西端真矢

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「わーと日本橋」200体きものコーディネイトちら見せ+くまもん羽織袴姿+お茶菓子、山口源兵衛コレクション 2015/05/07



先日日記にレポートを上げたきもの+アートイベント「わーと日本橋」、第2弾レポートをお届けします。
このイベントの大きな見せ場の一つである200体のきものコーディネイト。どんなコーデがあるのだろう?と気になる方が多いと思いますので、ごくごく一部になりますが、ご紹介をしたいと思います。

私がすごいなとうなったのは、染め師・岩下江美佳さんによるこの婚礼衣装。まずは寄りの写真をご覧ください↓
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おめでたい「宝尽くし」文様の地紋がある生地を使ったこのおきもの。よく見ると、地紋は凹凸をつけて織り上げられていることが分かります。その上に、江戸小紋で細かくドットが染め上げられているのです。
「江戸小紋」は、もう皆さんも良くご存知だと思います。型紙を使い、極小の文様を染めて行く技法ですが、普通の平らな反物にさえしっかりと極小文様を染めるのは難しいのに、凹凸のある生地に…!
…と驚愕していたところ、たまたま会場に岩下さんがいらしたので、
「ああいった布に対しては、ぐっと型紙を押しつけて染めるんですか?」
とお聞きしたところ、
「いや、逆に軽くふわっと置いて染めるんです」
とのお話でした。確かな型染技術をお持ちでなければ出来ないこの技。玄人がうなる作品だと思います。会場に行かれたら、ゼヒ皆さん、注目してください。
更に裾にはこんな風に美しく花模様も染められ、岩下さん、一体いくつの技術をお持ちなのですか!と感嘆してしまいました↓
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↑他にもこんな素敵な婚礼衣装が展示されています。

個人的にほしいな、と思った、この二枚。全くの偶然で驚いたのですが、どちらも京都の栗山工房のお作でした↓
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上は、夏の麻のおきものに、格調高く古典文様を染めたもの。何とも品が良く、通なお着物だと思いませんか?ほしい!と一人トルソーの前で唸っていました。
もう一点、下の明るいペパーミントグリーン地のおきものは、紬に染めたもの。もう理屈屈抜きに、こういった色合いが大好きです。ちょっと私の年齢ではもう若いおきものですが、とにかく大好き。若かったら絶対着たいきものです。

若いと言えば、面白いなと思ったのが、このおきもの↓
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グラフィティのようなもようを大胆に染めています。染色家・橋本真智子さんの作品。白大島の生地に、奄美大島に自生する植物を染料に使って染めた作品ということです。
私はモダンきものと言われるものにほとんど感心したことがなく、ただ洋服の模様をきものの上に置いてみただけで面白くないな~と思ってしまうのですが、この柄の付け方には、古典の格子柄(例えば、翁格子など)とも通じ合いながら現代性が保たれていることを感じ、ぐっと来てしまいました。

             *

さてさて、ここでちょっと休憩して、アイドルショットを!

一昨日、5月5日のわーと日本橋には、くまもんが登場しました。
きもののイベントということで、日本男児の正装、紋付き袴を着ています。あまりの人気に後ろの方からの撮影で、全身が撮れていなくてすみません‥!
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こちらの衣装は、きものデザイナーの木越まりさんがデザイン、そして、私が仲良くして頂いていて、この日記にも度々登場しているのでもう皆さんにも覚えて頂いているのでは?と思う渋谷の和裁所、「プロきものスクール」の海老原美智子先生が縫いを担当しています。
海老原先生と会場で少しお話したのですが、くまもんは何しろ首がないようなあるような、更にとてつもなく太い首なのでどう布の上に寸法を落とし込むか、相当苦労されたようです。
しかもみて下さい!ちゃんと比翼もついた正式の上にも正式な一揃いなんですよ。最後は徹夜で縫われたとのこと。エビ先生、お疲れ様でした!

             *

さて、コーディネイトに戻って、夏のおきものでもう二枚素敵だなと思ったものをご紹介。
一枚目がこちら↓
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京都の人気きもの店「きもの鶴」の店主、舞鶴曜子さんが出されていたお作です。絹紅梅と思われる透け感のある生地に、クラッシクな花の文様を染め、何とも涼しげ。しかも女らしくて。歩いた時にふわっと動く裾から、涼感がただよって来る様子が目に浮かびました。
このきものの見せ所をしっかりと伝える、着付け師・望月なぎささんの着付けも見事ですね。
地紋の部分はかわいらしいドットが染められているのですが、私の年齢なら、万筋のような細い縞に染めたいかなと思ったり。妄想が膨らみます。

二枚目は、「一貫工房一矢」さんの作品↓
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シャリ感のあるオリジナル織り生地に蝋纈染めで花火の柄を染めたもので、夏の夜の華やかさと涼感が両立しているかんじが、「ほしい!」と思わされました。

              *

ここでまたまた休憩タイム。
わーと日本橋の竹の天空茶室では毎日茶会が行われていることは前回の日記でもレポートしましたが、そこでは毎日日替わりでお菓子が供されています。私が参加した初日の茶会で頂いたのがこちらのお菓子↓
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神楽坂の「梅花亭」のお作で、天空茶室という今回の茶会のコンセプトを見事に表現しています。
あまり写真が良くなくて恐縮なのですが、よく見ると、一層目と二層目の間にブルーの筋が入っていることが見えると思います。そう、まるで成層圏と大気圏の間を自在に行き来するようなイメージ。
もちろんお味も大変美味しく、この創造力に感嘆したのでした。
先ほども書きましたように、茶会は毎日数度行われ、毎日違うお菓子が頂けるので、きっとこの日の他にも素敵なお菓子が登場していると思います。わーと日本橋はまだ10日まで開催しているので、ゼヒ皆様、参加されてみて下さい。人気も高いので、会場に着いたらまず席を予約されることをお薦めします!(一昨日、私は出遅れて予約いっぱいで入れず、でした‥)

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また、わーとの会場では、このような大きな染め物作品も飾られています↓
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端午の節句を挟んだ会期にふさわしい鯉の大判幕。京都の老舗中の老舗「誉田屋源兵衛」の作品です。
「誉田屋源兵衛」からは、現当主の山口源兵衛さんが他にも展示を行っていまして、その中には戦国桃山期の名物小袖を復元したものもありました。撮影禁止ということでここではお見せ出来ないのが残念なのですが、そこに書いてある山口源兵衛さんの解説が素晴らしく、これを読むだけでこのイベントに来る価値があると、私は強くお勧めします。
例えば豊臣秀吉の小袖を再現したおきものに添えられていた解説には、
「秀吉の衣装には過剰な気負いが感じられる、人並み外れた絢爛豪奢な天下人の衣には、恍惚と不安が同居している」と。
これは、服飾史と歴史と技法とを全て知り尽くしている人にしか書けない言葉だと思います。感動のあまり、しばしこのきものと解説ボードの前に立ちつくしてしまいました。山口源兵衛さんのコレクション、皆様ゼヒご自分の目でご覧になってください。

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最後に二体、コーデのご紹介を。
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↑こちらは、きものスタイリスト小林久美さんのコーディネイト。きもの初心者から毎日きもの!のきもの愛好家まで、一枚はワードローブに入れておきたい格子柄の紬きものを、楽しくコーディネイトしています。
こうして反対色を上手く入れ込んで行くことが、きものコーデの楽しさだと私は思います。同系でまとめるのもすっきりして素敵ですが、洋服風から離れて、きものらしさを現代の感覚の中に溶け込ませたコーディネイトではないかと思います。

そして、これぞきもの!と思わせるコーディネイトがこちら↓
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浅草で新舞踊の家元をされ、きもの店「胡蝶」の経営もなさっている加藤胡蝶さんのコーディネイト。洋服のコーディネイトとは全く違う色使い。セクシーさなど狙わなくても自然にただよう、独特の色っぽさ。私もこういうコーディネイトをしてみたいものだと思いながら、なかなか到達出来ません。

…と、やっぱりきものイベントはコーディネイトを見ることが一番楽しいような気がします。何しろ200体もあるので、好きな作品、参考にしたい作品がきっと見つかると思います。
10日まで、そして毎日20時まで開催していますので、ゼヒCOREDO室町の「わーと日本橋」へ足を運んでみて下さいませ!

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