西端真矢

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不思議な水仙 2016/04/04



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庭の真ん中に、突然、水仙の花が咲いていた。
いや、水仙は以前から庭の北の方にある花壇に群生していたのだけれど、この花は、今年になって突然、庭のちょうど真ん中辺りに庭いじりが趣味の父が後で何かに使おうと思って置いたままにしていた石の横に、一人長い茎を背筋良く伸ばしていたのだ。

だけど、水仙って、球根植物じゃなかったっけ?
他の花なら、庭に遊びに来る鳥や虫や野良猫たちが受粉した花粉を体のどこかにくっつけて、そしてたまたま立ち止まった所でその花粉がふわりと土に落ちて花が咲くことは、分かる。だけど球根植物では?
もしかしたら、この水仙は、球根のまま花壇から庭の真ん中までころころ転がって来たのだろうか?それとも土の中をもぐらのようにずんずん掘り進んで来た?いやいや最近よく我が家の庭に顔を出す白黒模様のでっぷりとした野良猫が、土を掘り返して一しきり、おもちゃのように転がして運んで来たのかも知れない。
気になって、調べてみると、水仙は普通、土の中で分球して増えて行くと書かれている。けれどごくまれに、受粉によって新しい株が出来ることもあるということで、なるほどね、と納得しながら心のどこかで、庭をころころ自分で転がって来たのだと思いたい。そんな凛とした横顔の水仙なのである。

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