西端真矢

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お・も・て・な・し――外国人観光客を迎えることの意味 2013/12/02



今年の流行語大賞に決定した、「お・も・て・な・し」。
東京オリンピック開催の是非については様々な意見があると思うけれど(実は私自身も誘致には反対だった)、既に開催は決定事項。やる以上は、来て下さった外国人の方に日本のいい印象が残せたらいいな、と思っている。

そんなオリンピック誘致も含め、最近よく耳にするようになった言葉に“インバウンド観光”があるのではないだろうか。
この言葉、何でも横文字にするのはどうかと思うけれど、要するに“訪日観光”という意味。もともと、小泉首相の時代に「訪日外国人1000万人を目指せ!」ということが言われるようになって、観光庁も設立されて‥という大きな流れの中で、7年後の東京オリンピックが“外国人観光客誘致”という概念やビジネスを、いよいよこの国にがっちりと根づかせる強力なきっかけになるのではないか、と言われている。
そんな“インバウンド観光”“外国人観光客誘致”の若き旗振り役となる人物を、先ごろ仕事でインタビューさせて頂いたので、今日の日記ではそのご紹介と共に、“外国人観光客誘致”というこのトピックそのものについて、私自身の意見を書いてみたいと思う。

当該のインタビューはこちら。「訪日外国人市場1兆円を目指して」↓
http://hapon.asia/shinjuku/news/post3256/
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さて、その若き旗振り人の名は、新津研一さん。以前は伊勢丹に勤務され、日本一と誰もが認める百貨店店舗・新宿伊勢丹のフロア全面リニューアルや新規事業開発など、おそらく「将来の伊勢丹社長候補の一人だったのだろうな」、という活躍をされていた方だ。
そんな新津さんは2年前に三越伊勢丹を退職し、ご自身の会社・USPジャパンを設立。企業コンサルタントとして活躍される一方、訪日外国人客誘致を「日本でのショッピングは楽しいですよ!」と買い物体験に特化して推進する社団法人、“ジャパンショッピングツーリズム協会(JSTO)”の代表に就任した。このJSTOの賛助団体にはJTBやNTTデータ、JAL、JCB、三越伊勢丹、高島屋など錚々たる企業が名を連ね、大きな期待がかかっていることが窺える。
これまで、“外国人観光客誘致”と言うと、京都・歌舞伎など伝統文化をアピールしたり、或いは秋葉原に代表されるクールジャパンを看板にすることが多かったけれど、JSTOが掲げるのは、買い物。平たく言えば、「日本で買い物して下さい!」ということで、別の見方をすれば、それを前面に出せるほど日本には、世界の人々の購買欲をそそる魅力的な商品がある、という自負を持っている、ということになる。
インタビューではそのあたり、新津さんたちがこの協会で何を目指し、それが日本という国にとってどんなメリットを持っていると考えるのかを、細かくお聞きしている。

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一方、私の個人的な視点からこの“訪日観光客誘致”というテーマについて述べてみれば、実はとても大きな期待を抱いている。それは、経済的なメリットと、また、国の安全保障という点からもメリットがあると考えるからだ。このことについて少し書いてみたいと思う。

日本社会に幾つか存在する大課題の一つに人口減少問題があり、この流れは容易には変えられないことは、誰の目にも明らかだろう。それはつまり労働人口と消費者人口の減少を意味し、日本経済の縮小につながることもはっきりしている訳だが‥、かと言って日本人の精神風土から言って、移民を受け入れることに激しい心理的抵抗があることも、誰の目にも隠しようのない明らかな事実ではないだろうか。
このような、“無理をしても変えられない現実”に対して、私は、単純に、無理をしても仕方がないのではないか、と考える。ざっくばらんに言ってしまえば、政府や理想主義者がいくら「産めよ増やせよ!」と唱えても、「移民を受け入れ共生社会を!」と唱えても、残念ながら現実は動かない、ということだ。
それよりも、動きそうなところを突っついた方が良い、というのが私の考えで、その選択肢の一つとして“たくさんの外国人に日本に遊びに来てもらう”、“そしてお金を落としてもらう”というやり方は、大いに可能性があると思うのだ。
そう、外国人移民と同じ町内で、文化の違いをひしひしと意識しながら共生するという道はおそらく日本人には向かないけれど、短期間の旅行客として受け入れるなら、何とかキャパシティに収まるのではないか、と考えるのだ。
インタビュー中でも触れているが、現在、訪日外国人旅行客が日本に落とす金額は、3400億円。これが3倍に増えれば1兆円の市場が生まれる訳で、日本人にとって経済的恩恵は相当大きいと言って間違いはないだろう。

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また、私のように中国と関わりのある人間から見れば、日中関係の改善のためにも中国人観光客の増加は望ましいと思う。
今では多くの方が知っている通り、中国人の反日感情は幼い頃から受けて来た反日教育や、日本兵が悪役として登場するテレビドラマなどの影響が大きい。つまり、自分の実際の目で見て、体で体験した反日ではなく、“何だか気づいていたらこうなっていた”反日であることが多い、ということだ。
そういう中国人が実際に日本に来てみれば、現在の日本には侵略主義者などいないということが分かるし、どう考えても中国よりはるかに親切と礼儀正しさが行き渡った社会であることは一目瞭然だろう。こうして彼らの日本観は変わって行かざるを得ない。
現在、世界のあちこちで中国人観光客のマナーの悪さが物議をかもしているけれど、私たち日本人は“中国の隣り”という地理上のこの位置関係を変更することは出来ない訳で、面倒くさい国ではあるものの、お互いの関係がつかず離れずそこそこ良好なことが私たち自身の安定と発展のためには最善であることは明白である。中国人旅行客の若干野蛮な行動には忍耐を持って、彼らを教育しつつ、受け入れる。それが、経済的な理由からも、国の安全保障からも、私は長期的に見て日本のメリットになると思うのだ。
ちなみに、どうやって彼らのマナーを教育するか、という点だが、これは、中国人の大国意識や対外的な面子を刺激することが一番だと思う。日本のマスコミ、市民、共に、中国人観光客でマナーの悪い人と遭遇したらどんどんその情報を発信する。日本語だけではなく英語で、英語の媒体にもどんどん書き、書いてもらう。彼らは「弱い中国」「遅れている中国」という概念に敏感だ。野蛮故に馬鹿にされている、というメッセージを送ることは改善に大きく役立つと思う。

‥という訳で、様々なことを考えさせられる、“訪日観光客誘致”というこのテーマ、その一つの入口として、新津さんへのインタビューをゼヒ読んで頂けたらと思う。

インタビューは、全2回。
☆主に訪日外国人誘致について聞いた回
「訪日外国人誘致1兆円を目指して」↓
http://hapon.asia/shinjuku/news/post3256/
☆新津さんの伊勢丹時代と、企業コンサルタンティングの活動について聞いた回
「貫くのは、ブランド独自の強み、を見つけ出す姿勢」↓
http://hapon.asia/shinjuku/news/post3056/

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