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「日本結束」=「日本終了」 サッカー日本代表新ユニフォーム広告の衝撃 2011/12/28
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一昨日、サッカー日本代表チームの新ユニフォームが発表になり、発売元adidasが広告キャンペーンを開始した。そのキービジュアルを見た人の中で――私もその一人だが――中国語が分かる人は、全員絶句したのではないかと思う。何故ならそのキャンペーンコピーが、「日本結束」というものだったからだ。
日本結束。
この文章は、中国語では、「日本は終わります」を意味する。文脈にもよるが、現在形か未来形の文章であり、こうやって単独で言い切りの形で投げ出された場合には、どちらかと言うと“確実な未来”という意志が感じられる。つまり、adidasが「日本は、必ず終わる」と何らかの確信を持って断定している印象なのだ。
ああ、何ということだろう。
キャンペーンの画像は右のURL→→ http://www.adidas.com/jp/homepage.aspで見られるので、未見の方はご覧になってみてほしい。新ユニフォームを着た選手たちが歓喜の表情でグラウンドを駆ける写真の上に、「日本結束」、つまり中国語的には「日本終了」というコピーがでかでかと載っているのだ。私は最初、
「これは、中国人の憤青(ネット右翼)によるサイバー攻撃?」
と思ってしまった。しかしもちろんそんな訳はない。難しい時代になったな、と思わされた。
*
もちろん、ここは日本なのだから、普通に日本で育って中国語に触れる機会のなかった多くの日本人からすれば、このコピーの読み方は「日本けっそく」以外の何ものでもない。私などは中華オタクだから中国語が読めてしまい、その結果「結束」を「終了」とも読み取ってしまうだけで、ほとんどの日本人にとってはこのコピーは、日本人の団結を表す、なかなかに凛として美しい言語表現であるはずだ。
だから、このコピーは何も間違っていないし、このままこのキャンペーンを続ける。
その見識は正しいし、日本adidasもその方針で行くようだ。実は2ちゃんねるの世界でもこの「日本終了」問題に気づいた人がいて、adidasの広報に電話をかけて問い合わせをたらしい。するとadidas側は、「そんな意味があることは知らなかった。しかし、キャンペーンはこのまま続行します」と回答したのだそうだ。
もちろん、既に発表済みな上に様々な宣伝ツールに印刷もかけてあり、キャンペーン全体がこのコピーを軸に動いている以上、いまさら引っ込められないという裏事情もあるのだろうが、基本的には、「日本向けの広告は日本語として正しければそれで良い」という認識は、私は間違っていないと思う。
でも…という思いがもう一方でどうしても沸き起こって来る。
今は鎖国の時代ではないし、まして日本は今後、アジア経済圏の中で活路を見出さなければ立ち行かなくなる、というのは、少しでもビジネスの世界に触れている者にとっては常識と言って良いだろう。
それにそもそも「結束」を「終了」と読み替えるのは、今や中国人と(私のような)中華オタク日本人だけではない。駐在や留学で中国語を学ぶ日本人の数は年々増え続けている。「結束」は基本単語の一つだから、かなり早い段階でそれらの人々が学んでおり、彼らも皆この広告を見ることになるのだ。
…そういう情勢の中で、特に全面的にグローバル展開している企業が、ここまでダークなダブルミーニングを持った言葉をコピーにしてしまう。これはやはりあまりにもリスキーな選択だと言わざるを得ないし、グローバルな顔をしていながら意外とアジアに目配りで来ていないな、という印象を持たれてしまっても仕方がないだろう。
少なくとも、「日本結束」のコピーは、たとえ日本国内であっても、国際試合の会場には決して掲げないことをお薦めする。
逆だった場合のことを考えてみてほしい。
日本代表チームがアジア大会に出場することになり、或る日、選手・サポーターが上海の競技場へ乗り込んで行く。すると競技場に中国adidasが、何故か「中国終了」という奇天烈なメッセージを掲げているのだ。
中国人は一体何を考えているのだろう?やる気あるの?どれだけ自虐的なんだ?と日本人なら全員思うはずだ。
いや、中国では「終了」は「結束」という意味なんですよ、と言われても、日本人から見れば「終了」は「終了」だ。ぷっ、あいつら、自分で自分のこと「終了」って言ってるよ、とTwitterにからかいコメントの一つも書いてみたくなるだろう。それに何より、国の名誉を賭けて闘う試合会場に「終了」の裏イメージが重なることが、あまりにもゲンが悪過ぎる…
*
今回の事件を見て思うことは、これから広告制作や商品ネーミングに携わる人たちは、中国語、韓国語、ベトナム語など、アジア言語やアジア文化、アジア史にリタラシーを持たなければ、また同じような失敗を繰り返してしまうのではないだろうか、ということだ。
以前広告代理店で働いていた私は、最先端と言われる“クリエーター”と呼ばれる人たちが、実はいまだに欧米志向である現状を見聞きして来た。経済の実態はアジア中心に動き始めてもうずいぶん時間が経ち、これからも当分この趨勢が続いて行くことは明らかなのに、“クリエーター”たちの頭はその現状について行けていない。だから、英語が分かるコピーライターは結構いても、中国語が分かるコピーライターやプランナーなどほとんど存在していない。それが今回のような事態を引き起こしたのだ。今回はコピーが問題だったけれど、アジア文化リテラシーを持つ人材を社内に育てて行かなければ、今後、広告の中の動作、美術が問題なることが、第二、第三、と起こって行くような気がしてならない。
*
かつて代理店にいた人間として、広告表現というのはただでさえ制約が多く、そこに「アジア要素」という新たな一項目が加われば、更に表現の方法が狭まってしまう!と危惧する気持ちも理解出来る。
しかし、アジアリタラシーを持ち、自然にアジア文化を取り入れた広告を作れる人材が育ったならば、今回のようなことのリスクヘッジともなるし、それどころか広告表現は、これまでとは違った別の方向に深みを持つことさえ出来るのではないだろうか。
たとえば、かつて東アジアの多くの国が共有していた旧暦という文化を広告に取り入れて、大きなアジアキャンペーンを打つ、など、展開は私などにも様々に考えられる。今回の出来事を教訓にして、難しい時代を豊かな時代に変えてほしいと、かつての広告代理店人であり現在の中華オタクであり日本文化をこよなく愛する私は、「日本結束」、この悲しくも美しいコピーを前に思うのだ。
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