西端真矢

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新しい草履と帯締めで歌舞伎座へ。新作「幽玄」のことも 2018/09/23



少しだけ仕事に余裕のあるこの頃、先週は友人と秀山祭の歌舞伎座夜の部へ。先日このブログでご紹介した、浅草「辻屋本店」さんで購入の新しいお草履を初おろし。雨模様と分かっていたけれど、どうしても歌舞伎座でおろしたかったのです!
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全体とのコーディネイトとの調和は上↑の写真で。思った通り、細身でなかなか良いバランスではないかしらと悦に入っている。
同行のお友だちは、山田流箏奏者の長田悠貴能さん。何だかお揃いのきもののように見えるけれど、これは写真のマジックで、彼女のきものは、本当は私より一段濃く臙脂に寄った色合いの、万筋江戸小紋。私の方は、少し紫がかったピンク地に蛍ぼかし模様の小紋。似た色に写るのは、私たちが仲良しだからに違いない♪
そう言えば、まるで私たち二人で歌舞伎座貸し切り!のように写っているけれど、もちろんそんなことはなく、実際は幕間にがやがやとしている1階ホールで撮ったもの。歌舞伎座の係員さんが奇跡の一瞬をとらえてくださった。
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↑帯は、祖母から伝わった唐花模様の博多織。帯締めは、取材をきっかけに親しくさせて頂いている“南極料理人”こと渡貫淳子さんのお母様が手組されたものを頂いたもの!一見冠組に見えて「東雲組」という珍しい組み方。そして、一見白の無地に見えて、ブルーと赤の筋が入っているという凝っ一本で、このように筋が入るところが「東雲組」の特徴なのだろう。
渡貫さんは、最近、南極基地で振る舞っていたという“悪魔のおにぎり”のレシピがSNSやテレビで話題になり、ご存知の方も多いはず。近々私が彼女を取材した記事も出るので、ぜひご期待ください。
      *
この日の歌舞伎座夜の部は、大阪まで襲名公演も観に行ったのにどうしてもまだ染五郎さん、と思ってしまう新幸四郎さんの「操三番叟」、吉右衛門丈の「俊寛」、そして玉三郎丈の新作舞踊「幽玄」の三幕。
「俊寛」は、ちょうど今「平家物語」で俊寛たち一団の計略が清盛に露見して捕えられ、散々な目に遭うところを読んでいるので(ちなみに原書で読書中)、個人的に何ともタイムリー。中でも貴公子な登場人物が藤原成経で、今回その成経演じている菊之助さんが、まさに私が本を読みながらぼんやりと描いていた成経のイメージそのものでぐっと来る。ああ、そんな成経が田舎の海女なんかと‥!と感情移入してしまった。

「幽玄」は、玉三郎丈と太鼓パフォーマンス集団「鼓童」の共演で、「羽衣」「石橋」「道成寺」という、能をオリジナルに持つ日本舞踊三作を更に現代にアレンジして連続上演する。恐らく賛否両論分かれるだろうほどに、いわゆる“ぶっ飛んだ”演出で、私は踊りという芸術にはさして詳しくないけれど、西洋のミュージカルや恐らくヒップホップの要素も演出に組み込み、三匹の獅子が踊り狂うくだりはまるでジャニーズやエグザイルのショーのようにも見え‥けれど骨格のストーリーはもちろん五百年、六百年にわたって日本人が繰り返し語って来た大古典であり、それをここまで激しく、そしてエロチックな空気をただよわせて演出する玉三郎という人の大胆さに心から感動させられた。
年齢はそろそろ七十代に近く、人間国宝でもあり、格調高く守りの世界に入っていれば揺るぎない評価の中にいられるところを、ここまで振り切ってしまう。「幽玄」というタイトルをつけているけれど、これこそは「傾奇」=「歌舞伎」だった。たとえば一幕目で幸四郎さんがやった「操三番叟」だって、本来は神事で舞う「三番叟」を人形が踊ったらこうなる、とアレンジした言ってみればふざけた演目で、恐らく狂言師の方が初めて見た時は顔をしかめたであろうはずのもの。歌舞伎とは本来そういうアートであるはずなのだから、玉三郎丈こそは正しく歌舞伎の精神を生きている人なのだ、と思った。
長老の域に入りつつある役者がこんなことをやってのけてしまうのだから、おそらく下の世代へ与えた刺激や衝撃ははかり知れないはずで、歌舞伎にはまた新しいエネルギーが蓄えられていくに違いない。

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