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大島の単衣で母校へ。茶道「宗徧流」家元のご講演を拝聴に。 2017/05/29
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本の仕事がようやく終了して(発売間近!)、ここのところややのんびり過ごしています。
色々と着物で出かけてもいるのですが、会場が撮影禁止の場所だったり、話に夢中になって撮ること自体を忘れることも多く…。
そんな中、昨日、日曜日は、母校上智大学の「オールソフィアンズ・フェスティバル」という同窓会イベントに着物で出かけました。これは、年1回開かれる「卒業生の学園祭」といったイベントで、OB・在校生による様々な出し物があります。
私の目当ては、茶道「宗徧流」第十一代お家元の講演会。全く知らなかったのですが、現在のお家元(年齢は五十代)は上智の卒業生で、それも国文科や史学科ではなく、何故か「ポルトガル学科」のご出身。何だか変な人そう(褒め言葉です)、面白そうだな、とお話を聞いてみたいと思ったのでした。
さて、懐かしの学び舎に着くと、メインストリート――と言っても早慶や明治大などに比べて敷地がとんでもなく狭く、あっと言う間に終わってしまう弱小ストリートなのですが――には模擬店などが並び、大にぎわいでした。実は「オールソフィアンズ・デイ」に参加するのは卒業以来初めてのことです。
フラメンコサークル(在校生)のダンスや…↓
↑上智で非常に盛んな福祉や国際協力サークルの模擬店も多数。こちらは、「Table for two Sophia」、飢餓に苦しむ発展途上国と飽食に喘ぐ先進国との食糧アンバランス是正に取り組むサークル(在校生主体)の模擬店です。一品買うごとに発展途上国の一食分を賄うことが出来るということで、私もマフィンを購入しました(マフィンの写真はブログの後半に)。
中には、日中友好サークルの模擬店も↓
私は「盲目的な日中友好推し」には反対ですが、かつては北京に留学もした中国文化好き。今でも中国に関心を持っています。長い時間をかけて、両国が大人の関係を築き上げられること、機会があるならそこに貢献出来たらという願いも変わりません。現在の日中関係は非常に悪い状態にあると思いますが、母校で学ぶ中国人学生の皆さんには、良い留学生活を過ごしてもらいたい。逆風の中でも頑張ってね、と心の中でエールを贈りました。
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そして、宗徧流第十一代家元幽々斎宗匠の講演会へ。
本当はお話をされているお姿の写真を載せたいところなのですが、撮影禁止とのことで、レジメ的な役割を果たしていたチラシの写真のみをご覧ください。ちなみに左のノートは、私がお茶関係のことを一切合切メモしているノートです↓
講演会は全体で2時間ほど。今回、OBサークル「ソフィア美学芸術学研究会」と在校生サークル「上智大学茶道部」の共同主催とのことで、まず最初に現在4年生の茶道部員二名のスピーチがありました。二人とも、しっかりと茶の稽古に励みながらも、海外留学で国際感覚を身につけておられ、頼もしい限り。卒業後のご活躍が楽しみになりました。
そしてお家元のご講演は、「変な人かも??」という予想通り、しじゅう笑いの絶えない楽しいものでした。「宗徧流は、イノベーション一筋、350年」と仰り、伝統文化を国粋的にとらえるのではなく、常に日本を世界のダイナミズムにおいて俯瞰し、現在と切り結んで行く姿勢が大切だということをまずお話になりました。
例えばお家元のおじいさま、つまりは先々代の第九代は明治時代の方ですが、何とオスマントルコ帝国の王様の所で25年も暮らし、何をしていたかと言えば、皇帝の日本文物収集の責任者を務めていたのだそう。意外なお話にただただ驚きでした。
ひるがえって考えてみれば、侘茶が大成した桃山期には西洋の文物やキリスト教宣教師が多数日本に流れ込み、堺で我が上智大の祖でもあるフランシスコ・ザビエルのサポートをしていた日比屋了慶という豪商の屋敷は、利休邸から200メートル、今井宗休の家からは50メートルほどのご近所だったそうです。
ザビエルの後輩に当たるルイス・フロイスが書いた日本観察記には侘茶完成期の日本人の思考法や生活様式を読み解くヒントが詰まっていることもお話からひしひしと伝わり、もともと歴史がむしょうに好きな私、「読まなければ‥」と人生の楽しみがまた一つ増えたのでした。
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そして、お家元自身がそんなイノベイティブな家風の中でご自分自身の茶の湯スタイルを作り上げるために、特に大学生時代頃から、どのような迷いや試行錯誤をたどりながら今に至ったかを、写真とともに振り返ってくださいました。
率直で虚飾のない、そしてユーモアを交えたお話の数々。特に、アジアの少数民族の村々を回って、囲炉裏や屋根の茅葺が今も生活の実践として行われている現場を進んで体験し、その経験をご自身の茶の湯に還元しようとされている姿勢には心打たれました。つくづく、茶の湯には様々なアプローチがあることを思い知らされます。
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講演の後、思いがけず「お楽しみ抽選会」というものがあり、入場の時に頂いた整理券の番号で九人の人にプレゼントが当たるとのこと。私は十一代幽々斎宗匠にちなんだ11番だったため、茶道部の学生さんが用意してくださった一保堂のお抹茶が当たりました!実は毎晩原稿を書く時、必ず二杯ほどお薄を点てて飲んでいるので、非常に非常に嬉しい。茶道部の皆さん、ありがとうございました。
↑上の写真、隣りに写っているのが、先に書いた「Table for two Sophia」の模擬店で買ったマフィンです。オーガニック材料で作られた優しい味でした♪
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そして、今日の着物は‥
20度超えを聞くと、もう見ている方も暑いでしょうし、やはり5月でも単衣を着たくなります。平成日本、既に「単衣は6月からルール」は崩壊していると言って良いでしょう。大島のごく細い横縞の単衣に、帯と半衿は塩瀬を合わせました(と言うより、半衿を絽ちりに変えている時間なし)。帯周りと足元は下のように↓
帯は、祖母が染めた蝶の柄の名古屋。爽やかな色目の笹浪組の帯締めに、帯揚げは、軽めの地の立涌模様の古布を入れています。草履は「神田胡蝶」。バッグはアジアのアタバッグを合わせました。
ちなみに、写真に写っている趣のある廊下は、上智で一番古い建物である1号館のもの。学生時代、1年間に3回遅刻しただけで単位を落とすという毎日1限のラテン語の授業に遅れまいと、駆け足で通った懐かしい廊下です。無事卒業出来て良かった…
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…ということで、とても有意義な時を過ごした午後になりました。
帰宅後調べてみたところ、「完訳フロイス日本史」は、全12巻もあるのですね。長編数寄(敢えて「数寄」と書きたい)にはたまらないではありませんか。ちびちびと読んでいきたいと思います。