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花鳥の柄の訪問着で、遠州流お家元の初釜へ。そして事件が‥! 2019/01/22
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一月はお茶を嗜む者にとって、初釜に忙しい月。先週は、遠州流お家元の点初め(遠州流さんでは初釜のことをこのように言うようです)に出席の光栄を得ました。
ご一緒させて頂いたのは、組紐の「道明」の道明三保子先生。先生が家元ご夫妻と親しくされており、私も昨年お家元の取材をさせていただご縁もあって、お声がけを頂きました。
恐らく日本で一番大きな肩衝では?と思われる大型の春慶の肩衝や、仁清の素晴らしい花入など、数々のお道具を拝見して眼福の時だったのですが、もちろん席中では写真を撮れません。玄関の前はオーケーとのことでしたので、先生とぱちり。美味しいものをたくさん頂いた後で口紅が落ちていますが、お見逃しの上、下の写真をご覧ください↓
奇しくも先生も私も、淡い色調の装いとなりました。私の訪問着は、初釜らしく華やかにと思い、四季の花と槙の木の間を鳥が飛ぶ、楽しい柄行きの一枚を択びました。袖の写真を撮ってみましたのでご覧ください。おきもの友だちの皆様、そう、小川呉服店の一枚です♪↓
帯周りはこのように。帯締めは、もちろん「道明」の、糸竹組です。花や蝶の丸の柄の袋帯を締めて↓
遠州流さんの初釜では、点心のお盆と向付をおみやげに頂くことが出来ます。帰宅後、洗ってから撮ってみました↓
向付には遠州流さんのご家紋の七宝紋が染められています。亀甲盆には「亥」の字とお家元の花押が。ご本部直属のお道具屋さんで漆を塗って頂くことも出来るとのご案内を頂きましたが、木地のままもすっきりしていて良いし‥とまだ長考中。かなりキッパリとした性格ですが、買い物は常に長考なのです。
初釜中、このお盆と向う付けで点心を頂いている時に事件が起こりました。
お料理の中に、串に刺さったお団子状のつくねがあったのですが、それを串から取ろうとした際、勢い余ってお盆から転がり出てしまったのです!
わわ!大変、お茶会にあるまじきこと、と早く取りに行きたいのですが、何しろ着物で正座をしている上に、膝前に置いたお盆を乗り越えなければいけない。手に持っていた懐紙も、上の汚れた一枚はたもとに入れて、他のきれいなものは懐に戻さなければいけないし‥ともたもたしていたら、少し離れた上座に座っていた背広姿の男性のお客様が、さっとご自分のお盆を乗り越えて、私のそのころころお団子を拾い上げ、しかもご自分の向付を素早く取って中に載せ、私の所へお持ちくださったのです。何てご親切で、そして機転の効く素晴らしい方なのだろう、こういう方こそ紳士と、そして真のお茶人と言うのだな、と心から感謝申し上げました。
昨年は、社中の初釜で「後炭」という点前を仰せつかり、このお団子事件のようにそそっかしい私が珍しく何も間違いもなく、すっすと点前をすることが出来、その余徳でしょうか、先ほど書きましたお家元の取材のように、お茶や和文化にまつわるやりがいあるお仕事に数々たずさわることが出来たのですが、初釜で一年を占うとしたら、今年は‥?
きっと、何もかも一人で行おうとせず、人様の助けを借りながら進むことを覚えよ、という教えと思い、謙虚に一年を過ごそうと思います。
‥そんな訳で、このお盆と向付は、一生忘れられない一組となりそうです。(だから木地のままにするか、漆を塗るか、迷ってしまうのです)
*
そうそう、「道明」と言えば、年末に、美保子先生のご子息であり、第十代目当主として道明を率いていらっしゃる葵一郎さんから、素晴らしいご著書を頂きました↓
特装版の、組紐を意匠化した透かしのカバーを撮ると、中身はこんな風に↓
『「道明」の組紐』と題されたこの本では、主に、この十年内ほどの新作の数々を見ることが出来ます。どの組紐店よりも深く古典の研鑽を積まれながら、新しい配色、新しい意匠に挑戦することも恐れない。そしてその新作のどれもが心から素晴らしく、「どれも全部ほしくなる!」と私の周りのきもの仲間が皆悶絶しているご著書です。ぜひ皆様もお手に取ってみてください。
それでは、今年も、お茶を嗜まれる方も嗜まれない方も、それぞれの皆様の手の中に、ふくふくとお茶の香る一年でありますように。
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