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ananの五十周年パンダと五十代をゆっくり生きることと 2021/06/24
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先日、仕事でマガジンハウスへ行くと、エントランスホールに巨大なパンダのぬいぐるみが置いてあった。
「ananの創刊50周年だから」
と、一緒にいたヘアメイクの高松さんが教えてくれる。そう言えば、ananのキャラクターはパンダだった。表紙の隅にパンダのイラストがレイアウトされていた時期もあったような記憶がある。お上りさん的に記念写真を撮ってもらい、そうか、ananと私はほぼ同年齢なのか、とぼんやり思った。そして、自分の“調子”のことを考えた。
少し前に、女優の深田恭子さんが、適応障害でしばらく仕事を休むと発表した。一昨日には小池百合子都知事が、極度の疲労で一週間ほど静養すると報道された。
これまで元気いっぱいに活動していた女性たちが、どっと疲れてしまう。そんなトレンドがあるようにも見えるが、だとしたら私は最先端にいるかも知れない。彼女たちほど深刻ではないけれど、このところ、今まで普通にこなしていたことが、何倍もしんどくかんじられる。少し休んだ方がいいよ、と肩のあたりに座っている見えない小さな女の子が、耳元でささやいている。
五十代は、更年期の真っただ中だ。意欲の低下や疲れやすさはよくある更年期症状の一つだから、まさにそのせいなのかも知れないし、それから、私の場合は、物理的に母の介護で疲れてしまっていることも大きいように思う。
介護は、もう2年半続いている。しかも去年からは、「コロナ感染させないように」という尋常ではない神経戦付きだ。疲れるのも無理ないよね、と、また女の子が耳元でささやく。
だから、少し、ゆっくり生きようと思う。
介護を休むことは出来ないけれど、納期その他、自分にとって負担の大きい仕事はお休みする。面倒な人とは関わらない。人生には色々な時期があっていいと思う。がむしゃらに走り抜ける時期もあるし、縁側に座ってお茶を飲んでさてまた寝ましょうかねーという時期もあっていい。それぞれが何歳の時に来るのかは、人それぞれで分からない。
モーレツからビューティフルへ、という有名なコピーのことも、不意に思い出した。確かあのコピーはananが創刊された頃に生まれたはずだ。とは言え、かけ声倒れでなかなかこの国に浸透することはなく、バブル時代などモーレツにより加速がかった時期もあったけれど、ようやく50年を過ぎた今、根づこうとしているのかも知れない。少なくとも深田さんや知事を厳しく非難する人はいないのだから。そんなあれこれを、私よりもずっと若い深田さんに、ささやいてくれる女の子がいるといいな、と思う。