敷へは現れず(岡山は火の海になりましたが)、倉敷は今も江戸時代の面影をたたえています。この町並みが今後百年、二百年と残り続けて行くことを願わずにはいられません。(完)

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