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花と歌と猫と映画、生存報告 2024/05/14
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しばらくSNSから遠ざかっていたので、生存報告を。
特に何か理由があった訳ではなく、仕事の原稿が重なると更に文章を書くのは脳がさすがに疲れてしまう‥‥というただそれだけのことで、若干の体調不調はあるものの元気にしているので、ご安心ください。
基本は家にいて、原稿を書いたり、構成を考えたり。
上の写真は、少し前に庭の白山吹が満開になったので、床の間に生けたもの。
白山吹はとても好きな花の一つで、敢えて同じ白磁の花器に生けてみた。
北海道で作陶されている高橋里美さんの手になるもので、中肉中背ほどの白磁の花器がほしいな、でもお高いし‥‥と思っていたら、たまたまお茶に入った青山Maduで見つけ、しかもびっくりするほどお安く、即決で購入した。
後ろのお軸は、絵更紗の大変しゃれた短冊掛けで、父方の祖父の遺品の中にあった。「と志子描」と箱書きがあり、祖父は大学教授で女性のお弟子さんも多かったので、そのどなたかが贈ってくださったものではないかと思う。
そのお軸に、太田垣蓮月の短冊を掛けた。コロナ禍中に気がくさくさしていた時に、古書店のサイトから購入したもので、「あられ」と題された歌が書かれている。崩し字が読めないため、実は内容は分かっていないのだけれど、「あられを詠んだ歌って、何だかいいな」と、ただそれだけで購入した。女性の手になるお軸に、女性の文字を掛けたいという思いもあった。
読める方、ぜひ読み下しをお願い致します!
少し前に皮膚がんの手術で左前脚の指を一本切除した猫のチャミは、その後は元気いっぱいに暮らしている。私を追い越して階段を駆け上ったり、棚から棚へ大ジャンプをしたり。今思えば、がんが進行していた頃は、やはり指が痛かったのだろう、動きがおとなしかった。何だか若返ったようで、嬉しくて涙ぐんでしまう。
上の二枚の写真は、仕事をしている私の机の下で寝ているところと、おもちゃで遊びながら寝てしまったところ。食欲もものすごく、がんで痩せたのにかなりリバウンドしている‥‥
一本、中国映画も観た。最も愛する俳優、トニー・レオン主演の「無名」。
日本軍、汪兆銘政府、共産党、それぞれのスパイがうごめく1940年代上海の汪兆銘政権内部を描いた作品で、つまりはアン・リー監督の「色、戒(ラスト・コーション)」とまったく同じ題材を扱っている。実はこの汪兆銘政権で私の母方の曾祖父が経済顧問を務めていた(日本政府から派遣された)。個人的に長く関心を持ち続けている時代だ。
「ラスト、コーション」の公開時、汪兆銘政権という、中国人にとっては政治的に非常に微妙な題材を扱っていたためか、主演の湯唯(タン・ウェイ)が数年にわたり謹慎状態に置かれるという事件があった。しかし、もう一人の主演俳優であるトニー・レオンは変わらず活躍が続き、不可解とも言われていた。
その同じテーマを描く作品に再びトニーが出演するのは政治的にかなり冒険ではないか、と心配して足を運んだが、うすうす予想していた通り、結局、勝つのは栄光の共産党!という方向でまとめられていた。まあ、実際勝ったのだけれど、今の中国の検閲体制ではこう描くしかないのだろう。
そんな中で、トニーの演技は、相変わらず化け物のように素晴らしい。
特に、冒頭、共産党からの寝返り者を尋問する場面。相手を安心させようと温厚な態度を装う汪兆銘政権幹部、という難シチュエーションを神業的演技で表現している。この一場面だけでも代金を払う価値がある。
映画自体は、冒頭に述べたように、日本軍、汪兆銘政府、共産党、三者のスパイがそれぞれ自分の立場を隠して駆け引きを繰り広げ、誰が裏切り者なのか二転三転して分からないところに面白さがある。日本で言う〝考察〟系の作品に当たる。
ただ、その謎の提出のし方が、時間軸をばらばらにした編集で観る側を煙に巻く手法に頼っているところもあり、つまるところは娯楽映画。人間性の深淵を描き出した「ラスト、コーション」には遠く及ばない。けれど、娯楽映画としては上質の作品だと思う。他の俳優たちの演技も素晴らしかった。
それにしても、トニーが暗い顔をして執務室に座っていると、どうしても「ラスト、コーション」の易(イー)に見えてしまい、頭が混乱してしまう一本でもあった笑。
時には人生から小さな贈りものも届く。
SHIPSの顧客向けキャンペーンに当選し、バッグが届いた。ケリーバッグのデザインをナイロン素材で作ったもので、とてもハンサム。デニムやだぶっとしたワンピなど、自分の好きなスタイルに合いそうで嬉しい。
SHIPSには、井の頭公園の手前に店舗があった時代からずっと通って来た。一年に一、二枚買う程度だけど、時にはこんなお返しももらえるのだ。
‥‥という訳で、変わらず低め安定(?)に生きている。また思い出したように更新するので、時々生存確認に来て頂けますよう。