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猫の形見を譲る 2025/12/30
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12月に入ってから東京はずいぶん寒くなって、今年の初めに逝ってしまった猫のチャミのことをとりわけ思い出す。
チャミは子猫の頃から私の膝の間に入るのが好きで、特に冬には私が和室で仕事をするのを待ち構えどかりと7キロ越えの体重で乗って来た。そのままぷすぷすいびきをかきながら寝たりしていたから、今は膝があまりにも軽くて、それで泣いたりしてしまう。
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チャミは私の膝の他にもたくさんの寝場所を持っていた。
この間数えてみたら夏冬合計で23か所!もあって、時間帯や気分次第で細かく場所を変えていた。
その中で、夜の時間帯の気に入りの一つが私の仕事部屋の机の下に置いた猫ベッドで、吉祥寺の「ネコセカイ」オリジナルを何代も買い替えて愛用していた。
昨年秋の終わり、12月に入った頃から、チャミはだんだん左わきのがんが外から分かるほど大きくなって、その腫瘍に障るのか、私の膝にはまったく乗らなくなってしまった。そして一日の大半をその猫ベッドで過ごすようになった。
ところが写真の通りこの猫ベッドは屋根のないタイプだから、病人のチャミには寒いのではないか。そう、急に心配になってネット通販で三角形のドーム型ベッドを注文したけれど、何が気に入らないのかまったく入ろうとしなかった。それでもう一つ、少し大きめの楕円形のものを注文してみると、そちらにはごくたまに入ってくれた。
そうやって、机の下に二つのベッドを並べて、けれど大半は屋根なしの方でうとうとしながらチャミは最後の数週間を過ごした。
相変わらず保温のことが心配な私は机の一部を大きなラグで囲うことを思いついて、そうすると私自身は端に追いやられて窮屈にPCに向かうことになったのだけれど、もちろんそんなことは構わない。仕事をしながら時々覗き込むとチャミはいつも顔を上げて見返してくれた。体がつらい時にも私の気配をすぐに感じとってくれる、繊細でやさしい子だった。
*
そんなチャミの形見の猫ベッドを友人に譲ることにした。
インスタグラムでの投稿「昭和の暮らし帖」が大人気の染織研究家、吉田雪乃さん。
実は、チャミは我が家に遊びに来る友人の中でも特に雪乃さんが好きで、その雪乃さんのところのきんたさんとまるおさんに譲るなら、喜んでくれる気がした。あまり使わなかった楕円のベッドとまったく使わなかった三角ベッド。最後までチャミがメインの寝床にしていた屋根なしベッドは今もそのまま机の下に置いている。
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送った結果は大成功だった。届いたその日から二匹の間で取り合いのケンカが始まり、意外にもチャミが見向きもしなかった三角の方が人気らしい。
そして、熾烈な陣取り合戦の結果、お兄ちゃんのまるおさんが三角、きんたさんが楕円に落ち着いて、でも、まるおさんは時々楕円にも入り込んで「こっちも本当は僕のだぞ」と威嚇活動をしているという。夜は雪乃さんのお布団で眠る二匹だけれど、日中はかなりの時間を入ってくれているそうで、やはりお譲りして良かったと思う。
上の2枚の写真は、チャミの最後の夏の初め、雪乃さん、そして、着付け師の川口恵美子さんとチャミが交流しているところ。何とこの時二人は我が家の和室の壁を塗り替えに来てくれて、チャミは興味津々で何度も見学に行っていた。
雪乃さんは、憧れのお姉さん。川口さんはお友だち。そんな気持ちで接しているのが見ていて分かった。二人にあれこれ話しかけてもらい、ニャーニャーとチャミも何か意見を言って。この後すぐに始まる夏の日差しのようにキラキラした時間だった。
*
そんな雪乃さんの家にベッドが到着したその日、不思議なことがあった。夜9時頃、きんたさんとまるおさんが二人して、急に家中を走り回ったというのだ。
もちろん、猫飼いなら、猫が時々そういう謎の興奮状態に入ることを知っている。ましてや多頭飼いとなれば、こちらが見ていないところでじゃれ合った勢いが余り走り回ることもあるけれど、その夜、二匹は居間に駆け込んで来て、そして窓の障子に向かってふー!ふー!と背中を丸くしたというのだ。
これは猫の威嚇のポーズで、虫でも来たのかな?と雪乃さんはわざわざ見に行ったけれど、何もいない。つまり二匹は見えない何かに向かってふーふーしていた訳で、しかも二匹同時はかなり珍しい現象だということも、猫飼いなら理解して頂けると思う。
だから、その時、チャミが遊びに来ていたのじゃないか。
そう、二人で話し合っている。自分のものだったベッドが憧れの雪乃さんのお家に行って、どんな子が使っているのか、チャミはきっと好奇心を持ったのだろう。そうしたら知らない猫がいるのに驚いたきんさんまるさんにふー!とされてしまい、チャミはおとなしい子だったから、困ってしまってちょっと垂れ目になっている姿が目に浮かんで来る。きっとそうだと信じている。
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仏教では、死者は、馬に乗ってこちらの世界に帰って来るという。猫は何に乗って来るのだろう?
猫のことだから好きな時にぷんと尻尾を振れば、もうこちらに着いているのではないか、そんな風に思ってみたりする。そう言えば時々確かにチャミの気配を感じることがあるのだ。膝の間、ソファの、クッションではなくわざわざ背もたれの上、洋服ダンスの鞄の箱の後ろ。そうやって23カ所の気に入りの場所でうとうとしながら、チャミは私を見つめてくれている。そう信じて生きている。