西端真矢

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秋のきもの日記~~その二、“上田紬の工房訪問の日”のきもの 2013/12/08



昨日に引き続き、この秋に着たおきものコーディネートをご紹介する日記の第二弾。
今日は、先週日曜日、長野県の名産織物・上田紬(上州紬)の工房見学へ行った日のコーディネートをお目にかけます。そして、工房の現場の様子もご紹介致します!

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この日、訪問したのは、上田で江戸時代から続く織り元、小岩井紬工房。
江戸時代から昭和初期までは養蚕業を。昭和以降は織りに転業して、現在に至るまで頑固に手織りを貫いて紬の布を作られています。

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その、機織りの様子が上の写真↑。八十台と思われるおばあさまが、とてもお元気な様子で、この時はネクタイ用の生地を織っていました。

今回の見学で大変ありがたかったのは、整経(せいけい)の工程を見せて頂けたことでした。
“整経”という単語は聞きなれない方もいらっしゃるかも知れませんが、経糸(たていと)の準備のことです。機(はた)織り機ににかかっている経糸、例えばきものの反物だったら13メートルほど必要ですが、これを、出したい模様になるように、事前に並べて機にかけておく作業のことを言います。
機織りと言うと、先ほどのおばあさんの写真のように、機の前に人が座ってトントンと織っている様子が思い浮かびますが、何でもかんでも織ればいいという訳ではありません。織る前に糸をしっかり模様の順番になるように準備しておかなければ、めちゃくちゃな模様になってしまいます。機で織るのは、謂わば最後の最後の作業。整経がいかに大切かがお分かり頂けますよね。

さて、その整経に使う台を撮ったのがこちらの写真です↓
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一本一本違うの糸を、模様の順番になるようにこの整経台にかけて、機に装着する前の準備をします。例えば赤から淡いピンクへとグラデーションの縞模様の布を織りたいと思ったら、その順番に糸が並ぶように揃えて行く訳です。
こちらの写真のように↓、台から突き出している棒に引っ掛けて‥、
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一本一本揃えて重ねて行きます。平織りの紬で約1000本の経糸が必要とのことですから‥気の遠くなるような作業ですね。ため息。
普通、機織り体験や見学と言うと、織るところだけがハイライトされ、見せてもらえたり体験が出来たりするのですが、今回は貴重な整経の過程を拝見出来、感激の一言でした!
そして、小岩井紬工房作の反物のごくごく一部がこちら↓
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手織りの紬と言うと昔は藍色の系の縞模様が主流でしたが、今はカラフル。淡い色も多く、もう見ているだけでうっとりです。
また、この写真では赤系の反物が多いのですが、鮮やかなコバルトブルー系の縞や格子の反物、茶系の格子の反物なども多く、どれも縞や格子の柄行きがとてもセンスが良くて、本当に素晴らしかったです!しかも工房価格なのでとてもお安くて‥!三反ほどかなりほしくなってしまいましたが、この後の物入りを考えてガマンガマン。(ああ、でもほしい‥)

           *

その後、同じ長野県内の岡谷という町へ移動と相成りました。
岡谷で訪れたのが、旧林家住宅という史跡です。明治以降、製糸工場を経営した大富豪のお屋敷跡で、当時の一流職人が腕によりをかけて作った純和風建築のお屋敷、更にそこに、これまた当時第一級の職人が作った洋館がつながっている、和洋折衷の面白い建物でした。
中には、こんなお座敷もありました↓
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ちょっと手ぶれてしまっていて申し訳ないのですが、壁紙や天井の紙に金色の模様が描かれていることがお分かり頂けるでしょうか?これ、“金唐紙”という、和紙の上に金箔を貼って作った豪華な壁紙なのです。明治の一時期大流行したとのことで、当時の富豪の豪華絢爛趣味が伺えますね。

室内では、大正~昭和初期の貴重なおきものの展示もありました↓
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上のおきもの写真、裾回しにも豪華に絵が染められていることに注目です!

その旧林家住宅の入口で撮ったのがこちらの写真↓
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私は、細かい格子の紬を着ています。祖母の遺品のつづらの中に入っていたもので、かなり古く、そろそろ八掛を変えなければ‥という時期に入っているのですが、紬自体はとてもきれいです。模様に寄ったのがこちらの写真↓
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小岩井紬工房の方や、この後に伺った岡谷絹工房(旧山一組製糸事務所)という工房でも、皆さんに「その紬、面白いですね」「いい紬ですね」と褒めて頂きました。嬉しかった~♪
そして、1枚目の写真ではコートを着ていて、帯との取り合わせがお分かり頂けなかったので、帰宅後、家で撮ったのがこちらの写真です↓
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夜に帰宅して撮ったので、暗めの写真になってしまっていて恐縮ですが、ペパーミントグリーンの紬地に、大きく破れ七宝つなぎ文様を織り出した名古屋帯。そこに、黄色の帯締めを合わせました。自分ではこのコーディネート、かなり気に入っています♪

          *

この日の見学は、原宿にある和裁所&和裁学校“プロきものスクール”の産地見学研修にご一緒させて頂きました。
こちらとのご縁の始まりは、今年の夏に私が行ったイベント“江戸着物ファッションショー”。江戸時代に大奥や高位の武家家庭で着られていた“堤帯”という特殊な帯を、プロきものスクールに依頼して制作頂きました。
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この和裁所&和裁学校の代表は、松井扶江先生。
きもの界の重鎮で、知らない人はもぐりと言われてしまうような存在です。10月に、日本橋で開かれて大盛況だったきものイベント“きものサローネ”に先生とご一緒したのですが、たくさんの呉服屋さんやきものブランドの方が先生に挨拶に来られ、「何だか極妻みたいでかっこいい」‥とひそかに思ってしまった、そんな、きもの界に重きをなす先生なのです。(写真は、夏のショーの後に撮ったもの)

先生の和裁所では、NHKの朝ドラ、時代劇、数々のCM、映画『ラスト・サムライ』‥などなどの衣装を手がける他、有名呉服屋さんの仕立てを請け負っていたり、女優さんから指名でお仕立てすることもあるそうです。
そんな和裁所&スクールのお弟子さんたちと、日帰りの見学旅行。女性ばかりとも聞いていたので、「あの人、生徒でもないのに何で来てるのかしら?」と訝しがられたり、ふだんからのお仲間同士でキャッキャしていて、私はぽつんとなってしまうかな‥と心配していたのですが‥、40人ほどの皆さんが次々と話しかけて下さり、孤独感ゼロ。本当にいい学校であり・職場なのだなあと、感動でいっぱいの一日でした。もちろんこれも、先生がそういう組織として運営して来られたからこそ、なのだな、と、ますます松井先生のファンになってしまった私でした。

上の、旧林家住宅前で撮った写真で一緒に写っているのは、そのお弟子さんのお二人。右端の、黒の素敵なコートをお召の女性は、花椿あやこさんというお名前できものブログも書かれています。きもの愛いっぱいのブログですから(時々猫ちゃんの話題も!)、皆さんゼヒご覧になってくださいね。
http://kimonohanatubaki.blog.fc2.com/

‥と、きものを愛する方々との縁も広がり、最近、自分の中で“第二次きものブーム”と言っていいくらい、きものへの愛が更に更に高まっています。
明日もまたきもの日記を更新致しますので、ゼヒ遊びにいらしてください。明日は三つのコーディネートをお目にかける予定です♪♪♪

今週は、普段より多めに日記を更新しています。
良かったらご高覧下さい。

*最近話題のインバウンド観光(=外国人観光客誘致)について考えるエッセイ
 「お・も・て・な・し~外国人観光客を迎えることの意味」
http://www.maya-fwe.com/4/000273_J.html
*この秋に着たおきものコーディネートのご披露日記第一弾
 「秋のきもの日記~その一、季節の柄で出かけた日のコーディネート三つ」
http://www.maya-fwe.com/4/000274_J.html

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